前半から続く)


l  新しい冷戦

FT February 20, 2014

US v China: is this the new cold war?

By Geoff Dyer

中国がさまざまな分野で世界の上位に登場するのは見慣れた光景である.しかし最近では,かつて毛沢東がブルジョア的なデカダンスの典型として攻撃した美人コンテストであるが,ミス・ワールドの予選も中国で開催された.Hainan海南島の豪華・高級ホテルである.中国最南端のYalong Bayは,相互に結びついた,中国の台頭が持つ2面性を示している.一方は,高級リゾートホテルと裕福な観光客であり,他方は,最新鋭の中国海軍基地である.中国のグローバル化と大国化が進んでいる.

21世紀の地政学的な中心問題は,アメリカと中国との軍事的対抗である.中国は太平洋の西部におけるアメリカ軍の行動を阻止できる軍事技術にもっぱら投資してきた.アメリカ軍がアジア周辺で行動できなくなれば,それはアメリカが果たすアジアの地位を低下させ,その同盟諸国が中国に従うようになる,という考え方である.

2005年に,Robert Kaplan “How We Would Fight China”という論説を書いてThe Atlantic誌の冒頭に載せたことがある.そのころはイラク戦争で大失敗が明白となり,中国との戦争を考えるなど狂ったことだった.しかし,その論説はもっと違う視点を示していた.中国は,かつてソ連が示したような近隣諸国に侵攻する帝国を求めていない.しかし,急激な軍備拡大を遂げる国であれば,どこでも指導者は軍事的な解決策に魅力を感じ始める.短期間の軍事行動によって勝利が得られ,地域のバランスが変わる,と.アメリカが信頼できる軍事計画を持っている限り,中国と近隣諸国はこの不安を免れる.しかし,それが失われたら,不安に駆られた諸国が中国との軍拡競争を始めるだろう.

アメリカが冷戦末期に建てた軍事行動計画を引き継ぐAirSea Battleの考え方には危険な要素がある.

BLOOMBERG Feb 20, 2014

Sorry, Italy, You're in China's Seat

By William Pesek

中国の治安警察は新しい標的を見つけた.それはエコノミストだ.

すでにサイバースペースや国際メディアは中国の警察に監視されている.しかし最近は,中国経済の7%成長や,崩壊しないという公式の評価に背くエコノミストや外国の研究者たちを,ブラックリストに載せている.

世界第2の中国経済の成長予測や銀行の債務状態,企業評価,などがデータの得られない状態になれば,そのブラック・ボックスはあまりにも大きい.どうすればよいのか? 私は中国をG7に加えるべきだと思う.アメリカ,ン日本,ドイツ,フランス,イギリス,イタリア,カナダは,中国を倶楽部の正式メンバーとして迎えるのだ.

中国は世界最大の貿易国であり,境最大の外貨準備(38000億ドル)保有国であり,世界最大の温暖化ガス排出国であり,急速に地政学的なおアワーを高めている国である.ところが,どの定期的な国際管理フォーラムにも参加していないから,仲間の国の閣僚から監視される機会がない.財務大臣や中央銀行総裁が参加することは,経済改革の行方や,日本の不良債権問題を凌駕する不良債権を抱える銀行システムについて,曖昧さを減らす圧力になるだろう.

いくつか問題はある.誰が中国の代わりに退出するか? それはイタリアだ.経済規模ではカナダより大きいが,通貨はユーロ圏で共有しており,カナダの方が金融危機をうまく回避している.中国が望むか? その大国としての地位や利益を求めても,中国は責任を避けている.

だからG7が一致して,中国の参加を主張し,歓迎のじゅうたんを敷くのである.

FT February 21, 2014

US ignores China’s warning on Dalai Lama

By Geoff Dyer in Washington and Jamil Anderlini in Beijing

Project Syndicate FEB 21, 2014

China’s Fear Strategy

CHRISTOPHER R. HILL

中国のソフト戦略は終わった.今や国内政治闘争が世界の再編に反映される.

歴史的経験が国家の行動を決定するが,ヨーロッパでは1648年のウェストファリア条約で,戦争よりも外交による交渉のルールが定まった.国際法の考え方は世界の他の部分にも広められたが,中国は別だった.

