前半から続く)


l  ベルリンの壁崩壊後

FT October 31, 2014

Remembering the fall of the Berlin Wall

By Tony Barber

それは陰謀でも,計画されたものでもなかった.

ベルリンの壁崩壊から25年が経って,それを考える3冊の本を紹介する.なぜ壁は崩壊したのか? ベルリンはどうなったのか? 東ドイツに生きた人々のその後は?

SPIEGEL ONLINE 11/04/2014

Germany's New Right

The Unholy Alliance of Neo-Nazis and Football Hooligans

By SPIEGEL Staff

Project Syndicate NOV 4, 2014

Poland’s New Golden Age

GÜNTER VERHEUGEN

ポーランドは,ヨーロッパの政治的・経済的な復活を示すシンボルである.民主化して15年,NATO加盟の15年,EU加盟の10年という,3つを記念する年に,元首相Donald Tuskは欧州閣僚会議の議長になった.EUを担う重要な国として認められたと言える.

ポーランドは18世紀に分割されて地図から消え,20世紀には2つのイデオロギー,ナチズムとスターリニズムの犠牲になった.今世紀の初めには,まだ多くの点で後進的であった.

しかし,ポーランド人は犠牲を払って国家を復活させ,ヨーロッパの新しい時代を開いた.ポーランドの連帯がなければ東欧の民主化もなかっただろう.EUの東方政策を担う国として,ポーランドこそがふさわしい.

FT November 5, 2014

Fall of Berlin Wall remains region’s best chance to heal wounds

Tony Barber

FP NOVEMBER 5, 2014

Remembering the Fall

BY CHRISTIAN CARYL

FT November 6, 2014

After 25 years Germany needs a foreign policy

Philip Stephens

ベルリンの壁が崩壊するまで,ドイツの外交政策は2つの目標からコンパスで決めることができた.再統一と,和解である.

しかし,その後,ドイツは拘束衣を脱いで,外交政策を独自に変えつつあった.外相のFrank-Walter Steinmeierが述べたように,ドイツは世界の事件を傍観するには,あまりにも大きく,また強い経済を持つようになったからだ.

プーチンによるクリミア併合は,ドイツのこの動きを加速した.メルケルは慎重であるが,群れの中に隠れているだけでは,プーチンに対抗できない.

FT November 6, 2014

Bliss it was to be alive, but to be a Berliner was very heaven

Thomas Brussig

NYT NOV. 6, 2014

How the Berlin Wall Really Fell

By MARY ELISE SAROTTE

ベルリンの壁は,1987年にレーガン大統領がソ連の指導者に“tear down this wall”と要求したから崩壊した,とアメリカ人の多くは思っている.それは間違いだ.

どう見ても本当の理由を誤解させるし,最悪の場合,アメリカの指導者は「ベルリンからバクダッドまで」どこでも行くことができる,という思い込みを助長する.地域の複雑な現実を無視するものだ.

真実の理由は,東ドイツの官僚たちが犯した一連のミスであった.しかも,それを取り消す前に,民衆たちは失敗に反応して,変化を止められないものにした.民衆は政府の無能さを確信していたのだ.

東ドイツ市民の日々の反対や,西側の自由が発する魅力は,それを助けた.


l  アメリカ中間選挙

FP OCTOBER 31, 2014

How Obama Can Ride the Republican Wave

BY JOHN HUDSON

NYT NOV. 1, 2014

How Obama Lost America

Ross Douthat

FT November 2, 2014

Obama can learn from George W Bush

Edward Luce

FT November 3, 2014

Mood of gloom set to temper any Republican midterm success

Richard McGregor in Washington

NYT NOV. 3, 2014

Election 2014: Your Very Predictable Vote

By JASON WEEDEN and ROBERT KURZBAN

NYT NOV. 4, 2014

Election 2014: The Vote You Save May Be Your Own

By EDWARD B. FOLEY and JOSHUA A. DOUGLAS

NYT NOV. 4, 2014

Election 2014: The Campaign in North Carolina Is Not ‘About Nothing’

By MOLLY WORTHEN

NYT NOV. 4, 2014

Election 2014: Only the Polarized Are Actually Polarized

By LEAF VAN BOVEN and DAVID SHERMAN

NYT NOV. 4, 2014

Election 2014: Europe Looks Beyond Obama

By JONATHAN FREEDLAND

NYT NOV. 4, 2014

The World Is Fast

Thomas L. Friedman

中間選挙はナンセンスだった.これほど多くの金を費やして,流動的な将来についてほとんど何も考えていない.まじめな選挙なら,われわれは議論したはずだ.われわれが直面する最大の挑戦にどうこたえるべきか? すなわち,労働者,環境,制度を回復することだ.

