前半から続く)


l  中央銀行の秘史

FT March 7, 2014

Banks are a proxy for credit bubble fears

By Tracy Alloway in New York

FT March 7, 2014

We need economic rehab not a quick fix of cheap money

By Nigel Wilson

Project Syndicate MAR 7, 2014

The Secret History of the Financial Crisis

HAROLD JAMES

公式の歴史が隠している真実を,秘密の歴史は語っている.アメリカ連銀の公開市場委員会の議事録が最近,公表された.公式の歴史によれば,アメリカ,ヨーロッパ,その他の主要な中央銀行が協力して,世界の大恐慌から救った.

しかし,アメリカ連銀は常にアメリカの利益だけを第1に考えていたのだ.世界の主要な注銀行の中でも,アメリカにとって重要な国だけにスワップを認めた.まずECBに,そして,スイス,日本,カナダに.それは「外交的,経済的に重要な」新興市場にも300億ドルのスワップを認めた.メキシコ,ブラジル,シンガポール,韓国だ.その他,どの国を拒んだのかは記していない.

アメリカ連銀は,ドルを無限に発行できるが,IMFは加盟国の分担金に制限されている.アメリカは意図的にIMFの役割を限定した.ニューヨークの銀行家たちが,例えば1920年代のドイツを二流とみなすような事態を避けるために,IMFは普遍的な保険メカニズムとして設立された.

現代でも,IMFがギリシャを救済するとき,多くの新興諸国は強く反対した.それはヨーロッパの金融機関を救済するだけであり,偏っていたからだ.IMFの融資が優先的に返済されることにも,貧しい新興国は反対した.はるかに裕福な諸国に返済するために自分たちは緊縮策に耐えねばならない,と.


l  イギリス移民政策

FT March 7, 2014

When a migration report goes migrating

John McDermott

FT March 7, 2014

UK should scrap its migrant targets


l  社会的移動性

FT March 7, 2014

Social mobility: a family affair

By Gillian Tett


l  中国と国際秩序

Bloomberg 3 MAR 7, 2014

China's Newest Threat: Zombies

By William Pesek

FP MARCH 7, 2014

The Black Box of China’s Military

BY ISAAC STONE FISH

FT March 9, 2014

Why China’s leaders love to watch ‘House of Cards’

By Kurt Campbell

聞くところでは,習近平は「ゴッド・ファーザー」が好きらしい.前副首相のWang Qishan‘House of Cards’だ.中国の国内政治闘争に似ているから,という印象がある.しかし,それはまた,中国政府のアメリカ政治観をうかがわせ,米中関係の難しさも説明する.

FT March 10, 2014

International treaties can once again help China advance

By Robert Zoellick

中国の元首相である朱鎔基は,20年前,WTO加盟交渉を利用して,中国の市場に競争を取り入れ,その国際基準をシステムに導入した.それは次の10年の成長と世界貿易における重要な役割を実現したのだ.

再び,国際交渉を国内改革の前進に利用する機会が中国に現れた.アメリカやEUと投資協定を結ぶことだ.協定は,外国企業が中国の市場で公平に競争するのを助ける.透明性を高めて,汚職を取り締まる.そのようなルールは中国企業も助けるだろう.協定は中国人に海外投資の機会を与える.それは西側に雇用をもたらす.

Project Syndicate MAR 10, 2014

Back to the Future in Ukraine and Asia

JAMIE METZL

ロシアによるウクライナの領土分割,中国による南シナ海の領海侵犯.世界は,新しい危険な時代に入った.

地政学的な意味で,ロシアと中国は19世紀的なナショナリズムと強固な国家主権とを軍事力で主張する規範を示している.アメリカにとって,それは1945年に終わったはずの秩序である.アメリカの戦後秩序再建は,過度のナショナリズムを排し,国際法,国連,自由貿易を整備した.同時に,安全保障に関してはEUASEANの設立を助けた.

しかし今,中国が台頭し,グローバル・パワーは再分配され,アメリカは長期の戦争に疲れて信用を失い,戦後の国際秩序が動揺している.

