IPEの果樹園2015
今週のReview
9/7-12
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ヨーロッパ難民危機 ・・・株式市場介入と経済転換 ・・・ポピュリズム ・・・アメリカの金融引き締め ・・・石油価格の下落 ・・・中国の軍事パレード
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign
Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York
Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
l ヨーロッパ難民危機
Project Syndicate SEP 1, 2015
Escaping the Refugee Crisis
PETER
SINGER
各地で難民危機が発生している。しかし、他国に比べて、その数はまだ少ない。他国より多くの難民を受け入れているドイツでも、1000人当たり6人であり、トルコの21人に比べて3分の1にもならない。レバノンは1000人当たり232人だ。
UNHCRによれば、強制的に移住させられた人々は世界で5950万人いる。シリア、アフガニスタン、ソマリアからの難民が主だが、ほかにも多くの国から生じている。難船を続ける貧しい国を逃れ、他の土地でよりよい生活を求める人々を責めることはできない。同じ条件なら、われわれもそうするだろう。彼らに対処する、もっと良い方法があるに違いない。
世界のGDPや幸福度を高めるために国境を開放するべきだ、という思想家もいるが、外国人を排斥する感情を無視している。セルビアやハンガリーでは、シェンゲン協定内で、国境の管理を復活させるために検討をしている。
裕福な諸国は、多くの難民が滞在する貧しい諸国、特に、レバノン、ヨルダン、エチオピア、パキスタン、に対して財政支援するべきだ。隣接する地域に逃れるほうが、危険な移動を避け、紛争が解決されれば帰国も円滑に行える。それは経済的にも負担を軽減する。すなわち、ヨルダンで難民1人に対する年間コストは約3000ユーロであるが、ドイツでは最低でも1万2000ユーロである。
「難民の地位に関する条約」は、1951年、国連が採択した。もともとは、その時点より前に発生したヨーロッパ諸国内の難民に限定していた。難民は、出身国で「人種、宗教、国籍、特定の社会集団に属すること、政治的見解」により迫害される恐れが十分にある場合、その国へ戻れない、戻りたくない人々、と定義された。
しかし、1967年に時間と地域の限定が外された。条約は不変化されたが、基本的な問題には答えていない。なぜ外国に逃れた難民を、収容所にいて外国には行けない難民たちよりも優先するのか? 移民の数が増えるにつれて、条約が認める難民と、もっと豊かな暮らしを求める移民とを区別することはむつかしくなる。
しかし、条約は悪質な密入国ビジネスを繁栄させている。もし難民申請が近隣国の避難所で行え、迫害を逃れ、富裕諸国からの支援を受けられるなら、経済移民は減少し、難民キャンプから浮遊諸国は直接に受け入れ、しかも国境線は管理できる。
最善の解決策ではないが、少なくとも、彼らに希望を与えられる。
FT September 2, 2015
A brief chance for Europe to rescue
its integrity
Peter
Sutherland
多くのヨーロッパ諸国が、利己的、一方的に行動し、難民危機に対する効果的な集団的解決を妨げている。事態は悪化し、ヨーロッパは無能で、統一性を欠いたヒステリックな状態になる。
メルケル首相の指導するドイツは多くの難民を受け入れた。難民問題を解決できなければ、ヨーロッパの掲げる普遍的な人権の主張は失われる、と訴える。シェンゲン協定の認める自由移動圏が解体するかもしれない。
400万人のシリア難民を受け入れているレバノン、ヨルダン、トルコに対する支援をもっと増やすべきだ。それは軍事支援や、国境線における警察犬と有刺鉄線よりも、はるかに効果的である。多くの難民は近くの避難所を求めている。しかし、そこに学校も職場もなければ、彼らは移動するだろう。シリア内戦が4年目に入って、こうした事態になった。
l 株式市場介入と経済転換
Project Syndicate AUG 28, 2015
China’s Political Interventions
KOICHI
HAMADA
自由経済では、市場メカニズムが安定と不安定とを作り出す。有形財の需要が減れば、市場は新しい均衡を導くことができる。しかし、株式のように資産価格が上昇すると、一層の上昇を期待するかもしれない。その場合、需要は増大し、過度に高い水準まで達する可能性がある。
中国のような計画経済では、政策担当者が価格に影響する多くの手段を持っている。理論上は、不安定性を回避できるだろうが、実際は、そうならない。中国の通貨当局は、日本も1990年代に試みたような、株価維持の操作(PKO)を行った。それが、中国の株価が経済のファンダメンタルズで支持される水準を大きく超えて、昨年、上昇した理由であろう。最近の株価下落で、投資家たちが、その水準を持続不可能だと結論した。
中国当局は、それでも介入を大規模につづけた。その長期的な結果として、現在の株価下落以上に深刻な影響をもたらす。中国の投資家たちは、他の市場で得られるような情報を得ていない。上海市場はその権威主義体制に匹敵するような高度に組織された金融市場になるのか?
