前半から続く)


l  パリ気候変動協定

FP DECEMBER 11, 2015

Is There a Way to Solve the American Fight Over Climate Change?

BY DINA SMELTZ, MICHAEL TIBORIS

パリの地球環境サミットにおいて、オバマは開幕スピーチで各国の指導者たちに求めた。「われわれが集まり、共通の目的のために、団結して努力するとき、何ができるのか、世界に示そう。」

しかし、2週間の話し合いで、世界の150もの指導者たち、およそ3万人の外交官や代表たちが、地球温暖化を阻止する拘束力のある条約に合意できるのか? 対立する利害の多様さを考えれば、それは非常に難しい。

しかも、アメリカ国内に大きな溝がある。議会の共和党員や大統領を目指す者たちは、パリで合意されるいかなる国際条約も否決する、と約束していた。それはオバマがパリで交渉する力を弱めるだろう。

現在のアメリカでは、外交をめぐるすべての決定が、すなわち、移民、国際テロ、核の拡散、サイバー攻撃、こういったことのすべてがアメリカ国民の間に党派対立を生じる。ある調査では、気候変動がアメリカの重大な脅威であると考えるのは、民主党支持者の58%に対し、共和党支持者では17%しかなく、41%もの開きがある。これは克服不可能な対立か?

この対立は、無知によるものではなく、イデオロギーから生じている。

ある研究は、保守的な共和党員で、高等教育を受け、気候変動に関する高い知識があると自己認定した者は、地球温暖化に関心が低いか、それは人間が起こしたものではない、と信じている。他方、民主党員で、高等教育を受け、気候変動を理解していると思うものは、より大きな関心を持っている。

この対立は、もっぱら党派争いなのだ。形を変えたいわゆる文化戦争である。そうであれば、気候変動が事実であると、人間によって引き起こされている、という宣伝を繰り返しても、党派的な分断を克服することはできないだろう。

むしろ、民主党員も共和党員も、再生可能エネルギーの利用を増やすことが気候変動を抑制する、と認めている。例えば、ビル・ゲイツが再生可能エネルギーに関する技術革新を促す基金を提案したことは、彼らの支持を得るだろう。こうした実際的なチャレンジや将来のリスクを抑える行動に焦点を当てて、気候変動を非政治化することで合意が達成可能になる。

また、パリの交渉がそうであるように、気候変動への行動を国際的に行う形にすれば、問題を(アメリカ国内で)非政治化する助けになる。ただし、非政治化することで国際合意は成立するかもしれないが、議会や政治エリートが協力することはないだろう。だからオバマ政権は、議会の反対を回避するために、合意内容を相互的な、法的拘束力のない、各国の意思によるものとする。そして、気候変動を阻止する行動は他の源泉に頼ることになる。

その可能性はある。例えば、合わせて900万人以上を雇用する81の大企業が、大統領の呼びかけthe White House’s American Business Act on Climate Pledgeに応じた。また都市や州政府が、より劇的な排出量削減を主張することも可能である。気候変動に関するアメリカの指導力は、こうしたローカルな合意形成の努力にかかっている。

FP DECEMBER 11, 2015

Who Is Going to Pay to Save the World?

BY MYTHILI SAMPATHKUMAR

気候変動による地域ごとのコストと利益を,この諸国家に分割された地球において,融資しなければならない.貧しい発展途上諸国には気候変動によるコストを抑えるような技術と投資が行われねばならない.気温の上昇を2度までに抑えるという合意には,そのための炭素排出量を削減することが誰の負担によって行われるのか,誰が支払うのか,という問題をともなう.インドや中国は世界の炭素排出量の多くに責任を負うが,それでも気候変動を起こした主要な源泉は産業革命以来の西側諸国である,と批判する.彼らは「発展する権利」を奪われると一律の国際条約に反対する.

The Guardian, Saturday 12 December 2015

Grand promises of Paris climate deal undermined by squalid retrenchments

George Monbiot

NYT DEC. 12, 2015

Nations Approve Landmark Climate Accord in Paris

By CORAL DAVENPORT

FP DECEMBER 12, 2015

The Plan from Paris to Save the World

BY NEIL BHATIYA

ここで決まったことは何一つ重要なものではない.始まりを告げただけだ.

