IPEの果樹園2013
今週のReview
9/16-21
*****************************
中国と安全保障 ・・・シリアへの軍事介入 ・・・国際金融システムの改革 ・・・インドのラジャン ・・・新興市場のユーロ惨禍 ・・・ユーロ圏の不安 ・・・日本の消費税引き上げ
[長いReview]
******************************
主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)
l 中国と安全保障
NYT September 5, 2013
Caught
Between the U.S. and China
By MICHAEL FULLILOVE
オーストラリアは,主要先進経済として,世界金融危機を免れた唯一の国である.それはこの20年間,中国への資源輸出で成長し続けてきたからだ.成長にもかかわらず,与党の労働党は多くの支持を得ていない.
党内のもめごと,党首の交代劇があった.雑多な些事が議論されている.しかし,中国への資源輸出ブームは下り坂だ.国際商品価格はピークを越えた.
外交政策に重大な選択を迫られている.アジアという地理と,ヨーロッパという歴史に挟まれて,引き裂かれているように見える.中国語を話すMr. Ruddと,英語圏を強調するMr. Abbottとは対照的だ.
難民の扱いに関して,より強硬な姿勢に向かう,という点で主要政党の意見は似ている.パワーがアジアに移動するという認識は皆が受け入れている.しかし,オーストラリアは,ワシントンと北京の間で,戦略上の三角形を生きている.中国との関係は重要になってくるが,自由で民主主義を支持する超規模国家が,権威主義的な大国と一緒に生きるのは難しい.
オバマはアジア旋回において,オーストラリア北部に米軍を駐屯させた.しかし,オーストラリアの軍事費はGDPの1.6%でしかない.アメリカは4%を超える.世論調査によれば,オーストラリア国民の38%しか,アメリカがアジアで取る軍事行動(たとえば,中国と日本との戦争)に参加を支持していない.
深刻な事態が起きるまで,オーストラリア人は眠りから覚めない.
FT
September 8, 2013
China
will stay the course on sustainable growth
By Li Keqiang
The Summer Davos Forumが中国の大連市で始まった.中国経済の減速,あるいは,ハードランディングに関心があるようだが,中国は重要な転換の局面にあることを自覚している.私は,彼らの質問に対して,中国経済は持続的で健全な成長を維持するし,改革と開放の道を進み続けるだろう,と答える.改革とは,技術的な意味だけでなく,制度についても革新を意味する.
WSJ
September 8, 2013
Rebalancing
Australia's Role in Asia
By RORY MEDCALF
Project
Syndicate 10 September 2013
The
Global Stake in China’s Anti-Corruption Reform
Michael J. Boskin
FP
September 11, 2013
Bad
Manners
BY RANA MITTER
先週の月曜日,アメリカ海軍と中国海軍は歴史的な海上で合同演習を行った.真珠湾への海である.その目的は,相互理解を深めるため,であるが,8月29日に,Chuck Hagel国防長官が南シナ海における中国の軍事行動について,地域の安定性や外交関係を損なう,と警告したばかりである.
米中は互いの行動がますます一致できなくなっている.アメリカは事実上の「中国封じ込め」を試み,中国はアメリカが第2次世界大戦後の不当な地域秩序に拠って行動している,と考える.
アジアで連合軍が勝利できたのは中国が多大の貢献を行ったのに,アメリカはその未払いの債務を自覚できないのだ,と中国人の多くは考える.アメリカ側を代表したJoseph Stilwell将軍は蒋介石を,「ピーナツ」と呼んで軽蔑していた.戦時の首都となっていた重慶市は汚職が深刻で,中国軍の装備も悪かった.
しかし,歴史の見直しを求める研究者たちが米中で現れ,中国の役割を重視するようになった.1937年7月7日,盧溝橋Marco Polo Bridge事件の後,中国と日本は全面的な戦争状態に入った.中国のナショナリズムは,1931年の満州侵略を含む,日本の帝国主義と激しく対立した.その後の8年間で,中国の1400万人が殺害され,8000万から1億人が難民となり,道路,鉄道,工場が破壊された.
