前半から続く)


l  金融富裕層

NYT MAY 23, 2014

McDonald’s Indigestible Excuse for Low Pay

By TERESA TRITCH

Project Syndicate MAY 28, 2014

How to Become an Oligarch

SIMON JOHNSON

プライヴェート・イクイティ・ファンドの運用で短期間に超富裕層になる機会は,彼らが巨大な債務を利用して企業を買収し,その資産を使って,さらに巨額の債務を創り出すことによって実現したものだ.彼ら自身が出した資金は少ない.

金融監督者が極端なレバレッジの危険性に気付いたため,こうした可能性は閉じられた.

NYT MAY 29, 2014

Capitalism Eating Its Children

Roger Cohen

社会資本がなければ,繁栄は共有されず,価値を共有する未来の世代も育たない.「包括的な資本主義」に関する会議で集まった銀行家や投資家を前に,Mark Carneyは,剥き出しの資本主義の弊害を是正する積極的な対応策を訴えた.

金融危機から6年が経っても,中心問題は変わらない.グローバリゼーションや技術革新の利益は超富裕層だけに奪われたという人々の不満,怒りが,発展した諸国に広がっていることだ.社会は不平等になり,若者たちは機会を失い,コミュニティーは壊れ,不公平感が深い.

金融資本主義は目的ではない.投資,革新,成長,繁栄をもたらす手段である.銀行業は実物経済における借り手と貯蓄者との仲介をしている.しかし,グローバルな格差縮小は,国内の格差拡大と並行して進んだ.

われわれは相互依存を定義しなければならない,とクリントン前大統領は語った.


l  グローバルな秩序と軍事力

NYT MAY 23, 2014

A Great-Power Outage

Vali R. Nasr

プーチンの攻撃的な姿勢は,ウクライナ東部を超えて,国際政治に影響を広げている.それは世界の4大戦略国家の誤算と行動を通じて2014年の危険な状況を創り出す.

ロシアは自国を罠にかけた西側の陰謀を憎むが,戦争を嫌い西欧は経済的な利益によってプーチンに理性的な行動を回復できると期待する.世界の警察官として疲れを感じるアメリカも,経済制裁でロシアに応じたいが,主要な関心はアジアに向かう.そこでは経済的に膨張する中国の存在がアメリカのビジネスや同盟諸国を脅かしている.

すなわち,世界の戦略国家がその目標や戦略を全く異なった仕方で理解し,それゆえ紛争は解決しにくくなった.パワー・ポリティクスと相互依存に関して,大国が衝突する危険は高まったのだ.

アメリカはアジア旋回を示すが,ロシアもアジアを構成し,ヨーロッパへの関心を回復することがアジア旋回の一部である.

NYT MAY 24, 2014

Deterrence Revisited

By DAVID E. SANGER

伝統的に,West Point陸軍士官学校における演説はアメリカが防衛政策を説明し,あるいは,方針転換する重要な機会であった.オバマは,アフガニスタンやイラクから撤退した後,大統領とアメリカが海外における軍事力行使を嫌うときも,どのように敵を抑止できるか,説明しようとした.

オバマ政権の内部でも,方針転換が大き過ぎて,アメリカの敵や独裁者にグローバルな秩序を無視させ,変更を求める動機を与えたのではないか,と懸念する声がある.彼らはアメリカの行動を恐れなくなった,というわけだ.

国務長官のJohn Kerryは,かつてアメリカの過剰な拡大主義を批判したが,今は逆に,過剰な孤立主義を批判しなければならないだろう,と述べた.またフランスの外務大臣であるLaurent Fabiusは,訪米中に語った.「アメリカが世界中で介入していたとき,世界の人々はアメリカを非難した.今,アメリカが介入しないために,人々はアメリカを非難している.」

抑止とは,もちろん,パワーの概念そのものだ.敵は,アメリカがその利益に反する行動に対して,軍事力で,策略で,経済的孤立化で,報復することを確信しており,それゆえ再考するのである.オバマは「軽歩戦略」“light footprint” strategyを採用した.大規模な軍隊を派遣することはなく,多数のドローンを外国で使用し,グローバルな諜報能力を高め,特殊部隊による暗殺を指示する.

