IPEの果樹園2014
今週のReview
4/7-12
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オバマ・NATOとプーチン ・・・軍事介入と制裁 ・・・政府と不平等 ・・・新しいグローバル・リスク ・・・中国を倒すのは汚染か,債務か ・・・US製造業の復活 ・・・中国共産党と近代化 ・・・日本も和解できる ・・・中国の腐敗撲滅運動 ・・・マルクスは正しかった? ・・・アジアの軍拡競争 ・・・国際金融制度改革
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global
Times (China), The Guardian, NYT: New York
Times, Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington Post, Yale Global そして、The Economist
(London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
l オバマ・NATOとプーチン
FP
MARCH 27, 2014
The
Enemy We've Been Waiting For
BY JAMES TRAUB
再びオバマは言葉に力を得た.それはブラッセルでロシアの行動を非難したときだ.オバマはプーチンのクリミア併合に対して,表現の自由,自由市場を称え,諸民族や住民を国際システムが守っていることを訴えた.
オバマは信念によって行動する大統領である.今,彼は大義を得たのだ.
指導者は障害を克服するものであり,敵がいることは好ましい.ブッシュにはサダム・フセインやオサマ・ビン・ラディンがいた.オバマはビン・ラディンを葬った後,明確な敵を見失った.オバマは選挙戦のときから,敵のいないアメリカの大統領であった.外交顧問に人権運動家のSamantha Powerを指名したように,オバマは道義的なパワーや共有する関心を主要な手段とした外交を描いていた.
しかし,イランはオバマの抱擁政策を拒み,アラブ世界におけるオバマは独裁体制と民衆との間で矛盾した立場を強いられた.シリアでも,エジプトでも,道義的な外交は良い結果をもたらさなかった.喧伝された「アジア旋回」でも,厳しい中国の姿勢に,米中関係がオバマの望むような形に成熟することは望めない.
プーチンは,アメリカやヨーロッパに挑み,秩序への軍事的な攻撃をも隠さなかった.オバマにとって最良の的を与えたのだ.確かに,共和党が非難するように,プーチンに対するオバマの姿勢は「弱腰」に見える.マッケインのオバマ非難は続くだろう.
しかし,オバマが宣告したように,これは民族や人民が国家を樹立する権利を侵すものであり,主権国家を踏みにじるものだ.プーチンは歴史をさかのぼって合意された国境を変更し,ウクライナの民衆抗議を弾圧し,虚偽を重ねて併合した.
オバマはこれにより新しい行動指針を得ただろう.「西側」に,大義のための行動を,制裁を求めている.アメリカだけが,軍事的,経済的,外向的に,ロシアの逸脱に対抗してそ動力を発揮できる.プーチン主義は粗末なイデオロギーだ.それに対してオバマは,その防衛政策において,国際法と制度を強調してきた.プーチンは,世界がルールに依拠した国際秩序の下にあることを思い起こさせたはずだ.
われわれは,「本土」を超えて,世界中で脅威に対抗し,機会をつかむことができる.それがオバマのメッセージだ.
YaleGlobal,
27 March 2014
It’s
Putin’s World
Thomas Graham
The
Guardian, Friday 28 March 2014
How
Vladimir Putin became evil
Tariq Ali
FP
MARCH 28, 2014
The
Russians Are Coming
BY MICHAEL WEISS
アメリカとNATOの情報部門は,プーチンが国境を超えて,ウクライナ東部に軍を進める可能性が高いと考えている.それを支持する重要な事実が10項目に示される.
1.ウクライナ国境に移動している軍の規模,およそ5万人と,医療施設の設置.2.プーチンがアメリカの威信を損ない,自身の指揮権を高める状況.3.IMFが18億ドル,USやEUが140億ドルのウクライナ救済融資を決めた.4.アメリカの外交専門家たち,Anne-Marie Slaughter,Andrew Weissがプーチンの唱える冷戦後の秩序再編を認めた.5.非難はするが,アメリカ政府もNATOも,だれも軍事的な対応を考えていない.6.ロシアのメディアにおける西側を脅かす過激な主張,7.ロシアの武器取引におけるウクライナの重要性.8.シリアの化学兵器処理,クリミアでの軍事行動をめぐるロシア政府のあからさまな嘘.9.状況を正当化するためにキエフ政府をホモセクシャルとファシストによる過激集団と呼ぶこと,西側外交官たちの会話を盗聴して公表すること,など,KGBの操作方法.10.ロシア軍の近代化投資と実用化訓練.
