(前半から続く)


l  TPPTTIP

NYT APRIL 3, 2015

Why the Trans-Pacific Partnership Matters

By ROGER C. ALTMAN and RICHARD N. HAASS

アメリカが指導するTPP交渉は,世界経済の40%に達する,アメリカのほかに11カ国が参加し,5年を経て,合意の時期を迎えている.議会は,1993年のNAFTA2011年の韓国との自由貿易協定,と同じ,通商促進権限を承認すべきである.

しかし,議会の承認は望み薄だ.もしこれに失敗すれば,法案には個別の修正要求が殺到して,失敗に終わる.アメリカの通商論争は,同盟関係に影響する.カナダとチリの政府は,TPPに成長回復を期待している.アジア・太平洋の,日本やオーストラリアだけでなく,ベトナム,シンガポール,マレーシアも,通商条約を中国の経済的拡大に対抗するものと考えている.この条約を承認できなければ,アメリカの「アジア旋回」も空虚なものとなる.

TPP批判には,3つの神話がある.

1に,最近の通商条約は雇用や賃金を破壊し,不平等を拡大した,という.こうした主張は,世界貿易の増大と通商条約の影響とを区別できていない.確かに中国からの輸入はアメリカ製造業の雇用減少の21%を説明するが,米中は2国間で貿易するのではない.雇用は世界貿易の増大によって失われたのであり,通商条約のせいではない.不平等の拡大は,経済的にも社会的にも,望ましくない水準であるが,それはグローバリゼーション,技術革新,教育,税制,などに関係する.

貿易の増大によって,アメリカは製造業の基盤を失い,サービス産業で基盤を拡大した.TPPに参加する11カ国の内,6カ国とは自由貿易協定を結んでおり,他の5カ国の関税もすでに低い.

2に,TPPは労働基準や環境基準を低下させる,という神話だ.しかしTPPILOの基準や深化メカニズムを導入している.

3に,通貨価値を安くする介入によって貿易黒字を増やす諸国を阻止できない,という神話だ.以前,アメリカ連銀の量的緩和は強く批判されたが,今や日銀やECBが同様の金融拡大を採用し,ドル高が進んでいる.中国も含めて,為替レートへの介入はIMFが扱うべきだ.

もっとTPPについて多くの利益を語るべきだ.アメリカは歴史的にサービスと農業の貿易で強い.TPPは両分野で市場を開放し,知的所有権の保護も強化される.TPPに反対しても,アメリカ国内の不平等は改善できず,むしろ貿易の利益は広い国民規模で繁栄を実現する.TPPを阻めば,アメリカの重要な同盟諸国は,すでに噴出しているアメリカ政府に対する信頼性への疑問を,いっそう強めるに違いない.アメリカは戦略的な指導性を失うだろう.

VOX 07 April 2015

Catalyst? TTIP’s impact on the Rest

M. Sait Akman, Simon J Evenett, Patrick Low


l  不平等と社会的移動性

NYT APRIL 3, 2015

It’s Not the Inequality; It’s the Immobility

By TYLER COWEN

The Guardian, Wednesday 8 April 2015

Don’t blame rising inequality on technological change

Owen Jones


Project Syndicate APR 4, 2015

A Massacre in Africa

GORDON BROWN


l  イエメンで始まる覇権戦争

SPIEGEL ONLINE 04/03/2015

Proxy War in Yemen

Saudi Arabia and Iran Vie for Regional Supremacy

By Dieter Bednarz, Christoph Reuter and Bernhard Zand

Project Syndicate APR 6, 2015

Iran Versus Saudi Arabia

JOSCHKA FISCHER

「新しい」中東が,日々,示されている.それは西側の大国(第1次世界大戦までの英仏,1940年代から最近までのアメリカ)が支配的な権限を握っていた「古い」中東ではない.そこには地域を安定化する外部の覇者がいない.地域の覇権国家を欠いたまま,危険な,戦略的真空状態が広がっている.

アメリカはもはやその意志も能力ももたない.アメリカの軍事力がすべて引き揚げることは難しいが,戦略的な利益を失う場合を除けば,アメリカが介入することは少ない.このアメリカの慎重な姿勢が生じる真空を,さまざまな国家や非国家が満たそうとしている.特に,イランとサウジアラビアだ.地域の優位を争う代理戦争が,レバノン,シリア,イラク,そして今やイエメンでも始まった.

