前半から続く)


l  アベノミクスの失速

NYT November 8, 2013

The Olympics of the Future

By HIROKO TABUCHI

FT November 11, 2013

Abe’s dilemma

デフレ脱却は,最初,大きく前進したように見えた.しかし,インフレになるのは遅れている.エネルギー・コストの上昇が主で,賃金は上昇していないからだ.

安倍の改革は,労働市場を含めて,農業やサービスなど,本当に難しい問題を避けている.その意味でも,賃金上昇が必要だ.

FT November 11, 2013

An Olympic No

BLOOMBERG Nov 11, 2013

Behind the Scenes of Tokyo’s Political Soap Opera

By William Pesek

安倍は,小泉元首相の裏切りから学ぶべきだ.小泉氏は日本の政治家の中でも特に高い支持を得た政治家であり,時代の流れを読む鋭いセンスがある.これまで表舞台に立たなかった彼が,突然,日本の原発を廃止するべきだ,と発言し,安倍の改革プログラムを否定した.

安倍が小泉から学ぶことは5つある.1.約束を守れ.2.人々に求めるより,人々の声を聴け.3.自分の問題ではなく,時代の問題に向き合え.4.中国や韓国と和解せよ.5.最後まで権力を握って改革を継承させよ.

小泉は,国民が受けた大震災の衝撃を機に,自民党を変えるよう求めている.

FT November 12, 2013

Koizumi issues strong call for abandonment of nuclear power

By Jonathan Soble in Tokyo

Project Syndicate NOV 12, 2013 0

The Return of Japan

JOSEPH S. NYE

FT November 13, 2013

It’s the first arrow of Abenomics that matters

By David Pilling

3の矢は腰砕けだ.改革も規制緩和もなければ,アベノミクスはじり貧になり,経済はデフレに戻る.

アベノミクスとは,革新的な金融政策のことだった.安倍首相の示す構造改革・産業再生の計画には,グランド・ビジョンがない.成長率を高めるには,もっとラディカルな行動計画が必要だろう.ところが安倍は保守派であり,その理想は21世紀よりも19世紀の日本を見ている.

FT November 13, 2013

Japan effect eclipses Fed taper concerns

By David Bowers


FP NOVEMBER 8, 2013

The Nuclear Handshake

BY SIMON HENDERSON


l  オバマケアの混乱

NYT November 9, 2013

Why I (Still) Support Obamacare

By THOMAS L. FRIEDMAN

FT November 10, 2013

Give the Obamacare bug the correct treatment

By Lawrence Summers


l  パリの周辺

NYT November 9, 2013

The Other Paris, Beyond the Boulevards

By MIRA KAMDAR

私はパリの外側,the Périphériqueの向こうに住んでいる.この環状道路は,光の都市と闇の郊外とを分けている.私の居住区はPantin内にあり,悪名高いパリ北東部のbanlieuesである.日常会話で住所を述べた途端,その人は私から飛びのいて,「なんて恐ろしい!」と口走った.そこは恐るべき場所ではない.そして,良くも悪くも,そこで新しいフランスが形成されている.

私の隣人たちは世界中から来ている.アフリカ,南アジア,中国,ベトナムからの合法・非合法移民たちだ.白人なら,ポーランド,ウクライナ,ロシア,セルビアである.良いバケットや,肉の切り身,高級なチーズは手に入らないが,レモン,特別なスパイス,バスマティ米,レモングラス風味のタイ・ソーセージが手に入る.-

隣人たちのコスモポリタニズムを過小評価してはいけない.あるときメトロ(地下鉄)で,若いアフリカ系フランス人女性の隣に座った.突然,彼女の電話が鳴って,驚いたことに,彼女はヒンズー語で応えていた.私は思わず,どこで習ったのですか? と尋ねた.すると,パリの福音主義教会で教わったそうだ.福音主義のプロテスタントは,移民コミュニティーに広く信仰されている.

