IPEの果樹園2015
今週のReview
9/14-19
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移民・難民問題の解決策 ・・・中国の軍事パレード ・・・イスラム国家 ・・・中国経済の変調 ・・・ギリシャのコーポラティズム文化 ・・・4つのドル ・・・グローバル・リーダーシップとは何か? ・・・政治指導者たちの認識
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign
Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York
Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
l 移民・難民問題の解決策
NYT SEPT. 3, 2015
Australia’s Brutal Treatment of
Migrants
By
THE EDITORIAL BOARD
ヨーロッパの官僚たちは、移民に対するオーストラリアの強硬策を採用する誘惑を感じているだろう。しかし、それは良心的ではない。
The Guardian, Friday 4 September
2015
Aylan Kurdi: this one small life has
shown us the way to tackle the refugee crisis
Jonathan
Freedland
Aylan
Kurdiの悲劇は新しいものではない。ヨーロッパを目指すシリア難民は、すでに多くが地中海で溺死していた。多くの子供たちが含まれる。
3歳の少年の死は、何かしよう、と人々を決意させた。政府の政策や難民受け入れ上限を変更する話が起きている。彼や、その5歳の兄に対して、もはやキャメロン首相は「群れ」と呼ばないし、外相も「略奪」を問わない。
しかし、難民に関する対話はもっと広い。政府やトップの行動が必要であるだけでなく、家族や家庭、町も行動を求められる。アイスランドの小説家Bryndis Bjorgvinsdottirは、難民に対して国境を開放するよう政府に要請した。彼らは受け入れる準備がある、と。Facebookを通じて、1万1000人がシリア難民を自宅に受け入れると表明した。
国連やEUは、難民を受け入れる財政支援や住宅の提供計画を模索している。4年に及ぶシリア内戦は、ますます多くの住民たちに、そこが生活する場ではない、と避難を決意させている。ISISの殺害者に対して、アサド政権の燃料爆弾に対して、国際社会の努力はまるで足りない。
難民を守る避難所の設置、飛行禁止空域の設定、しかし、軍事支援には慎重な意見もある。イラン、ロシアの姿勢は変わるのか?
これは高次の地政学ビジネスだ。難民たちからは非常に遠い論争だ。非難する者たちは、サミットや国際条約を待てない。子供たちを抱いて、命がけで、走っている。あなたの地域社会が難民にドアを開くことは、こうした問題の全体を解決するものではない。しかし、あなたのいる場所から、変化は起きる。古来、ユダヤ人の教えにもある。「一人の命を救う者は誰でも、この世界を救ったとみなされる。」
The Guardian, Friday 4 September
2015
What is the most effective way to
help refugees?
William
MacAskill
400万人のシリア難民のうち、イギリスが受け入れたのは216人でしかない。彼らはシリア内戦とイスラム国家から逃れてきたのであり、イギリスがイラク侵攻によって後者に責任を持つと思えば、その数字はさらに皮肉である。
世界の衛生改善に寄付するよりも、難民キャンプに対して寄付を維持することはむつかしい。より重要なことは、難民たちを受け入れて、彼らが働くことも認める、という改革に政治を動かすことだ。難民たちは受け入れ社会に対する負担ではなくなり、社会の生産的なメンバーになるのだ。
多数の難民を受け入れることは、政治問題であって、経済問題ではない。もし彼らが働くことを許されるなら、そして、彼らはそれを強く希望しているのだが、イギリス人の生活水準や失業率は変わらない。難民たちの生活は大幅に改善される。イギリスは、その経済を破壊することなく、多数の難民を受け入れることができる。
エコノミストたち(Michael Clemens, Claudio Montenegro
and Lant Pritchett of the Center for Global Development)の推定では、貧しい国から豊かな国へ労働者が移動すると、その稼ぎは3倍から10倍になる。アフガニスタン、ソマリア、スダンから移動する難民は救済する価値があるのだ。
The Guardian, Friday 4 September
2015
This refugee crisis is too big for
Europe to handle - its institutions are broken
Paul
Mason
FT September 4, 2015
EU refugee crisis: End of an ideal
Alex
Barker, Andrew Byrne and Jeevan Vasagar
FT September 4, 2015
National perceptions swept away by
the flow of humanity
Simon
Schama
大規模な人口移動に障壁を設けた歴史が、アメリカにもドイツにもある。しかし、移民危機は両国の歴史の全く異なる性格を予言した。
アメリカでは、詩人Emma Lazarusの詩文が「自由の女神」の性格を、国際的共和主義のシンボルから、海を渡ってくる貧しい移民に対する希望の光に変えた。しかし、現在、活動的なオバマ大統領は難民たちの苦境について不似合な沈黙を続けている。他方で、彼の次を狙う共和党員たちは、移民の出身であっても、非合法移民たちを非難する声を上げ、国境警備隊や長大なフェンスに予算を求めている。
