IPEの果樹園2013
今週のReview
11/18-11/16
*****************************
アフリカの興隆は本物か? ・・・ドイツ経常収支黒字論争 ・・・中央銀行への過剰な期待 ・・・三中全会に問われること ・・・アメリカとイランの緊張緩和 ・・・アベノミクスの失速 ・・・パリの周辺 ・・・日本病を恐れるヨーロッパ ・・・革新的イギリス ・・・フィリピンの台風被害 ・・・資本規制と国家破産
[長いReview]
******************************
主な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
l アフリカの興隆は本物か?
FP NOVEMBER 7, 2013
Africa
Rising?
BY SIMON ALLISON
14世紀の初めまで,約4000年間も,エジプト,ギザのピラミッド(481 feet)は人類が建てた最も高い建物であった.1311年,イングランドの大聖堂に抜かれた.
その後,アフリカは建物の高さ競争にまったく現れなかった.アフリカでもっとも高いCarlton Centre(731 feet)は,エンパイヤステートビルの半分,ドバイのBurj Khalifaの約4分の1である.
しかし,繁栄する経済に資金があふれて,アフリカ最高の建物を競う建築計画が一斉に現れた.南アフリカのthe Symbio-City complex(1,466 feet),エチオピアのthe Meles Zenawi International Centre(1,469 feet),ガーナのthe Hope City project(最高902 feetの,6つのタワー).これらは政府ではなく,民間資本が計画している.
急速な都市化は,ロサンゼルスに負けない都市のスプロール型開発によって,土地,資源,インフラに圧力を生じている.超高層建築は,アフリカの都市が変化する第1歩である.資金とノウハウを得た新しいエリートたちは,アフリカの都市の将来を変えるだろう.
FT November 10, 2013
Land
Grabbing, by Stefano Liberti
Review by Shawn Donnan
FT November 10, 2013
Commodities:
Destination Africa
By Javier Blas in Lagos, Nigeria
NYT November 10, 2013
Anarchy
and Death in Mali
By JEAN-PHILIPPE REMY
NYT November 10, 2013
Egypt's
Two-Front War for Democracy
By ALAA AL ASWANY
NYT November 11, 2013
Don’t
Save Congo
By ANDREW M. MWENDA
先週,今後の軍隊は反政府軍M23を敗退させた.国連軍,タンザニア軍,南アフリカ軍が支援したからだ.これはJoseph Kabila大統領の軍事的勝利であるが,今後を苦しめる病気を治すものではない.M23は,もっと深い危機の表面でしかない.
コンゴ政府は,基本的な治安も,法と秩序を維持する行政のインフラも欠いている.ましてや道路,学校,病院,電気,水道のような,公共財・サービスを供給できないのだ.軍隊は訓練を欠き,装備を欠き,たとえ支払われても,その給与は乏しい.
しばしば,軍隊は住民を略奪し,脅えさせ,強姦する.それが反政府軍への刺激となるのだ.
さらに悪いことに,コンゴ社会はエスニック集団ごとに厳しく分断されている.集団間の紛争を仲裁し,他の集団からの攻撃を防ぐ,強力な国家が無ければ,コンゴ市民は自分たちの利益を守るためにエスニックな武装集団に頼る.
政治的分割は,コンゴの自然条件によって強められている.例えば,東部には山岳地帯と深い森林がある.そこに金,タンタライト,ダイヤモンド,など,豊富な資源が埋蔵されている.反乱軍はこうした地域に潜み,資源の密輸で資金を得ることができる.
コンゴには国家が無い.たとえあっても,それは強欲で,抑圧的だ.国連は,単に一方を支持するだけで,緊張を緩和するより悪化させるだろう.有効な解決は,外からではなく,内から与えられる.それはKabila政府が主権と領土の統一を失う,消滅の危機を感じるときだ.
支援によって政府が再建できるというのは幻想だ.外国からの支援を失った政府が,より強力な国家を築くか,すべての反政府勢力と妥協することになる.そして,すべての勢力が和平を望むようになるまで戦い,消耗する.
