IPEの果樹園2014

今週のReview

10/27-11/1

 

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エボラ危機 ・・・石油価格下落 ・・・マクロ経済政策 ・・・中国のガバナンス ・・・香港の政治 ・・・ドイツとユーロ圏 ・・・キャメロンの物語 ・・・プーチンの真実 ・・・アマゾンのパワー ・・・債務とは何か? ・・・ウーバーと革新

[長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington Post, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


l  エボラ危機

The Guardian, Friday 17 October 2014

Isis and Ebola: the twin threats that reveal our impotence

Jonathan Freedland

それらは暗闇の、見たこともない敵であり、遠くから襲来した。それらが我々を怖がらせている。ISISは病気のウィルスではないし、エボラはテロリスト集団ではない。しかし、それらがもたらす恐怖は共通だ。それらは連動して世界中の政府をマヒさせる。どちらかが前進すれば、他方も拡大する。

その転換点は、遠くの土地で起きた、誰とも知らない犠牲者の話が、にわかに自分たちのことだと分かった時だ。イスラム国家は、私たちと同じような名前の、James Foley, Steven Sotloff, David Haines, Alan Henningを斬首した。エボラ・ウィルスはアフリカではなく、マドリードやダラスに及んだ。

両方の危機が、似たような無能さの感覚を広めた。人類史上最強の軍備を誇るアメリカが、他の10大軍事国家の予算を合わせたよりも大きな軍事支出を行っている国が、ISISを空爆しても、その前進を阻むのがせいぜいである。あるいは、空気清浄機や細菌感染を防止した完全なスーツにもかかわらず、看護婦はエボラに感染した。

空爆が成功する見込みは全くないと知っていながら、オバマは命令した。彼は戦争を終わらせる指導者でありたかったから。キャメロンは、シリアへの空爆を議会によって阻止されたから、イラクにおいてだけ参加する。

ISISもエボラも、政治家はその能力に限界を感じているが、彼らは事態を制圧し、管理できることを示す必要がある。

映画と違って、ホワイトハウスでも複数の緊急事態に対応する能力はない。特に大統領制では、権力のトップに立つ人物が、意思決定を支配する。新しい世界無秩序において、ISIS、エボラ、ウクライナが同時に進行し、ロシアや中国に対抗することは難しい。いずれの事態も悪化し始める。

ISISがエボラを広め、エボラはISISを支援する。

FT October 17, 2014

Ebola is turning US politics upside down

Gary Silverman

アメリカに上陸したエボラが、中間選挙に向けたアメリカの政治論争を変えた。共和党は、国内でオバマケアを非難し続けているが、同時に、グローバルな感染拡大への介入が遅いと非難し始めた。彼らにとって、どちらもオバマの信頼性の無さを示す例である。「民主党に投票するものは、エボラの感染拡大を助けるようなものだ。」

Project Syndicate OCT 17, 2014

The End of Ebola

ABDUL TEJAN-COLE

Bloomberg OCT 17, 2014

Ebola's Greatest Threat: A Third-World Pandemic

By Megan McArdle

The Guardian, Sunday 19 October 2014

Ebola has exposed America's fear, and Barack Obama's vulnerability

Gary Younge

アメリカでエボラ・ウィルス感染者が出たことは、保守派の不安を一塊に結晶させる作用を及ぼした。移民、人種、テロ、科学、大きな政府、バラク・オバマ。保守派にとって、エボラは単なる病気ではない。それは彼らが理解できないもの、彼らが忌み嫌うもののメタファー(隠喩)である。

恐怖をあおる者たちの楽園に、ついにエボラは降り立った。

1.エボラは外国からの侵入者だ。多くの保守派が嫌う。共和党員は移民流入に反対し、ISIS空爆を支持し、アメリカは超大国から脱落しつつあると信じ、グローバリゼーションを恐れる。彼らは長年、メキシコ国境に高い壁を築いてきたが、エボラはその不安を高める。

2.エボラはアフリカから生まれた。保守派の知らない土地だ。2008年の副大統領候補だったSarah Palinは、南アフリカというのは国の一部なのか? と尋ねた。

3.エボラは、保守派が嫌う、政府を支持する理由につながる。個人や民営化では対応できない。エボラのような感染の拡大を防ぐには、豊富な財源を持つ公共部門、優れた政府職員、中央による計画や協力、科学への尊敬、が欠かせない。残念ながら、アメリカの医療検査機関やオバマ政権はその能力を満たしていない。