もう一つの市場介入が、人民元の為替レートについて行われた。人民元を為替レートの決定において重要な役割を担う地位に引き上げるため、その価値を徐々に高めようとしてきたのだ。長期的な安定性とグローバルな準備通貨にすることが目的であろう。しかし、最近の切下げは、世界の通貨市場に激しい変動をもたらした。
人民元の最近の減価は、アメリカやイギリスによる2008年以後の事実上の切下げに比べて、わずかなものでしかない。また、2012年から日銀が推進した円安にも及ばない。しかし、人民元は厳しく管理されている通貨だ、ということが重要だ。着実に増加してきた歴史を前提にすれば、突然の切下げが市場に与える影響は激しかった。アメリカ、イギリス、日本の動きは、事前によく情報交換されていた。
しかし、それが「通貨戦争」をもたらすことはないだろう。変動レート制では、各国が理想的なインフレと雇用の状態を求めて金融政策を決定することが、安定的なマクロ経済に達するからだ。中国の切下げの影響を受けて、アメリカは利上げを遅らせ、QEの逆転を緩和するだろうし、日本はQEを強化するだろうが、それは累積的な切下げ競争ではない。
他方で、中国は政治的な目的で価格メカニズムを管理する程度を見直す時期だろう。
FT September 1, 2015
China risks an economic discontinuity
Martin
Wolf
中国経済の転換は容易でない.
北京は株価維持のために2000億ドルを無駄にした.為替レートを管理するために,2015年7月までに,外貨準備を3150億ドル減らした.おまけに.スケープゴート探しを始めた.こうしたことは資本逃避や政策パニックの前兆だ.
しかし,中国経済が過去に達成したことは重要である.かつて,第2次世界大戦後に,日本,台湾,韓国,ベトナムが達成したことに似ている.しかし,その規模が重大だ.現在,中国のアメリカに対する1人当たりGDP水準は25%で,1980年代半ばの韓国に等しい.その後,韓国の1人当たり実質GDPは約4倍になり,アメリカの70%の水準に達したが,同じことを中国が実現すれば,その経済規模はアメリカとヨーロッパの合計よりも大きくなる.
しかし,過去の成長は将来の成長を保証しない.新興経済の成長は「不連続性」という特徴がある.中国の成長率は,10%から7%へ,さらにもっと減速するのか? それは1990年代後半の韓国のように,一時的な低下か,あるいは,1980年代のブラジル,1990年代の日本のように,もっと恒久的な停滞か?
中国の成長が不連続になる理由は3つある.1.需要と供給とを過度に投資に依存している.2.債務超過は維持できない.3.これらを改革すれば需要が一気に減少するリスクが高い.
持続不可能な成長経路から抜け出すことは,政策担当者にとって非常に困難だ.それを内外の不均衡が拡大しないように配慮して行わねばならない.最善のアプローチは,現在の改革を進めるとともに,もっと消費者の支出と,公共支出,環境改善を増やすことだ.
それは市場主導の経済と政治権力の集中とが矛盾するのではないか,という問題になる.
FP SEPTEMBER 1, 2015
China’s Crisis Could Get a Lot
Worse, Quickly
BY
DANIEL ALTMAN
多くの中国人投資家たちは,株価の下落は止まり,人民元の為替レートには問題ない,と思っているようだが,私はそう思わない.
