(前半から続く)
l クルド人
NYT NOV. 21, 2014
Tiptoeing Through Kurdistan
By
PAUL SALOPEK
世界中にクルド人は3000万人が住む.トルコ,イラク,シリア,イランに分散している.各国家はクルド人を何世代も社会の周辺へ閉じ込めた.アメリカがイスラム国家に対する攻撃でクルド人に協力を求めたことが,各国のクルド人組織に協力を刺激した.
歴史的,地理的な偶然が,クルド人たちをオスマントルコ帝国とペルシャ帝国の間に何世紀も分割し,帝国の境界をめぐる戦争に巻き込んだ.
l イラン核交渉
FP NOVEMBER 21, 2014
Will It Play in Persepolis?
BY
NANCY GALLAGHER
FP NOVEMBER 21, 2014
The Closer
BY
JOHN HUDSON
FP NOVEMBER 24, 2014
Extension Leaves Iran Nuclear Deal
Vulnerable to Hard-Liners
BY
JOHN HUDSON
FP NOVEMBER 24, 2014
U.S. and Iran Put More Time on the
Clock in Nuclear Talks
BY
ELIAS GROLL, JOHN HUDSON
FP NOVEMBER 24, 2014
The Iran Nuke Extension Is a Death
Sentence
BY
JEFFREY LEWIS
FT November 25, 2014
Even an imperfect Iran nuclear deal
is worth pursuing
Richard
Haass
イランとの核合意は再び延長された.交渉で決めるべき点が残っている.1.イランの保持する能力.2.透明性・検証,3.イランの利益(制裁解除),4.合意の期間.これらはいずれも交渉が難しい.イランが偽っているかもしれない.それぞれの側に反対派がいる.
イランとの核合意を評価するには,それを何と比べるべきか? 合意がなければ,アメリカはイランと戦争するか,中東に多くの核武装した国が現れるだろう.どちらもアメリカにとって望ましくない.
NYT NOV. 25, 2014
Keep Pushing for an Iran Deal
Roger
Cohen
交渉は延期された.かつてエジプトのサダト大統領は,イスラエルとアラブとの対立の70%は心理的なものだ,と考えた.アメリカとイランとの対立もそうだ.
今後の7か月で合意に至るために,7つの疑問に答えることが有効だろう.
1.なぜ合意が最善の選択肢か? 2.それはイランにとって不当に有利か? 3.なぜイスラエルの要求は完全に実現できないか? 4.何が交渉の最大の障害か? 5.イランはアメリカの敵ではないか? 6.ローハニ大統領が合理的に判断しても,ハタミは同意しないのではないか? 7.合意を求める他の理由はあるか?
新興の大国を世界経済に統合すること.イランと西側との交流が増えれば,近代化の勢力を支援できる.
FP NOVEMBER 25, 2014
Too Dangerous to Fail
BY
BARRY M. BLECHMAN
l 安倍政権
(China Daily) 2014-11-21
How can one root for Abe to win the
poll
By
Tom Plate
Bloomberg NOV 25, 2014
Japan Is Running Out of Options
By
William Pesek
l 金融機関・企業行動の是正
FT November 21, 2014
Companies on trial: are they ‘too
big to jail’?
Larry
Summers
Brandon
Garrettの新著(Too Big to Jail: How Prosecutors Compromise with Corporations)は,金融危機を引き起こしたウォール街の経営者たちが一人も投獄されなかったことへの疑問を,企業統治に関わる様々な犯罪と,それを摘発し防止するための巨額の罰金を科す司法システム,という広い文脈で,検証し,評価している.
企業の犯罪として経営者やその文化を裁く必要と,犯罪行為に直接関与した者たちが企業活動の非常に小さな割合しかしめないことへの同情が,企業に対する巨額の罰金という形で告発を延期し,企業文化の改善を促すという妥協に向かった.しかし,アメリカの経営者たちは辞任せず,株主たちの資産からいくら罰金を支払っても,それを気にしない傾向がある.
l 金融危機後の景気回復策
NYT NOV. 23, 2014
Rock Bottom Economics
Paul
Krugman
FT November 25, 2014
Radical cures for unusual economic
ills
Martin
Wolf
金融危機後の需要不足を解消するには,非伝統的な金融緩和が必要だ.量的緩和を超えて財政赤字を直接に貨幣化するAdair Turnerの提案も,日本については適当だろう.消費税の引き上げは間違いであったし,むしろ貯蓄・社内留保に対する課税が必要だ.