もし蒋介石が敗北し,中国が日本の植民地となって,日本軍がもっと早く東南アジアを攻撃していたら,さらに,英領インドを攻撃していたら,太平洋における連合軍の勝利はもっと困難であっただろう.蒋介石は中国の生存を求めていたが,結局,チャーチルは英領インドを守り,ルーズヴェルトは戦争を利用して植民地を開放したかった.
しかもStilwellは,1942年2月,日本の占領していたビルマを攻撃する,という間違った作戦に中国軍を利用した.当時,日本軍は約50万人の規模で中国の中央部を攻めていた.蒋介石はルーズヴェルトに苦情を述べ,Stilwellの解任を求めたが,連合軍内の対立により,英仏がドイツと開戦するまでに2年,真珠湾攻撃まで4年,中国軍は十分な支援もないまま,単独で長く抵抗し続けた.
蒋介石の政府を軽蔑した西側でも,内戦を経て国民党を敗退させた中国の共産党政府も,これまでその貢献を無視してきた.最近,状況が大きく変化し,中国の研究者が蒋介石の貢献を称賛し始めた.(台湾の再統合を容易にすると判断したからであろう.)
それは,戦争の友軍であったアメリカの姿勢を批判的に検討する,という予想外の効果をともなった.第2次世界大戦における「忘れられた連合軍」である中国を歴史的に再評価することは,アメリカが関与し続けるとしても,この地域における中国の影響力を最善の形で取り込む余地を生むかもしれない.
真珠湾での軍事演習は,米中が対話を始めるのによい場所だ.
l シリアへの軍事介入
FP SEPTEMBER 5, 2013
How
the Loneliest Job in the World Got Even Lonelier
BY DAVID ROTHKOPF
アメリカ大統領が,今日,落ち込んだ苦境に似たものを経験するのは容易でない.
アメリカ国民にとって,大統領は強硬すぎる.また,中東で戦争に巻き込まれてしまう.しかし,他のアメリカ国民にとって,大統領は弱腰すぎる.軍事介入に制限が付きすぎて,これではアメリカの利益を守れない.
彼は急ぎすぎる.しかしまた,彼は迷い過ぎる.10万人も死んで,化学兵器も使用されて,過激派だらけになってしまった.
オバマが議会の承認を求めたのは,憲法の精神を尊重したからだ.しかし,これは政治的な策略であり,隠れ蓑だ.
リベラルな,彼を支持する民主党員からも強い反対を受けた.無謀な軍事介入だ.右派の孤立主義的な共和党員からも反対された.国際的には,ロシアや中国が反対するだけでなく,イギリスも離反した.
要するに,「正しくない(正義がない)」からだ.
穏健派のアラブ諸国も不満である.彼が掲げた共通の大義はどうなったのか? 有効諸国は心配する.議会に尋ねているような大統領を,イランはどう見るか?
大統領の側近たちも,この事態の扱い方に憤慨している.彼の安全保障チームは無視された.強硬な演説をした国務長官や副大統領は,彼の変節によって裏切られた.
民主党内部の批判はもっと深刻だ.オバマの政権は衝撃的なほど急停止した.攻撃のタイミングを無視したような発言には呆れ果てた.議会指導者たちの答えは,自分だけでやれ,だ.
大統領自身が自分に反している.減速の問題として,彼は中東への介入に反対してきた.また,ルワンダのような問題を回避する人道的介入を支持するはずであった.化学兵器の使用を「レッド・ライン」に決めたはずだ.しかし,それを無視した.
議会に相談するが,それを無視する権利を保有する.体制転換を支持しないが,反政府派に武器を供給する.国際社会の支持や国際法の下での正当性を求めるが,アメリカ議会の承認だけで十分だ,とも言う.
大統領の仕事は孤独である.しかし,しかし,その意思決定が不手際であるとき,大統領はすべての者を離反させる.もっと早期に,徹底した国際規範を示して,支持するべきだった.混乱するままにせず,もっと早期に行動するべきだった.