私のアパートの周りは,どこでもクレーンが立っている.建設ブームなのだ.パリは地下鉄に囲まれて,その駅名にはジェンダーの平等が反映されるという.この近隣は,フランスの福祉国家と住民の増大する多様性とがますます大きなギャップを示している.

私は,絶望しないし,恐れもしない.永遠のパリが静止した華麗さを示すとしても,何か生き生きしたものがあるから.偉大な都市の未来はその周辺にこそある.


l  教育の問題

NYT NOVEMBER 9, 2013

The 21st Century Silver Spoon

By ELIZABETH CURRID-HALKETT

Project Syndicate NOV 11, 2013

Putting Education First

Gordon Brown

FT November 12, 2013

Pakistanis will regret marginalising Malala

Ahmed Rashid


l  日本病を恐れるヨーロッパ

FT November 10, 2013

The eurozone needs to get inflation up again

By Wolfgang Münchau

FT November 11, 2013

ECB must act to prevent euro aping strong yen

By Mansoor Mohi-uddin

金融危機後に,金融緩和策が遅れ,しかも遅すぎたために,日本は成長が減速し,輸入が減って輸出が伸びた.それは円高を過度に進めて,長いデフレを招いてしまった.ユーロ圏がその危険を避けるため,ECBは迅速に金融緩和し,銀行の不良債権処理を促すべきだ.

SPIEGEL ONLINE 11/11/2013

Easy Money

ECB Embarks on Risky Experiment

By Martin Hesse and Anne Seith

インフレではなく,ユ-ロ圏内部でデフレが起きそうだ.それはアメリカや日本に大幅な金融緩和を選択させた.ユーロ圏の場合,為替レートもないので,競争力の違う国が均衡を回復するには物価をデフレ,他の国はインフレにする必要がある.

ドイツはハイパーインフレの可能性を恐れているが,ドイツでも,ユーロ圏内の高いインフレ率を受け入れるだろう.

NYT November 11, 2013

Skeptics See Euro Eroding European Unity

By DANNY HAKIM

FT November 12, 2013

Why Draghi was right to cut rates

By Martin Wolf

ECBのドラギ総裁が金利を引き下げたが,ドイツの2人の代表と,オランダ,オーストリアの中央銀行総裁は反対した.以前から特別な金融措置に対する反対はあったが,今回のようない金利変更で基本的な政策対立が表面化したのは初めてであり.ECBやユーロ圏の正当性を損なう問題だ.

ドラギ総裁を,イタリアの利益のために行動した,と非難する者もいるが,ECBのコア・インフレーションは目標の半分である(そして,本当はゼロに近い)から,金融緩和の根拠は明確である.さらにユーロ圏内の競争力や,ゼロに近い水準での金融政策の効果,という問題がある.

より重要な理由は,過剰生産力と効率業率によって,ユーロ圏がデフレになる危険が大きいことだ.確かにドイツにとって,低金利は資産バブルの危険を生じる.しかし,こうした不一致は通貨同盟を形成することで,どの国にも生じている問題である.

多くのドイツ人は,ユーロ圏の外にいる方がよかった,と思うかもしれない.その通りだ.しかし,ドイツ・マルクが通貨同盟の外にあれば,日本が経験したように通貨価値が大幅に増加し,ドイツの製造業も近隣諸国へ一斉に移転されただろう.それはドイツの不況と,おそらくはデフレをもたらす.

ユーロ圏の調整を助けるためには,インフレ率を3%に高める方がよいだろう.なるほどECBはドイツの最適通貨圏ではない.しかし,ドイツにとっても,あったほうがよいのである.

NYT November 12, 2013

Germans Could Be Victims of Their Own Success

By JACK EWING and JAMES KANTER

FT November 13, 2013

Why Draghi was wrong to cut interest rates

By Hans-Werner Sinn

ヨーロッパは日本病を恐れている.日本のGDPデフレーターは,19992013年に,年約1.2%で下落した.現在の物価水準は1980年に等しい.

