IPEの果樹園2013

今週のReview

10/21-/26

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アメリカ政府閉鎖と世界 ・・・アフリカの指導者を育てる ・・・日本は何を示すか? ・・・ティーパーティーと国際通貨制度 ・・・早すぎる脱工業化 ・・・「国民国家」後の世界 ・・・中国と世界 ・・・富とパワーの集中 ・・・新興市場の成長は続く ・・・世界不況は回避できたか? ・・・環境破壊のコスト

 [長いReview]

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l  アメリカ政府閉鎖と世界

WP October 11, 2013

A Republican Party no one could control

By Fareed Zakaria

ワシントンの混乱を説明するには,イデオロギーに目を向けることだろう.しかし,もう一つ長期的な変化が危機の原因として重要だ.共和党内の権威(秩序)が失われていることだ.

ティーパーティーは草の根の運動であり,長年にわたってアメリカの社会・文化・経済に起きた変化を嫌う人々が集まった政治運動だ.彼らは民主党も共和党も憎んでいる.例え共和党内に居ても,党への忠誠心はなく,内部の反乱軍である.こうした党内の規律の崩壊とイデオロギーが危機を拡大している.

共和党の伝統的支持基盤であったビジネス界は,この変化に気づくのが遅かった.他方,彼らは今も民主党を労働組合の利益を代弁する者と考える.しかし,今や,ティーパーティーはビジネス界の反対も無視する.ティーパーティーに支配された共和党員たちには,組織も,政策も,規律も,指導者ない.

この変化は1970年代に始まった.最近の技術や組織の変化はそれを加速している.政治のアウトサイダーが容易に資金集め,フリー・メディアへの浸透,有権者との直接的な関係を得られるからだ.こうした変化は各地に起きている,とMoises Naim, “The End of Power”は指摘する.

イデオロギーは交代するだろうが,権力の「衰微」は継続し,政治を変えてしまう.組織や指導が無ければ政府は機能せず,自治も不可能に近い.政治学者Clinton Rossiterはかつて宣言した.「民主主義の無いアメリカはあり得ない.政治の無い民主主義もあり得ない.政党の無い政治も,妥協と穏健派を欠いた政党も,あり得ないのだ.」

The Guardian, Tuesday 15 October 2013

Americans need to discover how the world sees them

Timothy Garton Ash

月曜日,コロンブス・デイの休日は,ワシントンのアメリカ政府庁舎の扉は閉じられていた.そして,休日でなくても政府閉鎖だ.コロンブスはアメリカを「発見」した.しかし,今は逆だ.アメリカが世界を発見しなければならない.世界がアメリカをどう見ているのか.

FT October 15, 2013

The debt-ceiling doomsday device

By Martin Wolf

余りにも危険な法律が存在していることもある.その一つが,アメリカ政府の債務上限だ.これはアメリカ自身に向けられた法的な原子爆弾に等しい.その破壊力はすべての世界に及ぶ.

デフォルトを避けるために,アメリカ政府は支出を削減することもできるが,その方が破壊的でないとは言えない.GDP4.2%(乗数を考慮すれば約6%)の支出が削られる.自動安定化装置が壊れるのだ.GDP10%も減少して世界不況になるかもしれない.

政府が債務上限に従うなら,デフォルトか,不況か,を選択する.最も害の少ない方法は,上限を無視して,借入を続けることだ.オバマは法廷に訴えられるかもしれないが,それを強いたのは議会である.裁判所はどう判断するのか?

NYT October 15, 2013

Sorry, Kids. We Ate It All.

By THOMAS L. FRIEDMAN

交渉の結果は出た.高齢者,ウォール街,労働組合,すべて自分たちの意見を述べ,自分たちの利益を守った.一つの重要な変化は,課税,支出,給付をめぐる改革は,最も組織されない,長期的に最も影響を受ける者たちに,負担を押し付けることだ.それが若者たちである.