FP NOVEMBER 12, 2013
The
Rise of Big Chocolate
BY LINA KHAN
食糧大企業Cargill が大手アグリビジネスArcher Daniels Midland's (ADM's)の買収計画を進めている.スイスのBarry CallebautはPetra Foodsを8億6000万ドルで買収し,世界最大になった.ココア加工ビジネスは世界の60%以上を2社が支配するだろう.
それはチョコレート会社や消費者の不安になるよりも,カカオ生産農家の不安,その多くは最も貧しい諸国にとって影響がある.
FP NOVEMBER 13, 2013
'We
Live and Die Here Like Animals'
BY PETER BOUCKAERT
中央アフリカ共和国(CAR)は,反乱軍Selekaが3月後半に権力を得てから,すべての学校が止まったままだ.彼らは恐怖で支配した.村を次々に焼き,ピックアップ・トラックから住民を気まぐれに射殺した.農夫たちを畑で処刑し,女性や子供も殺した.その野蛮さは癌のように広がった.
Ouham地域には17万人の人口があった.しかし,最もひどい影響を受けた後,首都Bossangoa周辺では,誰ひとりに会うこともなく,何時間も自動車を走らせることができる.自動車の音は住民たちを恐れさせ,森の中に逃げ出すのだ.
1960年にフランスから独立した後,CARの政府は常に暴力によって交代した.Selekaの兵士はイスラム教徒であり,住民の多数はキリスト教徒だ.彼らは差別を受けてきた.兵士たちの多くはCARの国民ではなく,スーダン,チャド,など,近隣諸国から参加している.何もしなければ,この激しい宗教対立はジェノサイドに至る,と国連が警告した.
l ドイツ経常収支黒字論争
BLOOMBERG Nov 7, 2013
Treasury
and Krugman Are Wrong About Germany
By Melvyn Krauss
GDPの7%を超える黒字を出すドイツに対して,アメリカ財務省はユーロ危機や世界デフレの原因であると避難した.ドイツは高品質の製品を競争的な価格で輸出しただけである.しかし,ケインズ政策の2人の信奉者がドイツの黒字を批判した(Paul Krugman at the New York Times and Martin Wolf at the Financial Times).それは,まるで黒字国が近隣諸国から盗んだ,と非難しているように聞こえる.
こうした非難の前提は,ヨーロッパの周辺諸国が何も得ていない,ということだ.それは間違っている.ギリシャはGDPの16%を観光業で得ているが,その最大の訪問者はドイツ人だ.また,ドイツの輸出企業は多くの労働者を南欧諸国から雇っている.彼らは多額の送金をしている.ドイツの貯蓄を再配分して,輸出部門から国内需要に転換せよ,というが,それが周辺の赤字諸国の利益になるという保証はない.ドイツ人が債務を過剰に増やすのであれば,それはギリシャにも世界経済にもマイナスであろう.
FP NOVEMBER 8, 2013
Paul
Krugman's Blind Spot
BY ANDERS ÅSLUND
2008年以来,NYTの人気コラムニストPaul Krugmanはユーロ危機について誰よりも多く書いてきた.しかし,彼の予想に反して,ユーロ圏は生き延びた.しかも,彼の助言を拒んで,財政規律を守った諸国の方が,守らなかった諸国よりも経済的かつ政治的に見て良好であった.
Krugmanは,主流派の英米経済思想を代表し,大きな支持を得ているが,そのヨーロッパの財政に関する理解は間違っている.2008年に書かれた彼のブログ("Latvia is the new Argentina.")で,彼は私を攻撃したが,その内容に驚いた.アルゼンチンは大国で,閉鎖的経済であり,概ねポピュリストの政策を追求していた.他方,ラトビアは非常に小さく,開放的な経済であり,EU加盟国として公的債務も小さい,ビジネス環境の優れた国だった.両者が経常赤字を市場で金融できない危機にあるという類似点だけで,Krugmanは皮相な類推を行った.
