(前半から続く)
l ヨーロッパのプロジェクト
NYT FEB. 7, 2014
What
Would Jean Monnet Have Done?
By STROBE TALBOTT
貨幣は商取引の手段であると同様に,ガバナンスの手段である.人々の保有する貨幣や銀行券が変わるのは,国家主権の命令による.
しかし,ユーロは例外である.18のEU加盟諸国が共通通貨を使用している.それは現代世界における地域協力の最大の実験である.しかし世界不況になってから,この5年間はユーロが経済的な障害や政治的な分裂要因になった.独仏の指導者は,他の政治指導者とともに,ユーロ圏の維持と,予算,支出,金融規制,銀行同盟,失業対策で合意を強化するだろう.
それらは経済統合の最初の目的であったものを救い出すためだ.すなわち,近代における最悪の死傷者を出したヨーロッパ大陸で,その傷を癒し,平和と繁栄と民主主義のゾーンを築く,共通の政策と統治機構によるガバナンスを生み出すことである.
それがthe European Projectであった.Jean Monnetはその天才建築家であった.
Monnet’s Brandy and Europe’s Fate
http://www.brookings.edu/research/essays/2014/monnets-brandy-and-europes-fate#
FT February 10, 2014
Swiss-style
immigration cap will bite into UK’s wealth
By Patrick Jenkins
SPIEGEL ONLINE 02/10/2014
A
Land of Money and Fear
The
Swiss Vote Against 'Mass Migration'
A Commentary by David Nauer
スイスの有権者は僅差で移民の割り当てを再導入する提案を承認した.スイスの年を観ればその繁栄は称賛と羨望の的であるが,それはスイスがネットワーク経済を生かしているからだ,という点でエコノミストは一致している.
右翼のスイス国民党SVPが反移民政策で成功したのは,スイスの矛盾した自己イメージがある.スイスは自分たちを高い意志で独立を達成した国民と信じている.しかし,実際はその逆である.ドイツ語圏はドイツに帰属するのを嫌い,スイスロマンドはフランスの一部になるのを嫌い,南部のティチーノはイタリアの一部になるのを嫌った.彼らがスイスになったのだ.
ウィリアム・テルなどのカリスマがいなければ,スイスの例外主義という神話も消滅した.残されたのは,自分たちの豊かさだけだ.そして,それを失う不安である.スイスフランを共有しつつ,次第に増える移民たちを実存主義的に恐れている.スイス人は,あえて公には言わないが,都市の過密や交通渋滞のような合理的な議論を使って,移民たちが多すぎると主張する.「混雑のストレス」という生物学の議論を利用する.
SVPを支持する者は,移民の少ない田舎に多い.逆に,都市部では現在の移民政策を支持している.スイスはEUに加盟しないが,EUとの多くの条約で経済の統合を実現している.もし移動の自由を制限するなら,他のあらゆる条約が損なわれるだろう.
NYT FEB. 10, 2014
Swiss
Immigration Vote Raises Alarm Across Europe
By MELISSA EDDY and STEPHEN CASTLE
FT February 11, 2014
Europe
will dismiss Swiss fears at its peril
By Philipp Hildebrand(former chairman of the governing board of the Swiss National Bank)
ヨーロッパ統合の様々な次元で大衆的な支持を失ったことを認める時期が来ている.ヨーロッパ統合を改革しなければ民主的な正統性を失うだろう.すなわち,共通の財政制度を受け入れるユーロ圏のより深い統合と,貿易・関税の同盟にとどまるイギリスやスイスのような統合である.
投資家から見て制度の長期的な予測が不確かであることは成長を損なうものである.
l 不平等と民主主義
VOX 7 February 2014
Can
democracy help with inequality?
Daron Acemoglu, Suresh Naidu, Pascual Restrepo, James A Robinson
北米とヨーロッパで不平等の拡大が注目を集めている.民主主義は有権者の多数が不平等に不満を持ち,再分配政策を支持するから,不平等を緩和する傾向がある,と考えるが,その関係はそれほど単純ではない.
