IPEの果樹園2015

今週のReview

11/30-12/5

 *****************************

気候変動に関する国際会議 ・・・シリア内戦とイスラム国家 ・・・ロボットの未来 ・・・金融の未来 ・・・中国の貿易と投資 ・・・ヨーロッパの自由移動 ・・・経済再建と政府の内外の模索 ・・・トルコのロシア機撃墜 ・・・アメリカの感謝祭

 [長いReview]

******************************

主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


l  気候変動に関する国際会議

The Guardian, Friday 20 November 2015

What’s really at stake at the Paris climate conference now marches are banned

Naomi Klein

フランスはテロの後、治安を理由に集会やデモを禁止した。環境問題を議論する国連の会議があっても、本当に環境問題で苦しむ人々の発言はわずかに制限されている。ふつうは、まったく無視されている。気候変動の目標が彼らの生活を破壊しても、抗議の声を上げることができない。

テロだけではなく、これも暴力だ。環境破壊はゆっくりと、あるいは、急激に人々の命を奪う。温暖化ガスの排出を抑えようとしない企業や政府は、その責任を果たそうとしない。地球上の、貧しく、脆弱な人々の生存よりも、エリートたちは生活の豊かさや経済安全保障を重視する。

The Guardian, Sunday 22 November 2015

Yes, the Paris climate change conference can save the planet

Ed Miliband

Project Syndicate NOV 25, 2015

The Arc of Climate Justice

SHERRY REHMAN

パキスタンが排出する温暖化ガスは1%にも満たないが、環境破壊によるコストは甚大だ。

FT November 26, 2015

India is right to resist the west’s carbon imperialism

Arvind Subramanian

気候変動を抑えるために、先進諸国は石炭からの離脱を国際的に要請している。しかし、それはインドや他の貧しい諸国にとって不安な主張だ。アメリカなどは、国際開発銀行で、化石燃料を利用する途上諸国のプロジェクトに反対投票する。その一方で、アメリカはインドよりも35%も多くの石炭を産出している。

人口の約25%が電力を利用できない、インドのような国にとって、こうしたやり方は「石炭帝国主義」である。先進諸国のそのような要求は、インドや他の発展途上諸国に惨禍をもたらすだろう。

石炭を止めるのではなく、インドにとって唯一の道は、石炭利用の必要性と環境へのダメージ最小化とを組み合わす、効果的な技術、「クリーンでグリーンな石炭」を発見することだ。

インドはすでに再生可能エネルギーへの転換を促すため、炭素税を導入し、炭素の排出をマイナスからプラスの価格に反映させている。対照的に、多くの先進諸国は気候変動の原因であることを無視して、単に、消費者に負担を求めている。

再生可能エネルギーへの転換は、内外の政治にかかわる問題だ。インドの都市は汚染の監視を行い、社会的コストを政策に反映するようにしている。また、再生可能エネルギーの技術開発には、かつて原子爆弾を開発したマンハッタン計画のような、国家プロジェクトを、しかも主要諸国が集まって行うべきだ。

インドにとって最も安価なエネルギーである石炭から離脱するのではない、気候変動の原因に対策を向けるべきだ。


l  シリア内戦

The Guardian, Friday 20 November 2015

How to solve the Syrian crisis – the view from around the world

ロシア ・・・イスラム国家との戦いで、ロシアは国際政治に復活し、欠かせない大国になった。

US ・・・ロシアとイランは、ISISとの戦いを理由に、オバマ大統領がアサド政権の存続を受け入れざるを得ないようにした。アメリカが住民の安全と地域の軍を再建する指導力を発揮することだ。

イスラエル ・・・シリアが震源となって地域を不安定化している。ISISを倒すため、西側はクルド人を支援するべきだ。しかし、イランとシーア派の影響力拡大が心配だ。

イラン ・・・体制転換を唱える外部からの介入は不安定化を強めるだけだ。アメリカとイスラエルは共謀してアサド政権を打倒しようとしている。イランはアサド政権擁護から立場を変えた。