中国は,歴史的に,対抗する力のある国が近隣になかったから,貢納国家として扱い,同盟関係も単純であった.今,軍事力を高めた中国は,南シナ海を中国南方の湖に換えようとしている.

Global Times | 2014-2-22

Obama plays dumb in Dalai meeting

By Global Times

Project Syndicate FEB 23, 2014

Asia’s New Security Trifecta

JASWANT SINGH

Global Times | 2014-2-26

Washington-Tokyo alliance outdated and risky

By Global Times


l  景気回復策

NYT FEB. 20, 2014

The Stimulus Tragedy

Paul Krugman

オバマの刺激策は大きな成果を上げた.しかし,政治的には反対派が勢力を増やした.しかし,景気回復が遅いのは住宅バブルの後遺症が残っているからであり,刺激策が失敗したのではなく不十分だったからである.

FT February 21, 2014

Low inflation can be a disease not a cure

By Tim Harford

WP February 21

Share the dividends of increased productivity

By Harold Meyerson

FT February 23, 2014

Europecannotaffordtoignoreitsdeflationproblem

By WolfgangMünchau

FT February 24, 2014

Time for central banks to step back

By George Magnus

Project Syndicate FEB 27, 2014

The New Growth Conundrum

JEAN PISANI-FERRY


l  ヴェネズエラ,ボスニア,ウクライナ,タイ

NYT FEB. 21, 2014

Indonesian Democracy’s ‘Guiding Hand’

By MICHAEL VATIKIOTIS

FP/Russia Direct Feb 21, 2014

Protests in Ukraine, Thailand and Venezuela: What unites them?

Jack Goldstone

貧困層の反乱が革命をもたらすというのは神話である.現実には,中産階級や専門職の人々が反乱を組織し,指導しなければ,貧困層は早期に鎮圧される.フランス革命も,19世紀のヨーロッパの革命も,ロシアや中国,キューバの共産主義革命もそうだった.教育を受けた指導者が,政府の無能さと腐敗に憤慨し,自分たちの国を破滅から救うために革命を実現した.

20世紀,21世紀の社会はさらに豊かで,都市化し,多くの人口が教育を受けている.事務職や専門職,中小企業の経営者や技術者が,革命の前衛だけでなく,主体になっている.ヴェネズエラ,ボスニア,ウクライナ,タイで,最近起きた反政府運動や暴力的な衝突は,多くの点で類似している.

これら4カ国はすべて中所得国である.購買力で調整した世界の一人当たりGDPランキングで,それぞれヴェネズエラ73位,ボスニア99位,ウクライナ106位,タイ92位,である.人口の多数は文字が読め,政府は健全な経済と職場,まともな公共サービスを提供してくれると期待している.しかし,彼らの生活の安全は政府に大きく依存する.指導者が自分や仲間のためだけに利益を独占するか,社会全体により多くの機会や前進をもたらすか,大きな違いが生じる.腐敗しない,有権者に責任を果たす指導者は,貧しい者の成功や,その国家がさらに富裕国に仲間入りする条件なのだ.

さらに,これら4か国の評価は,「部分的に」自由で,民主的である.完全に確立された民主体制ではできないような政治的介入や差別的な利益分配を行う可能性があり,また,それに対する強力な反対運動や野党が現れる余地もある.こうした国の共通する特徴は,深刻な「腐敗」である.不確実で不安をともなう状況であり,政府への反発は激しい抗議と選挙によっても解消されない亀裂につながる.

これらの国に共通するのは,指導者が強い権力の継承者であることだ.彼らは独裁的な権力者の後継として,その体制を管理しているが,その正当性は,大衆の期待に反したとき,批判に弱い.指導者は反対派の要求に応えず,反対派もあきらめない.政府が強硬策を採っても,事態は収拾できず,むしろ悪化することになる.

しかし,リビアやシリアのような内戦状態にはならないだろう.なぜなら,第1に,国民の年齢の中央値が高いからだ.リビア26歳やシリア21歳に比べて,ボスニア,ウクライナ,タイは,37-40歳である.圧倒的な若者だけの集団に比べて,成熟した人口は暴力的な衝突を避けようとする.ヴェネズエラは若く,27歳であるから,内戦の恐れがあるかもしれない.

