前半から続く)


l  オバマの中東介入

FP SEPTEMBER 11, 2014

How Willing Is Obama's Coalition?

BY COLUM LYNCH, ELIAS GROLL

新しい戦争の関わることを強く拒んできたオバマがイスラム国家への空爆を計画している.その方針転換を支持するために,広範な国際同盟を呼び掛けた.しかし,各国の参加は期待したほど広がらず,その意図もばらばらである.

The Guardian, Friday 12 September 2014

This is the third world war – and this time we are on the fringes

Giles Fraser

The Observer, Saturday 13 September 2014

Obama's great dilemma: to be or not to be the world's policeman

Michael Cohen

NYT SEPT. 13, 2014

What’s Their Plan?

Thomas L. Friedman

theguardian.com, Monday 15 September 2014

Bombs won’t solve the Isis problem

Richard Seymour

空爆で政治対立は解消しない.ブッシュの戦争と同じことだ.

NYT SEPT. 15, 2014

To Crush ISIS, Make a Deal With Assad

By AHMAD SAMIH KHALIDI

FP SEPTEMBER 15, 2014

The 7 Habits of Highly Effective Coalitions

BY JAMES STAVRIDIS

FT September 16, 2014

US must work harder to win over Arab regimes on Isis

Ahmed Rashid

SPIEGEL ONLINE 09/16/2014

Airstrike Uncertainties

Obama's Dangerously Vague New War

By Markus Feldenkirchen, Christoph Reuter and Holger Stark

その目標も,計画も,明確ではない.

NYT SEPT. 16, 2014

Take a Deep Breath

Thomas L. Friedman

この戦いは,われわれの戦争なのか? 彼らの戦争なのか? なぜこれほど急に,これほど強く,われわれはISISを恐れるようになったのか?

これは中東におけるバランス・オブ・パワー(サウジアラビア,イラン,トルコ)を変える戦争だ.アメリカが介入しなければ,彼らは自分で戦うだろう.アメリカが介入すれば,彼らはそれが何を意味するか疑い,戦わずに様子を見る.

これはイスラム圏の戦争だ.イスラム圏では,これまでサウジアラビアが石油の富を使ってサラフィストと政治取引を結んできた.サウジは地域の政治を支配し,サラフィストには資金や寺院建設を支援して,彼らの宗教支配を拡大する.アルカイダやISISもその一部だ.

サウジアラビアはサラフィストとの合意を破棄するしかない.そして政治と宗教の改革を進めることだ.

FT September 18, 2014

Obama’s isolation deepens over Isis

By Geoff Dyer in Washington


l  香港

YaleGlobal, 11 September 2014

China to Hong Kong: You Can Vote, We Select the Candidates

George Chen


l  中国とインド

FT September 12, 2014

Xi to meet Modi amid shift in Sino-Indian ties

By Lucy Hornby in Beijing, Victor Mallet in New Delhi and James Crabtree in Mumbai

Project Syndicate SEP 12, 2014

Asia’s Democratic Dark Spots

SHASHI THAROOR

FP SEPTEMBER 12, 2014

All Your Pivots Are Belong to Us

BY KORI SCHAKE

NYT SEPT. 17, 2014

Much at Stake as Xi Jinping, Chinese Leader, Visits India

By ELLEN BARRY

Bloomberg SEPT 18, 2014

India Goes to Mars and Madison Square Garden

By Chandrahas Choudhury


l  国際金融システム改革

FT September 12, 2014

Lunch with the FT: Christine Lagarde

By Gillian Tett

VOX 13 September 2014

International reserves before and after the Global Crisis: Is there no end to hoarding?

Joshua Aizenman, Yin-Wong Cheung , Hiro Ito

VOX 15 September 2014

Restoring financial stability with economic growth

James Boughton

国際金融システムがうまく働いていないから,改革は強く求められている.

特に,2009年に合意したIMF改革をアメリカ議会が承認することは非常に重要だ.それは旧勢力(ヨーロッパ)から新興勢力へのパワーの再配分を意味する.

各地域における金融機関もIMFと一致して行動することが必要だ,それはチェンマイ・イニシアティブやEUが合意したことで前進している.

さらに必要な改革としては,第1に,SDRを利用してIMFに独自の金融資産を創出させることだ.USドルに代わって,SDRが国際金融システムの主要準備資産になる.またSDRに人民元を組み込むべきだ.さらに重要な政治的意味を持つのは,過剰な準備資産をSDRに交換できる代替口座を設けることだ.これはアメリカを含む主要国の政治的合意を必要とする.