トルコ ・・・エルドアンはアサドを支持し、他方で、反政府勢力による体制転換も支持している。トルコの築いた地域秩序はシリアで失敗した。

フランス ・・・オランドはISISを倒すためトルコやロシアと協力する立場に変わった。しかし、シリア政策では国内が分裂している。

FT November 20, 2015

François Hollande, France’s unlikely commander-in-chief

Anne-Sylvaine Chassany

Project Syndicate NOV 20, 2015

Syria’s Two Wars

CHRISTOPHER R. HILL

シリアでは2つの戦争が起きている。1つは、反政府勢力との戦争であり、外交的に解決するしかない。もう1つは、ISISとの戦争であり、まったく違うアプローチが必要だ。

デイトン合意のように、国際的なグループが交渉枠組みを示して、前者の内戦を解決する。それから、国際的な連携でISISを撲滅できるはずだ。

Project Syndicate NOV 20, 2015

The Right Fight Against Terrorism

CHRIS PATTEN

文明を否定するISISのテロ攻撃を終わらせるには、協力して軍事的に敗退させるしかない。ISISは社会を分断しようとしている。国内のポピュリストたちのように、われわれ自身の市民的な価値を失ってはならない。

外交は重要だ。トルコを加え、サウジとイランとの争いと宗派対立を鎮静化し、過渡的なアサド体制の容認とロシアの参加も必要だ。地上においてISISを攻撃するのは近隣諸国とクルド人であるが、西側の支援を強化することだ。

アフガニスタンとイラクの失敗は宥和策を支持しない。NATOにとどまらず、ロシアと中国も参加する国連安保理を動かす方がよい。

NYT NOV. 20, 2015

Mrs. Clinton’s Syria Strategy

By THE EDITORIAL BOARD

オバマや他の民主党候補者よりタカ派である。飛行禁止空域の設定を支持する。ロシアも支持するような形を考えるが、ありそうにない。シリアの政治体制を変えるより、ISISとの戦いを優先する。

NYT NOV. 20, 2015

Hillary Clinton Takes On ISIS

David Brooks

NYT NOV. 20, 2015

The Farce Awakens

Paul Krugman

FP NOVEMBER 20, 2015

The Cold Realism of the Post-Paris War on Terror

BY EMILE SIMPSON

ジョージ・W・ブッシュと同じように、オランド大統領はフランスが戦争状態にあると宣言した。それは西側にテロとの戦いを再確認するが、同時に、911後の失敗を示すものだ。ネオコンによる体制転換は完全に放棄された。

パリのテロ攻撃は戦略的な冷静さを求めた。タカ派のイスラム原理主義者に対して外交的な解決策はない。ISISとの戦いに勝つには、シリアのアサド体制とその軍隊、イラン系の武装勢力が必要だ。ロシアとも協力しなければならない。

パリ攻撃はヨーロッパの難民危機と並行して起きた。ヨーロッパに及ぼす脅威は、ギリシャ債務危機を子供の火遊び程度にするものだ。

1に、911の犠牲者に戻って、アメリカはシリア政策を転換するだろう。テロとの戦いを、自由(社会)を促進するための支援の一部にすることはできない。アメリカ議会は、エジプト、サウジアラビア、イラクの人権弾圧を無視した。自由という目標は、常に、偽善であった。

2に、体制転換で民主的な政府や人道的な改善をもたらす、という考えは間違っている。イラクでは、2兆ドルを失い、4000人の米兵が死んだ。20万人のイラク人が死んだのに、今ではイランの傀儡政権が成立している。リビアでも単なるカオスとなり、政府はイスラム主義の強硬派が支配している。