他方、ドイツでは、わずか4分の3世紀前に、非人間的で過激な、民族純化の計画を実行していた。しかし、メルケル首相は難民受け入れの徳を示す指導者になっている。ドイツ人の多くが、心のこもった歓迎姿勢を示している。
私たちの世界は3つの問題を抱えている。1.惑星規模のエコシステムが劣化していること、2.富裕層と貧困層との格差が恐ろしく拡大していること、そして、3.自分たちと似た人々だけと一緒に住みたいと願う人々と、肌の色や信条、言語などの違いを理由に近隣に住むことを拒むべきではないと考える人々、である。
メルケルは、ギリシャ債務危機で苦痛を与え続けて嫌われたことを反省し、EU内の生き残りを重視したのかもしれない。何であれ、EUはその政治的な真髄を問われている。
NYT SEPT. 4, 2015
Exodus of Syrians Highlights
Political Failure of the West
By
ANNE BARNARD
NYT SEPT. 4, 2015
Refugees Who Could Be Us
Nicholas
Kristof
FP SEPTEMBER 4, 2015
The Banality of History
BY
DANIELA BLEI
6月、インターネットで地図を検索すると、ドイツのすべての難民センターと避難所の住所を表示する“No Refugee Center in My Backyard”というタイトルのサイトがあった。Googleがそれを閉じたのは、バヴァリアの町Reichertshofenで空っぽのシェルターが放火される、など、暴力事件が起きてからだった。
ベルリンの通勤電車には、10日前、ネオナチが母親と旅していた2人の子供に小便をかけ、「ハイル・ヒトラー」と叫んだ。その前の週末には、ドレスデン南部の丘陵地にある、人口1万6000人の町Heidenauで、石やビンを投げる男たちと警官隊とが難民避難所の外で衝突した。陶磁器で有名な中世の町Meissenでは、市が難民のために改修したアパートの建物をネオナチが襲撃した。先週、ベルリンの西の端、Nauen in Brandenburgで、難民センターが放火され、倒壊した。各地でモスクへの放火が起きている。
ヨーロッパじゅうで難民危機は起きているが、難民や亡命申請者への最も低調な政策を採用するドイツでだけ、生命を脅かすほどの極右の暴力が広がっている。
FT September 6, 2015
The deadly disunity of the Europeans
Wolfgang
Munchau
FT September 6, 2015
Barack Obama’s debt to Syria’s
huddled masses
ED
Luce
オバマがアサドに政権から退くように求めてから、4年が経つ。その間、彼は何もしなかった。むしろアサド体制の権力を強化したかもしれない。
ドイツは80万人の難民を受け入れ、ヨーロッパ諸国を促しているのに、アメリカはシリア内戦が始まって以来、わずか1434人しか受け入れていない。
アメリカが難民に国境を開く責任は大いにあるだろう。第1に、アメリカはシリア内戦を抑える最も重要な役割を担う国だった。しかし、今はアサド退陣が望ましいかどうか明確でない。空爆を続けても、オバマの任期中に政治的解決策が実現するとは思えない。
2.アメリカ中東政策の評価は、ブッシュの軍事介入、オバマの非介入で、ともに大きく損なわれた。その影響は中東地域にとどまらず、難民危機のように、他の地域にも及ぶ。
ビル・クリントンが任期中に最も公開することは何かと聞かれて、1994年のルワンダにおけるジェノサイドを止めなかったことだ、と答えた。シリアは、オバマの評価に必ず汚点となって残る。
NYT SEPT. 5, 2015
The Refugee Crisis Isn’t a ‘European
Problem’
By
MICHAEL IGNATIEFF
アメリカが難民危機を「ヨーロッパの問題」と見せかけていることは不当である。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジルは難民を受け入れているか? サウジアラビアや湾岸諸国は1人の難民も受け入れていない。
FT September 7, 2015
Europe will fail the values test on
refugees
Gideon
Rachman
Project Syndicate SEP 7, 2015
Necessary Migrants
IAN
BURUMA
NYT SEPT. 7, 2015
Aylan Kurdi’s Europe
Roger
Cohen
NYT SEPT. 6, 201
Hungary's Xenophobic Response
By
ELENI KOUNALAKIS
FP SEPTEMBER 7, 2015
Je Suis Refugee
BY
JULIA IOFFE
Bloomberg SEPT 7, 2015
U.K. Is Right About How to Take
Refugees
By
Marc Champion
The Guardian, Tuesday 8 September
2015
Opening my home to refugees has been
humbling and eye-opening
Alison
Phipps
FT September 8, 2015
Migrant crisis adds to Europe’s
anxiety about Islam
Tony
Barber
イスラム教徒の流入に関する不安が、難民の受け入れ姿勢に大きな違いをもたらしている。