FP DECEMBER 12, 2015

Being a Proletariat During Beijing’s Airpocalypse

BY KYLE MULLIN

The Guardian, Sunday 13 December 2015

Climate deal: the pistol has fired, so why aren’t we running?

Bill McKibben

The Guardian, Sunday 13 December 2015

The Guardian view on COP 21 climate talks: saving the planet in a fracturing world

Editorial

FT December 12, 2015

Let’s hail the Paris agreement and get to work

Jeffrey Sachs

FT December 13, 2015

The world, together, will fight climate change

NYT DEC. 13, 2015

Falling Short on Climate in Paris

By BILL McKIBBEN

Project Syndicate DEC 14, 2015

Toward a Green New Deal

MARIANA MAZZUCATO

民間投資がクリーン・エネルギーの技術革新を担うには,まだ.不確実性が大きすぎる.シリコンヴァレーが示したように,さまざまな方面で基礎研究における民間と政府との協働が求められる.

NYT DEC. 14, 2015

Hope From Paris

Paul Krugman

パリ条約が気候変動を止めると期待するほどナイーブではないが,破滅をまぬがれる道が見えたと思う.

従来,アメリカが環境問題で積極的な役割を担えなかったのには,主に2つの理由があった.アメリカが排出量を抑えても中国が排出するから意味がない,という主張と,オバマ政権のすることには絶対に反対する共和党が議会沿支配していることだ.

しかし,今や中国の都市は大気汚染によって窒息している.中国自身が化石燃料からの離脱を急いでいるのだ.しかも,経済成長によって中国の都市には中産階級が増え,彼らは生活の質を重視する.特に,呼吸するのに安全な大気は欠かせない.

また,中国が炭素排出量を減らすならアメリカはもっと排出してもいい,という共和党の主張がさらに悪質になるのか,それに対してオバマ政権は行政権限で発電所の排出量を規制するのか,パリ条約はオバマの行動を支持するだろう.

化石燃料には既得権層がいる.対立は,結局,新技術の導入によって克服されるしかないと思う.そして,実際に,すでに再生可能エネルギーの価格は急速に低下しており,特別な促進策が無くても化石燃料と競争できるのだ.再生可能エネルギー産業の雇用は,石炭業をはるかに上回るようになった.

FP DECEMBER 14, 2015

We Are the Climate Change Complacency We Seek

BY JEDEDIAH PURDY

Bloomberg DEC 14, 2015

A Toothless Treaty Can't Stop Climate Change

By Leonid Bershidsky

The Guardian, Tuesday 15 December 2015

We’ve almost stopped killing each other. Now let’s spare the planet

George Monbiot

FT December 15, 2015

Climate deal: Carbon dated?

Pilita Clark in Paris

FT December 15, 2015

The Paris climate change summit is one small step for humankind

Martin Wolf

パリ協定は画期的な突破口なのか? 破滅に向かう一休みか? それは確かに期待された以上の成果であった.しかし,世界が必要とするものからは程遠い.

破滅を回避できるかどうかは,気候のシステムに依存するが,そこには大きな不確実さがある.しかし,同様に,これから何が起きるか,にも依存している.

パリに集まった諸国は,共通の危険を避けるために行動する,と合意した.その目標は現在の人々にとって遠く,不確かなものであっても.すべての国が参加すること,豊かな国が貧しい国の脱炭素化を助けることを決めた.平均気温の上昇を2度までに抑える、という目標,1.5度という「努力目標」も決めた.

そのためには資金が要る.航空産業や輸送業への制限も要る.そうした内容はないまま,空っぽの合意だ.グローバルな炭素価格を決めるメカニズムもない.諸国は「自分で決めた目標」を約束したに過ぎない.それを守らなくても制裁はない.その各国の削減計画をすべて実現できても,目標の2度上昇には抑えられない.

