(前半から続く)
l ギリシャ左派政権の誕生
FP JANUARY 23, 2015
Greece’s Hope and Change Moment
BY
YIANNIS BABOULIAS
The Guardian, Sunday 25 January 2015
Syriza stood up to the money men –
the UK left must do the same
Zoe
Williams
The Guardian, Sunday 25 January 2015
Greece shows what can happen when
the young revolt against corrupt elites
Paul
Mason
FT January 25, 2015
Will Syriza’s Tsipras turn out to be
a Lula or a Chávez?
Tony
Barber
左派政党が選挙で政権を取り,ヨーロッパの同盟諸国は不安を感じている.その指導者はギリシャが選択に直面している,と述べた.「過去と未来の選択,進歩と退歩の選択,服従と国民的独立の選択」である.
これはAlexis Tsiprasの言葉ではなく,1981年に選挙で勝利した,社会主義政党Pasocの指導者Andreas Papandreouの言葉である.Papandreouは1980年代のギリシャを支配し,ヨーロッパやアメリカとの関係を転換させる取引を求めた.今回のTsiprasとの交渉を考える参考になるだろう.
ただし,当時と今では,政府債務への存状態が全く異なっている(GDPに対して25%と175%の政府債務).かつてと同様に,Tsiprasも貧困家庭への無償の電力供給,食糧配給券の配布,などを公約している.しかし現在のギリシャは,その債券を持つIMFやEUの意向を無視して,Pasocのような支出政策を採用できない.
Papandreouは,NATOやEECからの離脱を主張して,農業補助金や地域振興基金から好条件を得た.同様に,TsiprasもEU-IMFと2450億ユーロの救済融資条件を再交渉すると主張している.政権を得たTsiprasが,要求を緩和し,プラグマティックな交渉に向かうのか,まだわからない.3年前の選挙では,彼をときにはヴェネズエラのHugo Chávezのように,反米の急進的ポピュリストとみなし,またときにはLuiz Inácio Lula da Silvaのように,ブラジルの市場改革派指導者とみなした.
Tsiprasに有利な点は,内戦が終わって32年しかたたない1981年ほど,今はイデオロギー論争が起きないことだ.しかし,不利な点は,彼の基盤である急進左派勢力がプラグマティズムを嫌うことだ.
明らかに言えると思うのは,TsiprasがPapandreouほど長期に権力を維持できないことだろう.
Bloomberg JAN 25, 2015
What Syriza's Sweep Means for Greece
and Europe
By
Mohamed A. El-Erian
theguardian.com, Monday 26 January
2015
Syriza’s victory: this is what the
politics of hope looks like
Owen
Jones
ギリシャはEUによる独裁的な緊縮から抜け出した社会になる.ベルリンの壁崩壊,ソ連崩壊,民主主義的な左派のプロジェクトはすべて破滅を意味するものとされた.組織されたイデオロギーの対抗勢力を失い,資本主義は,国有企業,累進課税,労働者の権利,社会保障,規制,という以前のすべての制約を捨て去った.
Syrizaの勝利は,「ほかの選択肢はない」という時代への朝鮮だ.若者の半分が失業し,子供の貧困率が倍増した.エリートたちの科した絶望の政治を,不可避であるとか,抵抗できないとか,克服するのは不可能だといわれてきた.しかし,左派は政治勢力として再登場したのだ.ヨーロッパ中の左派勢力がアテネに集まってきた.
The Guardian, Monday 26 January 2015
Germany will relent on Greek debt –
and Europe will suffer
Josef
Joffe
FT January 26, 2015
Europe cannot agree to write off
Greece’s debt
Gideon
Rachman
ギリシャ債務の劇的な削減が唯一の解決策だ,という政府の主張を受け入れるのは危険である.
1.それは北欧諸国において政治的な反発を生じる.2.南欧で極左や反資本主義の政党が支持され,同じような債務削減を求める.資本市場の信頼は失われる.3.EU諸国内の合意形成はさらに難しくなる.
