(前半から続く)
l 中国の経済改革と貴族制
BLOOMBERG Jan 2, 2014
China’s
Runaway Train Is Running Out of Track
By Patrick Chovanec
FP JANUARY 3, 2014
The
One-Year Plan
BY DAMIEN MA
FT January 6, 2014
Era
of renminbi dawns as China’s influence grows
By Patrick Zweifel
Project Syndicate JAN 6, 2014
China’s
Three Challenges in 2014
MINXIN PEI
1.経済改革の実現.特に土地改革は難しい.2.強く支持されている腐敗・汚職撲滅運動.しかし,中央政治局常務委員であったZhou Yongkang周永康を訴追できるか? 3.日本との不要な軍事衝突を回避.
FT January 7, 2014
Oil
and gas: A new frontier
By Lucy Hornby and Ed Crooks
FT January 7, 2014
China’s
little emperors’ reality TV check
By Patti Waldmeir in Shanghai
FT January 7, 2014
Why
modern China needs a House of Lords for its aristocrats
By Jamil Anderlini in Beijing
大英帝国の時代は去って,今のイギリスから学ぶことなど何もない,と中国人は思うだろうが,1つか2つ,あるだろう.イギリスの新年に行われる叙勲制度だ.時代錯誤だろうか? いや,習近平にとって非常に重要だ.
マルクス主義のレトリックをのぞけば,中国の政治システムはきわめて中世的で,宮廷クーデタ,派閥間の抗争,革命の起源に関わる人々の子孫である「赤い血筋」によって高い地位を占める人々,などに満ちている.
国家主席となっても,習は2人の前任者,Jiang Zemin江沢民とHu Jintao胡錦濤によって政策決定を縛られている.政治局や官僚の中に強い影響力を維持しているからだ.それには,自分が重要な人物でありたい,年金のほかに大きな所得を得たい,政治的な報復を受けるのが怖い,といった理由がある.
想像してみよ.江沢民の仲間を腐敗追放の対象にして失脚させるのではなく,「中国的な社会主義に奉仕した」ことを称えてthe Duke of Pudong浦東公爵の称号と優雅な住居を与え,膨大な資産をそのまま許すのだ.ただし,今後は一切政治に口を出さない,と約束させる.
重要なことは,こうして中国に貴族制を再建することがガバナンスを大きく改善する,という点だ.
中国にはすでに億万長者や政治的なコネを持つ人々を集めた人民政治協商会議People’s Political Consultative Congressがあり,これを貴族院に容易に転換できるだろう.
FT January 7, 2014
TV
attacks hint that Beijing has knife out for property sector
By Simon Rabinovitch
FT January 7, 2014
China’s
interest rates are too high, not too low
Yukon Huang
NYT January 7, 2014
China
Confronts the Online Rumor Mill
By YU HUA
インターネット上では事実かフィクションかが問題になる.しかし,中国では特に政府に関する信頼できる情報がないから,問題はさらに複雑だ.政府は虚偽を伝え,民衆は噂に群がり,事実とフィクションとは区別できなくなる.
FP JANUARY 7, 2014
China's
Neo-Confucianism
BY RACHEL LU
l 富裕諸国の罠
NYT JANUARY 2, 2014
The
Rich Country Trap
By SIMON JOHNSON
新興市場で金融危機が起きた場合,その対応は金融改革であった.新興市場のGDPに占める金融部門の比率は小さく,韓国のように,輸出志向の製造業がもっと大きな比率を占めたからだ.しかし,米英は違う.金融部門はGDPの7~9%を占め,しかも政治的な強い影響力を持っている.そこで金融部門の公的支援が莫大なコストをかえりみずに続けられるのだ.
l サウジアラビア
Project Syndicate JAN 3, 2014
The
Bewildered Kingdom
MAI YAMANI
l アイルランドの移民
VOX 3 January 2014
The
Irish and immigration before and after the boom
Kevin Denny, Cormac Ó Gráda
l 経済停滞について
NYT January 4, 2014
Happy
New Year, Politicians. Seriously.
