(前半から続く)
l ドル体制の次に
Project Syndicate JUL 25, 2014
After
the Dollar
JOSÉ ANTONIO OCAMPO
BRICSが,インフラ投資と持続的な開発を助けるthe New Development Bankと,通貨スワップによる緊急時の流動性供給を担う Contingent Reserve Arrangementを立ち上げた.ブレトンウッズ体制に対する明白な挑戦の試みである.
ブレトンウッズ会議が合意した国際通貨制度は,各国通貨をドルと安定した為替レートで結びつけたが,その後,1971年にそれが放棄されてからも,ドルの中心的な役割は変わらなかった.実際は,多くの国がそれを嫌っている.
ドルに頼ることはアメリカに強大な権力を与え,Robert Triffinが指摘したように,国際通貨制度を不安定化している.50年前にトリフィンが指摘した問題は,中国の台頭で再び関心を集めている.その解決策は,ドルを人民元に換えるのではなく,唯一の世界通貨であるSDRを使うことだ.
1969年にできたSDRは,その後も限定的にしか利用されていない.SDRはIMFの一般勘定と区別されている.IMFはSDRで融資できない.SDRの保有は資産でもあり,債務でもある.それは融資枠のように,あるいは,一種の無条件当座貸越枠のように作用する.
それでもSDRは国際通貨危機に際して役立った.特に2009年位は,最大の発行額,2500億ドルが実現した.その多くは発展途上諸国が使っている.彼らが世界通貨の創造に関与できるのはSDRだけである.
推定によれば,世界は毎年,約2000~3000億ドルの追加発行を必要としている.さ一般勘定との分離,など,さまざまな制限を取り除き,SDRによるIMF融資を増やし,アメリカなどが反対しても,SDRの利用を中央銀行間だけでなく,民間においても拡大するべきだ.
安定したSDRの国際通貨制度は,世界や発展途上諸国だけでなくアメリカにも有益である.
VOX, 26 July 2014
Why
is financial stability essential for key currencies in the international
monetary system?
Linda Goldberg, Signe Krogstrup, John Lipsky, Hélène Rey
国際通貨としてのドルの役割が変化するのか,ユーロが誕生してから積極的に議論されたが,最近,むしろユーロの利用が拡大するより,ドルの復活が話題になっている.
何が国際通貨の利用を決めるのか? 旧来のさまざまな議論に加えて,世界金融危機以後,金融システムの改革や政府の財政健全化を進めることで,その通貨の国際的な利用が影響を受けるという論点が重視されている.
また,金融危機の国際的な波及に関して,中枢諸国の金融システム改革や,資本規制を含む,各国のマクロ・プルーデンシャル規制が重要になった.
l 社会が豊かになるには
Project Syndicate JUL 26, 2014
The
Real Raw Material of Wealth
RICARDO HAUSMANN
貧しい諸国は資源を輸出し,豊かな諸国はもっと複雑な加工製品を輸出する.だから,貧しい国が豊かになるには,資源の輸出ではなく,それを加工して輸出するべきだ,と主張される.
しかし,そうではない.
フィンランドを観ればよい.人口は少なく,森林が多い.木材を輸出しても豊かになれないか? フィンランドは木材を輸出し,確かに,製紙や家具製作も発展したが,それは輸出の20%でしかない.フィンランド人は,木材を切り出すことに魅力を感じないので,これを機械化した.さらに,さまざまな切断の機械を開発し,作業を自動化することで機械産業が発展し,製品を輸出している.それが今ではNokiaに代表される.
原材料がなければどうするのか? 結局,スイスにはココアがないし,中国は先端的なメモリーチップを作らない.それでもスイスはチョコレートの輸出国であり,中国はコンピューターの輸出国だ.鉄鉱の鉱山があってもオーストラリアは鉄鋼の輸出国ではなく,鉄鉱山の無い韓国が鉄鋼の輸出国だ.
グローバルな輸送システムが整備された世界では,原材料の近接性は重要でない.各地の部品を集めて優れた財・サービスを生産する能力と,新しい能力を追加し,転換する能力が重要だ.
