(前半から続く)
l 自由貿易交渉
FT October 10, 2014
Harder push for trade deals needed
to spur global growth
By
Michael Froman
アメリカの成長回復は輸出増加によるところが大きい.ヨーロッパとのTTTP交渉は重要性を増している.日本の安倍政権も,TPPによる競争力の改善,構造改革への刺激を期待している.主要諸国だけでなく,国連事務総長が指摘するように,開発においても貿易の増大は重要だ.
グローバルな成長の主要な運転手は貿易自由化である.
FT October 13, 2014
Time to rethink the way WTO takes
its decisions
l イスラム国家とトルコ
FP OCTOBER 10, 2014
What's Stopping Turkey from Saving
Kobani?
BY
DAVID KENNER
SPIEGEL ONLINE 10/13/2014
The Last Days of Kobani
A Decisive Battle in the Fight
against Islamic State
By
SPIEGEL Staff
FT October 14, 2014
Erdogan’s final chance to make peace
with the Kurds
David
Gardner
中東を覆うさまざまな危機に対して,トルコが安定のアンカーであり,イスラム近代化のモデルとなる,と長く期待されてきた.しかし,Recep Tayyip Erdoganの強権体制は,その平和外交がクルド人の国家を誕生させる危険を感じて後退し始めた.それが注目されたのは,シリアとの国境線を超えたKobaniで,イスラム国家の攻勢が強まったからだ.
Erdoganは,トルコ軍を派遣することでクルド人を救出し,和解に進むべきだ.彼が望んだように,クルド人の自治区がトルコとイラク北部で結び付きを深め,トルコの影響圏拡大となるだろう.しかし,もしKobaniの崩壊と虐殺を容認するなら,トルコ自身の分裂に向かうだろう.
FP OCTOBER 15, 2014
Blackmail in the Buffer Zone
BY
KATE BRANNEN
theguardian.com, Thursday 16 October
2014
How to use air power in Iraq for a
good cause – bring a tent city from Afghanistan
Andrew
Brown
イスラム国家の攻勢にさらされて約12万人の難民がIrbil周辺で発生している.冬が来れば,間違いなく多数が死亡するだろう.イギリス軍を救出のために派遣することはないだろうが,アフガニスタンに侵攻した結果,われわれの駐屯設備が売却されようとしている.これを空輸することは,たとえわずかでも,難民たちを救う手助けになるだろう.
l アメリカと国際システム
FP OCTOBER 10, 2014
Let's Get the Old Blackwater Team
Back Together
BY
JUSTINE DRENNAN
NYT OCT. 11, 2014
I.S. = Invasive Species
Thomas
L. Friedman
地政学的変化やグローバリゼーションを考えるとき,私は自然界の説明を利用する.アメリカ国立植物園のウェブサイトに有益な説明がある.
「侵入植物が繁茂することは,自然のエコシステム維持を危険にさらす.それは建設現場や道路による切断された場所でよくみられる.」
ISISが用いる言葉は,イラクにもシリアにもなかったものだ.ISISが繁茂したのは,その土地の人々が繰り返し侵略や混乱に苦しんだからだ.
われわれは軍事訓練や武器供与を過大評価し,アラブでもアフガニスタンでも住民たちが求めているものは過小評価している.それは好ましい,正当なガバナンス,である.
将軍に訊けば知っている.あるいは,庭師に訊け.
FT October 13, 2014
America, Britain and the perils of
empire
Gideon
Rachman
1919年のイギリス政府も多くの戦争に関わっていた.その多くは,Afghanistan, Waziristan, Iraqのような地域である.当時の外務秘書官AJ Balfourは,文明化を望まない少数の人々を文明化するために,われわれは財源と兵士を使い尽くすだろう,と不平を述べた.
現代と同じく,軍人たちは政治家の無能さをぼやいていた.しかし,当時はDavid Lloyd Georgeが首相を務めていた.彼は多くの歴史家が優れた,決断力のある指導者と認めている.
第1の教訓は,政治家の能力よりも,イギリスが直面した問題の手に負えない性格が重要だ.利用できる資源には限界があった.
第2に,財源が枯渇し,国民が戦争に疲れていれば,世界の警察官を務めるのは非常に困難だ.
第3に,紛争地域が異常に重なっているのは,その文化や地理が永久に政治不安と戦争をもたらす,リスクの多い地域がある,ということだ.