こうした欠陥があっても,真面目に扱うべきなのか? 単なる紙切れに過ぎない?

1つ,この協定が達成したことは,すべての国をピア・レビューに従わせたことだ.すべての国が5年ごとに計画を見直す必要がある.報告・監視システムがあり,以前よりも透明で,包括的に行われる.特に,新興諸国や途上諸国も,すなわち中国が,このシステムに参加する.

それは約束を守らせるかもしれない.自分で決めた削減計画であり,その目標が重要であることを認めている.約束が守れなくても,どうでもいい,とは言えないだろう.ただし,次のアメリカ大統領が共和党員でないとしてだが.

この協定に懐疑的であるのは当然だ.4半世紀の交渉過程が,炭素の排出を抑える成果は何もなかった.1人当たりの排出量も増えている.もっと大規模に,もっと急いで,排出を削減することが必要になっている.成長を犠牲にしないとしたら(そして,人類はまだそれを犠牲にしないと思うが),産出量1単位当たりの炭素排出量は一層急激に削減されねばならない.

人類には,新しい投資と融資,それを促す誘因の変化が必要だ.

グローバルな炭素価格が必要になる.それは技術革新を促すだろう.科学者やエコノミストが6月に提案した,クリーン・エネルギーの技術革新を目指す「グローバルなアポロ計画」もその基盤になる.そのためにも,資本や人的資源を投入できなければならない.

問題は,それが燃料の価格を下げることだ.既存のエネルギー産業や利用者は強い政治的影響力を持っている.彼らは国家計画の目標をあいまいにしようとするだろう.アメリカのように,それが露骨に行われる国もある.

しかし,万里の道も一歩から,と老子も言ったではないか.人類の歩みは遅く,出遅れたことが心配だ.

Project Syndicate DEC 17, 2015

A Climate Agreement Powered by Hypocrisy

BJØRN LOMBORG

Project Syndicate DEC 17, 2015

A Fair, Efficient, and Feasible Climate Agreement

JEFFREY FRANKEL

その約束は信用できない,と批判することはできる.しかしパリ協定は,正しい方向への実行可能なステップを進めた点で,良いものであった.

各国は近い将来に排出を制限する約束をそれぞれ示した.それは監視され,将来の評価と見直しが行われる.遠い将来に向けて大げさな目標を示し,彼らがそれを達成するとは思えないような合意よりも,これははるかに望ましい.

合意は4つの点で評価できる.1.包括的な参加を実現した.188ヵ国が計画Intended Nationally Determined Contributions (INDCs)を示した.過去には,豊かな国だけが参加して削減目標を示した.それは変更が必要だった.発展途上諸国の排出量が最も速く増大していること,炭素排出産業が単に発展途上国に移転されるだけだ,という不安から,アメリカのような諸国が合意に参加しないこと,がその理由だ.

2.合意には,将来の評価と目標の見直しが含まれている.5年ごとに成果と目標を見直し,将来の発展が加味される.

3.監視,報告,計画進展の検証において透明性が増す.2023年から5年ごとに各国が報告する.アメリカとEUが中国とインドを説得した.

4.合意には,国際的なリンケージを促すメカニズムが含まれている.豊かな国の居住者が,貧しい国の排出削減に資金提供することを含む.豊かな国で既存の発電所を閉鎖するより,貧しい国で新しい石炭火力発電所を建設するほうが安い.INDCsの達成コストを下げることは重要だ.

1.5度やゼロの気温上昇に抑えることを望む者は,もっと野心的な目標を求める.しかし,目標と達成とは別問題だ.1.5度という目標を達成する経済コストは大きすぎるだろう.削減目標が35年先であるのは,計画を信用できないものにし,民間ビジネスの参加を阻む.

発展途上諸国の指導者には,1000億ドルという資金提供の数字が法的強制力のない合意であることが不満だろう.豊かな諸国は,例えば,水位の上昇で小さな島国が被る土地の喪失や損失に道義的な責任を感じる.しかし,法的な責任を要求されることは拒んだ.

