IPEの果樹園2013

今週のReview

11/25-11/30

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温暖化の科学と政治 ・・・ドイツの黒字問題 ・・・国際システムの革新 ・・・中国の改革 ・・・長期停滞論 ・・・中国と日本の衝突 ・・・イランとアメリカ外交 ・・・EUとアメリカ外交 ・・・貧困と社会不安 ・・・政治家の行動

 [長いReview]

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l  温暖化の科学と政治

BLOOMBERG Nov 14, 2013

Cheapskate China Wins No Friends in Philippines

By William Pesek

台風Haiyanが去った後,フィリピンでは多くの人々が食料や水を求め,避難所を求めている.家族の遺体を探している.37000億ドルの外貨準備を持つ中国の援助額が世界を驚かせた.それは,10万ドル,だった.韓国の有名なアイススケート選手キム・ヨナが個人で寄付した額も,10万ドルだ.

more than $28 million from Australia, $20 million from the U.S., $17 million from the European Union, $16 million from the U.K., $10 million from Japan, $5 million from South Korea, $4 million from the Vatican, $2 million from Indonesia

オバマがAPECを欠席して以来,習近平と李克強は都南アジアの首都を訪問し,中国の存在は大きくなった.しかし中国は貧しく,その意識はまだ発展途上国である.国際秩序を脱アメリカ化することを中国は掲げるが,アメリカのようなソフト・パワーを求めていない.ニュージーランドの経済規模は1670億ドルで,中国の経済規模84000億ドルと比べれば誤差のようなものだ.しかし,その援助額は170万ドルである.

中国の資金は,利益を実現するために使われる.インドネシアの鉄道,ブラジルのトンネル,カンボジアのパワー・グリッド,ラオスの水力発電,ベトナムの橋,ザンビアの道路,マレーシアの工場,ミャンマーの空港,ウズベキスタンの鉱山.

それが中国の描く国際秩序になるのか? それでよいのか?


l  ドイツの黒字問題

Project Syndicate NOV 19, 2013

Northern Europe’s Drag on the World Economy

KEMAL DERVIŞ

中国と同じように巨額の経常収支黒字を出しながら,最近まで,ドイツは非難されなかった.通貨同盟の内部で大幅な黒字を出しても,ユーロ圏としては外部に大きな不均衡を生じていなかったからだ.

しかし,為替レートを持たない通貨圏加盟国であっても,その一方的な黒字は,通貨圏内でも,世界でも問題となる.この問題は,ユーロ系内部のドイツでも,カリフォルニアやテキサスの不均衡にも,同様に言えることだ.(実際,カリフォルニアとテキサスを国家とみなした場合,その経済規模は世界第12位と14位であり,オランダやメキシコ,韓国を抜いている.)

ドイツの隣国であるオランダとオーストリアは,ドイツとともに黒字を出し続けており,その3か国の合計は5500億ドルである.中国の黒字が4000億ドルに達したとき,アメリカや世界経済にとって脅威になる,としてアメリカは制裁を導入した.

ユーロ圏の問題は,スペインやギリシャのような赤字諸国で20%を超える失業率を続けているのに,それにもかかわらず,為替レートがこうした黒字諸国の抑制には作用しないことである.北欧諸国は賃金を引き上げ,景気拡大策を採るべきである.

NYT November 21, 2013

Germany's Risky Populism

By CLEMENS WERGIN

経常収支黒字を責められているが,ドイツの連立政権構想は間違ったポピュリズム政策を議論している.

失業を増やし,競争力を損なうような規制の撤廃に,ドイツはこの10年間努めてきた.ギリシャ,イタリア,スペイン,ポルトガルに構造改革を求めたのも,労働市場や年金制度を人口減少に合わせる改革の利益をドイツ自身が知っているからだった.

しかし,今やドイツがその成果に酔って,連立政権構想で,年金額の引き上げ,労働分野の規制強化,さまざまな社会給付を増やそうとしている.他方,高騰するエネルギー価格で企業が流出することには対策が何もない.