第4に,1919年の政府混乱は世界が新しい不安定性に向かう兆候であった.それは新しい世界大戦に至った.グローバルな大国が支配力を失い始めると,世界急速に秩序を失う.
FT October 15, 2014
Tunisia still holds dream of freedom
Roula
Khalaf
FP OCTOBER 16, 2014
Uncle Sucker to the Rescue
BY
STEPHEN M. WALT
アメリカは新しいイラク戦争を開始した.アメリカはアラブ諸国などとの幅広い連携を問えるが,同盟諸国はフリーライドを好む.新イラク戦争についての5つの失敗とは,
1.脅威が誇張されている.
2.アメリカのレバレッジを浪費する.
3.明確な優先順位を持たない.
4.自分たちの世界観や利害を共有する,という思い込み.
5.大きすぎる約束と,小さな成果.
それゆえ,教訓を学ぶべきだ.第1に,高度に武装した,外国の侵略者が,自分たちの言葉を話さず,文化も理解せず,しかも,肉親を殺害したり,経済や政治制度を破壊したりするのを見ていたら,なずべきことや生き方について命令するのを聞くはずがない.
第2に,軍事力は破壊する粗雑な手段であって,建設することはできない.軍隊は優れたガバナンスの代わりにならない.
最後に,もしわれわれの優先する目標がアメリカの安全保障であるなら,空爆に数十億ドルを使うより,兵士たちの安全な帰還を確保するべきだ.
NYT OCT. 16, 2014
Asia’s American Angst
Roger
Cohen
アジアは重要だ.しかし,オバマの約束は言葉だけで,行動を意味しない.
l 日本病の世界化
NYT OCT. 12, 2014
I.M.F. Warns of Global Financial
Risk
By
LANDON THOMAS Jr.
デフレの危機,資産市場のバブル,債務の累積,など,政府と中央銀行とは世界経済の不安に関して,IMF総会の内外で,論争を展開した.
FT October 13, 2014
If you believe the bond markets, we
are all Japanese now
By
Peter Tasker
日本がバブル崩壊後の異常な低金利を経験していたとき,それは次第に正常に戻ると考えられた.しかし,むしろ逆のことが起きた.世界の債券市場は,世界経済が不幸な日本の経路をたどっていることを示している.
どこでも成長の見込みは低下し,低インフレが続いている.日本の政策ミスから学んで,金融機関の処理を急ぎ,財政赤字にこだわらず,超低金利を活かして刺激策を取るべきだ.
FT October 13, 2014
Bernanke’s failed mortgage application
exposes the flaw in banking
By
Amir Sufi
FT October 14, 2014
How to do better than the ‘new
mediocre’
Martin
Wolf
FT October 16, 2014
Markets are parched for liquidity
despite a flood of cash
Gillian
Tett
FT October 16, 2014
The markets are right to be anxious
Stephen
King
Project Syndicate OCT 16, 2014
The Spider of Finance
HOWARD
DAVIES
l アメリカの人種差別
NYT OCTOBER 12, 2014
In Ferguson and Beyond, Punishing
Humanity
By
KATE MANNE
l 量的緩和
FT October 13, 2014
US quantitative measures worked in
defiance of theory
By
Robin Harding in Washington
FT October 15, 2014
After QE: Taking off the stabilisers
Ralph
Atkins
FT October 15, 2014
Winners and losers from oil price
plunge
By
Ed Morse
l グローバリゼーションとポピュリズム
FT October 13, 2014
Populist politics is no use to globalisation’s
losers
By
Janan Ganesh
グローバリゼーションの中で既存の地域産業が消滅するとき,再分配,低税率,レジャー産業,など,政治家はそれに対処するが,その流れを逆転させることはできない.誰かを非難する方が簡単だ.
l 豊かな国の脆弱性
Project Syndicate OCT 13, 2014
The Age of Vulnerability
JOSEPH
E. STIGLITZ
アメリカのGDPは増加したが,分配は不平等化し,人々は賃金の低下や資産価値の喪失,職場の安定性を失った.人々は地位の低下に直面しても,回復することが難しい状況にある.
GDPによって経済システムの評価を行うのは間違いだ.