シリアだけではない.エジプトも,リビアも,イランの緑の革命も,核兵器開発も,オバマは多くのレッド・ラインと決断の延期,迷いを示した.もし議会が否決したら,アメリカの海外における評価が大きく損なわれただろう.しかし,自分の頭に銃を向けて「支持してくれ.さもないと撃つぞ.」という大統領の姿は,世界中で冷笑されたはずだ.
大統領には,明快さ,決断力,戦略的ビジョン,が必要だ.この事件は,数十年間で最高の大失策に挙げられるだろう.
The Guardian, Friday 6 September 2013
The
left's irrational fear of American intervention
Niall Ferguson
大西洋のよう側で,左派は介入について分裂した考えを示す.一方では虐殺を止めるべきだと言う.他方で,軍事介入には反対する.アメリカの軍事力が正しいことをする,とは認めない.
第1次世界大戦後の領土分割に比べるよりも,宗派間の内戦やエスニック・クレンジングを生じたユーゴ内戦に近い.あの戦争も民主党の大統領が,結局,介入した.しかし,中東には,イランとの対抗関係があり,人口が多く,しかも,貧しい,教育の無い若者であり,過激派の勢力が強い点で,バルカン半島と異なっている.
不介入を支持する者は,行動しないことも一つの政策であり,その結果は人間の命で測れる,ということを考えるべきだ.左翼の論説は,今も,アメリカ帝国よりも悪い状態など世界にはない,という前提で書かれている.歴史はそれを支持しないのに.
FT September 6, 2013
When
lawmakers are warmakers
NYT
September 7, 2013
Same
War, Different Country
By THOMAS L. FRIEDMAN
イラクはthe bad warで,リビアはthe good war.アフガニスタンはthe necessary warで,ボスニアはthe moral war.そしてシリアはanother necessary warもう一つの必要な戦争.
そんなものがあるか? すべては戦争だ.これらの戦争は多宗派の社会で起きた.
シリアに多宗派の民主的な国家を築くには,2つの戦争に勝たねばならない.アサド・アラウィート・イラン・ヒズボラ・シーア派同盟に勝利し,スンニ派・イスラム主義・親アルカイダ・聖戦主義者に勝たねばならない.穏健なFree Syrian Armyを支援する強力な軍隊が介入するしかない.
これらの国には穏健な中枢があるけれど,軍事的には弱く,組織されていない.部族や宗派の混合する社会,Shiites, Sunnis, Christians, Kurds, Druze and Turkmenは,市民の意識,多元主義の倫理観を持たない.寛容さ,協力,妥協である.
要するに,問題は化学兵器・毒ガスpoison gasではない.毒された精神poisoned heartsである.彼らの戦争は,支配するか,死ぬしかない.それは自己実現する真理だ.
NYT
September 7, 2013
Pulling
the Curtain Back on Syria
By NICHOLAS D. KRISTOF
NYT
September 7, 2013
Gambling
With the Presidency
By ROSS DOUTHAT
NYT
September 7, 2013
The
Hands-Tied Presidency
By SAM TANENHAUS
シリアへの介入に関する議会の論争が進み,共和党議員に何度も邪魔されるのを観ると,なぜオバマ大統領は,将来の大統領が野心的な外交を制約されるような愚かな選択をしたのか? という疑問が浮かぶ.
大統領のパワーが委縮していく時代を,大衆文化も表現している.かつて,アメリカの政治ドラマで人気があったのは“The West Wing”(『ホワイト・ハウス』)であった.理想主義の大統領と,その明敏で,エネルギーにあふれるスタッフたちが,大統領官邸の廊下を行き交い,オフィスに徹夜して働いた.今や全く対照的な話が流れる.ノイローゼで,ドジな副大統領,あるいは,傍観者の大統領が描かれる.
議会の承認を求める,というオバマの決定は,安全保障チームを軽視した.1885年に,ウィルソンWoodrow Wilsonがまだ30歳で出版した本で,政府の現実の姿は,要するに,議会の優位という図式になっている,と書いた.ウィルソンは,大統領の個人的能力ではなく,この制度的な弱さを指摘した.そして,複雑なシステムの中で統一する力となり,政党と国民の指導者となる,大統領を目指した.