民主化によって政策決定のパワーを失うことを予想する政治エリートたちは,さまざまな制度を用いてパワーを維持しようとする.また民主化によって,必ずしも中間層が貧困層への再分配を支持しない.富裕層と貧困層から,自分たち中産階級への再分配を重視するだろう.特に,民主化がさまざまな機会の平等と自由化を進めるとき,市場の分配に及ぼす効果は不平等を拡大するかもしれない.
最近の不平等拡大は,土地・資産の不平等な分配ではなく,むしろ技術革新による影響が強いから,民主化は不平等の拡大を逆転できないだろう.
Project Syndicate FEB 11, 2014
Asia’s
Democratic Drama
JEAN-PIERRE LEHMANN
Project Syndicate FEB 11, 2014
Market
Failure and Political Failure
JEFFREY FRANKEL
市場は失敗することがある.しかし,大気汚染,交通渋滞,電波の周波数割り当て,たばこ消費,など,市場は規制をより効率的に実現することもできる.
ヨーロッパの炭素排出規制は,“command-and-control”から“cap and trade”に代わった.しかし,その後の政策は間違っており,排出権の価格は低くなり,最悪のエネルギーであるはずの石炭消費が増えている.アメリカでは,オバマケアが本来は共和党のアイデアであり,ロムニーが成功させたにもかかわらず,オバマがこの仕組みを採用すると政治的な反対に代わった.炭素排出規制の“cap and trade”についてもそうだ.
Project Syndicate FEB 11, 2014
The
Road from Thirst
MAHMOUD MOHIELDIN
数百万人の世界の最貧困層が,水に関する厳しい状況に苦しんでいます.水不足や供給をめぐる論争は,安全保障,経済発展,環境の持続可能性に重大な意味を持ちます.
水の管理と衛星の改善は世界の経済改革と貧困層の生活に重大な影響を及ぼす.国家を超えた水の供給・消費に対して,国際的な構造を立ち上げ,今すぐに取り掛かるべきだ.無駄にする時間も,水も,ない.
Project Syndicate FEB 12, 2014
Africa’s
Search for Law
MO IBRAHIM
Project Syndicate FEB 13, 2014
Mastering
Our Urban Future
NOELEEN HEYZER
VOX 13 February 2014
Who
let the Gini out? Searching for sources of inequality
Davide Furceri, Prakash Loungani
l 中東政策
FP FEBRUARY 7, 2014
When
Reagan Cut and Run
BY MICAH ZENKO
NYT FEB. 8, 2014
Whose
Garbage Is This Anyway?
Thomas L. Friedman
SPIEGEL ONLINE 02/07/2014
Sowing
Fear
By Alexander Jung
l 中央銀行の国際協力
FT February 9, 2014
The
Fed’s waning magic in the age of Yellen
By Edward Luce
FT February 12, 2014
Yellen,
tapering and a moribund G20
By Philip Stephens
もしイエレンが,北京,デリー,アンカラの政策担当者に配慮してQE終息を見直す,などと議会で発言したら,彼女は職を失っただろう.アメリカ議会下院の代議士たちは国際協調に関心がない.
インド準備銀行のRaghuram Rajan総裁はそれを批判した.しかし,彼がもしFRB議長であれば,イエレンと同じことを言っただろう.中央銀行はその国の経済状態に対して政策を決めるよう求められる.Rajanは,ドルの世界準備通貨としての性格を考慮して,特別な責任を求めたのかもしれない.
