IPEの果樹園2013
今週のReview
11/18-11/16
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アフリカの興隆は本物か? ・・・ドイツ経常収支黒字論争 ・・・三中全会に問われること ・・・アメリカとイランの緊張緩和 ・・・アベノミクスの失速 ・・・パリの周辺 ・・・日本病を恐れるヨーロッパ ・・・革新的イギリス ・・・フィリピンの台風被害
[長いReview]
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l アフリカの興隆は本物か?
FP NOVEMBER 7, 2013
Africa
Rising?
BY SIMON ALLISON
14世紀の初めまで,約4000年間も,エジプト,ギザのピラミッド(481 feet)は人類が建てた最も高い建物であった.1311年,イングランドの大聖堂に抜かれた.
その後,アフリカは建物の高さ競争にまったく現れなかった.アフリカでもっとも高いCarlton Centre(731 feet)は,エンパイヤステートビルの半分,ドバイのBurj Khalifaの約4分の1である.
しかし,繁栄する経済に資金があふれて,アフリカ最高の建物を競う建築計画が一斉に現れた.南アフリカのthe Symbio-City complex(1,466 feet),エチオピアのthe Meles Zenawi International Centre(1,469 feet),ガーナのthe Hope City project(最高902 feetの,6つのタワー).これらは政府ではなく,民間資本が計画している.
急速な都市化は,ロサンゼルスに負けない都市のスプロール型開発によって,土地,資源,インフラに圧力を生じている.超高層建築は,アフリカの都市が変化する第1歩である.資金とノウハウを得た新しいエリートたちは,アフリカの都市の将来を変えるだろう.
FP NOVEMBER 13, 2013
'We
Live and Die Here Like Animals'
BY PETER BOUCKAERT
中央アフリカ共和国(CAR)は,反乱軍Selekaが3月後半に権力を得てから,すべての学校が止まったままだ.彼らは恐怖で支配した.村を次々に焼き,ピックアップ・トラックから住民を気まぐれに射殺した.農夫たちを畑で処刑し,女性や子供も殺した.その野蛮さは癌のように広がった.
Ouham地域には17万人の人口があった.しかし,最もひどい影響を受けた後,首都Bossangoa周辺では,誰ひとりに会うこともなく,何時間も自動車を走らせることができる.自動車の音は住民たちを恐れさせ,森の中に逃げ出すのだ.
1960年にフランスから独立した後,CARの政府は常に暴力によって交代した.Selekaの兵士はイスラム教徒であり,住民の多数はキリスト教徒だ.彼らは差別を受けてきた.兵士たちの多くはCARの国民ではなく,スーダン,チャド,など,近隣諸国から参加している.何もしなければ,この激しい宗教対立はジェノサイドに至る,と国連が警告した.
l ドイツ経常収支黒字論争
FP NOVEMBER 8, 2013
Paul
Krugman's Blind Spot
BY ANDERS ÅSLUND
2008年以来,NYTの人気コラムニストPaul Krugmanはユーロ危機について誰よりも多く書いてきた.しかし,彼の予想に反して,ユーロ圏は生き延びた.しかも,彼の助言を拒んで,財政規律を守った諸国の方が,守らなかった諸国よりも経済的かつ政治的に見て良好であった.
Krugmanは,主流派の英米経済思想を代表し,大きな支持を得ているが,そのヨーロッパの財政に関する理解は間違っている.2008年に書かれた彼のブログ("Latvia is the new Argentina.")で,彼は私を攻撃したが,その内容に驚いた.アルゼンチンは大国で,閉鎖的経済であり,概ねポピュリストの政策を追求していた.他方,ラトビアは非常に小さく,開放的な経済であり,EU加盟国として公的債務も小さい,ビジネス環境の優れた国だった.両者が経常赤字を市場で金融できない危機にあるという類似点だけで,Krugmanは皮相な類推を行った.
ヨーロッパにとって重要な問題とは,労働とサービスに関する市場が機能せず,供給面で制約があることだった.バルチック諸国とブルガリアは先行的な財政再建と構造改革を行って成長したが,ギリシャは最近になってようやく改革を始めた.Krugmanは,先行的な財政再建が信頼を回復して,金利低下と成長を回復する,ということをわかろうとしない.
