前半から続く)


l  カナダにおけるテロ

FP OCTOBER 24, 2014

Keep Calm and Carry On, Stephen Harper

BY STEPHEN M. WALT


l  アップルCEOの同性愛表明

NYT OCT. 24, 2014

Carl Icahn’s Bad Advice

Joe Nocera

NYT OCTOBER 30, 2014

What Will Tim Cook’s Impact Be?

By ANNA NORTH

NYT OCT. 30, 2014

Apple’s Tim Cook Says That He Is ‘Proud to Be Gay’

By MIKE ISAAC

FP OCTOBER 30, 2014

Tim Cook Coming Out Has Turned China Into a Nation of 5th-Graders

BY BETHANY ALLEN-EBRAHIMIAN


l  チュニジア

theguardian.com, Saturday 25 October 2014

Tunisia is showing the Arab world how to nurture democracy

Soumaya Ghannoushi


l  イギリス独立党の迷妄

The Observer, Sunday 26 October 2014

This crude assault on Europe strikes at the very heart of Enlightenment values

Will Hutton

ヨーロッパは,多くの国がひしめく,世界最小の大陸だ.ロシアを除いても,49か国が存在する.それぞれが互いに戦争を繰り返し,多くの分離独立運動が今もある.貿易や繁栄を築くのに,これほど難しい土地はない.

ヨーロッパの人々は,その歴史に,キリスト教や啓蒙主義を共有し,合理性,法の支配,民主主義を尊重する.ヨーロッパの工業化と都市化により,社会的連帯と共通の価値を強めた.

ヨーロッパと独立にイギリスが発展した,というUKIPや保守党の物語は童話でしかない.28カ国からなるEUも,ユーロ圏も,さまざまな欠陥があるけれど,大陸を一つの経済空間とするのに不可欠の制度だ.そこにおける多国間のガバナンスと各国の主権とを共存させている.

各国が独自に主権国家として行動する方が,共通の制度や価値に訴えなくても,条件を改善できる,と主張するのは,現実を無視した,月を買うような話だ.

変動レート制は,多くの小国が存在するヨーロッパに適当ではない.移民は確かに底辺の労働者たちの賃金を下げたかもしれない.しかし,EUを離脱した場合のコストは甚大だ.230万人のEU市民がイギリスに暮らしているように,180万人のイギリス市民が大陸に暮らす.底辺労働者の不利益を補償する方法はある.

The Guardian, Sunday 26 October 2014

Mainstream politics is imploding: is discontent with globalisation the cause?

Paul Mason

The Guardian, Monday 27 October 2014

Today’s Britain: where the poor are forced to steal or beg from food banks

Aditya Chakrabortty

Project Syndicate OCT 27, 2014

Britain’s Last EU Straw?

HAROLD JAMES

イギリスのGDPEUの統計局によって修正されたことを受け,追加のEU予算分担が指示された.これに憤慨したキャメロン首相は,その要求を拒んでいる.

しかし,経済活動と税源の正確な把握は,効果的な統治の前提である.南欧諸国の財政危機がそれを示している.統計の修正は恣意的なものではなく,イギリスに対してだけ行われたわけでもない.

EUに対して安全保障上の脅威が明白に強まっている時期であれば,財政負担を理由に加盟諸国が紛糾するような政治姿勢は抑制するべきだろう.

FT October 28, 2014

Political folly of pandering to fears that are over imagined

John Kay


l  ギリシャ

FT October 26, 2014

Patronage and bribery will persist in Greece

By Tony Barber

NYT OCT. 26, 2014

Greece's Economic and Political Traps

Nikos Konstandaras


l  ヨーロッパのストレステスト

FT October 27, 2014

Stress tests alone will not bring the eurozone back to health

Gavyn Davies

FT October 27, 2014

Better way to check the health of Europe’s banks

FT October 27, 2014

Europe must act now to avoid ‘lost decade’

Scott Minerd

ヨーロッパの経済は,日本と同じ,デフレと「流動性の罠」,停滞によって「失われた10年」を迎えそうだ.あるいは,ハード・ランディングか.

政府や通貨当局は行動を約束しているが,その道具はない.

