IPEの果樹園2013
今週のReview
5/27-6/1
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国際移民による調整 ・・・縫製労働者 ・・・クール・ウォー ・・・オバマの安全保障戦略 ・・・緊縮<妖精>論争 ・・・薄氷のアベノミクス ・・・中国とTPP ・・・気候変動抑制への行動 ・・・都市をめぐる社会闘争 ・・・イギリスのヨーロッパ戦略
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP:
Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian,
NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington
Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)
l 国際移民による調整
SPIEGEL ONLINE 05/15/2013
Coming
to Germany
Spanish
Workers Look for a Future in Bavaria
By Andrew Bowen in Munich, Germany
スペインの若者の失業率はあまりにも高く,他方,ドイツでも企業が望むような熟練労働者を雇用できない.バヴァリアの新しい計画は一石二鳥を狙うものだ.
Antonio José García Roca,27歳は,Wilhelmstrasseの足場に上る細い階段を登った.6階建てのビルの補修工事である.各階の補修に金属工が必要だ.屋上で,ボスにあいさつすると,直ちに,ハンマーとペンチで排水溝に銅板を設置する作業を実演した.説明は,ほとんど手振りと短い言葉だけだ.Antonioはドイツ語を知らない.しかし,仕事は早かった.作業を始めて4日目であった.Munich and Upper Bavaria職工協会(Chamber of Crafts)が行う実験プログラムである.
スペインの失業率は27.2%,若者は57%が失業している.この計画のコーディネーターであるElisabeth Kirchbichlerは,最近,コルドバに出張して,地元の商工会から1000人以上の応募者が記録されたUSBドライブを渡されて,ショックを受けた.南欧からドイツに来る移民はすでに急速に増加している.
ドイツの企業がスペインの若者を雇用する標準的なケースは,スペインで応募し,Skypeで企業が応募者にインタビューし,双方が関心を示せば,協会が往復の航空券と試用期間の宿舎を提供する,というものだ.もし企業側がフルタイムの労働者として雇用することに決めた場合,協会は再びドイツ行きの片道航空券を提供し,新雇用の合意を助け,半年分の家賃とドイツ語クラスの受講料を支払う.
この計画の財源は,半分が職工協会から,残り半分はEU(EU's European Social Fund)とバヴァリア労働省から出ている.政府が行う移民と統合化の計画は激しい論争になってきたが,それは民間部門によって推進する形になってきた.企業や労働組合が,移民労働者の統合化に関与しつつある.「自己利益の啓発が重要だ.」 ドイツ語を話す,良い労働者であることは,地域社会にとっても,移民労働者にとっても好ましいことだ.
外国人労働者の輸入によって不足を埋めるのは初めてではない.ドイツの戦後復興において,イタリア,ギリシャ,トルコなどから,ゲストワーカー・プログラムによる労働者の輸入が行われた.その当時,ゲストワーカーは帰国するものと前提していた.しかし,それは間違いであった.彼らは残ろうとしたし,企業側も訓練した労働者を手放したくなかった.その失敗から学んで,いまではドイツ語教育を重視している.
EU市民であれば,ドイツで働くのにビザは要らない.住民登録や住宅探し,銀行口座の開設など,障壁を除く努力が重要だ.中小企業も,得られなかった熟練労働者を得る.移民たちは言葉を学び,貯蓄して,ガールフレンドを見つける.
WSJ May 16, 2013
The
Smiling Scourge of Europe's Elite
By BRIAN M. CARNEY
VOX 17 May 2013
Cuddly
or not, the design of worker insurance is critically important
William Kerr
FP MAY 17, 2013
Give
Them Our Huddled Masses
BY AADITYA MATTOO, ARVIND SUBRAMANIAN
世界金融危機は,経済の停滞,富・資産の縮小,中産階級の機会の消滅,という長期傾向を強めた.世代の両端が厳しい影響を受けた.16歳から24歳の若者たちは45%しか仕事に就いていない.ベビー・ブーマー世代のますます多くの者が引退し,少ない貯蓄や年金で暮らしている.予算の自動的な赤字削減措置で,将来の支出切りつめは弱者,高齢者,学生たちに厳しいものとなる.成長率を高めることは,言うのは簡単だが,容易でない.