2に,IMFと非公式な国際協力との関係を確立することだ.かつて,G5G24が重要な役割を果たしたが,今ではG20が世界経済の変化するバランスを反映している.そして,IMFの政策をG20が決定するようになった.

1980年ころから,雇用と成長の実現ではなく,金融安定性が追及されて,私はそれを「新しいアングロサクソン・コンセンサス」と呼んだ.皮肉にもその政策が安定性を損なったのだ.

2009年からは,金融活動の規制や国境を越える金融取引に規制が強化されるようになった.それに従って,かつて完全雇用と金融的安定性とを実現するためマクロ政策を協調した戦後の政治的関与を,政府は回復する必要がある.

FT September 18, 2014

Emerging markets brace for a bumpy ride

Gillian Tett

FT September 18, 2014

Deeper reform of housing finance is vital for stability

Martin Wolf

住宅部門のバブルに至るような金融刺激策が採られている.金融機関のリスクを政策が引き受けることは間違いであり,民間部門内で分散させることが重要だ.


l  ECBとヨーロッパ政府

VOX 12 September 2014

Is the ECB doing QE?

Charles Wyplosz

ECBが発表した量的緩和は,アメリカ,イギリス,日本と違って,需要によって制約される.ユーロ債の発行やその保有者はドイツの金融機関が多い.ユーロ圏の政府債をECBが購入することには反対が強い.

それでもECBの量的緩和が成功するとしたら,債券売買が損をしないようにECBがリスクを取るからであり,それがユーロ安による輸出を刺激するからだ.その結果,銀行がリスク回避を弱め,融資が増えることが一層の通貨供給につながる.

FT SEPTEMBER 15, 2014

Europe strikes back

Project Syndicate SEP 16, 2014

The Government Europe Deserves?

DANIEL GROS

Project Syndicate SEP 17, 2014

Revamping Europe’s Tattered Social Contract

KEMAL DERVIŞ


l  賃金の低迷

NYT SEPT. 12, 2014

The Way to Beat Poverty

By NICHOLAS KRISTOF and SHERYL WuDUNN

FT September 18, 2014

Pay pressure

By Chris Giles, Sarah O’Connor and Ben McLannahan

賃金が停滞する時代に,どうすれば賃金を引き上げることができるのか? 不満は高まり,政治的な軋轢,長期の経済停滞という懸念を生じている.その打開策に関する合意はない.

政治的な左派では,Joseph Stiglitzは,即座胃に需要刺激策を実施し,最低賃金を引き上げることを支持する.しかし右派では,Dierdre McCloskeyが市場の規制に反対する.

グローバリゼーションに対して,社会的な利益の点で,ベイシック・インカムを支持する者もある.


l  日本

NYT SEPT. 12, 2014

Tea Party Politics in Japan

Norihiro Kato

内閣改造で最大の大臣を出したのは「日本会議」という右翼団体である.

Project Syndicate SEP 15, 2014

The Ghost of Hirohito

ERI HOTTA

FT September 17, 2014

SoftBank’s Masayoshi Son tops Japan rich list

By Kana Inagaki in Tokyo and Jennifer Thompson in Hong Kong


l  オバマ外交

FP SEPTEMBER 12, 2014

The Way We Were

BY ST EPHEN M. WALT

現在は,過去の行動の意図しない結果である.一極化した時代の,アメリカの善意は報われない.多くはアメリカではなく彼ら自身の問題であったのに,アメリカ外交の失敗として非難される.

地上軍を派遣しない,というのは重要な教訓ではない.もっと根本的にアメリカの利益と能力とを再評価するべきだ.

NYT SEPT. 12, 2014

13 Years After 9/11, the ‘War on Terror’ Has a New Focus

By SERGE SCHMEMANN

NYT SEPT. 13, 2014

Paths to War, Then and Now, Haunt Obama

By PETER BAKER

FT September 14, 2014

America’s perpetual ‘war on terror’ by any other name

Edward Luce

NYT SEPT. 16, 2014

Apples and Hurricanes

Obama Beyond Bush and Frank Bruni


l  中国

The Guardian, Sunday 14 September 2014

China’s workers are turning from analogue slaves into digital rebels

Paul Mason

NYT SEPT. 14, 2014

China's Environmental Awakening

By DANIEL K. GARDNER

FT SEPTEMBER 15, 2014

China’s rise is a credit to private enterprise not state control

By Nicholas Lardy

Bloomberg SEPT 15, 2014

Bad Loans Could Bust China

By William Pesek

Bloomberg SEPT 16, 2014

What Happens If China Becomes Japan?