なぜなら世界は変化が速いからだ.市場(グローバリゼーション),母なる自然(環境問題),ムーアの法則(マイクロチップの処理速度).それらが同時に,急激に台頭している.あるいは,三つの「気候変動」だ.

われわれは,人々を包括する,回復力の優れた制度を築くことで,これらに対応するしかないだろう.健康保険制度や,企業・就労のための生涯教育,能力のある物を惹きつける移民政策,持続可能な環境,債務の管理,新しいスピードに応じたガバナンスだ.

いつかわれわれは急速な変化を緩和し,機会をつかみ,適用するための方法について真剣に議論する選挙を実現するはずだ.

NYT NOV. 4, 2014

Republicans, Meet Science

Frank Bruni

FP NOVEMBER 4, 2014

Divided, We Stand

BY DANIEL ALTMAN

中間選挙で上下両院を共和党が支配すれば,民主党のオバマは孤立する.政府を阻止するだけでは2016年の大統領の選挙に勝利できない.そこで,共和党は3つの分野でオバマに協力できるだろう.

法人税の引き下げ,移民法の改正,通商法案,である.それらはアメリカの成長を支え,世界経済の浮揚させる.

Bloomberg NOV 4, 2014

Election Day Euphoria

By Jonathan Bernstein

Bloomberg NOV 4, 2014

A New Do-Nothing Congress

By Peter R. Orszag

theguardian.com, Wednesday 5 November 2014

Republicans didn't win as big as you think they did. And Obama didn't lose

Gary Younge

最終的に,共和党を支持する大きな波はなく,わずかに,イデオロギー的なさざ波であった.2010年のティー・パーティ,2006年の民主党勝利と違って,包括的な政策綱領はなく,超越的なテーマもなかった.共和党が中間選挙で勝利したのは疑いないが,それは見た目ほど大きな勝利ではない.

この選挙はオバマに対する住民投票ではなかった.あるいは,そうであったとしても,その結論は明確でない.オバマの2期目に対する住民投票として,それは意味があった.2期目の政権は目的や方向性を欠き,危機から危機へよろめいてきた.オバマは論争(銃規制)を指導したが,法案は成立せず,論争(移民法改正)を避けたことでは,それを責められた.

世論調査は,重要問題で国民が共和党よりもオバマを支持している,というのに,国民は,オバマがそれを実現できると思わなかった.

CNNの出口調査によれば,10人のうち8人が議会は良い仕事をしていると思わず,10人のうち6人がオバマ大統領を好まない.アメリカ人は,彼らが信頼しない政府を運営するよう,最も小さな程度に好む政党を選出したのだ.

FT November 5, 2014

Bell tolls for Obama ahead of 2016

Edward Luce

FT November 5, 2014

Washington gridlock cannot get any worse

Jacob Weisberg

バラク・オバマが就任してから,議会で共和党は単純な戦略により大きな勝利を得てきた.すなわち,大統領が指示することにはすべて反対し,どんな問題についても大統領を責め,オバマを選挙の焦点にした.そして2010年に下院を,2014年には上院を,共和党が制した.

民主党の敗退は,ワシントンの分裂を深め,一層の政治停滞をもたらす,と思うかもしれない.しかし,政治情勢はもうすぐ好転するだろう.

1に,共和党はワシントンの成果に責任を負うようになった.

共和党が議会の少数派であれば,何か良いことがあれば,それはオバマに有利に働く,と考えるのが合理的だった.景気回復が弱くても,債務上限で政府を機能マヒにして,苦しむのはオバマだった.しかし,この先,共和党員の誘因は変化する.果てしなく反対するより,双方に利益のあることでオバマと協力する方が意味のあることだ.

