IPEの果樹園2013
今週のReview
10/28-11/2
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新興諸国とヨーロッパ ・・・イスラエルと和平 ・・・アメリカの衰退・・・中国経済の悲観と楽観 ・・・サウジアラビアの憂鬱 ・・・Mikhail Khodorkovskyの10年 ・・・日本が学ぶこと ・・・移民の国際ルール ・・・戦場も,和平も
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
l 新興諸国とヨーロッパ
SPIEGEL ONLINE 10/16/2013
Emerging
Challenges
What's
In Store for the New Global Powers
An Essay by Erich Follath
中国,インド,ブラジル.彼らが世界経済に嵐を呼び,政治的な自信を深めている.成長や技術の受け入れ能力で見て,これらの諸国の都市は世界で「最もダイナミックな都市」の最高位を独占している.ベルリン,フランクフルト,ミュンヘンは50位にも入らない.
工業生産で最も競争力があるのは,ドイツやアメリカを抜いて,中国である.世界の企業ヒエラルキーを動かすのは,2017年までに,旧工業諸国を退け,中国,インド,ブラジルになる.この150年間で初めて,中国,インド,ブラジルを合わせたGDPが,欧米の旧工業諸国(Canada, France, Germany, Italy, United Kingdom and the United States)を合わせたGDPに等しくなった.
政治的にも,中国,インド,ブラジルは自信を深めている.国連安全保障理事会で,中東に関して中国は気に入らない決議をすべて拒否し,極東では海軍力を拡張してきた.インドも世界の軍縮に反して自国の核保有を強め,ブラジルはNSAの諜報活動に抗議してオバマ大統領との会談をキャンセルした.
ロシアと南アフリカを加えたBRICSは,世界銀行に対抗して,1000億ドルの開発銀行を設立した.国際的な環境規制を押し付けられるのを拒否した.インドと中国が支持し,アメリカは反対したが,WTO議長にブラジルのRoberto Azevêdoが選出された.
50年前,ブラジルは破産した軍事独裁国家であり,インドは遅れた農業国,中国では文化大革命が吹き荒れ,民間保有の自動車など町に1台も無かった.
しかし,喜べない反面もある.北京,ニューデリー,ブラジリアは成果を強調するが,国内各地に政府の汚職やコネ,非効率を糾弾するデモが起きている.同時に景気回復は遅れている.彼らの開発・経済発展モデルが互いに全く異なっている.中央集権と一党独裁に,野蛮な資本主義的要素を加えた中国,連邦制と混沌に陥った門主主義のインド,大統領制下で硬化した諸政党が動くブラジル.しかし,新しい都市中産階級が形成され,社会的不正義や貧富の格差にますます意識が高まっているのだ.
政治エリート層が自分たちに最も感謝すべきだと思っている人々がデモに参加して抗議している.それはかつて,フランスの旅行家Alexis de Tocquevilleが19世紀半ばに描いた,貧しい大衆が革命を起こすのではなく,失うものを持っている者たちが革命を起こす,という理論に近い.インドの化学工場建設,中国の有害な食品,大気汚染,特権層,ブラジルの教育機会,虚栄に満ちた建造物が,怒りを呼んでいる.人々は政治家に説明を求め,統治の改善を求めている.
たとえ彼らが自壊する傾向を示しても,欧米が回復する保証にはならない.アメリカの楽観は,要するに,環境破壊の疑いのあるフラッキング技術により天然ガスの自給力を得たことだ.ヨーロッパには大きな不安がある.ユーロ圏の様々な改革はドイツのメルケル首相も受け入れているが,期待されるほどには進まない.
このまま停滞するヨーロッパは,新興勢力の争う世界で将棋の単なる駒になり,文化のアミューズメント・パークとしてだけ称賛されるかもしれない.われわれ次第である.われわれはここを住む場所に,われわれがダイナミックに未来を目指す場所にするのか?
l イスラエルと和平
FT October 20, 2013
Iran’s
diplomacy shows a recognition of its decline
By Katerina Dalacoura
1979年のイスラム革命以来,アラブ世界の指導者になろうとイランは努めてきたが,そのイデオロギーは反米,反西側であった.しかし,2011年のアラブの春は,彼らが予想したような,若者たちのイスラム主義への支持を示さなかった.イランはその後のアラブ世界の変化で影響力を失ってきたのだ.