By Megan McArdle

中国経済が深刻な不況に向かうのではないとしたら,それは日本のような長期の停滞に似てくるだろう,その場合,世界の他の部分は,どのような影響を受けるのか?

Bloomberg SEPT 16, 2014

Africa's Ebola Should Be China's Problem

By James Gibney

FT September 17, 2014

Asian billionaires create wealth fastest

By Jeremy Grant in Singapore

FP SEPTEMBER 17, 2014

The Flame of Chinese Nationalism

BY JESSICA CHEN WEISS

Bloomberg SEPT 17, 2014

Three Reasons to be Terrified of Alibaba

William Pesek

FT September 18, 2014

Use of euro-renminbi options surges

By Josh Noble in Hong Kong

Project Syndicate SEP 18, 2014

Great Cities and Ghost Towns

ANDREW SHENG and XIAO GENG

Project Syndicate SEP 18, 2014

In Praise of China’s New Normal

YAO YANG


l  プーチン

NYT SEPT. 15, 2014

Putin's Playbook

By MAXIM TRUDOLYUBOV

FT September 16, 2014

Russia is our most dangerous neighbour

Martin Wolf

FP SEPTEMBER 17, 2014

Ghosts of the Maidan

BY MICHAEL WEISS


FT September 16, 2014

Worst is far from over for India’s indebted tycoons

By James Crabtree


l  ドイツ

FT September 16, 2014

CDU party jitters as moderate Angela Merkel outflanked by eurosceptics

By Stefan Wagstyl in Berlin

NYT SEPT. 16, 2014

What’s Behind Germany’s New Anti-Semitism

Jochen Bittner


l  G20サミット

Project Syndicate SEP 16, 2014

The G-20 to the Rescue?

WAYNE SWAN

G20のブリスベーン・サミットが開催される.オーストラリア政府は世界経済の構造的な問題にも注目し,財政的な刺激策を協調するべきだ.

ところが政府は事態を良好な推移に委ねる姿勢を取り,G5による合意形成に戻るような気配を示し,広範な国際協調を軽視している.それが発展途上諸国やアジア地域の関心を失わせる.

政府の積極的な行動で世界経済の停滞を打破するべきだが,オーストラリア政府の否定的な姿勢がそれを妨げる.

Project Syndicate SEP 17, 2014

The System is Working

DANIEL W. DREZNER

G20サミットが開催される.グローバル・ガバナンスの失敗を嘆くことが習慣となっているが,それは間違いだ.2008年の不況を緩和する点で,グローバルな経済秩序は有効に機能した.

過去の世界的な景気後退に比べて,世界経済は強く回復し,貿易や投資は数年で危機前の水準を超え,世界の貧困は減少している.なぜ世界経済やシステムが失敗したという間違った認識が強いのか?

多くの評論家たちが経済学や経済政策の現実を知らず,国際政治に重点を置いている.そして「通貨戦争」といった発言に振り回される.

また,集団的な誤解は彼らのノスタルジアにある.第2次世界大戦後の指導者や国際機関を懐かしがる.しかし,現実には過去の国際機関も多くの障害に苦しんだ.

国際秩序のアドヴァイザーたちは西側に多い.回復が遅いのは世界経済ではなく,西側の諸国である.そしてその原因は国内にある.それにもかかわらず,彼らの理解は自分達の周りの環境に支配されている.

システムの機能を妨げるのは,むしろ彼らの間違った認識である.


l  スウェーデン選挙

FP SEPTEMBER 16, 2014

How a Former Neo-Nazi Party Became Sweden's Third-Largest

BY ELIAS GROLL


FP SEPTEMBER 16, 2014

Why Tom is so damn wrong about the relevancy of political science

BY THOMAS E. RICKS


l  北朝鮮

FT September 17, 2014

North Korea resembles ‘The Truman Show’

David Pilling

北朝鮮を訪問しても,その見聞から得るとことは非常に少ない.ピョンヤンは改革の影響を示しているが,それはショーでしかなく,この国の現実を何も示さない.


l  ピケッティ

Project Syndicate SEP 18, 2014

Piketty’s Missing Rentiers

JEFFREY FRANKEL

Thomas Pikettyの本は,Karl Marxと同様に,不平等に関心がある.そしてMarxに比べて,その主張はまともな統計に依拠している.

なぜ所得格差が拡大したのか,経済学はいくつかの要因をすでに指摘している.しかし,彼の主張はそれらを無視して,長期の趨勢に関するものである.富裕層の富が継承されて蓄積され,貯蓄によって不平等が拡大する,と考える.

しかし,第2次世界大戦後がそうであったように,富裕層に対する政策を多数派が変えることも,なぜ考えないのか?