FT
March 30, 2014
Crimea
causes Russia investment crisis
By Chris Flood
FT
March 31, 2014
A
deal over Ukraine is ugly but unavoidable
By Gideon Rachman
中・東欧の小国をめぐる紛争を考える西側指導者には,2つの歴史的経験が影響している.1938年のミュンヘン会談と1945年のヤルタ会談だ.ミュンヘンでは英仏がヒトラーにチェコスロヴァキアの分割を認め,ヤルタでは英米がスターリンの東欧などに対する占領を認めた.どちらも関係する諸国の政府は参加していない.
だから,John KerryはロシアのSergei Lavrovに,ウクライナ政府が交渉に参加しないような合意をしないと述べ,ドイツのWolfgang Schäubleは,ロシア語の住民を保護するという名目はヒトラーと同じだと非難し,Hillary Clintonも同様の発言をした.
しかし,Kerryはロシアとの秘密会談で,たとえば,ロシア系住民の多い東部に事実上の自治を認めるウクライナの連邦制を認めることになるだろう.そして,キエフ政府にそれを受け入れるよう,強い圧力をかける.それはアメリカ政府がウクライナに対する原則を破ったことになるのか?
冷徹な現実世界においては,西側もウクライナもロシアとの合意を求めるしかない.なぜなら,それなしにはロシア軍の侵攻を招くからだ.ロシア軍はウクライナ国境に移動しており,西側はウクライナに関して戦争に及ぶことはないと決めている.
しかし,交渉を続けることが,このミュンヘン会談に似た状況が,そうではないことを示すだろう.たとえウクライナの戦争を避けるとしても,西側は原則を守ることができる.その手段・資源も持っている.西側との合意を守らないとき,ロシアは孤立を深め,経済的な破局に向かうからだ.
第1に,ロシアがクリミアを併合した事実は受け入れない.それはミュンヘンであり,国際的なルールに反する.クリミア併合はロシアに多大なコストを強いるものとなる.第2に,ロシア軍がクリミア東部に侵攻すれば,ロシアと西側との経済関係は断絶する.その制裁強化は準備されねばならない.第3に,ロシアは隣国の憲法改正を要求できない.それはあまりにも危険な先例になるからだ.
しかし,それ以外のロシアの要求には交渉の余地を与えるべきだ.連邦制の拡大,NATOには加盟しない,ロシアの利益を損なうようなEUとの合意,など.ウクライナ政府は不満だろうが,スイスのようにはなれない.
Project
Syndicate MAR 31, 2014
Will
Vladimir Putin Bolster the Eurozone?
JEAN PISANI-FERRY
ヨーロッパがユーロ危機を解決できない混乱ぶりを観なかったら,プーチンはクリミア併合を考えなかっただろう,とポーランド外相Jacek Rostowskiは述べた.
しかし,2つの事件にそのような密接な関係はない.クリミアは金融問題の解決のために併合されたわけではない.
もちろん,Rostowskiは「連帯の危機」を注意したのだ.ヨーロッパが銀行危機に共通の対策を必要としたのに,金融機関の責任は各国政府に限定された.ギリシャが金融市場から締め出されても,共通の金融債や「防火壁」,EMS,銀行同盟を検討しても,いずれも各国の政府に最低限の支援を与えただけだった.それは危機を長引かせ,解決を難しくした.共通の解決メカニズムは抑えられた.
ロシアの行動は第2次世界大戦後のクレムリンの姿を生々しく再現した.そしてヨーロッパがアメリカのようにマーシャル・プランを行わず,EU加盟国が隣国のリスクも引き受けないことを示したのだ.
エネルギーはその最新の顕著な例である.EU全体では,一定の努力によって,ロシアからの天然ガス輸入が無くてもやっていける.しかしそのためには,EU加盟諸国の天然ガスを安全保障として共通の関心で再編しなければならない.例えば,ロシアの禁輸措置に対して大きな影響を受ける国には,他の加盟国が備蓄から供給し,供給力を増加させる.輸入を増やす.消費を削る.しかし,現実のEUエネルギー政策には連帯の意識が欠けている.