パリ攻撃後の軍事介入は、911後とは逆に、体制転換ではなく、脆弱な政府を支援するために行われる。それは民主化を前提するものでもない。

最後に、イスラム世界で脆弱な国家に生じたギャップを埋めるのは、イスラム主義の強硬派である、と、もはやわれわれは疑わない。情報革命はどこでも聖戦主義者のネットワークを拡大している。民主化の手段となるはずの国家は、ラディカルなイスラム主義者たちにハイジャックされた。国際システムを構築するとしたら、それは強固な国民国家によるしかない。どれほど人権が問題となる国家であったとしても、その後の非国家・武装集団が支配する世界は一層の野蛮である。

国家主権による国際システムの原理は、1648年のウェストファリア条約にさかのぼる。1572年、サン・バルテルミの虐殺は、ヨーロッパにおける100年の宗教対立が起こした殺戮の1つでしかない。諸国は互いに内政に干渉し、宗教を支配しようとした。

カソリックの諸国にとって、プロテスタントのエリザベス1世は当時のサダム・フセインであった。彼女は法王ピウス5世によって、イングランド女王を装う者であり、犯罪者として破門された。そして1588年、スペインのフェリペ2世が無敵艦隊を送って体制転換を試みた。このイデオロギー的な分断と革命そして反革命のネットワークは、ドイツとオランダがその暴力の震源であった。

ドイツだけで、16世紀半ばからの宗教戦争は人口の3分の1以上を殺戮した。ウェストファリアの不介入システムによって、ヨーロッパは「永遠の戦争」から抜け出せた。国家を超える上位の正当化を宗教に求めることを放棄して、国家の主権を確立したからだ。トマス・ホッブズは、ウェストファリアから3年後、近代的な国家概念を示すリヴァイアサンを出版した。

1990年代前半から、国家を攻撃することが流行になった。リベラル派の介入主義者たちは「住民を保護する責任」として軍事介入を支持した。他方、ネオコンは民主主義への体制転換を支持した。どちらも間違っていた。パリ攻撃は、国家を軽視した者たちへの報いであった。

Bloomberg NOV 20, 2015

Preventing Terrorism Through Markets

By Stephen L. Carter

NYT NOV. 20, 2015

What the Saudis Miss When They Focus on Iran

By CAROL GIACOMO

NYT NOV. 20, 2015

The Civilized and the Damned

Timothy Egan

テロ攻撃は「文明の衝突」ではない。テロリストたちはいかなる文明も代表していない。彼らは文明を否定する。文化も、若さも、生命も、歴史も、記憶も否定し、祈る者に自爆テロを命じる。

しかし、アメリカの一部の政治家たちは、恐怖をあおって名誉ある文明を否定する。フランスは数百万のイスラム教徒が憎悪と孤立の中で暮らしている。しかし、オランド大統領はシリア難民を拒まない。イスラム国の野蛮さから逃れた人々だから。アメリカで新しい生活を求める難民を拒む政治家、キリスト教以外の侵攻を拒むテストを求める政治家、そんな政治家がアメリカにいる。

イスラム国の性で住居を失った人々以上に、攻撃用ライフルで武装した自国の凶器の方が危険である、と知るべきだ。市場で銃器を買う者が精神不安定の症状を示すなら、スクリーンするべきだ。

FP NOVEMBER 20, 2015

The Threat Is Already Inside

BY ROSA BROOKS

テロ攻撃は今後もあるだろう。われわれはテロ攻撃を、衝撃的、異常な事件としてではなく、テロリストたちを「敗退」させるより、継続する問題として管理するべきだ。

政治家たちはそのように言うことを好まないが、われわれは政治家ではないから、苦痛に満ちた真実を語ろう。

1.犯人を排除することはできない。・・・アメリカの海岸線は95000マイルもある。イラクやシリアからトルコまで歩くことができ、トルコからブルガリアへも歩ける。アメリカの空港には毎年8億人が、ヨーロッパの空港には毎年17億人が到着する。十分に高い壁は築けないし、十分な国境警備員を配置することもできない。