しばらくは,オバマが新しい抑止力の支配者になった.しかしドローンの効果は限られ,その政治的な問題が悪化した.6000人の諜報部隊もシリア内戦やリビアの国家崩壊においては役に立たず,プーチンの軍事圧力にも対抗できなかった.

元側近も認めるように,それはオバマの長期思考と関係がある.オバマは,プーチンと違って,事態の先を読む.クリミアを併合したプーチンは,経済制裁の長期的なコストを味わう.中国の行動は,近隣諸国をますますアメリカ側に追いやる.オバマは孤立と過剰拡大との中間地点に位置することができる,と考える.

Project Syndicate MAY 27, 2014

Five Reasons Why the Sky Is Not Falling

GARETH EVANS

グローバルな秩序の動揺を議論する雑誌が増えている.しかし,こうした警告は事実に反し,事態の悪化を促すだけである.

1.ロシアと中国の連携による第2の冷戦は起きない.2.アメリカの影響力は低下するが,その影響は破壊的なものではない.3.アメリカの軍事的な優位は将来も維持できる.4.アメリカの信認は低下していない.5.地政学的な危機に対する国際システムの対応能力は高まっている.

Bloomberg MAY 27, 2014

Prejudice Goes Global

Pankaj Mishra

1990年代に広まった世界秩序に敵対するのは,弱体化した左派ではなく,ますます部族主義に支配される世界で,人々の怒りを吸収する極右である.

Project Syndicate MAY 28, 2014

The Age of Violence

MICHEL ROCARD

世界には暴力や紛争が満ちている.われわれが生存可能な唯一の地球において,生態系の危機も起きているのに,ロシア,ウクライナ,中国は,最近,多くの生物種を守る保護海域の指定に反対した.

世界の政治指導者たちが問題を解決するのを待ってはいられない.グローバルな公衆が団結して,政策決定者に,平和,協力,持続可能性を強制しなければならない.

1.国際法の強制機関として,次第に,国際介入が支持されるようになった.すべての国際条約は,国際査察と制裁を含むべきだ.2.「経済学の科学」という幻想が死滅した.諸政府は雇用,平等,安定性を常に重視するようになった.3.国家と市場は倫理を離れて機能できない.世界の宗教指導者は,この点をもっと主張するべきだ.グローバルな公衆が育つだろう.

FP MAY 29, 2014

The Strategy Killer

BY KRISTIN LORD


l  ウクライナ危機の収拾

FP MAY 23, 2014

The Revolution Has Not Been Finalized

BY HANNA KOZLOWSKA

SPIEGEL ONLINE 05/23/2014

Europe's New Status Quo

'Ukraine Is Fighting Our Battle'

By Tobias Rapp and Gerhard Spörl

FT May 25, 2014

Now begins the real task of creating a stable Ukraine

By Wolfgang Ischinger

Bloomberg MAY 25, 2014

The Latest Billionaire Who Could Save Ukraine

By The Editors

FP MAY 26, 2014

The Honeymoon's Already Over

BY JAMILA TRINDLE

FT May 27, 2014

Poroshenko opens a door for Ukraine

NYT MAY 27, 2014

Putin Blinked

Thomas L. Friedman

キューバのミサイル危機と同じように,ロシアは瞬きした.

プーチンはウクライナの紛争を間違ったのだ.ウクライナ東部のロシア人も,ロシアとの自由な移動を求めたが,同時にEU統合を支持する候補に投票した.ロシアは西側の経済制裁を軽視していたが,その影響は明らかだ.中国はバーゲン価格で契約できた.

Project Syndicate MAY 28, 2014

Europe’s Ukrainian Lifeline

GEORGE SOROS

ヨーロッパ議会選挙はEUを否定し,ウクライナ大統領選挙はEUを支持した.ロシアはクリミアを,EUはウクライナを,成長のショーケースにするだろう.


l  日本

FP MAY 23, 2014

A Nuke-Out Punch

BY KEITH JOHNSON

Bloomberg MAY 29, 2014

Is George Soros Trying to Spark a Japan Rally?

