前半から続く)

FT November 16, 2015

Insecurity may change the state and those who run it

Janan Ganesh

リバイアサンはいつも間違ったたとえである。国家は自分の心を持った怪物ではない。少なくとも民主主義の下では、それは我々の好みや関心を反映する。われわれは文字通り、自分たちにふさわしい政府を得るのだ。

国家がその規模や機能を変えるのは、まさに社会がそう望むときである。福祉の充実は工業時代の労働者階級がそれを求めたからであり、防衛予算が高い比率を維持したのは生存の危機を感じる時代であったからだ。安全保障の懸念が後退したとき、イギリスはその平和の配当を減税や国民医療保険に支出した。需要が供給を決定する。その逆ではない。

911はイギリス政治を変えなかったが、パリで起きたテロ攻撃でこの変曲点を超えたかもしれない。国家は再びその発生時の機能、安全保障、に戻るのだ。

1990年代や2000年代の選挙は、分配を争った。政府の支出経済と減税策だ。こうした財政合戦は、テクノクラートや元専門家のプロフェッショナルを新しい支配階級にした。それがデービッド・キャメロンの世代だ。しかし、今後、首相候補者のテレビ討論では、4月のように外交や安全保障にまるで触れないことなどありえないだろう。

公共の議論において最も立場を分極化するテーマは、近年ずっと、ケインズ派に敵対する財政緊縮策であった。将来の前線は、海外のテロ集団に対して積極的な軍事行動を主張する介入主義者と、安全保障はイギリスの要塞化にあると信じる孤立主義者との間にできる。

最も顕著な違いは、われわれが国家の指導者に望むイメージに示されている。まだプロの政府顧問たちの時代は終わっていないかもしれないが、安全保障の喪失という雰囲気はそれを強いる。有権者たちはもっと高齢の、軍服を着た経歴を持つ人物を好むだろう。

選挙において重要なことは、有権者は時代の注目テーマに対応した、ガッツのある人物を求める、ということだ。問題が経済学から安全保障に変わった以上、政治も変わるだろう。政治は、プロの政治専門家たちに任せるには、重要すぎる。

FT November 16, 2015

A new normal emerges in a Europe infected by Arab wars

Roula Khalaf

ヨーロッパに現れた2つのニュー・ノーマルは、平和な暮らしを求めて流れ出す数万の難民たちであり、それとは逆方向に、ISISの聖戦に加わるためシリアに向かう愚かな若者たちである。

SPIEGEL ONLINE 11/16/2015

The Brussels Connection

Why Belgium Keeps Popping Up in Terror Attacks

By Markus Becker and Peter Müller in Brussels

SPIEGEL ONLINE 11/16/2015

Terror in Europe

The Need to Protect Our Freedom

A Commentary by Florian Harms

Project Syndicate NOV 16, 2015

After Paris

RICHARD N. HAASS

Project Syndicate NOV 16, 2015

We Are At War

DOMINIQUE MOISI

Project Syndicate NOV 16, 2015

The Decline of the West Revisited

ROBERT SKIDELSKY

パリのテロ事件に寄せて,西側の衰退を考える.イスラム主義のテロリズムは,世界人口の23%16億人が住む,かつて世界で最も平和な地域であったイスラム圏が,最も暴力的な地域に変わった.それはオスマン帝国,英仏の帝国を継承して,この地域に平和を維持するような安定した政治が生まれなかったことを意味する.

アメリカの介入も失敗であった.逆に,軍事力を持ちながら,それを使う意志を失うことも衰退を意味する.それと並行して起きた中国の台頭は,国際システムの分極化が進むことを予感させる.貿易のブロック化は,政治的なブロック化が進む世界で,保護主義や通貨価値の操作とともに生じるだろう.

グローバリゼーションや機械化に対する政治家たちの指導力は,安全保障や気候変動に対する不安が高まることで,それを受け入れるのがますます難しくなる.世界貿易は成長の加速ではなく,減速への圧力に変わる.