ミック・ジャガーのコンサートみたいに,サブプライムローン危機を予言した伝説の投資家Stan Druckenmillerが,しばしばその主要な出資者であるGeoffrey Canadathe president of the Harlem Children’s Zone)をともなって,各地の大学に若者たちを集めている.このままの税金,成長,防衛費,社会福祉が続けば,若者たちはどうなるか,を教えているのだ.

ベトナム戦争規模の若者たちの反乱が起きなければ,特集利益の集団が政治家を操るネットワークを破壊できない,と彼らは確信している.Druckenmillerは,若者自身が要求を示すべきだ,という.しかし,助言を求められれば,こう言うだろう.

キャピタル・ゲイン,配当,利子所得に増税して,所得税と等しくすること.これらは莫大な富を富裕層と高齢者に集中させているからだ.医療制度のもっと価格に応じた消費者の反応を取り入れること.年金や医療保険には資産チェックを行い,必要な者にだけ給付すること.給付資格の年齢を引き揚げ,法人税をゼロにして,雇用をもたらす者がもっと多くの資源を利用できること.

theguardian.com, Thursday 17 October 2013

Washington's political chaos proves it's time for a de-Americanised world

Liu Chang for Xinhua, the official Chinese news agency

政治家たちがホワイトハウスと議会との間を右往左往するのを観るなら,アメリカ化されていない世界を築くことを考え始める好機である.

2次世界大戦の殺戮から世界最強国家として登場したアメリカは,それ以来,戦後の秩序を広め,ヨーロッパを復興し,ワシントンと敵対する体制を転覆して,世界帝国を築こうとしてきた.対抗するものがないように見えるアメリカの経済・軍事的パワーにより,世界中で自国の利益を主張し,自国からはるかに遠くの国や地域にまで介入するのが常習となっていた.

このパックス・アメリカーナthe Pax Americanaにおいて,われわれはアメリカが暴力と紛争の鎮静化,貧困や難民の減少,本当の,持続的な平和をもたらすと考えている.

しかしさらに,自分本位のワシントンは,責任ある指導的大国の義務を果たすことなく,超大国の地位を乱用し,世界に一層のカオスをもたらした.すなわち,金融リスクを海外に押し付け,地域的紛争や領土問題をこじらせ,虚偽の戦争を続けている.結局,世界はウォール街の貪欲なエリートたちが起こした災厄から抜け出そうともがき続け,独裁者から人々を解放したとワシントンが宣言した後も,イラクでは爆弾テロと殺害が日常茶飯事となっている.

最近では,予算案と債務上限の引き上げをめぐって周期的に超党派の合意が行き詰まり,多数の諸国のドル建資産を犠牲にして,国際社会を大いに苦しめた.他国の運命をこのように偽善的な国家の手に委ねる日々から学んで,新しい秩序に変えるべきである.大国も小国も,貧困国も富裕国も,すべての国が重要な利害を尊重され,平等な資格で保護されるような秩序に.


l  アフリカの指導者を育てる

NYT October 10, 2013

In Africa, Seeking a License to Kill

By DESMOND TUTU

裁判所を避ける指導者たちは,事実上,何の心配もなく,自国民を殺害し,手足を切り,拷問することのできるライセンスがほしいのだ.彼らは国民の利害が彼ら自身の富やパワーの追及を邪魔してはならないと信じている.ICCに説明を求められることは自分たちの利害に反し,彼らの邪魔をするものは,顔のない,声もない犠牲者になる.

Project Syndicate 15 October 2013

African Leaders’ Eyes on the Prize

Jeffrey Frankel

1014日,アフリカの優れた指導者に与えられる賞をthe Mo Ibrahim Prize Committeeが発表した.Mo Ibrahim財団はIbrahim Index of African Governance (IIAG)も発表している.受賞者には10年間で500万ドルが支払われ,その後も年間20万ドルを終生支払い続ける.

候補者リストは,民主的に選出され,この3年以内に法に従って退任した指導者が入る.

一方には,良い意図と高い能力を持って権力を得たが,その第1期に優れた成果を上げた後,再選を繰り返せるように憲法を改正し,選挙結果をねつ造し,反対派を弾圧する指導者がいる.他方には,法の定める任期を守って自ら退任する指導者もいる.しかし,その場合,退任後の生活は苦しく,権威や政治基盤も失い,時には後の指導者に告発される.Ibrahim Prizeは彼らを称え,守るのだ.