William Pesek

安倍のリフレーション政策は明白だ.年金の運用を自由化して,楽天の三谷,ジョージ・ソロスに日本経済の活性化をゆだねる.


l  ナイジェリア

FP MAY 23, 2014

Nigeria's House of Cards

BY ADRIENNE KLASA

Project Syndicate MAY 26, 2014

The Nigerian Kidnappers’ Ideology

TONY BLAIR

イスラム過激派の浸透はアフリカ各地で起きている.それはイスラム教の問題ではない.宗教を利用したイデオロギーの問題だ.


l  戦没者追悼記念日

NYT MAY 24, 2014

Memorial Day 2050

Thomas L. Friedman

気候変動の現実性は高まっており,そのコストは明白に意識できる.しかし,将来世代が味わう苦しみを現在の政策に反映するのは難しい.特に,多くの人は温暖化に懐疑的で,毎日の暮らしにコストが追加されることを嫌っているのだから.

オランダの哲学者Thomas Wellsは,将来世代,まだ生まれていない人々が,われわれの政治に参加できる仕組みを考えた.すなわち,公務員,寄付団体,環境保護運動,無党派のシンクタンク,が「信託統治者」として,将来世代を代表するのだ.例えば,「経済の脱炭素化」について,有権者の10%に相当する投票を行える.

非現実的だ,と言うかもしれない.しかし,私たちの世代の選択が将来世代にコストを転嫁しているのは現実に起きている問題である.地球環境は有限なのだ.

世代を超えた問題は環境に限らない.われわれが自由な社会に住めるのは,かつて人々が自由を守るために戦ったからだ.われわれの親の世代は,自由を守って共産主義を「封じ込め」た.われわれは都市,国家,地球の環境が回復する力を守らねばならない.

あたかも環境破壊が切迫した問題であると確信したようにわれわれが行動するなら,すなわち,所得税や法人税に代えて炭素税を導入し,再生可能エネルギーの利用を促す全国的なポートフォリオ基準を導入し,各家庭やビル,自動車などで,エネルギー効率を高める基準を導入するのである.その結果は,たとえ温暖化の影響がそれほど深刻でなかったとわかっても,われわれの生活はより健康で,経済は回復力を高め,きれいな空気や水を享受できるだろう.世界秩序が石油の支配者によって歪められることもなくなっている.

2050年の戦没者追悼記念日Memorial Dayに,彼らはわれわれの戦いを記念し,先行する世代が払った犠牲に感謝して,その決断を称えるだろう.

Project Syndicate MAY 28, 2014

Our Last Chance for a Safe Planet

JEFFREY D. SACHS


l  ポーランドの革命記念日

FT May 25, 2014

Polish general who tried to crush Solidarity

ポーランドのWojciech Jaruzelskiヤルゼルスキ将軍が亡くなった.90歳であった.

労働組合・連帯の弾圧を指揮したが,その10年後には,選挙による権力の平和的な移行を実現した.ソ連の介入を阻止するには,1981年に軍隊が連帯を弾圧するしかなかった,と,その行動を正当化した.しかし,反対派はそれを決して受け入れていない.

NYT MAY 29, 2014

Poland’s Forgotten Dissident

Slawomir Sierakowski

オバマを含む世界中の指導者が集まって,198964日のポーランド選挙から25年目を記念する.

ポーランドの民主化運動の中には,非共産主義者の初代首相Tadeusz Mazowieckiと,連帯を組織したJacek KuronAdam Michnikがいた.


l  オバマ外交の欠陥

FT May 26, 2014

US foreign policy: Trouble abroad

By Geoff Dyer

国際政治の構造は大きく変化してしまった.この新しい現実に適当な外交政策が何であるか,われわれはまだ模索している.

FP MAY 27, 2014

How to Do Intervention Without Blowing Stuff Up

BY ETHAN B. KAPSTEIN

軍事介入ではなく,アメリカは相手のエリートの構造を深く理解し,彼らに影響を及ぼすような目的を組み合わせる戦略が必要だ.

FP MAY 27, 2014

What Obama Should Say at West Point, But Won't

BY STEPHEN WALT

オバマの外交に欠けているのは,一貫性であり,明確な優先順位である.確かに彼は2008年の金融危機を処理しなければならなかったし,イラクとアフガニスタンでの戦争を終わらせる必要があった.オバマもその顧問たちも戦略を立てる余裕はなかった.

明日のウェスト・ポイントにおける演説で,最も聞きたいのは,オバマがアメリカの安全保障上の脅威として何を重視しているのか? アメリカ国民の一層の安全と繁栄をもたらす機会として何が重要と考えるのか? どの問題を優先し,どの問題を先送りするのか?