イランの同盟諸国は,シリアのアサド政権が無慈悲な弾圧政策を採用したように,反発を呼んでいる.イラン外交姿勢における転換は,このような失敗を認め,地域の指導力を得るために反米姿勢を改めたものである.イランの衰退がアメリカ外交に新しい機会をもたらしている.
FP OCTOBER 21, 2013
Rogue
State
BY URI SADOT
1981年6月7日,イスラエルは「オペラ作戦」を敢行し,サウジとイラク上空を越えて飛行小隊がバクダッド近郊の,フランスが建造中であったプルトニウム原子炉を爆撃した.イスラエルの指導者たちは,サダム・フセインがそれを使って核兵器を製造すると恐れたからだ.
作戦は成功したが,国際的な反発は強かった.アメリカ政府もイスラエルの姿勢を非難した.
もし外交がイスラエルの安全保障を与えないとネタニヤフが結論すれば,イランとの交渉がネタニヤフの爆撃命令を止めることはできないだろう.むしろ一つの起こりそうなシナリオとして,オバマがイランとの交渉で大きな成果を上げたとき,イスラエルが孤立し,しかもテヘランからの脅威を取り除けていないと考えたとき,イスラエルは行動するだろう.
l アメリカの衰退
FP OCTOBER 18, 2013
Imperial
Understretch and the Fall of Great Powers
BY JAMES TRAUB
アメリカは典型的な衰退する大国の兆候を示している.Paul Kennedyは,ローマ帝国,スペイン帝国,ヴィクトリア時代のイングランドを特に参考に,地域を支配し,世界を支配しようとする野望が,その国の能力を超えることだ,と述べた.彼は1987年の著作で,アメリカの同じ傾向を指摘したのだ.
しかし,現在のアメリカには正しくない.9・11以後の防衛費の増大を考慮しても,アメリカの財政は破産になる状態から遠い.ジョージ・W・ブッシュの無謀な企画は例外であり,アメリカが帝国に向かうことはない.むしろアメリカはグローバルな指導国の負担を嫌っている.
過剰拡大ではなく,「過小拡大(関与)」がアメリカの問題である.それは国内の公共投資不足にも見られる.問題は,過剰な野心を持つ国家ではなく,国家に癒しがたい敵意を持つ市民である.最近,共和党が示した姿勢も,そのような政治的かつ心理的な病であった.彼らは,連邦政府が悪だ,と信じている.その結果,他国に比べて,アメリカはグローバルな指導力を失っている.
歴史家のE.ギボンは,ローマが滅んだ理由を道徳的なものと考えた.愛国主義のエトスや市民的な美徳は,利己主義と無関心に変わったのだ.アメリカ人はまだ共和国の理想によって結ばれている.しかし,極端な不平等は目的を共有することを妨げ,美徳が個人にのみ保たれ,コミュニティーや集団にはない,という気持ちにさせるのだ.
自由放任が支持されるアメリカは変化に対して柔軟に対応する力がある.しかし,集団的な努力を過去において支えたような市民意識の共有は,それとバランスしなければならない.そのバランスが失われている.
WP October 18, 2013
America’s
not in decline — it’s on the rise
By Ely Ratner and Thomas Wright
政府閉鎖,シリア空爆中止,APEC欠席.アメリカ衰退論の大合唱が起きている.
21世紀に入って,アメリカは内外の困難に直面し,ブラジル,インド,中国の急速な成長に比べて,その衰退が目立つからだ.
しかし,アメリカの衰退を予言するのは難しいビジネスだ.1970年代にも,1980年代にも同様の議論は起きたが,その後のアメリカ復活で破たんした.そのサイクルが再現する理由は多くある.アメリカは金融危機から甦った.しかも新しいエネルギー源を得た.他方で,新興経済には内部で問題が起きている.
新興諸国の成長率は落ちた.その通貨価値は不安定化し,政治システムが動揺している.新興諸国を組み合わせた国際組織は次々できるが,いずれも長続きしないだろう.他方,アメリカの強さは本物だ.財政状態も改善し,何より,ますます中東の石油に依存するアジアと違って,アメリカはエネルギー革命を実現した.ハード・パワーに関しても,アメリカは先端的な軍事力の技術で優位を強めている.