確かに世界金融危機の直後には,先進諸国も新興諸国もこうした自己本位の姿勢を打破する覚悟があった.初期のG20は1930年代の不況を回避する決意が共有されていたのだ.しかし,それは続かない.グローバルな利益のために行動するのは,誰か他国がすべきことになった.経済的な相互依存はなくならず,アメリカに他国から影響が戻ってくるかもしれない.イエレンは,相殺する行動はただアメリカの利益のためにだけ行われる,と述べた.ダメージがあっても,その影響を見極める,という戦略だ.何と無駄の多い姿勢であるか.
1944年にブレトンウッズに集まった44カ国の代表を回顧して,G20の精神を,IMFのChristine Lagardeが描いた.彼らは相互信頼と協力に基づき,「広範なグローバル利益が偏狭な国民利益を超越する」と信じて,協調に向かうことが平和と繁栄をもたらす,という新しいコースを決定した.
Project Syndicate FEB 12, 2014
Putting
America’s Recovery to Work
LAURA TYSON
Project Syndicate FEB 13, 2014
The
Dollar and the Damage Done
BARRY EICHENGREEN
アメリカ連銀は責められることが多い.中国のリバランスや,日本の「アベノミクス」も他国に影響を及ぼしている.しかし,責められることは少ない.新興諸国の国内問題は改革して解決しなければならない.アメリカ連銀はなぜ他国への影響に言及しないのか? 特に,アメリカ議会はIMFの分担金の調整を拒んだ.また,アメリカ連銀は少数の政府・中央銀行(South Korea, Chile, Mexico, India, and Brazil)と合意して,スワップでドル供給を行った.
このことの意味は,アメリカが事実上の国際的な最後の貸し手であることを示しており,そのアメリカ化を進めたのだ.その場合,QEを見直すことも必要になる.
もしアメリカがそれを拒むなら,そのときはIMF改革を認めて,議会が国際的な役割を国際機関に戻すことである.
l 孤立主義よりスマート戦略
NYT FEB. 9, 2014
The
Price of Pulling Back From the World
By STEPHEN SESTANOVICH
Project Syndicate FEB 10, 2014
The
Myth of Isolationist America
JOSEPH S. NYE
多くのものに訊かれた.アメリカは孤立主義に戻るのか? Kerry国務長官が明確に否定したが,その問いかけは続いている.
アメリカ衰退論は間違っている.アメリカは将来の数十年間においても,世界の「唯一」ではないが「最高」の国家である.アメリカの開放的で革新を好む文化,ネットワークを駆使するグローバル・ハブとしての役割,同盟を組織するスマート戦略の構築,ヨーロッパと日本に対して保持する同盟関係,そしてアメリカの指導者がこの同盟を維持し,国際協力を確立できるかにかかっている.
アメリカに必要なことは,選択の戦略だ.1950年代にアイゼンハワーがしたように,たとえ最高の大国にも世界中をパトロールして国境を守ることはできない.また,経済力に基づくものでなければならない.そして,アジア大陸における戦争を回避し,ソフトとハードのパワーを組み合わせることで,世界の複雑な脅威に対抗できる.
l Stuart Hallの訃報
theguardian.com, Monday 10 February 2014
Stuart
Hall's message to those who want change: think, debate – and get off your
backside
Tariq Ali
The Guardian, Wednesday 12 February 2014
Stuart
Hall was a voice for misfits everywhere. That's his real legacy
Suzanne Moore
l 技術革新と雇用・分配
FT February 10, 2014
We
need a new Bismarck to tame the machines
By Michael Ignatieff
選挙で成立する民主的政府は,技術変化による社会の激変を制御できないかもしれない.政府が雇用に対する影響力を失い,情報技術による市民全体への監視に向かうなら,民主主義がその意味を失う.