安全保障問題をアメリカに委ねて,ルールによる国際秩序の模範として日本は行動し,ヨーロッパは社会福祉と21世紀のユートピアである国家主権の廃止に向かっていたが,それはこうした戦後国際秩序の一部であった.ホッブズ的な世界で,安倍晋三首相の率いる日本は歴史を見直し,軍備を拡大し始めた.ヨーロッパもロシアに対する戦略を見直しつつある.

戦後の秩序を回復するために,19世紀的な秩序に戻るヨーロッパと日本の軍備強化が必要になる,というのは皮肉なことだ.

FT March 11, 2014

China, trade, aid and Africa

By Luke Patey and Zhang Chun

NYT MARCH 11, 2014

The United States of China

By SCOTT MOORE

中国の2つの立法機関が年次総会を開いた.そこでは昆明の事件も議論されたが,将来の政治改革で最も重要なテーマは議論されなかった.それは,連邦主義の強化である.中国は中央に意思決定や権限を集中しているが,世界中で,その人口や面積の巨大さを統治するために,さまざまな連邦制が利用されている.

NYT MARCH 11, 2014

China Torn Between Policies and Partnership

By ANDREW JACOBS and SOMINI SENGUPTA

FT March 12, 2014

Ukraine stand-off puts China on the spot

By Jamil Anderlini in Beijing

ウクライナやクリミアに関して,中国は立場を示さない.中国には重要な利害関係がなく,ロシアは友好国であるが,その行動は望ましくない.中国の姿勢はミスユニバースの哲学だ.世界平和とすべての者の願いがかなうこと.

それはルクセンブルグやニュージーランドなら良いだろうが,世界第2の大国がそれでは困るだろう.実際,中国は周辺の秩序を変えるような積極的外交に転じたのだから.それでも内政不干渉などの原則を唱えるだけで沈黙し,事態の推移を見守っている.

Project Syndicate MAR 12, 2014

Yuan Dive?

BARRY EICHENGREEN

アメリカのQE終息で新興市場の動揺が大いに議論されていたが,唯一,中国だけはそれに含まれなかった.しかし,多くの者が予想しない形で,厳しく管理されているはずの人民元が,増価ではなく減価したことは,人々に驚きを与えた.

確かに為替レートの安定を維持した姿勢は,低金利の国から資金を借りて人民元に投資するキャリー・トレードを増やしただろう.アメリカでQEと低金利が終息するなら,キャリー・トレードも終わるはずだった.

しかし,QEが表明された昨年12月ではなく,なぜ今,人民元の為替レートを変えたのか? 重要なことは,人民元を動かしているのはアメリカ連銀ではなく,中国の人民銀行PBOCであることだ.その理由はPBOCの姿勢によるはずだ.

2つの議論がある.1つは,人民元の国際化を進めるためには,為替レートが一方的に増加することを投資家が前提するような政策を変える必要があった.そのままでは資本取引の自由化でキャリー・トレードが資本流入を加速し,激しいインフレや不安定化が生じる.為替レートは双方向に変動するのが重要である.

もう一つは,人民元を減価させて輸出部門を通じた需要の刺激策を必要とした,という議論だ.その背後には,中国政府の目指した不動産市場投機や「影の銀行」規制がうまく進んでいない,という見方がある.PBOCは低利融資を抑制したが,その効果は景気減速を過度に進めるかもしれない.政府は人民元を減価させて,そのリスクに対応したのである.しかし,それは主要貿易相手であるアメリカや日本との摩擦を生じる.

どちらが正しいかは今後の展開を見ないとわからない.

FP MARCH 12, 2014

In the Battle for Crimea, China Wins

BY GEOFF DYER


l  北朝鮮の人権と経済改革

NYT MARCH 7, 2014

Pyongyang's Hunger Games

By JOSHUA STANTON and SUNG-YOON LEE

FT March 11, 2014

North Korea: Glimmer of hope

By Simon Mundy

1990年代半ばの飢饉から,北朝鮮は大きく変わった.中国との密貿易を通じて,人々は韓国や日本から買った服を着るようになった.携帯電話やカラーTVも普及しつつあり,月に一度は肉を食べることもできる,という.