FT October 28, 2014

Europe’s banks are too feeble to spur growth

Martin Wolf

FT October 28, 2014

Corporate cash hoarding has to end to drive recovery

John Plender

FT October 28, 2014

Here’s why Germany needs to start spending

Lorenzo Bini Smaghi

Project Syndicate OCT 28, 2014

Optimizing the Eurozone

KOICHI HAMADA

Martin Feldsteinが疑っていたように,ユーロ圏は失敗だったのか? それに答えるには,さまざまな為替レート制度の得失を理解しなければならない.

アメリカは数十年間,金に固定した価値でドルを維持し,各国はドルとの交換レートを固定して,時折,対外均衡のために為替レートを変更した.問題は,アメリカが国際収支不均衡に対して為替レートを調整できないことだった.

1971年にアメリカのニクソン大統領は一方的に金の交換を否定し,変動レート制にして,金融政策の自由を回復した.しかし,1980年代に,貿易不均衡の増大をともなうドルの大幅な増価が起きた.プラザ合意により主要諸国が介入してドル安を導いたが,その過程で,ユーロへの合意が形成された.

1960年代のアメリカの経験は,金融政策を縛ることが間違いだという警告になった.ユーロ圏はロバート・マンデルが描いた「最適通貨圏」ではないからだ.労働や資本の移動が,為替レートの調整に代わることはできなかった.さらにドイツの再統一が起きて,通貨統合には同様に政治統合が必要であることを示した.

アベノミクスを採用しても,日銀の黒田総裁が今もデフレに苦しんでいるのは,あたかも固定レート制のように行動した日銀の過去の失敗が残したものである.そして,すでにユーロ圏が存在している以上,ヨーロッパ諸国は政治統合に進むしかない.

FT October 29, 2014

Largest economies must fix the eurozone

Olli Rehn and Jean Arthuis

もし財政赤字と債務累積だけで成長を実現できるなら,フランスとイタリアはヨーロッパの成長指導国になり,日本は世界の経済大国になり,フィンランドは北欧圏の注目を浴びただろう.現実には,そうではない,こうした諸国に共通するのは構造改革への意欲を欠くことだ.

2003-04年,ドイツは安定と成長の合意に反したが,大胆な改革を進めて,現在の優れた成果を称賛されている.ローマ=パリ枢軸は本当の改革を実行し,それに答えてドイツが投資を増やして内需を拡大することだ.同時に,ECBは量的緩和を開始する.ユーロ圏のガバナンスは改善され,欧州委員会が加盟諸国の改革について助言する.

ピアプレッシャー,不名誉,そして影響力を失うことへの不安が,指導者たちに決断を促すのだ.

FT October 29, 2014

Tactic of ‘lean against the wind’ has failed Sweden

FT October 30, 2014

Improving public finances is both a moral and technical challenge

Martin Wolf

FT October 30, 2014

The blight at the core of banking goes beyond a few bad apples

Richard Lambert

FT October 30, 2014

Four rescue measures for stagnant eurozone

Willem Buiter

先週,ECBが行ったAQRの審査に,ユーロ圏の大規模銀行130行から25行が失格した.ストレステストには,123行から24行が失格した.資本不足額は246億ユーロ,2014年の資本増強を認めても,14行の95億ユーロが不足している.

2Professors Viral Acharya and Sascha Steffenの研究は,異なる推定を示した.2013年末の不足額は4500億ユーロだ.AQRのリスク評価は甘く,ストレステストの前提も甘い.

当分,ユーロ圏の銀行システムは「ゾンビ」が増え,ユーロ圏の「日本化」と失われた10年が続く(すでに半分を経験したが).

循環的な不況を長期停滞にしないためには,4つの政策が必要だ.1.銀行の資本強化を急ぎ,合併を促す.国境を越えた合併が望ましい.2.一時的な財政刺激策.その資金はECBの融資と貨幣化による.3ECBは政府債券を購入し,満期まで保有する.4.サプライサイドの改革を劇的に実行する.

ユーロ圏の「政府に融資しない」という迷妄は,ECBを制約している.チュートン風,反ケインズ主義は,景気循環を増幅する.国内政治的麻痺は,構造改革を禁じてしまう.

ストレステストでは問題を解消できない.


l  大西洋自由貿易圏

FT October 27, 2014

Transatlantic trade negotiators should own up to their ambition

Pascal Lamy


l  ブラジル大統領選挙

FT October 27, 2014

Brazil’s election results in a divided country

Project Syndicate OCT 29, 2014

Belindia Has Spoken

ANDRÉS VELASCO

40年前,ブラジルの経済学者Edmar Bachaは自分の国をBelindiaと呼んだ.それは,繁栄し,近代的なベルギーと,貧しい,後進的なインド,とを合わせた名前である.大統領選挙は,インドの部分がルセフDilma Rousseffを支持し,ベルギーの部分が対立候補Aécio Nevesを支持した.インドの方が大きいので,ルセフが勝利した.