By DAVID BROOKS and GAIL COLLINS
NYT January 4, 2014
De
Blasio’s Long Odds
By ROSS DOUTHAT
FT January 5, 2014
Washington
must not settle for secular stagnation
By Lawrence Summers
長期の停滞を解決するには,成長を促すだけでなく,それを持続可能なやり方でしなければならない.すなわち,1.供給側の条件を根本から改善する.労働力の技能,革新への企業の対応力,税制,公的給付システム,など.2.金利,資本コストを可能な限り下げる.3.需要が不足し,金利が低いとき,インフラの更新に投資する.
FT January 8, 2014
Sound
government finances will promote recovery
By Robert Rubin
成長・雇用と財政規律との政策対立がアメリカでもユーロ圏でも続いている.しかし,これは偽りの選択だ.正しい答えはバランスの取れたアプローチである.偽りの選択が政治システムをマヒさせ,成長と雇用をさらに失わせている.政府の失敗は,中央銀行に重い負担をかけ,非正統的な政策に向かわせ,インフラやバブルのリスクを軽視させている.
健全な財政は企業家の信頼を高め,投資と雇用を増やす.また,金利を低くする.QEの継続は,単に他の選択肢がないからではなく,そのコストとベネフィットを正しく比較考量しなければならない.
FT January 9, 2014
Free
polarised politics from its intellectual vacuum
By Michael Ignatieff
l 貧困との闘い
NYT January 4, 2014
Help
the Working Poor, but Share the Burden
By N. GREGORY MANKIW
theguardian.com, Monday 6 January 2014
The
US declared war on poverty 50 years ago. You would never know it
Nicolaus Mills
theguardian.com, Monday 6 January 2014
All
eyes on New York Mayor Bill de Blasio, America's leading progressive
Dean Baker
NYT January 6, 2014
New
York, the Silicon City
By MICHAEL MANDEL
新しい市長の下で,ニューヨークは新しい産業と雇用により再生する.教育に投資して,ハイテク都市に生まれ変わるだろう.社会を分断する貧困と不平等も解消する.
Project Syndicate JAN 7, 2014
The
New Inequality
HAROLD JAMES
大恐慌の記憶や解釈によって,世界金融危機への対策は刺激された.大恐慌の再発を回避したという満足の声は,2つの点で修正される.
1.前例がないほどの金融緩和と財政刺激策を実施しながら,回復は遅く,弱いものだ.1930年代にも,J.M.ケインズや,アメリカの解説者であったA.ハンセンは,回復が来ないことを心配していた.産業革命の熱気は失われたのだ.成長を持続させるものはない.
2.大恐慌の後,多くの国で採られた,資産や所得の不平等をなくす政策は,20世紀の半ばまでに,工業化された諸国から社会的・経済的な極度の不平等を消滅させた.しかし2008年の金融危機は,不平等を拡大している.
非正統的な金融政策は資産バブルを生じた.株価が上昇し,地価が高騰し,ニューヨーク,ロンドンパリ,リオデジャネイロ,上海で,地元の住民を売買から締め出した.富裕層はさらに豊かになり,労働者はさらに貧しい国との競争で所得を削られた.金融機関を守るためには莫大な公的資金が費やされ,また,ケインズ的な公共投資も巨額の債務を築いた.
成功した新興経済において,人々は腐敗と蓄財に怒りの声を上げた.ケインズ的な刺激策も,普通の市民たちがその便益にアクセスできないことで,問題を悪化させるものになっている.大恐慌の再来を防ぐという名目で行われた政策が,社会の分極化を強める結果になった.
BLOOMBERG Jan 8, 2014
Obama’s
Grand Misguided Theory of Social Injustice
By Clive Crook
FT January 9, 2014
A
war on poverty without victory
50年前,リンドン・ジョンソン大統領は「貧困との戦い」を宣言した.しかし半世紀を経ても,人々は貧困撲滅の方法で意見が割れている.