豊かな国は過去の炭素排出が世界に有害であったことを否定できない.国内的な法システムの中であれば,例えば,洪水によって土地に損害を受けた者は,それを引き起こしたものに補償を要求できる.しかし,主権国家同士は,そのようなシステムの中にない.

1000億ドルの資金提供は論争を呼ぶものだ.発展途上諸国は豊かな諸国が支払わないだろう,少なくともキャッシュでは支払う気がない,と懸念する.豊かな諸国は,そのような「賠償金」が各地のエリートによって私物化されてしまう,と懸念する.どちらも正しい.そんな約束はしないほうがよい.

貧しい国には強い根拠がある.平均的なアメリカ人は,平均的なインド人の10倍も多くの炭素を排出している,ということだ.しかし,公平さを達成する最善の方法は,これを排出量の削減目標に反映させることだ.豊かな国は,貧しい国よりも多くの削減努力を求められる.すなわち,より早期に,基準よりも急激な削減を約束する.削減目標に経済発展を加味し,貧しい国が追加も削減を行ったことに国際リンケージ・メカニズムを通じて資金が提供される.

こうしてパリ協定は,公平さと効率性とを確保する.

VOX 17 December 2015

The road from Paris: International climate policy after the Paris agreement of 2015

Richard S J Tol

FP DECEMBER 17, 2015

The 19th-Century Savior for 21st-Century Climate Change

BY ANDREA WULF

FP DECEMBER 17, 2015

The Dirty Secret of the Paris Climate Deal

BY SIMON LEWIS


l  ポーランドの逆転

NYT DEC. 11, 2015

Why Poland Is Turning Away From the West

Ivan Krastev


l  イスラム国との戦い

FP DECEMBER 11, 2015

The Unbearable Lightness of America’s War Against the Islamic State

BY STEPHEN M. WALT

FT December 14, 2015

Isis Inc: Loot and taxes keep jihadi economy churning

Erika Solomon in Beirut and Sam Jones in London

FP DECEMBER 14, 2015

It’s Time to Tell the Truth About the Long War Against Terrorism

BY AARON DAVID MILLER

FP DECEMBER 15, 2015

The Billion-Dollar Caliphate

BY COLUM LYNCH, DAVID FRANCIS

Project Syndicate DEC 17, 2015

Restoring Yesterday's Hope for Tomorrow's World

KEMAL DERVIŞ


l  メルケルと難民

FT December 13, 2015

Person of the Year: Angela Merkel – The transformation of a cautious chancellor

Stefan Wagstyl

SPIEGEL ONLINE 12/15/2015

Reflecting on Refugees

A Plea for Measured Debate

An Editorial by Klaus Brinkbäumer


l  ドーハを超えて

FT December 13, 2015

Time to be honest, we are at the end of the line on Doha

Michael Froman


l  フリーランスの労働組合

NYT DEC. 13, 2015

Seattle Considers Measure to Let Uber and Lyft Drivers Unionize

By MIKE ISAAC, NICK WINGFIELD and NOAM SCHEIBER

Don Creeryは新しいオートマチック車に投資し,シアトルでフルタイムの運転手になった.LyftUberで利用者を求める起業家になったのだ.

しかし,それ以来,LyftUberは運賃を引き下げ,ドライバーを求める追加の支払いもやめた.今やCreery1日に10時間から12時間も働かないと以前の収入を得られない.

月曜日,シアトル市議会は,Creeryのようなフリーランスの,呼び出しで働く運転手たちに,集団交渉の権利を認めるかどうか,投票にかける.もし認められれば,Creeryはアメリカで最初の,オン・デマンド契約労働者たちの組合,the App-Based Drivers Association, or ABDAを結成することになるだろう.