イギリスの炭鉱が果たした最も重要な役割は,石炭の供給ではなく,水をくみ上げる蒸気機関を開発したことだ.それは産業革命をもたらした.今,アメリカにはシェール革命が起きている.しかし,1973年の石油禁輸でエネルギー産業が衰退していたことが逆転されるだろう.それは安価なエネルギーとして産業界を有利にするより,その能力を失う条件ではないか?
NYT JULY 26, 2014
Why
the U.N. Can’t Solve the World’s Problems
By SOMINI SENGUPTA
l 米中関係の正しい理解
FT July 27, 2014
China’s
perilous tangle of military and economic fortunes
By Robert D Kaplan
中国に関して,全く異なる2つの議論がある.1つは,中国の攻撃性について.もう1つは,中国経済の脆弱性について.
すなわち,中国は無敵であり,同時に,中国経済は内部崩壊の直前にある.
前者の議論は,中国の軍事増強に注目する.特に,海軍,空軍,弾道ミサイル,サイバー戦争,である.もはや,第2次世界大戦後のように,アメリカは太平洋を自国の湖とはみなせない.中国が,南シナ海のベトナム,フィリピン,マレーシアと,東シナ海の日本と,紛争が起きても,ますます多角的な枠組みが必要になる.日本の平和主義は失われ,ナショナリズムが再現した.
中国が既存秩序に従わないなら,封じ込めるべきだ,と主張される.このまま中国が軍事を増強すれば,アジアにおけるアメリカの同盟諸国は中国と個別に条約を結ぶしかない.アメリカの地政学的な地位は大きく後退する.
より冷めた見方では,中国経済の30年間に及ぶ高成長は,軍事力の増大につながって当然だ.アメリカは地域における中国の役割を受け入れるべきだ.
しかし,そうではないかもしれない.中国の成長は続かない.第2の見方では,むしろ経済危機が迫っている.10%を超える成長は永久に続かないし,沿岸部の成長は特に大きく減速する.
しかも信用の膨張と住宅バブルがある.特に2008年以降,成長は絶えざる刺激策によって高められていた.この傾向を未来に延長して予測するのは間違いだ.確かに,統制の文化や4兆ドルの外貨準備があるから,問題を回避する政府の能力は高いだろう.しかし,指導力は危うい均衡だ.中国の権威主義体制が改革を妨げている.
2つの意見が見落としているのは,中国が深刻な問題を回避するかどうかは,中国内部のエスニック対立,政治・経済紛争に依存している,ということだ.ナショナリズムを強化して封じ込める,という意見もあるが,成長の減速や経済危機はそれを困難にする.
ここにおいて,南シナ海や東シナ海の論争と,中国経済の崩壊という論争とが,交差している.経済危機は軍事衝突の危険を高めるだろう.それは経済的な弱さの関数だ.
中国の経済崩壊は,その周辺諸国に及び,世界経済も不況に陥る.他方,軍事的緊張を回避できれば,中国の成長が軍備拡大を続けても,それは東アジアにおける繁栄の関数だ.
Project Syndicate JUL 28, 2014
Reassurance
and Resolve in East Asia
JAMES STEINBERG and MICHAEL O'HANLON
中国の軍備増強に対して,アメリカはアジアの同盟諸国に関与を約束しつつ,中国が秩序に参加して平和的な台頭を選択するような条件・動機を与えねばならない.しかし,アメリカの軍事的優位を維持する戦略は中国に封じ込めであるという反発を生むし,他方で,アメリカによる中国の台頭を支持する姿勢は,その軍事的な地位の交代とともに,同盟諸国の不信を呼ぶ.
この問題を解決するために,技術的なアイデアが提起されている.防衛と攻撃を組み合わせた,いわゆる“Air-Sea Battle”である.例えば,中国の発射台,レーダー,指令センター,空軍基地,潜水艦基地,にミサイルによる先制攻撃を行う.それはアメリカ領土内からの長距離ミサイルを使用する.
しかし,この考え方には深刻な誤算のリスクがある.これは戦争を意味する.紛争のエスカレートと軍備拡大の刺激になる.
アメリカは,戦争のコストを高めるように,もっと広い範囲で対応策を考えるべきである.アメリカ側の軍備近代化も,中国の戦争計画や軍備拡大競争を刺激してはならない.そのための経済的・政治的手段を準備するべきだ.法的な紛争解決の枠組みを促すほうが好ましい.