4.エボラは、公共医療保険制度を支持する。2012年の報告で、アメリカ国民の43%が、その費用を理由に、保険に入っていない。未加入者の比率はもっと高いだろう。救急室は込み合い、長い列をなしている。熱があるからと言って並ぶ人が、重篤でないとみなされ長く待って、実はエボラ感染者であった場合、どうなるのか? エボラによる死者が出てテキサスでは、Rick Perry知事がオバマケアを拒んでいる。

5.エボラは、オバマに対する保守派の偏見を示す代名詞になった。アメリカを破壊するためにやってきたアフリカからの侵略者だ。2010年の調査で、共和党員のほぼ3分の1が、オバマは白人を憎む人種差別主義者だ、と答えた。右派ラジオのホストMichael Savageは、「Obola」(Obama-Ebola)と呼んだ。「オバマは平等や公平が好きだ。病気についても。第三世界と等しい、と感じるだろう。左翼から見れば、そういうことだ。」

左派の視点から見れば、エボラについて右派が恐怖を感じるのは、死を迫るほどの恐怖や悲劇としてではあるが、われわれが結びついて生きている、という事実である。自分たちのコミュニティーをいくら高い塀で囲んでも、国境線にいくら高い壁を築いても、自宅にいくら高度なセキュリティーを施しても、また、公立学校や、公共輸送システム、公立図書館を避け、公共の場所から退避するためにいくら金を支払っても、あなたが人間であること、他者も人間であること、その事実からは逃げられない。テキサスで安全な生活を得たいなら、あなたの人種、所得、宗教にかかわらず、人々がMonrovia(アフリカ、リベリアの首都)でも医療保険に加入することが、あなたの利益なのだ。

The Observer, Sunday 19 October 2014

Ebola and failing markets tell us that we need to work together

Will Hutton

先週、世界の株式・債券市場は大きく下落した。デフレを恐れ、原油価格の下落を恐れ、さまざまなシステムの欠陥を心配している。しかし、おそらく、もっとも懸念されているのは、政府が合意して、何が行動できるのか、ということだ。エボラに対して、ISISの蛮行に対して、各国政府が協力した対応をとれないとしたら、世界経済のさまざまな亀裂に対して共通の基盤など存在しないのではないか?

合意が全くない、というわけではない。不平等は正すべきであり、現在の緊縮策は続けられないし、相互依存している現実を認めて行動するべきだ、と関係者たちが広く認め始めた。アメリカ連銀議長Janet YellenIMF専務理事Christine Lagardeも、不平等の拡大は成長を損なうという立場を示した。債務依存、金融の不安定化、過大なリスクをとる銀行の救済、資本主義の正統性喪失、につながるからだ。

しかし、中央銀行による金融緩和で時間を稼ぐばかりで、政府はいたるところで混乱している。過大な債務を処理することに向かわず、緊縮策をとり続けている。今も右派のポピュリストは、外国人や相互依存を拒むだけで、積極的な解決策を阻んでいる。

エボラ危機が、各国政府の対応が不十分であることを示している。Liberia, Sierra Leone and Guineaで毎週10,000人が感染していると推定できる。それは世界的な感染爆発に向かっている。もっと医療施設、医者、看護師が必要だ。

しかし、欧米日の政府は感染者の入国を阻むことにばかり注目する。感染の源であるアフリカの不平等な医療システムには目を向けない。国連が呼びかけた10億ドルの基金には、まだ10万ドルしか集まっていない。政府は相互依存の現実を拒んでいるのだ。

もしグローバルな感染症にさえ対応できないのであれば、グローバルな金融の相互依存に対応するはずがないだろう。この1世代にわたり、個人の債務膨張が資本主義の機能不全を隠してきた。大衆にとって、ビジネスの機会、技術革新、成長は無視されてきた。

金融改革はもっと必要だ。不平等を減らすために、公共投資を増やし、富裕層に課税し、国際的に協力する。EUや外国人が我々の病気の原因ではない。Nigel Farageや右翼の政治家たちこそ、我々のエボラである。

NYT OCT. 19, 2014

Cuba’s Impressive Role on Ebola

By THE EDITORIAL BOARD

急場人医師たちの働きは素晴らしい。しかし、アメリカとの国交がないために協力体制を築けない。

FT October 20, 2014

Nigeria saw off Ebola but fraud and Boko Haram plague country

William Wallis in Lagos 

NYT OCT. 22, 2014

How to Defeat Ebola

Nicholas Kristof

共和党員の多く、そして民主党員の中にも、エボラ・ウィルス感染地域からの飛行機を禁止するべきだ、という意見がある。ロイターの世論調査ではアメリカ人の4分の3が飛行禁止を支持している。