フィンランド首相Alexander Stubbが述べたように,フィンランドがギリシャに融資した10億ユーロは,年予算の2%に等しく,不況に苦しむ国として,その半分を破棄することには政治的に受け入れられない.それで得をするのは右翼のTrue Finns党だけである.フランスでも,オランダでも,スウェーデンでも,北欧の右派政党は反発を吸収するだろう.ドイツの政治にも,これまでメルケルが抑えてきた,ユーロ圏に反対する政党や,移民排斥のデモが勢いを得るだろう.
ギリシャの債務放棄が,スペイン,ポルトガル,アイルランド,イタリアにも波及する.市場はそれを恐れて,次の通貨危機のリスクを高めるなら,すべての者が損失を被る.
ギリシャがこのまま服従し,苦しむべきだ,という意味ではない.利子は削減され,期限は延長された.債務の支払い再開はギリシャ経済の成長を待たねばならないだろう.そのために,ECBの金融緩和,石油価格の下落が刺激となる.
FT January 26, 2015
Halve Greek debt and keep the
eurozone together
Reza
Moghadam
ギリシャの離脱を使った脅迫は危険なゲームである.ギリシャのユーロ圏離脱は,銀行の取り付け,新通貨の大幅な減価,経済関係の破壊,国内の社会混乱を経てしか,実現しない.ヨーロッパにとっても,ユーロ圏離脱のタブーが敗れ,他の債務諸国が危機の伝染に苦しむ.
ギリシャの構造改革と,ヨーロッパがギリシャ債務を半分に免除することを組み合わせた,プラグマティックな交渉に合意することだ.
FT January 26, 2015
Who will blink now Syriza has won?
George
Magnus
NYT JAN. 26, 2015
Ending Greece’s Nightmare
Paul
Krugman
救済融資の前提であった「信認の妖精」はいなかった.
Bloomberg JAN 26, 2015
Syriza's Tall Order for Greece
By
Megan McArdle
Bloomberg JAN 26, 2015
Syriza, Le Pen and the Power of Big
Ideas
By
Leonid Bershidsky
FT January 27, 2015
Greek debt and a default of
statesmanship
Martin
Wolf
正しく行われれば,債務の削減はギリシャにも,ユーロ圏全体にとっても,有益であるだろう.しかしそれは難しい.それを実現する困難は,ギリシャを切り捨てて狼に食わせることで生じる困難より,小さいだろう.しかし,残念ながら,そのような合意は不可能だろう.
ギリシャ国民が味わった苦痛を思えば,彼らがSyrizaに投票するのは当然である.Alexis Tsiprasは再交渉を求めているが,それを拒む2つの主張を否定しておく.1.債務を支払うべきだ.2.ユーロ圏はすでに十分な譲歩を行った.
第1に,債権者は融資に際して賢明な判断を行う責任がある.第2に,ギリシャの負担は少ししか減らず,ギリシャ債務を経由に資金が債権者に流れている.
では,債務免除をどうするべきか? それは,正しいやり方,都合のよいやり方,危険なやり方,に分けられる.
正しいやり方とは,IMFの元幹部が主張したように,債務を半減し,改革を条件とすることだ.それには,IMF/世銀が1996年に始めた重債務諸国の免除が適用できる.改革の基準が用意されている.
都合のよいやり方とは,救済融資を増やして,返済されることで解決できる,という見せかけを継続することだ.また,危険なやり方とは,ギリシャの一方的なデフォルトである.ECBはギリシャ債券を購入しなくなり,一気に債務危機が起きる.ユーロ圏諸国は,信認を失った固定制となってそれに制約され,慢性的に不安定化するだろう.
ユーロ圏を創ったことは通貨制度として最悪の試みだったが,それを解体することはもっと悪い.