もっと直接にアメリカ経済を活性化し,人々の財布にパワーを与える方法がある.「アメリカ国民よ,南を目指すのだ!」 すでにアメリカ人の多くがタイで治療を受け,物価の安いラテンアメリカで年金生活を送っている.学生たちはカリブ海の医療学校に入学する.
新しいグローバリゼーションがアメリカ人消費者の購買力を高める.アメリカの医療費や教育費は,将来,ますます高騰するからだ.アメリカからは医療や教育のために人々が流出し,アメリカはその障壁を減らして,他国の企業,科学者,医者,エンジニアを受け入れるだろう.熟練労働者の移民を受け入れることは,国内の技術革新と成長を促す.
コストの違いを利用することは,その質を損なうだろうか? しかし,かなり多くの外国で学んだ医療専門家たちが,すでにアメリカ国内の高度医療を担っている.コストの節約は質を犠牲にしないし,多国籍化した大学は,教育におけるグローバル・サプライ・チェーンを創出しつつある.
国内政治は,競争にさらされ,所得を減らす恐れのある医者やエンジニアからの反対と,こうしてコスト削減ができる消費者の支持という,双方の動きに影響される.政治的反対を抑えるには,アメリカと貧しい諸国とが,グローバリゼーションの不安を緩和するため,説得することが重要だ.
市場の示す方向へ変化することは避けられない.確かに,あまりにも多くの移動が現地の医療や教育サービスの供給を超えて,地域の政治的反発を招くこともあるだろう.しかし,アメリカで不安を感じる人々に対して,発展途上諸国の指導者たちは呼び掛けるだろう.「あなたの退職者,貧困者,自由を求めて集まる若者たちを,我々に与えなさい.」
l 縫製労働者
WP May 15, 2013
Mending
factory conditions after Bangladesh
By Harold Meyerson
戦場を除けば,世界で最も危険な仕事は,覆面操作の警察官でもなく,消防士や闘牛士でもなく,空中曲芸師でもない.それは,衣服の縫製労働者である.特に,バングラデシュのような国の.
4月24日のRana Plaza崩壊事故は1100人の犠牲者を出し,今もその数が増加している.その事故以後も,いくつかの火災が起き,労働者たちは犠牲になっている.
火災は下の階で起きた.もし防火壁があれば,上の階の労働者たちは助かるはずだ.しかし,防火壁はなく,会談が煙突のような役割を果たして,建物の火災を大きくした.バングラデシュでは,ほとんどの建物がそうなっている.
大手の流通業者は,Rana Plaza事故の直前,自分たちが安全基準をチェックしている,と自慢していた.しかし検査官は,消火器があるか,といった単純なことしかチェックしない.建物の構造の安全性などチェックしないのだ.
事故を受けて,労働組合や苦汗工場反対運動の抗議を受け,ヨーロッパの流通業者やブランドが,安全基準や独立の検査官を設ける計画に合意した.しかし,アメリカの企業は署名を拒否,留保した.PVHは,アメリカABCニュースの火災による29人の犠牲者に関する厳しい報道に直面して,態度を改めた.
他方,Wal-Martは,Forbesによれば1160億ドルの資産を持つ経営者家族が,自分の労働者たちにも安全を十分に保障していない.その“everyday low price”が,低賃金と安全性無視をもたらすことについて,態度を改めてはいない.
BLOOMBERG May 16, 2013
To
Help Worker Safety, Bring Back Managed Trade
By Alan Tonelson
労働条件の劣悪な国から輸入される衣料品に関税を課すことは,むしろ労働者の賃金を引き下げることになって,安全性を高めないだろう.しかし,安全性基準の実施に応じて,輸入割当制を行うことは,生産国の労働条件を改善させる圧力となる.
もちろん,それは多角繊維協定MFAの継承ではない.しかし,MFAは,中国からバングラデシュなどの諸国へ,衣料産業の中心が移転する重要な背景であった.