ジョンソンが選択した連邦政府の政策は,特に退職者の貧困を減らした.しかし,リベラルは不平等と貧困とを混同している.理想的な世界でも,成功のための所得差は正しい誘因である.しかし,残念ながら近年のアメリカにおける不平等拡大は,革新ではなく,レント・シーキングによるものだ.特に金融部門で.
研究によれば,早期の教育が人生のチャンスを増やし,不平等を減らす.フィンランド,ドイツ,シンガポールには,アメリカよりも優れた初等教育システムがある.
l 金融システムの安全性
WP January 4, 2014
Ben
Bernanke, crisis manager
By David Ignatius
NYT January 5, 2014
The
Bubble Is Back
By PETER J. WALLISON
The Guardian, Monday 6 January 2014
Betting-shop
machines sucking cash out of communities … this is what predatory capitalism
looks like
Aditya Chakrabortty
FT January 6, 2014
Rapid
fall in capital flows poses growth risk
By Ralph Atkins and Keith Fray in London
FT January 6, 2014
How
markets can make the global economy safer
By Henri de Castries and Eric Chaney
金融危機で,世界経済は安全になったか? 金融規制や成長モデルは修正されつつある.しかし,グローバル・ガバナンスの改革がなかなか進まない中で,グローバルな金融市場が危機を防ぐために変化していくことを考えるべきだ.
グローバルな金融市場はアメリカ財務省証券に匹敵する金融資産を求めている.現状ではアメリカに負担がかかり,市場が不安定化する大きなリスクがある.アメリカの金融政策にとっても負担が大きい.金融市場はリスクを分散化できなければならない.
ユーロ圏と中国の金融市場が改革を進めるべきだ.1998年には,ユーロ圏は存在せず,中国経済もアメリカの11%でしかなかった.今ではそれぞれ74%と51%である.しかし,ユーロ圏は収斂を進めて,ユーロ債の発行や税収の一部共有化を実現するべきである.中国は資本勘定の自由化が必要だ.
それらが成功すれば,グローバルな投資機関・投資家は金融資産間で選択できる.実質金利はより経済のファンダメンタルズに近いだろう.ウォール街のショックはヨーロッパや中国が吸収する.アメリカのビジネスや労働者は,自己のマクロ政策をより自由にする,世界通貨システムを歓迎するだろう.
FT January 6, 2014
Capital
flows: Powered down
By Ralph Atkins and Keith Fray
VOX 7 January 2014
The
next sudden stop
Sebnem Kalemli-Ozcan
Project Syndicate JAN 8, 2014
The
Great War and Global Governance
KEMAL DERVIŞ
制度の安全性を強化すれば,市場の効率性は失われる.こうしたトレードオフはあらゆるところに見られる.
l 南スーダン
NYT January 5, 2014
South
Sudan’s Tangled Crisis
By NESRINE MALIK
FT January 6, 2014
South
Sudan a state born with makings of crisis
By William Wallis in London
l ミュンヘンか,サラエボか?
FT January 6, 2014
Time
to think more about Sarajevo, less about Munich
By Gideon Rachman
「ミュンヘン」の教訓は,政治家たちに何度も利用されてきた.シリア空爆を唱えたケリー国務長官,1956年スエズ危機でのイーデン首相,ヴェトナム戦争のリンドン・ジョンソン大統領,2003年イラク進攻の支持者たち.しかし他方で,ケネディーは軍事衝突を避けた.
第1次世界大戦勃発から100年を記念して,政治指導者たちが学ぶとしたら,それは対決を避けることで弱さを利用されるという「ミュンヘン」の教訓ではなく,些細な衝突から巨大な戦争に巻き込まれる「サラエボ」の教訓である.
