IPEの果樹園2015

今週のReview

5/4-/9

 

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ウクライナ危機 ・・・ベトナム戦争 ・・・トルコとアルメニア人虐殺 ・・・ヨーロッパへの難民 ・・・イランへの関与外交 ・・・独裁と民主主義の経済競争 ・・・マクロ経済学論争 ・・・中国の大戦略 ・・・ギリシャのデフォルト ・・・安倍首相の訪米 ・・・自由貿易協定 ・・・米中関係の管理 ・・・イギリスの選挙 ・・・ボルティモアの人種暴動 ・・・ネパールの大地震

[長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


l  ウクライナ危機

The Guardian, Friday 24 April 2015

Ukraine’s future is in Europe – we have chosen our path

Petro Poroshenko, president of Ukraine

FT April 26, 2015

The real threat to Europe lies in Ukraine rather than Greece

Wolfgang Munchau

Grexitはユーロ圏を破壊しないし,それを長期的には改善するかもしれない.しかし,もしEUがロシアによるウクライナの侵略に対抗できなければ,EUは解体するかもしれない.

ウクライナは,第2次世界大戦後のマーシャル・プランに似た大規模な支援を受けるにふさわしいケースである.

NYT APRIL 27, 2015

What Central Europe Really Thinks About Russia

By IVAN KRASTEV

かつて中欧はラムズフェルドによって「新しいヨーロッパ」と呼ばれ,自由を愛する,英雄的な小国群である,と称賛された.中東の不安定化やロシアの拡大主義に対する防波堤として,NATO加盟を急いだ.アメリカの最も忠実な同盟者であったのだ.しかし,今,その認識は逆転した.彼らは西側同盟に送り込まれたモスクワの「トロイの木馬」と疑われている.

クリミア併合を,中欧諸国は,ロシアの説明に近い,西側の拡大に責任があると考えている.ロシアの制裁に対して,中欧諸国は最も大きな損失を強いられている.彼らはロシアの資金とエネルギーに大きく依存している.そしてブルガリア国民は,西側に対する怨嗟の多くを,ロシア人と共有している.

ポーランドが冷戦崩壊とEU加盟.経済改革から大きな利益を得たのに比べて,ブルガリアはそれに失敗し,ロシアの攻撃性より,トルコの拡大主義,イスラム過激派を恐れている.ポーランド人も,NATOEUに対する歴史的な疑念をぬぐえない.

ブルガリア人もポーランド人も,西側を完全には信用しないけれど,ロシアをその代わりに頼りにすることもないだろう.

Project Syndicate APR 29, 2015

Ukraine’s Other Chernobyls

IRYNA HOLOVKO

SPIEGEL ONLINE 04/29/2015

Donetsk Separatist Leader

'We Are Not Citizens of Ukraine'

Interview Conducted By Christian Neef


FT April 24, 2015

The bold Brussels ‘eurocrats’ who command the world’s respect

Mario Monti


l  ベトナム戦争

FT April 24, 2015

The US has forgotten about the Vietnamese

Gary Silverman

NYT APRIL 24, 2015

Our Vietnam War Never Ended

By VIET THANH NGUYEN

NYT APRIL 25, 2015

A Case of Too Many Viennas

Ross Douthat

NYT APRIL 29, 2015

Whose Vietnam War?

By NGUYEN QUI DUC


l  トルコとアルメニア人虐殺

FT April 24, 2015

Turks and Armenians in shadow of genocide

Project Syndicate APR 27, 2015

Turkey’s Historical Responsibility

ARYEH NEIER


l  ヨーロッパへの難民

SPIEGEL ONLINE 04/24/2015

An Unending Refugee Tragedy

Europe's Path to Deadly Partition

The Guardian, Sunday 26 April 2015

Mediterranean migrants: No one makes this journey just to pick up benefits

Gary Younge

FT April 26, 2015

Europe could learn from Australia’s tough border controls

Jim Molan


l  イランへの関与外交

Project Syndicate APR 24, 2015

Leading By Engaging

ANNE-MARIE SLAUGHTER

オバマ大統領は,その就任演説から,「関与」の外交政策を主張してきた.彼は,前任者であるジョージ・W・ブッシュ大統領の「悪漢国家」を孤立化させる政策を拒んだのだ.その成果は,ミャンマー,キューバ,イランに示された.