Project Syndicate NOV 13, 2013
The
Real Heroes of the Global Economy
DANI RODRIK
経済政策の担当者たちは,成功した経済モデルを求めている.そこには多くの候補がある.中国は記録的な成長率を続けてきたし,ドイツやスウェーデンも先進諸国には例外的な高成長である.そうした諸国の指導者は,自分たちのようにすればよい,という.
しかし,もっと良く見れば,こうした成長モデルは大幅な対外黒字に依拠しており,誰でも模倣するものではない,ということがわかる.スウェーデンの経常黒字はGDPの7%,ドイツは6%である.確かに中国の黒字はGDPの10%から2.5%に減った.しかし,それとほぼ比例して成長率も減り,7%である.その水準はGDPの半分に及ぶ投資が支えており,これからも減るだろう.
対外黒字に頼らない高成長の諸国を見ると,これらも逆のパターンで依存症にある.すなわち,資本流入によって国内の信用が拡大し,消費を増やす成長モデルだ.こうした成長は資本市場の気分次第で,もし資本流入が突然止まれば,大きく影響を受ける.例えば,最近アメリカの金融引き締めが始まるという不安が生じたときのように.インドやトルコを見ればよい.アフリカの高成長諸国もそうだ.
理想的な世界では,輸出指向型の黒字と,債務依存型の赤字とが均衡するだろう.しかし,現実の世界には,こうした継続的に均衡を保証するメカニズムは存在しない.そして各国の政策はしばしば対立する.
世界経済の本当のヒーロー,他国がまねるべき模範は,対外不均衡の小さな国である.オーストリア,カナダ,フィリピン,レソト,ウルグアイは,成長のチャンピオンではないが,債務依存でも輸出をめざす重商主義モデルでもない.こうした国が無ければ,世界はもっと混乱しているだろう.
l 三中全会に問われること
Project Syndicate NOV 8, 2013
Chinese
Industrialization and its Discontents
BARRY EICHENGREEN
中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が招集された.中国は分岐点にある.その成長の記録はけた外れだが,その不均衡もけた外れであるからだ.いかなる国も所得の3分の1以上を生産的に投資し続けることはできないが,中国は2分の1を投資している.通常,所得の3分の2は家計によって消費されるが,中国では3分の1である.
この低い消費への分配は,不平等を悪化させている.農村と都市の,エリートと大衆の間で,格差が拡大する.大学を卒業して就きたい事務職はなく,工場では働きたがらない.ブログでもデモでも,社会不安は高まっている.
中国の指導者たちはこれらすべてを良く理解している.経済を投資から消費に向けて再均衡化し,それがサービス部門を拡大し,好ましい職場を増やすことを知っている.社会保障制度や農村における所有権の確立が必要なことも知っている.
しかし,彼らは成長率の低下を恐れて躊躇している.その結果,改革を先送りするのは時限爆弾である.将来,成長率は一気に下落するからだ.
では,どうすればよいのか? イギリスの歴史に学ぶことだ.20年続けて10%を超える成長を実現した発展途上国はないが,200年前のイギリス工業化に並ぶ国もない.
イギリスの急激な成長は深刻な諸問題を生じた.不平等が拡大し,小土地所有者を追い出す「囲い込み」,都市の汚染,W.ブレイクが「暗黒の悪魔的工場」と呼んだ非人間的な労働条件が展開された.当然,社会不安は高まった.綿織物工場で労働者たちが機械を破壊するLuddites やSwing Riotsが起きた.
これに対してイギリスの政治家たちはセーフティーネットを改革した.1834年,救貧法の改正である.さらに,中産階級に選挙権を与える政治改革を行った.1832年,選挙法改正である.また,経済の理バランスを促す政策を受け入れた.1846年,穀物法撤廃である.
最後に,イギリス政治家は,世界最速の成長という地位を無理やりに保持し続けなかった.アメリカやドイツに抜かれるという批判を受けたが,経済が農業から工業,そしてサービスへと発展することを妨げなかった.それがイギリスに持続的な成長を実現したのだ.