東アジアにおける中国と日本の対立は,20世紀におけるフランスとドイツの対立とよく似ている.1914年,各国の指導者たちは自分の強さを示し,名誉を守るために(今なら,信認を守るために)あまりにも神経を使っていたから,紛争の際に一歩後退することができなかった.
l アイスランド
VOX 6 January 2014
Gambling
for resurrection in Iceland
Friðrik Már Baldursson, Richard Portes
アイスランドの銀行は,自分たちの資産を多く見せるために所有者たちに融資した.自分たちの株価を維持するために,株式を購入した.これらは最後には金融当局に救済されると信じて行ったギャンブルだった.
l アジアと民主主義の革新
NYT January 6, 2014
Democracy
in Peril in Asia
FT January 8, 2014
Asian
democracy must serve the common man
By David Pilling
アジアは選挙の年だ.先週のBangladesh に続いて,Thailand, Afghanistan, Indonesia and Indiaで選挙がある.5カ国の有権者は17億人.人類の約4分の1である.
しかし,その結果が改善をもたらすとは限らない.世界中で起きているが,アジアにも2つの不安がある.1.既存の政治秩序を否定する,反体制の候補者が現れた.2.選挙で勝利した側が,敗北した側の人々を政府に協力するよう説得できない.
タイの野党は選挙そのものをボイコットし,選挙に拠らない国民会議の設置を要求している.この現象はアジアだけに限らない.ヨーロッパでも,金融危機からの回復が進まない中,各地に主流派を攻撃する小政党が現れている.アメリカでも,再選されたオバマ大統領が議会のイデオロギー対立(赤と青)を緩和できない.(タイでは赤と黄色) インド,インドネシア,カンボジア,いずれも高い権威を誇った政治家が挑戦を受けている.
民主主義が支持されなくなった.選挙によって,投票箱から良い政府や社会正義は実現する,というアイデアが捨てられる.そして,選挙に正当性を拠らない指導者たちを喜ばせている.しかし,彼らも指導者への信念を失うだろう.
FT January 8, 2014
Thailand:
Collision course
By Michael Peel
WP January 9, 2014
Can
Ukraine and India go beyond slogans?
By Anne Applebaum
選挙で正当性を得た,しかし,腐敗した政治エリートたちをどうするべきか? それは世界中で,以前から問題になっている.しかし,最近,ウクライナとインドで大きな転換があった.
ウクライナの首都キエフには,新年を迎える深夜の中央広場the Maidanに,10万人以上が集まって国歌“Ukraine Has Not Yet Perished”を歌った.彼らは11月にEUとの協定を拒んだ大統領,Viktor Yanukovychに反対したのだ.その反響はヨーロッパにも,ロシアにも,同じように腐敗した,寡占経済と治安警察の支配する国家に住む人々に及んだ.
しかし,Yanukovychと政治エリートたちは彼らを気にしていない.以前のような暴力を使って排除することもせず,氷点下の首都で,職場や家族を持つ市民たちが立ち去るのを待った.彼らにはそれ以上何もできないとわかっているから.
1年前に,同様の反政府デモがインドで起きた.汚職を糾弾し,政治改革を唱えたAnna Hazareが運動のシンボルであった.2011年8月,彼は12日間の断食によって政府に反汚職法を成立させた.しかし,Hazareは政治を嫌った.その後,運動は分裂し,Arvind Kejriwalは政党化を進めた.Aam Aadmi, the Common Man Partyは,全国組織を持たず,資金もなく,政治的に無意味だと思われた.
人々がそれを笑わなくなったのは,12月の選挙でデリーの州議会において政権を執ったからだ.先週,Kejriwalはデリー州政府の首相になった.新聞は大きく取り上げた.Kejriwalは郊外のアパートの一室で閣議を開いた.紙でできたガンディー風の帽子をかぶった.など.政権を執って数時間内に,官僚汚職の源である水道料金体系が廃止された.