すなわち,核拡散,アルカイダ,中国,中央アフリカ,気候変動,女性の地位改善,シリア,中東和平,それらの中のどれを優先しているのか?

ロシアへの対応,ウクライナ危機について,この戦略性の欠如が顕著に示されている.プーチンはわれわれの最善の友達ではないが,協力関係から得られるものが多い.イラン,シリア,アフガニスタンで,アメリカはロシアとの関係を頼っている.ロシアと中国との関係を阻むことも重要だ.その意味では,東欧やバルチック諸国のミサイルを強化することや,ウクライナを西側の経済・戦略パートナーにすることには意味がない.たとえロシアがクリミアを得て,ウクライナのNATO加盟を阻むことで得点しても,ロシアとの関係はアメリカにとって重要なのだ.

アメリカが同盟諸国のただ乗りを許してしまうことも,私は彼らに不満を示すべきだと思う.アメリカは繁栄する経済と強力な軍事力を保持し,ゆっくりと怒るときに,最も強くなる.他国が望むなら,厳しい条件を示して同盟を組み,彼らがアメリカに対して進んで行動することに応じて,アメリカも軍事力を行使するべきなのだ.

FT May 28, 2014

Obama’s foreign policy agenda

NYT MAY 28, 2014

Did Obama Make His Case?

NYT MAY 28, 2014

America Must Always Lead,’ Obama Tells West Point Graduates

By MARK LANDLER

FP MAY 28, 2014

Clean Up on Aisle One

BY DAVID ROTHKOPF

ウェスト・ポイントでのオバマの演説を要約すれば,彼は,新しい低コスト低リスクの,アメリカの指導力を見つけたいのだ.ウォルマート式外交政策である.その演説の大部分は,彼が行動しなかったこと,彼が多くの行動をしなかったこと,彼が効果的な行動をしなかったことの説明にあてられた.良い選択肢がないとか,間違った選択肢にこだわってはならない,とか.

オバマは外交の「成功」を語り,そのミニマリズムを正当化した.つまり,行動の幻想を維持しながら,できるだけ行動を小さくすることだ.オバマには中規模の戦略がない.だからロシアにも,中国にも,それに対抗する行動を取らない.

FP MAY 28, 2014

Obama Says U.S. Will No Longer Be the World's Policeman

BY GORDON LUBOLD

Bloomberg MAY 28, 2014

Obama's Real Foreign-Policy Problem

Jeffrey Goldberg

オバマは外交に関心を持ち,それについて長い説明をすることがある.しかし,それはテレビ番組の解説者のようだ.すべては解説でしかなく,情熱を欠き,中途半端である.

オバマにとって外交とは,脅威を抑え,不満を持つ同盟国を黙らせ,ダメージを管理することだ.“You hit singles; you hit doubles; every once in a while we may be able to hit a home run.”

オバマ外交の矛盾をRobert Kaganが示した.国民はアメリカが海外で軍事力を行使することを望まない.悲惨な状況にあっても外国は自分で問題を解決すべきなのだ.アメリカの外交は狭く国益に限定するべきである.オバマはアメリカ国民が望む外交を実現している.しかし,国民はそうした外交を誇りに思わないし,それを実現するオバマにも感謝していない.

FP MAY 28, 2014

A Disparity Impossible to Ignore

BY KORI SCHAKE

FP MAY 28, 2014

What the President Meant to Say…

BY JAMES STAVRIDIS

FT May 29, 2014

Obama has to stop prevaricating on foreign policy

By Richard Haass

アメリカはその行動において,理想主義と現実主義との間で選択することを避けねばならない.単独で行動しなければならないとき以外は,国際協調を重視しなければならない.それはその通りである.しかし,就任したばかりの新大統領ではなく,6年目の大統領が演説する内容としては抽象的な一般論でしかない.

オバマはアジア旋回という重要な戦略について語らなかった.これは単なる修辞的な転換で,中身はないのか? オバマは地域自由化協定についても語らなかった.アメリカは保護主義や孤立主義を避けねばならず,世界にとって不可欠の国であるという.

しかし,アメリカ国民や同盟諸国は,それに対してどのような負担を求められているのか? 明確な,予測可能な形で,それを示さねばならない.