中国の指導者たちは,19世紀の,ヨーロッパ北西海岸を離れた,風の強い小さな島が経験したことなどに,関心を持たないだろうか?
WP November 8, 2013
China’s
coming challenges
By Fareed Zakaria
シンガポールの元外務大臣George Yeoは言った.「北京とワシントンとの対照にわれわれは皆ショックを受けた.」 2つの首都が全く異なるガバナンスの質を示したからだ.特にアジアでは,中国に比べて,アメリカが公共政策の能力を失った,とみている.
Yeoと私は,中国の習近平主席を含む指導者たちが参加するthe Berggruen Instituteに来て,彼らがこれまでになく自信に満ち,リラックスしていると思った.かつて彼らは弱点や問題を議論し,中国はアメリカにどれくらい遅れているか,と話していた.今回,そうした声はほとんど聞かれない.中国は今も,世界中から優れたアイデアと最高の実践を探し求めている.シンガポールなど,他国から進んで学んできたから中国は成功できた,と習主席は述べた.
そのため,指導部は戦略として,経済的に正しい行動を取るため,政治的に左へ寄ったのだ,とある参加者は述べた.中国はこの改革に成功する,という者が多かった.中国のエリートたちが政治的・社会的な緊張が高まっていることをよく知っており,社会やインターネットに若干の自由を許して対応するだろう,とYeoは言った.しかし,こうした緊張が手に負えなくなる前に介入し続けるだろう.彼らはエンジニアだ.いかなるシステムにも,減速のために摩擦は必要だ.摩擦が大き過ぎれば機械は止まり,小さすぎればシステムが不安定化する.
しかし,政治システムを機械のように管理できるだろうか? たとえ最高のエンジニアたちにとっても,難しい課題である.
NYT November 9, 2013
New
China Cities: Shoddy Homes, Broken Hope
By IAN JOHNSON
中国都市のゲットー化.ネットカフェに集まる若者,家事を強いられる老人,社会的紐帯の消滅.自殺者の増加.ギャング,麻薬,暴力.
先祖からの土地を奪われ,壁にひびの入った,雨漏りのする窓,さび付いたエレベーターのアパートに暮らす農民たちは,騙されたという感覚を持つ.
NYT November 11, 2013
Online
Shopping Marathon Zooms Off the Blocks
By SHANSHAN WANG and ERIC PFANNER
11月11日を,未婚の男性は酒を飲んで過ごす.1が4つ並ぶ日を,e-コマースのAlibaba がいわゆる「独身の日Singles’ Day」として5年前に宣伝し始めた.それは単に彼らがショッピングで憂さ晴らしする日になったが,記録的な売り上げに成功した.その月曜日に,サイトを訪れた者は4億200万人.1億5200万個の小包を発送した.
FT November 13, 2013
China:
The road to reform
By Jamil Anderlini
中国北部の有毒スモッグに苦しむ住民たちは,中国が世界で最も厳しい環境規制を持つ国だ,と聞くと驚くだろう.成長を優先する地方官僚たちがそれを守らないだけである.
何年も前から政府は目標を掲げているが,達成されてこなかった.今回の三中全会でも同じだ.財政改革,貧富の格差是正は強調されているが,具体的には何も行われない.
l アメリカとイランの緊張緩和
NYT November 12, 2013
What
About US?
By THOMAS L. FRIEDMAN
アメリカには,イスラエルやアラブ湾岸諸国のスンニ派とは異なる利益がある.イランの核武装を防ぐとともに,アメリカとイランとの34年に及ぶ冷戦を終わらせることだ.われわれの同盟諸国には,イランの核施設を空爆して,イランを永遠に孤立させ,弱め,地域の外交に参加できない国家にしておくことを望む国もある.地域の中で,イランとの外交をゼロサム・ゲームとみなしている.
しかし,イランがアメリカの安全保障に関して影響力を有する分野が多くある.すなわち,シリア,イラク,アフガニスタン,パレスチナ・イスラエル紛争,テロ,エネルギー,核拡散.イランとの緊張はこうした問題を悪化させ,緊張緩和はこうした問題を緩和する.
