前半から続く)


l  アフリカの成長

Project Syndicate DEC 12, 2013

Africa’s Structural Transformation Challenge

DANI RODRIK

アフリカの成長は素晴らしいが,その経済がどれほど改革されたのか,疑問がある.成長の源泉は,外国からの援助や債務免除,国際商品価格の上昇であり,経済を妨げていた最悪の政策を取り除いたことだ.

東アジア諸国の成長は産業革命で行われたことを圧縮して実現した.農民は都市に移動して工場労働者になった.経済構造は多様化し,輸出向けに高度な工業製品を次々に生産した.こうした変化はアフリカに起きていない.

このままではアフリカの生産性は低く,近代的な工業部門に雇用される労働者が少ないために,人口の大部分は貧しく,不安定な階層となる.レストランやホテルを建てるだけでは,生産性を高めるような,成長のエンジンにならないのだ.

FP DECEMBER 17, 2013

Green Rush

BY RICHARD SCHIFFMAN


l  世界貿易のルール

VOX 12 December 2013

WTO agreement: The Bali Ribbon

Richard Baldwin

VOX 18 December 2013

Global value chains, interdependence, and the future of trade

Pascal Lamy

現代の貿易は,リカード型の国家間貿易ではなく,多国籍企業の内部で,さまざまな国のサプライヤーから部品を集めて,生産する過程である.ある特定の製品やサービスが競争的であるかどうかを問うことはできない.すなわち,'Made in the World'である.

サービスinformation technology (IT) and factoring, marketing, logistics, assembly and distribution, after-sales serviceとは世界的な生産下請けの組み合わせを支える重要な要素である.通商政策の考え方は根本的に見直される.それは規制やガバナンスの収斂を意味している.

BLOOMBERG Dec 19, 2013

Pacific Trade Deal Needs More WikiLeaking

By William Pesek

VOX 19 December 2013

Trade effects when formation of trade agreements is endogenous

Wolfgang Keller, Carol H Shiue


l  シリア内戦の長期化

FT December 12, 2013

Afghanistan on the Mediterranean Sea

The Guardian, Sunday 15 December 2013

Saudi Arabia and Iran must end their proxy war in Syria

Fawaz Gerges

NYT December 17, 2013

Saudi Arabia Will Go It Alone

By MOHAMMED BIN NAWAF BIN ABDULAZIZ AL SAUD

FT December 19, 2013

Syria: An unrelenting winter

By Abigail Fielding-Smith


l  国家の破産処理

VOX 12 December 2013

Sovereign default and state-contingent debt

Martin Brooke, Rhys Mendes, Alex Pienkowski, Eric Santor


l  ハリケーンの後

SPIEGEL ONLINE 12/13/2013

A Tale of Two Cities

America's Bipolar Climate Future

By Marc Hujer and Samiha Shafy


l  金融危機を考える

NYT December 12, 2013

Finally, the Volcker Rule

By THE EDITORIAL BOARD

FT December 15, 2013

Volcker doing job despite Kafkaesque turns

By John Authers

NYT December 18, 2013

Stumbling Toward the Next Crash

By GORDON BROWN

200810月初め,リーマンブラザーズ倒産から3週間後に,私はパリでユーロ圏の指導者たちに会った.金融危機のグローバルな性格を無視して,彼らは,もしヨーロッパで金融機関が倒産したらアメリカのせいだ.アメリカに解決させよう,という考えだった.サブプライム証券の半分はヨーロッパにあり,ヨーロッパの金融機関はアメリカよりも高いレバレッジを使ったのに.

2008年の危機の原因はほとんど残ったままだ.過度の借入,影の銀行,無思慮な融資,大きすぎて潰せない銀行,短期資本への依存.アジアやラテンアメリカの新興諸国でも影の銀行が広がっている.中国の信用拡大は,1990年以前の日本や,2008年以前のアメリカよりも急激である.Morgan Stanleyに拠れば,中国企業の債務は年間所得に等しい.