The Guardian, Wednesday 26 November
2014
We should cash-bomb the people - not
the banks
Simon
Jenkins
ヘリコプターは要らない.爆破することだ.ドイツ,フランス,イタリア,ギリシャ,ユーロ圏も,現金を使って爆破する.需要を活気づけるためだ.貨幣は銀行にではなく,直接に家計へ供給する.
ドイツのWolfgang Schauble財務大臣も,欧州委員会のJean-Claude Juncker委員長も,ヨーロッパを「失われた10年」に向けて進めている.ケインズとフリードマンは多くの点で対立したが,不況を回避するために貨幣を供給することでは一致した.ケインズは貧しい者を雇って道路工事を行い,フリードマンはヘリコプターから貨幣を供給するよう提案した.ドイツはこれらに反対する.
FTのMartin
Wolfは“neo-monetarism”を広めている.Tim Congdonや,
Mark Blyth and Eric LonerganはForeign Affairsで,イギリス金融庁の元長官Lord Turnerも,これに賛同している.
オックスフォードの経済学教授John Muellbauer は“QE
for the people”を提案している.
l プーチンとの合意
FT November 23, 2014
Washington’s two foreign policies
Edward
Luce
FT November 23, 2014
It is time for the west and Ukraine
to offer Putin a deal
John
Thornhill
G20でプーチンを非難しても,ウクライナの安定化は実現しない.国際秩序の一方的な偏向に西側の指導者たちが制裁を行うのは正しかった.しかし,その結果は,ロシアの行動を変えるものではなかった.事態は悪化し,プーチンも国内の支持率を上げている.
リアリズムから見れば,西側とウクライナは,プーチンと合意することが正しい.制裁がその交渉のテコになる.西側は,政治・経済の統一を維持したウクライナの安定性と繁栄を最重要な目標にしている.それは難しいが,ロシアの協力がなければ実現できない.
ロシア軍を撤退させるために軍事的な報復を行うとしたら,西側は第3次世界大戦を覚悟しなければならないが,軍事的に関与する意志はない.キエフに対してロシア軍に対抗できる高度な武器を提供しないし,ウクライナ経済の破綻を回避するために必要な融資も不足したままだ.
OSCEの仲介でウクライナとロシアが合意したミンスク議定書は,包括的な政治合意のたたき台になるだろう.経済面では,ウクライナがEUとの貿易を拡大するだけでなく,ロシアを重要な貿易相手としてきた以上,双方にとって利益が見いだせる.
西側は,プーチンが求めるヨーロッパの安全保障に関しても交渉に応じるべきだろう.NATOの集団的防衛がバルチック諸国についてどのような意味を持つか,ロシアは問いたいのだ.ウクライナに関しても,NATO加盟を拒み,西側もそれを受け入れるしかないだろう.安全保障を分裂した国家と共有することは賢明でない.
もちろん,プーチンが合意に応じる保証もない.彼の目標は事実上のウクライナ分割であろう.しかし,かつてケナンがソ連について指摘したように,西側はロシアの退路を残し,その威厳を損なわないように交渉しなければならない.
ロシアが取引に応じないときは,再び,軍事的対抗と封じ込めの時代になる.
SPIEGEL ONLINE 11/24/2014
Summit of Failure
How the EU Lost Russia over Ukraine
By
SPIEGEL Staff
Global Times 2014-11-24
Obama looks away from Mideast for
legacy
Martin
Indyk
FT November 25, 2014
Russian economy: Buckwheat blues
Kathrin
Hille
Project Syndicate NOV 25, 2014
Something to Smile About
CHRIS
PATTEN
FT November 26, 2014
After the crisis, the nation state
strikes back
Mark
Mazower
Project Syndicate NOV 26, 2014
Getting to Yes with Putin
DOMINIQUE
MOISI
FP NOVEMBER 26, 2014
Why Ukraine Must Bargain for Peace
With Russia
BY
SAMUEL CHARAP
Bloomberg NOV 26, 2014
Victims Under the South China Sea
By
Adam Minter
(China Daily) 2014-11-26
FTAs form base of regional
integration
By
Xu Man
(China Daily) 2014-11-26
Lessons from Sino-Indian border
issue
By
Zhou Bo
The Guardian, Thursday 27 November
2014
The west is letting Putin get his
way on Ukraine
Ian
Birrell
l 石油価格下落
FT November 23, 2014
Oil markets: A new chapter for Opec?