Nader Mousavizadeh(the Iranian-American co-founder of Macro Advisory Partners and a former top aide to U.N. Secretary General Kofi Annan)は言う.「イランとのデタントは,われわれの関与する利益に合った,将来のバランスある外交をもたらす.同時に,アメリカは国内の再建ができる.」 「部族間や宗派間の過去の理由で果てしない戦争を望む者は,開放的な,統合された,多元的社会が持つ自分たちの発展を阻んでいる.・・・彼らはそうするかもしれないが,それはアメリカの戦争ではない.」
FT November 14, 2013
American
engagement in Asia could help in the Mideast
Kurt Campbell
中国の台頭に取り組むアジア外交は難しいが,アメリカの関与を求める点では非常に強いものがある.アメリカのアジア外交は,中東やヨーロッパに比べて,成功している.ミャンマーの制度構築,さまざまな経路による中国の包摂,北朝鮮に対する多角的な警戒,新しい通商交渉.その成果は,中東外交にも転換できるだろう.
l アベノミクスの失速
BLOOMBERG Nov 11, 2013
Behind
the Scenes of Tokyo’s Political Soap Opera
By William Pesek
安倍は,小泉元首相の裏切りから学ぶべきだ.小泉氏は日本の政治家の中でも特に高い支持を得た政治家であり,時代の流れを読む鋭いセンスがある.これまで表舞台に立たなかった彼が,突然,日本の原発を廃止するべきだ,と発言し,安倍の改革プログラムを否定した.
安倍が小泉から学ぶことは5つある.1.約束を守れ.2.人々に求めるより,人々の声を聴け.3.自分の問題ではなく,時代の問題に向き合え.4.中国や韓国と和解せよ.5.最後まで権力を握って改革を継承させよ.
小泉は,国民が受けた大震災の衝撃を機に,自民党を変えるよう求めている.
FT November 13, 2013
It’s
the first arrow of Abenomics that matters
By David Pilling
第3の矢は腰砕けだ.改革も規制緩和もなければ,アベノミクスはじり貧になり,経済はデフレに戻る.
アベノミクスとは,革新的な金融政策のことだった.安倍首相の示す構造改革・産業再生の計画には,グランド・ビジョンがない.成長率を高めるには,もっとラディカルな行動計画が必要だろう.ところが安倍は保守派であり,その理想は21世紀よりも19世紀の日本を見ている.
l パリの周辺
NYT November 9, 2013
The
Other Paris, Beyond the Boulevards
By MIRA KAMDAR
私はパリの外側,the Périphériqueの向こうに住んでいる.この環状道路は,光の都市と闇の郊外とを分けている.私の居住区はPantin内にあり,悪名高いパリ北東部のbanlieuesである.日常会話で住所を述べた途端,その人は私から飛びのいて,「なんて恐ろしい!」と口走った.そこは恐るべき場所ではない.そして,良くも悪くも,そこで新しいフランスが形成されている.
隣人たちのコスモポリタニズムを過小評価してはいけない.あるときメトロ(地下鉄)で,若いアフリカ系フランス人女性の隣に座った.突然,彼女の電話が鳴って,驚いたことに,彼女はヒンズー語で応えていた.私は思わず,どこで習ったのですか? と尋ねた.すると,パリの福音主義教会で教わったそうだ.福音主義のプロテスタントは,移民コミュニティーに広く信仰されている.
l 日本病を恐れるヨーロッパ
FT November 12, 2013
Why
Draghi was right to cut rates
By Martin Wolf
ECBのドラギ総裁が金利を引き下げたが,ドイツの2人の代表と,オランダ,オーストリアの中央銀行総裁は反対した.以前から特別な金融措置に対する反対はあったが,今回のようない金利変更で基本的な政策対立が表面化したのは初めてであり.ECBやユーロ圏の正当性を損なう問題だ.
多くのドイツ人は,ユーロ圏の外にいる方がよかった,と思うかもしれない.その通りだ.しかし,ドイツ・マルクが通貨同盟の外にあれば,日本が経験したように通貨価値が大幅に増加し,ドイツの製造業も近隣諸国へ一斉に移転されただろう.それはドイツの不況と,おそらくはデフレをもたらす.