ユーロ圏のGDPデフレーターは1.6%,消費者物価指数もわずか0.7%の増加である.しかし,通貨同盟全体のデフレは,その一部の問題と区別するべきだ.なぜなら競争力の差が為替レートの変化で調整できないから,デフレが必要になるから.ECBはこうした諸国(ギリシャ,スペイン,ポルトガル)のデフレを緩和するために金利を下げてはいけない.

市場が物価の相対的水準を調整する.すなわち,ドイツの貯蓄は不動産に流れ,建設ブームが起きて,賃金を上昇させている.その結果,一般の賃金水準や物価も上昇し,ドイツの経常黒字を解消するのだ.

ところが,ECBはこの自動調整を妨げている.ドイツの貯蓄を南欧の政府債に投資するよう促したり,南欧の中央銀行を通じて怪しい担保にも融資を増やすように助けたりしている.また過剰な通貨供給がユーロ安を促し,ドイツの経常黒字をもっと解消できなくさせている.ドイツの黒字は,通常の民間債権ではなく,その4分の3が他の中央銀行に対する債権だ.

こうした政策をやめて,ドイツのインフレが日本病を治すようにするべきだ.


l  革新的イギリス

The Observer, Sunday 10 November 2013

We shouldn't be fatalistic about our future. There is another way

Will Hutton

グローバリゼーションの不平等化に従って,さらに賃金を削るしかない,と思うのは間違いだ.政治家たちは何もできない,と言い訳するより,もっとダイナミックな,革新的イギリスに向けて,教育や訓練に投資するべきである.イギリスの資本家階級は間違った選択をして,近視眼的な株取引の利益に偏っている.われわれに欠けているのは,革新の才能ではなく,それを発火させる大きな構造である.


l  東欧の進路

FT November 11, 2013

Eastern Europe: Which way to turn?

By Neil Buckley and Roman Olearchyk


l  フィリピンの台風被害

NYT November 11, 2013

Typhoon in Philippines Casts Long Shadow Over U.N. Talks on Climate Treaty

By HENRY FOUNTAIN and JUSTIN GILLIS

フィリピンを襲った台風の被害は,ワルシャワの気候変動に関するグローバル協定に向けた国連の話し合いに衝撃を与えた.参加者たちは行動しないことがこうした被害を増やす,と合意形成に向けて一層の努力を求めた.

しかし,科学者たちは慎重だ.それらを結びつける十分なデータはない.

発展途上諸国は,単に化石燃料の利用を制限するだけでなく,歴史的な排出に対する責任を認めて,西側が彼らの気候変動に対処する資金援助をするべきだ,と主張する.西側は原則としてそれを認めているが,その規模は小さく,中国のような,高成長国が排出規制をまぬかれることを懸念している.

ワルシャワの合意は,各国ができるだけ炭素排出量を減らすように求めるだけだろう.

FP November 11, 2013

Everyone Hates U.S. Bases in Asia -- Until Disaster Strikes

Posted By Dan Lamothe

FP November 12, 2013

Why the Philippines Is Ground Zero for Super Storms ...And Why Recovery Is So Difficult

Posted By Catherine A. Traywick

BLOOMBERG Nov 11, 2013

What Philippines Can Learn From 2004 Tsunami

By Akash Kapur

FP NOVEMBER 13, 2013

Why Is China Giving the Philippines the Cold Shoulder?

BY DAVID BOSCO

WP November 14, 2013

Aid after typhoon in Philippines shows the politics of generosity

By Anne Applebaum

数か月前に北京で,フィリピン人の女性ジャーナリストにあった.彼女は素晴らしいアメリカ英語を話したが,それは米軍基地のそばで育ったからだ.彼女は北京で仕事を得て,財をなすことに感謝していた.私は彼女に,それを生かしてアメリカに行ってみたいと思わないか,と尋ねた.しかし,彼女は肩をすくめた.アメリカはビザもくれないし,仕事もないだろう,と.

アメリカン・ドリームは,国内の中産階級にとってだけでなく,外国の人々にとっても失われた.特に東アジアでは,新しい機会の国,巨大な中国経済が現れている.