その成果は,アフリカの将来を変えることだ.


l  日本は何を示すか?

BLOOMBERG Oct 10, 2013

Japan Needs More Brawling Billionaires

By William Pesek

インターネット市場で最も成功した,裕福で,革新を指導する二人の経営者,孫正義と三木谷浩史にとって最も重要な役割は,日本人にとっての模範となることである.

二人には多くの共通点がある.ゲームのルールを変える技術を持った企業によって,自分の力で億万長者になった.ソフトバントと楽天の,それぞれの企業の大株主であり,英語に堪能で,アメリカの大学(Son at the University of California at Berkeley; Mikitani at Harvard University)に学んだ.海外のインターネット企業に迅速に投資し,スポーツ好きで野球チームを所有している.二人はまた,日本の財界の閉鎖的な体質を公然と批判している.原発に反対し,自民党や経団連の方針と対立している.

彼らの共有する変化への情熱は,日本がよみがえるために何より必要なものである.

FT October 14, 2013

Japan offers an unsettling glimpse of all of our futures

By Gideon Rachman

老人たちは投票において,若者に比べて,圧倒的な多数を占め,他のサービスを削ってでも年金の水準を維持するように求める.他方,若者たちはますます将来の高い税金と不安定な雇用に苦しむ.

日本の姿から単純な教訓を得るのは難しい.しかし,日本は社会的な調和を強調し,老人たちの雇用を守り,その代償として,若者たちの機会を奪っている.移民の受け入れに反対して,介護ロボットの開発に頼っている.


l  ティーパーティーと国際通貨制度

Project Syndicate 16 October 2013

Revoking America’s Exorbitant Privilege

José Antonio Ocampo

アメリカにおける政治混乱は,国際通貨制度にとって2つの意味がある.第1に,世界の準備通貨であり,世界で「最も安全な」資産である財務省証券が,ますます深刻な不確実性に悩まされている,巨額の外貨準備として保有する中国や日本が警告するのは当然だ.

2に,IMF2010年に決めた分担金とガバナンスに関する改革がさらに遅れる.基金を倍増し,主要な新興諸国の投票権を増やす改革だ.しかし,重要な案件に実質的な拒否権を持っているアメリカが反対している.そのアメリカが示すデフォルトの脅威は,現在の国際通貨「ノン・システム」がグローバル化した世界にふさわしくないことを明確にした.

FT October 17, 2013

No alternative to dollar except financial chaos

By Stephen King

もしこれがアメリカでなければ,こんな国の資産は売り払って,他へ移すだろう.その国は融資を受けるコストが上昇し,通貨価値が大幅に下がるはずだ.

しかし,アメリカのドルや財務省証券は,グローバルな金融システムのアンカーである.だからわれわれは手を合わせて,アメリカがデフォルトしないことを祈り,安堵のため息を漏らしている.

皮肉なことに,アメリカ連銀は驚くべき予見によって量的緩和の終了を遅らせた.しかし,次の債務上限が近付く中で,連銀は緩和策を終息させる.ドルに依拠した国際金融システムに代わるものが欠けている.


l  早すぎる脱工業化

Project Syndicate 11 October 2013

The Perils of Premature Deindustrialization

Dani Rodrik

歴史的に急速な成長は工業化と結びついていた.工業化の余地が少ないということは,今後,年長の奇跡が起きないことを意味する.また,持続的な工業化と一緒に起きた社会・政治変化,組織された労働運動,規律ある政党,左右の対立に結びつく政治の競争,も起きないかもしれない.

早期の脱工業化を経験する世界では,民主主義やグッド・ガバナンスのための条件を欠いて,激しい変動が生じるかもしれない.


l  「国民国家」後の世界

NYT October 12, 2013

The End of the Nation-State?

