(前半から続く)
l 再び中東への軍事介入
FP SEPTEMBER 19, 2014
Hacks and Hired Guns
BY
STEPHEN M. WALT
アメリカの外交政策は,シンクタンクに豊富な資金を与える者や外国によって買収されているのか? シンクタンクをつかって,騙されやすいアメリカ人の考えを操作し,アメリカの世論を変えているのか?
外部資金に頼ることは,その研究機関の研究分野や対象を決定する.この問題を無視することは間違いだ.
透明性を高めて,誰からどのような資金を得ているのか,彼らの政治的な立場を明確にさせるべきだ.
NYT SEPT. 20, 2014
Grand Illusion in Syria
Ross
Douthat
FT September 21, 2014
Fuelling Isis Inc
By
Borzou Daragahi and Erika Solomon
The Guardian, Monday 22 September
2014
Obama: the 'yes we can' president
with the 'at least I tried' legacy
Gary
Younge
Project Syndicate SEP 22, 2014
The Limits to Fighting the Islamic
State
GARETH
EVANS
中東における外国の軍事介入は,間違った考えや過剰な拡大によって失敗した長い歴史がある.オバマ大統領が決断した介入が,その目標が,時間,財源,人員で見た受け入れ可能なコストで達成できるのかどうか,明確ではない.
そこには3つの目標が混在している.1.イラクとシリアの市民を守る人道的目標.2.イスラム国家のテロから他国の市民を守る反テロ目標.3.地域内の諸国家の権威と安定性を回復する目標.
しかし,人道的目標だけが,現実に達成可能である.
西側の軍事介入だけで地域の諸国家を安定化することは不可能だ.かつて15万の米軍が派遣されていた時もできなかった.今では地域の感情も悪化し,軍事介入の政治的目的を疑われ,宗派対立はさらに激化している.
アメリカが地域内の同盟者を求めるのも困難である.それぞれの勢力が異なった目標を持っている.サウジアラビアと湾岸諸国は,アメリカがイランの核開発を認めることを恐れている.内戦で市民を虐殺しているシリアのアサド政権と協力するのは好ましくない.
反テロ目標は,西側諸国に受け入れられても,これまでの経過から,アラブ諸国が受け入れることはないだろう.さらに,シリア政府との合意なしに空爆を拡大することは,明らかに国連憲章に違反する.
住民を保護する責任を求めた国連決議に依拠して,人道的使命のみに限った軍事介入であれば成功する可能性がある.
Project Syndicate SEP 22, 2014
America’s Never-Ending War
BRAHMA
CHELLANEY
FP SEPTEMBER 22, 2014
The Arab War on Terror
BY
JAMES TRAUB
NYT SEPT. 22, 2014
Obama Isn’t Finished Yet
By
JAMES MANN
Bloomberg SEPT 22, 2014
More Safeguards Won't Make the
President Safer
By
Megan McArdle
The Guardian, Tuesday 23 September
2014
The war Barack Obama didn’t want to
fight
Salim
Lone
FT September 23, 2014
Friendless Obama needs Middle
Eastern allies of convenience
By
Francis Fukuyama and Karl Eikenberry
アメリカには政治的結果を支配する知恵も資源もない。オバマは多くを約束しすぎた。イギリスの対ヨーロッパ政策の歴史に学ぶべきだ。
イギリスは恒常的な友好国を持たなかった。しかし、ヨーロッパをまとめる単独の国が現れて、イギリスに挑戦することを防いだ。ヨーロッパ内の勢力均衡を利用して、イギリスは経済力と海軍力を駆使し、覇権国として外交を支配した。
拡大された中東地域の秩序を亜安定化するために、オバマが実行すべきは、こうした政策だ。
FT September 23, 2014
US needs precision politics if bombs
are to defeat Isis
By
David Gardner in Beirut
Project Syndicate SEP 23, 2014
Obama Versus the Islamic State
ANNE-MARIE
SLAUGHTER
オバマ大統領のイスラム国家に対する新戦略は、成熟した、一貫した外交政策を示していると思う。
3つの理由がある。新戦略は、軍事力と外交とを組み合わせている。新戦略は、アメリカの軍事行動のタイプと範囲を明確に条件づけている。新戦略は、広範な中東諸国の連携を求めており、アメリカが世界の警察官であることは前提しない。
イラク政府は新しい首相の下で宗派間の協力を求めなければならない。イランには言及していないが、イラクはシーア派の主要な国家になっており、その政府を守るアメリカの空爆を意識するはずだ。シリア政府はISISと同じような残酷な市民や子供たちの虐殺を続けており、アメリカによる空爆の目的が人道的な住民の保護である以上、自分たちに及ぶことを明確に意識するだろう。
オバマは重大な国益が侵されていない、とシリアへの軍事介入を拒んだ。しかしアメリカは、20万人のシリア国民が虐殺されても放置し、2人のアメリカ人ジャーナリストが斬首されたから介入した、というのでは、アラブ民衆の心をつかめない。
つまり、この新戦略は、中東の政治ゲームをただちに転換する戦略として、重要な意味を持つのである。
農夫の運命が、王の運命に対して直接、重大な影響を与えるのだ。
FP SEPTEMBER 23, 2014
Americanasaurus and the March to War
in Syria
BY
AARON DAVID MILLER
FP SEPTEMBER 24, 2014
Bad Moon Rising
BY
DAVID J. ROTHKOPF
The Guardian, Thursday 25 September
2014
Faced with the barbarity of Isis, we
cannot stand impotently by
Peter
Hain
theguardian.com, Thursday 25 September
2014
Obama's Isis coalition was built at
Iran's expense, and Rouhani knows it
Ali
Gharib in New York
FT September 25, 2014
Obama revives the failed logic of
the war on terror
By
Ramzy Mardini
NYT SEPT. 25, 2014
Obama Can Still Earn His Nobel
Timothy
Egan
NYT SEPT. 25, 2014
A Foreign Policy Turning Point or a
Moral-Equivalence Blunder?