Glenn BeckからPaul Ryanまで,ウィルソンの批判者は,アメリカ政治の基礎を否定した,という.コモン・センスによって自分たちで統治する市民,地域住民の関心に沿う代議士,からなる政治を,高邁な原則に奉仕する政策専門家たちの体制に変えた,と.
この対立が再現している.高邁な原則に従って,ベトナム戦争や,イラク戦争をもたらした専門家たちの情熱を,われわれは嫌う.
Project
Syndicate 07 September 2013
Syria’s
G-Zero Fate
Ian Bremmer
G20の夕食会は,シリアの化学兵器による1400人の殺害について議論した.France, Britain, Turkey, and Canadaは,オバマ大統領の軍事攻撃要求を支持した.ケリー国務長官をうそつきと呼んだプーチンのロシアと,中国は,安保理の承認なく攻撃できない,と主張し,拒否権を行使するだろう.またEUは,軍事的な解決策はない,という,ローマ法王もそうだ.
流血を止めたいと願うが,良い選択肢はない.オバマも,ヨーロッパの諸政府も,国内政治に制約されている.アサド政権が崩壊してほしいと思うアラブの指導者たちも,それを公言するわけにいかない.批判する者の主張には正しい部分がある.しかし問題は,シリアの事態がGゼロ世界の秩序を示すことだ.一つの大国,あるいはブロックが,世界の指導権を担うコストとリスクを受け入れようとはしない.
たとえアメリカとフランスだけで空爆しても,シリア内戦は終わらない.1.諸集団の数が多く,関心がバラバラである.2.アメリカが深い関与を嫌っている.3.アメリカが同盟国をあてにできない.
The
Guardian, Sunday 8 September 2013
The
US has little credibility left: Syria won't change that
Gary Younge
かつてチャーチルWinston Churchillは,日曜日の午後,カイロにおいて,ペンで線を引くだけでヨルダン王国を作った,と自慢した.90年後に,何が残っているかを観るべきだ.言語,エスニック,宗教,を無視して,厚顔で,植民地的な尊大さにより,複雑な地域に,無関係な直線を支配者が引いた.
中東における現代の混乱の多くは,外国の支配者が砂漠に引いた境界線で起きている.それは恣意的で,重大な結果をともなう,地域の利害より帝国のメンツで決めた線だ.オバマがシリアへの軍事攻撃の理由にした「レッド・ライン」もこれと同じである.
国際的なルールがある.・・・それを守るべきだ.・・・何かしなければならない.・・・空爆だ.
シリアの紛争の根は深く,複雑で,絡み合っている.軍事介入で解決できると説得することは難しい.一層の不安定性をもたらすリスクは大きい.外交的な圧力,国連査察,政治的解決策,というのが,乏しい選択肢の中で,わずかにましである.
アメリカの外交力は,アメリカ自身の過去の行動が損なっている.ファルージャで子どもに先天性の異常が多く,若年性のがんが多いのは,米軍が使用した劣化ウラン弾と関係あるだろう.イスラエルが国連決議を無視しても,アメリカは何もしない.アメリカが国際刑事裁判所に参加しないのは,自国民が告発されるのを嫌うからだ.オバマが世界に国際規範を説得した同じ日に,ドローン攻撃はイエメンで6人を殺害した.
シリアの空爆をアメリカの信認と結びつけるのは間違いだ.アメリカには守るほどの信認がない.アフガニスタンから撤退する米軍は,タリバンとの政治的取引を求めている.軍事的な解決などすぐに消えてしまう.
国際的な信認を得たいなら,アメリカ自身が国際法に照らして,過去に行った間違いを正し,国際法を高める外交を率先し,世界の他の部分と協力して行動するべきだ
NYT
September 8, 2013
Our
New Isolationism
By BILL KELLER
The
Guardian, Monday 9 September 2013
Obama's
rogue state tramples over every law it demands others uphold
George Monbiot
Project
Syndicate 09 September 2013
Syria
and September 11
Aryeh Neier
イラク戦争は9・11への報復であった.シリア空爆は違う.