かつて,共通通貨を持つことが連帯意識を形成し,高めるだろう,と期待された.単一通貨の創設者たちは,それがコミュニティーにつながると考えたのだ.通貨圏は政治的な境界船と一致しており,経済通貨同盟が共通政策を必要とするはずだ.
それは実現しなかった.諸政府は,間違って,ユーロを実際的な道具として扱った.共通通貨は中央銀行総裁や財務大臣など,官僚の創造物であった.EU予算は求められず,政治的な統合化も進まなかった.こうした共通通貨のコミュニティーに向かう自己組織化能力を期待し過ぎたことが,失敗の源だった.
政治的コミュニティーが連帯を創り出し,共通通貨の結びつきを育てるのだ.逆ではない.Rostowskiは正しい.クリミア危機はヨーロッパの連帯を生むのか? それがユーロを救うだろうか?
FP
MARCH 31, 2014
The
Naïveté of Distance
BY AARON DAVID MILLER
ウクライナ危機が示すように,歴史と地理が重要であることを,アメリカ外交は忘れている.
アメリカの位置は世界を忘れさせる.南北にしか隣国はなく,それも略奪的な国家ではない.他の諸国はそうではない.アメリカの国家建設過程は,アフガニスタンやイラクに比べて,賢明かつ意図的にリスクを回避し,弱小勢力や部族を取り込んだ.だからアメリカは他国に対しても賢明であるか? そうは思わない.アメリカ人は厳しい状況に生きることの意味を理解できない.あるいは,19世紀的な国家威信や名誉,尊厳のパワーを正しく理解できない.
アメリカにとって死活的に重要な利害は少ない.それに時間と資本を注ぎ,それを守るために国民の命も捧げるような,死活的利益のことだ.しかし多くの,特に小国はそうではない.そして彼らは攻撃を防御と考える.
世界は21世紀をアメリカと同じように見ていない.モダンで,グローバル化した世界,経済的利益のために統合する諸国,というイメージは間違いだ.各国には独自の利益がある.
歴史は重要である.
アメリカでは何でも15分以上は続かない,というのは誇張だが,歴史を軽視する.外交は国内政治の党派争いの犠牲になる.大国にとって歴史は外交に慎重さを要求する教訓であるが,小国は過去のトラウマ,脆弱さ,勝利,恥辱によって影響される.
すべての指導者が同じ様式で行動しない.アメリカの指導者たちは他国の指導者を説得できると考え,彼らが拒否する力を軽視した.そして予想外の行動に驚いた.アメリカの理解は,理想主義,ナイーブ,傲慢,無節操なプラグマティズムに満ちている.
Project
Syndicate APR 1, 2014
Putin’s
World
IVAN KRASTEV
FP
APRIL 1, 2014
Why
Are We So Busy Trying to 'Figure Out' Vladimir Putin?
BY STEPHEN M. WALT
外交において指導者は重要か? もちろん.しかし,西側の雑誌を読むと指導者の個人分析ばかりだ.まるでWashington, Moscow, Paris, Baghdad, Beijing, Kabul, Cairo, Islamabad, etc.各地に正しい指導者がいたら問題は解決できるかのように.
ウクライナやクリミアをプーチン個人の責任にしてはいけない.イランやイスラエル,アフガニスタンもそうだ.
Kenneth Waltz (Man, the State, and War)はそれを「第1のイメージ」と呼んだ.その分析の問題は,指導者たちが行動する広い状況を見えなくしてしまうことだ.彼らの行動が直面している内外の制約に関心が向けられていない.
なぜシリアのアサド大統領は残酷な手段で戦争状態を創り出すのか? 彼が自国の破壊や人々の苦痛を喜んでいるとは思わない.彼が内戦を続ける理由は,アラウィート派の支配体制を守るためだ.同じ恐れを持つ者が彼を支持する限り,内戦は続く.アサドを非難しても解決にはつながらない.