FT January 27, 2015
Germany should recall its time in
Europe’s sick bay
Marcel
Fratzscher
欧州委員会の委員長であったJacques Delorsは述べた.「ドイツ人のすべてが神を信じているわけではないが,彼らはすべてドイツ連銀を信じている.」
ドイツ人がなぜ犠牲者だと感じているのか,理解する必要がある.それは,ギリシャの選挙でSyrizaが当選したこと,ECBがQEを始めたことが,彼らのEUやユーロに対する信頼を損なったからだ.
ドイツ人の多くは,ヨーロッパのパートナーたちが信頼できない,と感じている.パリとローマは財政協定を破り,イギリスは統合よりも自分たちの利益を求め,Syrizaは第2次世界大戦の補償を要求している.フランスも,ヨーロッパのルールに従わない,と宣言する.
ベルリンの課題は3つある.1.危機に苦しむ国の救済が必要だと有権者を説得する,2.ドイツの忍耐と謙虚さを求める,3.ヨーロッパの諸制度を強化するうえで指導力を発揮する.
ドイツ人は「ヨーロッパの病人」と呼ばれた時代を思い出すべきだ.
VOX 27 January 2015
Syriza and debt talks: Estimates
from a Rubinstein bargain approach
Paolo
Manasse
FP JANUARY 27, 2015
Can Greece and the Troika Make the
Impossible Possible?
BY
EDWARD HARRISON
Bloomberg JAN 27, 2015
Germany Deserved Debt Relief, Greece
Doesn't
By
Leonid Bershidsky
The Guardian, Wednesday 28 January
2015
We must stop Angela Merkel’s
bullying – or let the forces of austerity win
Owen
Jones
NYT JANUARY 28, 2015
Can Greece’s Anti-Austerity
Government Succeed?
The Guardian, Thursday 29 January
2015
Will Spain join the Greek
revolution? Don’t bet on it
Natalie
Nougayrède
FT January 29, 2015
The stand-off that may sink the euro
Philip
Stephens
l 中国の改革
(China Daily) 2015-01-23
Time to push on with IMF reform
By
Wu Zhenglong
FT January 25, 2015
China: Monopoly position
Charles
Clover
反トラスト法によって,中国政府・官僚が市場の構造,特許の在り方を変更する.この新しいアプローチは成功するか?
FP JANUARY 25, 2015
Why China’s U.S. Treasury Sell-off
Is Good News
BY
PATRICK CHOVANEC
FT January 26, 2015
China seeks to forge foreign demand
for its industrial output
Lucy
Hornby in Beijing
Project Syndicate JAN 26, 2015
Can China Avoid Deflation?
YAO
YANG
FT January 28, 2015
Renminbi joins top five most-used
currencies
Josh
Noble in Hong Kong
Bloomberg JAN 28, 2015
China Hops on a 'Treadmill to Hell'
By
William Pesek
FT January 29, 2015
China: Overborrowed and overbuilt
Jamil
Anderlini
郊外都市の不動産バブル破裂に,中国経済の問題を示されている.
Project Syndicate JAN 29, 2015
How Fast Will China Grow?
JUSTIN
YIFU LIN
中国の成長率はどうなるか? 技術ギャップ,国内条件,国際条件から考える.
l アウシュビッツの教訓
NYT JAN. 24, 2015
How Auschwitz Is Misunderstood
By
DANIEL JONAH GOLDHAGEN
アウシュビッツは,その高度な効率性がナチスの犯罪を象徴する近代的工場に表現されている,と理解されている.しかし,大量虐殺は技術を必要としない.ルワンダでは,鉈やこん棒で虐殺が行われた.
決定的に重要な要素は,政治指導者がジェノサイドの実行を約束することだ.そして,住民の多くが処刑に参加する意志を持ち,さらに広範な市民もそれに共感する.ホロコーストの場合,ドイツの一般庶民,ヨーロッパの他の諸国がこれに参加した.何よりも,標的となった人民を殲滅することは必要であり,正しいことだ,という信念を人々に与えて行動させるイデオロギーが重要だった.
アウシュビッツは,そのような人種差別思想による革命,社会・政治的な構造転換のメカニズムを意味した.