Project Syndicate NOV 16, 2015

The Western Roots of Anti-Western Terror

BRAHMA CHELLANEY

Project Syndicate NOV 16, 2015

Terrorism and Trust

LUCY P. MARCUS

NYT NOV. 16, 2015

Fearing Fear Itself

Paul Krugman

テロ攻撃に対して、それを戦争と呼ぶことは正しい対応ではない。これは恐怖をばらまく組織的な企てであって、ブッシュ大統領が述べたような、西側文明を滅ぼす企てではない。戦争とテロ攻撃との区別を失わせることは、テロリストが望んだように、その組織を現実以上に大きく見せ、彼らの大義をもっともらしくするだけだ。

フランス経済はシリア経済の20倍以上あり、ISISがフランスを征服することはあり得ない。テロ攻撃の危険性は、その対応を間違うことにある。

彼らを宥和することは間違いだ。たとえば、フランスが国際的なISISに対する軍事連携から抜けることは、それでISISの次のテロ対象にならないと希望するのであれば、間違いだ。実際、西側の帝国主義がすべての悪の根源であり、軍事介入が中東のテロリズムを広めた、と批判する者はいる。アメリカでは、宥和策という非難がリベラル派に向けられる。それは彼らが保守派のような強硬な表現を使用しないからだ。

より大きな間違いは、テロのすべての脅威を取り除かねばならない、という主張が事態を悪化させることだ。現実の世界はあまりにも複雑であり、たとえ超大国でもすべてのテロを避けることはできない。ラムズフェルドは、テロ攻撃をイラク侵攻の口実に利用した。

最後に、テロ攻撃で他の重要な諸問題から関心を失うことは間違いだ。オバマ大統領が、気候変動は我々が直面する最大の脅威だ、と言ったとき、彼はまったく正しかった。テロが人類の文明を滅ぼすことはないが、気候変動にはそれができる。

テロ攻撃に対する正しい反応は、様々な難しいトレード・オフ(プライヴぁシー、移動の自由、軍事費、など)に対する慎重な判断による、多方面にわたる対策を実行することだろう。それはパリのテロ攻撃が起きる前から変わらないし、この事件があったからと言って、わずかにバランスが変化するだけで、大きく変わることはないだろう。

あなたが記憶しているように、911もそうであった。

NYT NOV. 16, 2015

The Attacks in Paris Reveal the Strategic Limits of ISIS

By OLIVIER ROY

NYT NOVEMBER 16, 2015

Europe’s Darkened Future

By ROSS DOUTHAT

NYT NOV. 16, 2015

Paris and Europe’s Anti-Refugee Backlash

Anna Sauerbrey

FP NOVEMBER 16, 2015

How the Islamic State Declared War on the World

BY WILL MCCANTS

イスラム国家は、かつてない規模で、グローバルにテロ攻撃を支援する準国家機構になった。

FP NOVEMBER 16, 2015

Paris, City of Violence

BY DAVID A. BELL

FP NOVEMBER 16, 2015

Don’t Give ISIS What It Wants

BY STEPHEN M. WALT

こうした大きな悲劇に対する政治や社会の反応は良く知られている。だが、それらは殺戮者が望んだことである。彼らの大義に関心を集め、その過激な目的を実現する手助けとなる。

最も重要なことは、怒りに翻弄され、非難し合うのではなく、落ち着いた決意、明晰な頭脳、思慮深い対応を維持することだ。効果的な対策のための5つの教訓を述べたい。

1.脅威を全体の中で考える: われわれがそれを許さない限り、テロ攻撃は都市や社会を変えない。さまざまな問題があるけれど、ヨーロッパは2度の大戦による殺戮を経ても、現在、豊かで、自由で、安全であり、歴史上のいかなる時より平等で、安定していることを、変えることはできない。テロ攻撃を受けた場所や都市が、その後に復興していることを見れば、それがよくわかる。テロリズムは弱者の武器である。