その考えは表面的すぎる。一方では、エボラを恐れすぎている。アメリカには医療施設やスタッフのシステムがある。感染の危険は小さい。

他方で、エボラの脅威を軽視している。西アフリカで感染が拡大すれば、それはインド、バングラデシュ、中国にも広がるだろう。インドでエボラが感染を拡大するとしたら、破滅になる。グローバル化した世界で、エボラの脅威はグローバルだ。

それは安全保障リスクでもある。1992年、日本のテロ集団、オウム真理教はコンゴでエボラ・ウィルスを採取しようと試みて失敗した。今なら、アメリカにウィルスを持ち込む自殺行為が容易にできるだろう。

エボラの感染を止める最善の方法は、その源泉を断つことだ。ある医療雑誌は、カナダが行った空港におけるチェック体制(質問票、体温検査カメラ)は全く効果がなかった、と指摘している。

アメリカには、リベリア国内よりも多くのリベリア人医師が働いている。それはアメリカへの一種の医療支援だ。リベリアには、道路、電機、その他、基礎的なインフラがない。リベリアが供給できる電力量は、Dallas Cowboysフットボール・スタジアムがピーク時に消費する電力の3分の1でしかない。

だから、アメリカ人は頭を冷やして、もっと感染地域に支援するべきだ。

FP OCTOBER 22, 2014

How to Shut Down a Country and Kill a Disease

BY LAURIE GARRETT


l  イギリスの政治連合

The Guardian, Friday 17 October 2014

If you want to kill off the United Kingdom, there is no better way

Gordon Brown

FT October 17, 2014

Britain needs a party that proudly champions cosmopolitan values

By Ian Birrell


l  石油価格下落

FT October 17, 2014

Oil gush keeps prices low as fear is high

Daniel Yergin

石油供給を脅かすリスクは多い。しかし、北米における石油供給の増加が、世界経済の低迷という石油需要の減少と同時に起きたことで、市場の古典的なメカニズムが作用しているのだ。産油諸国は疑っているが、アメリカのシェールガス革命とカナダのオイルサンドは、石油供給を増やしている。

石油価格下落の最大の受益者はアメリカだ。景気回復や雇用の増加にも役立っている。アメリカの自動車に乗る人々は、大規模な減税策に等しい、1600億ドルを手に入れた。石油を輸入する日本や中国も受益者だ。

他方、石油収入に依存するロシアは損失を被った。ソ連崩壊が1986年の石油価格下落の後に起きたことを回想して、アメリカの陰謀を非難する者もいる。それは間違いだ。

FT October 23, 2014

Commodities: A partial pump primer

By Chris Giles


l  マクロ経済政策

FT October 17, 2014

The sound and the fury in global markets

FT October 17, 2014

Beware of calls for QE4

Mohamed El-Erian

金融市場の不安からQE4を求める声がある。しかし、そのハードルは高い。

アメリカ経済は。危機後の回復を比べるなら、他の欧日の諸国よりも好調である。しかし、完全に不況の経路を脱出するほどのスピードは得ていない。向かい風に弱く、デフレのリスクがある。金融市場の不安定さが企業や家計の自信を奪い、世界経済の悪化、エボラ、中東、ウクライナなどの地政学的リスク、がある。

しかし、QEの条件は厳しい。銀行は多くの資金を連銀に預けたままだ。もっと包括的な政策がなければ、QEだけでは解決できないが、アメリカ議会の分裂は解消しない。成長が回復しないまま、金融緩和だけに頼ることは、その後の市場是正が実物経済を破壊する懸念が強い。

FT October 20, 2014

A healthy challenge to the old guard of global finance

Eswar Prasad

IMFは,融資よりも政策サーベイランスが重要だ.ユーロ圏融資では,EUに従って融資を増やしたと批判された.IMFが正当性を回復するためにも、現状維持ではなく,BRICSによる国際融資銀行の設立も含めて、積極的な競争が必要だ。

FT October 20, 2014

Abe has no easy fix for Japan’s economic woes

SPIEGEL ONLINE 10/23/2014

The Zombie System

How Capitalism Has Gone Off the Rails

By Michael Sauga

リーマン破綻から6年経ったが,工業化された世界は日本症候群に苦しんでいる.成長率は極めて低く,次の暴落が準備され,貧富の格差が拡大している.グローバル経済は復活できるのか?

近頃,国際会議で流行りの言葉は,「包摂(inclusion)」である.西側の工業社会はその能力を失いつつある.それは,経済の進歩から大衆に利益を広め,政治参加を促すような,多層的な社会を作る能力だ.