GoogleのEric Schmidtは,人間とコンピューターの競争,しかも人間が負けるかもしれない,と語った.元財務長官のLawrence Summersは,技術革新の効果を緩和し,その成果を公平に分配しなければならない,と語った.「技術革新の時代に見合った,われわれのグラッドストン,テディ・ルーズベルト,ビスマルクはまだ現れない.」
電信,伝統,電話,内燃機関が社会を変える時代に,ヴィクトリア朝の大政治家たちは,国民全体に初等教育を広め,労働者階級に投票権を与えた.ビスマルクは労働者の病気や老後に対する保障を与えた.彼らは,科学技術の前進に公共投資を与え,近代的な知識経済に必要なインフラを整備した.これら産業革命時代の貴族たちは,技術変化に敵対することなく,その成果を受け入れた.雄弁家であったが,人々を「創造的破壊」や資本主義的経済に敵対させるようなことはなかった.
彼らが制限しようとしたのは,技術革新がもたらす利益と独占である.彼らは近代的な国家の能力を高めたが,同時に,リヴァイアサンではなく小さな国家を望んだ.
その解決策は,代表制の政府であった.市民は自分たちの代表を信頼し,彼らが政府のすることをチェックする.集団的な公共の選択がすべての者の利益にかなうように変化を制御する.議会はその信頼と能力を高め,われわれの生活を激変させる技術の支配者が誰であるかについて,民主的なイメージを確立しなければならない.
FT February 11, 2014
Enslave the robots and free the poor
By Martin Wolf
1955年,労働組合の代表Walter Reutherは自動化されたFordの最新工場に案内された.「ロボットたちからも組合費を集めるのかね?」と訊かれて,彼は応えた.「彼らにもFord車を買わせるのか?」
コンピューターとロボットが変える社会について,さまざまな予想が出ている.Erik Brynjolfsson and Andrew McAfeeは,「第2の機械化時代」と呼んだ.不平等が拡大し,中産階級の職場が消滅する.Carl Frey and Michael Osborneによれば,労働市場の分裂が深刻になる.高度な熟練と高賃金を得られる事務職が最もコンピューター化されていく.Jeffrey Sachs and Laurence Kotlikoffによれば,所得が労働者から機械の所有者に移転されるから,比較的高齢の機械所有者たちは消費せずにますます貯蓄し,投資不足が深刻になる.若者たちに対する人的資本も形成されず,経済全体の成長力が失われる.
私の予想は,調整のショックが大きくなり,失業が増え,賃金が低下する.社会的に受け入れがたいような最低賃金で暮らす下層市民が増えるだろう.新技術やロボットは不平等を拡大する.
政府がすべきことは何か? ・・・1.新技術の良い面を引き出し,悪い面を抑える.2.教育はすべてを解決しない.ハイテク新興企業の雇用では規模が足りない.3.レジャーを見直す.ロボットやコンピューターはわれわれの余暇を増やす.誰を搾取するものでもない.4.新しい形で,再分配が必要だ.ベイシック・インカムと人生のあらゆる段階で教育・訓練を受ける基金による.その財源は,経済的バッズ(汚染など)に課税し,土地や知的財産など不労所得に課税する.所有権とは社会的な創造物だ.5.もし雇用の減少が加速すれば,供給力に合わせて需要を増やす政策が必要だ.
技術は結果を支配しない.経済と政治の制度が決めるのだ.
FT February 13, 2014
The
real titans of finance are no longer in the banks
By Gillian Tett
l ビットコイン
FT February 10, 2014
A
dangerous mistake lies at Bitcoin’s intellectual core
By Mark Williams
Project Syndicate FEB 12, 2014
Buying
into Bitcoin
GARRICK HILEMAN
l 自由貿易協定
FT February 10, 2014
Trade:
Pacts of strife
By James Politi and Shawn Donnan
l 安倍体制と国家像
FT February 10, 2014
Abenomics
is good for everyone, not just Japan
By Peter Tasker
外国為替市場で円安が急激に進んで,その後1年以内に新興市場が崩壊した.それは1996-97年の話だ.現在の日本は輸出大国ではない.
アベノミクスを1930年代の近隣窮乏化政策であると批判する声もあった.しかし貿易赤字は拡大し,投資所得を加えた経常収支でも,数か月,日本は大きな赤字を出した.