世界政治においては,全ての指導者たちが内外のさまざまな圧力を均衡させ,特に,諸国に分断された世界で自国を守るために決断している.たとえアメリカがどれほど強力で,指導者は慎重に選択肢を評価しなければならない.個人の思い付きではないのだ.
彼らをその状況から考えることは,非常に異なる国,非常に異なる指導者が,しばしば,驚くほど同じように行動することを説明する.例えば,多くの点で,アメリカとソ連は全く異なる国であったが,冷戦を通じて,超大国の行動は非常によく似ていた.世界中で同盟国を集め,核兵器を増産し,発展途上諸国に介入し,諜報,転覆,暗殺などを行った.しかし両国は互いに対して慎重に行動し,戦争に至るエスカレーションを回避した.
同様に,ビル・クリントン,ジョージ・W・ブッシュ,バラク・オバマという全く異なる3人の大統領が,驚くべき外交の連続性を示した.それは,パワーや安全保障に関する組み合わせが世界最強国の選択肢も制約しており,高いコストを避け,深刻なリスクを冒すことはなかったからである.また,彼らが同じ強大な国家安全保障の官僚制度に依拠していたからである.
指導者の性格ではなく,もっとその国が持つ関心や条件に注目しなければならない.プーチンや習近平,安倍晋三の世界観を理解しなくてよい,というわけではないが,グローバルな趨勢や危機が起きる条件を知ることが,人物だけに責任を求める週刊誌の水準を超える議論ができる.
FP APRIL 1, 2014
Worry,
but Wait
BY BRUCE STOKES
Project Syndicate APR 3, 2014
Restarting
Ukraine’s Economy
DANIEL GROS
ウクライナを失うかどうかではなく,まずその安定化が必要だ.その条件はわかっている.天然ガスや石炭への補助金を廃止して,その価格を市場の水準にする.パイプラインのガバナンスを改善し,ロイヤリティーによって設備を更新する.
そのためには政府・官僚の汚職をなくすことだ.IMF融資のそのような条件を求めている.しかし,こうした改革がロシア語を話す住民,旧来型の工業に依拠する東部にとって,厳しいものになるから,支援策が必要だ.東部には非効率とともに優れた技術もある.
EUは,東部の工業地帯に新しい市場を提供し,関税率を下げるべきだ.最初に,価格上昇で生活が困窮する貧困世帯に支援策を組むべきだ.エネルギーの効率化,セントラル・ヒーティングを実現することが効果的である.それを管理するのは,既存の腐敗と非効率に沈んだ政府機関ではなく,EU・ウクライナの特別機関である.
また天然ガスの供給とロイヤリティーに関するロシアも加わった合意を,EBRDが交渉によって実現できるだろう.
Project Syndicate APR 3, 2014
Obama’s
Quiet Offensive
SAMUEL CHARAP and LEE FEINSTEIN
アメリカは,ロシアの脅威にさらされた中・東欧諸国に対してNATO軍が常駐することを約束した.ロシアの周囲にNATOが配置されるのは初めてである.それは「アジア旋回」以来の,アメリカがヨーロッパに示す,静かな,積極的な対応だ.
NYT APRIL 3, 2014
America
Needs a Pivot to Europe
Clemens Wergin
l 軍事介入と制裁
SPIEGEL
ONLINE 03/27/2014
UN
Congo Mission Leader
'Unimaginable
Human Catastrophes'
Interview Conducted by Horand Knaup and Ralf Neukirch
今後の国連平和維持軍を指揮するMartin Koblerへのインタビュー.
多くの地域から(軍閥の)チェック・ポイントを廃止した.農民たちは再び畑を耕せるようになり,市場に売りに来るようになった.地方の行政は回復しつつある.学校が再開され,警察官が400人雇用された.
強力な軍隊が必要だ.同時に,市民生活の回復,国家機構の再建が重要だ.アフリカの再建に関与するというドイツ大統領の方針を私も支持する.
それは軍事力の行使を含めている.私がここに来てみたものは,村々が焼かれ,子供たちが兵士や鉱山労働者にされている,受け入れられないことだった.ドイツが行動すべきことは多くある.現在の平和維持軍は南アフリカ,タンザニア,マラウィから,兵士の精鋭が構成している.インドから大量に補充する計画がある.