ラトビアはアルゼンチンのように通貨を切り下げず,厳格な政府支出削減により即座に市場の信頼を回復し,多くの経済改革を行って,ヨーロッパで最速の成長を実現している.また,Krugmanは,ユーロ圏を固定レート制と同一視しているが,ECBが示したように,これは中央決済システムを持つ通貨同盟である.もちろん,将来も崩壊しないとは断言しないが,Krugmanは何度も崩壊を予告して間違ってきた.
この100年間に,3つの複数諸国による通貨同盟(ハプスブルク帝国,ユーゴスラヴィア,ソビエト連邦)が崩壊したが,その後,ハイパーインフレーションに苦しんだ.(離脱と切下げを支持する)彼はそれを重視しない.
Krugmanは,ヨーロッパの供給側に問題があることを無視して,総需要ばかりを重視する.財政「刺激」策,大幅な財政赤字,財政再建の延期を勧める.しかし,彼の助言に従った南欧諸国は,財政規律を守る北欧やバルチック諸国に比べて,成長も雇用も劣っている.
それは財政政策による初年度の乗数を大幅に過大評価しているのだ.財政再建を重視するべき他の理由については全く無視している.また,多くの国で公的債務依存度が高く,市場は債務の増大を拒否している.Krugmanは,ヨーロッパの小国にとって債務依存の可能性が限られていることを,アメリカのように行動できると誤解しているのだ.
ヨーロッパにとって重要な問題とは,労働とサービスに関する市場が機能せず,供給面で制約があることだった.バルチック諸国とブルガリアは先行的な財政再建と構造改革を行って成長したが,ギリシャは最近になってようやく改革を始めた.Krugmanは,先行的な財政再建が信頼を回復して,金利低下と成長を回復する,ということをわかろうとしない.
NYT November 13, 2013
Big
Surplus Draws Plenty of Criticism for Germany
By JACK EWING, ALISON SMALE and JAMES KANTER
「はっきりしておきたいことは」と,経済金融問題担当欧州委員Olli Rehnは述べた,「我々はドイツの対外競争力や世界市場における成功を批判しているのではない,ということだ.それは事実,我々がEU加盟諸国のすべてに求めていることだ.」
「自国の投資が十分かどうかは,ドイツ自身が議論することだ.」・・・「ドイツの需要が多ければ,それはさまざまな程度に脆弱な諸国にも波及するだろう.」
Project Syndicate NOV 13, 2013
The
Real Heroes of the Global Economy
DANI RODRIK
経済政策の担当者たちは,成功した経済モデルを求めている.そこには多くの候補がある.中国は記録的な成長率を続けてきたし,ドイツやスウェーデンも先進諸国には例外的な高成長である.そうした諸国の指導者は,自分たちのようにすればよい,という.
しかし,もっと良く見れば,こうした成長モデルは大幅な対外黒字に依拠しており,誰でも模倣するものではない,ということがわかる.スウェーデンの経常黒字はGDPの7%,ドイツは6%である.確かに中国の黒字はGDPの10%から2.5%に減った.しかし,それとほぼ比例して成長率も減り,7%である.その水準はGDPの半分に及ぶ投資が支えており,これからも減るだろう.
すべての国が同時に黒字を出すことはできない.ドイツの蔵相Wolfgang Schäubleは,1990年代後半にドイツは労働市場を改革した,と自慢する.しかし,実際は,今も労働市場が他国に比べて大いに弾力的であるとは思えない.むしろ変わったのは対外収支である.ドイツ経済は世界の需要を奪って成長する,というMartin Wolfは正しい.
対外黒字に頼らない高成長の諸国を見ると,これらも逆のパターンで依存症にある.すなわち,資本流入によって国内の信用が拡大し,消費を増やす成長モデルだ.こうした成長は資本市場の気分次第で,もし資本流入が突然止まれば,大きく影響を受ける.例えば,最近アメリカの金融引き締めが始まるという不安が生じたときのように.インドやトルコを見ればよい.アフリカの高成長諸国もそうだ.