By PARAG KHANNA

世界を見渡せば成長や革新を生む,非常に成功した,政府・民間の混合物,国内と国外の融合地点に,さまざまな「準国家」が存在する.それは,いわゆる,「経済特区“special economic zones”」である.アフリカ,中東,アジアに,近年,多くの特区が誕生したが,その起源は中国の深圳Shenzhenであった.今,それらは世界第2の中国経済全体を覆っている.

複雑な領土や法律,商業的管理の重層した世界は,権限移譲,という第2の流れを生んだ.急速な都市化は,各都市が権限を中央政府から移譲される.ニューヨークはアメリカ政治経済の一部であるというより,アメリカがニューヨークの成長に依存しているのだ.主要都市は,ますます財政や政策の権限を拡大している.中国もそうだ.革新的な諸都市の成長に北京は依存している.

こうして国家の枠を超えて進む急速な都市化を考えるなら,彼らは政府を経由せずに,直接,財やサービスのアクセスを改善し,貧困を減らし,成長を刺激し,生活の質を改善する.国際紛争が減って,ますます多くの国が道路,鉄道,パイプライン,橋,インターネット・ケーブルを建設している.そこに現れる都市センターは,貿易,投資,雇用において相互に依存している.


l  中国と世界

The Guardian, Monday 14 October 2013

Forced student labour is central to the Chinese economic miracle

Aditya Chakrabortty

イギリス蔵相George Osborneやロンドン市長Boris Johnsonは上海やシンセンを訪問するのに忙しい.しかし,中国の成長に魅了される前に,中国の巨大工場で働く10代の生徒たちが経験していることに目を向けるべきだ.

NYT October 15, 2013

Busting China’s Bloggers

By MURONG XUECUN

友人たちとの会話でしばしば話題になるのは,「次に逮捕されるのはだれか?」 である.中国の変化に向けて,犠牲を払う人々がいる.

FP October 15, 2013

Meet China's Beverly Hillbillies

BY RACHEL LU

誰もが友人になりたいが,誰も彼らを好いていない.それは中国版のビバリー・ヒルズ族the tuhao(土豪):the Beverly Hillbillies of China,すなわち,新富裕層である.

Tuhaoはかつて裕福な地主を意味した.しかし,最近,この言葉が甦ったのは,9月の初めにソーシャル・メディアでジョークが流行ったからだ.

・・・若い男が禅の師匠に尋ねた.「私は豊かだが,幸せではない.何をなすべきですか?」 師は応える.「<富>とは何か?」 若い男は答える.「私は銀行に数百万元を持ち,北京の中心部にアパートを3つ持っている.それが<富>でしょうか?」 師は,静かに,片手を差し出す.若い男の閃きが刺激された.「禅師様,私は感謝します.それを社会に還元するのですね?」 師は言う.「違う… 私は,あなたの友人になりたい.」


l  富とパワーの集中

NYT October 13, 2013

Inequality Is a Choice

By JOSEPH E. STIGLITZ

1980年代後半に共産主義体制が崩壊し,その後,グローバリゼーションが進む中で国家間の差が縮小した.中国やインドの成長で,国単位での世界所得格差は過去数十年間縮小したが,個人の人間的な不平等はほとんど縮小しなかった.

アメリカにおける不平等は西側世界全体に見られるようになった.過去10年で,伝統的に平等であった諸国でも不平等が現れている.(企業重役の報酬を抑制している日本は例外である.) トップ10%は所得を増やし,ボトム10%は所得を減らしている.

しかし,同じ期間に,チリ,メキシコ,ギリシャ,トルコ,ハンガリーは不平等を大きく減らしている.不平等は単にマクロ経済の諸力の結果ではなく,政治の産物である.不平等がグローバリゼーションの,資本や労働力,財,サービスの移動の,また技術変化の不可避の結果であるというのは間違いだ.

貧困を減らし,繁栄を共有するために行動する国もある.不平等を放置すれば社会は分裂して,ゲーティッド・コミュニティーに住む富裕層は貧困層と完全に隔離され,互いを理解できなくなる.


l  新興市場の成長は続く

Project Syndicate 14 October 2013

The Still-Emerging Markets

Richard Cooper, Jaana Remes

新興のデータベース企業,MGI CompanyScopeによれば,世界的規模で活躍する8000に企業に関して,まだ4分の3は発展した地域に依拠している.しかし,2025年までに,7000の企業が追加され,そのうちの10社に7社は新興市場に依拠しているだろう.