2100%の安全は保障できない: 過激派が無関係な他者を殺害し、自殺してしまうような事件を、完全に予防することはできない。可能な標的は多くあり、たとえロシアや中国のような強権的国家でも、大規模なテロ事件が起きた。パリ攻撃は21世紀の特徴であり続ける。

3.過激派を敗退させるには、その起源を理解することだ: 聖戦主義者の暴力はイスラム教が起源ではない。それは偏狭な、原理主義者による解釈に依拠した、少数派の政治運動である。しかしまた、アメリカやヨーロッパの行動と政策が無関係であると主張するのも間違いだ。アラブやイスラム世界の人々は、西側の政策に深い怒りを感じ、怨恨を抱いている。例えば西側は、さまざまなアラブの独裁者を支援したし、イスラエルがパレスチナ人を弾圧する野蛮な政策を支持してきた。西側は空爆や制裁を繰り返し、短期的な利益になると思えば、中東諸国に侵攻したのだ。外国の軍隊が同じことを自分たちに対して行うとしたら、われわれはどう反応するか、考えてみることだ。しかも、1度ではなく、多年にわたって。そして現代では、弱者の側が大国に対して、その本土でも反撃する条件がある。

4.イスラム国家は戦略を持って行動しており、それに屈してはならない: 彼らは怒りに駆られて、目的もなく行動しているのではない。イスラム国家は暴力を戦略的に利用している。最近の支配領域の減少、フランスを含む軍事的連携の広がりに対して、反撃しようとしている。その指導者たちは、イスラム国家に反対する側に、代償がともなうことを示したいのだ。彼らの長期的な戦略目標は、シリアとイラクで領土的支配を確立し、さらに、イスラム世界とそれ以外に向けて「カリフ国家」を拡大することである。イスラム教徒とその外の人々の間で、イデオロギー対立を煽ることは、中間的な人々を分裂させる。フランスなどの西側諸国がイスラム教徒を弾圧し、中東の混乱地域を占領することは、彼らの主張を証明し、自分たちをイスラム世界の守護者にする。イスラム国家の仕掛けた罠にかからず、その戦略をくじくことだ。

5.冷静に、行動を維持する: アメリカが15万人を駐留させてもイラクを安定化できなかった。たとえイスラム国家を軍事的に崩壊させても、組織の多くの中核人物は逃れ、新しいテロ集団が生まれるだろう。残された地域の混乱を終息させて、より正当な、実効的な政府を樹立することは、この地域に住む人々の問題である。侵攻した軍隊や、歴史的に多くの過ちを犯した西側が指導できることではない。

The Guardian, Tuesday 17 November 2015

We accept that Russian bombs can provoke a terror backlash. Ours can too

Mehdi Hasan

The Guardian, Tuesday 17 November 2015

Jihadism a symptom of western policy? That’s mangled history

Rafael Behr

The Guardian, Tuesday 17 November 2015

Terror can only succeed with our cooperation

Simon Jenkins

The Guardian, Tuesday 17 November 2015

The Guardian view on defeating Isis: winning hearts and minds

Editorial

FT November 17, 2015

How to disown ‘Islamist’ terrorism

HA Hellyer

FT November 17, 2015

Two different worlds meet in a neighbourhood mosque

Adam Thomson — Paris

SPIEGEL ONLINE 11/17/2015

Taking Terror Abroad

The Islamic State's New Strategy

By Jörg Diehl and Christoph Sydow

NYT NOV. 17, 2015

France’s War Within

Sylvie Kauffmann

これは戦争か? かつて戦争は,国家と国家の間の,領土やイデオロギーをめぐる,始めと終わりの日が決まった,正規軍の衝突であった.今は,そうではない.

戦争は,誰に対する攻撃かわからなくなった.それに勝利する手段は何か? サルコジ元大統領は,プーチンと協力し,1万人のイスラム過激派を自宅軟禁にし,電子ブレスレットの装着を強制する,という.他の保守政治家は,「フランス版グアンタナモ」を要請する.過激なモスクや憎悪を説くイマームを国外追放する,という.NATOやリスボン条約による軍事力の要請を検討し始めている.

