(前半から続く)
l アラブのマーシャル・プラン
WP May 3, 2013
Recalibrating
U.S. policy in Egypt
By Thomas Carothers and Nathan J. Brown
Project
Syndicate 08 May 2013
An Arab
Marshall Plan
Adeel Malik, Bassem Awadallah
独裁者を倒しても,革命後の政府にはさらに厳しい経済の苦境が続いている.チュニジア,エジプトの失業者はほぼ2倍になった.アラブ世界全体で直接投資が干上がった.財政赤字が膨張し,エジプトのIMF融資も合意できない.
エジプトのGDPの11%を超える財政赤字に対して,燃料や食料に対する補助金の削減,増税を求められている.経済改革の必要はだれもが認めているが,厳しい不況の中で,食糧に所得の40%を支出する貧しい家が多いことを想えば,政治家はだれもそれを受け入れられない.こうした苦しい改革には,新しい社会契約に関する政治的合意が必要だ.
経済改革に向けて政治的な余地を作り出すため,アラブ世界の指導者たちは地域的な成長協定に合意するべきだ.それはマーシャル・プランに似ているだろう.経済を再生する新規投資を導くのである.補助金の削減は成長する経済においてなら実現できる.また,競争的市場こそが改革を進める.
協定に参加することで,アラブ諸国は改革への関与を強め,国際的な経済取引の規制を取り除く.こうした地域市場の欠如が,経済活動を政府に依存させる結果になっていた.資源の豊富な国と資源のない国とを分割することは間違いであるし,地域の開発銀行をもっと活用できる.
市民と国家の関係だけでなく,アラブ世界の国家間関係を改革する.革命の脅威にまださらされていない国も,近隣諸国の経済再生と政治的移行を円滑にすることは,地域全体の利益を実現する.
l 中国と安全保障
Global Times |
2013-5-3
Seize chance to
win S.China Sea peace
By Global Times
Project
Syndicate 04 May 2013
China’s India
Land Grab
Brahma Chellaney
日本との緊張,南シナ海におけるベトナム,フィリピンとの衝突も,中国がヒマラヤにおいてインドとの領土問題を再燃させる妨げにはならなかった.4月15日,中国人民解放軍は,ひそかに中国・インド・パキスタンの3国境界線地帯で,インドが支配する地域に19キロ入った地点で拠点を設営し,インド政府から750平方キロの重要な高地を奪おうとしている.
インドの内政の混乱は,それに対する選択肢を制約している.
FP MAY 4, 2013
The Most
Dangerous Border in the World
BY ELY RATNER, ALEXANDER SULLIVAN
約30人の中国軍がインド支配領域に12マイル入った地点まで進んだ.インド政府は,こうした中国からの侵入を昨年約400件数えている.2013年に入ってすでに100件だ.
しかし,1986年以来初めて,人民解放軍は撤退を拒んで,3つのテントを張った.インド側は抗議したが,中国軍はさらに2つのテントを張り,「ここは中国領である」という英語のサインを掲げた.3度の交渉は失敗に終わった.中国外務省の報道官は,人民解放軍が境界を超えた事実も認めていない.
インドが,日本やベトナム,シンガポールでさえ,中国の地域派遣を恐れる諸国に担がれる懸念もある.
2013-05-04
(China Daily)
Clearing the
sea of troubles
By Ruan Zongze
NYT May 7, 2013
China and
Cyberwar
By THE EDITORIAL BOARD
NYT May 8, 2013
China,
Beckoned, Dips a Toe Into Mideast Peacemaking
By EDWARD WONG and CHRIS BUCKLEY
イスラエルのネタニヤフ首相,パレスチナ自治政府のアッバス大議長が,ほぼ同時に,中国を訪問した.中国の存在は,イスラエルとの貿易や中東からの石油輸入で増大している.しかし,中国の立場はまだ強いものではなく,イランやシリア,ロシアとの関係を含むと,複雑化する.現在の中東紛争で,アメリカのように重要な役割を果たすことはないだろう.
l 中国と国際制度
Global Times |
2013-5-5
TPP may spur
China’s laggardly reforms
By Global Times
日本がTPP参加に熱心だ,と言うニュースは中国を刺激する.ベトナムや東南アジア諸国にも同様の計画がある.しかし,中国はその意図を警戒するよりも,1978年以来の市場改革を推進するべきだ.市場改革に成功することが,国際的な敵対勢力や国内の環境破壊に対して,最も重要な反撃になる.