1956年のハンガリー危機で生じた難民を受け入れた姿勢に比べて、人々は、むしろ1529年にオスマン帝国のスレイマン1世の軍がウィーンに迫ったときを想起している。
ナチスが第2次世界大戦中に占領地域のユダヤ人を抹殺した後、西側連合軍やモスクワは反撃して、戦後にドイツ系住民を数百万人も追放した。1989年、共産主義体制の崩壊後、再生した中央ヨーロッパの諸国では、異なるエスニック集団が存在しないことを政治的安定化や共産主義後の市民秩序にとって健全な要素とみなす。
西ヨーロッパは中央ヨーロッパを非難できない。2009年の投票で、スイスはモスクの建設を禁止した。フランスは、イスラム教徒の若者を統合化できていない。ヨーロッパの諸政府は、トルコをEUに迎える気はない。
Project Syndicate SEP 8, 2015
Europe Under Siege?
DANIEL
GROS
NYT SEPT. 8, 2015
Eastern Europe’s Compassion Deficit
By
IVAN KRASTEV
NYT SEPTEMBER 8, 2015
Will the World Come To Europe?
By
ROSS DOUTHAT
FP SEPTEMBER 8, 2015
The Refugee Crisis and Europe’s
Defining Moment
BY
ALEX MASSIE
FP SEPTEMBER 8, 2015
We Should All Be Competing to Take
In Refugees
BY
DANIEL ALTMAN
難民はどこに向かうのか? もし彼らが自由に移動できるなら、彼らが統合し、成功できるような、家族やコミュニティーがあるところ、機会のある国へ向かうだろう。
しかし、自由な移民を認める国はほとんどない。難民を拒む国は、自分たちの将来を貧しくしている。紛争や治安の悪化を逃れる人々は、成功する強い動機を持ち、企業家精神が豊かで、健全な身体を有している。彼らは働き、家族を維持するために逃れるのだ。
シリアやイエメン、アフガニスタン、その他の国からくる2000万人は、安全保障上の脅威ではない。しかし、政治の制約、人々の偏見が、彼らを拒む。80万人の難民を受け入れるドイツが例外であるのは、ドイツの失業率が長期間にわたって最低水準にあり、新しい労働者を求めていることと関係がある。
難民たちはまた、労働者であるだけでなく、消費者でもある。彼らは新しい住宅に入って、貯蓄するよりも消費する。彼らに対する財政支援は、長期的なインフラ投資に比べて、はるかに効果的な短期の刺激策になる。
難民の積極的な受け入れは、その逃避の途中で多くの犠牲者が出ていることからも、経済的かつ道義的な優先課題である。彼らが安全に移動できるように、どうして支援しないのか? その財政支援は、彼らがここで数十年間も税金を支払うことを思えば、十分に価値がある。彼らを迎えるために列車を送り、飛行機を飛ばすこと、バスや客船で、避難する人々を救出することに、いくら費用が掛かるだろうか? それが500ユーロや800ユーロであっても、彼らは毎年、数千ユーロを税金として支払うだろう。
ヨーロッパ諸国よりも、アメリカや、オーストラリア、カナダ、イギリスは、もっと容易に難民を受け入れることができる。ところが、その受け入れ数は驚くほど少ない。むしろ、各国政府は難民受け入れの経済的な利益を国民に周知し、競って難民救出に向かうべきだろう。
善意で政治的な大構想は実現しないが、経済的な動機がそれを可能にする。
The Guardian, Wednesday 9 September
2015
Cut overseas aid and you force even
more people into the boats
Gordon
Brown
FT September 9, 2015
The blame game after a child’s
tragic death
Roula
Khalaf
FT September 9, 2015
Jean-Claude Juncker plan on migrants
deserves full backing
第2次世界大戦後、EUの最大の難民危機に対して、包括的な解決策はまだない。しかし、ユンカーJean-Claude Juncker欧州委員会委員長の提案は承認されるべきだ。コストの分担と加盟諸国への難民受け入れを求めている。
SPIEGEL ONLINE 09/09/2015
A Continent Adrift
Juncker Proposes Fixes to EU's
Broken Asylum Policies
NYT SEPT. 9, 2015
Poland Shouldn’t Shut Out Refugees
By
KONSTANTY GEBERT
FP SEPTEMBER 9, 2015
Fences and Tear Gas at Europe’s
Gates
BY
JORGEN SAMSO
The Guardian, Thursday 10 September
2015
Juncker talks of welcoming refugees,
while turning Europe into a fortress
Apostolis
Fotiadis
FT September 10, 2015
Berlin should seize its second
Huguenot moment
Guntram
Wolff
NYT SEPT. 10, 2015
A Plan to Save Refugees and Europe’s
Open Borders
By
THE EDITORIAL BOARD
NYT SEPT. 10, 2015
Who’s Responsible for the Refugees?