FP MAY 29, 2014

Obama's West Point Speech Is Our Problem, Not His

BY AARON DAVID MILLER

Bloomberg MAY 29, 2014

Obama's Deja-Vu Foreign Policy

Stephen L. Carter


l  不平等化論争

FT May 26, 2014

Policy, not capitalism, is to blame for the income divide

By James Galbraith

Project Syndicate MAY 27, 2014

Piketty’s Missing Knowhow

RICARDO HAUSMANN


l  ガイトナー回想録

FT May 27, 2014

Disarm our doomsday machine

Martin Wolf

ガイトナーの回想録が示す銀行救済の正当化には,強い反対意見がある.政府による救済が予想できれば,銀行は合理的に無謀な融資を拡大する.


l  中東地域の不安定化

FT May 27, 2014

Middle East: Three nations, one conflict

By BorzouDaragahi


l  アメリカ経済の回復

Project Syndicate MAY 27, 2014

America’s Move to Faster Growth

MARTIN FELDSTEIN


l  ベトナムの反中国デモ

FP MAY 27, 2014

You Sank My Fishing Ship!

BY KEITH JOHNSON

FT May 28, 2014

Vietnam: Ready to rumble

By Michael Peel

ベトナムの主要都市に広がった反中国暴動は,中国の海底油田開発に抗議したものであるが,ベトナムのグローバル・サプライ・チェーンとしての地位を危険にさらす.ベトナム国内にも成長や政策に対する不満の声があり,賃上げや民主化,市民社会を求める声がある.政府にも反体制派にも,ナショナリズムを政治的に利用する誘惑がある.

労働条件は悪く,労働者たちは不安定化に対してストライキを容易に起こす.煮え立った油の中にいるようだ.教育のある専門家はオーストラリアへの移住を考えている.このまま政府が成長を維持できるかどうか,疑わしい.

ベトナムとの関係が好転していたにもかかわらず,なぜ中国は海底油田開発を始めたのか? オバマのアジア歴訪に対抗した? 海軍や沿岸警察の増強が紛争を無視させる?

NYT MAY 29, 2014

Template for the South China Sea

By THE EDITORIAL BOARD

南シナ海で紛争が続いている.資源とナショナリズムが関係している.ナショナリズムや国家主権を最大化する姿勢には,解決の条件が見いだせない.それは資源をすべての者に活かす道もふさぐ.


l  スカイプ

FT May 28, 2014

Skype to leap language barrier with speech translation software

By Daniel Thomas


l  電子マネー

FT May 28, 2014

Paper money is unfit for a world of high crime and low inflation

By Kenneth Rogoff

物質的な貨幣を一掃して電子マネーを導入すれば,一石二鳥の利益がある.1.金融政策がゼロ金利の限度に制約されない.2.脱税や違法取引を抑える.

特に,ゼロ金利を超えて,電子マネーでは貨幣の利用に期限を付けることができる.


l  メガ地域貿易協定

VOX, 28 May 2014

TTIP – Is free trade coming to the north Atlantic?

Dennis Novy

VOX, 29 May 2014

TTIP, the multilateral trading system and Latin American countries

Anabel González


l  2014年の投資

FP MAY 29, 2014

Where to Invest Around the World, 2014 Edition

BY DANIEL ALTMAN


l  エネルギー政策

FP MAY 29, 2014

Yergin: Crude Exports Would be a Win-Win

BY KEITH JOHNSON

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The Economist May 17th 2014

Europe goes to the polls

Charlemagne: The eastern blockage

Europe and the euro: A troubled union

Defending Japan: Collective insecurity

Japan and America: Closer allies

India’s new government: Kick-starting India

(コメント) ヨーロッパ議会選挙,ウクライナ危機,ユーロ危機(3冊の書評)が取り上げられています.また,日米安保条約の改定,インドのModi政権と合わせて,いずれも興味深いです.ただし,この雑誌が以前に比べて,グローバル資本主義の英語圏機関紙という姿勢を強め,平板な理解になったかもしれない,と思いました.

ヨーロッパ議会は縮小し,各国議会によって市場統合と民主主義を回復すること(フランスは嫌うが?),ウクライナ危機はロシアに対する強い姿勢でEU外交を実現すること(ドイツは嫌うが?),ユーロ圏は財政・政治統合よりも政府間の競争を促すこと(EU官僚・エリートは嫌うが?),を掲げます.