次の危機に備えて,われわれは自国の小口貯蓄制度に戻るのではなく,グローバルな基準を決めるべきだ.アメリカがボルカー・ルールを決めたのは最初の重要な一歩である.20094月に,私はG20の議長であったとき,グローバルな基準とルールのためのGlobal Financial Stability Boardを設置した.600兆ドルのデリバティブが世界で取引されているのに,国境を超える危機への規制は5年を経てもまだ実現しない.

各国の指導者は,市場が崩壊したら,事後的な,各国ごとの対応に頼るしかない.政治のご都合主義,グローバルな発想と行動の欠如,既得権に対抗する勇気の無さ,こうした姿勢が次の危機を準備する.

FT December 19, 2013

We still need to learn the real lessons of the crisis

By Martin Wolf

危機前のイギリス経済がバブルであったかどうか,その結果,生じた財政赤字を直ちに削減するべきかどうか,が論争になっている.しかし重要なことは,長期のトレンドから見て,金融危機で失った生産性や所得をどうやって回復するか,である.


l  オバマ大統領の不人気

NYT December 12, 2013

Strengthen the Presidency

By DAVID BROOKS

法案が何も成立しなくなった.チェック・アンド・バランスではなく,拒否権の応酬政治になった.既得権集団が互いに改革を阻止し合う.

ペンシルヴェニア・アヴェニューを格下げして,行政の専門部局にパワーを与えるべきだ.しかし,オバマケアの大失策で専門部局の最悪のケースが明白なときに.それでも議会が解決できない問題を,専門部局でなら解決できるだろう.

大きな政府ではなく,専門部局にパワーと弾力性を与えた,統一した政府が必要だ.

FT December 15, 2013

The lights may soon turn on again in the White House

By Edward Luce

NYT December 18, 2013

The President of the Cool

By ISHMAEL REED


l  アベノミクスの評価

BLOOMBERG Dec 12, 2013

Irrational Exuberance Overtakes Asia

By William Pesek

インドの株価,日本の回復,中国の7%成長,これらを実現するためにグリーンスパンならどうしただろうか? アジアのグリーンスパン現象 the Greenspanization of Asiaである.

政府は中央銀行総裁のバブル維持に頼って政策を楽観した.アジアはその中国をもっと悪化させている.構造改革を必要とする経済は多くのひび割れが生じているのに.

日本はまだ,高い物価水準,生産的でない,減少する労働力,1970年代の産業構造を持って,アジアの新興諸国と競争している.黒田総裁のKurodanomicsはこうした問題を解決できない.政治家と官僚が改革に努めるショックを緩和するだけだ.

FT December 13, 2013

Japan extends swap deals to boost Asean business

By Ben McLannahan in Tokyo

Project Syndicate DEC 13, 2013

Grading Abenomics

KOICHI HAMADA

アベノミクスは3本の矢を合わせた政策である.ただし,大規模な金融緩和と財政支出拡大は現実の成長経路を変えための政策であり,潜在的な成長率を高める最後の長期成長戦略とは性格が異なる.

1の金融緩和策は,株価上昇,円安,競争力改善,信用拡大,資産効果,労働市場の改善,によって成果が示された.今年前半の実質成長率が4%であったことはその表れである.ゆえにその評価を「A+」とする.

2の財政拡大策は,マンデル=フレミングを前提するケインズ主義経済学にとって,円高による効果の消滅は否定できない.しかし,国債への不安を否定するには成長が必要であるから,その評価は「B」である.

3の成長戦略は,官僚たちが産業政策で次の技術革新や産業を決める時代は過ぎ去った.むしろ構造改革は,労働市場や金融の規制緩和,法人税引き下げ,TPP参加,移民政策,によって実現できる.それは官僚にとって,日本の長期的利益のために自分たちの短期的な権益を否定することである.それゆえ,その評価は努力しているという意味の「E」である.

A+B,「E」で示されるアベノミクスの1年目の政策は,十分に素晴らしい前進であった.