アメリカは国際社会における要の位置を押さえている.外交,経済圧力,秘密の軍事行動,などを通じて,アメリカには有効な多国間協力を保つ力があるのだ.人口,地理,教育,技術革新で,アメリカの基本的な強さは健全である.アメリカは,自ら描く戦略に従って,中国や東アジアの政治経済で不安定化が生じた場合も,中東の流血に染まった苦しい革命にも,ヨーロッパの長引く不況や国際的な役割の停止にも,対処する力を持っている.
最も深刻なリスクは,困難な世界情勢に苦しんだ後,アメリカが自国の問題にだけ関わる,閉じた姿勢を強めることだろう.衰退論に身をゆだねるより,アメリカは世界を新しく指導するべきだ.
FP October 23, 2013
Economic
Experiments and the Battle for East Asia
BY ELY RATNER
APECの記念撮影は,前列中央に中国の習近平主席が立ち,オバマの代理で参加したジョン・ケリー国務長官は後列の端に立った.
確かにこれは最新の外交的失点であるが,アジアにおける競争を決めるのは国際会議ではない.長期的に持続可能な成長を実現できる見通しこそ,その影響力を決めるのだ.
パワーには金がかかる.今後の4か月で,世界3大経済であるアメリカ,中国,日本は,すべて,ゲームのルールを変えるような経済改革の制度化に取り組む.その成否によって,だれがアジアを指導するかは決まるだろう.
l 中国経済の悲観と楽観
The Observer, Sunday 20 October 2013
George
Osborne in China – wide-eyed, innocent and deeply ignorant
Will Hutton
イギリスは投資に対して開かれた国である.しかし,自分たちと全く異なる価値観,実践,利害を示す国に,安全保障や経済的利益を売るのは,開かれた姿勢ではなく,無思慮である.オズボーン蔵相は,先週,北京で可愛がられたが,中国の森に潜む脅威には無頓着であった.
中国の原子力産業がイギリスに原発を建て,所有することに合意した.かつてサッチャー夫人は電力産業を民営化したとき,私が民衆にパワー(権力と電力の意味を持つ)を与えた,と自慢した.しかし30年後,それが中国共産党に与えられたことを知ったら驚くだろう.
中国の国有企業が,その非効率やレーニン主義的な意思決定を原発産業に持ち込めば,福島やスリー・マイル,チェルノブイリを経験した世界に何が起きるだろうか? 無邪気なオズボーンは,市場がそれを許すはずはない,と信じているのかもしれない.
People's Dailyが書いたように,英中合意が実現した背景には,イギリス政府がチベットに関して間違い(中国の主権を支持しなかった)を認めたことがあった.チベットには2009年以降も100人以上の僧侶たちが焼身自殺によって中国の支配に抗議しているのに.イギリスの譲歩・恥辱は明白だ.
1世代に及ぶ経済運営の失敗が,原則を無視する物乞いの国に堕落させた.あなたはどうか知らないが,私は恥ずかしい.
NYT October 22, 2013
The
Shanghai Secret
By THOMAS L. FRIEDMAN
中国に行くたび,その将来に関する非常に多くの異なった意見を聞く.将来に対して強気の見方をするものは,30年間のインフラと教育に対する投資がこれから実を結ぶ,と考えている.あなたがその証拠を観たいなら,上海の小学校を訪ねればよい.
上海の中学校は2009年のPISA(Program for International Student Assessment)で,数学,化学,読書の上位を独占した.その成功には何の秘密もない.教師の訓練,相互学習,不断に専門知識を増し,親たちにも子供の教育を真剣に取り組ませた.
教師たちは,仲間から学び,個人的な訓練を欠かさない.最も困難なクラスから,最も優れた教師たちが育っている.
FT October 24, 2013
China
conjures up new ‘bad bank’ magic trick
By Henny Sender
中国の不良債権問題は,過去にそうであったように,新しい公的機関が引き継ぐことで,次第に社会化されるだろう.その費用は1兆元とも4兆元とも言われている.中国政府は人民元の国際化を目指しており,また,地方政府による銀行の監督権を弱めることを狙っている.
l サウジアラビアの憂鬱
NYT October 18, 2013
Down
With The King?