NYT May 18, 2013
Before
You Buy That T-Shirt
By VIKAS BAJAJ
NYT MAY 20, 2013
Redeeming
Bangladesh
By NANCY FOLBRE
WSJ May 20, 2013
Bangladesh's
Tragedy and Trade
l 破局から再生へ
Project Syndicate 16 May 2013
A
New Deal for Fragile States
Erik Solheim
2004年,津波に襲われたスリランカへは,各国が支援に集まったが,ばらばらの支援が現地の内戦を激化させる結果になった.内戦に苦しむ地域は,もっと自分たちの意思で復興する枠組みを必要としている.それは,すでに各地で試みられている(Sierra Leone’s Agenda for Prosperity 2013-2017 and the Liberia Vision 2030).
FT May 20, 2013
Afghanistan’s
forgotten crisis: its economy
By Victor Mallet in Delhi
Project Syndicate 20 May 2013
Reinvigorating
Egypt’s Economy
Mohamed A. El-Erian
エジプトにはすべてがそろっている.ムスリム同胞団は政治において勝利したが,その政府は成長をもたらさない.
国内供給が混乱し,インフレが高まっている.それは補助金の負担を通じて,予算赤字を増やす.また,借り入れが増え,外貨準備を減らす.成長の不足とインフレ高進は,特に弱者の生活を苦しくする.エジプトの債務格付もさらに低下する.
こうした事態に,ムスリム同胞団は対応できていない.彼らは内向きになり,自給を目指す.革命の成果が得られなかったことで,革命の話は否定的になる.制度の改革には何年もかかり,経済や金融の変化は瞬時に起こせない.ビジネスの失われた信用も回復しない.IMF融資だけで成長は始まらない.
しかし,私は自信がある.エジプトには経済的・金融的な安定性に必要なすべての要素がある.資源,人口,ダイナミズム,起業家精神,立地,地域的・地球規模のリンク,である.そして,若い世代は自国の運命を変えられると信じている.
政府は成長を加速する道を,若者,貧困層,中産階級,各集団に示すことだ.政治的な団結によって,成長は起動する.
YaleGlobal, 23 May 2013
The
Promise of Africa
Ian Shapiro
l クール・ウォー
FP MAY 16, 2013
The
Unstoppable Force vs. the Immovable Object
BY NOAH FELDMAN
アメリカと中国との関係は悪化している.米中戦争に向かうのか?
中国の力はアメリカに迫っている.古代ローマに迫るカルタゴのように,第1次世界大戦前のイギリスに挑むドイツのように,それ故,アメリカと中国は,アメリカとソ連との冷戦を復活させ,一方が衰退するまで世界規模の戦いを続けるのか?
あるいは,旧式の帝国的な権力政治という考え方が消滅して,多様化した,世界の協力体制が新しい時代を開くのか?
“Cool War”(涼戦)とはパラドックスを意味する.それは2大国間の古典的な戦いであるが,同時に,経済的な協力関係はますます深まっていく.重要なことは,米中関係を不可避的な対決と,ユートピア的な協力との,単純な2者択一に結びつけて考えないことだ.
この新しい冷戦,もしくは「クール・ウォー」は,かつてと同様に,世界中の国を自国との同盟関係に引き入れるため競争する.その最初の戦場は,台湾,東アジア,太平洋である.
中国の指導者たちと親密な交友関係を築いたリー・クアンユーは,中国の指導者たちがアジアの支配的な地位をアメリカから奪うつもりか? と尋ねられて,答えた.「彼らは運命について意識しており,それは圧倒的な力である.」 「中国の意図とは,世界で最も偉大なパワーとなることだ.」
アメリカはこれに対抗して,従来の同盟諸国を強化し,日本を支援しているが,それでは不十分だと考えている.インドが最も重視されている.
「クール・ウォー」の勝者は予測できない.暴力的な衝突を回避できれば,人類の福祉も人権も高められ,すべての者が勝者になる.
Project Syndicate 21 May 2013
The
Invisible-Border War
Jaswant Singh
中国の習近平体制は,これまでの領土紛争にとどまるつもりはない.