The
Observer, Sunday 30 March 2014
Our
view on foreign intervention is in chaos. We need a solution
Observer editorial
バラク・オバマはブラッセルで,ロシアアに対する行動を,外交,説得,説明責任,ソフト・パワーを駆使して訴えた.ロシアは,「野蛮」な暴力で強制し,アメリカを,イラクやコソボで同じことをしたと批判した.アメリカ人は,全く異なる,と主張する.
この論争は,われわれに合意がないことを示すものだ.ある国が,あるいは諸国の安全保障機関や「国際社会」が,他の国に軍事介入するのは,いつ,どのように,なぜ正当化できるのか?
冷戦終結後に,西側の首都間で緩やかな合意が形成された.1999年,シカゴで,トニー・ブレアは「正義の戦争」という概念を復活させた.「グローバル化し,緊密の統合化した世界で,諸国は時代遅れの「内政不干渉」原則を捨てるべきだ.自己利益と道義に照らして,人権のような,普遍的価値を守り,高めるために,行動する義務がある.」 それは「ブレア・ドクトリン」と呼ばれた.
コソボで虐殺が起き,20年前のルワンダの反省から,ビル・クリントンたちは軍事介入に合意した.東チモール,シエラレオネ,へと続く.しかし,その後,ブレアはジョージ・W・ブッシュと共謀してアフガニスタン,イラクに侵攻し,彼自身のドクトリンを破壊した.
しかし,カルザイが最後の任期を終え,NATO軍がアフガニスタンを撤収するとき,イラクの破滅的な状況を観るとき,われわれは苦しい問いに直面する.われわれは何を達成したのか? 人道的介入の合法性や世界の支持が失われてしまった.もしシリアの虐殺を観たら,かつては介入を求めたはずだ.今では世界が目をふさいでしまう.
ウクライナの分割は,国連安保理の意味を失わせ,国際システムの基礎を揺るがせて,中国が台湾を制圧する動機にもなるのか? 国際的な合意が緊急に求められる.
1) Does such action have broad domestic and international support? 2) What exactly are its aims and are they realistic? 3) Is it legal? 4) Is it morally justified? And 5) How does it end?
FT
March 30, 2014
Sanctions:
War by other means
By Geoff Dyer
1956年のスエズ危機は,制裁が,征服した土地から軍隊を撤退させることを政府に受け入れさせた顕著な例である.アメリカのアイゼンハワー大統領は,イギリスへの融資を拒めば,それがポンドへの取り付けを起こすと脅して,英仏・イスラエルの軍隊を撤退させた.
しかし,クリミア併合に対する制裁がロシアの孤立を招く,というオバマの説得は成功しないだろう.すでにアメリカは,現在,コートジボアール,ベラルーシ,シリア,など,紛争に関わる24の制裁を行っている.クリントン政権は,(経済全体ではなく)個人や機関を限定した「スマートな制裁」を導入した.また9・11は,ブッシュ政権にアメリカの金融システムを利用した制裁に踏み切らせた.
制裁の支持者は,それが政府とその基盤とを切り離す,と考える.経済制裁で,ロシアのオリガークたちはプーチンを見捨てるだろう,と.しかし,その欠陥は,制裁が解除しにくいことだ.
FT April 3, 2014
We
betrayed Rwanda in its hour of desperation – never again
By Mark Malloch-Brown
l トルコ
FP
MARCH 27, 2014
The
Empire Strikes Back
BY NICK DANFORTH
FT
April 1, 2014
Turkey’s
opposition should rediscover its strengths
By Kemal Dervis
Bloomberg 4 MAR 27, 2014
Yellen
Can Help Asia Kick the Easy-Money Habit
By William Pesek
l ポルノ規制
theguardian.com,
Friday 28 March 2014
We
can't ban pornography – but we do need to stop children accessing it
Lola Okolosie
ポルノグラフィーを禁止するのではなく,その子供たちに対する悪影響を政府は抑えるべきだ.インターネットが明けたパンドラの箱はあまりにも長く放置されている.
NYT MARCH
28, 2014
Does
Porn Hurt Children?