ユーロ圏の調整を助けるためには,インフレ率を3%に高める方がよいだろう.なるほどECBはドイツの最適通貨圏ではない.しかし,ドイツにとっても,あったほうがよいのである.
FT November 13, 2013
Why
Draghi was wrong to cut interest rates
By Hans-Werner Sinn
ヨーロッパは日本病を恐れている.日本のGDPデフレーターは,1999-2013年に,年約1.2%で下落した.現在の物価水準は1980年に等しい.
ユーロ圏のGDPデフレーターは1.6%,消費者物価指数もわずか0.7%の増加である.しかし,通貨同盟全体のデフレは,その一部の問題と区別するべきだ.なぜなら競争力の差が為替レートの変化で調整できないから,デフレが必要になるから.ECBはこうした諸国(ギリシャ,スペイン,ポルトガル)のデフレを緩和するために金利を下げてはいけない.
市場が物価の相対的水準を調整する.すなわち,ドイツの貯蓄は不動産に流れ,建設ブームが起きて,賃金を上昇させている.その結果,一般の賃金水準や物価も上昇し,ドイツの経常黒字を解消するのだ.
l 革新的イギリス
The Observer, Sunday 10 November 2013
We
shouldn't be fatalistic about our future. There is another way
Will Hutton
グローバリゼーションの不平等化に従って,さらに賃金を削るしかない,と思うのは間違いだ.政治家たちは何もできない,と言い訳するより,もっとダイナミックな,革新的イギリスに向けて,教育や訓練に投資するべきである.イギリスの資本家階級は間違った選択をして,近視眼的な株取引の利益に偏っている.われわれに欠けているのは,革新の才能ではなく,それを発火させる大きな構造である.
l フィリピンの台風被害
WP November 14, 2013
Aid
after typhoon in Philippines shows the politics of generosity
By Anne Applebaum
アメリカン・ドリームは,国内の中産階級にとってだけでなく,外国の人々にとっても失われた.特に東アジアでは,新しい機会の国,巨大な中国経済が現れている.
フィリピンで台風の被害が広がると,その規模がわかる前から,アメリカは直ちに行動した.最悪の被災地には貨物輸送機や船舶を派遣した.2000万ドルの緊急援助を約束した.イギリス政府も1600万ドル,ヴァチカンでさえ400万ドルを約束した.しかし,東アジア最大の,新しい機会の国,中国の援助は,10万ドルだった.
そこには政治が絡んでいる.中国とフィリピンは島の領有をめぐって厳しい対立関係にあった.しかし同時に,人々がパワーに対して異なった態度を取ることが関係している.アメリカやヨーロッパでは,強い者,豊かな者は,それに対する責任を果たすと考えられている.シリア内戦で生じた難民にアメリカやヨーロッパは援助するが,中国の支援額はルクセンブルグよりも少ない.中国は国連安保理で拒否権を行使し,シリア情勢に重大な影響を与えたにもかかわらず.
アメリカの力は衰え,アメリカの地位は低下し,アメリカの魅力も次第に消え去る.しかし,アメリカが超大国で亡くなったとき,あなたはそれを悲しむだろう.
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The Economist November 2nd 2013
Go on, bet the farm
Changing the economy: The long weekend
Espionage and America: Rules for spies
The presidency: Whoops
Charlemagne: Fawlty Europe
Free exchange: No need to dig
(コメント) 中国の三中全会が示す改革のプランには見えない本当の目標がある.それは,土地利用権の売買,出稼ぎ労働者の生活改善,都市化,など,各地で試されている.
アメリカのNSAによる諜報活動は,同盟諸国間で,どのような合意をもたらすのか? オバマは医療保険制度改革の実施に失敗し,スパイ組織の管理にも失敗した.EUは,互いの経常収支不均衡を精査し,政策勧告するシステムを持っている.アフリカで成長している国は,必ずしも資源輸出国ではない.
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IPEの想像力 11/18/13
ドイツの経常収支黒字に関して論戦が起きています.私は国際通貨システムにおける調整過程を重視します.つまり,この点ではKryugman=Wolf派です.