By CHRISTOPHER M. DAVIDSON
この夏,サウジの憂鬱はインターネットを満たした.不平等,貧困,汚職,失業.
多くの専門家は湾岸諸国がアラブの春を避けて生き残る,と信じている.他のアラブ諸国と全く違うからだ.しかし,根本的な部分で違いはない.彼らは要するに産油国だから,時間を買う資金を持っているだけだ.それも最後には尽きる.
弾圧策による時間稼ぎにも限界がある.それ以上に,政治的な正統性が大きく損なわれていく.政治意識の高い,情報ネットワークに優れた若者たちが民主化を主張し,抑圧的なエリートに代わる日は近いだろう.
FT October 21, 2013
Saudi
Arabia’s missed opportunity
By Ian Bremmer and Vuk Jeremic
木曜日,サウジアラビアは国連安全保障理事会UNSCの理事国に初めて選ばれた.しかし,サウジアラビアは安保理理事国になることを拒否する最初の国になって,外交官たちを驚かせた.
UNSCの抱える多くの問題点は明らかであり,その改革を求めるのも当然だ.同時に,国連だけが我々の手にするグローバルな機関である,というのも事実だ.リヤドがUNSCの中東問題に対する無為を批判したいなら,その理事国として批判し,行動するべきだった.
しかも,UNSCの常任理事国が持つ拒否権を翻す手段はある.国連総会を経る決議と,第11条による勧告である.それはUNSCよりはるかに困難であるが,オープンな形でUNSCの決定を議論できる.国連の枠組みにあるこうした改革の余地を生かすべきだ.
l Mikhail Khodorkovskyの10年
NYT October 24, 2013
Ten
Years a Prisoner
By MIKHAIL KHODORKOVSKY
物や住宅の価格がこれほど高いのは,国家独占,汚職,行政の非効率があるからだ.権力の執念深さと,たった一人の人物に過度に権力を集中させているからだ.
多くの有能な人材がこの国を去っていく.わずか10年で200万人以上が去った.2008年に始まった資本逃避は3500億ドルに達して,今も続いている.300万人の企業家が告発された.
これこそロシアに技術革新がほとんどなく,アメリカどころか,今では中国にも遅れている理由である.凍りつき,固まった社会は,若者たちに何の希望も与えない.
変化するか,滅亡するか? 何千年も,われわれの歴史は文明に選択を迫ってきた.
l 日本が学ぶこと
YaleGlobal, 22 October 2013
Japan’s
Olympic Challenge
Jean-Pierre Lehmann
天皇裕仁はイギリス,オランダ,アメリカを訪問したが,アジア諸国を訪問しなかった.その息子,天皇明仁は,11月にインド訪問を計画している.2020年の夏季オリンピックを東京で開催することに決めた委員会は,北東アジアで戦争は起きない,と仮定したのだ.オリンピックの理想を実現するには,日本が中国や韓国とも戦争の傷を癒し,領土紛争を解決しなければならない.
フランスとドイツの戦後和解はそのモデルになる.特に,1984年9月22日,フランスのミッテラン大統領とドイツのコール首相が,ヴェルダンのDouaumont墓地で手を取り合った.そこは第1次世界大戦の激戦地で,15万人のフランス人兵士が眠っている.
ニューデリーへ向かう途中,天皇昭仁はソウルに立ち寄り,従軍慰安婦たちの記念碑の前で黙想し,生き残った慰安婦たちといっしょに朴クネ大統領の手を取ることができる.そして南京へも飛んで,習近平主席と南京虐殺記念館の前で,同様に手を取ることだ.そうすることで日本はアジアの一員となり,アジアの世紀に向かう歴史的な転換点として,2020年の東京オリンピックを祝えるのだ.
Project Syndicate 24 October 2013
Japan’s
Tax-Hike Test
Koichi Hamada
日本経済が15年間の停滞を脱するための回復を始めた時期に,増税は好ましくない.増税前に消費が増え,将来の消費を奪ってしまうだろう.同時に,突然の増税による無駄が生じる.財政再建は景気の心配がない時期に行うべきであるが,J.フランケルなど,西側のエコノミストが漸進的引き上げを主張するのに,日本国内ではそれを支持しないエコノミストが多い.