中東では常に,信仰とエスニシティが重要だ.イランはシーア派の国家であり,その人口規模は,他のスンニ派のアラブ諸国を恐れさせる.地政学,宗派対立,エスニシティは,新しい中東を危険なメレンゲにしている.歴史は外部勢力の介入が無駄なことを示す,彼らの間で決めるべきだ,と主張するのは簡単だが,リスクはエスカレーションと拡大の末に,グローバルなレベルに及ぶ.シリアがそうだ.中東には石油資源があり,世界各地のテロを宗教的に正当化し,各国が核兵器を保有することに関心を持つ.

アメリカがイランとの核開発に関する枠組み合意を成立させたことと,サウジアラビアがスンニ派の連合軍でイエメンに軍事介入したことは,偶然の一致ではない.イスラエルやサウジアラビアは,イランとアメリカとの間で,いかなる合意もイランの地域的な支配を強化する,と反対している.それはアメリカの,事実上の戦略的パートナーが交代することを意味するからだ.

新しい中東が必要とするのは,核兵器でも,宗教的な憎悪でもない.軍事介入のための外交でもない.彼らは集まって交渉し,集団的な安全保障を発展させる必要がある.それに参加するすべての国が正当な利益を保障される.外交と,相互の深い理解が無ければ,新しい中東は世界の火薬庫のままである.イランとの合意は,まだ,その始まりでしかない.

FP APRIL 6, 2015

Dangerous Liaisons: A Pakistan-Saudi Alliance

BY UZAIR M. YOUNUS

FT April 8, 2015

Mixed messages in a divided region

Roula Khalaf

FP APRIL 8, 2015

The Middle East’s Franz Ferdinand Moment

BY J.M. BERGER

イエメン,Sanaaにおける2つのモスクに対する同時自爆テロは,第1次世界大戦の端緒となったオーストリア皇太子,フランツ・フェルディナンドの暗殺と同じ役割を果たすものかもしれない.

NYT APRIL 9, 2015

Bombing Yemen Won’t Help It

By EMMA ASHFORD

FP APRIL 9, 2015

The Arab NATO

BY JAMES STAVRIDIS


l  移民政策論争

The Guardian, Sunday 5 April 2015

Diversity and immigration are not the problem. Political courage is…

Kenan Malik

NYT APRIL 7, 2015

Austria’s Islamic Reforms

By SOEREN KERN


l  アメリカ大統領候補たち

FT April 5, 2015

America’s coming presidential game of thrones

ED Luce

NYT APRIL 7, 2015

What Candidates Need

David Brooks

アメリカ大統領選挙で,候補者たちのことを考えるとき,私はリンカーンのことを読むことから始める.候補者がリンカーンの基準を満たすべきだからではなく,候補者に見出す資質をそこに見るからだ.ビジョン,気質,そして時勢に応じた抜け目ない戦略である.

Bloomberg APR 7, 2015

Four Reasons Rand Paul's Speech Matters

By Jonathan Bernstein

NYT APRIL 7, 2015

Can Rand Paul Win With His Principles?

By THE EDITORIAL BOARD

FT April 9, 2015

Rand Paul’s libertarian policy is casualty of Republican war

Geoff Dyer in Washington

NYT APRIL 9, 2015

Rand Paul, Paul Rand Quiz

Gail Collins


l  アメリカの戦略的失敗

FT April 5, 2015

Time US leadership woke up to new economic era

Larry Summers

アメリカは世界を指導する上で戦略上の失敗をおかした.アメリカは,国際主義の理想よりも,1971年のニクソン・ショックが示したように,自国の利益を一方的に追求する.アメリカが積極的にまとめたIMF改革案を,議会共和党の反対で成立させなかったのは,顕著な失敗だ.アメリカは,機能不全に陥ったグローバルな国際金融アーキテクチュアを,すなわち,国際公共財を,迅速かつ明快に,他国の政府と協力して調整する力を失った.