しかし,2014年の選挙でNeves48%を得票したことは,ブラジルの経済構造が大きく変化したことも示した.ルセフは国際商品市場のスーパー・サイクルを利用した貧困層への給付によって支持を得てきた.しかし,その上昇期は終わった.今後,成長や雇用を維持するためには,もっとインフラや教育に投資しなければならない.

ルセフには間違った産業政策しかないが,Nevesも勝利するためには,社会民主党に対する貧困層の支持を得ることだ.

FT October 30, 2014

The party is ending for Latin America

John Paul Rathbone


l  リビア

FT October 27, 2014

Libyan strife highlights the perils of even-handedness

Borzou Daragahi in Cairo


l  世界的な無秩序

Project Syndicate OCT 27, 2014

The Era of Disorder

RICHARD N. HAASS

歴史的な時代の終わりを知るのは難しい.その希望や混乱が何を意味するのか,単独の事件か,持続的な傾向か,わからないからだ.

しかし,今,われわれはある時代の終わりを体験し,新しい時代に入りつつある,と思う.かつての,秩序ある,平和な時代は終わった.

中東は新しい30年戦争に入った.ロシアのウクライナ介入は戦後ヨーロッパの秩序を失わせた.アジアは,表明的に平和を維持しているが,多くの緊張状態を抱えている.パワーが分散し,アメリカの指導力や信頼性に疑問が強まった.地域の指導的地位が争われている.

それは新しい暗黒時代を意味しない.経済的な相互依存は国家の暴走を止めている.国際的な交渉や協力も進んでいる.

しかし,各国の国内政治に制約され,国際的な合意を欠き,アメリカは影響力を失って,それに代わる国際秩序を築く国もない.平和も,繁栄も,協力も,減るだろう.

Project Syndicate OCT 27, 2014

The Years of Living Tactically

JAVIER SOLANA

Project Syndicate OCT 28, 2014

The Security Council’s Credibility Test

GARETH EVANS

FP OCTOBER 28, 2014

Blackwater’s Erik Prince Talks Fighting Ebola, ISIS, and Bad Press

BY JUSTINE DRENNAN

Blackwaterの創設者Erik Princeがインタビューに答えた.外部からの支援がない,困難な場所で,Blackwaterは活動できる,と.

Bloomberg OCT 28, 2014

Learning to Love China's New Superbank

By William Pesek

The Guardian, Wednesday 29 October 2014

A real counterweight to US power is a global necessity

Seumas Milne

NYT OCT. 28, 2014

ISIS and Vietnam

Thomas L. Friedman

FP OCTOBER 28, 2014

The Pendulum and the President

BY DAVID ROTHKOPF

NYT OCT. 29, 2014

Mounting Crises Raise Questions on Obama Team’s Ability to Cope

By MARK LANDLER

FP OCTOBER 29, 2014

Lagarde Pushes U.S. Lawmakers to Pass IMF Reforms

BY JAMILA TRINDLE

FT October 30, 2014

Beijing’s challenge to the world of Bretton Woods

Project Syndicate OCT 30, 2014

Why Taxation Must Go Global

WOLFGANG SCHÄUBLE

Project Syndicate OCT 30, 2014

Rethinking Hunger

JOMO KWAME SUNDARAM


l  香港の新世代

Project Syndicate OCT 27, 2014

Hope for Hong Kong

CHRIS PATTEN

FT October 28, 2014

CY Leung expresses ‘regret’ over Hong Kong voting comments

Josh Noble in Hong Kong

NYT OCT. 29, 2014

Taking Back Hong Kong's Future

By JOSHUA WONG CHI-FUNG

1997年に香港が中国に返還されて以来,私はそれから1年も経たずに生まれたが,香港の人々は,富裕層と政治的なコネのある人々が支配する政治システムの下で過ごしてきた.私の世代は,北京が約束した自由な選挙によって,やっと,民主的な変化が起きると期待した.しかし8月後半に,北京は富裕層の支配を追認し,普通選挙を破壊した.