ベルリンの壁が崩壊したときに感じた「資本主義の勝利」は失われ,今やだれもが「長期停滞」を心配している.アメリカの債券市場も,原油市場も,突如として世界中の市場が下落した.

政府も,中央銀行も,効果的な政策を欠いている.レーガン政権で大減税を推進したDavid Stockmanが,今では資本主義の大改造を唱える.資本主義はその富を再び包摂する能力に転換できるのか?

Project Syndicate OCT 23, 2014

A New Macroeconomic Strategy

JEFFREY D. SACHS

私はマクロ経済学者であるが,アメリカの2つの主要な学派に反対である.すなわち,ネオ・ケインズ派とサプライ・サイダーである.両学派とも,高所得経済の低調な経済活動を改善することに失敗している.持続的な投資が成長を指導する,新しい戦略が必要だ.

その核心は,社会の資源を最も重要な分野に投資することだ.アメリカ,ヨーロッパ,日本は,国内・外の投資に失敗している.

ネオ・ケインズ派は,何であれ国内投資を刺激する.超低金利で住宅投資を刺激し,ローンを証券化して自動車購入を刺激し,短期の刺激策としてインフラを建設する.また,「過剰」貯蓄を消費させるように求める.

サプライ・サイダーは,減税や規制緩和で民間投資を促進する.しかし,ジョージ・W・ブッシュ政権のときのように,規制緩和の結果は,短期間の住宅バブルであった.

両派の政策が交代したことで,近年,高所得国の国民所得に占める投資の割合が大きく低下した(from 24.9% of GDP in 1990 to just 20% in 2013).EU1990年にGDP24%から,2013年には18.1%にまで低下した.

われわれの社会が今最も必要としているのは,環境を汚染し,エネルギーを浪費する,炭素を大量に排出している生産を,自然資源の効率的利用と,低炭素エネルギーによる生産へ,転換するための投資である.それは政府と民間が補完的に行う必要がある.

太陽光や風力による発電と送電システム,政府・民間における電気自動車の採用,エネルギー効率の良い建築物,広域に及ぶ(たとえば,北海から北アフリカ,ヨーロッパ大陸を含む)再生可能エネルギーのパワー・グリッド,などがある.

ところが欧米は「投資ストライキ」を生じている.財政再建のために政府が公共投資を削減する中では,民間投資も起きないのだ.規制や政府のエネルギー政策が不確実で,疑わしい内容であるときに,代替エネルギーのために積極的な民間投資はできない.

ネオ・ケインズ派もサプライ・サイダーも,投資の賃貸を理解していない.エネルギーやインフラに関する公共政策の決定を欠いては,需要を刺激するまやかしの方法(ゼロ金利,刺激パッケージ)も,財政赤字を減らせば魔法のように湧き出す民間投資も,無駄である.

外国投資にも拡大する可能性がある.すなわち,アメリカは低所得のアフリカに融資して,アメリカ企業から発電所を購入させるのだ.世界の貧困を減らし,アメリカ産業を刺激できる.開発融資を改善することもできる.日本や中国に消費を増やすよう求めるより,その貯蓄を内外の投資基金に利用するよう求めるのだ.

こうして,経済成長と環境の持続性とを調和させる21世紀の最重要課題に向けた投資が,世界経済の低迷を打開する.


l  中国のガバナンス

NYT OCT. 17, 2014

Crony Communism in China

By MINXIN PEI

習近平Xi Jinpingが共産党総書記になって始めた汚職撲滅キャンペーンは,政敵を排除して,権力を確立するための口実であり,すぐに終わる,と多くの者は考えていた.

しかし,そうではなかった.共産党や人民解放軍の最高位まで含む幹部たち,5000人に及ぶ汚職を告発し始めた.それは1989年の天安門事件後に成立した共産党と支持者とのパトロンや収賄の関係を崩壊させる,権力機構自体の生存の危機になっている.共産党の長期的な権力維持を使命とする習は,汚職がそれを脅かす,と考えているからだ.

汚職撲滅は習にとっても多くの利点がある.政敵を倒し,エリートや官僚に規律を与える.現指導部が重視する経済改革を加速させる.自分への大衆の支持を高める.そのために習は,汚職を告発する捜査機関を強化し,贅沢追放のキャンペーンを同時に採用した.

その包括的,かつ大胆なキャンペーンは,習にとって危険でもある.共産党と官僚層の円滑さが失われ,エリートたちの合意された取引を破壊する.習は中国の最も強力な政治勢力を敵に回すかもしれない.すでに官僚層の一部は,消極的な抵抗を,仕事を遅らせるという形で始めている.成長がさらに減速した場合,習の関心は共産党の権威回復より,成長の維持に転換するだろう,と彼らは計算している.