最近,経済専門家会議はこうした政策を強く批判した.シュレーダーの改革を逆転する,ポピュリスト転換だ.グローバルな自由市場に最もうまく適応したはずのドイツ政府が,その議会に,(一部は誇張された)社会問題に対する積極的な介入主義政策を唱える議員が増える,という皮肉な事態になっている.

ドイツは,南欧の債務をポピュリズムの弊害として批判してきた.しかし,近代以降のすべての西側社会が過剰な消費に依存し,将来世代に債務を押し付けている.ポピュリズムの要求を止める優劣に差があるだけだ.

過剰な政府支出,過剰な規制により,ドイツが再び競争力を失うなら,動脈硬化のフランスと同じになり,ヨーロッパ全体にとって大きな損失だ.


l  国際システムの革新

SPIEGEL ONLINE 11/14/2013

A Pacifist at War

An Unlikely Leader's Success in Congo

By Juliane von Mittelstaedt

コンゴ東部の戦闘地域に展開した国連軍を指揮したのは,平和維持には時に軍事力の行使が必要だ,と考えるドイツ人の平和主義者Martin Koblerであった.国連最大の平和維持活動,the United Nations Organization Stabilization Mission in the Democratic Republic of Congo (MONUSCO),それは武装集団M23との戦争である.14年前に始まった.M23は隣国ルワンダから支援と命令を受けている.

Koblerは,これまでの司令官と違って,兵士や民衆と握手し,話し合った.兵士たちも彼に笑顔で応えた.彼は兵士たちの「勇敢さと誇り」を称えて,MONUSCOが住民たちを保護する,と繰り返し述べた.

60歳のKoblerは,パレスチナ,カイロ,バクダッド,ニューデリーで外交官として活動してきた.平和主義者で,緑の党の支持者でもある.コソボとアフガニスタンにおいて国際軍事介入にドイツ連邦軍が参加したとき,J.フィッシャー外相のスタッフだった.そして,より平和な世界のために,時には軍事力の行使が必要である,と確信した.

すぐ隣には,殺害した子供の頭をMONUSCOに投げ込むような武装集団がいる.平和維持軍は,全ての党派に敵対せず,その均衡を重視して,住民たちを守る使命を果たさねばならない.Koblerの活動が迅速に成果を上げたため,政治的な合意が間に合わないというジレンマに陥った.平和維持軍が去れば武装集団が戻ってくるだけ,というのでは解決にならない.彼らの守る地域は,平和の小さな島として,自分たちで安定を維持し,拡大することを期待されている.


l  中国の改革

Project Syndicate NOV 15, 2013

China’s New Reforms in Theory and Practice

WILLIAM H. OVERHOLT

三中全会は,市場に依拠した政策への転換を示した.金利・通貨を自由化する.銀行・国有企業を改革する.地方住民に対して土地所有権を明確化する.都市居住者の条件を改善する.

この大胆な決定の背後には,潜在的危機がある.中国の成長は,安価な労働力による安価な製品の輸出,低コストの銀行融資による国有企業のインフラ建設,土地売却による政府支出,があった.しかし,労働はもはや安価ではなく,主要都市間の道路建設は終わって,小さな町の巨大ショッピング・モールに移り,土地売却のためのゾーニングは経済的にも住民感情にも限界に達している.

安価な資金供給は,投資機会の限界を超えて,不動産バブルや過剰生産力を生じている.根本的な改革なしには,低成長,雇用不足,革新の不足,バブル崩壊を迎えるだろう.

解決策は,輸出から国内需要に,インフラから消費に,巨大な国有企業SOEsから中小の民間企業に,工業化からサービスに,成長モデルを転換することである.それは,より広い意味で,官僚支配から市場型管理への転換だ.韓国,台湾,など,アジアで成功している経済はすべて,この転換を経験した.

しかし,急激な変化は大きな痛みを生じる.SOEsは,安価な融資,土地補助,独占市場,住宅の特権を失う.政党と国家官僚はパワーと所得を失う.特に,地方政府は絶望的だ.巨額の債務,土地価格の高騰,土地収容に対する住民の反発,高金利,課税,住民の権利強化,出稼ぎ労働者への公共サービス提供.