2.脅威はすでに国内に存在する。・・・2005年のロンドン地下鉄も、ボストン・マラソンも、パリのテロ攻撃も、犯人たちの多くは自国民や国内居住者であった。すべての国に不満を抱く若者がおり、インターネットで不満を正当化するイデオロギーが手に入る。

3.諜報機関や検閲・監視でテロ攻撃を排除できない。・・・さらに多くの衛星画像やドローンによる撮影、e-mails、電話、テキストの情報収集・盗聴を行っても、重要な情報をノイズから分離することはむつかしい。アメリカのNSAは毎日数十億件の情報をチェックしている、という。予防することは難しく、良質の操作、社会の警戒態勢、犯人の失敗がある時だけ成功する。

4.イスラム国家を敗退させても、テロ攻撃はなくならない。・・・イスラム国家は最悪のテロ組織ではない。それはナイジェリアのボコハラムだ。かつて、多くのテロ組織があった。イスラム世界だけではない。アメリカの極右過激派はもっと多くの殺りくを行っている。2011年、ノルウェーでは1人の極右テロリストが77人を殺害した。2012年、仏教徒の武装集団が、ビルマの村で、28人の子供を含む70人以上を殺害した。

5.統計的には、テロ攻撃が他の犠牲者に比べて小さな問題である。・・・2000年から2014年、the 2015 Global Terrorism Indexによれば、テロ犠牲者のわずか2.6%だけが西側諸国の居住者であった。銃の暴力を別にすれば、アメリカ人は西側諸国の外(Iraq, Libya, or Syria — or Nigeria, Afghanistan, El Salvador, Honduras, or South Sudan)で暮らす人々より長生きし、病気や暴力で死ぬことが少ない。

6.しかし油断はできない。事態は悪化するだろう。・・・中東の政治、エスニック、宗教対立が鎮静化するには時間がかかる。西側の軍事介入が事態を改善する見込みもあまりない。ますます多くの難民が西側に向かうが、その一部は難民を装っているだけだろう。気候変動が現在の資源をめぐる紛争を悪化させ、中東が気温の上昇で住めなくなる時、どうなるだろうか?

7.西側は行動に向けた正しい計画を持たない。・・・パリ攻撃を受けて、飽食で、幸せな、過度の特権的生活を享受する西側の住民たちは、避難場所と平和を求める数十万人のイスラム教徒家族の入国を拒む。そのごく一部に過激派が混じっているかもしれないから。こうしてイスラム主義の武装勢力はさらに有利な兵員募集を行える。あるいは欧米諸国は大規模な空爆や占領を行うだろう。それには、われわれが望まない、意図しないような人々の犠牲が増加する。また、イスラム国家をシリアから追放しても、そこにはアサド政権の支配が拡大する。しかし、彼らがイスラム国家の初期の拡大を助けたのだ。

8.テロリズムのリスクや打撃を抑制する。・・・同じことの繰り返しは望まない。テロ攻撃のリスクと打撃を抑える賢明な政策が必要だ。穏健派のイスラム教徒を支援する。テロ組織の勧誘活動を禁止する。疑わしい活動を通報し、若者たちへの対応を工夫する。それによりテロ活動はより困難になり、その実行者たちが報われることもなくなる。

9.そのために政治論争では、もっとテロ対策に関する異なったアプローチのコスト・ベネフィットを正直に告げるべきだ。・・・すべてのアプローチには、財源、人員、政治に関してコストがかかる。それは他の分野で利用できた資源を奪うことになる。空港のセキュリティー対策がその費用に見合った効果を上げているか、正確な情報を基にした分析はない。犯罪、病気、交通事故、などと同様、情緒に流されず、冷静に考えることだ。