FT December 14, 2015

Stable pay and perks dull equity pain in Silicon Valley

Sujeet Indap


l  日本の株価

FT December 15, 2015

Investors should look carefully at Japan

Henny Sender

今年、発展した諸国の中で日本だけが株式市場の明白な上昇を示した。日本の企業収益が改善し、株主の利益に目覚めたと信じたからだ。株価を重視し、コーポレート・ガバナンスも改革する意識が高まった。

しかし、高齢化する中で、保険会社は若者の契約数が減少するだろう。これ以上の円安がなければ、企業の収益は今後の見込みを維持できない。


l  スティグリッツ

Project Syndicate DEC 15, 2015

Stiglitz’s Sticky Prices

KAUSHIK BASU

スティグリッツは気候状態で失業が存在することを説明した.価格が硬直的になることは,賃金や金利について言える.彼はIMFの主任エコノミストとして,IMFの東アジア融資と介入について論争し,そのすべてを改革した.そして今,連銀の議長イエレンにも影響している.


l  移民不安

VOX 15 December 2015

Immigration fears and policy uncertainty

Scott Ross Baker, Nicholas Bloom, Steven J. Davis


l  クルーズとルビオ

NYT DEC. 15, 2015

Is It Ted Cruz’s Party — Or Marco Rubio’s?

Emma Roller Emma Roller

FP DECEMBER 16, 2015

Ted Cruz’s Un-American ‘America First’ Strategy

BY DAVID MILNE


l  イスラエルと暗殺

NYT DEC. 17, 2015

The Assassination in Israel That Worked

Roger Cohen


l  贈り物

NYT DEC. 17, 2015

Looking for the Perfect Gift? Social Science Can Help

Arthur C. Brooks


l  プーチン

Bloomberg DEC 17, 2015

Putin, Up Close and Personal

By Leonid Bershidsky

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The Economist November 28th 2015

Clear thinking needed

Special Report CLIMATE CHANGE: Hot and Bothered

Shanxi province: King Coal’s misrule

Refugees in winter: Icy reception

Charlemagne: A continent like Belgium

From dictatorship to democracy: The road less travelled

(コメント) 気候変動に関する考察が興味深いです.これほど市場システムに不向きな問題はない,と思いますが,ある意味では,どんな問題も市場化されてきたのです.気候変動がより困難であるとしても,価格や投資,生産構造の転換,関税など,市場を通じて参加者の反応を変えることができます.

難民,ベルギー,ミャンマーの記事も刺激的です.

The Economist December 5th 2015

Poland: Europe’s new headache

Japan’s criminal-justice system: Extractor, few fans

Climate change: Raise the green lanterns

Lebanon: 546 days without a president

Bosnia 20 years on: Dating Dayton

Free exchange: The best is the enemy of the green

(コメント) 日本の犯罪や司法に関して,英語圏あるいは欧米が批判的である,とは思いましたが,この記事は「自白」に基づく捜査・裁判や,囚人たちの抑圧的な生活を,根本的な人権無視として描いています.

気候変動に関する中国社会や指導部の変化,炭素税の導入に反対する勢力を抑える政治の改造手段を議論しています.

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IPEの想像力 12/21/15

リビア,シリア,ソマリアだけでなく,ボスニア,ベルギー,レバノンでも,国家は深刻な機能不全を示しているようです.デイトン合意で停戦を実現した後,旧ユーゴスラビアの各国はボスニアの中に勢力を維持し,内戦再発を恐れることで占領や政治システムを温存しました.ベルギーやレバノンでは,政府が成立しないまま,市民たちの基本的社会サービスにも問題が深刻になっている,というのです.・・・なんだろう,これは?

クリスマスでも,土地に棲む神様の違いは,その住民を苦しめているようです.

ポーランドの民主化を称賛し、アラブの春に歓喜した者たちは、その後の変化に圧倒され,現状を受け入れることができないと思います.軍事政権が選挙で勝った民主化運動に権力を移譲するはずはない,という指摘を読むとき,ミャンマーの民主化についても強い不安を感じます。

The Economistの記事は,ミャンマーの民主化について助言しています.

l  ロシアやタイは,新しく生まれた民主主義が容易に生き残れないことを示す.

l  ブラジルやメキシコ(そしてポーランド!)が示したように,どれほど制限された選挙でも,それは民主化に向けた動きを刺激する.