Project Syndicate DEC 15, 2013

East Asia’s Sins of the Fathers

IAN BURUMA

東シナ海のいくつかの小さな島で起きていることは,パワー・ポリティクスの基本である.中国が台頭し,日本は経済停滞にとどまり,朝鮮半島は分断されている.中国がこの地域の覇権を求めるのは当然であり,日本は朝鮮半島と同じ隷属国家になることを心配している.

日本がアメリカの隷属国家であるのは,破滅的な戦争の結果として受け入れているが,中国に服従するのは耐えられない,と日本人の多くは考える.

その上,ここには指導者たちの家系が深くかかわっている.安倍晋三は岸信介の孫である.岸信介は満州国政府の閣僚であり,戦犯として投獄されていた.冷戦で復活し,保守主義,反共主義においてニクソンの友人となる.憲法の平和主義を取り除き,日本が再武装することを願った.朴クネは朴正煕の娘である.朴正煕は日本の帝国陸軍に所属し,日本で学んだ.戦後の韓国経済を発展させた功績は評価されるが,戦時期の日本軍との関係を朴クネは否定しなければならず,日本との外交関係で強硬な姿勢を好んだ.習近平はXi Zhongxunの息子である.鄧小平の改革開放を支えたXi Zhongxunは,資本主義的な世界に参加する開放政策がマルクス主義や毛沢東主義と矛盾することを恐れて,ナショナリズムを強化した.特に,反日教育を強めたのだ.

こうして紛争が終わる見込みはない.指導者たちは戦争を望まないだろう.しかし,彼らの誇張された姿勢は,アメリカ軍の存在で戦争に結びつかないのだ.もし米軍がいなくなれば,彼らは自分たちで平和を維持しなければならない.

2013-12-16 (China Daily)

More antics from Abe

FT December 16, 2013

FT interview: Halfway there

By Martin Wolf, David Pilling and Jonathan Soble

日銀総裁,黒田東彦へのインタビュー.

日銀は長く否定してきたが,デフレを解消するため,日銀外から来た新しい黒田総裁によって,“quantitative and qualitative easing” (QQE)が採用された.以前行った量的緩和QEだけでなく,購入する国債の満期を長期化したのだ.

FTからの質問と答えは,いずれも予想を超えていない.・・・デフレでも日本は一人あたりの実質GDPを増大させた.なぜデフレ解消が重要か? 人々は支出を抑え,企業はキャッシュで保有し,需要不足が続き,物的ストックの行進が遅くなるからだ.

FT December 16, 2013

Japan needs to have a say on Abe’s growing power

By Tobias Harris

FT December 17, 2013

Why Abenomics will disappoint

By Martin Wolf

安倍首相が願ったのは中国経済に対抗して成長することだった.確かにアベノミクスはデフレを止めるかもしれない.しかし,成長が加速することはないだろう.労働人口が減少し,生産性を高める経済・社会変化に耐えられないからだ.日本では,企業があまりにも多くの利潤を貯蓄したまま,家計の可処分所得は増加していない.


l  ポピュリストと世界市場

FT December 13, 2013

Globalisation is turning the west against its elites

By IanBuruma

オランダのthe PVV 指導者,Geert Wildersと,フランスのNational Front 指導者Marine Le Pen, が協力に向けて話し合った.

ポピュリストの政治家たちが嫌うのは,移民やイスラム教徒以上に,彼らの国のリベラル・エリートたちだ.・・・エスニックなアイデンティティ,民族,信仰,そういったものを彼らは破壊した.EUの組織や国連に大きな権限を与えた.福祉国家を築いて,怠け者や外国人にわれわれ税金から与えた.アメリカでは,リベラルが黒人を大統領に選んだ.国連はアメリカの主権を奪った.

世界はますます西側市民にとって住みにくくなっている.非西側の大国が急速に台頭する.ヨーロッパ人の優越感はとても維持できない.国内でも非白人人口が増え,ヨーロッパ系のキリスト教徒がアメリカ政治を支配することはできなくなった.戦後エリートたちの理想は,社会民主主義,国際機関,ヨーロッパの統一,全てが陳腐でボロボロになった.経済危機はわれわれの子孫が我々よりも貧しくなる不安を強めている.