Project Syndicate JUL 30, 2014
The
Sino-American Trust Deficit
STEPHEN S. ROACH
米中戦略経済対話(S&ED)は成果がなかった.相互の不信感があるために,通貨問題,東シナ海・南シナ海の領土問題,特にサイバー分野で諜報活動に関する合意形成ができず,互いの非難合戦で終わっている.
米中間には,今後,中国におけるサービス経済の成長をめぐる相互利益の対話が可能である.しかし,むしろ相互不信だけが強まっている.
l 中国の変化
FP JULY 28, 2014
Keep
Your Eye on Beijing
BY BRUCE STOKES
Global Times 2014-7-28
China
and US recognize truths of power
FT July 29, 2014
Xi
Jinping takes risky path in disposal of ‘tiger’ Zhou Yongkang
By Minxin Pei
政治局員で国内治安警察のトップであったZhou Yongkangが汚職に関する操作を受けている,という発表があった.
中国の政治文化においては,全ての政治家や官僚が汚職の疑いを受けるだろう.次は自分が告発されるかもしれない,という不安が強まっている.それは習近平の政治支配を強め,大物の政治家を告発すれば国民からの支持率も高まる.
しかし,鄧小平以来の強い政治力を得た習近平も,次第にこのキャンペーンをソフトランディングさせる局面を模索しなければならない.国民は政府や共産党の中にも腐敗が蔓延していると思っているし,政治家や官僚は保身のために指導部との亀裂を深めるだろう.天安門事件以来,共産党が重視してきた党内の団結も失われる.
Project Syndicate JUL 29, 2014
China’s
Bad Dream
GENE FRIEDA
Project Syndicate JUL 30, 2014
China’s
High-Income Hopes
ZHANG JUN
FP JULY 30, 2014
Dirty
Old Town
BY SEBASTIAN STRANGIO
NYT JULY 30, 2014
China
Moves to Ease Home-Registration Rules in Urbanization Push
By CHRIS BUCKLEY
FP JULY 31, 2014
China
Is Ending Its 'Apartheid.' Here's Why No One Is Happy
BY RACHEL LU
Bloomberg JUL 31, 2014
Microsoft
Probe Fuels China Uncertainty
William Pesek
l 日本の積極外交
Bloomberg JUL 27, 2014
Making
Abenomics Work
By The Editors
中国に対抗する外交関係を強化したいなら,安倍首相は国内改革を加速させるべきだ.日本と中国との経済成長率の差が,貿易や投資に影響する.アベノミクスの構造改革は抵抗が強く,進んでいない.
FT July 28, 2014
Globe-trotting
Shinzo Abe sells Japan to a China-obsessed world
By David Pilling in Hong Kong
円安や憲法改正だけでなく,18か月に47カ国の訪問は安倍首相の大きな成果だろう.
しかし,日本経済は5兆ドルであり,中国経済の9兆ドルに対抗できない.ラテンアメリカ歴訪は習近平の後を追うものでしかない.日本企業や他の工業諸国との協力,台湾問題を含む安全保障.などで,中国と日本外交が異なるとしても.
Project Syndicate JUL 28, 2014
Abe’s
Asian Gambit
GARETH EVANS
中国が国際ルールに反した行動を取れば協力して抗議することは重要だ.しかし,安倍首相のオーストラリア訪問で,安倍とアボットが「特別な関係」を強調したのは行き過ぎである.オーストラリアは中国との対抗を望んでいない.むしろ中国国内の穏健派を支持するのが良い.
l 第1次世界大戦の教訓
NYT JULY 27, 2014
World
War I and Australia
By JOHN QUIGGIN
FP JULY 30, 2014
It's
Not the Guns of August -- It's the Trenches of October
BY STEPHEN M. WALT
今週,第1次世界大戦開始から100周年になる.人類が起こした災厄の中でも,これほど重大な影響を与えた事件はほかにないから,なぜ第1次世界大戦が起きたか,繰り返し議論されているのは当然だ.