By
STEVE HILTON
FP SEPTEMBER 10, 2015
Why Won’t the G20 Address the
Refugee Crisis?
BY
PAOLA SUBACCHI
Bloomberg SEPT 10, 2015
History Says the West Will Embrace
Syrian Refugees
By
Christopher Flavelle
Bloomberg SEPT 10, 2015
Revisiting the Economics of Europe's
Refugee Tragedy
By
Mohamed A. El-Erian
l 中国の軍事パレード
FP SEPTEMBER 3, 2015
China Lost World War II
BY
SERGEY RADCHENKO
9月3日、中国政府は軍事パレードを行った。15回目であるが、第2次世界大戦の日本に対する勝利を祝うのは初めてだ。軍事パレードは最新の軍備を示すだけでなく、中国が、特に、中国共産党がグローバルな反ファシズム、反帝国主義の戦いで占めた中心的な役割を物語るために行われた。
それはまた、焦点を変えるものであった。最初の軍事パレードは、1949年の中華人民共和創設を記念する10月1日に行われた。それは中国共産党が国民党との4年間にわたる内戦に勝利した瞬間であった。毛沢東の言葉では、アヘン戦争の敗北で始まる、1840年代からの「恥辱の世紀」を終わらせるため、中国人民は「立ち上がった」のだ。
しかし、新しい軍事パレードは1937年から1945年までの日本に対する戦争で、中国は立ち上がっただけでなく、世界の大国Great Powersに並ぶ存在となったのだ。習近平の言葉では、中国は「日本ファシズムとドイツファシズムの戦略的な協力を崩壊させ」、それによって「中国の国際的地位を大きく高めた。」
しかし、そのメッセージには根本的な誤解がある。中国にとって1945年は、輝ける年ではなく、さらに多くの苦難と恥辱をもたらす年であったからだ。中国は、国連安保理の常任理事国として、紙の上で大国となったに過ぎなかった。実際は、まるで敗戦国と変わらなかった。中国の運命は欠席のまま決まっていた。領土の一部は占領され、工業は略奪され、内政が外部からの干渉によって大きく変わった。
日本に対する勝利をもたらしたのは、中国だけでなく、多くの要因、特に太平洋を越えたアメリカの攻撃が、重要であった。そして、アメリカが勝利のために求めていたのは、中国ではなく、ソ連であった。1945年のヤルタ会談で、アメリカのF.D.ルーズベルト大統領はソ連のヨシフ・スターリンに参戦を求めた。そのために、アジアにおける権益を認めた。すなわち、軍事基地、中国北東部の鉄道、モンゴルのソ連支配という現状維持、である。
蒋介石は、その内容を数週間も知らなかったことに激怒した。「彼らは中国を家臣のように扱った」と日記に書いた。最も深刻な問題は、モンゴルの将来であった。それは西ヨーロッパに等しい規模があり、清王朝の一部であったが、1945年まで、スターリンも紙の上でそれを認めた。しかし、今や、スターリンは、将来の日本によるシベリア侵攻に備えて、モンゴルを求めた。中国の訴えにも関わらず、モンゴルも、満州鉄道も、ソ連が支配した。
1945年、中国は解体に向かっていた。モンゴルから中国北西部、カザフ、ウィグル、辺境地帯のエスニック集団が独立を企て、スターリンがこれらを認めたのだ。もしこれらの反中国の解放運動が成功していたら、中国にとって日本との戦争の結果も困難なものになっただろう。蒋介石は彼らの独立を阻止する手段を持たなかった。しかし、スターリンが蒋介石からの譲歩をすべて得た後、彼らの運動を見捨てた。
1946年の夏、日本が降伏して半年もたたずに、中国は激しい内戦になっていた。蒋介石は、日本軍との戦いを避けた共産党軍に対して不利だった。1946年までに、毛沢東は国民党軍の弱まった地域を支配していた。中国国民党政府の無能さと腐敗により、中国人のさらに多くが日本軍により強姦され、殺害された。特に多くの犠牲者を出したのは、政府軍の間違った作戦や飢餓であった。