The Guardian, Monday 26 January 2015
In the 70 years since the trauma of
Auschwitz, what have we learned?
Ephraim
Mirvis
The Guardian, Tuesday 27 January
2015
The Guardian view on the 70th anniversary
of the liberation of Auschwitz
Editorial
The Guardian, Tuesday 27 January
2015
Auschwitz 70 years on: a different
place, yet memories of its horror endure
Jonathan
Freedland at Auschwitz-Birkenau
YaleGlobal, 29 January 2015
Germany’s Nationalist Movement Rides
on a Wave of Islamophobia
Frank
Griffel
l オバマのインド訪問
FT January 25, 2015
Obama’s savvy bet on India’s rise
ED
Luce
多極化する世界を再編する力を得るには,アメリカとインドの関係が重要な意味を持つ.オバマはインドを必要とする.第1に,気候変動の国際合意のために,第2に,世界経済の成長を持続させるために,第3に,中国の台頭についてリスクをヘッジするために.
しかしインドは,アメリカのようなマニ教的外交関係を求めない.アメリカとの軍事同盟を支持しないし,中国との貿易を求め,安倍首相を親友と呼び,ロシアとの軍事協力関係も失わない.
Bloomberg JAN 26, 2015
India's Swelling Stash of Dollars
By
William Pesek
FT January 27, 2015
China’s churlishness shows strength
of US-India relations
Victor
Mallet in New Delhi
Bloomberg JAN 28, 2015
Obama and Modi Make Magic
By
Chandrahas Choudhury
モディは,オバマを祭典に招待することで,インド国民に自分たちの国が世界最強の国家の指導者から尊重されていることを印象付けた.
オバマは,モディの計画通りに動いただけではない.最後の晩に,デリーで行った演説において,オバマはアメリカに多くの信仰があることを自慢した.モディとその支持集団であるRSS(ヒンズー・ナショナリスト運動)にとって,イスラム教徒やキリスト教徒を称賛する姿勢は全くない.しかし,モディは公然と否定できなかった.
l イスラム国による日本人殺害
FP JANUARY 25, 2015
Beheading of Japanese Citizen Leaves
Tokyo With Agonizing Choice
BY
DAVID FRANCIS
Project Syndicate JAN 27, 2015
Japan’s Beheaded Illusions
YURIKO
KOIKE
政府は国民の安全を確保しなければならない.日本政府が人質救出作戦を,イスラエルがやったように,実行するため,憲法を変える必要がある.
FT January 28, 2015
A tipping point for Japan’s foreign
policy
David
Pilling
後藤健二の人質事件で,日本の善隣外交の時代が終わった.イスラム国家の例を,安倍首相は憲法の欠陥を示すものとして利用するだろう.
日本の「平和主義」や「善隣外交」,「中立」は維持できなくなった.経済的に成功し,中国の台頭や9・11後のアメリカ,という変化を受けて,安全保障の汚れ仕事をアメリカに委ねる政策は維持できない.安倍首相は,憲法改正に向けて動いてきた.
安倍は日本が国際政治の舞台に立つべきだと考えている.そのために「積極的平和主義」という言葉で,外交や防衛の国際的関与を拡大してきた.後藤の解放交渉はその具体的なケースになる.しかし,この事件で,国民の多くは逆に国際的な関与を嫌うだろう.この事件をめぐる論争は,日本外交の方向を変える.
たとえ人質解放や憲法解釈の変更,改正論に,政府が一時的に失敗しても,その長期的な方向は変わらないだろう.中国の領土要求,アメリカによる日本防衛の約束に頼れないという感覚,中東の石油に対する依存,は今後も続くからだ.
The Guardian, Thursday 29 January
2015
Jordanian public opinion is not
united in the face of the threat from Islamic State
Editorial
l 韓国の成長エンジン
Project Syndicate JAN 26, 2015
Starting South Korea’s New Growth
Engines
LEE
JONG-WHA
韓国経済の成長減速は著しい.1965-2005年の平均成長率は8.1%であった.最近の10年では3.6%である.IMFの予測ではさらに低下する.