日本政府が「集団的安全保障」を認めて安保条約の行動基準を改定し,地域安全保障に積極的に関与することも(対米依存?),インド政府が成長を加速するために改革を実現するのも(市場改革?),その国内・地域の政治経済構造に関する警戒を欠かせません.

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IPEの想像力 6/2/14

首相や政権党が交代する中で,これから数年かけて,国会での討論が重要になります.軍事力が国際システムの調整にとって無意味になる時代を,日本の私たちが,これから開くことになるからです.

アジアの安全保障会議では,紛争海域における中国の行動に対して,各国が抑制を求めました.安倍首相は憲法解釈を変更して「集団的自衛権」を認める方針を閣議決定したいと考えます.

戦争に敗北した日本が,平和主義に傾き,国際システムに従うことで繁栄を共有できる道を模索したのは理解できます.そして,中国の工業化と成長が軍事力の強化をともない,国際システムの転換につながる過程で,安全保障システムの見直しや日本の積極的な関与が重要になることも,政治家は国民に説明しなければなりません.

野党は,憲法9条を維持したまま,集団的自衛権を認める,という方針を主張してほしいです.そして,安倍首相の戦争・歴史観,国家論,皇室,靖国神社,対米関係,対中外交,などを詳しく問い,何度も答弁させる中で,日本人が目指すべき国際システムを展望し,具体的なイメージで国民に示してほしいです.

NYTThomas L. Friedmanは,戦没者追悼記念日に関して,環境破壊を抑える行動に向けた将来世代の声を反映する仕組みを考えました.しかし,冷戦に勝利したことで過去の世代に感謝するなら,第3次世界大戦,あるいは,第2次太平洋戦争を回避することで将来の世代から感謝されることを,もっと考えたいです.

戦争のコストは甚大であり,それゆえ,経済制裁によって平和を実現することができる,と信じるには,それ(経済制裁と戦争のコストを考慮した決定)が確実に実行されると,制度が保証しなければなりません.

互いに自国と相手国の生命線を破壊できる選択肢を示して,相手国の安全保障会議に代表を参加させ,制裁の決断を実行できることにしてはどうでしょうか? 経済的な「相互確証破壊」です.

・・・相手国の代表は,会議の他の委員たちを説得できるが,他のすべての委員が「生命線の破壊」を承認し,相手国の代表のみが反対した場合,それぞれ数日の交渉時間をおいて,3度の審議と投票を経て,全会一致原則は放棄され,その最終決定に従う.すなわち,相手国の生命線を破壊する.

もちろん,この経過を知る相手国は,それと同時に,同じ3度の投票手続きを経て,この国の生命線を破壊できます.国際社会はその審議と交渉経過を,細部にわたって知ることができます.経済戦争後の国際システム再建において,主要国や歴史家がその内容を評価するでしょう.

こうして経済戦争が始まりますが,軍事力は行使されません.経済的な活動水準は一気に低下し,大量失業や金融危機,激しい不況が起きるでしょう.しかし,たとえ(ギリシャのように)苦境によって餓死や自殺が生じても,死傷者の数は戦争に比べて大幅に限定されるはずです.

経済戦争の激化が軍事力の行使を導かないように,平和時において,軍備縮小や国際平和維持軍による境界線の警備,軍事行動の監視体制を強化します.

関係する諸国は,経済戦争からの影響を避けるために,「生命線の破壊」を審議する諸国との経済取引を抑制し,こうした諸国を経由しない形で貿易や決済が可能になる協力関係を築き,国際機関の機能充実を支持するでしょう.

・・・それは,すでにEU(ドイツ)とロシアとの間に,あるいは,中国とアメリカ,日本と中国との間に,ほとんど実現していることではないのか? 投資や企業の生産拠点,貿易が重視されるなら,なぜアジア諸国は企業団体の政策提言を受け入れて,もっと緊密な協力機関の構築と,国家の軍事行動を制限しないのか?

NHKBS1スペシャル「ヤンキー原発閉鎖」を観ました.運動が成功したのは住民の行動があったからです.国民が優れた報道番組を求め,国会討論を聞き,政治家たちが国民の声を十分に恐れるなら,軍事力の「封じ込め」もできると思います.

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