しかし,関与は,それ自体が目的ではない.2国間と地域における関係を変えるための手段である.その意味で,それぞれの国に対して,まだ多くの課題が残されている.

2016年の大統領選挙で共和党の候補者たちが何を言うとしても,オバマの代行政策は成果を上げている.それにもかかわらず,アメリカの影響力が低下したことが議論されることには,2つの答がある.

1に,アメリカ国内の政治的な行き詰まりが大統領の国際交渉力を大きく損なっている.第2に,国際機関を介したような,多角的関与が必要になっており,これは2国間の関与よりも難しい.

次の大統領に求められるのは,こうした新しい関与政策である.

NYT APRIL 26, 2015

Iran Won't Give Up on Its Revolution

By SONER CAGAPTAY, JAMES F. JEFFREY and MEHDI KHALAJI

FT April 27, 2015

The Iran deal that never was

Gideon Rachman

Project Syndicate APR 27, 2015

How Iran Is Winning

SHLOMO BEN-AMI

NYT APRIL 27, 2015

Broaden the Talks With Iran

By MOHAMMAD ALI SHABANI

FP APRIL 27, 2015

How to Make Sure Iran Is a Nuclear Non-Proliferator

BY JOHN KERRY, ERNEST MONIZ

Project Syndicate APR 28, 2015

A Time for Middle East Realism

CHRISTOPHER R. HILL

NYT APRIL 28, 2015

The Ghosts That Haunt an Iran Accord

By KAI BIRD

FP APRIL 28, 2015

White House to U.N.: First Iran, Then Mideast Peace

BY COLUM LYNCH


l  独裁と民主主義の経済競争

Project Syndicate APR 24, 2015

Democracy Versus Growth?

HAROLD JAMES

ヨーロッパの景気回復が弱いことから,経済成果を高めるのに適した政治形態をめぐる古くからの論争がよみがえった.

この数十年を観ても,政治体制に関する経済成果の証拠は振幅を繰り返した.1980年代には,チリのピノチェト独裁体制下で,また善政としてだが,同様に独裁的なリー・クアンユーのシンガポールで,優れた経済成果が示された.他方,工業化された世界の民主主義諸国は,不況と停滞に苦しんだ.

ヨーロッパでは「ヨーロッパ硬化症」と言われた.民主主義は,成長を損なうような特集利益団体の要求に弱い,と政治学者たちは言った.権威主義体制の方が,長期的な経済成果をもたらす政策の実行に適している,というわけだ.

この見解は,ベルリンの壁崩壊,で変わった.東欧における共産主義の崩壊,中央計画体制の廃止は,新しい理解をもたらした.現実的で,腐敗していない改革案があれば,短期的な損失にもかかわらず,多数の人々が選挙で改革を支持する,ということだ.またラテンアメリカでは,左派政党が政権に就いて,有権者たちの希望を満たし,成長を回復するために,最善の方法が市場原理を受け入れることだ,と認めた.こうして1990年代には,民主主義が優勢であった.

しかし,論争は終わらない.世紀の転換期から,中国が超高速の成長を実現し,権威主義体制の優位を顕著に示したからだ.中国共産党は,世界経済の乱気流を見事に回避した.ロシアのプーチン,トルコのエルドアン,エジプトのシシ,ハンガリーのオルバンは,市場の安定化と成長のためには,民主主義を犠牲にするべき時がある,と主張した.