若いキムジョンウンの登場は驚きと期待を生じたが,その後の粛清は激しかった.特に,急増した中国向けの輸出(昨年は66億ドルと推定されている)が生む利益をめぐって軍や官僚の内部で闘争が激化した.上層部に及ぶ粛清はそれが関係している.同時に,人々の生活は改善している,と報告されるようになった.

一部の者は富裕化し,BMWに乗り,さまざまな外国製品を消費している.北朝鮮のシステムが軍・政治と経済に2元化し,ハイブリッド化しつつある.中国への市場価格以下の資源輸出だけでなく,輸出先を多様化し,観光業にも意欲を示す.

しかし,政府はまだ全面的な改革を恐れている.すでにイデオロギーの支配は解体しているだろう.中国から輸入される情報通信機器は情報統制を不可能にした.米韓軍事演習に強く警告した北朝鮮だが,その国民が市場に魅力を感じていることを止められない.


l  人工知能と技術革新

Project Syndicate MAR 7, 2014

Intelligent Machines and Displaced Workers

LAURA TYSON

Project Syndicate MAR 9, 2014

The Innovation Enigma

JOSEPH E. STIGLITZ

技術革新は大いに注目を集めるが,それがGDPに反映されるというデータはない.一人あたりの生産性や生活水準を改善するというのも,よくわかっていない.ドッグ・フードの優れたサイトを立ち上げても,それがどのような影響を及ぼすとしても,わずかであろう.


l  アメリカCIAの統制

The Guardian, Sunday 9 March 2014

The CIA has brought darkness to America by fighting in the shadows

Gary Younge

NYT MARCH 11, 2014

The C.I.A. Torture Cover-Up

By THE EDITORIAL BOARD

NYT MARCH 11, 2014

The Spies Who Didn’t Love Her

Maureen Dowd


l  民衆の抗議

FP MARCH 9, 2014

The Streets Ain’t What They Used to Be

BY CHRISTIAN CARYL

アラブの春を祝った人々は民主化の将来を楽観した.しかし,その後,ウクライナ,ヴェネズエラ,トルコ,タイの状況はあまりにも混乱している.

汚職.腐敗,経済管理の失敗,官僚の過剰な介入,など,世界中で人々が政府に憤慨する理由はよく似ている.各地に民主化の「感染」が広まって,新しい民主化の要求が世界に普及するのか? もしあなたが夜のテレビ・ニュースで政府に抗議する群衆の姿を観れば,あなたの最初の反応はこうだろう.「なぜここでも起きないのか? やってやろう.」

しかし,アラブの春とこれらの反政府デモは全く違っている.指導者たちは民主的な選挙を政治的正統性として主張している.彼らの背後には社会的な支持集団,地域,階層が存在する.民主的な選挙を経ずに,こうした指導者たちの腐敗や無能さ,民衆への弾圧を理由に,選挙を経ずに政権を否定するのは,どのような条件で正しいと言えるのか?

現代は,独裁者と民主化とが対峙する時代ではない.「リベラルではない民主政治」や「ハイブリッドな政治体制」が主要な特徴である.タイの自称「民主派」は暴力的に投票を阻止することもあるのだ.民主化運動の広がりは,今や,白でも黒でもない.

NYT MARCH 10, 2014

Venezuela Goes Mad

By RAFAEL OSÍO CABRICES


l  米欧通商協定は反民主的か?