Anjli
Raval and Neil Hume
Project Syndicate NOV 24, 2014
Why Summits Matter
GARETH
EVANS
FT November 25, 2014
Smart politicians use cheap crude to
oil the wheels of reform
Michael
Levi
Project Syndicate NOV 26, 2014
The Geopolitical Impact of Cheap Oil
MARTIN
FELDSTEIN
Project Syndicate NOV 27, 2014
Global Solutions for Globalization’s
Problems
IAN
GOLDIN
l 新興市場の分解
FT November 24, 2014
Monetary policy divergence splits EM
into two camps
James
Kynge
FT November 27, 2014
The good, the bad and the ugly of
emerging market debt
Elaine
Moore
l 炭素排出量の削減
VOX 24 November 2014
A pre-Lima scorecard for evaluating
which countries are doing their fair share in pledged carbon cuts
Valentina
Bosetti, Jeffrey Frankel
l ヘーゲル国防長官の辞任
NYT NOVEMBER 24, 2014
Was Chuck Hagel a Failure or a
Scapegoat?
By
JOHN GUIDA
FP NOVEMBER 24, 2014
The Fall Guy
BY
DAVID ROTHKOPF
FP NOVEMBER 25, 2014
Picking Up the Pieces at the
Pentagon
BY
GOPAL RATNAM
FP NOVEMBER 25, 2014
Budget Blunders and Funding Follies
BY
GORDON ADAMS
FP NOVEMBER 26, 2014
The Doormat Gets Shown the Door
BY
ROSA BROOKS
l ファーガソンの不起訴評決
theguardian.com, Tuesday 25 November
2014
Ferguson, goddamn: No indictment for
Darren Wilson is no surprise. This is why we protest
Syreeta
McFadden
The Guardian, Tuesday 25 November
2014
The law may have spoken but the
Ferguson verdict is not justice
Gary
Younge
法の支配がなければ,それはカオスである.オバマ大統領は大陪審の決定について,われわれは法治国家であるから,裁判所の決定を受け入れる必要がある,と述べた.
しかし,アメリカは法治国家かもしれないが,不正義の国家である.この不正義を失くせないなら,法治国家は独裁者と変わらない.武器を持たないMichael Brownは警察官に射殺され,その警察官は告発もされない.それが法の下に行われるなら,失うものはない.
ProPublicaの分析では,黒人の子供は白人の子供より,警察官に撃たれる率が21倍も高い.もし白人の子供が同じ率で撃たれていたら,毎週1人以上が警察官に殺害されているだろう.
theguardian.com, Tuesday 25 November
2014
Obama on Ferguson – appeal for peace
overshadowed in split-screen
Steven
W Thrasher
FT November 25, 2014
US argues as race divides a nation
Gary
Silverman in New York
NYT NOV. 25, 2014
The Meaning of the Ferguson Riots
By
THE EDITORIAL BOARD
theguardian.com, Wednesday 26
November 2014
We can still get justice for Mike
Brown: end the government's reckless 'ghetto' policy
Jesse
Jackson
NYT NOV. 26, 2014
Telling My Son About Ferguson
By
MICHELLE ALEXANDER
l 開発と福祉
FP NOVEMBER 25, 2014
It's Time to Rethink How We Do
Development
BY
MATT ANDREWS, LENI WILD, MARTA FORESTI
Project Syndicate NOV 26, 2014
Social Choice and Social Welfare
AMARTYA
SEN
FT November 27, 2014
SABMiller’s Coca-Colanisation of
Africa
l シンガポール
FT November 26, 2014
Southeast Asia: Singapore tests its
success
Jeremy
Grant
l スイスの移民政策
FT November 26, 2014
Switzerland’s immigration poll marks
the top of a slippery slope
James
Breiding
NYT NOV. 25, 2014
How the Chicken Built America
By
ANDREW LAWLER
l 政治指導者たちの感謝祭
FP NOVEMBER 26, 2014
10 Things World Leaders Are Thankful
For
BY
STEPHEN M. WALT
感謝祭はアメリカだけの習慣だ.ピルグリムたちが現地の住民たちから受けた支援に感謝したことから始まった.それは,私たちの成功は努力だけでなく,家族や友人の好意,幸運によってもたらされたことに感謝する.
世界の指導者たちは何に一番感謝するだろうか?
No.
1: Xi Jinping ・・・アメリカが再び中東や中央アジアで戦闘に参加し,消耗すること.
No.
2: Dilma Rousseff ・・・チームは大敗したが,ワールドカップが成功したこと.
No.
3: François Hollande ・・・支持率は下がったが,フランスの大統領は弾劾されないこと.
No.
4: Angela Merkel ・・・自分がフランスの大統領ではないこと.
No.
5: Vladimir Putin ・・・多くの点で苦境にあるが,ロシアには大量の核兵器があり,国連安保理の常任席があり,イラン,シリア,などの重要問題で役割を担い,EUの防衛政策や危機対応が破たんしていることに感謝する.