ロシアの強大化に対するドイツの懸念(そして予防戦争),バルカン危機のもたらし危険性,さまざまな誤算と誤解,それはB.タックマンの『8月の砲声』や,最近のChristopher ClarkによるThe Sleepwalkersが示した.
しかし,同じくらい重要であるのに,それほど言及されない問題は,なぜ第1次世界大戦があれほど長期に及んだのか? である.もし早期に終結していれば,あれほど深刻な結果は生じなかったかもしれない.
第1に,3国同盟も3国協商も,決定的な打撃を与えることはできなかった.ドイツの西部戦線でも,東部戦線でも,戦闘が終わるような戦果をドイツ軍は得られなかった.西では最初の進軍でパリを陥落させることはできず,戦線は膠着したまま,双方に多大の犠牲を生んだ.東では,ロシアの広大な領土が,決定的戦闘の回避によって,ドイツ軍を苦しめた.
第2に,主要な対立国が工業大国であり,人口も多く,経済が多様であった.各国は多くの戦場で敗北し,甚大な戦死者と負傷者を出したが,互いに膨大な弾薬を消尽し,経済封鎖を続けて,それでも戦闘を止めなかった.3国協商の方が資源全般では優位にあった(3:2)が,無差別潜水艦攻撃をしてアメリカが協商側に参戦して優位を拡大する(2.5:1)まで,ドイツ(3国同盟)の劣位はそれほど大きくなかった.
第3に,戦争の終結は難しい.それは勝利した場合の戦利品(領土)を約束して他国にも参戦を促したからだ.ますます勝利は圧倒的でなければならず,敗北は受け入れがたくなった.
第4に,戦争が長引くほど野心も大きくなった.それほど大きな犠牲が生じているからだ.完全に敗北するまで,受け入れられない条件を要求した.市民たちは勝利が近いと信じていた.それゆえ,交渉による戦争終結はまともに議論もされなかった.そのような主張は裏切りであった.「もし国民が真実を知れば,戦争は明日にも終わる.」と,ロイド・ジョージは述べた.
第5に,現実の戦場や厳しい情勢を伝えず,戦果の宣伝や,敵国民を悪魔のように描くことが当たり前になった.政府は戦争を十字軍のように描いて,国民の支持を集めた.
最後に,軍隊も国民感情を操作できなかった.国民は勝利できると信じ,勝利意外に受け入れることはできなかった.
現代の政治指導者にとっての教訓とは,1.戦争は始めるよりも終わるのが難しい.2.戦争の起源や経過を予測することはできない.3.敵を悪魔のように描くことは間違いだ.
第1次世界大戦で戦前よりも地位を高めたのはアメリカだけである.それはヨーロッパの戦場から遠く,最後に参戦して,戦争の期間が短かったからだ.
theguardian.com, Thursday 31 July 2014
In
Europe 1914 every leading player had his hand on a smoking gun
Richard Norton-Taylor
100周年を記念する出版物の著者たちは何を訴えたか?
多くの歴史家たちにはコンセンサスがある.すべての政府に責任があった,と.
The War that Ended Peace ・・・The Sleepwalkers ・・・July 1914: Countdown to War ・・・
l スコットランド
The Guardian, Monday 28 July 2014
Scottish
referendum: oh, to belong to this clamjamfry of yes voters
Bill Paterson
NYT JULY 29, 2014
If
Scotland Leaves, Will the Union Jack Still Wave?
By KATRIN BENNHOLD
l カンボジア
FT July 28, 2014
Cambodia:
Wave of discontent
David Pilling
l エボラ
FT July 28, 2014
Africa
needs help to fight Ebola
FP JULY 28, 2014
Death
and Denial in the Hot Zone
BY CLAIR MACDOUGALL
l ヨーロッパの問題
NYT JULY 28, 2014
Colonial
Folly, European Suicide
By ADAM HOCHSCHILD
Project Syndicate JUL 29, 2014
Soccer
Lessons for Europe’s Economy
HAROLD JAMES
ドイツの経済も,サッカー・チームも,改革に成功して,チャンピオンになった.その教訓は,ブラジルやアルゼンチンにはスター選手がいた.しかし,優勝したドイツのパフォーマンスを決めたのは,Jürgen KlinsmannやGerhard Schröderによる改革であった.