SPIEGEL ONLINE 05/22/2013
Unlikely
Heir
Obama
Returns to Kissinger's Realpolitik
By Gregor Peter Schmitz
Project Syndicate 22 May 2013
Overcoming
East Asia’s Sovereignty Disputes
Charles Tannock
台湾が,多角的な交渉と資源の共有という枠組みを提案しているのは,EUが北海油田を解決した方式であり,重要だ.
l オバマの安全保障戦略
FP MAY 16, 2013
Breaking
the Kill Chain
BY ADM. JONATHAN GREENERT, GEN. MARK WELSH
FT May 22, 2013
Obama’s
choice of tools to combat terrorism comes under scrutiny
By Geoff Dyer in Washington
バラク・オバマの演説が優れていることは,敵対する者でも認めている.オバマは,テロに対する自身の考え方を明確にする必要があった.
再選されてから数か月で,オバマがイスラム主義者のテロリストと戦いを続け,新しい,予測できないテロに直面していることが明白になった.しかし,彼の認めた戦いの手段は急速に正統性を失いつつある.
2011年に,オサマ・ビン・ラディンの殺害を認めて,長い,テロとの戦いに勝利したように見えた.しかし,現実には内外でテロが起き,アルカイダに影響を受けたテロ組織が事件を起こしている.9・11後の不安は表面的に抑えられただけで,ボストン市全域を封鎖した捜査のように,恐怖心は再び高まっている.
オバマが約束した新しい対テロ作戦の透明性や効果は疑わしく,特に,ブッシュ政権が始めたドローンによるテロ容疑者の殺害は,オバマ政権でも引き継がれ,拡大されている.その作戦の透明性や正統性が欠けている点を,繰り返し批判されるようになった.
オバマの演説は,これを説明する貴重な機会である.オバマは信認を取り戻し,テロとの戦いに有効な仕組みを示す必要がある.
guardian.co.uk, Thursday 23 May 2013
Give
President Obama a chance: there is a role for drones
Michael Cohen
パキスタン,イエメン,ソマリアで,多数の容疑者を殺害しており,その透明性は欠けている.しかし,多数の市民や子供を殺害した,という非難は間違いである.
FT May 23, 2013
Obama
rewrites rules for drone strikes in terror war
By Geoff Dyer in Washington
オバマは,ドローンによる攻撃を支持して,それが通常の空爆や地上軍の派遣よりも犠牲者を大幅に減らしている,と主張した.そして,この戦争を終わらねばならない,と強調した.
FT May 23, 2013
How
Barack Obama has tried to open up the one-sided drone war
By Micah Zenko
NYT May 23, 2013
The
End of the Perpetual War
By THE EDITORIAL BOARD
NYT May 23, 2013
Obama
Acts to Curtail Drones
By PETER BAKER
WP May 24, 2013
Obama
outlines future of counterterrorism efforts
By Scott Wilson and Greg Miller
オバマ大統領は対テロ政策の将来について説明した.敵を明確に定義し,殺害という方法を採ることについて議会に説明し,アルカイダに対する長い戦争を終わる,という内容だ.
グアンタナモ基地の閉鎖についても,改めて,議会に協力を求めた.166人の拘束者の多くがハンガーストライキを実施している.
オバマは,明確に定義された戦場とその外において,武装ドローンの使用に関する法的なガイドラインを示した.議会と協力して,標的に関して評価する独立の裁判所を設けるだろう.
対テロ戦争の性格と範囲を,すなわち,われわれ自身を,明確に定義しなければならない,とオバマは語った.James Madisonの警告を思い出すべきだ.「戦争が続く限り,いかなる国も自由を保てない.」 すべてのテロをなくす,と約束したことはない.「人間の中にときに生じる邪悪さを消滅させることはできないし,われわれの開かれた社会に及ぶすべての危険を取り除くこともできない.われわれにできるのは,そしてしなければならないのは,直接に危害を及ぼすネットワークを解体し,新しいテロ集団が確立するのを難しくして,その間も,われわれの守る自由や理想を維持することだ.」
オバマは,市民的な自由と国家の安全保障とをバランスさせる必要を強調した.しかし,共和党からは,大統領がテロの脅威に有効に対処できないような転換を目指している,という批判が起きている.