韓国は成長を高めるために,新しいエンジンを求めている.以前の高成長は,優れたファンダメンタルズと開放的な政策による輸出の伸びが実現した.しかし,それは外国市場の成長に大きく依存することになった.中国経済の影響はその例だ.
サービス経済に多くの雇用を依存し,その生産性が,特に中小企業で低いことも問題だ.中産階級は減少し,国内需要は抑えられ,チェボルの市場に対する支配力が新規投資を妨げている.
近代的なサービス部門を育て,外国からも投資を歓迎し,チェボルのガバナンスや行動を厳しく監視することで,朴政権は「創造的経済」の目標を追求するだろう.
l フランスの改革
Project Syndicate JAN 26, 2015
How France Will Reform
MANUEL
VALLS
FT January 28, 2015
An elite of fatalists has no answer
to an insurgency of populists
Gérard
Errera
l イギリス労働党
The Guardian, Tuesday 27 January
2015
What Greek politics teaches the
Labour party: there is an alternative
Aditya
Chakrabortty
FT January 27, 2015
Defend Labour’s economic record –
the facts support us
John
Hutton and Alan Milburn
l 日本の成長モデル
FT January 27, 2015
Easy money cannot cure Japanese
stagnation
Henny
Sender
金融政策だけで日本は停滞を抜け出せない.日本がかつて依拠した成長モデルは,低賃金,高貯蓄,一流企業の終身雇用,そして輸出を伸ばすことであった.しかし,中国の台頭は,その規模の経済による低コストで日本の競争力を失わせた.また,日本は高齢化し,賃金や雇用の体系が成長を損なう性格に変わった.
l ロシア経済は崩壊しない
FT January 27, 2015
Arm Ukraine to show Russia conflict
has a cost
Ivo
Daalder
Project Syndicate JAN 27, 2015
Why Russia’s Economy Will Not
Collapse
CHARLES
WYPLOSZ
プーチンの権力を奪うために,1998年のような,ロシア経済の崩壊を期待するのは愚かである.
当時はロシア政府が大幅な財政赤字で,外貨建債務に頼っていた.そのような中で,石油価格の下落,ルーブルの減価は,デフォルトを意味した.
対照的に,今のロシアは財政黒字である.政府債務もGDPの20%以下である.石油価格は下落したが,ルーブルの同じように減価し,その結果,ルーブルの歳入は変化しない.
ロシアの経常収支も近年は黒字であった.対外債務は政府・民間を合計してGDPの40%以下であり,その多くはルーブル建である.
確かに,オリガークや市民の資本流出は問題だ.中央銀行CBRは困難な立場にある.ルーブル安でインフレが生じ,金利を引き上げる.しかし,それを資本流出の対策とみなされても,失敗するだけだ.成長が失われることで高金利が嫌われ,CBRが政治家たちの標的になりやすい.
プーチンは幸運だった.石油価格の上昇期に権力を得た.ロシア経済を多様化・健全化する改革は利害対立を生じる困難なものであるため,プーチンは石油に依存した経済を放置した.それは現在の危機を生じたが,政治的には支持されている.
欧米による経済圧力の段階的な強化は,非常に危険なゲームである.プーチンを弱体化することにならないだろう.国内経済の混乱に対して政治的支持を保つには,対外的な軍事的冒険が求められる.制裁や経済崩壊を求めるよりも,外交的な努力を重視することだ.