The Guardian, Monday 10 March 2014

Give and take in the EU-US trade deal? Sure. We give, the corporations take

George Monbiot

The Guardian, Thursday 13 March 2014

A threat to democracy? The EU-US trade deal is no such thing

Ken Clarke

FT March 13, 2014

Crimea focuses minds on geopolitical undercurrent in US-EU trade talks

By Shawn Donnan in Brussels


l  狡猾な狐のように

Project Syndicate MAR 10, 2014

In Praise of Foxy Scholars

DANI RODRIK

非常に複雑な世界を生きるから,われわれは単純化を求める.しかし,単純化は必然的に間違いに至る.心理的なモデルとして,われわれは決定の結果や他者の行動を予想し,それによって決断を容易にする.だが気が付けば,われわれの状況は異なっており,モデルは逆噴射して,カテゴリーが複雑な現実を拒むのだ.

われわれは単純化を止めて,さまざまな成長の制約を考えるべきだろう.ハリネズミではなく,もっと多くの狐が必要だ.

FT March 12, 2014

African banks: Fragile dream

By William Wallis


l  内戦と「政治共同体」

Project Syndicate MAR 10, 2014

Duties Without Borders

JOSEPH S. NYE

シリア内戦では13万人がすでに死亡した.Michael Ignatieffは,安保理決議が得られなくても,シリアに飛行禁止空域を設けるべきだ,と主張する.他方,アメリカの中東外交が失敗した理由について,Thomas Friedmanは,アメリカ政府が現地の複雑さを知らず,悪いことを防げても良いことを起こす力はなく,それに失敗した責任を取れない,と指摘した.

オバマはどうすればよいのか?

政治集団が小さいとき,Benedict Andersonが「想像の共同体」と呼んだように,指導者は人々が帰属する共同体を意識して選択できる.しかし,グローバリゼーションは多くの人に多元的な帰属意識を与える.人々の共同体は重なり合って,主権がもはや絶対的なものでなくなった.オバマの姿勢を,Barbara Kellerman,は世界に対する孤立した無関心,と批判する.

世界市民としての国境を越えた道義的責任を感じていても,政治指導者が自国民にそれを要求することはできない.完全な答えはなく,その両方の間に連続する選択肢がある.指導者はその能力を高め,そして,選択しなければならない.

NYT MARCH 12, 2014

Working With Iran on Syria

By JONATHAN STEVENSON


l  アメリカ外交の失敗

FP MARCH 10, 2014

Condemned to Repeat It

BY STEPHEN M. WALT

アメリカの外交が失敗する理由は,外交のエリートたちが歴史を学ばないことだ.数年前に,ハーヴァードで元国務長官のヘンリー・キッシンジャーが質問に答えた.優れた外交官となるには何を学ぶべきか? 彼は,哲学と歴史だ,と答えた.厳格な思考と,広い状況認識を得られるからだ.見通しと限界について,明晰に考えることができる.

歴史を知れば,素晴らしいアイデアも実際は機能しないことを知る.何が特異で,重要で,何が新しいかを知る.他者が過去をどう見ているかを知り,誤解を避けられる.過去の出来事は競合することなった説明や物語によって成立している.複雑な歴史過程について,単純な「真実の」説明はない.ヒトラーとのミュンヘン会談に関する,過去の間違った類推と教訓を避けられる.

オバマ大統領は,外交の顧問に歴史家を増やすべきだ.

NYT MARCH 11, 2014

Obama Team Debates How to Punish Russia

By PETER BAKER

NYT MARCH 12, 2014

Weakness or Realism in Foreign Policy?


l  中東和平に平和維持軍を

FP MARCH 10, 2014

Boots on the Ground

BY WILLIAM J. DURCH, JAMES A. SCHEAR


l  ヨーロッパのデフレ不安

FT March 11, 2014

The spectre of eurozone deflation

By Martin Wolf

FP MARCH 11, 2014

Hard Landing, USA

BY STEPHEN S. ROACH

Project Syndicate MAR 13, 2014

Good Governance and Economic Performance

KEMAL DERVIŞ

新興市場の成長見通しが大きく変わった.重要なことは,優れたガバナンスと責任ある政治システムが成長を維持する上で欠かせないことだ.