地方権力者やSOEs幹部は改革に反対するだろう.しかし政治指導者たちは数字を見て,最終的に,その意味を理解している.改革を受け入れるしかない.細部は明確でないが,共産党の役割は方向を決定することである.政策を決めるのは政府の役割だ.それは長期に及ぶ闘争になる.

125か年計画は,年平均賃金上昇率を13.4%としている.今年の賃金上昇は平均18%である.時代遅れの設備や過剰な生産力を抱える企業は消滅するだろう.また,政府の汚職追放運動は,最も強力な産業集団を標的にしている.それは,石油部門など,改革に抵抗する勢力を弱めるだろう.

最も重要なことは,経済的な成果と政治権力の目標とが一致しつつあることだ.たとえば,e-コマースで成功しているAlibabaが,消費やサービスへの重点以降,成長や雇用への目標と一致している.さらなる開放,国際化も,中央アジアやASEANに向けて進んでいる.上海FTZの設置も,香港やシンガポールに頼らない形で,海外投資や金融取引を行うためだ.中国は,有事の時に,こうした飛び地の金融センターや外国資本を信用していない.

習近平主席は改革が政治的な反対を強めるリスクを理解している.そのため,党の支配を強化した.他方,公平を求める民衆の改革要求を延期することも困難になるだろう.情報革命の影響を受け入れるか,一層の弾圧策を採るしかない.


l  国際格差の歴史的起源

VOX 16 November 2013

Accounting for the great divergence

Stephen Broadberry

現在,われわれが観ている経済状態の乖離は,1000年前に存在した.乖離は,異なる構造的特徴を持つ経済を,異なるショックが襲ったことで発生した.

近年の研究により,かつて広く普及したAngus MaddisonThe World Economy: A Millennial Perspective)の推定値は大幅に修正された.生活水準の大きな乖離the Great Divergenceは,近代ではなく,中世後期に起源があった.

2つのショックと4つの構造的相違が,その後の発展経路を決定した.すなわち,黒死病と,ヨーロッパとアジアをつなぐ新交易路の開放である.相違は,農業のタイプ,女性の初婚年齢,労働力供給の弾力性,国家制度,である.


l  長期停滞論

FT November 19, 2013

Why the future looks sluggish

By Martin Wolf

Summersは,早期回復を期待する楽観論者に,たっぷりと冷水を浴びせた.

金融危機後の裕福な諸国では,金融システムが再建されても,貯蓄過剰が残り,需要が不足している.またグローバル・インバランスも残っている.世界経済は,異常な低金利であっても,実業界が望む投資額を超える過剰な貯蓄を生じてしまう.

何ができるだろうか? 金利をさらに下げる.マイナスの金利も.企業の投資を妨げる者を排除する.低炭素技術に結びつくような公共投資を増やす.利潤が期待できる新興市場や途上国に投資する.

高齢化する,人口減少の経済にとっても,最善の策は,生産を高める公共投資である.


l  中国と日本の衝突

FT November 18, 2013

China and Japan are heading for a collision

By Gideon Rachman

中国と日本の対立はますます激化し,双方の攻撃的な姿勢が軍事衝突の危険を高めている.それは安保条約に従って,アメリカを巻き込む恐れがある.いずれの国も戦争を望まないが,それを避けるにはコースを変えねばならない.

北京では,日本が1930年代の軍国主義を再現するのは許さない,という声を聴く.東京では,中国政府が軍隊への支配力を失ってアメリカとの対決を目指している,という声を聴く.

中国の経済規模は2020年にアメリカを抜くかもしれないが,軍事力ではまだ大きく劣っている.しかし,アメリカを超える軍事支出を続け,不確実性が増すだろう.日本政府が歴史に対して示す姿勢は,アジア諸国にも批判される.