FT May 6, 2013
The Chinese
dream is smothered by toxic smog
By Gideon Rachman
FT May 6, 2013
China seeks to
water down key World Bank report
By Robin Harding in Washington
FP May 7, 2013
China: Year
Zero
BY CHRISTIAN CARYL | MAY 7, 2013
FP/Slate May 8, 2013
Seven Reasons Why China May Be the World
Leader in Fighting Climate Change
By
Ramez Naam
アメリカでも,ヨーロッパでもなく,中国が気候変動の国際体制を推進する指導力を発揮する可能性が高い.その理由は,1.排出権取引を導入する,2.炭素税を導入する,3.再生可能エネルギーに投資する,4.太陽光発電の生産で支配的な地位を得ている,5.2位はドイツである,6.石炭より風力による発電を増やしている,7.アメリカのような国内政治の反対はない.
中国は,グリーン・エネルギーの普及と研究開発に大規模な投資を誘導している.そして,その価格を大幅に下げている.
l デンマークの福祉国家改革
NYT MAY 5, 2013
Denmark’s
Work-Life Balance
デンマークにおける福祉国家の改革は成功しているのか? ヨーロッパの福祉国家を救うことは可能か?
高等教育は無料.国民すべてへの医療保険制度も無料.子供が生まれたら両親のどちらかが1年間の休暇を取れる.・・・改革は常に必要だ.
l アジアの政治指導者
BLOOMBERG May
5, 2013
Asian Leaders’
Tough Talk Hides Failure of Leadership
By Pankaj Mishra
ナショナリズムが復活するのは,政治指導者が国内で不安を抱えるときだ.
WP May 8, 2013
South Korean
President Park Geun-hye answers questions
l パキスタン
guardian.co.uk,
Monday 6 May 2013
Pakistan's
deadly democracy
Samira Shackle
FT May 9, 2013
Pakistan’s last shot at staying
democratic
By
Anatol Lieven
FT May 9, 2013
Pakistan’s politicians must unite to save
the nation
Ahmed
Rashid
FT May 6, 2013
In modern Myanmar,
the hard grind begins
Kurt Campbell
l ユーロ危機と債務処理
Project
Syndicate 06 May 2013
Soros versus
Sinn: The German Question
George Soros, Hans-Werner Sinn
Sorosは,ユーロ・ボンドを導入せよ,という.もしそれに反対するなら,ドイツがユーロを離脱せよ.そしてユーロは減価して,赤字諸国は競争力を回復し,ドイツ・マルクは増価して,調整コストを分担する.しかしSinnは,ユーロ・ボンドで生産性や競争力の不足を解決できない,と主張した.つまり,デフレ政策を続け,生活水準・賃金を生産性に合わせて下げるのだ.ユーロを抜ければデフォルトになる.ユーロ圏を維持するには,民間の債券保有者がコストを分担するしかない.
George Soros ・・・ユーロ圏の統合は不十分である.ドイツは赤字諸国に緊縮財政とインフレ抑制を押し付けた.それはデフレを悪化させ,債務/GDPの比率は高まった.
日本も25年間,ドイツの支持する政策を採って,ときたまの財政刺激策にもかかわらず,デフレを続けた.ユーロ圏は,日本のような政治的統一性や歴史がないから,同じようなデフレが続けば解体するだろう.
Hans-Werner Sinn ・・・ドイツはユーロ・ボンドを受け入れない.他国の財政赤字を救済しないことが,ドイツもユーロを採用した条件である.Sorosは債務の共有が深刻な問題であると理解していない.アメリカでもA.ハミルトンが州債を共有した後,州財政の破産が続いた.ユーロ・ボンドは財政規律を失わせ,政治のモラル・ハザードに至る.