人々が才能を伸ばせるか,革新を進めるためにエネルギーを費やすか,雇用を増やせるか,あるいは,レント・シーキングに走り,政治的保護を求めるロビー活動に向かうか,それを決めるのはガバナンスである.エジプトは悪い例であり,チュニジアは良い例だ.憲法を改正し,妥協を維持し,安定性が市場の機能を高めて,投資や観光による成長をもたらす.

中国は,複数政党の民主制と経済成長を結ぶ関係に対する重要な反例である.しかし,民主制にはいろいろある.中国はエジプトのように一人の人間がすべての権力を握る独裁制ではない.共産党の内部には競争があり,かなり包括的で,能力主義的な制度を確立している.

経済的な成功をもたらすのは,単なる経済学ではない.なぜある社会は独立した司法や規制当局を維持する妥協が達成でき,他の社会には党派的で,勝者がすべてを独占するやり方に基づき,ガバナンスが公共政策や民間部門の自信を損なうのか?

ドイツの成功は,こうした左右の社会的妥協を成立させる優れた政治にあるだろう.

Project Syndicate MAR 13, 2014

Why the ECB Should Buy American

JEFFREY FRANKEL

ECBがユーロ圏の政府債券を購入することには強い反対がある.インフレの傾向を脱するために,ECBはアメリカ財務省証券を大規模に購入して,すなわち,外国為替市場に介入してQEを実行せよ.

それは法的な反対論が起きない.政府にモラル・ハザードを生じない.ユーロ安が回復を助ける.しかも,それはアメリカ連銀のQE終息を緩和して,新興市場の不安を鎮静化できる.


l  イギリスのEU離脱国民投票

FT March 11, 2014

Europe needs reform but Britain belongs at its heart

By Ed Miliband

The Guardian, Wednesday 12 March 2014

Ed Miliband must promote Britain's place in a new world

Mark Leonard

FT March 12, 2014

Europe wants to make its marriage to Britain work

By Alexander Stubb

FT March 12, 2014

Miliband plays a shrewd hand on Europe

FT March 12, 2014

Ed Miliband has closed a route to Britain’s EU exit

By Philip Stephens

FT March 13, 2014

It is time to stand up for the European Union

By George Soros


l  イタリアの政治改革

FT March 11, 2014

Look to Renzi for la dolce vita

By Guy Dinmore in Rome

NYT MARCH 11, 2014

From Machiavelli to Renzi

Beppe Severgnini

FT March 13, 2014

Renzi’s medicine will not cure Italy


l  経済理論とドイツ憲法裁判所

VOX 13 March 2014

Economic theories that influenced the judges of Karlsruhe

Paul De Grauwe

ドイツの憲法裁判所の判決は,効率的市場仮説に依拠し,中央銀行と財政政策に関する間違った理解に依拠している.

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The Economist March 1st 2014

Ukraine: The February revolution

Social mobility: A memo to Obama

What’s gone wrong with democracy?

Immigration: No country for poor men

(コメント) ウクライナの2月革命が進む様子,その分析が興味深いです.そして,その内容は民主主義のエッセーに結びつきます.

民主化が世界に及ぶ,と楽観した時代は短く,むしろ「西側」の民主主義体制にも限界が明らかになっています.記事は,世界金融危機と中国の台頭が,民主主義への疑念を生み,アメリカ自身の政治的な混乱が失望を生んだ,と考えます.

上から(グローバリゼーション),下から(IT革命と直接民主主義),内側から(有権者の政治意識),民主主義が危機を迎える中で,その解決策は,専門家委員会への権限委譲と,直接民主主義(タウン・ミーティング)の復権です.

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IPEの想像力 3/17/14

これは,どういう世界なのでしょうか? 統一世界市場の形成と無政府性,軍備拡大競争.

たまたまNHKBSBIZ+サンデー:激変するスマホ最前線」を観て,驚きました.世界で販売されたスマホは10億台を超えて,12億台に向かっています.中国のHUAWEIは,25ドルのスマホを販売して世界3位に急浮上したようです.HUAWEI3万件の特許を誇っていますが,そのスマホ内部の電子部品は,60%を日本企業が作っています.