急速に成長する市場が企業の世界的な競争力を与えるのは,大きく異なる所得水準の中で成長すること,さらに,インフラの不足に対応する能力があるからだろう.2001年,世界の直接投資FDIのわずか5%OECD諸国以外の国から行われた.2011年に21%へと増大している.中国のFDI2004-2010年に,年50%で伸びた.

新興市場から生まれる多国籍企業は,その収益を世界中で上げるだろう.本国の不況は,ますます外国での拡大を刺激し,世界が彼らの舞台になる.


l  世界不況は回避できたか?

VOX 14 October 2013

Help-to-Buy: More beneficial than the market thinks

Charles A.E. Goodhart, Melanie Baker

バブルの破裂がもたらしたデフレ圧力から脱出するには,住宅市場に公的な支援を与えることが有効である.反対意見は,こうした政策の供給面に対する影響はない,という.しかし,金融機関は規制の強化や将来への悲観によって住宅融資を減らし,住宅市場は供給過剰になっている.住宅建設の回復は消費と連動し,景気に大きく影響する.

マクロ・プルーデンシャルを高める手段として,住宅市場への公的支援策が採用されるべきだ.

FT October 17, 2013

A moderate outlook with the chance ofanew crisis

By Samuel Brittan

かつてIMFといえば,政府に予算赤字削減を説き,インフレを抑える金融政策を求め,組合には賃金の引き上げ要求を緩和するよう訴えた.

今は違う.IMFが出した最新のWorld Economic Outlookを観れば,世界が緊縮しすぎていることを恐れている.金融も財政も引き締め過ぎで,消費は抑えられ,失業率はあまりにも高い.インフレの脅威を懸念しすぎだ,と.

すべては,ケインズの『雇用,利子,および貨幣の一般理論』(1936年)を現代化するための試みだ.ケインズは資本主義システムが資源を効率的に配分することをおおむね認めていたが,完全雇用を実現するには累積的なインフレを生じるという問題があった.残念ながら,その時代には,単一の国民経済が論じられていた.今はそれを世界経済に関して議論する必要がある.


l  環境破壊のコスト

Project Syndicate 16 October 2013

A Better World Is Here

Bjørn Lomborg

最も驚くのは気候変動であろう.1900年から2025年まで,気候変動はGDP1.5%という利益を毎年もたらす.地球温暖化は複合的な効果を生み,この期間は,温暖な気候のもたらす利益が勝るからだ.例えば,CO2は農業にとっての化学肥料である(+0.8).クーラーのコストが増えるより,ヒーターのコストが減る方が優勢だ(+0.4).水不足や湿原の損失は,規模としては小さい(-0.2-0.1).

しかし,温暖化が進めばコストが急速に増える.2070年以後はコストが上回るだろう.だから,今からコストを考慮した効率的な対策が必要だ.

健康状態の改善は最も顕著であり,それには理由がある.The Gates Foundation and the GAVI Alliancethe Rotary Club, the World Health Organizationなど,世界にワクチンを普及させるために資金提供したからだ.

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The Economist October 5th 2013

No way to run a country

Ukraine and the European Union: West or east?

Nicaragua’s proposed canal: A man, a plan - and little else

Free exchange: Hot air

Making banks safe: Calling to accounts

(コメント) ガバナンスを正常化するには,世論が政党の支持率を変化させて戦略を変えるように求めるべきだ.それを阻止してしまうような選挙区の勝手な変更をやめさせる.それに似た政治的衝突を,ウクライナの貿易協定に関するEUとロシアが示していて,興味深いです.

中国人投資家が現れ,本当にパナマ運河に代わる新しい運河を,ニカラグアに建設できるのか? 気候変動の評価モデルが信頼できないことにも驚きます.

金融危機の教訓に関する最終回.銀行を安全にするには巨大銀行を分割する?