サッチャー主義者のレッセフェール経済学がイギリスの伝統的な制度を一掃したように,新しいネオリベラルな世界経済は同じことを全地球規模で行いつつある.大陸間で産業が急速に移動し,主要都市の金融センターは政府よりも大きなパワーを持つ.旧左翼と違うのは,それでもネオリベラルは国家が介入することを求めないことだ.

グローバリゼーションは多くの利益をもたらしたが,ますます多くの者が取り残された,締め出されたと感じ,怨恨を抱いている.これは大きな集票力を示す.しかし,ポピュリズムには矛盾がある.アメリカのポピュリストたちは億万長者から資金を得ているが,彼らはウォール街や国連を支持している.イギリスの独立党支持者たちは,自分たちの国を西側のシンガポールにしたいが,それはロンドンが儲かるだけで,彼らの住む地方には破滅である.

憎悪の政治は何も良い結果を生まない.しかし,エリートたちは国際主義や移民の利益,人種差別の恐怖を指摘するより,それ以上のものを見出さねばならないだろう.彼らが依存するグローバルな市場から弱者を守り,増大する不平等を是正する具体的なアイデアだ.

VOX 14 December 2013

Smart governance: solutions for today’s global economy

Nemat Shafik

Project Syndicate DEC 16, 2013

The Case for Better Government

PETER MANDELSON


l  1次世界大戦から100

NYT December 13, 2013

The Great War’s Ominous Echoes

By MARGARET MacMILLAN

1次世界大戦はまだわれわれを苦しめている.その理由の一つは,被害の大きさである.1000万人の兵士が死亡し,それ以上に多くが負傷した.軍事行動だけでなく,飢餓や疫病で,4数え切れぬほど多くの市民が命を失った.

もう一つの理由は,なぜ起きたのか,その理由がわからないことだ.当時の政府に過大な野望を抱く指導者がいたからか? ドイツのヴィルヘルム2世のような.あるいは,対立するイデオロギーが原因か? 国家間の対抗関係か? 軍拡競争が過熱し,将軍たちがあまりにも攻撃的で,硬直的な計画を立てたのか?

なぜ対立が激化したのか,歴史を理解できなければ,将来,新しい破局を回避できるだろうか?

多くの点で,当時のグローバリゼーションが重要な時代であった.世界の遠く離れた土地が,新しい輸送手段(鉄道,蒸気船)や通信手段(電話,電報,無線)で結びついた.グローバリゼーションは,矛盾した形で,ローカリズムやネイティビズムを育てる.グローバリゼーションは,また,過激なイデオロギーを伝達し,完全な社会を目指す狂信的な活動家を結び付ける.オーストリア皇太子Franz Ferdinandを暗殺したセルビアの若者たちはニーチェとバクーニンから刺激を受けた.

長期の平和を経験したヨーロッパでは,科学と技術の進歩,工場における生産性の改善が,戦争を非常に犠牲の大きなものにした.戦闘地域は拡大し,武器は正確になり,破壊力を増して,勇敢な兵士たちの攻撃が大きな犠牲を残した.しかし,現代の戦闘がどちらにとって勝利を容易にしたか,答えは出ていない.さまざまな敵の同盟も,勝利も,明確に定義できない.

中国とアメリカの関係を,当時のドイツとイギリスの関係に比較してみたくなる.カリブ海から中央アジアまで,両国は市場や資源,影響力をめぐって競争している.中国はその経済力を軍事力に転換し始めている.アメリカの戦略家たちは,中国が太平洋でアメリカの挑戦するつもりだ,という.

かつてセルビアがオーストリア帝国内でセルビア系住民の活動を資金や武器で支援したように,今はシリアにおけるイスラム教徒の宗派争いにサウジアラビアとイランが支援している.われわれはロシアが,1914年のセルビアに対する支配力よりも,より強い支配をダマスカスのシリア政府に行使することを願っている.