私たちの平和的な民主化デモは,香港が金儲けだけの都市だ,という神話を粉砕した.香港は政治的に覚醒し,改革を要求し,永久に変わったのだ.

私は香港の支配階級に覚えていてほしい.今,あなたたちはわれわれの未来を奪ったが,われわれが未来を決める時代は必ず来る.何が起きようと,民主主義はわれわれのものだ.時間はわれわれの味方である.


l  債務と国際収支

VOX 27 October 2014

A 100-year perspective on sovereign debt composition in 13 advanced economies

S. M. Ali Abbas, Laura Blattner, Mark De Broeck, Asmaa El-Ganainy, Malin Hu

VOX 29 October 2014

Global imbalances: Whither now?

Aqib Aslam, Samya Beidas-Strom, Marco E Terrones, Juan Yépez


l  ロンドンの住宅バブル

NYT OCT. 27, 2014

London’s Housing Boom

By RENI EDDO-LODGE

NYT OCT. 27, 2014

Fast Food in Denmark Serves Something Atypical: Living Wages

By LIZ ALDERMAN and STEVEN GREENHOUSE


l  石油価格とシェール革命

FT October 28, 2014

Fracking: In the path of the ‘shale gale’

シェールガス革命は住民たちとの激しい論争の中にある.

Project Syndicate OCT 28, 2014

Mexico’s Powerful Energy Reforms

MARTIN FELDSTEIN

国有石油会社の改革で,NAFTAによる投資や輸出の増加に加えて,メキシコ経済の成長は加速するだろう.

FT October 29, 2014

Russian oil: Between a rock and a hard place

Jack Farchy

FP OCTOBER 30, 2014

A Pipeline to Somewhere

BY KEITH JOHNSON


l  中東の秩序

FP OCTOBER 28, 2014

The Middle East after the U.S.-Iran nuclear deal: A look back from next year

BY THOMAS E. RICKS

SPIEGEL ONLINE 10/29/2014

New Alignments

The Kurds' Lonely Fight against Islamic State Terror

By Ralf Hoppe, Maximilian Popp, Christoph Reuter and Jonathan Stock

FT October 30, 2014

Until we understand Isis, we cannot hope to defeat it

Ed Husain

ISILのことを知らなければ,その一掃は不可能だ.彼らは中世の狂信的な集団ではない.完全に現代的で,未来の要素も持っている.西側のように,選挙循環に合わせた短期思考ではなく,千年単位で神の国を目指し,神の法を敷く.ISILは真空に存在せず,住民たちの不幸や神学を根拠に育っている.

彼らは死をばら撒き,われわれは命をもたらす.

FP OCTOBER 30, 2014

Middle East Meltdown

BY AARON DAVID MILLER


l  インドネシア

FT October 29, 2014

Indonesia’s Jokowi can outdo Obama

David Pilling


l  ナイジェリア

The Guardian, Thursday 30 October 2014

What kind of Nigeria will the Chibok girls come back to?

Chibundu Onuzo


l  インターネット競争のコスト

FT October 30, 2014

Soaring costs of global internet competition can be overlooked

By Richard Waters


l  スペインの景気回復

FT October 30, 2014

Spanish recovery lays bare a social crisis

Tobias Buck in Madrid

スペインの回復は始まったが,貧しい人々の暮らしは変わらない.フード・バンクへの寄付は増えたが,その利用者の方が大幅に増えたままだ.

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The Economist October 18th 2014

Chinese debts: The great hole of China

British politics: Farage against the machine

Charlemagne: The squeezed middle

Grocery retailing in India: A long way from the supermarket

(コメント) 中国の債務急増.イギリスやヨーロッパにおけるポピュリズムの拡大.インドでスーパーマーケットが市場を拡大できない理由.

中国の債務に関して,日本のバブル崩壊後の債務累積,不良債権処理が思い出されます.金融システムが崩壊することはないが,その処理には時間がかかる,と予想します.日本のようなデフレと停滞になるか,まだわかりません.

不況と失業,移民流入,グローバリゼーションや技術革新に遅れる高齢層.既存政党の開放型のリベラルな政策を支持する中間層が減っています.ポピュリズムは不安をかき立てることで支持者を奪い,政権を執るような政策プログラムを持たないまま,不安定な保守政権の延命につながります.