中国の強さは,弱さを見せないために,日本政府の姿勢をますます硬直的にする.他方,中国には妥協する余地がある.新しいアジアの秩序に日本を入れる姿勢を示すことが,両者の対立を回避するカギになる.


l  イランとアメリカ外交

FT November 18, 2013

Time for Obama to deploy his cunning in the MidEast

Kishore Mahbubani

「狡猾さの美徳the virtues of cunning」を知るべきだ.西側は,その狡猾さによって世界を支配した.わずか10万人のイギリス軍が3億人のインド人を支配したように.

今や,西側は華麗な衰退を管理しつつ,長期的な安全保障を維持しなければならない.狡猾さが何より必要な局面だ.オバマが狡猾さを示せば,アメリカと世界の利益を実現できる.

1に,オバマはもっと盛大にロウハニ大統領との合意を宣伝する.ロウハニはイランの核武装を回避することができる.すなわち,まず,(すでに)NPTで保証されているように,イランは核の平和利用を「許される」.次に,その交換という形で,イランのIAEA加盟を認め,すべての核施設を査察する.

ロウハニ大統領も非常に狡猾であるに違いない.イランの隣人で脅威をもたらす者はいなくなった,と挨拶する.タリバンとフセインはジョージ・W・ブッシュ大統領が葬ってくれた.さらに,ロウハニは,論争的な点を指摘する.核兵器はイランの安全保障を高めない.むしろ,核兵器がないことが,イランをアラビア湾岸における支配的国家にするだろう,と.

このロウハニの「非核化計画」に対して,狡猾なオバマは積極的に応じる.イスラエルとパレスチナの和平を推進するのである.そのために,イスラエルとサウジアラビアの政治指導者を協力させる.彼らはすでにアメリカに絶望している.イランとの和平を合意することは彼らへの裏切りだ.しかし,イランの強大化を抑えるには,両国が協力するしかない,と理解するだろう.

パレスチナは,サウジアラビアの2国家案を支持してきた.パレスチナが狡猾であれば,自分たちの領域で完全な非武装化を受け入れるだろう.なぜなら,パレスチナが武装の強化でイスラエルに勝利することはないから.しかし,パレスチナはアラブ社会で最も優れた近代化への適応力を持っている.日本,韓国,台湾,シンガポールが示したように,パレスチナは中東のシンガポールになる.それがアラブ社会の近代化と発展を刺激し,イスラエルとサウジアラビアによるイランへの対抗力に重みを与える.

ワシントンのイスラエル・ロビーも狡猾でなければならない.イスラエルが「鉄の防壁」で得る安全保障は短期的である.長期的にはそれが,小国に必要な,近隣諸国との慎重,かつ,実践的な調整を妨げている,と理解することだ.

近代化と経済発展は,地域の化学変化を生じる.それこそ,ミャンマーがシリアにならなかった理由だ.同じように,オバマによるロウハニとの狡猾な合意は,イラン社会に化学変化を生じる.イランで一気に神権政治が崩壊することなどない.しかし,徐々に市場を開放し,その運命に従うだろう.すなわち,中国やインドがそうであるように,文明の輝きを取り戻すのだ.

FP November 21, 2013

U.S. Middle East Strategy: Back to Balancing

Posted By Stephen M. Walt

アメリカの戦略に関するいかなる議論も,世界においてアメリカが占める特に優れた地位を認めることから出発しなければならない.アメリカは他国に比べて安全保障上の大きな優位を確保している.アメリカが外の世界において脅威を感じるものは何もない.何が起きても対応できるだろう.1910年,中米フランス大使は述べた.「アメリカの北には弱い隣国,南も弱い隣国,西には魚,東にも魚しかいない.」

それはアメリカの外交を特別なものにしている.

アメリカはどの地域も直接に支配する必要はなかった.その地域を誰も支配できなければ,それで十分だった.中東では,イラン・イラク戦争も,イラクのクウェート侵攻も,一時的な介入で均衡を守らせた.アメリカの中東外交は,911後,イランとイラクを同時に封じ込めること,さらに,ジョージ・W・ブッシュが愚かな「中東改造」に乗り出した.