第1に,投資家たちの行動はそれを示している.人民元が安くなり,資産価格も下がる.投資家たちはそれを危険なものとみなすかもしれない.あるいは,逆に,ファンダメンタルズに変化はなく,チャンスと見るかもしれない.それは間違いだ.オプションを観れば,彼らの期待が分かるからだ.
シラーの評価でも,中国の株価はまだ高い.株式市場だけでなく,住宅などへ投資しているシャドーバンキングが問題だ.これを救済する必要が出てくる.さらに,中国の外貨準備は4兆ドルを超えて,為替レートの安定化に不必要な規模であった.しかし,為替市場への介入で,すでに3000億ドル以上を失った.
中国の危機が終わった,と見るのは早すぎる.
FT September 3, 2015
China risks repeating the errors of
Japan
Gillian
Tett
10年前,私は20世紀日本の金融の興亡について本を書いた.中国語版が勝手に出版されているのも知った.
中国の金融監督者や銀行家が私に会いに来た.「われわれは違う結末になるように,何が起きたか知りたい」というわけだ.
確かに,日本政府が株価と地価を高めようとした結果,どうなったかを知れば,ショックを受けるだろう.介入による金融コストだけでなく,その心理に及ぼす破壊的な影響が重要だ.
よく似ている点を考えよう.中国も,日本と同じように,工業製品の輸出部門に巨額の投資を行った.銀行融資を中心に,政府は消費者を犠牲に,工業部門に有利な資金供給を求めて,金融システムを管理した.1970年代以降,日本の経済は成熟して,こうしたモデルからの離脱が進められた.
しかし,自由化は遅れ,しかも,不均等に進んだ.資本の渦巻きに飲み込まれて,資産価格がバブルとなった.金融政策や為替レートも事態を悪化させ,1980年代末までに株価や地価が高騰したのは,今の中国と同じである.
本当に重要な教訓は,しかし,その次に日本で起きたことだ.
1989年12月,日経の株価指数は3万8915円だった.その後の2年間で60%下落した.日本の官僚たちは下落を一時的と考え,銀行に資産再評価を求めなかった.しかし,その後も資産価格の下落が続き,政府は買い支えを行った.
それはしばらく成功した.しかし,1997年,銀行に莫大な不良資産がある(その後,それは1兆ドルに及ぶ)というニュースが流れた.金融危機が勃発し,資産価格が下がり,システムの信頼が失われてしまった.
10年に及ぶ不毛な介入を経て,投資家たちは,もはや日本の官僚が強力だとは思っていない.他方で,投資家たちは「市場」価格も信用していない.日本は,伝統的なものと新しいものの間で,資産の価値を支える柱を失ったままだ.
現在の中国は,この日本の歴史と非常に似ている.政府は2000億ドルを介入に費やしたが,株価がピークから40%も下落した.官僚の能力も,市場メカニズムも,信用を失った.資産価値がわからず,市場で清算できないことがどれほど危険か知りたければ,日本を見れば良い.
l ポピュリズム
FT August 28, 2015
Passion should not just be the
preserve of preachers of populism
Simon
Schama
自由民主主義の諸国に亡霊が徘徊している.それは,ポピュリズムだ.
左派にはがBernie Sanders,Jeremy
Corbyn,が現れた.そして,右派にもDonald Trumpがいる.
Alexis
de Tocquevilleが指摘したように,ポピュリズムは深刻な経済危機の最中ではなく,むしろ短い回復が妨げられたときにあらわれる.彼らは教会を目指す.中世の牧師たちは,現代の東欧民主化を導いたPope John Paul II,Pope
Francisに等しい.
ポピュリズムの政策は,失われた楽園,エルサレムに向けられ,現実では支離滅裂である.しかし,機能しないという批判は無視される.
自由民主主義が犯した過ちとは,格差の増大を復活させたことだろう.
l アメリカの金融引き締め
Project Syndicate AUG 28, 2015
A Cautionary History of US Monetary
Tightening
J.
BRADFORD DELONG
アメリカ連銀は,この40年間に,金融政策を引き締めたことが4度あった.いずれにおいても,その引き締め過程で,雇用と生産が連銀の予想よりも大きく損なわれた.