経常収支の赤字や債券利回りの正常化を恐れることはない.日本は成長を回復し,過剰貯蓄が解消されれば,他の諸国と同様に,外国からも資本を吸収する.「愛国心」からではなく,デフレが続いたせいで国債を保有してきた日本の投資家たちも,アベノミクスのおかげでようやく積極的な投資に向かうだろう.
実質的には1970年代の水準に戻る円安で,日本の競争力は改善している.それでも企業の経営者は輸出による市場シェアを目指すのではなく,収益と配当を増やそうとしている.自動車産業は海外生産が増えた.日本が誇った家電産業は衰退した.
世界から投資家が避難する国ではなく,リフレと海外投資が進み,日本の投資家も強気を回復する.
BLOOMBERG Feb 10, 2014
No
Sex for Japan's Sexists
By William Pesek
FT February 12, 2014
Abe’s
‘womenomics’ needs revolution not evolution
By David Pilling
安倍首相はダヴォスで,「女性労働力は日本の最も利用されていない資源である.日本を女性が輝ける場所に変えねばならない.」と演説した.
しかし,女性は高齢者の面倒をみる役割を強いられ,託児所は不足しており,幼い子どもの養育にも忙しい.安倍の考える日本社会の新しい構造は折り紙のようにはかない.もし日本が本当に女性労働者の活躍を願うなら,企業文化や社会慣習に,もっと革命的な変化が必要である.そして経済をもっと開放型の,デジタル化された,情報分野で拡大することだろう.
NYT FEB. 12, 2014
Japan’s
Right-Wing Stirrings
Norihiro Kato
1989年のある晩,私は脅迫の電話を受けた.それは極右のテロ集団,赤報隊からであった.その人物は,私を「反日分子」としてブラックリストに載せた,と言った.その数週間前に,私は亡くなった天皇裕仁の戦争責任を批判する2つの論説を発表していた.私は警察に通報したが,警察は電話に盗聴機を付けただけだった.その後,私たち家族の飼い猫が殺された.
赤報隊は,「反日的」という理由で朝日新聞の2人の記者を襲撃した.1人はショットガンで殺害され,もう1人は重傷を負った.他にも赤報隊は,1986年に中曽根康弘首相が靖国参拝を中止したことを批判し,その後任の竹下昇には参拝の復活を要求した.彼らに脅迫状が届いた.中曽根首相は政府が秘密情報を漏らした者を投獄できる法案を準備したが,それは成立しなかった.また,中国政府の要求を受け入れ,日本の教科書の植民地拡大に関する記述を見直した.
その後,赤報隊の活動は消滅し,だれも逮捕されなかった.
今,彼らのような暴力的極右の主張が日本社会に広まっている.たとえば,安倍氏のフェイスブックにある書き込みを見ればよい.・・・原始的な中国人や韓国人は無視しろ.朝日新聞を代表とする反日メディアと戦いだ.・・・「いいね!」
日本社会の中で,こうした言動を支持する声が確実に増えている.かつての赤報隊の要求はすべて実現した.日本は大きく右旋回し,赤報隊の子供たちがその存在を誇示するようになった.
l インドのモディ政権
BLOOMBERG Feb 10, 2014
Fearful
India Sees a Savior in Narendra Modi
By Pankaj Mishra
NYT FEB. 13, 2014
India’s
Air Pollution Emergency
By THE EDITORIAL BOARD
l シリア内戦と国際会議
FT February 10, 2014
Obama’s
Syria policy is a deadly mistake
By Max Boot
オバマはシリア政策が失敗したことを認めるべきだ.地上軍を送れという者はいない.しかし,さまざまな選択肢がある.穏健派の反政府軍に武器を供給する.飛行禁止空域を設ける.ドローンでアルカイダのシリアにおける工作員を攻撃する.トルコ国境,ヨルダン国境付近に,人道的な聖域を設けて空軍が守る.アサドの戦争犯罪を追及し,訴追する.