それを以前の外交に戻すことは,自国を非難する「撤退」や「不確実さ」で意味するような政策転換ではない.1950年代,60年代,70年代,80年代がそうであったように,コストの少ない地域管理に戻るだけである.


l  EUとアメリカ外交

FT November 21, 2013

America should not try to keep its shale gas to itself

By Bill Richardson

シェールガス「革命」は,アメリカの経済,雇用,エネルギー安全保障を変える力を持つ.それは,アメリカの国際経済・地政学における利益にも影響する.

LNGを輸出するリスクと機会が激しく議論されている.反対派は,輸出が国内価格を上昇させるという.現在は1000立方フィートで3ないし4ドル,ヨーロッパの価格の3分の1である.

ロシアは中・東欧への外交手段として天然ガスを利用している.特に,ポーランドはその高価格に苦しみ,ウクライナはEUとの通商協定を妨害されている.アメリカのLNG輸出は,この介入を阻むだろう.

LNG輸出は米欧関係に3つの利益をもたらす.1.アメリカのエネルギー部門に雇用を増やす.23.ヨーロッパのエネルギー価格を下げ,競争力を高め,エネルギー安全保障を高める.3.ヨーロッパが経済危機を脱し,米欧間のパートナーシップが強化され,アメリカの経済と雇用にも影響する.


l  貧困と社会不安

BLOOMBERG Nov 20, 2013

Blame Rich, Overeducated Elites as Our Society Frays

By Peter Turchin

複雑な社会は壊れやすい.相互の信頼と社会的な協力の網の目によって維持されているからだ.この網の目は,政治的不安定性,内部対立,社会の崩壊によって,容易に擦り減ってしまう.

不安定化は歴史的にゆっくりと発展し,後退した.ローマ帝国,中華帝国,中世と近代初期のイングランドとフランス,アメリカでは長期の不安定が1850年代にはじまり,金ぴか時代を通じて,「暴動の1910年代」まで続いた.

同様の力が現代にも生じつつある.現在のアメリカが抱える難問は1970年代から始まった.労働者の賃金が生産性の上昇と一緒に上がらなくなったからだ.所得の上位1%が所有する資産と99%の資産とが「乖離」し続けて論争になった.それは長期的な政治不安が高まることを示していた.

奴隷制は道徳的に邪悪であり,廃止されるしかなかった.しかし南北戦争で何十万人も犠牲になる必要はなかった.アメリカの歴史的循環は南北戦争で終わらなかった.金ぴか時代に形成された莫大な資産がその後の経済的不平等を形成し,1919-21年にピークとなるもう一つの政治的暴力が襲った.大規模な暴動が26回,騒乱は1000回以上起きた.

われわれは2020年代をピークとする新しい政治的大動乱を迎えるだろう.


l  政治家の行動

NYT November 21, 2013

A Time for Courage

By ROGER COHEN

Willy Brandtの生誕100周年であった.彼がワルシャワ・ゲットーで,黙って跪いた行動は,ドイツ人がホロコーストを恥じる感覚を明確に示した.

象徴的な行動は非常に重要である.しかし,われわれの時代には見られなくなった.政治家が単なる管理者になったからか.

私は,同時に,Helmut Schmidtのことを思い出す.彼はいつも,東西再統一は可能だと信じていた.そしてMerkelを,世界最大の黒字を持つ国の首相として,ヨーロッパへの共感や連帯が欠けている,と批判する.東ドイツの人々は,連帯よりも自由を求める.ポーランド人やチェコ人と同様,自由とはアメリカのことだ.

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The Economist November 9th 2013

The global economy: the perils of falling inflation

New York’s mayor-elect: Don’t screw it up

Civil wars: How to stop the fighting, sometimes

Education: On your marks

(コメント) しっかり読めませんでした.世界経済がインフレよりもデフレを制御しなければならない,というのは,グローバリゼーションと金融危機,投資不足が重なっているからでしょうか.ニューヨーク市長の交代をどう見るか,世界都市の変貌に注目したいです.特集記事は,内戦が減っている,という話です.冷戦後,外部支援が失われ,交渉による終結を維持できる国連・平和維持軍の役割が強調されています.