標的を決定し,市民の犠牲者を抑えるようなガイドラインの作成を求め,ドローン作戦の統括をCIAではなくペンタゴンに移す,戦場以外でも,米兵に脅威を及ぼすテロ集団にドローンを使用するが,それは世界中に適用することを意味しない,と表明した.アフガニスタンで行われているように,テロとの戦いは軍事的な手段に限らず,もっと広い活動を意味し,パキスタンで行われたドローン攻撃は現地政府の承認を得ている.
われわれは,もしわれわれが阻止しなければ,多くのアメリカ人を殺害する集団との戦争に従事している.だからこれは正義の戦争であり,比例的な,最後の手段の行使であり,自衛なのである.ドローンの攻撃に市民の犠牲者がともなったことは「心を打ち砕かれるほどの悲劇」であるが,その犠牲は阻止された計画と合わせて評価してほしい,とオバマは述べた.
ニューメキシコ生まれのアメリカ市民Anwar al-Awlakiの殺害を,アラビア半島のアルカイダ支部と協力して航空機への攻撃を計画していた,と正当化した.オバマは,それが憲法に触れることを理解していたし,作戦の前に法務省と議会に情報を提供して説明した,と述べた.しかし,アメリカ市民も他国の市民も,潜在的なテロリストを標的にする攻撃を認める場合は,同じ高い条件に従うだろう,と.
オバマは,ジョージ・W・ブッシュ政権によって始められた拷問や市民への秘密捜査を非難してきた.今後,人権や公的な透明性,法の支配,というアメリカの伝統に戻るだろう,と主張する.アルカイダの支部やさまざまな潜在的テロ活動に対しては,他国に軍隊を派遣するより,諜報活動やドローン攻撃で対応し,国内のテロリストには法の執行を強化し,ムスリムのコミュニティーと協力する,と約束した.
FP May 22, 2013
The
4 key points of Barack Obama's counterterrorism speech
Posted By John Hudson
l グローバル企業への課税
The Guardian, Friday 17 May 2013
Multinationals
and tax: a bad smell
Editorial
グーグル,アマゾン,スターバックス,・・・グローバル企業への課税は,イギリスにおいて,特に強い腐臭を放っている.それは合法的な操作である,と企業は説明するが,キャメロンは応えなければならない.
The Observer, Saturday 18 May 2013
At
Google we aspire to do the right thing. So we welcome a debate on international
tax reform
Eric Schmidt (executive chairman, Google)
The Observer, Sunday 19 May 2013
One
tax law for us and another for Amazon
Nick Cohen
l ハッカーの楽園
FT May 17, 2013
The
name’s Bond, James Bond. I’m a programmer
By Chris Morgan-Jones
NYT May 22, 2013
Hackers
Find China Is Land of Opportunity
By EDWARD WONG
SPIEGEL ONLINE 05/17/2013
Living
by the Numbers
Big
Data Knows What Your Future Holds
By Martin U. Müller, Marcel Rosenbach and Thomas Schulz
l 緊縮<妖精>論争
Project Syndicate 17 May 2013
Open-Access
Economics
Barry Eichengreen
Reinhart/Rogoff の論文は,1974年に,Robert Fogel and Stanley EngermanがTime on the Crossを出版したとき以来の,大騒ぎになった.そのときも,研究者たちの意図を離れて,そのデータを他の団体が論争に利用した.
この騒ぎは,経済分析そのものの信頼を損なう事件でもある.なぜ権威あるNBERは間違ったデータ処理のある論文を載せたのか? こうした研究を利用する政策決定は信用できるのか? 研究者は論文のデータや処理を公表していない.それは彼らに負担となるだけで利益をもたらさない.その仕組みを変えるべきだ.
また,相関関係は因果関係ではない.これは複雑な統計操作によってではなく,歴史分析によって示すべきことだ.特定の歴史的事例がどのような政治,経済状態において起きたか.統計は有益だが,他の社会問題を探求するのと同様に,正しい歴史分析に依拠しなければならない.
重要なのは,研究の手続きと優先度であり,その動機ではない.
Project Syndicate 18 May 2013
Learning
About Growth from Austerity
Michael Spence
Project Syndicate 20 May 2013
The
Flawed Origins of Expansionary Austerity
Jeffrey Frankel
Carmen Reinhart and Kenneth RogoffやNiall Fergusonを利用して財政緊縮策を支持する主張は下火になっている.しかし,彼らの主張よりも,もっと強烈な主張が先にあった.Alberto Alesinaによる「拡大的な財政緊縮策‘expansionary fiscal austerity’」だ.