1.アメリカ国内政治の党派間対立,2.中産階級の政治的影響力,3.資本が供給過剰でデフレ的な世界,が進んでいるからだ.


l  ギリシャ危機

FT April 5, 2015

Tsipras will not find salvation in Moscow

Wolfgang Munchau

FT April 6, 2015

Greece falling short of final debt deal

FT April 8, 2015

Stalemate can be replaced with sanity in eurozone dealings with Greece

Reza Moghadam

NYT APRIL 8, 2015

Putin Meets With Alexis Tsipras of Greece, Raising Eyebrows in Europe

By DAVID M. HERSZENHORN and LIZ ALDERMAN

FT April 9, 2015

Europe faces more than a Greek tragedy

Philip Stephens

Project Syndicate APR 9, 2015

The Eurozone’s False Recovery

PHILIPPE LEGRAIN


l  AIIBの融資に注目する

NYT APRIL 5, 2015

China Steps Back

By HO-FUNG HUNG

FT April 6, 2015

UK’s risky obsession with US decline

Gideon Rachman

FT April 6, 2015

China cannot believe its luck over new investment bank

Tom Mitchell in Beijing

Project Syndicate APR 6, 2015

Will China’s Infrastructure Bank Work?

KENNETH ROGOFF

AIIBについては,アメリカの反対や同盟諸国に参加を控えさせる外交が失敗だった,という議論ばかり盛んに行われている.しかし,もっと多くの関心を,国際的な(多国間)開発融資期間が多くのプロジェクトで失敗したことに向けられるべきだ.

国際開発融資期間が成功するのは,それが「知識」の銀行,経験,実践,技術,などを地域で共有するときである.逆に,大きな失敗を犯すのは,現行エリートの利益に奉仕するが,環境や社会に与える影響を無視して,開発の優先順位が低い,記念碑的な巨大建造物に融資するときである.

アメリカがAIIBに反対した理由,ガバナンスが悪い,中国の政治的目的に利用される,というのは,アメリカ自身が世界銀行に行ったことを観るなら,偽善と非難されるだろう.実際,中国が国際的な指導的役割を引き受ける上で,比較的小規模なインフラの国際融資から始めるのは望ましいことだと思う.

しかし,すでに中国は開発融資を行っているが,曖昧な融資過程に加えて,その実績は疑わしい.だからAIIBが,先進諸国からも新しい理事国を加えて,融資教務について透明性やガバナンスを改善するのは良いことだ.

問題は,アジアがどのような支援を必要とするのか,という点だ.発展途上諸国が成長に対する障害として重視するべきは,資金ではなく,制度の弱さ,ガバナンスの貧しさである.契約の上で巨大なプロジェクトへの融資が成立しても,計画の実現には多くの経験がいる.

開発援助であれば,返済の必要な融資より,完全な譲許が優れている.インフラ建設の中国モデルは,住民の反対を無視して,道路,橋,ダムを建設するが,環境破壊を出し,労働者の権利を損なっている.それは容易に他国に輸出できるものではなく,ソ連型モデルと類似している.

どれだけ融資するかではなく,どのようなプロジェクトに融資するか,という視点で,AIIBの議論を進めるべきだ.

NYT APRIL 6, 2015

When U.S. Allies Join the China-Led Development Bank

FT April 7, 2015

US caught flat-footed over Chinese bank plan

Bloomberg APR 7, 2015

How Not to Deal With China

By The Editors


l  グローバリゼーションと4つのトリレンマ

VOX 06 April 2015

Capital flows and domestic and international order: Trilemmas from macroeconomics to political economy and international relations

Michael Bordo, Harold James

為替レートに関する古典的なトリレンマ論は,固定為替レートの下で,資本の移動性と金融政策の自律性とのトレードオフを表すものだった.この議論は,政府の直面するさまざまなトリレンマに拡大できる.それは,グローバリゼーションに直面する政府の政策選択肢が,マクロ経済の目標と政治的現実とのバランスになることを示している.

トリレンマ#1 マクロ経済

Padoa-Schioppa (1982) Mundell’s (1963)のトリレンマに通商政策を加えて4つにした(不整合のカルテット).それは貿易から通貨統合に向かったヨーロッパ統合を意識したものだ.また,Rey (2013)は,変動レート制でも金融政策の自律性は得られないことを指摘した.

トリレンマ#2 金融安定性

資本勘定の取引自由化は,しばしば銀行や金融システムの安定性を破壊した.特に新興市場では,国際資本移動と銀行部門の脆弱性が結び付いて,国際的な金融危機の原因となった.1830年代のアメリカ,19世紀後半のアルゼンチン,1920年代の中央ヨーロッパ,1990年代のアジア新興市場,2000年になってからの南ヨーロッパ,など,多くの例が知られている.