By DAVID SEGAL
ポルノと子供の危険な行動とに因果関係は確立されていない.
l 政府と不平等
theguardian.com,
Friday 28 March 2014
How
the right sold austerity as the only economic solution
Richard Seymour
オズボーン蔵相の予算案は,再び,財政緊縮だ.なぜネオリベラリズムや緊縮策は人々の苦しみにもかかわらず続くのか? 経済危機の管理において主導権を握るのは,さまざまな公的機関を支配する保守的指導者たちである.彼らは困難な状況下で3つの手段を駆使できる.
1.階級間の力関係を変え,2.富の再分配を支配して底辺層をますます限界的な地位におしこめ,3.財政悪化に関心を集中するイデオロギーを広める.
FT
March 28, 2014
Save
capitalism from the capitalists by taxing wealth
By Thomas Piketty
歴史には不平等を拡大する力も縮小する力も働いている.それを選択するのは政策だ.
アメリカがそうだった.19世紀の歴史家トクヴィルが見たように,アメリカは世襲的なヨーロッパ社会に対する平等社会の理想であった.土地は豊富であり,民主主義が平等な市民を繁栄させた.富の集中は,アメリカの方がヨーロッパよりも少なかった.しかし20世紀に,この状況は逆転した.
1914-45年にかけて,ヨーロッパの不平等は緩和された.それは,戦争,インフレーション,国有化,課税によるものだ.その後,ヨーロッパ諸国は,アメリカよりも平等で,包括的な社会を保つ諸制度を確立した.
皮肉なことに,その多くはアメリカで革新された制度であった.たとえば,富裕層への高率の所得税はアメリカが発明したものだ.戦間期に,ヨーロッパのような階級社会を避けるために導入した.アメリカの実験は成長を損なうことなく,1980年代以降の成長率よりも高かった.
また大衆教育を広めたのもアメリカが最初だった.ヨーロッパよりも100年早く,全国民が文字を読めるようになった.しかし,ここでもヨーロッパは社会を包括する制度を確立した.アメリカが最高の大学を持つようになったが,ヨーロッパは中産階級を増やすことに成功した.
どの国も能力主義を自慢するが,現実には,それが間違っていることも多い.アメリカの大学入学者は,かつて世界で最も開かれていたが,今では非常に不平等である.効率的で平等な優れた大学を創ることは,全ての国の課題である.アメリカでは1980年代から企業重役の所得が増大して不平等を拡大した.巨大な組織内で個々の仕事を評価するのは難しい.
賃金の不平等だけでなく,富・資産の不平等も重要だ.資本は,経済成長よりも急速に増大した.19世紀に起きたように,資本の所有者は中産階級やより下層の介入を犠牲にした.Forbes誌の示すグローバルな超資産家の番付はそれを示している.1987-2013年に,彼らの富は世界経済の3倍速く増大した.
アメリカの不平等がこれほど深刻であるのは,富裕層が政治過程を強固に支配しているからだ.必要な改革は実現しない.
理想的な解決策は,個人資産に対するグローバルな累進課税である.それは不平等を制御し,人々が豊かになるのを容易にする.グローバルな富の増大に厳しいチェックを行うことにもなる.金融取引の不透明さと資産統計の欠如が民主主義社会への重大な挑戦なのある.
そうでない場合,中国やロシアのように,資本規制をしたり,限度を超えた資産家を投獄したりすることもありうる.法の支配や国際経済秩序を尊重するなら,グローバル資産課税を取るべきだろう.
インフレーションも資産を失わせたが,それは貧しい者の貯蓄も奪い取る.公的債務を解消するためには,やはり富裕層に課税する方が良い.
こうした資産課税はグローバルに行うことが重要だ.国際協調が難しいというが,アメリカとEUだけで世界生産額の半分を占める.タックス・ヘブンを処罰して,グローバルな登録制度を実現することは可能である.
こうしたことを怠れば,多くの人がグローバリゼーションを攻撃し,かつてのナショナリズムや経済的孤立に戻る主張がよみがえる.
FT
March 30, 2014
America’s
democracy is fit for the 1 per cent
By Edward Luce
l ソーシャル・メディアでジハード
FT
March 28, 2014
Jihad
by social media
By Sam Jones
(後半へ続く)