これが戦争でないとしたら,そうなりつつある.

NYT NOV. 17, 2015

Is the Fight Against ISIS the West’s Fight?

Max Boot ISISをアメリカ軍で敗退させるべきだ.

Andrew J. Bacevich 軍事介入は不安定性を増す.

Kori Schake 同盟諸国とともに戦え.

Shadi Hamid 西側の戦争だ.

Roger D. Petersen 軍事行動よりも政治が有効だ.

Emma Sky スンニ派によるISIS掃討を支援せよ.

NYT NOV. 17, 2015

How to Fight ISIS

By THE EDITORIAL BOARD

NYT NOV. 17, 2015

Mass Surveillance Isn’t the Answer to Fighting Terrorism

By THE EDITORIAL BOARD

FP NOVEMBER 17, 2015

An ‘Islamist Pit Stop’ in the Heart of the EU

BY GARETH HARDING

FP NOVEMBER 17, 2015

France Has Been No Friend to Muslims

BY GORDON ADAMS

FP NOVEMBER 17, 2015

Keep Europe’s Doors Open

BY PHILIPPE LEGRAIN

FP NOVEMBER 17, 2015

France’s Real Problems Are Getting Lost in the Fog of War

BY LEELA JACINTO

Bloomberg NOV 17, 2015

Islamic State Dominates the Digital Battlefield

By Farah Pandith

The Guardian, Wednesday 18 November 2015

Shoot-to-kill won’t make us safe from terror – just sorry

Gary Younge

警官たちの意見はバラバラだった.しかし,すぐに合意が形成された.この男はジハード戦士であり,ロンドン地下鉄を爆破しようとしている.

彼の名は,Jean Charles de Menezes.ブラジル人の27歳,電気技師だった.テロリストではない.壊れた火災警報器の修理に向かう途中だった.

彼はもちろん死んだ.警察が7発も頭に銃弾を撃ち込んだから.彼らは完全に間違っていたのだ.

発見次第射殺する,という政策は,こうした大きな間違いを生じることを知っていなければならない.それは偏見に基づいた判断に従うかもしれない.どのような思い込みも,死を招く.西側の尊重する価値などどこにもない.野蛮さだけだ.

The Guardian, Wednesday 18 November 2015

Turkey could cut off Islamic State’s supply lines. So why doesn’t it?

David Graeber

トルコがクルド人の政党と軍事組織を弾圧する政策を,そして,そのためにISISを助ける政策を転換しなければならない.

The Guardian, Wednesday 18 November 2015

Why do deaths in Paris get more attention than deaths in Beirut?

Nesrine Malik

The Guardian, Wednesday 18 November 2015

The Guardian view on Paris, terror and climate change: shaping the future

Editorial

FT November 18, 2015

Economies are too tough for Isis to destroy

John Gapper

SPIEGEL ONLINE 11/18/2015

The Paris Attacks

Murderous Hatred in the City of Love

Project Syndicate NOV 18, 2015

United With Putin Against Terror?

NINA L. KHRUSHCHEVA

プーチンがロシア機のISISによる爆破を認めたのは,パリのテロ攻撃があった翌日だった.プーチンは内外におけるイスラム過激派との戦いを,西側へのサービスとして,軍事的協力を提案したのだ.

プーチンの最初の目標は,ウクライナ東部の軍事紛争を凍結し,その内政に影響力を確保したことで達成された.次の目標は,西側による制裁の解除である.ミンスク議定書によるウクライナ国境地帯の安定化が機能することを確信すれば,プーチンは西側のISIS攻撃も支援するだろう.

西側諸国はこの機会をつかむことだ.

NYT NOV. 18, 2015

Is Any Place Safe?

By ABDELLAH TAÏA

NYT NOV. 18, 2015

Cabs, Camels or ISIS

Thomas L. Friedman

パリのテロ攻撃を考える前に,2つのニュースを知ってほしい.