無限に続くようなユーロ危機によって,ヨーロッパの指導者からもそのような意見が示された.危機が始まった頃,現在は欧州委員会の委員長になっているユンカーが,次のように発言して有名になった.「われわれは何をすべきか知っているが,それをした後,どうやったら再選されるかがわからないのだ.」

20105月,ヨーロッパの指導者たちはギリシャに改革を実施させることができず,IMFを改革実行の規律のために参加させた.最近も,ドイツのショイブレ財務大臣は,「もし誰かが議会に改革を強制してくれたら,フランスは喜ぶだろう」と発言して物議をかもした.

権威主義体制は,短期的に無責任な政策を拒んで成果を上げるかもしれないが,長期的には持続できない.有権者に責任を問われない体制は,必ず腐敗し,非効率になる.中国は,今,その問題に苦しんでいる.

民主主義の課題は,長期的に持続可能な政策を実行し,しかも,民主主義的な過程でそれを行うメカニズムを開発する,ということだ.1990年代に東欧の有権者たちが示したように,他の選択肢が無いと理解すれば,彼らはそれを支持した.逆に,ギリシャのように,他の道があると思えば,犠牲を拒むだろう.

政治家たちは,計画をあまりに改変したり,何度も後戻りしたりせずに,決断しなくてはならない.たとえば,大恐慌後のアメリカ議会は,スムート=ホーリー関税法で,破滅的な輸入関税を強いた.それゆえ通商政策は,大統領に権限を委譲し,有権者の圧力から隔離する方が良い,と決定したのだ.同様に,ヨーロッパの財政規律も,長期的で持続可能な戦略に関する議論を経た後,議会ではなく,国民投票に委ねるのが良いだろう.決定された後,その実施は加盟諸国に委ねられる.

民主的な意思決定の代替案は,権威主義体制ではなく,政策の実施メカニズムである.冷静に考え抜かれた方策が,危機に対する感情的な反発によって損なわれないようにすることだ.


l  マクロ経済学論争

NYT APRIL 24, 2015

Zombies of 2016

Paul Krugman

NYT APRIL 27, 2015

Nobody Said That

Paul Krugman

Project Syndicate APR 28, 2015

America’s Risky Recovery

MARTIN FELDSTEIN

Project Syndicate APR 30, 2015

An Even More Dismal Science

J. BRADFORD DELONG

マクロ経済学や経済政策の在り方について論争が続きている.すなわち,第2次世界大戦後の「黄金の30年間」が終わってから,景気循環は基本的に変化したのか,という問題だ.

1に,1991年,Larry Summers, “How Should Long-Term Monetary Policy Be Determined?”が出た.サマーズは,繰り返された1970年代のインフレと,その対策を議論した.そして,中央銀行の独立性を強調した.

論争は,Paul Krugman1998年に出た論文 “It’s Baaack: Japan’s Slump and the Return of the Liquidity Trap” と,その著書 The Return of Depression Economics,に続く.中央銀行はインフレを抑えたが,成長は回復していない.欧米の経済は,第2次世界大戦前の,不況に戻ったようだ.その特徴は,総需要が不足し,デフレの危険があり,金融危機,流動性の罠が重視された.

Krugmanの論文にKeneth Rogoffがコメントした.すなわち,これらの特徴は,債務の累積に関する規制が失敗した結果であり,過渡的なものである,と.その解決には,苦しい債務削減と,政府による異端的な債務削減策しかない.

他にも,Joseph Stiglitz, Ben Bernanke, and Martin Feldsteinなどの経済学者が加わった.

黄金時代が終わったことについては合意ができた.しかし,その性格については意見が分かれている.SummersKrugmanは不況の経済学に戻り,財政刺激策を重視する.他方,Rogoffは,ミンスキーのように,ブームの時期に正しく金融を規制することを重視する.

少なくとも,経済学の楽観は失われたのだ.