10.テロリズムに有利な条件を与えない。・・・国家や非国家組織がテロを組織してきた。それは安価で、容易に、効果を発揮するからだ。たとえば、911テロはアメリカに数十億ドルの損害を与え、株式市場を閉鎖し、空港を利用できなくして、アフガニスタンとイランにおける多額の費用を伴う戦争に導いた。対応によってテロリストの利益を抑えることができる。過剰反応を止めることだ。すべての犠牲者に弔意を示し、さらなるテロを防ぎ、犯人たちを捕らえることに十分な努力を払うが、テロ攻撃は特別でも、異常でもない。

FT November 22, 2015

How to address the cause, not the symptoms, of Isis

Philip Gordon

FT November 22, 2015

Paris attacks highlight need to end the folly of a borderless Europe

Wolfgang Munchau

The Guardian, Monday 23 November 2015

My five tests for backing military action in Syria

Dan Jarvis

じわじわと介入主義に向かうのではなく、労働党は明確な方針を持つべきだ。

1.軍事介入がISISの敗退を早めること。2.外交的な努力と組み合わされること。3.経済的なパワーを駆使すること。4.紛争後の再建を事前に計画すること。5.過激主義が国内コミュニティーに浸透するのを防ぐこと。

FT November 23, 2015

A case for rapprochement with Russia

Gideon Rachman

オバマとプーチンは国連で握手し、ロシア軍はシリア空爆を「パリのために」という言葉で遂行した。国際政治に変化が起きている。

外交においては優先順位が重要だ。パリのテロ攻撃がそれを変えた。ロシアのウクライナ介入に自制の動きがある。西側もロシアも、シリアの安定化に向けたアイデアを独占できない。

アサドの反政府派に対する軍事力行使を非難する西側の主張は正しいが、アサド体制の崩壊が過激派によるシリア占領を招くというロシアの懸念も正当だ。

FT November 23, 2015

We feel Europe’s fear — and need its help

Jamal Khashoggi

NYT NOV. 23, 2015

Putin's Emergency Politics

Maxim Trudolyubov

ロシアは今や、事実上、西側の同盟国である。パリのテロ攻撃の前には、国際政治から排除されたパリアであった。

プーチンは非常事態を操作する達人である。それが現実のものであれ、空想上のものであれ、非常事態を利用して欲しいものを手に入れる。その本質は、非常事態への対応を常態化して、政治、法律、市場の自由よりも、治安を重視する。

19999月、当時、首相であったプーチンはチェチェンの分離独立主義者たちと戦争を開始し、「どこであれテロリストを追及し、それがトイレであれば、奴らを氷詰めにする」と誓った。

その戦争が彼を指導者にした。プーチンの目標は、チェチェンでも、シリアでも、反抗的な地域で、忠実な武装集団にフリーハンドを与えて鎮圧させることだ。その集団がどれほど野蛮であっても、聖戦主義者、分離主義者、対抗者を粉砕して安定性を得られれば良い。

プーチンは、現在、世界のどの指導者よりも自分こそがテロリズムを粉砕する専門家である、と自認しているだろう。西側のISIS攻撃にプーチンとの同盟は欠かせない。アメリカは、フランスとロシアの協力が進むことを警戒しなければならない。プーチンの支援を求めたオランドは、クリミア併合を容認し、ウクライナに関してもプーチンが譲歩を求めてくることを覚悟するだろう。

プーチンがウクライナに求めているものは明白だ。憲法改正、ロシアに親しい政権樹立のための選挙、ロシアの影響圏に組み込まれた和平協定、である。

NYT NOV. 24, 2015

Hollande’s War on Liberties

By SYLVAIN CYPEL

NYT NOV. 24, 2015

John Bolton: To Defeat ISIS, Create a Sunni State

By JOHN R. BOLTON

オバマ大統領の現在の政策は戦略的な視点を欠き、基本的問題に対する答えがない。すなわち、イスラム国家の敗退後、中東はどうなるのか?