理想的な世界では,輸出指向型の黒字と,債務依存型の赤字とが均衡するだろう.しかし,現実の世界には,こうした継続的に均衡を保証するメカニズムは存在しない.そして各国の政策はしばしば対立する.
ある国が赤字を減らそうとすれば,それに見合って黒字を減らす国が無ければ,(現在のように)失業の輸出となり,デフレが進む.また黒字を減らす国はあるが赤字を減らす国が無いと,その結果は資本流入の突然停止や金融危機である.
世界経済の本当のヒーロー,他国がまねるべき模範は,対外不均衡の小さな国である.オーストリア,カナダ,フィリピン,レソト,ウルグアイは,成長のチャンピオンではないが,債務依存でも輸出をめざす重商主義モデルでもない.こうした国が無ければ,世界はもっと混乱しているだろう.
Project Syndicate NOV 14, 2013
Delusional
Germany
MARCEL FRATZSCHER
l 諜報活動の国際協力
FT November 8, 2013
America
and Germany need to share more secrets
By Philip Zelikow
l 中央銀行への過剰な期待
FT November 8, 2013
False
dawn rising
Project Syndicate NOV 11, 2013
The
Uncertain Future of Central Bank Supremacy
Mohamed A. El-Erian
歴史において,その後の失墜を大きくするために,頂点へと導かれた人々や制度があった.この数年,先進大国の中央銀行はほぼ支配的な政策決定者の地位に就いている.彼らが大恐慌の再来を防いだのだ.
しかし,中央銀行の責任が増すほど,その成果への期待が膨れ,特に,金融安定化,高成長,雇用回復,という3つの同時達成を求める期待がある.また政府は,かつて中央銀行への権力集中を妬んでいたが,今では彼らの助けを歓迎している.政府自身の経済ガバナンスがお粗末であったからだ.
先進経済大国の中央銀行は,このような地位を望んで得たわけではない.彼らが行動しなければ社会状態ははるかに悪化するという理由で,そのたびに行動した.彼らは時間を稼いで,他の機関が協力して行動するのを待ったが,ますます多くの時間を求められた.
中央銀行が最初にこのことを警告した.駐豪銀行が他の政策を補う力には限界があり,リスクが伴う,と.彼らは不完全な,かつて試されたことのない政策を使っていることを意識している.彼らを補完するべき他の政策は,国内,地域,世界の政治において建設的な見方を求めている.
中央銀行は,その社会に占めるべき位置を超えてしまった.政治的な独立性や,民間部門の行動に影響を及ぼすために必要な信頼は,もし失えば,容易に得られない.
FT November 14, 2013
Four
problems that question the efficacy of forward guidance
By Chris Giles in London
l 三中全会に問われること
FT November 8, 2013
Digital
innovation for social change
By Charles Leadbeater
Project Syndicate NOV 8, 2013
Chinese
Industrialization and its Discontents
BARRY EICHENGREEN
中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が招集された.中国は分岐点にある.その成長の記録はけた外れだが,その不均衡もけた外れであるからだ.いかなる国も所得の3分の1以上を生産的に投資し続けることはできないが,中国は2分の1を投資している.通常,所得の3分の2は家計によって消費されるが,中国では3分の1である.
この低い消費への分配は,不平等を悪化させている.農村と都市の,エリートと大衆の間で,格差が拡大する.大学を卒業して就きたい事務職はなく,工場では働きたがらない.ブログでもデモでも,社会不安は高まっている.
中国の指導者たちはこれらすべてを良く理解している.経済を投資から消費に向けて再均衡化し,それがサービス部門を拡大し,好ましい職場を増やすことを知っている.社会保障制度や農村における所有権の確立が必要なことも知っている.
しかし,彼らは成長率の低下を恐れて躊躇している.その結果,改革を先送りするのは時限爆弾である.将来,成長率は一気に下落するからだ.