2に,どの国も長期の独裁体制を経験していない.軍隊の指導部が民衆に対する暴力の行使を命令する指導者を出したことはない.軍隊は双方の暴力を抑えるだろう.政治的対立は妥協に向かい,抗議活動が継続すれば政府は辞任する.交渉による妥協策が最も実現しそうである.

FP FEBRUARY 25, 2014

Unrealistic Expectations

BY STEPHEN M. WALT

FT February 26, 2014

Why Thailand is looking like the next Ukraine

By DavidPilling

タイの政治的混乱はますます醜悪な様相になっている.世界のメディアはウクライナの騒乱に注目しているが,タイでも数十年間で初めて国家を分割することが議論されている.貧しい農村の東北部と,豊かな,都市化したバンコク中心の南部とが分離するのだ.

もちろん,そんな必要はない.何年も続く政治的混乱を収拾する妥協策はある.しかし,これまでになく双方が分断した組織化を広げている.Yingluck Shinawatra首相の選挙は失敗に終わった.反対派が選挙をボイコットし,投票所で妨害したからだ.Yingluckは首相官邸に閉じ込められ,裁判所も彼女の米補助金を賄賂として告発し首を絞める.

しかし,野党の方も政策や政治改革の中身はよくわからない.バンコクのエリートたちは貧しい農民層が政治に口を出すことを認めない.裁判所や軍隊など,タイの諸制度は弱く,政治的混迷を収拾する力がない.皇室だけは国民の信頼を得ているが,Bhumibol Adulyadej国王はすでに86歳で健康状態も良くない.

与党と野党が譲り合って,妥協案を合意するべきだ.その改革には北東部の政治的な自立性を高めることも含まれるだろう.

FP FEBRUARY 27, 2014

Thailand's Protests Spur Talk of Dividing the Country

BY JAKE SCOBEY-THAL


l  機械化と労働者

Project Syndicate FEB 21, 2014

Death to Machines?

ROBERT SKIDELSKY

ラッダイトは,産業革命の初期,賃金を下げられ,職場を奪われた織り手たちが機会を破壊した事件のNed Luddの歌から生まれた.

1811-12年に最も激しく打ち壊されたが,政府はナポレオンとの戦争以上に多くの軍隊を動員して鎮圧した.100人以上のラッダイトが絞首刑になり,あるいは,オーストラリアに流された.機会が勝利し,ラッダイトは歴史の脚注に残るだけだ.

機械ではなく,旧式の職工たちに頼るのは,進歩を拒むことであり,不可能だ,それはアダム・スミスが述べたように,貿易を規制するのは,風を規制するようなものだから.しかし,デイヴィッド・リカードは,『経済学原理』の第3版で,機械に関する章を挿入した.彼は今や,機会が人間の労働に代替することが労働者階級にしばしば厳しい苦痛を与えることを確信した,と書いている.それは人口を余剰物にしてしまう.「労働者階級が持った意見は,偏見や錯誤に依拠したものではない.政治経済の原理に即したものだ.」

しかし,悲観的な議論は実現しなかった.GDPに占める労働の分配は産業革命の間も変わらなかった.財の価格が下がったので,機械は実質賃金を改善した.生産性の上昇は,労働組合からの圧力もあって,雇用主に賃金を上げさせた.機械にできない仕事も多く残されていた.

とはいえ,この30年間の賃金シェアは低下し続けてきた.機械化はサービス部門にも広がっている.ウォルマートやアマゾンがその先頭だ.機械化が進むことは,労働者を余剰物にするより,彼らに多くの余暇を与えることもできる.しかし,この社会はそれを許さない.

機械化を放置することは解決をもたらさない.ラッダイトたちは間違いも犯したが,歴史の脚注ではなく,もっと重視されるべきだ.

NYT FEB. 22, 2014

How to Get a Job at Google

Thomas L. Friedman

FT February 25, 2014

Learn from Google, not from ‘Foxconn’

By John McDermott


l  オバマ大統領の外交

WSJ Feb. 21, 2014

Niall Ferguson: America's Global Retreat

By NIALL FERGUSON

The Guardian, Sunday 23 February 2014

What the hell is Barack Obama's presidency for?