ドバイの研究所(the Reproductive Biotechnology Center in Dubai)でクローンのラクダが誕生した.ラクダは豊穣をもたらす.タクシーの新興企業がアラブ世界のUberCareem.com)を開始し,そのための資金6000ドルを調達した.女性の運転を禁止しているサウジアラビアで,特に,需要があるはずだ.

アラブ世界では, Sisi ISISの間の選択しか人々にはなかった.エジプトのAbdel Fatah al-Sisiは近代化を約束し,ISISは歴史を逆転する.しかし,ここに第3の選択肢があった.人々に投資し,豊かな生活の島を形成することだ.専制,王朝,脆弱な民主制(Tunisia, Jordan, Lebanon, Kurdistan, Kuwait, Morocco and the U.A.E.),その中で若者たちは潜在的な道を見いだした.パリではなくベイルートで,ラクダやタクシーのニュースが尊厳を回復する.

60年前,アジアの独裁者たちは人民に言った.お前たちの自由を奪って,その代わりに,優れた教育,輸出指向の経済,優れたインフラを与える,と.他方,アラブ世界では,独裁者たちが人民から自由を奪って,アラブとイスラエルとの戦争,輝く目標で飾り付けた腐敗した政府を与えた.アジアには経済成長の奇跡が起こり,アラブには文明の崩壊と無秩序が広がっている.

アメリカの外交では,無秩序の土地に秩序を与え,独裁者をまともな政府に替え,政治をより立憲主義的な民主主義になるよう励ました.

だからオバマ大統領は,ISISの支配領域に空爆し,特殊部隊を送り,もっとクルド人と協力してISISと戦い,彼らを封じ込めようとしている.しかし,ISISを倒すには,良いスンニ派が必要だ.ISISの去った土地に,良いスンニ派が繁栄の島を形成する.だが今は,彼らは隣人との紛争にばかりこだわっている.

トルコはクルドをたたき,サウジは各地でイランとの代理戦争を展開し,カタールは他国でムスリム同胞団を育て,イランは他国のシーア派を支援し,ISISが去った土地でもイスラム主義が残る.

FP NOVEMBER 18, 2015

Why the Paris Attacks Won’t Be a Game-Changer for Obama

BY AARON DAVID MILLER

FP NOVEMBER 18, 2015

#PrayforParis, Vote for Moi

BY ROBERT ZARETSKY

FP NOVEMBER 17, 2015

France Is at War… With Germany

BY JAMES POULOS

サルコジ元大統領は国民に警告した.あとはカオスが来るだけだ,と.自分の任期では,財政規律を無視し,防衛体制を強化し,集権化を進めた.

フランスは危機に直面し,オランド大統領は戦争状態と認めて,非常事態を宣言した.それは,フランス政府が政治的にも,経済的にも,先頭に立つ,という意味である.もはや,EUの中で,後部座席に座っていることはできない.またそれは,静かな形で,ドイツのメルケルと敵対することを意味する.

サルコジは,ドイツに経済問題で敗北したことを恨んでいる.ユーロ危機で,メルケルはEU諸国を分裂させた.再び政治が重要になり,経済問題で独裁的にふるまうことはできない.

FP NOVEMBER 18, 2015

Awkward Questions for President Obama About Fighting the Islamic State

BY PETER FEAVER

Bloomberg NOV 18, 2015

Terror Threat Will Make Europe More Like Post-9/11 U.S.

By Leonid Bershidsky

Bloomberg NOV 18, 2015

Hollande's Challenge Is Same in Syria and Paris

By Marc Champion

FT November 19, 2015

Paris attacks: Intelligence agencies forced to rethink tracking of Isis

Anne-Sylvaine Chassany in Paris and Sam Jones in London

FT November 19, 2015

Paris attacks must shake Europe’s complacency

Philip Stephens

SPIEGEL ONLINE 11/19/2015

'Punching in the Dark'

Why Islamic State Is Winning the Online War

Project Syndicate NOV 19, 2015

Ending Blowback Terrorism

JEFFREY D. SACHS

これは「逆流型テロ」“blowback terrorism”と呼ぶべきだ.アメリカとEUが繰り返してきた戦争行為が,各地で自分たちの意に沿わない政府や体制を転覆し,ISISが繁栄する無秩序を創り出した.