それは,1994年,議会の両院を共和党が支配したとき,クリントン大統領が直面したのと同じ論理である.彼らは共通の基盤を探すことに成功した.

2に,共和党内の力学が変わる.

今年までは,共和党議員の不安は,オバマに協力的だとティー・パーティに非難されることだった.しかしこれからは,大統領選挙を意識して,富裕層の献金はティー・パーティから離れ,共和党上院の実力者たちに集まるだろう.民主党案がより多くの支持を得られるなら,妥協は望ましい.

最後に,超党派の合意が最終局面では成立する.

選挙は2つの政党のゼロサム・ゲームだが,政治の全体はそうではない.選挙と選挙の間,民主党と共和党が互いに罵倒を繰り返せば,共通の基盤を見いだせず,現職の政治家たちが尊敬されなくなる.口論と行き詰まりの文化がワシントン全体への侮蔑を強め,あらゆる方向から挑戦を受け始める.

共和党議員たちは,通商や教育の分野で,オバマとの共通基盤を見つけるだろう.

FT November 5, 2014

Obama faces a serious test of his own relevancy

Project Syndicate NOV 5, 2014

A Growth Pact for America

GLENN HUBBARD

激しく敵対していた3つの党派が市場型の成長に合意したメキシコに倣って,「アメリカのための協定a “Pact for America”」を合意するべきだ.

国民の関心は,何より,景気回復にある.先入観を捨てることで,公共投資や法人税減税を実現できるだろう.

NYT NOV. 5, 2014

Election 2014: President Obama Is Not a Happy Warrior

By KEVIN BAKER

NYT NOV. 5, 2014

Making the President Small’

Thomas B. Edsall

NYT NOV. 5, 2014

Election 2014: Gun Sense

Timothy Egan

NYT NOV. 5, 2014

The Evaporating Democratic Majority

Ross Douthat

FP NOVEMBER 5, 2014

This Man Is an Island

BY DAVID ROTHKOPF

オバマ大統領は,ニクソン以来,最も孤立した大統領として任期を終えるだろう.それは彼自身が約束したことだ.

オバマが大統領として,その選挙運動を始めたときから,彼の孤立は始まっていた.選挙は最初から,民主党でも,彼の側近たちでもなく,国際関係でもなかった.それは一人の男,その成果も,使命も,存在理由も,全て一つであった.そして,就任後は,全てが逆に作用した.

オバマはその政治的・政策的なナルシシズムの犠牲になった.それは彼個人の悲劇ではなく,アメリカにとって,そして,世界におけるアメリカの役割にとって,良くないことだった.

彼の弱点や無能さは火曜日の選挙結果に示された.それゆえ次の2年間も,アメリカはその大統領と同じように,ますます国際的に無能になっていくだろう.

FP NOVEMBER 5, 2014

The Midterm's Mantra of Fear and Loathing

BY GORDON ADAMS

Bloomberg NOV 5, 2014

Will the New Congress Bring Economic Renewal?

By Mohamed A. El-Erian

NYT NOV. 5, 2014

America’s Broken Politics

Nicholas Kristof

NYT NOV. 5, 2014

Looking Back, Looking Forward

Charles M. Blow

NYT NOV. 5, 2014

The Midterms Were Not a Republican Revolution

By FRANK LUNTZ

FT November 6, 2014

Midterm rational exuberance is not just for US Republicans

Gillian Tett

FP NOV. 6, 2014

Don’t Go Changing, Mr. President

BY MICHAEL A. COHEN

FP NOV. 6, 2014

A President Riding off into the Sunset?

BY KORI SCHAKE

Bloomberg NOV 6, 2014

Is the GOP Good for Japan?

By William Pesek

安倍晋三と自民党は,アメリカ議会で共和党が勝利したことを誰よりも喜んでいるだろう.日本の保守派は,アメリカが安全保障や原子力発電に積極的であること(さらに,中国に対する強硬姿勢)を望むからだ.