健康や教育も考慮した国連のHuman Development Report 2014によれば,アメリカは,ノルウェー,オーストラリア,スイス,オランダに次いで,第5位である.不平等を考慮すれば,アメリカは第23位に大きく低下する.このような急激な低下は他の先進諸国に見られない.ギリシャやスロヴァキアに劣る.
l 早熟脱工業化
Project Syndicate OCT 13, 2014
Are Services the New Manufactures?
DANI
RODRIK
発展途上諸国の「キャッチアップ」による高成長は続くのか? 「輸出市場工業化」による成長は今後も可能か?
サービス部門の成長に依拠した新しい成長モデルが提起されたが,生産性の高いサービス部門で労働力を吸収する力には疑問がある.発展途上国が成長と雇用,分配を実現する途は,工業化がグローバル・ヴァリュー・チェーンに組み込まれ,中国があまりにも急激に生産力を拡大したことで,閉ざされた.
l ロシア,石油,戦争
NYT OCT. 13, 2014
Glory to the 'Russian World'
By
MICHAEL KHODARKOVSKY
NYT OCT. 14, 2014
A Pump War?
Thomas
L. Friedman
FP OCTOBER 16, 2014
Note to World: Alleged Oil Shock
Isn't All That Shocking
BY
KEITH JOHNSON
l キムジョンウンの復帰
Bloomberg OCT 12, 2014
Kim Jong Un and North Korea's
Mysteries
By
Andrei Lankov
Bloomberg OCT 13, 2014
North Korea's Elites Are a Threat to
Kim
By
Andrei Lankov
Bloomberg OCT 13, 2014
The Surprising News From North
Korea's Prisons
By
Andrei Lankov
l 日本,クジラ,天皇
NYT OCT. 13, 2014
The Big Lie Behind Japanese Whaling
By
PETER WYNN KIRBY
NYT OCT. 14, 2014
The Journalist and the Emperor
Norihiro
Kato
FT October 15, 2014
A weak yen is no panacea but Shinzo
Abe needs it all the same
David
Pilling
2年前に安倍が金融緩和を求めてから,円安はすでに26%に及ぶ.最近では,円安のマイナス面も指摘され,安倍はそれを認めている.しかし,今もリフレ政策と企業への刺激として,円安は必要だろう.
FP OCTOBER 15, 2014
Top Japanese General on ISIS:
'Terrorism Is Never Tolerated'
BY
JOHN HUDSON
l ノーベル経済学賞
Bloomberg OCT 13, 2014
Nobel for Charles Barkley of
Economics
By
Noah Smith
Bloomberg OCT 13, 2014
Banker Bonuses Get a Nobel Dis
By
Mark Gilbert
FT October 14, 2014
A Nobel for work of true economic
value
市場でパワーを持つ企業をどのように規制すれば,それが経済全体に有益であるか? 民営化するだけでは,巨大な企業グループが生まれるだけである.
l 孤独
The Guardian, Tuesday 14 October
2014
The age of loneliness is killing us
George
Monbiot
l イギリスの移民差別
theguardian.com, Tuesday 14 October
2014
Why is there so much hostility to
immigrants in the UK?
Richard
Seymour
l アイルランドの優遇税制
FT October 14, 2014
You see a loophole, we Irish call it
‘opportunity’
By
Peter Cunningham
l アメリカのドル政策
FT October 14, 2014
It makes sense for the Fed to speak
out about dollar
Robin
Harding in Washington
ドル高に対しては金利引き上げを遅らせるという説明が好ましい.
l WHO,IMF,世界銀行
FT October 15, 2014
An underfunded WHO is incapable of
fighting Ebola
Kishore
Mahbubani
エボラ・ウィルスの感染が拡大するのを防げなかったのは,WHOの予算が削られてきたからだ.主要諸国は,財政緊縮策によってグローバル・ヴィレッジの機関を弱体化するのではなく,強化するべきだ.