外国人をチームに統合することも重要だった.
Project Syndicate JUL 30, 2014
Can
Investment Save Europe?
JEAN PISANI-FERRY
VOX, 30 July 2014
Can
large primary surpluses solve Europe’s debt problem?
Barry Eichengreen, Ugo Panizza
ヨーロッパが債務問題を解決するには,輸出やインフレに頼るのでなければ,大幅な財政黒字が必要だ.歴史はそのようなケースが例外であると教えている.
l リビア
theguardian.com, Tuesday 29 July 2014
Gaddafi
has gone but Libya is more dangerous than ever, thanks to the west
Nabila Ramdani
NYT JULY 31, 2014
Don’t
Abandon Libya
By KARIM MEZRAN
Project Syndicate JUL 29, 2014
The
End of the Arab State
CHRISTOPHER R. HILL
l 情報化による社会調和
FP
Singapore
is testing whether mass surveillance and big data can not only protect national
security, but actually engineer a more harmonious society.
BY SHANE HARRIS
すべての電子情報を集めて次のテロを予測し,テロリストを見つけ出す技術を,シンガポールはアメリカから導入した.しかも,シンガポール社会は家父長的な政治システムによって住宅から電子情報まで,全てを供給することで,市民たちが高い生活水準を享受していた.
SARSの伝染と経済的ショックに直面し,アメリカでは拒まれた生活すべての電子情報管理を政府が行うことは,シンガポールで可能になった.それはテロを予防するだけでなく,調和的社会を全ての次元で実現するための実験室となった.
l 秩序ある社会
NYT JULY 29, 2014
‘Maybe in America’
Thomas L. Friedman
すでに冷戦の時代は遠く,今では秩序ある世界と無秩序の世界とが対抗している.その境界を動かすのは,3つの力だ.市場の力,ムーアの法則,母なる自然.マダガスカルでそれがわかる.
l BRICS銀行
FT July 30, 2014
The
Brics bank is a glimpse of the future
David Pilling
l ブラジル
NYT JULY 30, 2014
Brazil's
Unaffordable Homes
Vanessa Barbara
l 民営化批判
The Guardian, Thursday 31 July 2014
To
fight Britain’s privatisation dogma, Labour should look to the US military
Ha-Joon Chang
公共部門の売却,民営化について,その考えは正しいか? 鉄道や郵便を民営化するのは正しいか? もっと積極的に主張するべきである.公共部門は民間部門よりも効率的である,と.例えば,シンガポールを観よ.韓国,ブラジルでも,国営企業が成功した.
l 2つのポピュリズム
FT July 31, 2014
Britain’s
new enemies: immigrants and capitalists
Philip Stephens
総選挙まで1年を切った.保守党のキャメロンは移民に対する厳しい姿勢を示して有権者の支持を得ようとしている.イギリス独立党に支持者を奪われているからだ.他方,労働党のエド・ミリバンドは略奪的な資本主義を非難する.
トニー・ブレアは富裕層や大企業も味方にして3度の選挙に勝利した.今は違う.保守党も,労働党も,醜いポピュリズムを競っている.外国人を嫌うか,資本家を嫌うか?
l コンゴ
FP JULY 31, 2014
In
Congo, a Disabled Peace
BY TY MCCORMICK
l グローバル化と不平等
FP JULY 31, 2014
The
Global Gilded Age
BY DANIEL ALTMAN
グローバル社会における不平等は縮小し,各国社会における不平等が拡大している.再び金ぴか時代のアメリカになる.
不平等は経済の効率を悪化させる.金持ちの無能な息子が,貧乏な優れた息子よりも仕事を終えるからだ.それは世界の効率性を悪化させるが,国内の課税で対応できる.
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The
Economist July 19th 2014
Afghanistan’s
election: A useful crisis
Europe’s
future: Another fine mess
Charlemagne:
Hail Helvetia
Free
exchange: Bridge to somewhere
(コメント) アフガニスタンの大統領選挙が大規模な不正投票によって内戦に悪化するのを,ケリー国務長官の仲裁で回避すれば,さらに大統領権限を縮小し,内閣制や地方分権を制度化できるかもしれない,と分析します.