Project Syndicate APR 30, 2015

Economic Policy Turned Inside Out

STEPHEN S. ROACH

Project Syndicate APR 30, 2015

Reengineering Government

JEAN PISANI-FERRY

2008年の金融危機後,多くの政府の財政は破綻し,その再建には困難が伴った.これは,1980年代,90年代の財政赤字が基本的に政治的な論争であったのに比べて,経済的な変化を意味する.その条件に合わせて,財政支出や公共サービスが変化しなければならないのだ.


l  富裕層の政治支配

NYT APRIL 24, 2015

The Plutocrat Primary

Timothy Egan


l  中国の大戦略

FP APRIL 24, 2015

The Middle East’s Pivot to Asia

BY DAVID ROTHKOPF

アメリカは,中東の戦場から離れ,成長するアジア地域へと,戦略を転換した.しかし,当時のスタッフが政権から去る中,その推進力は失われた.

他方,中国が中東に向かう戦略を明確にしている.

Project Syndicate APR 27, 2015

The AIIB and Global Governance

ANDREW SHENG and XIAO GENG

アメリカと日本の政府が反対したにもかかわらず,中国が主導するAIIBは,57カ国が設立メンバーとなって,グローバルな経済発展に役立つ機関として始まった.その成否は,AIIBの幹部による意思決定にかかっている.

中国は,ブレトンウッズの枠組み内で発言権を組み直すことにより,参加し続けることを受け入れただろう.英独仏の各4.3%に対して,その3倍の経済規模を持つ中国は3.8%であった.経済規模に見合った発言力を要求する中国に対して,それを拒むなら,新しい機関を提案するしかない.

AIIBは,グローバルな公共財としてだけでなく,中国の政治目標となったthe “one belt, one road” initiativeを実現する.中国からヨーロッパに至るシルクロードと,東南アジアや中東をつなぐ海のシルクロードを21世紀に建設する.連結こそが経済成長のカギであるからだ.道路,鉄道,港湾,空港,通信インフラといったシステムを国内で建設した中国は,それをさらに周辺地域に拡大するつもりだ.アメリカは東に「旋回」するが,中国に西に展開する.

AIIBの昨日は,1960年代に世界銀行が果たしていたものに近い.しかし,世界銀行は1980年代後半からワシントンコンセンサスを掲げて,政治経済の現実を無視した自由化の条件を課すようになった.

ブレトンウッズのシステムを改革するだけでなく,グローバルガバナンスはもっと急速に変化しなければならない以上,AIIBの登場を歓迎するべきだろう.

Project Syndicate APR 28, 2015

China’s Slowing New Normal

MICHAEL SPENCE

FP APRIL 28, 2015

Pushing Back Against a Chinese Lake in the South China Sea

BY KEITH JOHNSON

FT April 29, 2015

Hong Kong’s umbrella evolution

David Pilling


l  ギリシャのデフォルト

FP APRIL 24, 2015

No Deal in Sight for Greece

BY JAMILA TRINDLE

VOX 27 April 2015

The coming defaults of Greece

Charles Wyplosz

ギリシャのジレンマはReinhart and Rogoff (2009)が示す2つの事実に特に関連する.

1.デフォルトはありふれた事実である.2.ギリシャは特にデフォルトを繰り返した国である.

それゆえ興味深いのは,通貨同盟内でギリシャがデフォルトする,という事態をどう見るか,である.

デフォルトと通貨同盟からの離脱とは自動的に結びつかない.ドルの通貨同盟における政府のデフォルトは,カリフォルニアのオレンジ郡,ミシガンのデトロイトのように,中心から外れた政府がデフォルトしても通貨同盟が維持できることを示している.その場合,1.通貨の切り下げはできない,2.通貨供給できる中央銀行はない.これらの点で,ユニークであった.

ギリシャ政府は独自通貨を回復する誘惑を感じている.しかし,その短期的なコストは,短期的な利益を超えるだろう.アルゼンチンがドルに対するカレンシー・ボードを離脱した例は,自国通貨が存在していたため,ギリシャのケースに比べて容易であった.むしろ,それでもアルゼンチンが経験した政治的混乱に注意するべきだ.

他方,長期的には,ドラクマが大幅に減価して,ギリシャ経済が回復するかもしれない.そうなれば,ユーロ圏内で締め付けられた経験から,通貨の自律性に感謝するだろう.大きなショックと惨めな数年,あるいは,永久に続くユーロ圏の制約,そのトレードオフである.バランスを決めるのは難しい.不明確な制度の条件によるからだ.特に,

ギリシャは財政規律を回復するのか?