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IPEの想像力 10/21/13

政府閉鎖,デフォルト,統治不能が世界中に広まる気配です.しかし,それにもかかわらず各地でガバナンスは革新され,成長を続けます.

1.      アメリカが統治不能であるのは,大統領と議会が交渉によって妥協する政治過程が壊れたからです.その理由として,イデオロギーの両極化,選挙区の変更が既存の政治家によって行われること,さらに,インターネットで有権者に直接話しかけ,宣伝ビデオを流し,少額の選挙資金を大規模に集められる時代に,旧来の政党組織が機能しなくなったこと,をFareed ZakariaMoises Naimは指摘します.

2.      選挙を通じて利益を得るには,組織された投票が重要です.高齢者,ウォール街,労働組合,などはこれに優れており,若者たちや,まだ生まれていない将来世代は最も損をする,とTHOMAS L. FRIEDMANは指摘します.日本について,Gideon Rachmanも同様の感想を述べています.

3.      アフリカでガバナンスを改善するには,優れた指導者を育てることも重要です.DESMOND TUTUは,国際刑事裁判所によって,指導者が国際法廷で罰せられること,Jeffrey Frankelは,指導者が賞賛され,引退後の生活を保障されること,に期待します.

4.      日本のガバナンスを改革するには,孫正義や三木谷浩史のような革新的企業家が億万長者になり,賞賛される社会になることをWilliam Pesekは求めます.

5.      国際通貨のガバナンスをめぐって,José Antonio Ocampoはドルに代わるSDRの発行と普及を求め,為替レート安定化も支持します.Stephen Kingは,アメリカの国内政治を正気に戻すためにも,国際通貨の代替を示し,ドルの特権を奪う必要に言及します.

6.      後発工業化は,単に加速するだけでなく,工業化の経済に占める割合が低いまま,次のサービス化に移ってしまう,とDani Rodrikは懸念します.それは,工業化にともなう社会・政治・組織の変化を実現できないまま,何か,不安定な,異なる社会モデルを生み出します.

7.      「国民国家」の衰退は重要ではなく,むしろ成長をもたらすのは都市であり,<経済特区>である,とPARAG KHANNAは考えます.優れたインフラによって結びつくダイナミックな都市や地域は,ますます国家から権限を奪うのです.

8.      中国の共産党や国営企業のエリートたちが前提する成長モデルは,RACHEL LUが指摘する新富裕層の影響によって,根底から変化してしまうでしょう.かつて,Bill Emmott(『日はまた沈む』)や, Peter Tasker(『揺れ動く大国 日本』)が指摘した「日本」の富裕化・国際化を思い出します.

9.      アメリカや,その間違ったモデルを信じた豊かな諸国の支配エリートと富裕層は,富と雇用を増やすより,<金融ビジネス>に有利な法律や制度を介して富の分配を変えることを学んだ,とJOSEPH E. STIGLITZは批判します.不平等の拡大はグローバリゼーションの不可避な事実ではなく,政治の産物だ,と「繁栄を共有する」政治を求めます.

10.   新興市場とは,国家によってではなく,都市化と工業化によって生まれたダイナミックな新興企業群のことである,とRichard Cooper, Jaana Remesは主張します.新興市場の成長や衰退が関心を集める以上に,新興企業群のグローバル化が重要です.

11.   資本主義システムが資源を効率的に配分する点で優れているとしても,その完全雇用を保障するものではない,とJ.M.ケインズは国民経済に関して考察しました.金融危機後の世界不況を回避する模索は,今も続いています.Samuel Brittanは一般理論の世界化を,Charles A.E. Goodhart, Melanie Bakerは,住宅融資への公的支援を求めます.

12.   環境破壊のコストと,それを抑制する政策のために利用できる資源が効率的に機能するには,リアリストの視点が必要だ,とBjørn Lomborgは訴えます.温暖化は利益とコストをもたらし,IPCCなど,予測モデルには深刻な限界があります.

もちろん,戦争が拡大すれば,全く異なった変化に向かうでしょう.しかし,平和な時代にも,むしろ,これほど変化するエネルギーを要するのだ,ということに感嘆します.

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