Kejriwalも失望に終わる可能性はある.権力によって侵されるかもしれない.しかし,Kejriwalは「利己的な」政治の世界に入り,街頭デモによる革命の純粋さを捨てて,支持者たちに多くの機会を与えた.より大きな変化をもたらした.
ウクライナの革命指導者たちにも,同じことを求めたい.
l 外交政策を評価する
FP JANUARY 6, 2014
Making
the Grade
BY STEPHEN M. WALT
昨年に起きなかったことを考察し,外交の基本型を提供し,国際情勢に関して助言する.しかし,どうやってある国の外交政策を評価するのか? それがスマートか,あるいは,愚か,抜け目ない,幸運,成功,破滅的か? 世界を扱う政府職員たちの能力を評価するどのような基準があるのか?
外交がうまく行ったかどうかは,単純に結果で判断できない.外交は,特にアメリカのような大国では,単独の意思決定であるが,その結果を決めるには(非国家も含めた)多くのアクターの決定が関係する.最善の状況でも,外交担当者は深刻な不確実性と闘っている.
外交を,その目標が達成できたかどうか,だけで判断するのは間違いである.まずい判断と無能さにもかかわらず,幸運であっただけか,あるいは,善意により,周到に計画されたが,うまく行かなかったのか.
「困難の程度」を考慮しなければならない.非常に困難な課題に挑戦する指導者は,多大なコストを支払って,わずかな成果しか得られないかもしれない.それでも困難な状況でよくやった,と評価されるだろう.外的な脅威にさらされながら独立を維持する弱小な国の指導者と,圧倒的なパワーを行使できる大国の,安定した指導者とは,その成果を同じように評価できない.
タイミングの問題もある.あるときは高く評価された外交が,あとで大失敗だったと再評価される.逆に,コストの大きな失策であると思われたことが,長期的には重要な成果を残すかもしれない.ある国の外交を同じ客観的基準で判断できない.
結果ではなく,外交政策決定の過程に注目して判断する方法がある.外交の目標は,確実な証拠と慎重な検討を経て決められたか? あるいは,神話,間違った類推,直感だけで決まったのか? 他の方法を熟慮し,さまざまな選択肢をオープンに議論したか? うまく行かなかったときの撤退も考えたか,あるいは何が何でも達成することを求めたか? 利用可能な最善の情報に依拠したか,疑わしいデータ,いい加減な理由,勝手な願望で決まったのか? 100%成功する外交というものはない.時間が経つに従い,学習し,適応しなければならない.
残念ながら,外交には厳密な公式もアルゴリズムもない.だからこうした問題に関して諸党派が無限に論争するのである.アメリカのように傷つきにくい,強力な国の外交は,それが国際情勢に影響を及ぼすが,自国民に直接何も意味しないとしても,重大な問題になる.
大まかな判断基準を示せば,1.アメリカ市民を外部の脅威から守り,安全さを高める.2.民主的な政府として,市民の生活を快適に,幸せにする.3.受け入れ可能な道徳基準,政治的価値を広めることに役立つ.
つまり,政府の主要スタッフは一貫した戦略を持って,自国をより安全で繁栄した状態に導き,基本的な道義的価値を損なわない方法を取らねばならない,ということだ.
l デジタル経済への批判
NYT January 6, 2014
Will
Digital Networks Ruin Us?
By JOE NOCERA
デジタル経済は人々を貧しくする.2013年に読んだ本で最も重要なものは,Jaron Lanierの “Who Owns the Future?”である.Lanierはデジタル経済を批判する論理を構築した.
「巨大なプレーヤーがデジタル・ネットワークから得る利益は驚くべき規模に達する.しかし,同じダイナミズムが彼らを制約し,閉じ込める.」 効率性が破たんをもたらす.金融サービスは危機に至り,ウォルマートの管理技術もコストと雇用を削減し,顧客たちを貧しくした.
デジタル経済は中産階級を滅ぼし,所得格差を拡大する.