Project Syndicate JAN 27, 2015
Russia’s Preemptive
Counter-Revolution
ALEXANDER
ETKIND
NYT JAN. 27, 2015
Save the New Ukraine
By
BERNARD-HENRI LÉVY and GEORGE SOROS
FP JANUARY 27, 2015
Grecian Burn
BY
KEITH JOHNSON, JAMILA TRINDLE
FP JANUARY 27, 2015
Sisyphus Just Needs a Hand
BY
JAMES STAVRIDIS, JUSTIN MUZINICH
FP JANUARY 27, 2015
Why Putin Is the Big Winner in
Greece’s Elections
BY
KEITH JOHNSON, JAMILA TRINDLE
FT January 28, 2015
West must help Ukraine to defend
itself against Russia
l シャルリー・エブド
Project Syndicate JAN 27, 2015
Charlie Hebdo’s Rights and Wrongs
ANNE-MARIE
SLAUGHTER
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The
Economist January 17th 2015
The
roots of jihardism: a struggle that shames
Sri
Lanka’s election: Ask Siri
China
in Africa: One among many
Russia’s
battered economy: Hardly tottering by
Political
risk in Chinese finance: Kung-fu fighting
Free
exchange: Zoning out
Obamacare:
Good, bad and ugly
(コメント) イスラム教においても宗教改革が必要だ,と次第に議論されるようになりました.政治との関係,近代性や市民生活との関係,女性の役割,他の宗教との関係,など.
しかし,聖戦主義の思想が現れて,権威主義的な独裁体制による弾圧,外国の軍事的征服,など,彼らの侵攻を脅かす敵に対する暴力を正当化する.それは,1979年のソ連軍によるアフガニスタン侵攻,1981年にエジプトのサダト大統領暗殺,アルカイダによるアメリカへのテロ攻撃から,現在のイスラム国家にまで続きます.
中国のアフリカに対する貿易や投資が「帝国主義」として批判され,スリランカの大統領選挙,ロシアからの資本逃避,中国金融システムが抱える政治リスク,ギリシャ離脱の巨大なコスト,が興味深いです.オバマが実現した社会保障システム改革をめぐる政治取引と妥協,特殊利益集団との秘密交渉,を扱う本の紹介もあります.
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IPEの想像力 2/2/15
ドキュメント72時間「北の大地の学生寮」を,途中からですが,感動して,楽しく観ました.流れる曲とナレーションがとても素敵です.
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それは,広いキャンパスの奥にある北大恵迪(けいてき)寮.
NHK取材班はホールを片づけている学生と話しはじめた.
「ちょっと,中を見せてもらうことにします.」 「それにしても,・・・味わい深い建物・・・」と,壁に貼られたビラや荷物の並ぶ廊下を抜け,階段を登る.
慌てて先に入った学生は,友人たちに言う.「おーい,大変だよ.テレビカメラ来るけど大丈夫か?」 と,のんきな警報が届いて.
どうなるわけでもなく,散らかった部屋と学生たちが登場します.
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寝部屋と勉強部屋.相部屋と個室部屋.家賃は光熱費込みで1万円.学部の学年も関係なく,一緒に住む.
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事務室はあるが,誰もいない.学生たちが,1日3交代で入る.
郵便物の管理から,掃除まで,何でも自分たちでする.経費を抑えられる,とのこと.
赤フン 500円,寮歌集 650円,・・・と並ぶ販売品も,なかなか,すごい.
****
女の子もいる.部屋を見せてほしい,という取材班.ちょっと困るが,・・・快諾?
「ありの~ ままの~」と部屋から声がするのを,漫画風に字が入る.
400人の内,100人は女性である.
「きたなさしか見なかったら,そこしか見えないけど」 「それで評価が終わる人もいるのかなって思うし」 ・・・でも,実際は違うんですか?
「水清くして,魚住まず」・・・みたいな,フッフッフ ・・・「いよっ! 文学部.」
****
夕方5時に,暗闇で人の姿が.何をしているのか?
「サンマを炭火で焼いています.」
毎週日曜日は,炊務部6人による寮生全員のための炊き出し.その日はサンマ200匹を焼いていた.・・・同じ釜の飯を食う.
ホールで太鼓を叩いて,寮歌の練習も? 100年続く伝統である.
****
深夜の寮は自由な時間だ.小説を読み,仲間を起こさないように,小さな音でピアノを練習する.
風呂でも話し合い,寮歌を歌う.