Gary Younge

「大統領になるというのは,歴史の本に載るということだ.」 「何をした大統領として歴史の本に載りたいのか? 私にはそれがよくわからない.」 残念ながら,オバマにもわからないようだ.

NYT FEB. 27, 2014

What Would Kennan Say to Obama?

By FRANK COSTIGLIOLA


l  金融バブル

FT February 23, 2014

Bubble potential puts Icelandic private equity fund on thin ice

By Sophia Grene

theguardian.com, Monday 24 February 2014

Christine Lagarde thinks the troika got it wrong on Greece? If only she knew

Alex Andreou

The Guardian, Monday 24 February 2014

This is no recovery, this is a bubble – and it will burst

Ha-Joon Chang

Project Syndicate FEB 24, 2014

The Banks that Ate the Economy

HOWARD DAVIES


l  イギリス解体

NYT FEB. 23, 2014

The Disunited Kingdom

By KATHLEEN JAMIE

FT February 25, 2014

Currency unknowns weigh on an independent Scotland

By John Kay

The Guardian, Wednesday 26 February 2014

Angela Merkel has Britain's future in her hands

Martin Kettle

FT February 26, 2014

Searching for a Scottish plan B

By Robert Shrimsley

FT February 25, 2014

Merkel comes to Little England


l  イラン

Project Syndicate FEB 24, 2014

Revolutionary Patience

JAVIER SOLANA

Project Syndicate FEB 25, 2014

Defusing Iran

JOSCHKA FISCHER


l  円安とアベノミクス

BLOOMBERG Feb 24, 2014

That's Enough Yen Depreciation

By Jim O'Neill

通貨であることは難しい,ときには弱くなるように求められ,しかし,あまりに弱くなるのは困る.なぜならそれは近隣諸国に迷惑であり,インフレにも火を点けるから.もし通貨が急激に弱くなれば,それは危機になる.

日本の円は,長い間,弱くなることを歓迎された.円安で株価は上がり,円高で株価は下がった.しかし,最近の新興市場における通貨安は警鐘を鳴らした.

通貨は広く金融市場の中で評価しなければならない.通貨安が,日本にとっては有益で,アルゼンチンやインドネシアにとっては有害である,というのはなぜか? それは金融条件の問題だ.これまでの円安は,日本が大幅な円高を是正する過程であった.しかし,もし日本が円安で輸出市場のシェアを高め,他方では消費税の増税で国内需要を削っているとしたら,特にデフレを恐れる先進諸国は憤慨するだろう.

FT February 25, 2014

Abe has good medicine but Japan needs a stronger dose

By Adam Posen

安倍の経済改革は正しい分析に従い,政策ミスを回避している.しかし,不十分だ.金融政策だけでなく,財政再建も構造改革も,もっと大胆に実行しなければならない.

持続的なデフレを許した1990年代の政策失敗を認め,アベノミクスは正しい政策を示した.同じことを,もっと大規模に実行するべきだ.財政再建のために,今後20か月で10%まで消費税を引き上げる(あるいは延期する)のではなく,数年内に20%まで引き上げるべきだ.それはOECDの平均的な水準だ.

女性の労働力を活用することは正しい.しかし,15万か所の託児所を新規に開設するより,40万か所を開設すべきだ.公共部門で女性管理職を30%まで増やし,民間部門にも自主的に求めるのではなく,全ての職場で40%まで強制的に引き上げさせるべきだ.

農家の減反政策を廃止するだけでなく,小規模農地を統合させ,効率を高める.経済特区だけで雇用のルールを緩和するのではなく,全ての新規雇用に補助金を与える.

安倍の経済再生は手段であって,目的ではない.その目的は,中国を恐れる近隣諸国やアメリカにとって,日本を活力ある同盟国にすることだ.そのためには約2%の成長が必要だ.アベノミクスはまだ不十分である.

明治維新がそうであったように,外的な脅威が成長目標の達成を助けることがある.安倍はその目標を引き上げるべきだ.