EU官僚の政治使命に対して具体的に候補を挙げる記事も,BRICS銀行に関しても,興味深いです.しかし,特にスイスから学ぶ,という指摘が関心を引きます.スイスのカントンは,それぞれがドイツ的であり,フランス的であり,北欧的であり,全体としては成功した通貨同盟でもあるわけです.
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IPEの想像力 8/4/14
NHKで,富山の「おせっかいさん」の話を少し観ました.
農家が多く,子どもは少ない.上手く話せないとか,自分に自信がないとか.若者もいろいろです.所得は少なく,不安定だ,と言います.なるほど結婚するのは難しい.
いろいろな人柄や生き方を,積極的に,肯定的に評価して,足りないものは夫婦で補い合って暮らせばいいでしょう,という姿勢は,正しい,と思いました.夫婦と家族は,どれほど巨大な,ハイテク社会になっても,その最小の基本単位です.
インターネットで情報が普及し,あるいは,間違った印象が広まり,当たり前の生活を,正直に,懸命に生きることが,あまり幸せだと思えなくなったのではないか,と感じました.農家の耕運機や軽自動車を整備する仕事は,とても重要だし,まじめに仕事をすれば皆から信頼されて,その共同体を担うような役割もある,と思います.
ツルベが歩きまわって,その街の家族と話す番組もあります.あまり好きになれませんが,出てくる人々を観るのは楽しいです.お昼のニュースの後にも,日本中の町と町自慢を紹介する番組に,多くの当たり前の仕事が映し出されます.また,外国の町を歩いて,人々に話しかけ,いろいろ教えてもらう,「世界街歩き」という番組も大好きです.
子供の頃,私は祖父と公園まで散歩しました.日曜日の朝,公園の手前でコロッケを買ってもらったことを覚えています.肉屋さんの揚げ立てコロッケでした.市場でコロッケを売る仕事,パン屋さん,ケーキ屋さん,魚屋さん,子どもの頃には,その作業を観て楽しい仕事が多くありました.しかし今,その仕事がすばらしいとしても,なかなか大学を卒業してコロッケを揚げようと思わないでしょう.
多くの若者たちにとって,高校卒業で働く方が良いと思います.大学進学率が高過ぎます.あるいは,働きながら学ぶ,転職するために,社会人として学ぶ,という方が良いでしょう.
サービス化や知識産業,IT化の時代です.若者たちは良い就職を求めて,大学へ行き,都会へ出て,新しい職業,新しい言葉,社会的なシンボルを目指します.
しかし,そのような職場は少ししかありません.小さな町では,ふつうの仕事が多いでしょう.もしふつうの仕事が軽視され,所得が減り,職場として,好ましくないと感じるなら,そのような社会は幸せではないでしょう.
面白い仕事,やりがいのある仕事を,増やすほうが社会は幸せです.つらい仕事,煩雑で無駄な作業,単調な,あるいは,過酷な労働条件,などを減らすほうが良いのです.
賃金が高い,というのは,何を意味しているのか? とんでもない高給を取るのは,よほど差別的な職場か,金融ビジネスのように巨額の取引を介して,薄く広く,莫大な利益を集めることのできるシステムを支配しているからではないでしょうか?
地方の町で暮らす楽しみを,もっと紹介し,もっと楽しくすることで,都市の虚栄を薄めることができると思います.誰もが大学を目指し,大企業を目指し,限られた流行の職場を目指すのは,社会の貴重な才能を浪費させているでしょう.
小さな田舎の町に住んで,美しい川があれば,仕事が終わってから釣りに行くこともできるでしょう.自転車に乗って,家庭や職場を移動し,休日には釣りざおも載せて,早朝から海釣りです.
子供たちと野草や昆虫,野生動物の研究をするために,小さな図鑑をそろえ,あるいは,天体や気象を観測して,学校の図書館へ調べに行きます.
誰もが最初は貧しく,懸命に働き,その仕事によって社会に貢献していることがわかる,当たり前の仕事で,小さな町に住み,結婚し,子どもを育てることを,もっと楽しみ,地域への愛着を育てる,そんな社会が公共政策の目標であるべきだ,と思います.
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