Project Syndicate JAN 7, 2014
Age
of Disruption
DOMINIC BARTON
Project Syndicate JAN 8, 2014
Inequality
by the Click
ADAIR TURNER
国家間の不平等は縮小しているが,国家内の不平等は拡大した.その原因としては,グローバリゼーションよりも技術変化が重要だ.
技術変化はわれわれを豊かにする.生産を増やし,雇用を減らす.新しい製品やサービスをもたらす.そして技術変化がうまく行くのは,他の分野で新しい雇用が増えるからだ.しかし,電子化された時代の技術変化は深刻な不平等をもたらす.
コンピューターの効率は飛躍的に増大し,そのコストは下がった.だが雇用はわずかしかもたらさない.1979年,GMは85万人を雇用した.現在,マイクロソフトは世界全体で10万人しか雇用しない.Googleは5万人,Facebookは5000人である.世界労働市場に比べて,あまりにも少ない.
しかし,小売り,レストラン,ケイタリング,ホテル,など,関連する様々な個人サービスで雇用をもたらすから,失業が増えるとは限らない.しかし賃金の格差は拡大する.他方で,IT製品やサービスはきわめて安価になるから,貧困は耐え難いものではなくなるだろう.非常に不平等な社会でも安定している.
貧しい者が反乱を起こすことはない.しかし,極端な不平等は人々の機会や成果を損ない,われわれが平等な市民であるという考えを失わせる.市場だけでは望ましい社会を実現できない.
l アフリカ
NYT January 7, 2014
What
Makes Lagos a Model City
By SETH D. KAPLAN
NYT January 8, 2014
Terrorism’s
Fertile Ground
By KENNEDY ODEDE
Project Syndicate JAN 8, 2014
The
Inequality Nightmare
DONALD KABERUKA
l 安全保障会議の普及
NYT January 7, 2014
The
Submarine Race in Asia
FT January 9, 2014
Watch
the rise of Asia’s national security councils
Kurt Campbell
近年,中国と日本が共有することはほとんどないが,1つだけ同じ方針を示している.外交と安全保障を統一する安全保障会議の設置である.
急速に変化するアジアの安全保障環境,国際情勢に対して,意思決定を集中して迅速に対応したいという傾向がアジア全体にある.その理由は複雑だ.ニュース・サイクルに応じて効果的に政策で対処できる権限やスタッフを指導者の周りに集める必要がある.またアジアに強いナショナリズムにより,外交と国内の認識とが連動する.指導者は安全保障やスパイ事件で権力を失いたくない.事態を理解できない,しばしば信頼できない者たちから権限を取り上げ,自分のスタッフに意思決定を集中したい.限定された,集中した環境で,複雑な問題を処理する選択肢をスタッフたちと熟慮しなければならない.
安全保障会議The US National Security Councilは,1947年の法律によりアメリカで始まった効果的な行政官僚機構のための革新であった.実際に重視したのはケネディーからで,2001年の9・11の後,テロ対策,イラク・アフガニスタンの戦闘を指揮して強化された.アメリカ政府と交渉する他国の政府官僚たちは,効果的な意思疎通のために,その制度をまねたのだ.
各国の安全保障会議がアジアの平和を実現する,というより,緊張の高まるアジアで危機に対処する能力を高める,ということだろう.
l イギリス
Project Syndicate JAN 7, 2014
Britain
Fights Back
GEORGE OSBORNE
The Guardian, Wednesday 8 January 2014
First
world war: an imperial bloodbath that's a warning, not a noble cause
Seumas Milne
The Guardian, Wednesday 8 January 2014
Modern
Britain can survive – if we all have the will for it
Martin Kettle
l トルコ
FT January 8, 2014
Why
Turkey is back on the watch list
Ian Bremmer
l エジプト
NYT JAN. 8, 2014
Blueprint
for a New Egypt
By AMR MOUSSA
FP JANUARY 8, 2014
Let
Your People Go
BY MARC LYNCH
l イラン
Project Syndicate JAN 8, 2014
What
Iran Wants in 2014
HASSAN ROUHANI
l シェール・ガスの衝撃
Project Syndicate JAN 8, 2014
The
Global Impact of US Shale
DANIEL YERGIN
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The Economist December 21st
2013
War and peace in Syria: Where are the
good guys?