1979-1982年,Paul
Volckerがインフレを抑えるために,通貨供給量を制限した.伝統的なケインズ主義に反して,そのほうがよいと考えたのだが,それは間違いだった.しかも,シティコープのような金融機関が破たん寸前となり,ラテンアメリカを経済危機に転落させた.
1988-1990年に,Alan
Greenspanが金融を引き締めた.このときはS&L危機が起きた.政府はその救済に巨額の資金を投入した.また,地方政府も財政危機に陥った.
1993-1994年も,Greenspanが金融を引き締めた.この小さな引き締めが,長期資産や借り入れコストに甚大な影響を及ぼした.連銀は速やかに政策を逆転し,アメリカは不況をまぬがれた.
2004-2007年の金融引き締めが,最も破壊的であった.Greenspanも,その後継者であるBen Bernankeも,住宅市場と金融システムがそれほど脆弱であるとは理解していなかった.規制緩和と,その後の金融緩和が導いた間違いだった.アメリカ経済は今なおその破壊的結果に苦しんでいる.
アメリカ連銀が金融を引き締めるとき,経済は非常に繊細な状態になり,危険な結果をもたらしかねない.アメリカの雇用改善はインフレをリスクを示しているのではない.むしろ賃金を見るべきだ.経済が過熱する恐れはない.同時に,財政政策は過度に緊縮的である.中国,ヨーロッパ,世界経済は緊密に結びつき,脆弱性を増している.
連銀が金融引き締めを望むのは,商業銀行家たちが求めるからではないか? と疑わせる.確かに金利が低すぎて,彼らのビジネスモデルはうまくいかない.しかし,経済の回復こそが,彼らにとっての長期的利益であるはずだ.
l 石油価格の下落
Project Syndicate AUG 28, 2015
Cheap Oil and Global Growth
ANATOLE
KALETSKY
石油価格が,昨年,110ドルから55ドルに半減した理由は,サウジアラビアが市場シェアを拡大するために生産を増やしたからだ.しかし,最近の数週間の下落は何か? 2008年後の金融危機以後の最安値になって,世界経済にどのような影響を及ぼすのか?
ふつう,中国経済の減速が石油価格を下げた,と言われる.まるで世界不況の前兆のように.しかし,それは間違いだ.石油価格の下落は世界景気の回復を強く予想させるものだ.最近,石油価格が半減した時期(1982-1983, 1985-1986,
1992-1993, 1997-1998, and 2001-2002)は,その後,急速な世界成長が続いた.逆に,石油価格の上昇は,その後に世界不況が起きた.
石油価格と世界成長には強力な経済メカニズムが働いている.石油価格が10ドル下げるごとに,3400億ドルが石油生産国から消費国に移転する.昨年8月以来,60ドルの下落は,2兆ドル以上の所得移転が消費国へ向けて起きた.それは2009年の米中における財政刺激策を超えている.
石油消費者はその所得を速やかに消費し,他方,政府は支出を借り入れや外貨準備で維持する傾向があるから,安価な石油価格は世界の景気に必ずプラスである.石油価格が急落した理由は,中国の需要が減ったからではなく,中東の地政学にある.
サウジの政策転換は,イランの核合意の数日前に起きた.イランは制裁を解除され,世界市場に石油を輸出するだろう.石油のトレーダーたちは,この地政学に注目した.石油輸出諸国Libya, Russia, Venezuela,
and Nigeriaは,いずれも価格の低下に苦しんでいるが,同時に政治的な混乱に落ち込み,安定化する兆しはない.昨年のイラクのように,今年はイランが供給を増やす.
新たな競争的石油市場で,サウジの独占は破壊され,北米の技術革新が価格の上限を1バレル50ドルほどに決めるだろう.