FT February 25, 2014

Japan shifts agenda as Abe’s arrows miss

By Henny Sender


l  アメリカ金融政策と新興市場

2014-02-24 (China Daily)

Asian markets ready for taper

By Syetarn Hansakul

Global Times | 2014-2-24

Jacob Lew under illusion of authority

By Global Times

Project Syndicate FEB 25, 2014

Globalizing the Fed

NGAIRE WOODS and GEOFFREY GERTZ

アメリカの金融政策は新興市場や発展途上諸国(EMDCs)の経済を破壊する効果を無視して行うべきか? その答えは,アメリカが世界経済を指導するべきか? どのように指導するべきか? ということに関わる.

健全なファンダメンタルズの国でもアメリカの金融政策は強い影響を及ぼしている.EMDCsの対応次第で,世界経済には3つのシナリオがあると考える.1.グローバリゼーションの逆転.2.新しいパトロン,すなわち,中国への依存を深める,3.開放型の国際金融秩序を維持する.

アメリカの利益は1.2.ではなく,3.にある.そのためには,アメリカの金融政策がEMDCsへの影響を緩和しなければならない.EMDCsにはそのための政策手段がいくつかある.資本移動の管理,通貨市場への介入,マクロ・プルーデンシャル規制の強化,外貨準備の蓄積.しかし,いずれもコストがともない,複雑で,効果が不確かである.しかも,アメリカなど,豊かな諸国との貿易自由化協定は,こうした介入手段を制限することが多い.

G20の示した「慎重な政策変更,明確な情報交換」という方針は不十分だ.アメリカはEMDCsにドルの流動性を与えるスワップを提供するべきだ.また,EMDCsに対する公式・非公式の金融調整審議プロセスを設けるべきだ.チェンマイ・イニシアティブのような,地域的支援制度を支持するべきだ.

また,アメリカは貿易自由化協定でEMDCsの金融安定化のために必要な政策を規制すべきではない.特に,IMF改革や基金の拡大を妨げてはならない.

FT February 27, 2014

Beijing guides renminbi lower in effort to manage financial risks

By James Kynge in London

2005年以来,初めての人民元急落を導いた政策は,投機的な資本取引に関して「一石二鳥」を狙った戦略であった.それは国際党名投機家と,国内のシャドー・バンキングを叩くものである.それは国際金融システムが浮動性を高める中でリスクを抑え,金融政策の余地を拡大する新しい戦線を開いた.

NYT FEB. 27, 2014

China's Growing Stake in Stability

By THE EDITORIAL BOARD

Bloomberg FEB 27, 2014

Do China's Risk Signals Point to a Meltdown?

By Barry Ritholtz

2014-02-27 (China Daily)

Yuan's devaluation message

Project Syndicate FEB 27, 2014

China’s Growth Puzzle

STEPHEN S. ROACH


l  北朝鮮

NYT FEB. 25, 2014

North Korea’s Atrocities

By THE EDITORIAL BOARD


l  シリア

NYT FEB. 25, 2014

With Syria, Diplomacy Needs Force

By MICHAEL IGNATIEFF

FP FEBRUARY 26, 2014 - 01:18 PM

How Food Became Syria's Next Battlefield

BY DAVID KENNER


l  中国の成長と大気汚染

FT February 26, 2014

China pollution: Trouble in the air

By Lucy Hornby

Bloomberg FEB 27, 2014

China Must End Its GDP Worship

By William Pesek


l  中央アジア

NYT FEB. 26, 2014

Moderate Islam? Look to Central Asia

By S. FREDERICK STARR


l  アメリカの通商政策

FT February 27, 2014

We cannot afford to stand on the sidelines of trade

By Joe Biden

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The Economist February 15th 2014

The parable of Argentina

The tragedy of Argentina: A century of decline

Syria’s Palestinians: No more a haven

Free exchange: The Loch Ness consensus

(コメント) アルゼンチンほど,成功の条件を多くもちながら,衰退してきた国は珍しい,という話です.そしてKuznetsがアルゼンチンと対比した特殊なケースは,急速に成長する日本でした.アルゼンチンが失敗した理由のいくつかを,日本は共有しつつあるのです.富を築き,共有する方法について,合意が失われているのでは?