デフレや改革を拒んで,ユーロ・ボンドや減価があっても問題を解決できない.イタリアの南部問題や,東ドイツの例も同じである.ドイツの離脱を増価によって負担になる,とSorosは言うが,むしろ増価によって利益を受けるだろう.ユーロ・ボンドで南に貯蓄を移転するだけでは,問題を解決することにならない.
日本は,1997年の銀行破産後,緊縮策を拒み,財政赤字を累積したから停滞しているのだ.永久にケインズ主義的な刺激策を続けることはできない.また,ユーロ圏内の問題は,変動レート制で,緊縮策が無効であるケースと比較できない.
FT May 7, 2013
The German model
is not for export
By Martin Wolf
「ドイツはヨーロッパ経済を自分のイメージに合わせて作り直しつつある.最大の経済,支配的な債権国という地位によって,ユーロ圏の諸国をドイツの小さなレプリカにする.そして,ユーロ圏全体も.しかし,この戦略は失敗するだろう.」
ベルリン・コンセンサスは,安定性を重視し,財政赤字や政府債務を嫌う.ケインズ的なマクロ経済の安定化など,かけらもない.このモデルが機能するために,ドイツが対外均衡を利用してきた.国内需要が弱いときは対外黒字を増やしたのだ.
しかし,赤字国に同じ条件を求めるとき,またユーロ圏全体に同じ政策を求めながら,対外均衡を利用するとき,不況下で,そのモデルは破たんするしかない.
FT May 7, 2013
Greek drama
lacks a happy ending
FP May 7, 2013
No, the Spanish
Can’t Be More German
BY MICHAEL PETTIS
ドイツは将来のために貯蓄し,スペインは稼いだものを全部消費した.だからドイツは金融危機を生き延び,スペインは破たんしたのだ.27%の失業率も仕方ない.
この考えは間違いだ.
スペインの家計が支出したからユーロ危機が起きたのではなく,ドイツの過剰貯蓄を処理する政策が危機を招いた.それ故,ドイツの過剰貯蓄を減らす政策が望ましい.ドイツは先見の明があり,慎重であったから成功したのではなく,その政策は自国の失業を他国に押し付けただけである.ヨーロッパが採用するべき政策ではない.
ユーロ圏内であるから,金利の変更や貿易・通貨への介入ができないスペインは,ドイツから過剰貯蓄が流入するのを阻止できなかった.それはスペインの投資を増やし,最終的には非効率なバブルを生じ,また,貯蓄を減らした.
FT May 8, 2013
Blame bond
markets, not politicians, for austerity
By Roger Altman
FT May 8, 2013
Markets
Insight: Eurozone crisis demands swift debt restructuring
By Willem Buiter
バランス・シートが成長の制約となって,EUはまだ2から3年の不況を続けるだろう.それは過剰なレバレッジが招いたものだ.銀行は資産が債務よりも少なくなり,破たん状態である.種変諸国では財政赤字と債務が累積し,家計も多くの国で過剰な債務を抱えている.
成長は,単に循環的な需要の回復ではなく,供給側の調整を求めている.債務の削減は成長を必要とするが,成長は債務によって阻まれている.ECBはインフレを拒んでいる.債務を返済するには長い時間を要するだろう.また,債券市場やトロイカが融資を増やすことも難しい.
キプロスで示されたように,タックス・ヘイブンを閉鎖し,預金にも課税する姿勢は新しい処理方針である.キプロス以外にも適用されるだろう.債務の共有や削減が処理を早める主要な手段である.しかし,ユーロ・ボンドは政治的に支持されていない.それは債権国の融資条件に含められる例外的な手段にとどまる.
ユーロ圏の統一的な銀行保証システムができれば,EMS(the European Stability Mechanism)が銀行の自己資本を増強する.ECBはもうすぐ,独自に,ユーロ圏のAsset
Quality Reviewを発行する.