では,どうすればよいのか? イギリスの歴史に学ぶことだ.20年続けて10%を超える成長を実現した発展途上国はないが,200年前のイギリス工業化に並ぶ国もない.
イギリスの急激な成長は深刻な諸問題を生じた.不平等が拡大し,小土地所有者を追い出す「囲い込み」,都市の汚染,W.ブレイクが「暗黒の悪魔的工場」と呼んだ非人間的な労働条件が展開された.当然,社会不安は高まった.綿織物工場で労働者たちが機械を破壊するLuddites やSwing Riotsが起きた.
これに対してイギリスの政治家たちはセーフティーネットを改革した.1834年,救貧法の改正である.さらに,中産階級に選挙権を与える政治改革を行った.1832年,選挙法改正である.また,経済の理バランスを促す政策を受け入れた.1846年,穀物法撤廃である.
最後に,イギリス政治家は,世界最速の成長という地位を無理やりに保持し続けなかった.アメリカやドイツに抜かれるという批判を受けたが,経済が農業から工業,そしてサービスへと発展することを妨げなかった.それがイギリスに持続的な成長を実現したのだ.
中国の指導者たちは,19世紀の,ヨーロッパ北西海岸を離れた,風の強い小さな島が経験したことなどに,関心を持たないだろうか?
Project Syndicate NOV 8, 2013
China’s
Quest for Value
ZHANG MONAN
VOX 8 November 2013
Quid
pro quo: Technology capital transfers for market access in China
Thomas Holmes, Ellen McGrattan, Edward C. Prescott
なぜ中国に対する直接投資による技術移転は進まないのか? その契約形態に問題がある.
WP November 8, 2013
China’s
coming challenges
By Fareed Zakaria
シンガポールの元外務大臣George Yeoは言った.「北京とワシントンとの対照にわれわれは皆ショックを受けた.」 2つの首都が全く異なるガバナンスの質を示したからだ.特にアジアでは,中国に比べて,アメリカが公共政策の能力を失った,とみている.
確かに中国は,経済・政治・社会の抜本的改革という課題に直面しており,「中所得の罠」に陥るという者もいる.他方,アメリカは世界で最も革新的な経済,ダイナミックで成長する社会を持つが,多くの分野で見識ある公共政策が実行できない.インフラ,社会保障,移民に関して,ワシントンはこの先まだ数年間は改革できないだろう.
Yeoと私は,中国の習近平主席を含む指導者たちが参加するthe Berggruen Instituteに来て,彼らがこれまでになく自信に満ち,リラックスしていると思った.かつて彼らは弱点や問題を議論し,中国はアメリカにどれくらい遅れているか,と話していた.今回,そうした声はほとんど聞かれない.中国は今も,世界中から優れたアイデアと最高の実践を探し求めている.シンガポールなど,他国から進んで学んできたから中国は成功できた,と習主席は述べた.
近年,北京は躊躇しているように見えた.政治的に困難な改革を延期し,低利融資を与えて成長の減速を回避したように思う.しかし高官たちは,今度はそうではない,と言う.李克強首相は,金融緩和で「火に薪をくべる」ようなことはしない,と.
「かつてない」市場志向の改革を約束した.しかしそれは,民主主義を実現することではないだろう.官僚制度を,効率的,効果的,正直にする.地方裁判所を,これまでのような腐敗した地方政治家の支配下ではなく,おそらくアメリカの連邦システム(巡回区控訴裁判所)に似た形へ整理する.
そのため,指導部は戦略として,経済的に正しい行動を取るため,政治的に左へ寄ったのだ,とある参加者は述べた.中国はこの改革に成功する,という者が多かった.中国のエリートたちが政治的・社会的な緊張が高まっていることをよく知っており,社会やインターネットに若干の自由を許して対応するだろう,とYeoは言った.しかし,こうした緊張が手に負えなくなる前に介入し続けるだろう.彼らはエンジニアだ.いかなるシステムにも,減速のために摩擦は必要だ.摩擦が大き過ぎれば機械は止まり,小さすぎればシステムが不安定化する.