Animal-rights parties: Free the goldfish
Charlemagne: Defenceless?
Construction equipment: Digging for
victory
(コメント) シリア内戦を終わらせる国際会議に向けて,イスラム過激派の浸透と難民の増加,地域の不安定化が深刻です.金魚を金魚鉢に入れるのは虐待である,というので解放する(利用を禁止する)法律ができました.急速に軍事費を減らすヨーロッパは,アメリカの軍事力に依存し,その意味でも「日本化」が進んでいます.
世界金融危機の刺激策がきっかけでした.中国の建設機器も急速に国内市場を拡大し,技術水準を高め,世界市場において競争に勝つ製品を作り始めています.自動車も,そうなるのか?
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IPEの想像力 1/13/14
駅に向かう途中,自動車を運転しながらラジオの話を聴いていて,私は感情のバランスを失うような違和感を覚えました.それは女性の美顔エステが5万円(だったか)して,それでも予約でいっぱいだ,という内容でした.
あるいは,東京オリンピックで儲かる分野を予想して今から投資する話,カジノや賭博を自由に拡大する特区を設けて大阪が繁栄する,という話,同時に,福島の原発事故で強制退去させられた28万人は仮設住宅で暮らし,汚染水のタンクは増え続け,20年間で100兆円とも推定される事故処理費用を私たちに十分説明することがないまま続けられる日本の原子力政策,・・・
経済学は,それでも価格や所得が合理的なものだと説明し続けます.5万円のエステ数時間と,500円の夕食を100回分とは,本当に同じ価値でしょうか? もちろん,・・・時間とお金に余裕のある人たちにとって,エステの値段はあまり気にならないのかもしれません.しかし,彼・彼女の所得が何によって生じたのか,私には疑念が抑えられません.
国連高等難民弁務官事務所はシリア難民への寄付を求めています.3000円で毛布が5枚,4万7000円でテントが1張り,難民たちに寄付できます.
国際的な価値の比較が難しいように,同じ国の中でも,まるで違う星の生物のように,異なった条件で生活をする人々が増えています.金融システムやIT企業,あたかも移民のような派遣労働者,技術革新のもたらす富と貧困を,経済学は本当に正しく理解し,正当化できるのでしょうか?
もしロシアやウクライナが政治的なコネと汚職で富を分配するシステムを狂わせているとしたら,豊かな諸国では技術変化やITによる情報処理・輸送・顧客管理システムが雇用と所得の質を歪め,市民としての社会意識を脅かしています.
ある程度の資産を蓄積・集中する者がいたら,それは個人という資格ではなく,もっと社会的な要件を満たすことで,その人に委託されていると考えてみてはどうでしょうか? あるいは,コンピューターやロボットにも所得・資産の帰属を認めるべきかもしれません.それは蓄積された知識と労働なのですから.
金融システムや金融取引,ITやインターネットによるビジネスが極端に発達したために,少数の人々が大きな利益を得ました.確かに,それは効率性を改善するでしょうが,現実は,コンピューターや数式の展開と所有権がもたらす富の支配権です.経済学はこうした現実の世界を無視するようになった,と思います.
これこそ高速道路システムの料金所に座る犬ではないのか? インターネット貴族を認めて,彼らが社会や政治に超越した影響力を行使しないよう,そして,彼らの経験や知識が直接に社会を豊かにする仕組みを用意して,資産ではなく能力を,称賛する必要があるでしょう.
あなた(の子供)が貧困から抜け出す人類の最後の一人になるとしたら,それでも同じ主張を唱え,政策や制度を支持するでしょうか?
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