政府が支払不能の銀行を救済し,あるいは支払保証したことは,しばしば,その約束を守れず,金融の不安定化を拡大することになった.

トリレンマ#3 民主主義

国家は,それが民主的でも,独裁的でも,資本市場の開放による利益を歓迎する.民主主義では,有権者の短期的な要求を満たす政府から,金融政策を独立させることを求める.それゆえ,金融政策の自律性と資本移動とのトレードオフが生じる.

民主主義政府には,資本移動と,金融政策に関して,時間的不整合が生じる.金融緩和は人々がその刺激を予想して行動を変えれば,効果を失う.資本流入は,それが短期的な刺激となっても,突然の流入停止によって,投資が失敗に終わる.政府は短期的な効果のみを考慮し,長期のコストを後の政権に押し付ける.

金融的な不均衡は政治的に魅力がある.政府とインサイダーたちは国際的に求められるような改革を唱えて,資本流入を増やそうとする.資本移動の悪影響を注意するアウトサイダーの警告は無視される.

しかし,金融的緊張が生じると,資本市場開放のコストは高まり,諸政党はもはやその結果を受け入れなくなる.有権者は既存政党を嫌い,反システム,ポピュリストの政党を支持する.左派のポピュリストは,不当に大きな調整コストが貧困層に押し付けられている,と攻撃する.右派のポピュリストは,調整が外国の債権者の利益となり,国家主権を否定している,と攻撃する.民主主義の原理が,国家主権の強化に利用される.こうした逆転は大恐慌でも起きた.

20世紀後半の信用拡大の大きな循環とともに,大恐慌の悲惨な記憶が薄れた.そして新興市場における危機に関して,グローバリゼーションと民主主義との関係を一般的に議論するEichengreen (1996). Rodrik (2000 and 2007)が現れた.すなわち,高度なグローバリゼーションと,民主主義,国民国家の自律性,とは矛盾するというものだ.それは,ユーロ危機,世界金融危機により,裕福な工業諸国についても言われるようになった.

民主主義政治は2つの対応をとる.

1.行動の一般原則を合意する.2.(それに従い)資源を再配分する.

しかし,生産要素が国境を超えて容易に移動するとき,たとえば,資本に課税することは難しい.高税率は資本を国外に逃避させるからだ.それは,高所得者に対する課税も,一般的な法に関しても,政府の力を制約する.

トリレンマ#4 国際関係

民主主義と同様,安定した「国際秩序」も資本流入をもたらす.資本移動性と「国際秩序」との間で,民主主義的な政府が選択できる政策は限定される.

安全保障に対する条約とその関与が,単なる金融的なメカニズム以上に,債権国政府に銀行融資を継続させることになる.同盟関係は投資家に安全保障を与える.資本移動性の高まりによって,民主的であれ,非民主的であれ,各国は強力な債権国との関係を強化する.

また,危機における国内の政治的資源再分配は,他国にも影響し,国境を超える資源再分配を求める政治的要求を生じる.「他者に支払わせろ!」 という要求だ.同盟関係や緊密な政治同盟は,こうした不安定化をもたらす民主主義の動きを抑制する.

資本移動性,民主主義,安定した国際秩序は,同時に成立しない.

4つのトリレンマは,民主的な政府の直面する政策選択の制約を示すものだ.しかし,現実には,純粋な資本移動性や金融政策の自律性は存在しない.中間的な制約された目標に対して,さまざまな政策が可能である.また,民主主義をより広い国際秩序の中で考察することが,偏狭なゼロサム思考の政治から抜け出すことを可能にする.大きな安全保障の枠組みを受け入れることで,資本移動性や安定化の枠組みを合意できる.

しかし,ブレトンウッズ型のグローバル・コンパクトを安易に賛美してはならない.それは強い恐怖の助けなしには機能しないからだ.第2次世界大戦後,グローバルな危機が制御できなくなることを各国は強く恐れていた.その教訓とは,残念ながら,ダイナミックの改革の前には,事態が極度に危険な状態を示す必要がある,ということだ.

Project Syndicate APR 7, 2015

Regulate the Carry Trade

HAROLD JAMES

近年,為替レートに関する改善策は,まったく関心を払われていない.2011年にフランスが提案した国際通貨制度改革案も,何の成果にも至らなかった.