中央銀行は良質な金融政策を提供できるのか?

ユーロ圏はGrexitからのすべての教訓を学んで,政策や場がナンスを改善するのか?

デフォルトすれば,たとえ部分的なデフォルトでも,ギリシャに融資する者はいなくなるから,政府は財政を均衡させるしかない.しかし,「財政均衡」には違う意味がある.

1に,財政収支の均衡.2015年の財政赤字はGDP3.5%と予測されるが,これは昨年の12.3%から大きく改善したものだ.

2に,プライマリー・バジェットの均衡.この場合,債務への返済は停止される.2014年に,その均衡はほぼ達成された.ユーロ圏の成長が回復し,これまでの緊縮財政を経て,多くの選挙公約を抑制できれば達成可能である.

その目標は,政府から外部の制約を取り除くが,デフォルトしたときのコストが累増して行く.債務の削減が必要になるだろう.それをユーロ圏内にとどまる形で行うことが新しい.

通常の条件では,政府がデフォルトしてもファイナンスの必要はない.通貨同盟にもとどまれる.経常赤字があるとしても,それは民間で融資されている.ギリシャの場合,ユーロ圏を離脱しなければならないマクロの圧力は生じない.

しかし,条件が通常ではない.危機の場合,デフォルトはそれを悪化させる.人々がデフォルトとユーロ圏離脱を同一視するなら,それは自己実現的な予言になるからだ.彼らはギリシャの金融機関に貯蓄を置きたがらない.すでに,資金が大量に流出している.201412月以来,銀行預金の約5分の1が引き出された,と推定される.

銀行の取付に対処するのは,科学ではなく,アートである.第1に,資本流出規制,もしくは預金封鎖.第2は,公的資金の投入,同時に,支払不能の銀行を国有化.

誰がそれを決めるのか? デフォルトした政府に緊急時の財源があるのか,それはないとすると,中央銀行がそれ自身で資金を供給するのか? 要するに,ECBである.De Grauweが明確に示したように,政府債務危機は,ユーロが彼らにとっての外国通貨であるから起きるのだ.

銀行への取付けが起きたとき,ECBがそれに融資しなければ,ギリシャは最悪の条件でユーロ圏を離脱しなければならない.スロモーションの銀行取付が起きる中で,ECBはそれを回避するthe Emergency Liquidity Assistance facilityを提供するが,それには条件や制限がある.ギリシャがユーロ圏を離脱すれば,その国債はECBの融資に適した担保ではなくなる.

Grexitを回避するには,デフォルトを回避し,ECBが最後の貸し手であることを示すしかない.自己実現的な予言になってしまう悪循環に対して,これを止めるには,循環の最初,もしくは最後に,介入して阻止することを表明する.すなわち,ギリシャ政府の債務を削減する,と表明する.銀行取付に対する十分な財源を用意した,と表明する.この表明は,融資条件の合意とは独立に,無条件に行われる.

ギリシャ債務の約80%は,すでにヨーロッパ諸機関やIMFなど,公的なものである.すでに十分なことをした,と彼らは考える.デフォルトは,融資を譲許に変えるだけだ.ギリシャにとって良いこともない.

各国の国民によって選出される政府が,Grexitを阻止する行動を取ることはないだろう.ユーロ圏を守る権限を認められたECBだけが,再び,何でもしなければならない.

Bloomberg APR 27, 2015

3 Tough Choices for ECB on Greece

By Mohamed A. El-Erian

Project Syndicate APR 29, 2015

Tsipras in Dreamland

JOSCHKA FISCHER

チプラスとシリザは,選挙キャンペーンと政府の違いを理解していない.


l  衣服のグローバル企業

FP APRIL 24, 2015

Laundering the Global Garment Industry’s Dirty Business

BY JUSTINE DRENNAN


後半へ続く)