Project Syndicate OCT 15, 2014
New Battlegrounds in Development
Finance
NANCY
ALEXANDER and FRANCIS A. KORNEGAY
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The
Economist October 4th 2014
The
party v the people
Hong
Kong protesters: No exit
The
world economy: Wealth without workers, workers without wealth
Special
Report: The third great wave
Gaza
after the war: A sea of despair
Commodity
prices: Oil and trouble
The
history of inequality: Breaking the camel’s back
(コメント) 街頭デモに訴えなくても、住民たちがその意見を政治に反映できる政治的仕組みを、北京は見出す必要がある、と記事は主張します。その通りです。
香港の若者たちは、北京との結びつきを持つ者が重視され、中国本土の大学出身者が就職でき、メディアが北京の政策を強く批判せず、不動産価格が上昇しても十分な対策を取らない行政府に、不満です。セントラル選挙運動を、一気に加速した、高校生の学生運動指導者がNYTのビデオで語る情熱に、きっと感銘を受けるでしょう。
特集記事は、情報革命、インターネット革命、ロボットによる労働者の代替が進む世界経済です。しかし、同じ世界には、戦争後のガザに見るような、絶望的政治状況があります。
講義で扱う、国際的不平等の拡大や国際商品価格の循環的変動が、現在の私たちの経済にも決定的な影響を及ぼしていることが記事になっています。
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IPEの想像力 10/20/14
技術革新があまりにも大きな波であることに、私たちは不安を感じます。情報処理・通信・輸送(ICT)の能力が労働をどのように変えるのか? また,国家や国際システムにどのような変容を求めているのか?
コンピューターの処理能力は,1988年から2003年の間に,4300万倍に増大した,とErik Bryniolfsson and Andrew McAfeeは推定します.人間にしかできないと期待された,たとえば,専門医による診断や複雑な手術も,離婚専門弁護士の仕事も,コンピューター化されるでしょう.
かつて、機械化が進む工場に不安を覚えた労働者や研究者たちは、労働の未来を構想しました。労働時間を、たとえば、1日6時間、週3日に短縮する。社会的な共通資本(住宅・都市)を充実させる。芸術家や自然愛好家として自由な労働を増やす。
今では、コンピューターやロボットが人間の労働力に代替します.かつて産業革命が人間の筋力を石炭と蒸気機関に代えたように,より広い分野で,より高度な知識や対応を必要とする職場でも,急速に人間の機会は失われてしまう・・・❓
コンピューターの能力が急激に高まれば,無人運転自動車のように,ロボットはますます多くの職場で人間を追い出します。通信や輸送がますます低コストになって,生産者と、新しいアイデア,消費者とを直接に結びつけ、それは多くの人々に雇用や所得の機会を拡大しつつ、同時に、他の多くの人々から機会を奪います.
しかも、それは職業と能力の両極化を進め,低賃金や労働の強化、より多くの富を創造しながら、より少数の者しかそれを得られない時代が来る、と予想されます。もしそうであれば、富を得られない、機会を奪われる人々が強く反対するでしょう。技術の普及には、分配や社会関係,政治システムにも改革が必要なのです。
また、国際的なネットワークの中で、発展途上諸国の工業化が難しくなる、いわゆる「早期脱工業化」の危険があります。これから工業化する発展途上国は、日本や韓国、中国のように、フルセットで工業力を形成できなくなります。それは雇用や所得の全般的な上昇をもたらさず、投資や資産の海外移転、政治不安、移民・難民、など、国際システムを不安定化するかもしれません.
つまり,技術革新が普及し,その優れた効果を実現する過程には,社会制度や政策の革新,国家やガバナンスの姿を大きく変える必要があります.もちろん,それは素晴らしいことです.新しい雇用が十分に提供され,社会の平等性や安定性を維持できるなら.
新しい時代の自由貿易派として、The Economistは、国家が国内の雇用や産業を維持するために、間違った規制や保護を増やすことに反対し、そのような政治家に警戒します。政府は技術の普及を助け、その社会的なコストを抑えるように、教育や所得の機会、雇用構造の転換を支援するよう求めます。
1.グローバリゼーションが新しい需要と供給との関係を創り出す.アフリカのスラムからでも、中国やインドの需要にこたえる商品を売る。
2.高等教育がインターネットによって普及する.大学教育の利用者は一気に増え、低廉化し、新しいアイデアをグローバルに製品化・企業化する。
3.革新や移行を促すベーシック・インカムを認める。雇用が十分に提供できなくても、国家は保護や規制に頼らず、基本的な生活を保障する社会契約に向かう。
国家は何を求められているのか? 政府に何ができるか? 社会保障システムの拡大と改革.教育・雇用機会の改善.サービスも含めた貿易の自由化.富の分配に対する政治的介入.あるいは,富の社会化とベーシック・インカム.
社会的に豊かで、人々の政治意識の高揚を吸収できる頑健なシステム(新しいリヴァイアサン)だけが、コンピューター、インターネット、ロボットに依拠した、人間的労働と文明の未来です。
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