通貨戦争は,グローバリゼーションが非常に脆弱な過程であることを教えている.ある地域で,それが受け入れがたい苦痛を生じれば,政治的介入の要求が高まり,それはシステム全体の危機に転化するのだ.

為替レートの変動は,短期的な世界市場における不均衡の調整を超えて,オバマ政権が推進するアジア太平洋やヨーロッパとの自由貿易協定にも影響する.反対派は,為替レートの政治的な介入を貿易自由化の拒否理由にしているからだ.以前も,ドル高が議会で保護主義の声を高めた.

1980年代半ばには,ドル高による貿易赤字が,急激な脱工業化と,黒字国であった日本などへの報復措置を政治家に要求した.現在,為替レートの大幅な変動は,1980年代や1930年代の変動に比べても,さらに大きくなっている.

問題は,金融機関や大企業が行う,いわゆるキャリー・トレードが,為替レートの振幅を拡大していることだ.金利の低い国で借りて,金利の高い国で貸す.為替レートが安定的で,大きな変動を予測できると考える投資家たちが,債務をさらに増やして,こうした操作で利益を得ているのだ.

しかし,残念だが,それは違う.こうした行為はリスクを増大させ,突然の資本移動逆転を起きやすくしている.リスクのヘッジはシステムの他の部分でリスクを作ることでしかない.1980年代のドル高は,保護主義を恐れた協調介入によってドル暴落のリスクを回避したように見えたが,同時に,198710月の株価暴落に結び付いた.

歴史の先例を学ぶなら,1930年代の資本移動がグローバリゼーションのマイナスの帰結を強めることに強く反対したJ.M.ケインズであろう.現代では,キャリー・トレードの規制を導入することだ.


l  南アジアの核問題

NYT APRIL 6, 2015

Nuclear Fears in South Asia

By THE EDITORIAL BOARD


l  中国の低成長

FT April 7, 2015

China will struggle to keep its momentum

Martin Wolf

Project Syndicate APR 7, 2015

China’s Not-So-New Not-So-Normal

JIM O'NEILL

FT April 8, 2015

China: Projections of power

Charles Clover

Project Syndicate APR 9, 2015

China’s Slow-Growth Opportunity

YU YONGDING

中国は,一人当たり所得が7000ドルであるが,同じ水準にあった日本の1956年から1970年に比べて,より低い成長率しか実現できないだろう.その理由は,潜在成長率だ.


l  日本の空虚な改革

FT April 7, 2015

Reforms needed to lift Japan’s economy

Henny Sender

日本の改革は何も進んでいない.金融緩和と円安を利益とした企業の株価が上がっただけだ.外国から介護の労働者を入れることも,インターネットによる配車サービスも,教育システムや起業家の育成も,何も進んでいない.先進諸国から20年は遅れている.

FP APRIL 7, 2015

Is Japan’s New ‘Helicopter Destroyer’ an ‘Aircraft Carrier’?

BY JAMES HOLMES

FT April 8, 2015

Japan needs a working hours overhaul

David Pilling

多くの改革が企業レベルで必要だ.

FT April 9, 2015

Japan in long battle over war apology

Robin Harding in Tokyo


l  カナダとカリフォルニア

FP APRIL 7, 2015

How Canada Could Cash In on California’s Drought

BY GEOFF DEMBICKI


l  国連安保理の愚かさ

FP APRIL 7, 2015

The U.N. Security Council. What’s Up With That?

BY STEPHEN M. WALT

地政学的に見て国連安保理が愚かなことを示す9つの現実.1.アメリカは数1,000発の核兵器を持つ.2.安保理常任理事国の構成.・・・


l  シンガポールの成功

Project Syndicate APR 8, 2015

The Secret of Singapore’s Success

STAVROS N. YIANNOUKA


l  アイスランドの通貨供給

FT April 9, 2015

Iceland’s daring raid on fractional reserve banks


l  社会進歩は重要だ

Project Syndicate APR 9, 2015

Why Social Progress Matters

MICHAEL PORTER

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The Economist March 28th 2015

The White House in 2016: Cruz the bruiser

Lee Kuan Yew: The wise man of the east

Lee Kuan Yew: Asia’s city-statesman

Tourism in Japan: Treasure hunt

Singapore after Lee Kuan Yew: After the patriarch

Iran and Shia militias: The Shia crescendo

Nigeria’s oil: Crude politics

Charlemagne: In Germany’s shadow

(コメント) アメリカ大統領選挙の共和党候補に現れた Ted Cruz に驚きました.しかし,Lee Kuan Yewの刺激した論評は,アジアでも,シンガポールでも,こうした指導者を葬るような転機が訪れたと感じます.