By
HANNA KOZLOWSKA
NYT
SEPT. 25, 2014
A President Awakens
Roger
Cohen
FP SEPTEMBER 25, 2014
But This Threatiness Goes to 11…
BY
ROSA BROOKS
l 中国の経済的影響力
Bloomberg SEPT 19, 2014
Who Is the World's Most Important
Central Banker?
By
William Pesek
Bloomberg SEPT 19, 2014
Glaxo and the Ugly Side of China
Inc.
By
William Pesek
FT September 25, 2014
PBoC chief exit – a recurring rumour
by
Jamil Anderlini
FT September 25, 2014
China’s historic stock opening to
recast global investing
by
James Kynge
上海市場と香港市場が統合され、世界の投資家に開放される歴史的な瞬間が近づいた。
l 香港民主化デモとウィグル
FP SEPTEMBER 19, 2014
What's Wrong With Hong Kong?
BY
NICHOLAS BEQUELIN
NYT SEPT. 21, 2014
Beijing's Rising Smear Power
By
MURONG XUECUN
NYT SEPT. 21, 2014
In Hong Kong, Is Limited Democracy
Better Than None?
By
JAKE FLANAGIN
FT September 22, 2014
Teenager Joshua Wong picks up
democracy baton in Hong Kong
By
Demetri Sevastopulo in Hong Kong
FT September 25, 2014
Beijing needs to talk to the Uighurs
Ahmed
Rashid
中国の学者Ilham Tohtiが終身刑の判決を受けたことは、憎むべき不正義であり、法の支配と矛盾するものだ。Tohtiはウィグルでもっとも著名な学者のひとりであり、阻害されたムスリム・ウィグル少数派と、漢人・中国コミュニティとの間に橋をかけて、暴力の連鎖を終わらせることに生涯をささげてきた。
中国はウィグルの政治・宗教指導者たちと対話する必要がある。新疆の暴動は鎮圧できないものではない。しかし若者たちが信仰や文化を否定され続けるなら、その憤慨は増すだろう。
対話や和解を求めるウィグル人を終身刑に貶めるより、彼らと協力するべきだ、というのは常識である。誰も中国の中央アジアがテロの蔓延するパキスタンやアフガニスタンになることを望まない。
l ブラジル
FT September 22, 2014
Like Lula, Marina Silva can refresh
Brazil’s tired politics
By
Misha Glenny
l ヨーロッパ移民政策
SPIEGEL ONLINE 09/22/2014
Europe's Original Sin
What Asylum Policy Says about the EU
An
Essay by Jürgen Dahlkamp
SPIEGEL ONLINE 09/22/2014
Sharing Burdens
Germany to Urge Shift in EU Refugee
Policy
By
SPIEGEL Staff
FP SEPTEMBER 25, 2014
Germany's Jewish Problem
BY
BENJAMIN WEINTHAL
l アメリカのアジア外交
FT September 23, 2014
America should not lose its focus on
Asia
Kurt
Campbell
l グローバリゼーション
Project Syndicate SEP 23, 2014
Rebooting Globalization
MARTINA
LARKIN
Bloomberg SEPT 23, 2014
The G-20's Triumph and Tragedy
By
Mohamed A. El-Erian
FT September 25, 2014
Economics needs to reflect a
post-crisis world
Project Syndicate SEP 25, 2014
Disciplining the Sharing Economy
PARAG
KHANNA
シェアリング・エコノミーは普通の人々に参加を促し、新しい資本主義をもたらすかもしれない。そのために適切な規制が必要だ。急速な変化には分配や地位の変更が伴い、反対するものが現れる。政府の役割も変化する。
l ロボット
FT September 25, 2014
Robots are our saviours, not the
enemy
By
Peter Thiel
l プーチン
FT September 25, 2014
Russia: Putin’s power politics
By
Courtney Weaver