世界経済を心配するなら,株価など忘れて,安価な石油が世界成長を刺激することを思い出せ.
l 中国の軍事パレード
FT August 31, 2\015
Militarism is a risky temptation for
Beijing
Gideon
Rachman
共産党の権力は、2つの正当性の源泉を持っている。1つは、急速な成長。もう1つは、ナショナリズム、中国民族の復興。
経済モデルが動揺する中で、軍事パレードはナショナリズムへの傾斜を意味する。しかし、ナショナリズムに頼ることは危険な賭けだ。地域の緊張が高まり、小さな領土紛争が誤算から大きな軍事衝突へエスカレートする。
中東に比べて平穏に見えるアジアだが、中国、日本、アメリカが参加する戦争が意味する破壊の規模は絶大だ。
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The Economist August 22nd 2015
Editing
humanity
Genome
editing: The age of red pen
Bello: The
migrant nation
Arab armies:
Full of sound and fury
The sell-off
in commodities: Good-bye to all that
(コメント) 人間の遺伝子を原子レベルで解明できる,という話は知っていましたが,その中身を切り貼りできる,しかも,高校の実験室でもできるほど簡単だ,とは知りませんでした,さまざまな動植物の品種改良や薬品・治療法の開発,病気や害虫の根絶,など,人間の改造も含めて,神の領域を冒すことにモラトリアムが提唱されていますが,守られない,というわけです.
ラテンアメリカの移民社会について,アラブ諸国の新しい(そして非効率で無能な)軍事力,国際商品市場の価格下落と,その長期変動,が面白いです.
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IPEの想像力 9/7/15
エコ〜るど京大の,くすちゃんハウス,ぬか漬けプロジェクトに協力しました.ぬか漬けの天地返しです.
ちょっとした話もするように,という要望で,あまりにお粗末な第1回目の録画は没になり,撮り直しです.・・・なお,賀茂川を超えて,百万遍に向かいますが,早く着いたため,吉岡書店で古本を探し,早坂忠の名著,『ケインズ 文明の可能性を求めて』を思わず買いました.200円です.
さて,話は,ぬか漬けです.サステナビリティを重視する啓発活動の一つ,というのですが,私の専門は国際政治経済学です,ということで,まず,「経済学者はエコに冷たい」と話しました.
経済学は,エコなんてもうからない,と考えるでしょう.補助金や関税でエコを推進するのは間違っている,と断言するのが経済学者です.・・・どうかな? そして,エコロジーは成長にマイナスだ,と言うのです.前のブッシュ政権は京都議定書の改正に反対でした.
儲からないから,成長にマイナスだから,というのは,本末転倒です.・・・人間の社会や経済は,何のためにあるのか? と思ってしまいます.
しかし,同じ目的を達成するのに,それが効果的で,無駄をなくし,経済活動と整合的な形になるとしたら,それは間違いなく経済学の主要な貢献です.市場は,人々の行動を変える偉大な変換装置にもなります.
まあ,そんな話はせず,私は大震災と福島原発事故の後も,日本は原発を(平気で!?)再開し,成長を唱えている,と不満を述べました.他方,遠く,ドイツのメルケル首相が,原発政策を完全に放棄したのです.
次に,では国際政治学はどうか? と考えました.残念ながら,国際政治学もエコには無関心(あるいは,優先順位がとても低い)です.国際政治で,エコを実現するのは難しいからでしょう.自国がエコに優れた政策を実行しても,その改善は自国だけでなく,他国にも及び,しかも,他国はもっとひどい汚染や環境破壊を続けるかもしれません.国際政治は,強制も,協力も,十分に実現できません.
こんな話でぬか漬けを混ぜては,どうにも味気ない(腐ってしまう),と後悔しました.
確かに,オバマは最後になって,いよいよ期待されてきたエコに取り組む気配です.しかし,うまくいくでしょうか? 議会は共和党が支配しています.すでに関心は,次の大統領に移っています.
つまり,・・・最後に,中国の大気汚染を取り上げたのは,儲からないとしても,成長にマイナスでも,中国政府は大気汚染を解決しなければならない,という国民の強い要請を無視できないからです.エコは,共産党政権を揺るがす問題です.株価や住宅価格が下落し,人民元が不安定化しても,中国政府は以前ほど厳しい管理体制を取れません.国民の不満を,不平等や大気汚染の解決によって,政府への支持に転換しなければならないはずです.
次の国際秩序が,中国を抜きには考えられない以上,エコは国境を超えて重要です.アメリカも,中国も参加する,環境のための協力の枠組みを,日本政府は呼びかけるときです.
・・・国民の意識が変わり,政治が変われば,エコは実現します.
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