シリアがパレスチナ難民に最大のキャンプを提供し,住民との関係も良好であった,という記事があります.しかし,内戦とともに双方から警戒され,離散する者が増えている,という内容で,悲しい写真が付いています.他方,ネス湖の怪獣に例えられた「国際政策協調」ですが,資本規制には反対する立場のようです.

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IPEの想像力 3/3/14

アドヴェンチャー・レースの放送を観ました.コスタリカ共和国で行われた850キロの挑戦に,日本から出場したチームの10日間です.

マウンテンバイクを飛ばし,カヤックで川をさかのぼり,3800メートルの山を越え,ボートで激流を下る,あまりにも超人的な競技のスケールに驚き,呆れて,観ていました.しかし,次第に疑問を感じました.昼夜を問わず走り続け,睡眠もとりません.これでは危険であるどころか,命を失うでしょう.だから面白いのだ,というのでは「異常」です.

お祭りの一部になっている命知らずの競技(そして命を失うことも正当化する)や伝統の技というものが世界中にはあるでしょう.文明はそれをスポーツにしました.競技としてのルールを定め,参加資格や健康状態を厳しく管理したはずです.

命を失うほどの超人レースを「文明圏」が求めるとしたら,それは戦争です.特殊部隊が敵の防衛ラインを突破し,破壊活動や人質救出を行って帰還するケースは,現代にもあるのでしょう.あたかも兵士が体力と技能の限界を競うように,アドヴェンチャー・レースが進行していることに,「スポーツ」の危うさを感じました.目的のために手段を選ばず,チームワークを理由に人命を無視する,という競技は破滅的です.

もしこの競技が文明社会の楽しみになるとしたら,夜間は完全に休止し,健康状態のチェック,事故やけがの防止に十分な配慮をして,予選を通過した全ての参加者が完走できるレース条件を考えるべきです.それでも十分に驚異的な鉄人レースであり,その方が主催国・コスタリカ共和国は,憲法で常備軍を廃止し,中米において安定した民主政治を続けてきた,という優れた特徴を世界に示せたと思います.

現実には,急激に拡大する紛争地帯の周辺諸国,そしてアメリカやロシア,中国は,紛争地域に情報収集の専門家や特殊部隊を派遣し,展開しているのかもしれません.ウクライナは,Zbigniew Brzezinskiが主張するように,西側とロシアの双方が軍事同盟への統合を抑制するフィンランド型になるのか,あるいは内戦を経て,分断された朝鮮半島(旧東西ドイツ)型になるのか?

ヴェネズエラ,ボスニア,ウクライナ,タイでも,無能な政府や議会に対する国民の不満が爆発しています.交渉や妥協のルールによって収拾できず,国民に広く信頼された制度も欠けているようです.国際政治における大国間の協力は,うまくすれば,国内制度を補う安定化メカニズムになるでしょう.改革を推進する暫定政府への信頼を,国民に対して保証し,監視し,支援するからです.

おそらく今,ウクライナでは,プーチンとオバマが指名したチームがアドヴェンチャー・レースに参加しています.戦争にはルールがない,というのは間違いでしょう.それが文明圏であれば,対立する全ての住民を死滅させたり,土地を汚染し,破壊しつくしたりするような戦争は(限界的な威嚇を除いて)ありえません.戦争は死活的な利益や戦後の地域秩序を争います.

国民の年齢が成熟しているから,リビアやシリアのように,ボスニア,ウクライナ,タイは内戦状態にならない,とReviewで紹介したJack Goldstoneは指摘します.むしろ妥協による解決策が優先されるのです.逆に,日本のように高齢化の進んだ社会では,革命が起きません.それは利点であるより,欠点になってしまいます.安定した制度も,天皇制の権威も,政治家たちの仲介する既得権集団が,新しい試みを矮小化し,延期し,相対化してしまいます.

アドヴェンチャー・ゲームを広める目的が,国際政治の野心的な調整メカニズムの制度化,そのための情報収拾や説得工作であるなら,また国内政治の老成化・硬直化を回避し,社会や政治の若返り回路を確保することであるなら,この超人的なスポーツに,私も全面的に賛成です.年齢に関係なく,ガッツのある超人たちにより,新時代の国家が覚醒します.

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