銀行も,家計も,政府も,債務処理が早いほど,成長の回復は早い.経済的にコストの大きい,政治的にも持続不可能な,追加的緊縮策や,目的の不明確な譲許的融資を増やすよりも,早期の債務処理が望ましい.
SPIEGEL ONLINE
05/08/2013
Crisis Lifting
Cosmetic
Surgeries Skyrocket in Greece
By Kerstin Kullmann
FT May 9, 2013
Inside Business: ECB should reflect upon
Denmark’s rate tactics
By
Richard Milne
Project Syndicate 09 May 2013
Debt Without Drowning
Paul
De Grauwe
ヨーロッパの指導者たちは,財政統合を欠いた通貨統合は持続できない,というエコノミストたちの警告を無視した.その結果,制度の欠陥を改めて財政統合に進むか,共通通貨を放棄するか,という選択を求められている.
アメリカと同じ財政同盟は遠い目標であるが,少しずつ前進する方向としては正しい.各国はユーロ建て債券を発行するが,ユーロは管理できない.そこで債券保有者は返済の保証がないと考える.その不信が流動性危機から自己実現的な銀行危機を招いている.これを解決するのが,金融市場のパニックが強いる緊縮策である,というのは適当でない.
政府の債券をプールするのが正しい.そのためにはモラル・ハザードの可能性を取り除くべきだ.その方法は,1.債務の一定部分しか共有しない.2.信用の劣る加盟諸国に内的な財政支援メカニズムを提供する.3.政府の財政規律を監視し,ユーロ圏の予算管理ルールに合意する.このルールを破った場合,政府は予算の決定権を段階的に失う.
アレキサンダー・ハミルトンも,200年前,完全な政治統合が成立しないとき,同様の債務のプールを実行した.ユーロ圏が永久に維持されることを市場に確信させるためにこの決断を下すか,あるいは,ユーロ圏が崩壊するのを待つしかない.
l 遺伝子情報の所有権
Project
Syndicate 06 May 2013
Lives versus
Profits
Joseph E. Stiglitz
l 太陽光発電
FT May 7, 2013
Call a truce in
the no-winners solar war
By Jeremy Leggett
FT May 9, 2013
Trade: Solar flares
By
Joshua Chaffin
FT May 7, 2013
Venezuela:
scenes from a democracy
Moisés Naím
FT May 9, 2013
Do not blame democracy for the rise of
the populists
By
Philip Stephens
l 石油価格の下落
FP May 7, 2013
Will energy
abundance destabilize world politics?
Posted By Daniel W. Drezner
石油価格の上昇は独裁者を強気にさせるのか? 逆に,シェール・ガス,メタン・ハイグレード,など,新しいエネルギーが供給されることで,石油価格が大きく下落するとき,石油に依存している諸国は一斉に不安定化するだろう.
l 優れた政治指導者
Project
Syndicate 07 May 2013
In Defense of
Non-Visionaries
Joseph S. Nye
「世界を変えた」サッチャーやレーガンに比べて,ブッシュGeorge H. W. Bush大統領(父)の方が優れた外交成果を残している.
冷戦の終結に際して,ブッシュ政権は世界秩序を平和的に管理した.ソ連の解体,東西ドイツの再統一とNATO帰属,国連決議によるクウェートからのサダム・フセイン追放.もし一つでも失敗していたら,世界はもっとひどい姿になっただろう.
ブッシュは,もっとサッチャーやレーガンのような世界を変える指導者になるべきだったのか? 慎重な管理者は,世界にとって,はるかに好ましい.
l イギリスの将来
FT May 8, 2013
Britain should
worry about its own currency union
By Chris Giles
FT May 9, 2013
The time for a decision on Europe is now,
not 2017
By
Martin Wolf
l WTO事務総長
FT May 8, 2013
A timely chance
to revive world trade
FT May 8, 2013
A win for
Brazil’s WTO rainbow diplomacy – now for the hard part
By John Paul Rathbone in London
WSJ May 8, 2013
The New
Protectionist Threats
By CHARLENE BARSHEFSKY
******************************
The
Economist April 27th 2013
Generation
jobless
Cyprus:
Divided they fall
Lexington:
A transatlantic tipping-point
(コメント) 表紙の絵が不気味です.これは,一線を超えている,と思うほど.