NYT FEB. 10, 2014
Use
Force to Save Starving Syrians
By DANNY POSTEL and NADER HASHEMI
占領地域に強制された飢餓を解消するために,国際社会は安保理決議による軍事力を行使するべきだ.
FT February 12, 2014
Syria:
A gathering force
By Borzou Daragahi
NYT FEB. 12, 2014
Amid
the Debris of Homs, a Guerrilla Is Born
By RICK GLADSTONE
シリアのHoms近郊,旧市街地区で,3年前,ナショナル・チームのスターであった選手,Abdul Basset Sarootに会った.かつて平和主義的な反政府運動の指導者であった彼は,今,現地のゲリラ戦士である.仲間が狙撃兵に殺され,あるいは政府によって拘束されて行方不明になった.彼自身も足に重傷を負い,水とオリーブの実で生き延びている,という.
Sarootは,アサド政府にとってはテロリストであるが,サンダンス映画祭の新作“Return to Homs”において俳優としてデビューした.そしてドキュメンタリー作品のグランプリを獲得した.写真家のOrwa Nyrabiaと監督のTalal Derkiがこの作品のために協力した.それはSarootが見たシリアの内戦を示すクロニクルだ.カメラマンたちはSarootや友人たちと一緒に暮らして記録した.
Derkiは政府によって拘束され,ハリウッドの俳優や監督たち,映画協会がシリア政府に開放を要求した.
FP FEBRUARY 12, 2014
It's
Iran, Stupid
BY AARON DAVID MILLER
theguardian.com, Thursday 13 February 2014
Progress
in Geneva is slow, but it's still Syria's best chance of peace
Douglas Alexander
確実に戦争を終わらせることができる軍事的な選択肢などはない.すべての関係者を集めて国際会議を開き,合意に向けて主要諸国が圧力をかけるしかない.ジュネーブの国際会議が失敗に終わっても,それを続けるしか答えはない.
WP February 13, 2014
Taking
a long view on Syria and the Sunni-Shiite divide
By David Ignatius
FP FEBRUARY 13, 2014
Olympic
Game: Washington Hopes Sochi Will Force Putin's Hand on Syria
BY COLUM LYNCH
l どのような失策も正当化する話し方
FP FEBRUARY 10, 2014
How
to Justify Any Policy, No Matter How Bad It Might Be
BY STEPHEN M. WALT
l 戦争を担う
Project Syndicate FEB 11, 2014
NATO’s
New Frontier
ANDERS FOGH RASMUSSEN
The Guardian, Wednesday 12 February 2014
A
'pause' in centuries of British wars is not enough
Seumas Milne
l 大陸中国・台湾の正式対話
NYT FEB. 11, 2014
China
and Taiwan Hold First Official Talks Since Civil War
By AUSTIN RAMZY
FP FEBRUARY 12, 2014
An
Offer They Can't Refuse
BY ISAAC STONE FISH
2014-02-12 (China Daily)
Cross-Straits step forward
FP FEBRUARY 12, 2014
The
Taiwan in My Mind
BY YUERAN ZHANG
l スコットランド独立とイギリス
NYT FEB. 12, 2014
Why
‘Team G.B.’ Needs Scotland
By THE EDITORIAL BOARD
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The Economist February 1st 2014
The triumph of Vladimir Putin
Putin’s Russia: Sochi or bust
Bello: Relearning old lessons
Saudi Arabis: No satisfaction
(コメント) ロシアとサウジアラビアの国家や経済構造が弱く,外交や国際関係への積極的な対応にも影響することを興味深く読みました.プーチン大統領もアブドラ国王も,国内の資源を輸出して莫大な富を得ながら,国民の生活水準を高める改革や能力の活用には向かいません.彼ら自身のパワーを失う恐れがあるからです.その不満は強く,周辺への外交戦略に強硬な姿勢を示す理由にもなるのです.