人々はウサマ・ビン・ラディンやISISがどのように誕生したのか,その歴史を正しく伝えられていない.CIAは,アフガニスタンでソ連の占領軍と戦うイスラム教徒を集め,訓練し,武装させた.サウジの富裕層や密輸,麻薬取引の資金も利用された.彼らは今,欧米やロシアと戦っている.

2003年のアメリカ軍によるイラク侵攻は,多くのテロ集団を誕生させた.シリアでは,アサド体制と戦う反政府軍を,アメリカ,サウジアラビア,トルコが支援した.それはカオスと暴力への破壊を強めた.

アメリカ政府はCIAの工作活動を停止せよ.国連安保理常任理事国は即時の停戦と和平交渉を開始せよ.長期の解決策は,持続的な経済発展である.教育,医療,再生可能エネルギー,インフラに,地域の内外で投資せよ.

NYT NOV. 19, 2015

They Are Us

Nicholas Kristof

NYT NOV. 19, 2015

Body Bags in Paris

Roger Cohen

オバマは戦う意志を示し,プーチンとでも手を組め.

NYT NOV. 19, 2015

Europe’s Welcome Sign to Terrorists

By RONALD K. NOBLE

NYT NOV. 19, 2015

To Stop Radicalization, the French Need More Fraternité

By WALIED SHATER

FP NOVEMBER 19, 2015

Why Abdelhamid Abaaoud Wanted to Die

BY IAN BURUMA

FP NOVEMBER 19, 2015

7 steps toward dealing with ISIS

BY THOMAS E. RICKS ( By Keith Nightingale )

YaleGlobal, 19 November 2015

Air War May Be Satisfying, But Won’t Defeat ISIS

Mohammed Ayoob

Bloomberg NOV 19, 2015

France Needs Both Economic Growth And Security

By Therese Raphael


l  アベノミクスの衰退

FP NOVEMBER 13, 2015

Remember Abenomics? Neither Does Abe.

BY WILLIAM SPOSATO

安全保障と外交で活発に動くが,安倍首相の最初の優先課題,日本経済の復活は一向に進んでいない.

FT November 16, 2015

Yen’s days as weakest among peers are numbered

Mansoor Mohi-uddin

財政緊縮と金融緩和で,教科書的な円安を実現した日本も,その政策を継続する見込みはなくなってきた.極端な円安は続かないだろう.

FT November 17, 2015

BoJ pay rise to put limit on equity gains

Henny Sender

Bloomberg NOV 17, 2015

Japan Needs Workers. Women Are Ready.

By Noah Smith

Bloomberg NOV 17, 2015

Japan's Endless Struggle to Spark Inflation

By Noah Smith


l  クリーン・エネルギーのR&D投資

FT November 16, 2015

To find the energy to save the earth, shoot for the moon

Richard Layard

もしクリーン・エネルギーが,石炭,天然ガス,石油を掘り出し,燃やすよりも,安価に生産できるなら,こうした汚れた燃料は地中にとどまり,地球の気候は守られるだろう.とても単純なことだが,その生産コストの削減を誰が実現できるのか?

これまで民間企業が,いくらか補助金を得て行ってきたが,そのコスト削減はあまりにも遅い.公的に資金提供された機関がR&Dを担うべきだ.最近数十年の転換をもたらした科学の進歩は,コンピューター,半導体,衛星通信,インターネット,ブロードバンド,遺伝子解明,原子力,は政府による資金提供で行われた研究の成果であった.そのような投機的な試みには大きなリスクがあるから,民間部門が資金提供できないからだ.たとえできたとしても,その知識は人類すべての公共財とすべきであって,それを最初に得た私企業の利益にするべきではない.