l  南アフリカやスペインと同じように,ミャンマーの軍部も憲法を操作して民主化を成業できると考えた.それは部分的な改革を受け入れる前提であった.

l  改革を阻むことは,下からの蜂起を呼ぶことになる.そして,暴力はさらに大きな暴力を呼ぶ.平和的な運動が市民の参加を可能にする.

l  体制側と批判勢力との対話を可能にする制度が重要だ.ミャンマーのNLDと軍部と,両方から信頼される機関を持っていた.

l  隣国の友好関係や支援があることで,改革が進む.

l  反政府側の示す恩赦・免責が体制に柔軟な姿勢を促す.ただし,それが改革後に「裏の国家」を残存させる恐れもある.

l  東ドイツの秘密警察は徹底的に排除された.しかし,イラクのバース党排除が示すように,旧体制派を過度に排除すれば,政府の機能が失われる.

l  改革の成果を,市民たちに早期に届けることが重要だ.

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世界政治は民主化されるのか? 気候変動サミットに関して、アメリカと中国、インドの動きは興味深い。P.クルーグマンとFPの記事、The Economistを読みました.

気候変動を抑えるためには,アメリカと中国が行動しなければなりません.アメリカは共和党が多数を占める議会がオバマのあらゆる提案を破壊します.中国やインドも,発展途上国の利益を,気候変動よりも重視します.

しかし,

アメリカの共和党員たちは気候変動を否定するか無視し、たとえ炭素排出量を減らしても中国が増やすだけだ、と主張していました。しかし、中国の政治は、大気汚染で都市の市民たち窒息するまで苦しめています。子供たちを守るため、彼らが政府に反抗することを、指導者たちは恐れているでしょう。

共和党員たちに反対は、オバマ政権を嫌うイデオロギー的なもの、大統領選挙にかかわる「文化戦争」の一部です。そうであれば、オバマ政権は合意内容を議会が認めるような弱い合意に抑え、しかし、合意に関する国際的な監視や中国の参加は成果にできるでしょう。さらに気候変動の抑制に向けた技術革新やクリーン・エネルギーの世界市場創出には、党派を超えて賛成するはずです。

なぜ世界炭素価格や炭素税は実現しないのか?  The Economistは、炭素税によって損失を強いられる既存エネルギー産業の組織された少数者と、新しい受益者の分散した、不確定な性格を指摘します。反対派の政治力を嘆くより、技術革新や自由化の政治経済から学ぶべきです。反対派の損失に対する補償メカニズム、新しい投資分野への移行促進、また、外国における規制逃れを防ぎ、配宿削減への転換を促す保護関税の導入、を検討するように求めています。

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パリ講和会議は,かつて第1次世界大戦後にドイツに対する賠償金を求めてヨーロッパ経済と政治秩序の崩壊を導きました.J.M.ケインズはイギリス代表団を離脱し,会議に参加した政治家たちを厳しく批判したことで有名になりました.

2酸化炭素の排出と温暖化によって,世界全体に甚大な被害を与え,貧しい諸国の成長を制限しようとする豊かな諸国に対して,貧しい諸国が「賠償金」を求めたパリ講和会議が出した結論は興味深いものです.M.ウルフとJ.フランケルの前向きの評価はそれをよく示しています.

すべての国は、専門家の国際監視委員会によって、排出目標の達成に向けたプログラムとその成果を定期的に評価されます。グローバルなリスクに対する認識を共有し、それに貢献するガバナンスの競争が意識されるようになりました。そして、フリー・ライドを抑える圧力が、豊かな国も、貧しい国も参加するシステムを守る、諸大国の威信によって強められるのです。

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メリー,クリスマス,・・・ブッダ,ムハマド,孔子,空海,・・・そして,あなたへ.

万物があるべきところにあり,なすべきことがなされたとき,世界のどこでも,子どもたちが楽しみにするような祝日を迎えることができます.敬う聖人たちの中で,誰が特別に輝くこともない,子どもたちの歓声を穏やかに楽しむ、そんな時代が来るように.

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