確かに,本当なら社会の富を増やすのにふさわしい若者たちが,世界で7500万人も失業している,というのは理不尽です.豊かな諸国の低成長,新興諸国の不完全な労働市場,を指摘します.どうすればよいのか? その答えを示さないのにも,特に,教育の中身を批判するのも,どうかな,と思います.
ギリシャとトルコに分割されたキプロスの再統一に向けた分析や,米欧の大西洋自由貿易協定への推進力に,興味深い指摘があります.危機は,また,ガバナンスの革新するチャンスです.
******************************
IPEの想像力 5/13/13
「アベノミクス」でも,米欧の金融緩和でも,金融や為替レートに依存した景気回復には,大幅な不公平さ,不平等や不正義があると思うようになりました.
円安で,輸出企業の業績が急速に改善し,その株価が上昇して,株を大量に保有する者が資産を大きく増やし,金融機関も積極的に融資や株・土地の売買を始める.・・・それが「アベノミクス」であるとしたら,「カジノ資本主義」の再生と,一体,どこが違うのですか? ・・・燃料や食料品の価格が上昇することで苦しむ店や労働者,生活費のやりくりがつかない家計は,これを喜ぶはずもないのに,なぜNHKのニュースまでが,これほど嬉々として,楽しい側面だけニュースとして伝えるのでしょうか?
危機直後ではない今,こうした金融的な拡大策(流動性の爆発的な供給)が必要だとしたら,衝撃緩和では説明できません.単に金融危機や不況が非効率な企業や銀行を整理する過程が続くというだけではない,もっと積極的な意味が必要です.すなわち,デフレで持続している日本の社会経済制度を大きく改革することです.
金融機関を分割・整理し,望ましい金融秩序に向けた方針を示すこと,また,金融資産を持つ者・企業が,生産的な投資を急速に増加していることを情報として公開するか,そうでない場合は負担を求め,不当に調整の痛みを強いられる者に十分な補償や機会を提供すること,など,こうした不公平感はぬぐう方法はあると思います.
政府が景気回復のために需要を拡大したいのであれば,もっと失業者や低賃金の非正規労働を減らし,家計の債務負担を軽減することから始めればよいでしょう.派遣労働者やパート,女性,外国人,彼らの待遇を正規雇用と同じ統一した評価基準で決定し,企業組織のトップにまでキャリアの移動性を保証することです.Reviewでも紹介したように,労働組合は新しい社会的な役割を模索しています.学校や病院,宗教団体もそうです.
経済の再生に向けて,どのような社会モデルが適当であるか,さまざまなアイデアを試みるしかありません.インフレ目標を2%に引き上げることとは,全く違う意味の,革命的な政策転換が必要です.日本で,こうした新しい社会契約をめぐる活発な政治論争があったようには見えません.
私にも答はわかりませんが,最初は小さな規模で,実験してみるのがよいと思います.首都機能の分散化,デジタル革命による都市の解体,輸送・移動システム,エネルギー供給やエコ・システム,環境政策の見直し,などを通じて,地方から,農村から,若者から,そして,技術やアイデアを持つ零細・新興企業から,景気回復の恩恵を真っ先に実現する計画を推進し,雇用や所得が上昇するべきでしょう.日本が改革に成功し,優れた社会モデルを示すなら,アメリカだけでなく,アジア諸国とも金融政策や為替レートの安定化について協調体制を築き,成長戦略や安全保障を共有する提案も,現実性を帯びるのです.
日本の政治経済改革に向けた構想が各地で誕生し,「アベノミクス」などという表面的な,異様な呼称は必要なくなります.
金融規制や監視体制も改革しないまま,理想や社会モデルを議論せず,金融政策に偏った景気回復策を続けることに,不安だけでなく,不正義を強く感じます.「アベノミクス」ではなく,「アラブの春」が必要です.
******************************