教育でも,市場の成果と報酬とが結びつくのでしょう.急速に変化する個々のスキルを重視し,インターネットで学ぶ時代になるからです.大学と呼ばれる教養教育の価値は,何かもっと別の形で再発見されるのか・・・

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IPEの想像力 11/25/13

今週は,同志社EVE祭になっています.何のEVE? 創立記念日の前夜祭です.

風邪を再発して,不調なままですが,今,思いつくことを書きました.

l  脱アメリカ化と脱炭素化.

フラッキングによる新しい炭素エネルギーの採掘は,その利益を,アメリカや世界の限られた者に集中させるなら,彼らの政治圧力により脱炭素化の政策や国際的枠組みは放棄されるでしょう.あるいは,その利益をアメリカが独占するなら,アメリカは脱炭素の枠組みから離脱するかもしれません.前者の場合,脱アメリカ化と脱炭素化は延期され,温暖化は加速します.後者の場合,脱アメリカ化は進みますが脱炭素化は進まず,温暖化も続くでしょう.

新しい技術や利益を国際的な合意に従って脱炭素社会に向けた転換の促進,技術開発・移転と補償メカニズムに利用できれば,脱アメリカ化と脱炭素化がともに進みます.そして,世界の新しい政治権力は,アメリカでも中国でもなく,いわば森林を多く育てる者たちに委ねられるのです.

l  共通の安全保障と脱軍事化

安全保障の目的は,他国を支配し,相対的優位を得ることではありません.侵略や暴力による破壊活動から身を守ることです.しかし,各国による防衛力の整備は,自国の安全保障を確立するために一方的な戦略と相対的優位を目指す軍備拡大競争になります.世界貿易や外国の資源・エネルギーに依存する限り,いずれの国も安全保障は得られないでしょう.

「防空識別圏」が,自国の領土に接近する航空機を識別することであれば,どの国にとっても必要です.こうした情報を共有することは,例えば,小国の集まるヨーロッパなら,すでに行っていると思いますが,どうでしょうか? 日本政府も,中国の示す防空識別圏のあり方を,もっと冷静に,考えてみるべきでしょう.

安全保障の共有は,もちろん,容易なことではありません.しかし,ヨーロッパが模索し,中東地域が模索し,東アジアや南アジアでも模索することで,互いに良い影響を受けるでしょう.安全保障のリスクを抑える地域ほど,新興市場への投資や技術革新への積極的な投資が長期停滞を解決する契機になります.

日本の首相が,もっと積極的に,中国や韓国からの歴史認識を問う声に応えなければ,日本は東アジアにおける安全保障や貿易・投資圏の枠組みから外れて行くのではないでしょうか? 日本との交渉だけが遅れるのであれば,切り離して,別枠になるからです.

日本人の戦争意識と,中国人,韓国人の戦争意識とが違うとしても,それを共有できる条件を積み上げていくような合意が無ければなりません.なぜ日本の保守政権は,自国民をも激しく弾圧した当時の戦争国家を(同じ日本人だから?)擁護しようとするのでしょうか? 東西ドイツ再統一に向けて,ブラント元首相はヨーロッパの近隣諸国と和解することを絶対に必要と考えました.その意味で,日本の不幸は,日本ではなく,朝鮮半島が分断されたことでした.

Kishore Mahbubaniの称える「狡猾な」外交を日本が学ぶとしたら,日本は尖閣諸島を台湾に返還し,台湾の民主主義と経済発展に共感を示すでしょう.また,竹島については韓国政府を説得して,国際裁判所の裁定に従うか,むしろ両国で合意して主権を共有し,両国間の共通経済圏を推進することです.もちろん,韓国がこうした条件を歓迎するとは思えません.しかし,従軍慰安婦や強制連行など,植民地期の問題で,両国が大きな前進を示す一環であれば,支持されると思います.

次の政権は,今からアジア・スーパー外交の構想を練ることです.アメリカやEU,インド,ロシア,なにより地域の多くの中・小国が,東アジアの平和と繁栄に日本の積極的な姿勢を歓迎するでしょう.

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