もし1914年に,ビスマルクやチャーチルのような,強い指導者が英仏やアメリカにいたら,戦争は起きなかったかもしれない.オバマは,ウッドロー・ウィルソンのように,偉大な雄弁家で,自分の理想を生き生きと描き,アメリカ人を魅了した.しかし,戦時のウィルソンのように,オバマは党派的で非協力的な議会によって苦しめられている.

危機から次の危機へ,指導者たちは振り回されている.1世紀前の重大な教訓を学ぶべきだろう.勇気を持って,指導者たちは協力し,安定した国際秩序を築くことだ.


l  教育改革

NYT December 14, 2013

Even Gifted Students Can’t Keep Up

By THE EDITORIAL BOARD


l  ビットコイン

NYT December 14, 2013

The Bitcoin Ideology

By ALAN FEUER

FT December 18, 2013

China bans new Bitcoin deposits

By Simon Rabinovitch in Shanghai


l  プーチン対ヨーロッパ

NYT December 15, 2013

Russia vs. Europe

By BILL KELLER

世界はマンデラを必要としているが,得られたのはプーチンだ.南アフリカの英雄は讃美歌とともに墓所に葬られ,ロシアの大統領はウクライナを新しい関税同盟に埋め込んだ.それは軽量級のソビエト帝国である.新しいクレムリンとその国営メディアはナショナリズムに偏り,ホモセクシャルを憎む.

プーチンはますます,ロシアが敗戦国のように扱われ,十分な敬意を払われていない,と感じている.彼は西側に対して,ロシアの政治,経済だけでなく,精神の優位を回復したいと考えている.ロシアは世界の伝統的価値を守る首都になる.

この2年間,プーチンはますますイデオロギー的に保守派になり,ヨーロッパを退廃的な,ロシアとウクライナが所属するギリシャ正教から見てよそ者の世界,とみなすようになった.ヨーロッパはキリスト教を捨て,民族の主権を国際機関に委ねてしまった.

1989年,冷戦を平和的に終結したゴルバチョフのストラスブール演説では,ヨーロッパをロシアの共通の家とみなした.25年を経て,プーチンはヨーロッパの共通の破壊者に見える.

NYT December 17, 2013

Merkel's Putin Problem

By JUDY DEMPSEY

FT December 18, 2013

Putin is a spoiler, not a strategist

FT December 19, 2013

A good year for Vladimir Putin has been a bad one for Russia

By Philip Stephens

Mikhail Khodorkovskyが強制収容所から10年ぶりに釈放される.かつてプーチンに逆らったユコスの指導者は,プーチンの恩赦によって生き返った.これは単にプーチンの計算でしかない.プーチンにとって勝利の年であったからだ.

NYT December 19, 2013

Putin, Secure in Power, Says He May Free Jailed Rival

By STEVEN LEE MYERS and DAVID M. HERSZENHORN


l  マンデラの葬儀

The Guardian, Sunday 15 December 2013

Nelson Mandela has been laid to rest – but his legacy must not be

Gary Younge in Qunu, South Africa


l  経済停滞とシェール革命

FT December 15, 2013

Why stagnation might prove to be the new normal

By Lawrence Summers

NYT December 15, 2013

Why Inequality Matters

By PAUL KRUGMAN

Project Syndicate DEC 18, 2013

Shale Gas to the Rescue?

ROBERT SKIDELSKY

エコノミストのLarry Summersは「長期停滞」という言葉をよみがえらせた.低金利にもかかわらず投資の水準は回復しない.まるで永久に続く「流動性の罠」だ.量的緩和は次のバブルを生むかもしれないが,このままでは投資の減少が解決しない.

投資は人口増大,技術革新,西部開拓によって刺激されてきたが,もしA.ハンセンがかつて指摘したように,富裕諸国における投資機会が枯渇したのであれば,雇用を維持するにはますます財政赤字に頼るしかなくなる.