フィリピンで台風の被害が広がると,その規模がわかる前から,アメリカは直ちに行動した.最悪の被災地には貨物輸送機や船舶を派遣した.2000万ドルの緊急援助を約束した.イギリス政府も1600万ドル,ヴァチカンでさえ400万ドルを約束した.しかし,東アジア最大の,新しい機会の国,中国の援助は,10万ドルだった.

そこには政治が絡んでいる.中国とフィリピンは島の領有をめぐって厳しい対立関係にあった.しかし同時に,人々がパワーに対して異なった態度を取ることが関係している.アメリカやヨーロッパでは,強い者,豊かな者は,それに対する責任を果たすと考えられている.シリア内戦で生じた難民にアメリカやヨーロッパは援助するが,中国の支援額はルクセンブルグよりも少ない.中国は国連安保理で拒否権を行使し,シリア情勢に重大な影響を与えたにもかかわらず.

中国も開発援助をするけれど,それは中国向け資源輸出を容易にするからだ.中国は慈悲深さを示すことに関心がない.

アメリカの力は衰え,アメリカの地位は低下し,アメリカの魅力も次第に消え去る.しかし,アメリカが超大国で亡くなったとき,あなたはそれを悲しむだろう.


l  資本規制と国家破産

VOX 12 November 2013

Capital controls and the resolution of failed cross-border banks: The case of Iceland

Friðrik Már Baldursson, Richard Portes

アイスランドの金融危機後に導入された資本規制は,どのような効果を及ぼしているか?

VOX 12 November 2013

Revisiting sovereign bankruptcy

Lee C. Buchheit , Beatrice Weder di Mauro, Anna Gelpern, Mitu Gulati, Ugo Panizza, Jeromin Zettelmeyer

金融危機において生じる,維持不可能な政府債券の破産処理や組み換えを制度化するべきだ.ユーロ圏内部と,グローバルなレベルで提案する.


Project Syndicate NOV 13, 2013

A Grand Unified Economic Theory?

DAMBISA MOYO


l  EU政治

FT November 14, 2013

Monnet’s Europe needs reform to fit the 21st century

By Frans Timmermans

FT November 14, 2013

Europe’s far right prepares for battle

5月,39000万人がヨーロッパ議会選挙に参加する.もっとも困惑する問題は極右政党の支持者が増えていることだ(Marine Le Pen’s National Front in France and Geert Wilders’ Freedom party in the Netherlands).基本政策が異なっているにもかかわらず,2つの極右政党は連携に合意した.その結果,ヨーロッパ議会で会派を形成し,アメリカ議会でティーパーティーがやったように,法案を阻止する可能性が高い.

最も効果的なのは,ヨーロッパの景気回復,失業の減少をもたらす政策だ.しかし,ドイツが反対しているから,まだ時間がかかる.主流派政党は,極右会派を議会運営から排除するのではなく,有権者が不安を感じているヨーロッパの将来や移民問題について,積極的に議論しなければならない.

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The Economist November 2nd 2013

Go on, bet the farm

Changing the economy: The long weekend

Espionage and America: Rules for spies

The presidency: Whoops

Charlemagne: Fawlty Europe

Free exchange: No need to dig

(コメント) 中国の三中全会が示す改革のプランには見えない本当の目標がある.それは,土地利用権の売買,出稼ぎ労働者の生活改善,都市化,など,各地で試されている.

アメリカのNSAによる諜報活動は,同盟諸国間で,どのような合意をもたらすのか? オバマは医療保険制度改革の実施に失敗し,スパイ組織の管理にも失敗した.EUは,互いの経常収支不均衡を精査し,政策勧告するシステムを持っている.アフリカで成長している国は,必ずしも資源輸出国ではない.

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IPEの想像力 11/18/13

ドイツの経常収支黒字に関して論戦が起きています.私は国際通貨システムにおける調整過程を重視します.つまり,この点ではKryugman=Wolf派です.