40年前,1973年,チリにおける9・11として,ピノチェトGeneral Augusto Pinochetによる軍事クーデタが起きた.それは人権を擁護する国際社会とアメリカの運動を生んだ.
FP
SEPTEMBER 9, 2013
Can
Obama Afford Not to Bomb Syria?
BY AARON DAVID MILLER
FT
September 10, 2013
Obama
has given Assad a voice in the debate
By David Lesch
FT
September 10, 2013
Russia’s
Syria chemical weapons proposal is welcome, in principle
By Ivo Daalder
NYT
September 10, 2013
Playing
Chess with Putin
Bill Keller
チェスの名人Bill Wallの原則21は教えている.「王様を軽はずみに動かすな.後戻りできない.」 チェスの母国,ロシアのプーチンを相手に交渉するときも,それを忘れてはいけない.
化学兵器を国際監視下に置いて,破壊するなら,アサドは攻撃を免れる,というケリー国務長官の軽率なコメントが,すぐにプーチンの提案をもたらした.国務長官も,オバマも,これを攻撃回避の口実と疑っていたが,同時に,ウィン・ウィンの可能性を見ていた.
プーチンは,アサドを守り,シリア内戦のバランスを変えず,シリアのレジスタンスを道徳的に損ない,ロシアを世界平和の指導者に見せ,シリア政府を従わせ,アメリカ大統領の苦境を救う優位を得た.
NYT
September 10, 2013
Threaten
to Threaten
By THOMAS L. FRIEDMAN
FP
September 10, 2013
Why
the U.S. should treat the proposed Syria deal as a gift from the gods
Posted By Daniel W. Drezner
もし私がオバマ政権に助言できるなら,私は,この取引をまとめろ,と言うだろう.神が与えてくれたチャンスである.
FP
September 10, 2013
There's
Almost No Chance Russia's Plan for Syria's Chemical Weapons Will Work
Posted By Yochi Dreazen
The
Guardian, Wednesday 11 September 2013
This
crisis resolves little in Syria but says a lot about the United States
Timothy Garton Ash in Stanford
オバマ大統領の演説は,これまでのアメリカ大統領にはなかったものだ.シリア空爆ではなく,ロシアの提案を受け入れて,火曜日の夜に予定されていた下院の投票を延期する,という内容だ.
8月21日に化学兵器が使用されてから,アメリカの行動は多くのことを示した.
1.アメリカは戦争にうんざりだ.世論調査は,アメリカ国民の75%が,シリア政府は化学兵器を使用して自国民を殺害した,と考える.しかし,オバマが提唱するシリアへの軍事攻撃には反対だ.オバマ大統領自身が,戦争の時代を終わらせる,と主張して大統領になった.国内の国家再建を目指したのだ.
2.アメリカの孤立主義を再発見するのは正しくない.今は,1920年代と違って,アメリカのランチを狙う中国がいる.アメリカの衰退が意識されている.
3.イスラエルの姿勢は,シリア内戦の継続を望んでいる.その最悪のリアリスト的な思考を見るはずだ.アランに支持されたシーア派テロリストに支持される政府や,アルカイダにつながるスンニ派の支配的な反政府ゲリラが,シリアで安定した政権を樹立するのはよくない.彼らが互いに殺し合っているのだから,このまま続ければよい.・・・マキャベリさえも,ガンジーに見える.
4.オバマ政権には,国連代表のSamantha Powerのような人道主義的介入を支持するリベラル派もいる.しかし,重要ではない.
このコラムを書いているのは9・11の12周年である.アメリカは大きく変わった.それはアメリカの国内的な構造問題であるが,同時に,グローバルなパワーの構造が変化した.何年か経って,アメリカが経済再建した後も,アメリカは以前のような外交や介入を復活させないだろう.