大型スーパーマーケットはインドの零細商店に苦戦を強いられています.インターネットやコンビニが突破口になる,と予想します.

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IPEの想像力 11/3/14

IPEの想像力 11/3/14

少しずつ,友好的に流入するのであれば,人の移動による文化的な摩擦は生じないのではないか? しかも,永住権や市民権を取る前に,言語能力や文化的受容性について,十分な教育を受けておけば良い.留学や移住は,人々の能力を高めて,双方を豊かにするでしょう.

しかし,政治的混乱や大きな経済格差のある世界では,国境線に鉄条網や壁が築かれ,監視塔が建つ.非合法な入国を試みて失敗した移民たちの死体が海を漂流し,砂漠や山に積み重なる.移民たちは犯罪組織の支配下で奴隷の暮らしを強いられ,受け入れ社会の差別に苦しみ,人種差別団体の襲撃に遭う.

なぜ政府は彼らを保護しないのか? 移民の受け入れに関する合意されたルールと手続きが欠けていると思います.国家は,強制移住や強制送還により,自国民の利益を優先します.

国際的な資本の移動だけでなく,移民についても,合意されたルール,調整のシステムが必要です.それがどのような内容で,どのようにして誕生するのか,想像してみることはできます.

まず,移民労働者に関する労働契約の標準化と,その労働条件を監視する機関が必要です.移民労働者も,その国の労働条件や法律・規制を守ります.それらが厳密に守られ,不当な低賃金や解雇がなくなれば,その国の秩序を安定化し,企業は生産性を改善する革新と教育を重視するでしょう.

移民労働者たちが相互に連絡を取り合い,情報交換する中で,集団として雇用主や各国政府に新しいルールを要求するはずです.さらに国際機関が,さまざまな紛争を平和的に解決する手段を採用するよう,各国に移民政策や規制を指導します.

たしかに,大規模な移民流入は,国民にとって,公共サービスの枯渇や質の悪化,文化やコミュニティーの危機を招くでしょう.それゆえ,毎年,労働市場や社会が受け入れ可能な移民の上限を設定します.

受け入れ上限を超えた場合,移民たちは一定の居住区に待機することを求められます.そして,条件を満たす者を受入諸国の政府が積極的に勧誘します.最近であれば,IT技術者やさまざまなエンジニアです.居住区では言語や技術の教育を提供し,移民希望者が世界中の受け入れ諸国に応募できるようにします.また,優れた成果を上げる,高い能力の若者には,各国が大学への奨学制度を提供するでしょう.

移民たちの一時的居住区は,さらに発達すると,チャーター・シティ(独自の法律を持つ居住区・移民都市)になります.この移民都市が,受入国の中にできるか,送り出し国にできるか,あるいは,独自の開発政策を採用する諸国にあるのか,その法律も含めて,さまざまな試みが奨励されます.

受入国は,移民たちが永住権の取得を経て,市民権を得るまでの明確な基準,その手続きを示します.それを監視する国際機関の権限(法的強制力)は,加盟諸国が認めたことに限定されますが,加盟国には助言や緊急支援が与えられます.その執行委員会は,3者(送り出し国,受入国,移民コミュニティー)の代表から構成されます.加盟国は国際機関の基金を分担し,政策とその効果の評価を受け,自国の移民政策やシステムを改善します.

経済移民と政治難民との違いは,前者が雇用と報酬を求め,後者が戦争や政治的迫害,自然災害などからの保護・避難を求めていることです.どちらの場合も,帰還,定住化,還流のシステムを国際的に合意します.

チャーター・シティは,自然条件,社会条件,その他の制約で,貧困や衰退,弾圧を解決する政治的・地理的なメカニズムです.アメリカやオーストラリアが移民によって発展した国であるように,若い労働力を得ることは経済に柔軟性と活気を与えます.逆に,旧国家の改革が非常に困難である場合,かつての組織的植民のように,旧国家の指導者や住民の一部がその土地から移住して,成長力を回復します.

地域や国籍を越えて,移民が自由に行えるには,経済的な繁栄と貿易や投資のネットワークがあるでしょう.そこでは,政治的な自由や,能力の高い政府・公共部門があり,移民を差別することのない法体系が尊重されていると思います.

移民は,経済運営や政治文化,社会のダイナミズムと切り離せません.歴史的な和解と統合化のための調整過程を担うものとして,アジアでも,共通移民権・圏・都市を設けることです.

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