l アフガニスタン
NYT SEPT. 25, 2014
Afghanistan’s Failed Transformation
By
AHMED RASHID
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The
Economist September 13th 2014
UK
RIP
Fighting
Islamic State: The long haul
Confronting
Islamic State: The next war against global jihadism
Bello:
Memory is not history
Free
exchange: No country for old money
(コメント) 記事はスコットランド独立に反対しています。残ったイギリスは世界における地位を失います。EUからも離脱するでしょう。独立派の唱える繁栄は幻想です。しかし過去の追認ではなく、スコットランド、ウェールズ、イングランド、北アイルランドの想像的な関係を人々は求めています。
イスラム国家に対するオバマ大統領の方針は非常に困難な戦いを意味しています。分裂した政治の中で、オバマは時間を必要とします。しかし、そのような忍耐こそ、アメリカ政治に欠けているものです。
チリでも、アルゼンチンでも、ラテンアメリカ諸国で政府は過去の政治的弾圧、虐殺を、歴史として記憶することを求めます。しかし、記憶と歴史は違う、と記事は注意します。右派は軍事的に勝利して支配したが、左派は敗北したのに、同じような虐殺を犯した者が、平和の時代に勝利して、都合のよい歴史だけを書きます。
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IPEの想像力 9/29/14
ゼミの合同合宿でディベートを行いました.下関市立大学,山川ゼミが主催です.
関門海峡の海は胸にしみるような濃い青色で,多くの船舶の影にも,維新の歴史を想起させるような,深い味わいを感じました.
経済学と国際政治経済学(IPE)は何が違うのか? 経済学は市場の圧力で改革を説明し,正当化します。IPEは政治が,ときに,市場の圧力を利用することを指摘します。どちらが正しいか、決めることはできません。
安全保障をめぐる不安が、投資や貿易を抑圧するのは確実です。政府の動揺や政策・規制の不安でさえ、景気回復を遅らせると議論されています。ウクライナ危機がロシア経済を破壊するのか、ウクライナ支援がユーロ圏やアメリカの維持する国際システムにとって深刻な足かせとなるのか。
記事Free
exchange: No country for old moneyを読んで、スコットランド独立が通貨問題として考察されていることに興味を覚えます。
独立派は、何も変わらない、と主張しました。独立してもポンドを使用し続けるから。イギリスとは通貨同盟を組む。ユーロ圏と同じように。
しかし、為替レートや金利が同じというのは,貿易や投資を促しますが、必ずしも良いことではない、というのを「最適通貨圏」論でR.マンデルは示しました。スコットランドとイギリスは要素(資本と労働力)移動が高いけれど、景気変動が完全には一致しません。
一国内では地域間で財政移転がその影響を緩和しますが、ユーロ圏が示すように、それが不十分であったり、高齢化などによって将来の財政赤字が増したりすることを考えると、独立したスコットランドはギリシャのようになるでしょう。イギリスの主要政党とイングランド銀行は、スコットランドとの通貨同盟を否定しました。
通貨同盟なしに、スコットランドが一方的にポンドを採用することも可能です。世界中に、ドル化した諸国があります。しかし、新通貨の信用を維持するために多額の準備を維持しなければなりません。金融規制やイングランド銀行を失えば、スコットランドの金融ビジネスは生き残れず、ロンドンに本社を移転するでしょう。
独立国は、要するに、必ず独自通貨を印刷します。スコットランドはすでにその準備ができているから有利です。ソ連崩壊によって生まれた諸国も独自通貨を発行しました。エストニアはルーブルを新通貨クルーンに交換し、同時に、ドイツマルクへの交換も認めました。その改革は成功であった、とIMFも報告しています。
インフレ目標を定めて変動レートにするか、為替レートを固定するか、記事は貿易の重要性を理由に後者を支持します。また、財政赤字を抑制するような緊縮的政策を、(その公約に反して)スコットランド政府に勧めます。
経済の運営に関して、金融政策が重要になるほど、政治的な独立は独自通貨を支持する必要があります。それが政治的な独立の前提です.ところが、独立国家は金融政策の難しさから、これをルールによって限定し、あるいは主要国の政策に追随させます。結局、通貨を共有したほうがよい、と多くの独立国はヨーロッパとその周辺地域で考えたわけです。
安全保障の問題に戻れば、危機はナショナリズムを刺激し、他方で、国際的な軍事同盟に参加する必要を示しています。
繰り返せば、経済学は市場圧力の数理モデルや合理的な均衡条件の仮説を分類し,その検証を,現実の政治社会対立から隔離された効果と考えます.他方、IPEは,政治交渉や危機とその衝撃が波及する社会変化を理解しようとします。
この海峡がなくなることはないでしょう.しかし,渡る者はいます.
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