アメリカが規則的に介入した過去の世界を嫌っていた者は,アメリカがそれを拒む新しい世界をどう見るか?
theguardian.com,
Wednesday 11 September 2013
I
was an Iraqi refugee. I keep thinking of the 2 million displaced Syrians
Aseel Machi
国連の推定では,200万人以上のシリア人が難民となっている.その多くは支援と避難所を求めて隣国に入った.これらの難民と同様に,私の家族も1991年,同じ理由でイラクを逃れた.暴力,抑圧,宗教的迫害が,日常的にあった.
私たちは,イラクを出てから,各地の難民キャンプに3年住んだ.サウジアラビアの国境を超える許可を得たが,その後,受け入れてくれる国を探した.われわれは砂漠の中で,ビザを待ち続けた.コンクリートブロックの住居しかなかった.
私は幼すぎたため,両親が困難を分かち合った.サダムの殺し屋が我々を脅し,キャンプに放火し,難民を殺害した.両親は夜もあまり眠れなかった.1994年,ついに,アメリカへの難民資格が得られた.そこは,われわれが生活を再開したのは,かつて見たこともない雪が積もる,ミシガンという遠くの土地であった.
アメリカで難民として成長するのも容易なことではない.大学卒でもないし,英語もよくわからなかったから,両親は政府からの給付や一時的な雇用で我々を育てるしかなかった.私は数えきれないほど引っ越し,そのたびに友人たちと別れた.私たちは足に合った靴がなく,父は雪の積もるバス停で,サンダルを履いていた.
フードバンクでは名前を憶えてくれるほど世話になった.私は家族と並びながら,恥ずかしくてうつむいていた.2011年に,私たちは家を所有できた.両親は,とても,喜んでいた.
9・11語のアメリカの政治的雰囲気で暮らすのは難しい.しかし,平等,自由,正義,教育,がすべての者にある,という理想を信じている.
大国や,政治指導者たちは,難民が自分で望まずに国を逃れた者であることを忘れている.暴力がなくなるとき,私はイラクに帰りたい.そして私がそうであったように,他の選択肢がない難民たちを,もっと多くの国が受け入れてほしい.
FT
September 11, 2013
The
west is failing the Syrian people
By David Gardner
FT
September 11, 2013
Syria
exposes the decline of American diplomacy
Kishore Mahbubani
アメリカが,もし化学兵器の使用禁止だけを主張していたら,アメリカはグローバルな支持を得ただろう.しかし,G20が示すように,アメリカはその半数,10か国にしか支持されなかった,世界人口の12%である.
オバマ大統領が述べたように,軍事的な解決ではなく,外交的な解決を求めることになった.しかし,アメリカの外交術はお粗末だ.確かに,かつては優れた外交官を生んだ.中国をアメリカ寄りにしたHenry Kissinger,世界の支持を集めて最初のイラク進攻を成功させたJames Baker,サイゴン陥落後のアメリカの地位低下を防いだRichard Holbrooke,アフリカにおけるアメリカ支持を広げたChester Crocker.
アメリカ外交が劣る理由は,1.ワシントンとの交渉が多すぎる.2.秘密が漏れる.そして,ロビーやメディアにたたかれる.3.ワシントンの偏見に支配される.だから,テヘランにも,ピョンヤンにも,ハバナにも,使節を送れない.
オバマは,化学兵器だけでなく,シリアの政権打倒と結び付けた.それには世界の多数が反対した.シリアの混乱状態を解決するのは,長い政治的交渉だけである.オバマは世界の指導的役割を引き受けるというが,それは世界人口の多数が支持しなければ成功しない.
Project
Syndicate 11 September 2013
The
US with Iran in Syria
Seyed Hossein Mousavian
NYT
September 11, 2013
A
Plea for Caution From Russia
By VLADIMIR V. PUTIN
国連は,戦争と平和の決断に影響するのが合意である,という理解に立って,安保理に拒否権を認めている.それは曽於十年にわたって平和を維持してきた.誰も国際連合が,国際連盟と同じように崩壊することを望まない.しかし,影響力のある国が国連を迂回し,安保理の承認なしに軍事力を行使すれば,それは起きるだろう.