しかし,J.M.ケインズは異なる意見であった.1945年に,完全雇用は,投資政策に拠るだけでなく,より多く消費するか,より少なく働くことでも達成できる,と主張した.1970年代にも,1980年代にも,投資の減少が懸念された.

新しい投資を促す救世主は,シェール・エネルギー革命かもしれない.シェール・ガスは,確かに,エネルギー・コストを下げ,輸出を増やし,輸送システムや製造業,化学産業にも大きな投資を促すだろう.長期停滞論者は,この点を考慮しなければならない.


l  バーナンキ時代の金融政策

FT December 15, 2013

US Federal Reserve: The Bernanke years

By Robin Harding


l  アフガニスタンの政治

theguardian.com, Monday 16 December 2013

Why Cameron is wrong to declare 'mission accomplished' in Afghanistan

Simon Tisdall

The Guardian, Wednesday 18 December 2013

Mission accomplished? Afghanistan is a calamity and our leaders must be held to account

Seumas Milne

NYT December 19, 2013

Karzai’s Dangerous Game

By ANATOL LIEVEN

カルザイHamid Karzai大統領が,アメリカとの2国間安全保障条約の署名を,寸前で延期したことはワシントンを激怒させた.それはアフガン的な意味で個人としてずる賢く,アメリカから見て愚劣であった.

カルザイの政治的な思惑が何であれ,アメリカによる支援はアフガニスタンが国家として存続するために不可欠である.そしてカルザイは,アメリカや西側の軍隊がアフガニスタンのすべてを捨てて撤退したがっている,ということを理解していない.だからカルザイの政治的操作はアフガニスタンにとって破滅的なのである.

ここには,西側のイデオロギー的な現実認識とアフガニスタンの政治的現実・伝統が対立している.そして,アメリカ自身の全く矛盾した政策目標が対立している.アメリカはアフガニスタンを安定した民主的国家に変えたいと考えているが,そのためには長期に及ぶ深い関与が欠かせない.オバマ政権は何についても中途半端であった.

西側がアフガニスタンの腐敗と犯罪を非難するのは,決して正直な態度ではない.なぜなら,それらはだれよりもアメリカが作り出したものだから.アメリカはソ連を追い出すためにムジャヒディンに金と武器を配った.アメリカはタリバンと闘うために,各地の軍閥に金と武器を配った.今また,アメリカはタリバンとの和平交渉を進めるために,多くの囚人を解放するだろう.

アメリカや西側政治家は有権者が喜ぶような道徳的非難を投げつけ,完全な撤退を求める.アメリカが撤退すれば,それは1992年にソ連が撤退した後,タリバンが復活した状況と同じになる.アメリカにとって,それはサイゴン陥落と並ぶほど大きな不名誉である.


l  通貨操作の禁止基準

FT December 16, 2013

Our chance to slash the high costs of currency manipulation

By Fred Bergsten

アメリカは巨大な地域貿易協定で21世紀のグローバルな貿易ルールを目指している.しかし,アメリカ議会はこれに通貨操作を禁止する「強力で,強制力のある」規律を追加するべきだ,と要求した.貿易自由化交渉の成果は,通貨価値の切り下げ介入で失われてしまうからだ.

われわれの研究では,世界の20カ国程度が貿易黒字を増やすために自国通貨を安くする介入を行っている.それは毎年約1兆ドルの黒字(他国の赤字)をもたらしている.これはアメリカから雇用を奪い,ヨーロッパの周辺諸国を苦しめてユーロ危機を悪化し,ブラジル,インド,メキシコのような新興諸国にも打撃を与えている.

IMFはこうした行為を禁止している.しかし,IMFには強制力がない.国際金融アーキテクチャーを改善するときだ.

3つのテストを行う.1.過度の公的外貨準備・資産を(SWFも含めて)保有していないか? 外貨準備は3か月の輸入額でよいが,6か月まで許容される.2.最近の6か月で公的な試算が増加していないか? 市場の変動を平準化する操作は許容される.3.大幅な経常収支黒字を出していないか? 赤字国は防衛的な介入を許容される.