しかし,喜ぶのは早い.共和党は日銀が金融緩和で円安を加速したことを嫌うだろう(中国も近隣窮乏化として非難する).また,オバマが中国抜きのTPPに合意するのを認めるとしたら,日本がすべての要求を呑むべきだ,と主張するはずだ.


l  中東

FP OCTOBER 31, 2014

Netanyahu's Not Chickenshit, the White House Is

BY STEPHEN M. WALT

NYT NOV. 1, 2014

Flying Blind in Iraq and Syria

Thomas L. Friedman

Project Syndicate NOV 3, 2014

The Middle East’s New Winners and Losers

JOSCHKA FISCHER

NYT NOV. 6, 2014

Europe Is Blocking Mideast Peace

By NAVI PILLAY


l  ブルキナファソ

FP OCTOBER 31, 2014

Burkina Faso Might Finally Realize Favorite Leader's Dreams for His Country

BY SIOBHÁN O'GRADY

FT November 3, 2014

Africa’s leaders wake up to the Black Spring of Burkina Faso

Javier Blas in London

FP NOVEMBER 5, 2014

The Fiery Fall of Burkina Faso’s ‘Beautiful Blaise’

BY LEELA JACINTO


l  ポーランド・ユダヤ人歴史博物館

The Guardian, Saturday 1 November 2014

A small miracle in the tortured history of Polish-Jewish relations

Timothy Garton Ash

ポーランド・ユダヤ人歴史博物館Museum of the History of Polish Jewsには,歌声がこだまする.“Mir zaynen do!” (“We are here!”)

博物館に入ると,モーゼが紅海を割ったような,ねじれた谷の,巨大な石の彫刻を通り抜ける.大理石のケースには,ポーランド・ユダヤ人1000年の歴史が,マルチメディアで示されている.それはホロコーストを含むが,ホロコーストは始まりでも終わりでもない.

2次世界大戦後のポーランド・ユダヤ人の痛ましい関係を少しでも知る者にとって,この博物館は小さな奇跡である.

もし私が西側でポーランドに関する普通の会話に加わり,それがポーランドのユダヤ人差別に向かうたびに1ドルをもらえたら,私は億万長者になっているだろう.しかし同様に,第2次世界大戦前・戦中・戦後の,ポーランドのユダヤ人差別について身をよじるような,憤った否定を,聴いたり読んだりするたびに1ユーロをもらえたら,その場合も私は金持ちになれただろう.

今,私たちは歴史,文化,個人の混じり合った関係の中で,想像できないような好ましい位置にある.差別する者が差別される.犠牲者が,また誰かを犠牲にする.第1に,私たちは,互いのステレオタイプを超えて話し合うために,歴史の複雑さを理解しなければならない.第2に,ポーランドは25年前に自由を得て,その後の素晴らしい発展を実現した.それはイスラエル社会が,ユダヤ人は犠牲者であるとともに,パレスチナ人を犠牲にしている,ということと同じだ.彼らは,まだ,その真実を直視できない.


l  アメリカを超える中国

(China Daily) 2014-11-01

Banking on capital to go global

By Ma Guangyuan

中国は資本輸出国になった.しかし,アメリカに対する最大の債権国になっても,アメリカの方が多くの海外収益を得ている.人民元の国際化も,中国企業の国際化もまだ少ない.国際ルールを決めるのは,多くの財を輸出する国ではなく,資本を輸出する国だ.これから中国も,世界の経済ルール,貿易パターンに影響を与えるべきだ.

FT November 2, 2014

The party and politics of popular protest

Review by Richard McGregor

Project Syndicate NOV 3, 2014

China’s Repressed SMEs

YU YONGDING

FT November 5, 2014

Taiwan resolves to resist China’s embrace

David Pilling

Project Syndicate NOV 6, 2014

China’s Questionable Economic Power

JOSEPH S. NYE

PPPで測った中国のGDPがアメリカを超えても,一人当たり所得水準はまだ4分の1であり,その経済構造も全く異なる.中国の金融市場は閉ざされ,未発達なために,4兆ドルに近い外貨準備を持っても,アメリカにとって重要な脅威にならない.中国の企業は世界的なブランドを持たず,その技術は欧米に頼っている.

中国には国内の所得格差や環境破壊,社会保障,など,多くの問題がある.一人っ子政策の結果,今後の人口変動が大きな負担となる.一人当たり名目GDP7000ドルに達し,民主化は抑えても,ますます強まる政治参加の要求は,韓国や台湾のように,多くの中所得国が経験したことだ.