多くの国や宗教指導者が反対するにもかかわらず,アメリカによるシリア攻撃が行われれば,罪のない市民が犠牲になり,内戦は激化し,シリア国境を越えて拡大する.暴力が蔓延し,テロの新しい波が起きるだろう.それはイランの核問題や中東和平を妨げ,中東から北アフリカを不安定化する.国際的な法と秩序がバランスを失って崩壊する.
シリアでは,アラブ諸国からの傭兵が戦争し,西側諸国やロシアからも軍人が参加している.その戦闘の影響を彼らが自国に持ち込むことを,われわれは強く懸念しなければならない.
ロシアは対話と妥協を要求し,アサド政権を支持するのではなく,国際法を擁護した.シリアで毒ガスが使用されたのは明らかだが,それはシリア政府軍ではなく,外国を巻き込みたい反政府軍がやったことだ.外国の内戦に関わることが危険であるのは,アメリカ人もよくわかっている.軍事介入がアメリカの長期的な利益である,とは思えない.
もし子億歳方に依拠できないとしたら,世界は自分の武器を持つしかない,と思うだろう.そして,ますます多くの国が大量破壊兵器を保有する.これは論理として正しい.軍事力ではなく,文明化された外交と政治的な解決を目指すべきだ.
オバマの演説は,アメリカ人が「例外」であると訴える.それは危険な発想だ.確かに,すべての国は異なっているが,神はすべての者を平等に創られた.
NYT
September 11, 2013
Diplomacy
as Deterrent
By THE EDITORIAL BOARD
NYT September 11, 2013
It’s
a Mad, Mad, Mad, Mad World
By CHARLES M. BLOW
NYT
September 11, 2013
That
Threat Worked
By NICHOLAS D. KRISTOF
NYT
SEPTEMBER 11, 2013
Can
Syria’s Chemical Arsenal Be Destroyed?
WP
September 11, 2013
The
world now has a chance to end war in Syria
By Jimmy Carter
WP
September 11, 2013
The
Cuban missile crisis’s lessons for Syria, and Obama
By Michael Dobbs
われわれは許せないと言った.しかし,彼らはさらに進み,それを犯した.・・・何もしない,という選択肢はない.
これは2013年9月の会話ではない.1962年10月16日の会話である.ケネディーJohn F. Kennedy大統領は,ソ連がキューバに核ミサイルを送ったことに気付いた.
幸い,ケネディーはこの袋小路から抜け出した.オバマ大統領も,シリア危機を回避する同様の工夫を見出さねばならない.何より,戦争を急いではいけない,ということだ.
FP
SEPTEMBER 11, 2013
The
Blind Squirrel Gambit
BY DAVID ROTHKOPF
FP
SEPTEMBER 11, 2013
Wishful
Thinking
BY ROSA BROOKS
2013-09-11 (China Daily)
Breakthrough
on Syria
FT
September 12, 2013
Russia’s
tactical triumph does not signify a new cold war
Richard Haass
SPIEGEL
ONLINE 09/12/2013
What
Putin Wants
Moscow's
Fear of Jihad Drives Policy on Syria
A Commentary by Uwe Klussmann
WP
September 12, 2013
Obama
on the path to success in Syria
By Fareed Zakaria
これはオバマの外交的な成果である.ただし,それを明確に示すには,軍事介入をめぐる3つの議論を明確に1つに限定することだ.オバマは,1.体制転換,2.人道的理由,ではなく,3.化学兵器の禁止,を求めて軍事力の行使を示唆し,そのことでシリア政府の譲歩を得た.
同等に,アメリカはアサド政権が交渉相手や査察の安全を確保する正当な相手と認めねばならない.ロシアにとっても,アサド体制を守り,化学兵器が聖戦主義者にわたるのを阻止できるのは,長期的な利益である.イランも,サダム・フセインによる化学兵器の使用を記憶するから,この目的を支持している.
FP
September 12, 2013
That
Awkward Time Putin Called for Military Intervention in the New York Times
Posted By J. Dana Stuster
(後半へ続く)