こうしたテストによって判定された通貨操作国に厳しい処罰を設ける.(地域協定交渉国では,マレーシアとシンガポールの2国のみである.)少なくとも,その国は地域貿易自由化協定の市場アクセスを失う.相殺関税が認められ,輸入課徴金も認められる.さらに,その国の通貨介入に等しい額まで,「対抗通貨介入」を承認する.こうしたルールは,IMFWTOに組み込むのが望ましい.


l  ドイツの女性国防大臣

FT December 17, 2013

A win for a tough woman tested in political warfare

By Constanze Stelzenmüller

SPIEGEL ONLINE 12/17/2013

Military in Flux

What's In Store for Ursula von der Leyen

By Gordon Repinski


l  デモと世界民主主義

BLOOMBERG Dec 17, 2013

Global Protests Won’t Power New Democratic Wave

By Richard Youngs

ブラジル,トルコ,ウクライナ,イタリア,ロシア,エジプト,タイ,世界中で起きた大衆デモ,警官隊との衝突事件は,グローバリゼーションに対抗する新しい世界民主主義a new “democratic cosmopolitanism”なのか?

彼らには多くの共通点がある.情報技術,高まる期待感,政治的意思決定のあいまいさ,社会的階層制の希薄化.しかし,何より共通するのは,地域に根差した不満,政治スキャンダルへの怒りである.

行動の成果は非常に異なっている.相互の連携はほとんどない.そして,リベラルな国際主義の首長を捨てる運動もある.ほとんどすべての運動が新しい政党を組織できなかった.Edmund Burkeは,大衆による革命は「下劣な寡頭政治」に乗っ取られる傾向がある,と警告した.

真にコスモポリタンな,市民が動かす世界民主主義を育てるためには,もっと国境を超えた活動家の連携が必要だ.既存政党を再活性化するとともに,国連や世界銀行など,国際機関の内部に民主化を進める仕組みを取り込むことだ.彼らは内部指向の怯えたナショナリズムになって,国際機関を滅ぼすかもしれない.

NYT December 19, 2013

The Last Gasp of Thai Paternalism

By DUNCAN MCCARGO


l  人道的介入

FP DECEMBER 19, 2013

Can Samantha Power Wage a War on Atrocities in Central African Republic?

BY COLUM LYNCH

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The Economist December 7th 2013

The future of Afghanistan: Too important for pique

Thailand’s protests: Pressing the pause button

The United States in Central Asia: Going, going…

Banyan: Lip service

America and China: Choose me! No, me!

Mining in west Africa: Where’s our cut?

Currency unions in Africa: Ever closer

(コメント) アメリカに感謝するどころか,謝罪せよ,というカルザイに,スーザン・ライスは「ゼロ・オプション」を覚悟せよ,と憤慨します.他方,中央アジア,キルギスタンの基地からは,ロシアの甘言に惑わされて,政府が協定を終了し,米軍は撤退します.

タイの反政府運動・反タクシンの「人民会議」案とは何なのか? 国王は介入するのでしょうか? 米欧の中国に対する厳しい批判は,中国との貿易に関心が移り,不況の中で有権者の意識も変わり,ますます中国の思いのままに薄れて行きます.それどころか,アメリカの地方都市や町は,中国企業の投資を誘致する競争にまい進します.

アフリカの資源採取を住民の利益につなげる試みは,必ずしも思い通りの成果をもたらしません.そして,政府間の共通通貨・通貨統合をめざす合意は,ユーロ危機にもかかわらず,なぜか前進し続けています.

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IPEの想像力 12/23/13

この季節になれば,恵まれた人々と,あまりにも過酷な条件を生きる人々との違いを思います.

2014年に,幸運や,善意や,神様や,妖精や,そして一番難しいかもしれませんが,他国の民や地球規模の問題に深い理解と同情を示す,強い意志を持った有徳の指導者たちが各地に現れて,このReviewが描く世界の苦境を救ってくれるかもしれません.・・・来年はどんな年になるでしょうか?