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The
Economist November 15th 2014
Bridge
over troubled water
The
New Silk Road: Hardly an oasis
Special
Report: The Pacific Age
Catalonia’s
future: Let them vote
Financial
inclusion: A phoneful of dollars
(コメント) かつてニクソン大統領が北京を訪問したのは,「米中が協力して共通の敵であるソ連に対抗するためだった.それはまた,中国がベトナム戦争の終結についてアメリカを助けることも意味した.そして,中国はアジアにおけるパックス・アメリカーナを受け入れたのだ.そのような時代が終わった.」
太平洋の時代が平和と繁栄を実現するには,既存の国際制度を活かし,アメリカは中国の参加を受け入れ,そのためにオバマは議会の共和党と日本を説得しなければならない,と指摘します.
シンガポールから見て,米中の協力を妨げる障害となっているものは,人類の「普遍的価値」に対するアメリカの信仰と,歴史に結び付けて中国の姿勢を一方的に正当化する中国の外交姿勢です.
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IPEの想像力 12/1/14
NHK日曜討論,記者クラブにおける共同会見.与野党の論戦は,さっぱりわからない,あるいは,そっくりだ,と感じませんか? 日本の諸政党というより,「日本党」の主要派閥が得意な政策を並べているように見えました.
それぞれの政党は,ある部分では違いを強調しますが,他の部分ではよく似ています.政党によって,違う部分と似ている部分とが異なっており,その組み合わせのパターンで,政党の独自性を示したいのかもしれません.しかし,重複と差異が多くあるなら,選挙の結果は意味のわからないものになるでしょう.もっと主張を整理し,野党を統合して,対立軸を示さないと投票できません.
これが安倍首相の狙いだった,というのでは,投票による政党の選択,権力の付託が見せかけでしかない,と認めることにならないでしょうか? それは政治や選挙を権力掌握の手段(手続き)に貶め,人々から希望を奪うものです.
確かに,公明党が自民党と連立したおかげで,安倍首相の主張は少し慎重になり,国民の総意を反映する方向に修正されたと思います.あるいは,公明党は政権内の野党として,経済的弱者や,軍備強化より社会福祉,平和主義を重視し,ソフトな保守層にも受け入れられる政府を支えています.
他方,諸政党の主張が示す日本政治の「保守化」は,戦後政治の枠組みによるものです.憲法9条,自衛隊,沖縄米軍基地,安全保障に関して,野党は「平和憲法」を過度に理想化したと思います.今,こうした問題が再発見される中で,具体的な対案を示す能力がない「野党」は,急激に消滅しつつあります.「革新」や「リベラル」の政党は,同時に,防衛や国際戦略を積極的に示さねばなりません.
争点が見えないまま「保守化」を追認する,という選挙に終わらせず,この選挙に積極的な意味を与えるため,大きな問いを掲げて,党首や候補者が優れた考え方・政治的センスを示してほしいです.
太平洋を超えて南北アメリカ大陸とアジア,ユーラシア大陸が,貿易や投資,人と文化の交流を深める時代になっています.安全保障,通信・輸送インフラ,などが共有されれば,この地域はさらに大きな成長の潜在力を得て,各国はそれを取り込むために自分たちの政治や社会の仕組みを転換するはずです.
戦後ドイツの東西分裂は再統合によって終わりました.その過程で,ドイツ・マルクを放棄したユーロ誕生があり,ソビエト連邦の消滅がありました.EUやユーロ圏は,冷戦を平和的に解決したけれど,再び,歴史的な「ドイツ問題」や「ロシア」について,政治指導者たちは政治的想像力,具体的な構想力を求められます.
日本は分割されませんでしたが,軍隊を持たないと憲法で宣言しました.ドイツと比べて,どちらの方が国民や周辺諸国にとって良かったのか? と問うまでもありません.しかし,日本の「平和憲法」が改正されるときには,同じように,この地域や世界で歴史的変化が生じていることを反映したものになるはずです.それは,香港,台湾,朝鮮半島,が再統合され,中国や日本の政治体制も大きく転換し,相互に協力できる,地域統合メカニズムに合意することを意味するでしょうか?
個々の政策対立を超えて,政治指導者には想像力が求められます.30年後にも,日本の諸政党は,同じような議論をして,同じような選挙を準備しているのでしょうか?
P.クルーグマンが移民の住宅を展示した博物館を愛するように,日本でも各時代,各階層の住宅を展示し,各国の住宅も歴史的に展示してほしいです.人々の生活水準を改善する,政治家たちの力を示せるでしょう.
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