これに対して,習は,メディアや市民社会による監視の強化を許すかもしれない.いずれにせよ,中国のパワー・ゲームのルールは変わった.

NYT OCT. 19, 2014

What China Means by ‘Rule of Law’

By PAUL GEWIRTZ

中国共産党の第18回中央委員会がその第4回全体会議を始めた.香港のデモに対して,人民日報が「法の支配」を求め,「違法」と主張するように,「法の支配」とは共産党が法に拠って社会を管理し支配することである.

しかし,全体会議はより複雑な見解を表明しており,司法制度の改革を推進しようとしている.習近平主席が2200年前の「法家」に言及したように,近代的な法の支配に向かう積極的改革を中国は始めている.それは見せ掛けではなく,指導部自身が,ガバナンスの改善,大衆の不満や意見に対応する必要を認めているからだ.

すでに新しい刑事訴訟法は,容疑者の保護や弁護を認め,死刑判決は半減した.「労働による再教育」を廃止した.政府の透明性を高め,国家と市民との関係を変えた.それは西側の政治的な民主主義を採用することを意味しないが,国民を憲法に拠って支配することを求めている.権力を維持するためには,その一部を抑制する必要がある.

中国の指導者たちが,「社会的安定」のために反体制派を弾圧し,環境破壊や権力の濫用,チベットやウィグルにおける不必要な抑圧策を採ることは,「社会的安定」が数億の国民を貧困から抜け出すための成長を実現し,中国を世界の主要諸国に加えた,と信じている限り,止めないだろう.

しかし,法律家たちは育っており,今後も,改革の動きは止まらないだろう.

NYT OCT. 20, 2014

China Versus America

Roger Cohen

アメリカと中国は話し合いによってパワーのバランスを反映できるだろうか? アメリカは自由と民主主義を愛し,中国は平和と繁栄を約束する.どちらもそのシステムの内部には問題がある.20世紀の戦争を経験したヨーロッパは,例外主義を危険とみなす.

NYT OCTOBER 21, 2014

A Chinese Rival to the World Bank

Bloomberg OCT 21, 2014

In China, the Games Shouldn't Go On

By Adam Minter

WHOが呼吸に危険であると見なす20倍の大気汚染を無視して,北京マラソンは開催された.汚染防止のマスクを着けた参加者たちは26000人.

それでも,さまざまな国際試合が中国で開催されるのは,金のためだ.

FT October 22, 2014

Big nations snub Beijing bank launch after US lobbying

Jamil Anderlini in Beijing

FT October 22, 2014

The myopic western view of China’s economic rise

By Martin Jacques

西側では,政治システムが中国のアキレス腱である,と理解されている.民主化しなければガバナンスは崩壊する,と.

しかし,中国の30年間に及ぶ高成長は,近代史における最大の経済転換であり,そのガバナンスも西側よりはるかに急速に改革を行ってきた.国家が高度な能力を保持し,戦略的に考え,プラグマティックな試みと実験を行ったのだ.

中国国家の正当性は,西側が思うような,高成長だけに依存していない.国家は家族とともに古く,中国文明を維持し,高めている,という国民の歴史観がある.しかも,国家システムの内部における能力主義の採用は徹底している.

西側の民主主義がガバナンスの究極の答えであり,支配的になるというのは,根拠のない非歴史的な主張である.他方,アメリカの民主主義は機能せず,短期思考で,分裂し,国民の1%しか代表しない既得権層が政治を私物化している.

民主主義が支配的になっているのは,西側の諸国が工業力と軍事力で世界を征服し,重要な政治的ポストを独占してエリートに供給したからだ.また,大衆の生活水準を持続的に高めてきたからだ.その両方とも,将来は失われるだろう.

西側は衰退している.市民の多くが不満を持ち,さまざまな問題を解決できないためにガバナンスの危機が生じるのは,中国ではなく,西側だ.

Project Syndicate OCT 22, 2014

China’s Great Leap Backward

XIA YELIANG

反体制派や批判的な主張についての弾圧,入国禁止は,中国を政治的,経済的に後退させる.

FP OCTOBER 23, 2014

The Canary in China's Central Bank

BY DANIEL ALTMAN


NYT OCT. 17, 2014

The Italian Military to the Rescue!

Beppe Severgnini


l  中央アジア

FP OCTOBER 17, 2014

Stan'd if You Do, Stan'd if You Don't

BY TED TRAUTMAN


l  ティフアナ

NYT OCT. 17, 2014

The Rebirth of Tijuana

By SAM QUINONES


後半へ続く)