新興市場がスマホの生産拡大を支えています.その競争は厳しく,価格の下落が続いている,と日経新聞は伝えます.OSでは,アップルのiPhone14%にとどまり,グーグルのアンドロイドが76%を占めています.韓国・サムソン電子のTizenは厳しい,と書いてありますが,日本やヨーロッパの企業は世界に普及するOSを開発できないようです.

販売台数・利用者を増やすには,スマホの交流・対話アプリが重要になっています.確かに私たちは,ますます多くの時間を通信に使っているのでしょう.韓国・日本のLINE利用者は1年間で2億人も増え,スカイプを抜いて35000万人に達した.というのに驚きます.2億人といえば,日本が2つ手に入ったわけです.しかも,来年はどうなるのか? どこかの新興企業がすべてを奪い取るかもしれません.中国のAlibaba,インドのInfosysTata,ドイツ企業は何を目指しているのでしょうか?

実際,LINEが株式を上場するのを,GoogleFacebookAppleなどが狙っています.インターネット・ビジネスは異業種の混交や突然変異が頻発する世界のようです.Facebook1.9兆円でワッツアップ(利用者4.5億人)を買収し,楽天も900億円でバイバー(利用者3億人)を買収します.こうした買収の値段や資金はどうなっているのでしょうか? 「自社株割り当て」によって買収する,と日経の記事は伝えています.いわば紙の上の資金(証券市場)です.

スマホのアプリケーションの種類は100万を超えているようです.利用者に選択してもらう,というのも,普通の意味ではありえません.まじめに選択する利用者が疲れるでしょう.どうやって選択してもらうか,そこに特別な戦略が必要です.当然,開発競争は熾烈です.数人で起業して,その開発リーダーは1秒でも早く市場に出す,と考えます.

しかし,LINEの人気は「スタンプ」の蒐集による,というのは妙な感じです.日本のアプリ市場が急速に拡大して世界最大になった,というのも「ゲーム」を購入し,さまざまなアイテムを売買するからです.急激かつ高度な情報通信技術の革新と,爆発的な資本市場の投資拡大能力,それらがまったく陳腐に見えるアイデアを一気に途方もない新興企業や買収に結び付ける・・・ そんな世界が広がっています.

インターネットやスマホに関連して起きる活発な投資が,社会の富の増大や分配について,また雇用の創出や再編,秩序の安定性について,何を意味しているのか?

たまたま観たWISDOMでは,日本の構造改革を議論していました.政府が音頭を取って企業に賃上げを求める,というのは,異質な印象を持つ,と討論者は語ります.生産性が上がらなければ賃上げは持続しない.労働市場の改革が重要だ,ということになります.

・・・サービス部門の雇用が8割を占めるのに,その生産性が低いままだ.ITの利用や労働者の移動を促して,もっと生産性を高めるために,日本は法律や制度をパッケージで変える必要がある.労働者と経営者はもっと協力しなければならない.女性の社会的進出や夫婦の役割分担,子育てを助ける企業や社会の仕組みも重要だ.つまり,それらはガバナンスと政治システムの問題に至ります.

自動車産業,ユニクロ,キプロス分割,IT革命とGDPとの関係,社会的移動性,人権,ジェノサイド,従軍慰安婦,サイバー攻撃,などが示す世界の分割・動態と,こうしたインターネット世界との対照には,異次元の流れがありますが,それでも一つの現実なのだ,と私は驚嘆します.

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加藤典洋のNYTに載ったコラムで,私は初めて「在特会(在日特権を許さない市民の会)」を知りました.ヘイト・スピーチや暴力,『アンネの日記』の肖像画を図書館で大量に破るという事件(犯人不明)の陰湿さに,言葉を失います.

郵便ポストに猪奥美里さんのビラが入っていました.奈良県の県会議員です.私は好感を持ちました.若い,元気な政治家が,いっぱい育ってほしい,と願って,私はメッセージを送りました.

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