アメリカ,ヨーロッパ,アジアの主要経済が,政府と民間の国際共同事業として,安価な半導体を開発した.その研究成果は公的に利用できた結果,半導体価格が驚異的な速さで下落した.ときに「ムーアの法則」と呼ばれるが,これは人間が決めたものだ.再生可能エネルギーでも,われわれは同じようなコスト削減を選択する必要がある.

マンハッタン計画やアポロ計画のように.再び共通の脅威があるのだから.計画を動かす熱意,尊厳,エネルギーを刺激するのに,目標が必要だ.10年以内,クリーンな電力を,石炭による発電よりも,低コストにする.これを1130日にパリで始まる国際会議の議題にしたい.

FT November 17, 2015

We need incentives to save the climate — not just agreement

Henry Paulson

Project Syndicate NOV 17, 2015

Pre-Judging Paris

BJØRN LOMBORG


l  新興市場の債務危機

FT November 16, 2015

Emerging markets: Deeper into the red

By Jonathan Wheatley and James Kynge

Bloomberg NOV 18, 2015

Truth-Telling on China's Economy

By A. Gary Shilling

FT November 19, 2015

Debt burdens weigh on the emerging markets

Project Syndicate NOV 19, 2015

The Commodity Roller Coaster

CARMEN REINHART


l  ドル高を恐れるな

Project Syndicate NOV 16, 2015

Don’t Fear a Rising Dollar

ANATOLE KALETSKY

イエレンは,かつてボルカーが果たした役割と正反対の転換を指導する.しかし,アメリカの金融政策が引き締めに転じても,ドル高が進むとは限らない.また,アメリカの金融政策が新興市場からの資本流出やドル高による債務者の負担増を劇的に生じるとも思わない.

FT November 19, 2015

China inclusion in IMF currency basket not just symbolic

Jennifer Hughes in Hong Kong

Project Syndicate NOV 19, 2015

Crashing the SDR

BENJAMIN J. COHEN

SDR構成通貨への人民元の追加は政治的なロビー活動によるものだ.IMFの政治化も,中国政府の期待も,失敗につながりかねない.


l  南シナ海

Bloomberg NOV 16, 2015

The Cost to Doing Nothing in the South China Sea

By Adam Minter

FT November 19, 2015

America’s mixed maritime signals in the South China Sea

Euan Graham


l  企業の余剰資金

FT November 17, 2015

Corporate surpluses are contributing to the savings glut

Martin Wolf


l  韓国の日本化

Project Syndicate NOV 17, 2015

Is South Korea Turning Japanese?

LEE JONG-WHA


l  IMFの融資政策

VOX 17 November 2015

The IMF’s analysis of the Irish bailout

The Editors

VOX 19 November 2015

The Greek and Icelandic IMF programmes compared

Margarita Katsimi, Gylfi Zoega


l  デイトン合意

NYT NOV. 17, 2015

The Dayton Keys to Peace

By KATI MARTON


l  反ハヴェル

Project Syndicate NOV 18, 2015

The Rise of the Anti-Havels

ARYEH NEIER

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The Economist November 7th 2015

The indispensable European

Angela Merkel: The chancellor’s crucible

Cross-strait relations: Hands across the water

Bello: The politician as thinker

Charlemagne: The dispensable French

Free exchange: The Japanese solution

(コメント) テロが起きる前のヨーロッパでは、難民危機とメルケル首相の政治的決断が議論されていました。フランスは、たとえ難民問題でも、メルケルの決断に従うしかなかったのです。

しかし、パリのテロはフランスを変えました。それはフランスとヨーロッパ政治のバランスを変えたからです。

アベノミクスは終わり、日銀はQQEを拡大すべきか? 国家破産を免れるためには、日銀が国債を完全に保有して、債務の貨幣化を管理する方がよい、と指摘します。

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IPEの想像力 11/23/15

「これは戦争状態ですか?」と質問されました。そうだ、とも、いや違う、とも言わず、私は答えを保留しました。

一方で、911後のブッシュ大統領が「戦争」という言葉で内外の安全保障を転換したことに、当時も今も、間違いだ、という意見があります。戦争として恐怖や危機感をあおり,国内の政策論争や反対派を沈黙させることが,中長期的に,むしろ深刻な政治危機を招くでしょう.