それでも私がアベノミクスに成功の見通しを持つのは,マンデル=フレミング・モデルが示すように,変動レート制下の日本で財政緊縮の効果を吸収する金融緩和が日銀によって実施できるからだ.日銀の黒田総裁は,2011年に同様の政策を怠ったとして責められたイングランド銀行のMervyn King元総裁の経験から学ぶべきだ.
l 移民の国際ルール
BLOOMBERG Oct 21, 2013
Forget
Free Trade. Try Free Immigration.
By Pankaj Mishra
ユーロ危機に苦しむ諸国(Cyprus, Ireland, Latvia, Malta, Portugal, Spain)ではヨーロッパに住む権利を売る競争が起きている.マルタでは26万ユーロで国籍を買える.
シンガポールはアジア諸国(China, India, Indonesia, Malaysia and Philippines)の富裕層が集まる首都になっている.ただし住民たちは,拡大する不平等,上昇する住宅価格,フェラーリで暴走する中国人に怒りを高めている.
エコノミストのDani Rodrik は,豊かな諸国が「一時雇用ビザ」を発行するように提案した.その利益は,全ての関税と補助金を撤廃する利益よりも大きく,しかも最も貧しい者に直接に届く.この政策に反対する声が強いのを知っているから,Rodrikはそれを抑える様々な政策も考えている.移民たちには政治的基盤がないけれど,それは貿易自由化でも同じであった.政治的指導力,ビジネス界のロビー活動,エコノミストたちによる説得が必要だ.
われわれは移民のルールをグローバルに設定する必要に迫られている.ヨーロッパの沿岸で悲劇が繰り返され,大陸では右翼の憎悪があふれている.
l 戦場も,和平も
The Guardian, Thursday 24 October 2013
Tony
Blair: Pain, passion and empathy – what I've learned about peacemaking
Tony Blair
アイルランドに多くの時間を注いだ.私が首相であった時代もそうだ.1997年,和平が無残にも破られた.首相就任直後,2人の警察官が残酷に殺害された.今でも,グッド・フライデー合意に至った日々を,それがいかにして結びつき,いかにして維持されたのか,深い驚嘆の念を抱かずに回想するのは難しい.
シン・フェインのGerry Adams and Martin McGuinnessは,その生涯をイギリス人と連邦に対する戦いに捧げてきた.彼らは演説し,抗議デモを指導し,純粋で単純なテロリストたちに見捨てられた.今,彼らは和平のために,正義を得るために,武器を置くように語っていた.それは容易なことではなかったが,私は彼らを信頼した.
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The Economist October 12th 2013
The gated globe: Special Report
Water in China: Desperate measures
Water: All dried up
America and Asia: Not being there
Banyan: Not a pleasant prospect
Chinese industry: Haier and higher
(コメント) World
Economy特集記事に期待しましたが,表紙のイラストが魅力的なほど,その中身は面白いと感じませんでした.世界金融危機後に1930年代のような通貨価値の切り下げや関税引き上げは起きませんでした.しかし,目に見えない形で,市場型の選別的保護主義が求められている.グローバリゼーションはゲートや壁によって分断されている,というわけです.
私が興味を持ったのは,中国の水不足と河川の流れを変えて,ダムを建設する政治であり,もっと面白いのは,Haierの経営者と中間管理職を一掃する核心です.トヨタの看板方式やQCとは違う,これも恐るべき経営者の革新魂です.
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IPEの想像力 10/28/13
NYTのホーム・ページで,トマス・フリードマンのアジア・フォーラムを観ました.・・・世界で起きていることの中で,何が重要なことか?
Global
Forum Asia: Thomas Friedman’s Next New World
http://nytmarketing.whsites.net/Friedmanasia/index.php
それは二つだ,フリードマンは考えます.1.オーソリティーの危機.2.ハイパーコネクティッド・ワールドの出現.・・・
鉄拳 “iron fist” による権威は失われた.帝国も機能しない.水平的な社会,深刻なほど多文化で,しかし多文化主義を欠いた社会に向かう.マンデラのような優れた指導者,外から来た米軍の駐留,各地の暴力的な支配者が,新しい権力の集中を促す触媒になるかもしれない.しかし,それは非常に難しい.つまり,私たちは<シリア>になる.Politics of Tribalism. ・・・アメリカの政府閉鎖も,ユーロ危機も.