GDPだけで中国がアメリカを抜いたと考えるのは間違いだ.


l  イギリスのEU離脱

FT November 3, 2014

Cameron risks painting himself into an anti-Europe corner

Charles Grant

ユーロ圏の不況とイギリスの景気回復が予測される中で,キャメロンはEUからの移民に上限を課すことを主張している.これはEUの条約を改正する必要があり,他国が賛成しないなら,離脱を主張することになるだろう.

EU財政の追加負担も,キャメロンは不信感を強める対応を採った.UKIPに対抗して,EUを改革して留まる,という保守党の主張はどうなるのか?

FT November 5, 2014

Sanity must be restored to the debate on UK immigration

VOX 05 November 2014

The fiscal effects of immigration to the UK

Christian Dustmann, Tommaso Frattini


l  インド

FT November 3, 2014

India is a nation in need of a trade deal with itself

Victor Mallet

FT November 4, 2014

Pakistan’s India rivalry harms its anti-terrorism strategy

Ahmed Rashid


l  日中外交

Project Syndicate NOV 4, 2014

The Asian Paradox

YOON YOUNG-KWAN

FT November 6, 2014

China and Japan: Eyes on a compromise

Demetri Sevastopulo and Jamil Anderlini

船橋洋一は考える.日中関係は,かつて日清・日露戦争で日本がアジアの指導的な地位を得た時代と同じくらい,重要な転換を経験しつつある.中国の30年間の成長に,日本人の意識は適応できない.

宮家邦彦の意見では,中国に比べて,日本の外交はアメリカとの同盟だけでなく,アジア諸国との多角化に成功した.

天安門事件で共産党の正当性が動揺した後,愛国教育が行われた.その焦点は,外国勢力による「100年の恥辱」であり,特に,反日に向かった.

しかし,習近平は主席になる前に4度も日本を訪問し,副主席のときに天皇にも会った.親日派であると思われていた.しかし,国内の権力確立の過程で,日中戦争の歴史教育を強化した.

小泉純一郎が靖国神社に繰り返し参拝して,日中関係は悪化した.中国政府は,安倍政権を,軍国主義の歴史を積極的なものに見直す,リビジョニストとして批判し続けている.

日本には経済問題がある.産業界は日中関係の改善を求めている.中国も,APECサミットの主催国として,日本との対立は避けたい.日中双方が,言いたいことを主張した,という均衡状態が成立するかもしれない.


l  ロシアとウクライナ

NYT NOV. 4, 2014

Moscow’s War on Ethnic Minorities

By MASHA GESSEN

FT November 6, 2014

Ukraine’s ceasefire frays as Russian annexation creeps forward

Neil Buckley


l  通貨戦争の後

FT November 5, 2014

Dollar rally puts focus on Beijing

Josh Noble in Hong Kong

FT November 6, 2014

South Korean won slides to 14-month low

Song Jung-a in Seoul and Josh Noble in Hong Kong

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The Economist October 25th 2014

The world’s biggest economic problem

The danger of deflation: The pendulum swings to the pit

Charlemagne: Gummed up

Immigration and politics: The melting pot

Cheaper oil: Winners and losers

(コメント) ユーロ圏のデフレを強く懸念した内容の冒頭記事です.しかし,それ(デフレの悪循環論)が特に優れているとは感じません.ユーロ圏のドイツ,フランス,イタリア,ギリシャ,などが互いの政策を嫌い,ECBの金融緩和は効果を失うということを指摘します.どちらも,踏み込み不足です.

イギリスの移民問題も,原油価格の下落も,異なる利害,異なるイメージを駆使して,その利益集団と対立を分析します.政治はそうやって,常に,舞台そのものを変えていきます.

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IPEの想像力 11/10/14

先週末の日経新聞を見て,日本がいよいよ動き出したような印象を持ちました.それは次の3つの言葉からです.

日中首脳会談,原発再稼働の同意,そして,日銀追加緩和決定の舞台裏,です.