経常収支黒字のすべてが悪いとは思いません.概ね,外貨準備が国内経済運営に対する自由を意味する諸国にとって,黒字が重視されるでしょう.また,貯蓄と投資のバランスを変える事件があれば,対外的な不均衡を生じて,国内のショックを緩和するのは良いことです.しかし,アメリカや日本のように自国通貨が国際的に受容され,流動性危機を無視できるなら,赤字になっても良いのです.赤字であれ,黒字であれ,資本市場が政策に反発すれば,それが限界です.

ユーロ圏は,まだ新しい,不完全な共通通貨圏です.最大の黒字国であるドイツは,ECBの政府債購入や銀行同盟への消極姿勢を責められています.金利や為替レートを共有する諸国間にも,ユーロ圏に限らず,どのような通貨圏内でも,さまざまな不均衡が生じます.その政治経済構造が調整過程に反映されます.

もちろん,効率的な物流システムやインターネット取引,活発な市場競争があれば,価格による調整が進むでしょう.財の価格も要素価格も,赤字国で下落し,黒字国では上昇する結果,不均衡を自動的に調整するはずです.しかし,賃金や価格を下げることが難しい程度に応じて,調整には時間がかかり,赤字国の失業が増大します.

この点を,The EconomistCharlemagneはサービス市場の統合化として主張しています.またHans-Werner Sinnは,「日本病」を避けるにはECBが介入しなければよい(物価や要素移動が自動的に調整を進める),と主張します.しかし,多くの失業者が苦しんでいる現実を変えるには,投資や財政移転が必要です.

将来,政治統合が完成すれば,赤字地域には合意されたルールで財政移転がなされるでしょう.ドイツは東西ドイツの再統合に対して財政的に移転しました.しかし,ユーロ圏はそうなっていません(それを恐れています).フランスは以前から「経済政府(エコノミック・ガバナンス)」を提唱していますが,合意には遠いのです.

さまざまな制度や社会活動を共有していれば,不況地域と好況地域の間で活発な要素移動(移住・投資)が起きます.複数言語で,初等教育から共通の科目を学び,医療や保険,年金,など,社会サービスも共通していると,労働者は家族を連れて移動し,企業も他国に投資しやすいでしょう.さまざまな市民活動・文化サークルがあれば,新しい街にも容易に溶け込めます.

現実のユーロ圏を維持する政治的合意や,制度・社会の統合が不完全な程度に応じて,需給の不均衡は赤字国のデフレや失業増大となり,徐々に,黒字国にもインフレやバブル(そして不良債権,投資・雇用の流出,「日本病」)をもたらすわけです.

ÅSLUNDは,ヨーロッパが開放型の小国で,ユーロ圏からの離脱,そしてユーロ圏崩壊は,決して選択できない,という点に注意します.財政再建で金利上昇を抑えたのは,ラトビアがアルゼンチンでもアメリカでもないからです.また,ユーロ圏の不均衡は,総需要管理の問題だけでなく,競争力の違いを生んでいる制度の改革や積極的な投資による調整を求めています.

ドイツは,Kryugman=Wolfが主張するように,全体としてのユーロ圏の運営に責任を持つべきです.赤字国の調整を求めるなら,ECBによる金融緩和やインフレ,ユーロ安を支持し,ドイツもその投資と輸入を増やすことで責任を果たします.

では・・・日本はどうか? 日本のデフレをめぐる国内需要管理の転換と,対外的な貿易黒字の消滅,対米ではなく対中貿易が増大していく中で,ドイツのような共通通貨圏はありません.物価や賃金を容易に調整できる条件を創り出せたでしょうか? 制度面や社会生活面で,国境を越えた統合化を進めているでしょうか? 政治的な協力関係を深め,為替レートの安定化や調整,金融政策の協調に積極的でしょうか? 円圏やアジア共通通貨を作らなくてよかった,と思うのは間違いです.

それらが遅れるほど,日本は対外不均衡に頼らない,国内の制度的革新と成長力を維持しなければなりません.そして,米中間で貿易と投資の不均衡,政治対立,安全保障に関する論争が起きる中でも,国際システムの優れた構想を示すことです.

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