ラテンアメリカを扱う新しい囲み記事を連載するとき,André Belloにちなんだ命名にすることが述べられています.シモン・ボリバルがラテンアメリカのハード国家を築いたように,Belloベヨーは教育と開放性,そして,法の支配を重視したのです.
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IPEの想像力 2/17/14
ロシアのプーチン体制を分析するThe
Economistの記事が興味深いです.プーチンの「問題は常にガバナンスにある.」
プーチン体制下のソチ・オリンピックを実現した公共事業は,ソ連時代を想起させます.石油と天然ガスの輸出による利益を,秘密警察の人脈によって組織された企業群が分配します.独占,非効率,汚職の源泉であり,経済停滞につながります.ソ連は,アメリカとの戦争によって崩壊したのではありません.都市に広がる不満と,体制に利益を期待できなくなったエリートによって見捨てられたのです.
日本の安全保障と経済的繁栄の関係はどうでしょうか? 「日米安保条約はもはや賞味期限切れ」(JBpress,2014.02.14)で日高義樹氏が語っています.
・・・アメリカは日本を守るために戦わない.たとえ尖閣諸島での衝突に参加するとしても,中国本土を攻撃することはない.国内経済の再生に関心を強め,防衛予算を削っているアメリカ議会がそれを許さない.「まず国防費を毎年10%ずつ削減する。第2に2016年に在韓米軍を撤退させる計画です。第3に、2015年9月以降に海兵隊を現在の4個師団から2個師団に半減させます。艦艇も削減させる。」
同時に,日高氏は,安全保障と米中関係の重要性について,中国の経済規模が日本を超えたことを強調します.
・・・「ドル体制を維持するには米国債を買ってもらうなど中国の経済力に頼らざるを得ない。中国はすでに米国債の最大の保有国だが、今後も買い続けてもらう。その見返りに中国が人民元をドルにペッグし、国際通貨として石油代金などの支払いに使うことを許す。発表はされていないが、昨年6月にカリフォルニアで開かれたバラク・オバマ大統領と習近平・中国国家主席との会談で、そうした合意がなされたと私は推測しています。」
日米安保条約は双務的な関係として,日本がアジアの安全保障や中東からのシーレーンを守る積極的な役割を果たし,この地域における日本とアメリカの利益を守らない限り,意味を失う,と主張します.
・・・沖縄の普天間基地移転やNSC,国家秘密法,集団的自衛権の解釈変更,では逆立ちしている.日米安保を双務的な本来の集団的安全保障にする.そのためには,憲法を改正し,ミサイルによる防衛力を強化するべきだ.日本の核武装も正しい方針だ.
安全保障に焦点を絞るこうした考え方が正しいとしたら,日本政府は次第に,ロシアのKGB国家や,繁栄と孤立を理想とするスイス国民党(あるいは,イスラエル)に似てくるのではないか? と思います.これが日本国民の願う未来でしょうか?
確かに,アメリカは中国との戦争を避け,ネットワークのハブとなる開放性を守るでしょう.Joseph S. Nyeは,アメリカが衰退や孤立主義に向かっているのではなく,選別と同盟の再編を重視したスマート戦略を目指している,と主張します.他方,開かれたネットワーク経済を無視して,間違った自己イメージにより人々の不安を高め,繁栄を守ると主張するスイス国民党は,移民規制を強化します.
タイとウクライナの政治不安が示すように,地域の安全保障,はもっと複雑な概念です.経済的に相互依存を深めた世界では,些細な摩擦や衝突が「相互確証破壊」に繋がります.情報技術が高度に発達した「連結世界」では,軍事力だけが安全保障ではありません.
安全保障は重要です.しかし日本の戦略の核心は,アメリカとも,中国とも,多次元の対話で信頼と繁栄を築くことなのです.
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