経常収支黒字のすべてが悪いとは思いません.概ね,外貨準備が国内経済運営に対する自由を意味する諸国にとって,黒字が重視されるでしょう.また,貯蓄と投資のバランスを変える事件があれば,対外的な不均衡を生じて,国内のショックを緩和するのは良いことです.しかし,アメリカや日本のように自国通貨が国際的に受容され,流動性危機を無視できるなら,赤字になっても良いのです.赤字であれ,黒字であれ,資本市場が政策に反発すれば,それが限界です.
ユーロ圏は,まだ新しい,不完全な共通通貨圏です.最大の黒字国であるドイツは,ECBの政府債購入や銀行同盟への消極姿勢を責められています.金利や為替レートを共有する諸国間にも,ユーロ圏に限らず,どのような通貨圏内でも,さまざまな不均衡が生じます.その政治経済構造が調整過程に反映されます.
もちろん,効率的な物流システムやインターネット取引,活発な市場競争があれば,価格による調整が進むでしょう.財の価格も要素価格も,赤字国で下落し,黒字国では上昇する結果,不均衡を自動的に調整するはずです.しかし,賃金や価格を下げることが難しい程度に応じて,調整には時間がかかり,赤字国の失業が増大します.
この点を,The EconomistのCharlemagneはサービス市場の統合化として主張しています.またHans-Werner Sinnは,「日本病」を避けるにはECBが介入しなければよい(物価や要素移動が自動的に調整を進める),と主張します.しかし,多くの失業者が苦しんでいる現実を変えるには,投資や財政移転が必要です.
将来,政治統合が完成すれば,赤字地域には合意されたルールで財政移転がなされるでしょう.ドイツは東西ドイツの再統合に対して財政的に移転しました.しかし,ユーロ圏はそうなっていません(それを恐れています).フランスは以前から「経済政府(エコノミック・ガバナンス)」を提唱していますが,合意には遠いのです.
さまざまな制度や社会活動を共有していれば,不況地域と好況地域の間で活発な要素移動(移住・投資)が起きます.複数言語で,初等教育から共通の科目を学び,医療や保険,年金,など,社会サービスも共通していると,労働者は家族を連れて移動し,企業も他国に投資しやすいでしょう.さまざまな市民活動・文化サークルがあれば,新しい街にも容易に溶け込めます.
現実のユーロ圏を維持する政治的合意や,制度・社会の統合が不完全な程度に応じて,需給の不均衡は赤字国のデフレや失業増大となり,徐々に,黒字国にもインフレやバブル(そして不良債権,投資・雇用の流出,「日本病」)をもたらすわけです.
ÅSLUNDは,ヨーロッパが開放型の小国で,ユーロ圏からの離脱,そしてユーロ圏崩壊は,決して選択できない,という点に注意します.財政再建で金利上昇を抑えたのは,ラトビアがアルゼンチンでもアメリカでもないからです.また,ユーロ圏の不均衡は,総需要管理の問題だけでなく,競争力の違いを生んでいる制度の改革や積極的な投資による調整を求めています.
ドイツは,Kryugman=Wolfが主張するように,全体としてのユーロ圏の運営に責任を持つべきです.赤字国の調整を求めるなら,ECBによる金融緩和やインフレ,ユーロ安を支持し,ドイツもその投資と輸入を増やすことで責任を果たします.
では・・・日本はどうか? 日本のデフレをめぐる国内需要管理の転換と,対外的な貿易黒字の消滅,対米ではなく対中貿易が増大していく中で,ドイツのような共通通貨圏はありません.物価や賃金を容易に調整できる条件を創り出せたでしょうか? 制度面や社会生活面で,国境を越えた統合化を進めているでしょうか? 政治的な協力関係を深め,為替レートの安定化や調整,金融政策の協調に積極的でしょうか? 円圏やアジア共通通貨を作らなくてよかった,と思うのは間違いです.
それらが遅れるほど,日本は対外不均衡に頼らない,国内の制度的革新と成長力を維持しなければなりません.そして,米中間で貿易と投資の不均衡,政治対立,安全保障に関する論争が起きる中でも,国際システムの優れた構想を示すことです.
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