日本の景気刺激策で,最も成功したのは円安と株高,と思ったら,中国人観光客のショッピングであったわけです.安倍首相も中国非難を控えるはずです.

イラン,ナイジェリア,ドイツの記事に興味を覚えました.

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IPEの想像力 4/13/15

理想的な社会についても,トリレンマ論があるのでしょうか?

私たちは,富を創る社会的なネットワークに参加することで豊かになります.しかし,それがもたらす結果について,社会的な理想から大きく外れていると感じた人々は,公的な意志による介入を求めるでしょう.こうして,市場と社会的正義とは,政治的な意志を形成することで,理想的な社会を保証しているはずです.

NHKドキュメンタリーWAVE「沸騰するキューバの市民ツーリズム」を観ました.

医療や教育が無料であるのは,キューバ社会主義の理想を表す美点だと思います.そして,その費用負担は大丈夫なのか? と心配になります.キューバは世界各地の紛争地域や被災地域,エボラ・ウィルス感染拡大地域にも,医療支援を行い,その理想を世界に示して称賛されました.

その一方で,アメリカによる禁輸や経済制裁は,ソ連崩壊,ヴェネズエラの混乱,など,国際支援を失ったキューバの経済運営を著しく困難にしているのです.アメリカによる制裁解除,国交正常化は,アメリカや世界の市場を介して,キューバ国民も豊かになる機会を増やすでしょう.

しかし,社会的な正義はどうなのか? 彼らの不安を和らげるには,政治への信頼が欠かせないはずです.政治が動かせる手段,その能力は,市場統合により急速に失われます.

キューバの葉巻は有名ですが,イチゴが非常に高価である,とテレビで紹介していました.ペソと兌換ペソとの違いは,貿易を制限されたことで生じたシステムが,政府による資源配分を維持する仕組みにもなっています.今,禁輸が解除され,2つの為替レートを円滑に一致させることができれば,キューバは貿易の利益を得て,国民の所得水準がフロリダに近づくはずだ,と思いました.

政府による配給制,許可制に代わって,市場の競争が始まります.市民たちが民宿やレストランを開いて.外国人観光客から兌換ペソを手に入れます.オバマ・ドクトリンは,禁輸や制裁ではなく,市場開放によって,異なる政治体制を徐々に市民の要求に応えるシステムに同化させていく試みです.それは,中国が香港を取り込む試みと,類似した過程かもしれません.

すべての人々が参加する政権,機能する政治経済システム,地域安全保障,・・・オバマはイランとの合意を超えて,中東世界のすべての政府,すべての住民に呼びかけます.それはチャンスである,と.

市場自由化・統合,マクロ政策の自律性,金融の安定性,民主主義,安定した国際秩序・安全保障,こうしたグローバリゼーションの重層するトリレンマは,新しい市場圧力にさらされるキューバの政府や市民たちを苦しめます.もし人々の積極的な試みが,さまざまな協力の枠組みと結びつかないなら,東欧民主化や「アラブの春」,ユーロ危機でも,政治経済秩序の不安定化に向かいました.

社会主義の,あるいは,理想社会のトリレンマは,世界化する市場の圧力に応じて,各地の政治過程を再編する能力を問うのです.

日本の統一地方選挙では,知事選挙の多くで与野党が現職候補に相乗りし,地方議会選挙では無投票当選が増え,投票率が低下しました.大阪では,維新の党以外はすべて敵だ,というシングル・イシュー選挙に変わり,自民党内部の候補者争いから鞍替えした政治家が,保守党からUKIPに移ったように,多かったのかもしれません.

定時制の夜間議会や,託児所を備えた議会,という話を,若い政治学者がしていました.むしろ市民の義務として,投票するし,必ずだれもが議員になる,という古典的時代に回帰する予感がします.社会主義,民主主義,市場統合,それを合意できる,有能で,敏捷で,深い思索とガッツのある政治家・政治システム・国際秩序を見出す中で,キューバも,アメリカも,このカオスから抜け出します.

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