しかし,政治システムを機械のように管理できるだろうか? たとえ最高のエンジニアたちにとっても,難しい課題である.
FP NOVEMBER 8, 2013
Third
Time's the Charm
BY ROBERT KEATLEY
上海の自由貿易特区.国有企業が依存する金融の改革.地方政府の財政改革.エリートに対する情報公開と説明責任.
NYT November 9, 2013
New
China Cities: Shoddy Homes, Broken Hope
By IAN JOHNSON
中国都市のゲットー化.ネットカフェに集まる若者,家事を強いられる老人,社会的紐帯の消滅.自殺者の増加.ギャング,麻薬,暴力.
先祖からの土地を奪われ,壁にひびの入った,雨漏りのする窓,さび付いたエレベーターのアパートに暮らす農民たちは,騙されたという感覚を持つ.
2013-11-08 (China Daily)
Empower farmers in land deals
By Xin Zhiming
NYT November 11, 2013
Online
Shopping Marathon Zooms Off the Blocks
By SHANSHAN WANG and ERIC PFANNER
11月11日を,未婚の男性は酒を飲んで過ごす.1が4つ並ぶ日を,e-コマースのAlibaba がいわゆる「独身の日Singles’ Day」として5年前に宣伝し始めた.それは単に彼らがショッピングで憂さ晴らしする日になったが,記録的な売り上げに成功した.その月曜日に,サイトを訪れた者は4億200万人.1億5200万個の小包を発送した.
FP NOVEMBER 11, 2013
Why
the Carrot Isn't Working, Either
BY SCOTT RADNITZ, SEAN ROBERTS
2013-11-11 (China Daily)
Reducing inequality a priority
By Colin Speakman
2013-11-11 (China Daily)
Government
reform
FT November 13, 2013
China:
The road to reform
By Jamil Anderlini
中国北部の有毒スモッグに苦しむ住民たちは,中国が世界で最も厳しい環境規制を持つ国だ,と聞くと驚くだろう.成長を優先する地方官僚たちがそれを守らないだけである.
何年も前から政府は目標を掲げているが,達成されてこなかった.今回の三中全会でも同じだ.財政改革,貧富の格差是正は強調されているが,具体的には何も行われない.
FT November 13, 2013
How
to make “comprehensively, deepening reform” in China
Yukon Huang
市場はもっと具体的な施策を求めている.多くの分野で民間部門の活用を望むだろう.
しばしば見逃されているが,都市化の正しい管理は社会的な不安を鎮め,成長にも貢献する.都市化とは,単に,より多くの人口が都市に移住するのを許すことではない.それは都市と農村の土地市場を統合し,改革することでもある.そうすれば農民たちは集団として利用している土地の利用権を適正な価格で売れるだろう.都市の出稼ぎ労働者たちが社会サービスを利用できれば,不平等は緩和され,消費が増えるだろう.
VOX 8 November 2013
TPP,
TTIP and multilateralism: stepping stones or oceans apart?
Lucian Cernat
theguardian.com, Wednesday 13 November 2013
Thanks
to WikiLeaks, we see just how bad TPP trade deal is for regular people
Dan Gillmor
l アメリカとイランの緊張緩和
FP November 8, 2013
Let's
Make a Deal....
Posted By Stephen M. Walt
オバマは合意に応じるべきだ.アメリカ国民は支持するだろう.
ケリー国務長官はジュネーブにいる.イスラエルとパレスチナとの和平ではなく,イランが6か月間核開発計画を遅らせるのと交換に,アメリカはいくつかの小さな制裁を解除する,と言う合意のためだ.これは最初の小さな一歩でしかない.その目的は信頼を醸成し,より包括的な次の合意に向けて時間を作ることだ.