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The Economist August 30th 2014

The criminalization of American business

The euro zone: That sinking feeling (again)

India in Asia: Eastern promises

State-owned Enterprises: Fixing China Inc

Germany’s economy: Watching the wages

Japan’s bond market: Quantitative freezing

(コメント) アメリカ,ユーロ圏,インドのもたらす不安と機会が考察されています.アメリカの司法当局が国境を越えて企業の行動を監視し,裁判所ではなく経営者との秘密交渉で莫大な課徴金を得る,というのは,新しい秩序に向かうリヴァイアサンの兆候かもしれません.ユーロ圏の経済政策やインドの外交も同様です.

中国の国有企業,ドイツの賃金による調整メカニズム,日本の金融政策は,経済成長を維持するために市場と国家が関係する新しい仕組みを模索しています.

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IPEの想像力 9/22/14

国家について,最近のニュースで特に関心を集めたのは,イスラム国家とスコットランド独立問題でした.

イスラム国家のニュースは,英米人の捕虜を斬首する,その狂信と野蛮さを強調しています.他方,The Economistの記事は,外国から参加している戦闘員の推定を示します.近隣のチュニジア,サウジアラビア,ヨルダンから2000人以上が参加し,フランス,オーストリア,ベルギー,などからも数百人が参加しています.参加した若者の声は,私たちの社会に広まる不満と強烈な信仰心との結び付きを示します.

スコットランド独立を阻止したのは,独自の国家,特に通貨を持つことの難しさでした.独立は否定されましたが,ロンドンの指導者たちが約束した「自治権拡大」の流れは止められません.EUを離脱するより,イギリス自身がEUに似てくるわけです.

ウクライナ危機をめぐって,国境を変更し,戦争のルールを変えた,プーチンの強硬姿勢が,国連安保理を機能不全にするかもしれません.アメリカにも,EUにも,NATOにも否定できない,威信を求める国家の横暴は,世界各地に伝染します.

国際政策協調の意味は,常に,変化し続けています.それは深く,広く,複雑な網の目にくさびを打ち込む,豪胆な指導者たちを求めています.

豊かな大国も,長期の停滞や失業を懸念しています.G20が世界需要の回復策を模索しました.ドイツの賃金上昇は国際収支の不均衡をユーロ圏内で調整するかもしれません.他方,日銀の国債購入が民間市場を抑圧してしまうことが懸念されます.オバマ大統領は,イスラム国家への掃討作戦を国際協調として実現したがっています.また,エボラ・ウィルスの感染拡大を阻止するため,アメリカ軍を派遣しました.

中央アジアの複雑さは,小国の安定を難しくします.かつてソ連に侵攻され,タリバンに占領され,アメリカに侵攻されて,その後,NATOの占領下で安定化を模索してきたアフガニスタンは,大統領選挙による平和的な政権移行を実現できませんでした.アメリカ軍とNATOが撤退し,タリバンが復活することを,パキスタンだけでなく,インドや中国,トルコ,ロシア,イラン,なども加わった,安定的な政治秩序に組み込むことが求められています.

しかし,どうやって? 政治や外交の秘術は,危機を新しい秩序に転換するとき発揮されます.ガニの経歴に驚きました.アシュラフ・ガニ大統領と,アブドラ・アブドラ行政長官,という体制の下,彼らが秘術を尽くすことを予感します.

アリババが株式公開によって集めた資金27000億円は,技術革新や,関連分野で企業買収と経営合理化に使われるのでしょう.それは世界のIT分野だけでなく,中国経済の変貌も加速します.国連サミットに合わせて,気候変動を抑え,化石燃料からの転換を求める30万人のデモが起き,日本では,赤トンボが農薬のせいで急激に減少している,という記事を読みました.

新しいリヴァイアサンの誕生は,まだ,多くの混沌とした苦しみの過程にあります.

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鈴木英治の時代小説が面白いことに気づいて,とても喜んでいます.小説家というのは偉い,と思います.架空の世界を描くために細部を書き込み,架空の人物を動かして感情や言葉のわずかな差異で陰影を創り出す.描きこまれた季節や職業に,何か惹かれるものを隠しています.

「勝手にフルマラソン」,挑戦しました.なんとか42キロ余りを走破しましたが,実際は,30キロの壁に打ちのめされ,脚や腰,背中の痛みをぼやき,終盤はほとんど歩いていたのです.

9.6キロのコースを4周して,さらに4キロを,5時間19分でフィニッシュです.確かに目標タイムは5時間10分でしたが,これはゆっくり走ることが目標であり,要するに,失敗です.まだ体が付いて行かなかった,と反省しています.

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