他方で、テロ行為に対する根本的な対応策を内外で採用する必要がありました。テロ行為は明らかな犯罪ですが,その政治的動機や背景を理解しなければ有効な対策になりません.情報収集,関係者の特異な人脈,政治・外交から歴史や文化,心理,社会学の分析が,通常の犯罪以上に重要です.

最後に、これはイラクとシリアの内戦状態から生じた副産物、あるいは,その輸出(軍事介入の逆輸入)であり、フランス国内のイスラム社会に対して、信仰を利用し、分断化と内戦・分離主義を呼びかけるものです。

状況と国内の社会的・政治的反応により必要な対策が決まり,単一の正しい答えはない,という難しい問題です.

****

テロリストとはだれのことか? T.G.アッシュは「経歴・目標・手段・文脈」を重視します(『ダンシング・ウィズ・ヒストリー』).

「残虐性へと転落するかと思うと,武装闘争をやめて交渉するほうが政治目標を達成しやすいと結論すれば暗闇から再登場することもある」 ・・・政治目的の暴力行使をすべてテロリズムと呼ぶわけではないという現実の,「相違に対する洗練された理解」をどのようにして得るのか?

国家(内政と外交)についても,それは言えます.

イスラム国家とは何か? S. Waltが指摘したように,それは歴史上の国家建設過程や革命運動と同じ,激しい暴力の時代,イラクやシリアの内戦から生まれた新しい権力の確立過程かもしれません.それゆえ,一定の領土を支配し続けるために,彼らは自爆テロや斬首から,より通常の国家戦略へと,その性格を変えるのです.

そして,中東における内戦状態の広がりは,かつてR. Kaplanが描いたように,エジプト,トルコ,サウジアラビア,イランのような歴史的文明圏に依拠する国家(大国間の覇権争い)と,それ以外の地域における暴力的な対抗関係(紛争・衝突)として理解できます.ルールや影響圏に関する暫定合意から,大国間関係が安定化するとともに,紛争は抑えられます.

他方,フランスのような民主的な先進工業諸国でも,移民.難民,旧植民地支配と,周辺地域の破たん国家から,暴力による権力や領土の確立を唱える内戦状態が自国内にも紛争を再現します.政府は市民的秩序を守って,諸政策を組み合わせて,これに対応しなければなりません.

国家の行動について、こうした「経歴・目標・手段・文脈」を評価することです。

****

オランド大統領は,非常事態宣言を早期に解除し,次の方針を国民と友好諸国に繰り返し説明するべきです.

1.シリア内戦を終わらせる国際会議を開くこと。

2.フランスにおける社会・政治的な統合を維持し、内戦を回避すること。

3.ヨーロッパへの難民流入を抑えるために、周辺地域において避難民の生活を保障し、治安回復と帰還、生活再建を助けること。

戦争ではないとしても、戦争行為と呼ぶほどの市民的秩序に対する否定を、「新しい内戦」として理解することは、その正しい解決策を示すでしょう。

コロンビア、ネパール、シエラレオネ、など、中米、中東、アフリカの各地で、内戦終結のための交渉を政府は模索しています。和平の暫定合意、武装闘争の放棄、軍・警察の再編、特別法廷と免罪・特赦、被害者の救済・補償、そして、憲法制定のための議会を開くため,代表選挙が行われ、新しい憲法を定めます。

貧困地帯でゲリラア戦を展開した左派の革命運動は、その理想を捨てることなく,選挙によって政権獲得を目指します.地主や支配層も、極右の暴力集団やファシスト、国粋主義者に協力するより、貧困層への教育や雇用の機会を増やし、社会保障を充実させ、経済成長で安定した秩序を得られる、と確信します。

そして平和な諸国では、たとえ地球の裏側からテロと内戦が輸出されても、それに応じられる堅固な社会的連帯と責任ある政治システムを築くのです。

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