そして世界のどこでも,指導者たちに残されたのは,“2 way conversation” だ.中国の習近平もWeibo(中国のTwitter)で国民に語る.オーソリティーは伝統的な権威や軍隊から生みだせなくなった.全ての制度・組織が苦しんでいる.世界は,“connected” から ”hyper-connected” に,”interconnected”
から ”interdependent” に変わった.
PCとインターネットは,個人と個人をつなぐ.ワーク・フォームが共有されて,グローバルなプラットフォームが形成される.世界の姿は根本的に変化し続ける.クラウドに繋がるタブレットだけで,他に何も要らない.私たちは世界中の個人と繋がる.ハイスピード・ブロードバンドとワイヤレスだ.利用できる情報は爆発的に増大している.
これが「グーテンバーグ・モーメント」だ.かつて私はNYTのオフィスで7人のコラムニストと競争したが,今は7000万人と競争している.何を恐れているか,私は知っている.普通のスキルでできる高賃金の職場(high wage, middle skill, job)は消滅していくだろう.・・・そう.あなたの仕事はアウトソースされる.どうすればよいか? 私の答えは5つだ.
1.新しい<移民>のように生き方を考える.彼らは楽天的だ.私たちは皆,新世界への移民である.2.大量生産に抗する<職人>であること.すべてが個人的なアイテムになる.追加的な,ユニークな価値をもたらせるか? 3.シリコンバレーの<起業家>であること.終わりだと思う者は終わる.新しい世界ではすべてが進行中であり,常に学ぶしかない.4.PQ-CQ-IQ(情熱を維持し,好奇心を持続し,インテリジェンスを高める).誰が好奇心を持ち続け,知識を蓄積する意欲に満ちているか? 自分だけのサービスを意識しているか? 5.Googleがすべて知っているのではない.答えは一人一人が出す.私が朝食を摂るパンケーキ・ハウスの<ウェートレス>のように.彼女は追加のスプーンを出せる.この新しい世界では,常に企業家精神が問われるだろう.・・・
(省略)
MITのA. McAfeeは,コンピューターの能力が18か月ごとに倍増すること(ムーアの法則)を,われわれはまだ理解していない,という.これまで不可能と思われてきた分野も急速にコンピューターによって代替されていく.経済エンジンの背後で”Great decoupling”が進行する.これまではGrowth-Job-Wage-Productivityが一緒に増加する傾向が拡大を支えてきた.安定性や中産階級を維持できた.しかし,それは終わったのだ.
今や平均的な仕事は消滅していく.・・・どうすればよいのか? フリードマンは尋ねた.中国の復旦大学でも質問された.私たちは絶滅種になるのか?
McAfeeの短期的な答えは,“E.I.E.I.O.”= Education, Immigration reform,
Entrepreneurship, Infrastructure, Original research である.技術変化を止めることはできないのだから.将来,技術がどれほど世界を変えるか,だれも正確に想像できないだろう.たとえば世界のどこに行っても,知識や情報や言語を,視覚や聴覚から脳に流れる過程で直接に転換し,増幅できるようになる.これはグーグル・グラスではない.
長期的には,コンピューターがジャーナリストの仕事も,大学も,医療も,全て変えてしまう.今は好ましい職場でも,データが整理されてコンピューター化され,ほとんど人が必要なくなるだろう.
(省略)
しかし,とフリードマンは問う.大学が増え過ぎて,一種のバブルになっている.彼らが卒業しても仕事はない.では起業できるだろうか? 法の支配がない? 中国では成功できない? ・・・Schleicherは2つのことを指摘した.1.香港の製造業は大陸に流出してしまった.しかし,彼らはスペースを得た.それを生かすスキルに投資した.2.中国では,レストランのウェートレスも英語を学ぶ.彼らは長期のキャリアを想い描くからだ.
現在,教育はまだ大学など特別な制度に依存している.しかし将来は,だれでも世界中から “Harvard” のコンテンツにアクセスできる,直接,個人のスキルを得るだろう.
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