われわれは明確な考えをNATO諸国、その他と、共有する必要がある。どのような作戦を計画するにも、この問題を解くことが決定的に重要だ。戦略は下から積み上げるものではない。究極の目的があって、戦術が定義できる。

イスラム国家は旧オスマン帝国の領域から、アサド大統領の体制とイランが支配的なイラク政府に反対する、スンニ派の活動から現れた新しい政治体である。同じく、独自のクルド人の国家が、事実上、誕生しつつある。

こうした状況でイスラム国家を打倒し、その地域にアサド体制が再建されることも、イランの傀儡であるイラク政権が支配を再生することも、実行できないし、望ましくもない。むしろ第1次世界大戦後の地図を描き直して、アメリカは新しい、スンニ派国家の独立を助けるべきだ。

「スンニスタン」は石油産出国として経済的なパワーがあり、アサド政権とバクダッドに対抗する力を持つだろう。湾岸諸国の支配者たちは自国の安全保障についてイスラム過激派の脅威に直面しており、この新国家を財政支援するだろう。トルコも、NATO加盟国であり、南部の安定化を支持して、新国家についても容認するだろう。

独立国家としてのクルディスタンは、このアプローチを強化する。もはや彼らはバクダッドにも、ダマスカスにも、抑えられない力をつけた。トルコとの境界地帯で深刻な問題を抱えるが、クルディスタンの独立はアメリカの支持によって国際的な承認を得るだろう。

スンニ派国家の構想は、ロシアとイランが支持する構想に厳しく対抗する。彼らの目標は、アメリカとイスラエル、アラブの友好諸国の利害と根本的に対立した、旧国境に従ったシリアとイラクの再建である。したがって、イスラム国家に対するアメリカとロシアの同盟は、軽率であり、望ましくない。

新しいスンニ派国家を樹立する構想だけが、スンニ派住民にイスラム国家への支持を失わせるだろう。それは、長期的にも、地域秩序の安定化に役立つ。「スンニスタン」はスイスではない。これは民主主義の支援ではなく、厳粛な、現実政治である。

FP NOVEMBER 24, 2015

Sympathy for the Syrian Devil

BY LEELA JACINTO

YaleGlobal, 24 November 2015

Double Jeopardy: Russia Strives to Reintegrate With the West

Ashkhen Kazaryan

FT November 25, 2015

We are all Eurasian now

Bruno Maçães

FT November 25, 2015

Talk of a grand coalition against Isis is heroically optimistic

David Gardner in Beirut

FT November 25, 2015

Boots on the ground?

Sam Jones and Geoff Dyer

NYT NOV. 25, 2015

Letter From Saudi Arabia

Thomas L. Friedman

FT November 26, 2015

How not to deal with a humbled Putin

Philip Stephens

FP NOVEMBER 25, 2015

Our Reaction to Terrorism Is More Dangerous Than the Terrorists

BY DAVID ROTHKOPF

ドナルド・トランプの発言は、彼の所有するビルの1つで、イスラム国家のテロリストが自爆ベストを身に着け、そのロビーで自爆することを大いに促しただろう。トランプが、アメリカ中のイスラム教徒を(潜在的なテロリストかその仲間として)データベース化すること、あるいは、ツインタワーの崩壊を祝うニュージャージーのイスラム教徒たちが何千人もいた、という病的な幻想を振りまくことは、デマゴギーで憎悪を煽るものである。それは、堕落した人々に打撃を与えようとした過激主義のまさに願った反応である。それはアメリカ人の不安を直撃し、世界中のイスラム教徒から嫌われるものだ。しかも、アメリカの2大政党の1つが指導的な大統領候補者として彼とその言動を受け入れている事実は、そのような考えが彼だけのものではなく、アメリカ国民の多数に広がる見解であると示唆するものだ。

FP NOVEMBER 25, 2015

Will Paris Attacks Breathe New Life Into London’s Special Relationship With the U.S.?

BY COLUM LYNCH


後半へ続く)