NYT May 21, 2013
A
Victory for Keynesians Leaves Policy Unscathed
By EDUARDO PORTER
Project Syndicate 21 May 2013
Austere
Illusions
Robert Skidelsky
将来の利益のために現在の苦痛を強いるという考え方は昔からある.アダム・スミスも,1930年にフーバー大統領に助言したメロン財務長官も.
メロン式の「清算主義」によれば,2008年の危機前にあったのは癌細胞におかされた経済だった.国家は民間経済に寄生しており,自由企業の生血を搾っていた.経済は自然に完全雇用の均衡に至り,ショックの後も,政府が間違った指導をしなければ,きわめて速やかに均衡を回復する.だから彼らはケインズ主義的な介入に激しく反対する.
ケインズの異端は,そのような自然力を否定した.少なくとも短期では.そして,長期については,人はすべて死ぬ,と述べた.経済は「低雇用均衡」に,長い期間,とどまる可能性があり,そのような場合,より高い雇用に戻すために外からの刺激が必要だ.
支出を削減して成長をもたらすことは不可能だ.そうでないと思うのは,「合成の誤謬」に陥っている.部分的に正しくとも,全体には正しくない.支出を削減するヨーロッパの中のイギリス,世界全部で,緊縮策は成長を実現できない.
必要なことは全く逆である.経済が縮小し,歳入が減るとき,政府は財政赤字を減らせない.赤字削減は浪費である.利用可能な人々を浪費し,物的資本を浪費する.その結果のみじめな経済を見るまでもなく.
緊縮論者は,信頼できる「財政再建」計画,を求める.それはGDPに対する政府の長期的な縮小を意味し,企業は減税や利潤の増大を期待するから,政府支出の削減によって生じる需要不足を超える経済の拡大がもたらされる,と主張する.Paul Krugmanはこれを,「信頼の妖精」と呼んだ.
この検証可能な命題は,盛んに計量経済学者を刺激して,政府支出を減らして成長を加速した,という研究を生んだ.「拡大的な財政引き締め」である.ハーヴァードのAlberto Alesinaはその指導者であるが,ヨーロッパの緊縮策を支持した.そして,引き締めが十分に大きく,投資家を信頼させるものでなかった,という弁解をした.
しかし,その主張は相関と因果とを誤解しており,IMFの研究によって完全に否定された.
Project Syndicate 22 May 2013
The
Debt-Growth Controversy
Michael Boskin
Project Syndicate 23 May 2013
Europe’s
Lost Keynesians
Kenneth Rogoff
ユーロ圏を助けるケインズ主義の魔法の杖はない.評論家たちは政治の道具だ.「反緊縮」の抗議デモは,困難な構造的問題にも循環的な簡単解決策があると信じている.
ユーロ圏の危機を解決する現実的な戦略には,必ず債務の償却が含まれていなければならない.以前から何度も指摘してきた.ドイツの政治家たちは否定したが,国民の多くはそれを疑ったように,そうしなければ周辺への財政移転を続けるしかない.
債務を削減し,資産を損なわれた銀行に納税者が大規模に資本注入する.それよりも穏健な解決策は,ECBがより高いインフレ率を受け入れ,債務負担を減らすと同時に,周辺諸国に比べてドイツの賃金上昇を促すことだ.ケインズ主義的な刺激策では,長期的な競争力の問題を解決できない.
ドイツに集中する債権は,それを利用してユーロ圏の改革を求める内容を示すことになる.ドイツが周辺の改革を要求するだけでなく,債務を償却して銀行の資本を再強化するなら,それと同時にユーロ圏を支持する政治的統合を進めるべきだろう.それなしには,ユーロ圏は存続しない.
l オバマの陰謀?
WP May 17, 2013
Obama
a new Nixon? Oh, get serious.
By Editorial Board
FP MAY 17, 2013
Obama's
Plumbers
BY JAMES TRAUB
(後半へ続く)