朝,パンが届く.地元のパン屋さんから仕入れたパンを自分たちで販売する.
****
12月で交代する執行委員会の304期委員長(寮長)選挙がある.「自主管理」の要だ.ハラミ(小山)君とダルビッシュ(道信)君が立候補した.
「いったい,何を争っているのか? ・・・ちょっと候補者に会いに行ってみた.」
****
ハラミと命名したのは,先輩のカルビさんらしい.
豪快な笑顔を描いたビラを見せる.留年中だ.自分を変えたい,と1か月かけて準備した.意外とまじめだ.
500人をまとめて動かす,という経験に重要な意味を求めている.
全員参加型の寮生活,が目標だ.
最近,寮の生活に参加しない学生が増えている,と気になっていた.
****
ダルビッシュ君は,「みんなが意見を言えるような寮」を目指す,という.
気が強い人だけ意見を言う,弱い人は言えない,というのは良くない,と.
どちらも目指しているのは「全員参加」.「結構,問題は深刻なのかな・・・」
****
夜11時過ぎ.続々と学生がバイトから帰ってくる.
「何のバイトですか?」 「居酒屋です.」
生活費のために働く学生も多いらしい.
「金銭面がつらいので寮に入っているので.バイトして.」 「とりあえず,何に関してもお金が必要かなって.」
今日と明日,寮長選挙が行われていますけど?
「関係ないです.」 「知らないし.」
「うちの階は代々,ビラを配られても,置いておくだけ.」
ナレーションは,「バイトや勉強で,ゆとりないんだろうな・・・」と続く.
個室を希望する学生が増えている.扉には「ビラ不要」の紙が貼ってある.
あっちにも,こっちにも.
****
「立候補する人がいなくなったら,自治は終わりです.」と,ホールでピアノを弾いていた学生が,すこし憤って言う.
講義を終えた学生たちが,次々に帰ってくる.投票箱を置いた机から,彼らに投票を頼む.
「関係ないから.」・・・「個室だし.」という,気のよさそうな男子学生.
でも,呼び止められる.「投票したか? 」
3分の2が投票しないと選挙は無効.
****
夜12時までで,投票終了.即日開票で,結果は館内放送で知らせられる.
ハラミ君は,ちょっと緊張気味.
303票,有効投票が199票.・・・ダブルスコア負けで,ハラミ君はショック.
「自分が出る選挙なんて2度とないし.いい経験だった.」
こうして,何とか,寮の伝統は守れた.
****
「この寮で何かを学び,それから社会に飛び出す.」 彼らは何を目指すのか?
「バイクで日本一周.」・・・「いい社会をつくっていきたいです.」・・・「災害系を防止する研究所に行きたいなって」・・・
「国家公務員試験を受けて官僚になるか・・・」 「頑張るんだったら,農業やりたいな.」
駆けてきた男子学生に尋ねる.
「今の夢は?」・・・「夢ですか?」・・・少し考える.「とにかく,卒業ですね.これからです,その後は.」 「行ってきます! 」
****
学生に訊かれたことがあります.「大学生のときに何をするか?」
私の答えは,「本を読み,旅をして,バイトする.」 資金がいるというだけでなく,仕事を知るという意味で.
雪深い町で,こうした学生寮に暮らしたかったな,と思いました.
ここは小さな理想社会です.狂信的な思想や宗教に染まるのではないか? 詐欺や誘惑に負けるのではないか? 若者だけで,自堕落な生活を続け,留年ばかりを繰り返す?
しかし,それは現実の社会にあるものです.むしろ,理想や信仰というのは,既存秩序にとって危険なものをともなっており,年長者や支配者の嫌う,奔放な自由や真実を求めます.
何ものにも制約されない,自分たちで作る空間が,彼らに教えてくれるものを,真剣に考える時間を活かせるなら,彼らはきっと,テロも,災害も,経済危機も,悪しき政治や,戦争さえも克服する,共同社会のパワーを得るのでしょう.
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