「連銀のテイパー・ショック」 ・・・アメリカ連銀も,日銀も,自国の景気やデフレを懸念するだけでなく,新興諸国や最貧国の住民にとって,世界金融政策が重大な効果を及ぼすことを知っています.その好ましくない効果を回避するには,各国の制度や政策が改善されるだけでなく,十分な技術移転や投資,雇用機会の創出と,貿易や移民の(富裕諸国による一方的)自由化,積極的な財政移転,ではないでしょうか.

「北朝鮮の権力闘争」 ・・・中国の協力を得て,韓国,日本,アメリカ,ロシアも加わった改革委員会が,北朝鮮の権力システムの根幹にメスを入れます.政府内の強硬派を一掃し,改革委員会と協力して食糧援助や住宅,インフラの建設を進める中で,北朝鮮国民にも変化への政治的支持が高まるでしょう.

「ユーロ圏の問題」 ・・・ドイツなど,中枢の財政刺激策や金融緩和で成長率が高まり,周辺の改革も進み,ユーロ圏全体の金融システムが技術革新や周辺への投資機会に活発に応じます.「ECBの役割」を正常化し,ECBはユーロ圏の決済システムや公債市場の安定化に責任を果たすでしょう.同時に,金融システムを監視・整理するESMを支えます.政治家たちが長期的な制度改革を議論できるように,その条件を準備するのです.

「危機後のアイルランド」から深く学び,「金融危機を考える」政治指導者たちが,デリバティブや外国為替市場のもたらすリスクを抑える,強制力を持った規制機関を設立するでしょう.国家間競争で不当な利益を求める「通貨操作の禁止基準」ができれば,金融取引の利益を減らし,生産的な投資や余暇によって,より満足できる成長につながる金融取引税とともに,グローバリゼーションの性格が変わるでしょう.また,「経済停滞とシェール革命」が将来に及ぼす投資機会の枯渇を考慮し,フロンティア拡大を模索する中で,誰でも積極的に投資し,グローバルな産業転換に参加できる社会・政治環境を各地で醸成します.

「第1次世界大戦から100年」を経て,再びグローバリゼーションがもたらす社会不安,政治的分極化が,醜悪な人種偏見や外国人差別を広めないように,指導者たちは連携し,市民社会が声を上げます.「プーチン対ヨーロッパ」においても,「アフガニスタンの政治」においても,地政学的,軍事的な対立より,次第に,住民たちの生活を改善することで政治的な支持を得る意識が強まるでしょう.情報伝達技術や教育,インターネットを活用したビジネス機会によって,憎悪を煽る政治集団や大国の介入が衰微します.

「アジアの模索」は続くでしょう.しかし,その行方を決めるのも威嚇的な外交や軍備強化ではなく,「Alibabaと人民元」です.中国や韓国との関係を友好的な性格に転換することで,「アベノミクスの評価」は歴史的なものとなります.アジア諸国が競って経済圏を築くだけでなく,「アフリカの成長」に貢献し,インフラ整備,基礎教育と技術移転,農業やガバナンスの改善,にアジアの優れた経験を活かします.

「ポピュリストと世界市場」が経済危機を悪化させるのも,「デモと世界民主主義」が政治の混乱を意味するのも,私たちが歴史的に獲得したはずの<資本主義>や<民主主義>を,正しく現実に合わせて革新する能力を得ていないからでしょう.それらもいつか,「ベルリンの壁」や「アパルトヘイト」のように,歴史の遺物となるはずです.まだ,来年ではないとしても.

そう,これなら心から,A Happy New Year! と,私も道を行く人に挨拶できるでしょう.そして,子どもや孫たちが家族を持つ頃には,戦争がますます起こりにくい,難民キャンプも,ホームレスもいない世界で,・・・言語や宗教の差が気にならず,貧富の差がとても小さい,なぜなら,それが重要でないような,・・・だれもが自分や隣人の文化に詳しいコスモポリタンである,静かな街で目覚めるのです.

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