1949年、蒋介石が台湾に逃れ、毛沢東の勝利が確立された。この数十年、共産党はその革命の歴史において、日中戦争を副次的にしか扱わなかった。毛沢東はむしろ日本軍に「感謝」した。その侵略が中国人民を「教育」した、と。日本軍との戦争がなければ、共産党は国民党に勝てなかっただろう。
日中戦争は1400万人から2000万人の中国人を殺害した。しかし、戦争が阻止していた共産主義革命は、それをはるかに超える犠牲者を出した。1946年から1976年の間に、戦闘、弾圧、飢餓で数千万人が死んだ。1945年は、中国にとって栄光の年ではない。
Project Syndicate SEP 4, 2015
China’s History Parade
RANA
MITTER
第2次世界大戦における中国人の犠牲の大きさを西側諸国は無視していることが、受け入れられない、と中国政府は考えた。
軍事パレードで、旧国民党軍兵士たちも名誉ある扱いを受けた。
YaleGlobal, 7 September 2015
China’s Grand Parade to Keep Some
Ghosts of History Alive
Börje
Ljunggren
Bloomberg SEPT 6, 2015
What's Going on With China's
Military?
By
Noah Feldman
Project Syndicate SEP 8, 2015
China and the Deep Blue Sea
JAMES
BORTON and NGUYEN CHU HOI
FP SEPTEMBER 8, 2015
War and Misremembrance
BY
RANA MITTER
l イスラム国家
FT September 4, 2015
Caliph country: the rise of Isis
Edward
Mortimer
FP SEPTEMBER 4, 2015
What the Rise of the Islamic State
Tells Us About Donald Trump
BY
JESSICA ASHOOH
Project Syndicate SEP 8, 2015
How to Fight the Islamic State
JOSEPH
S. NYE
アメリカ大統領選挙候補者の間でも、米軍が派遣されるべきだ、という声がある。地上軍は必要だ。しかし、それはスンニ派アラブ諸国やトルコの軍隊だ。
イスラム国家とは3つの源泉から成る。超国家的テロ集団。準国家組織。宗教を起源とした政治イデオロギー。イスラム国家は7世紀のイスラムを称賛すると同時に、21世紀のメディアを駆使している。推定によれば、若いイスラム教徒を効果的に募集し、ある推定では、2万5000人以上の外国人兵士が参加している。殺害された者たちを迅速に補充している。
こうした3つの源泉に対抗するため、カリフの支配的地位を攻撃する軍事力が、そのソフトパワーを強化するのは避けるべきだ。つまり、地上軍はクルドなど、スンニ派であるべきだ。
オバマは、アサド政権を攻撃するだけでは、イスラム国家が領土を拡大してしまうことを認めた。アメリカがその外交を駆使する目標は、アサドを支援するロシアとイランを説得し、アサド抜きのシリア国家を維持することだ。シリア北部に飛行禁止空域や難民の避難区域を設定することは、アメリカのソフトパワーを強めるだろう。また、サイバー領域での対抗を強化するべきだ。
中東が経験しつつある革命は、その終結に長い時間がかかる。革命による不安定化は、植民地時代の国境線、近代化の限界、「アラブの春」後の国家機能破たん、宗派間対立から生じている。ヨーロッパでカソリックとプロテスタントが宗教戦争を起こした時、その終結までにおよそ1世紀半かかった。ドイツが人口の4分の1を30年戦争で失った後で、ようやく戦闘は終わった。
アメリカは中東に、エネルギー、イスラエル、核不拡散、人権といった様々な利害を持つ。アメリカ外交には柔軟な戦略を求められる。異なった状況で、異なった国家や集団と協力することだ。最近のイラン核合意は、こうした柔軟性を拡大した。それに応じた外交のために、アメリカ国内の議論をさらに高度に洗練すべきだ。
(後半へ続く)