対立の構図は明確になった.一方に,オバマとケリー,アメリカ交渉チーム,軍備管理コミュニティー,多くのアメリカ国防関係者がいる.彼らはイランがウラン濃縮を全廃することでは合意しないと理解している.また,イランが核兵器をどうしても得るつもりなら,アメリカがそれを物理的に阻止できないことも理解している.たとえ軍事力により核施設を破壊できても,彼らはそれを再建するし,われわれは将来いつまでも攻撃することになる.イランは現在核兵器を作っておらず,合意はその決意を固めるだろう,と彼らは考えている.中東で新しい戦争を起こすことは,われわれにも,他国にも,破滅的であり,イランがより強い抑止力を求める動機になる.時間をかけるほど,合意内容は不利になる.
FT November 10, 2013
Iran
will test Obama’s diplomatic game plan
By Edward Luce
The Guardian, Monday 11 November 2013
Iran:
don't let the naysayers prevail
Jonathan Steele
FT November 11, 2013
France
has played its cards right on Iran
By Gideon Rachman
NYT November 11, 2013
A
Doable Iran Deal
By ROGER COHEN
NYT November 12, 2013
What
About US?
By THOMAS L. FRIEDMAN
アメリカには,イスラエルやアラブ湾岸諸国のスンニ派とは異なる利益がある.イランの核武装を防ぐとともに,アメリカとイランとの34年に及ぶ冷戦を終わらせることだ.われわれの同盟諸国には,イランの核施設を空爆して,イランを永遠に孤立させ,弱め,地域の外交に参加できない国家にしておくことを望む国もある.地域の中で,イランとの外交をゼロサム・ゲームとみなしている.
しかし,イランがアメリカの安全保障に関して影響力を有する分野が多くある.すなわち,シリア,イラク,アフガニスタン,パレスチナ・イスラエル紛争,テロ,エネルギー,核拡散.イランとの緊張はこうした問題を悪化させ,緊張緩和はこうした問題を緩和する.
Nader Mousavizadeh(the Iranian-American co-founder of Macro Advisory Partners and a former top aide to U.N. Secretary General Kofi Annan)は言う.「イランとのデタントは,われわれの関与する利益に合った,将来のバランスある外交をもたらす.同時に,アメリカは国内の再建ができる.」 「部族間や宗派間の過去の理由で果てしない戦争を望む者は,開放的な,統合された,多元的社会が持つ自分たちの発展を阻んでいる.・・・彼らはそうするかもしれないが,それはアメリカの戦争ではない.」
FP NOVEMBER 12, 2013
This
Deal Won’t Seal Itself
BY DAVID ROTHKOPF
FT November 13, 2013
The
simple, logical answer to the Iran nuclear conundrum
By Yuval Steinitz(Israeli minister of intelligence)
単純で,明快な解決策はある.イラン(核処理能力)とその他の世界(核武装の阻止)との対立は,次のように解決される.イランは,核の平和的な利用として,電力や医療に用いるが,核燃料棒は外国で作る.なぜイランはそれを拒むのか?
FT November 13, 2013
Iran
and the US should start final-status negotiations
Richard Haass
フランスのLaurent Fabius外相は,イスラエルに同調して反対した.その結果,イラン,米,仏,露,EUの暫定委員会によってさらに議論される.
直接に,速やかに,最終合意するべきだ.イランは経済を再生する何かを求めている.アメリカと他の諸国は戦争とイラン核保有との2者択一を回避したい.
NYT November 13, 2013
Ending
Nuclear Overkill
By BENJAMIN H. FRIEDMAN and CHRISTOPHER A. PREBLE
FT November 14, 2013
The
four big truths that are shaping the Iran talks
By Philip Stephens
FT November 14, 2013
American
engagement in Asia could help in the Mideast
Kurt Campbell
中国の台頭に取り組むアジア外交は難しいが,アメリカの関与を求める点では非常に強いものがある.アメリカのアジア外交は,中東やヨーロッパに比べて,成功している.ミャンマーの制度構築,さまざまな経路による中国の包摂,北朝鮮に対する多角的な警戒,新しい通商交渉.その成果は,中東外交にも転換できるだろう.
(後半へ続く)