黒田総裁がウーバーに感銘を受けたわけではないと思いますが,あたかも世界の通貨供給を担うかのような,日銀の通貨供給拡大に驚きました.そして,インフレ期待を創り出すことに執着した黒田総裁の判断を危ぶむ,東洋経済ONLINEの小幡績「黒田総裁は天才かつ秀才だが、間違っている」を興味深く読みました.

アメリカ連銀が量的緩和QEを始めたころ,P. Krugman, B. Eichengreen,そして,M. Wolfも,これを支持しました.世界金融危機を世界不況に転化しないための,(世界中央銀行に代わる)金融緩和である,と考えたからです.しかし,長期の成長を維持する改革や新しい規制は別に必要でした.好ましくない副作用として,金融資産のバブルや所得分配の不平等化も指摘されました.

私は,そのとき,ゼロ金利で民間貯蓄を吸収し,政府が公共投資をするべきだ,という意見や,アメリカからドルが流入する新興諸国,特に,ドルに対して為替レートを安定化する中国は,これをインフレにつながると非難するべきではない.なぜなら国際金本位制の時代と違って,変動レート制によるなら,(そして,中国も人民元を切り上げることで)自国でインフレを解決できる(それは,市場を通じた国際政策協調を導く),という論説を興味深く読みました.

しかし今回の日銀の追加緩和で,G2(米中協力)に代わって,G2(日米同盟)が世界金融政策を実現した,とは思いませんでした.中国が,国内の改革や人民元国際化の目標に従って,人民元の安定的な増価を維持し,対外不均衡を調整したことはG2戦略合意です.しかし,日本経済はどうか? 金融緩和をさらに拡大し,円安をさらに促すことで,日本は望ましい構造調整を実現しているのか? まして,アメリカ連銀に代わって,日銀が世界金融緩和を担えるのか?

確かに,デフレの解消や世界の金融市場に不安があること,石油価格が下落したことで,一時的に,日銀の目標と世界情勢は一致したかもしれません.しかし,その帰結として,日本経済の脆弱性が増すと思います.

安倍政権が,日中関係の修復や,構造改革,社会保障制度の改革,TPP交渉を遅らせてきたのは,政権への批判を受けることを嫌うからでしょう.

他方,日銀が金融緩和をさらに劇的に行うことは,円安や株高を即座に実現し,輸出企業の業績や経営者たち,株式などの金融資産を保有する富裕層と高齢者たちに,利益を振りまく(政府の支持率を高める)ことになります.さしあたり雇用や賃金が増えなくても,それは政権の責任と思われていないから,(デフレ退治後の上昇を訴えて)無視する,というのが政権幹部の判断ではないか,と思いました.(今,消費税引き上げの見送りと年内の解散,選挙が議論されています.)

国内投資・消費より金融市場や輸出に頼る回復は,根本的に,脆弱です.それこそが日本の外交を弱めていると思います.日本が国際社会で独自の地位を示したいなら,こうしてはどうでしょうか?

l  金融政策に過度の負担をかけず,政府と与野党は積極的な財政政策によるデフレ脱却をめざす.

l  消費税を20%に引き上げる方針を基本に,医療保険・社会保障支出の効果的なシステム構築を超党派の政治課題にする.

l  明確な新しい基準を立て,低所得者,子供を育てる若い世代,資産を持たない高齢者,などの生活・就労支援,若者の就労・再教育,高等教育・留学のための奨学金,を一気に「量的・質的に拡大」する.

l  原発廃止に向けて,地熱や太陽光発電によるエネルギー開発・送電システムを構築するため,政府がインフラ投資する.

l  「アベノミクス」という党派的,俗人的な呼称をやめ,「日本再生プラン」のような真摯な国民的取り組みを,多分野で一斉に広める.

こうした転換を進めるために,日本は野党の圧力を必要としています.安倍政権にとって「野党」があるとしたら,それは中国政府でしょう.中国は日本の景気に影響を与えます.中国は安倍首相の政治的な姿勢に疑問を示し,その信頼性をチェックできます.かつてアメリカ政府が自民党政権の「外圧」であったように,中国は日本の政策を,ある程度,政治的に取引できるはずです.

それは,「帝国」や「従属」というより,EUも示すように,国家間の外交として他国のガバナンスに関与する仕組みなのです.安倍首相の偏った政治的センスと,日本経済の脆弱性が,それを損なってきました.

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