(前半から続く)


l  ボストン・テロの後に

FT April 19, 2013

The limits of a crowd-sourced manhunt

By Christopher Caldwell

FT April 19, 2013

First lessons from Boston’s manhunt

The Guardian, Friday 19 April 2013

Notes on a bombing: five thoughts about Boston

Jonathan Freedland

1.国内テロと国際テロとの区別が消滅した.グローバル化した世界で,我々にとって遠方の世界がすぐ目の前に現れる.

2.アメリカの理想を揺るがせる.3.オバマの移民法改正に影響する.4.ツイッター時代の犯罪捜査.5.大手メディアの報道競争はミスを増やす.

NYT April 19, 2013

The Mind of a Terror Suspect

By CHARLES M. BLOW

The Guardian, Sunday 21 April 2013

Atrocities such as the Boston bombing are hard to tackle, but gun crime isn't

Gary Younge

guardian.co.uk, Monday 22 April 2013

Why is Boston 'terrorism' but not Aurora, Sandy Hook, Tucson and Columbine?

Glenn Greenwald

guardian.co.uk, Monday 22 April 2013

What made Boston the media's best and worst of times

Michael Wolff

FT April 22, 2013

Boston bombs derail immigration train

By Jurek Martin in Washington

FP APRIL 22, 2013

IED=WMD?

BY TIMOTHY NOAH

それは核兵器であったが,その後,化学兵器を加えた.しかし,圧力釜がWMD大量破壊兵器である,というのは難しい.しかし,どれほどつまらない武器でも,多くの人々に恐怖を与えることができる.

NYT April 22, 2013

Immigrant Kids, Adrift

By MARCELO M. SUÁREZ-OROZCO and CAROLA SUÁREZ-OROZCO

WSJ April 22, 2013

Investigating Terror in the Age of Twitter

By MICHAEL CHERTOFF AND DALLAS LAWRENCE

Global Times | 2013-4-22

Boston bombing could end double standards on terror

By Zhu Zhangping

guardian.co.uk, Tuesday 23 April 2013

America's greatest asset against radicalisation: Muslim Americans

Ed Husain

チェチェンだけがテロを輸出するのではない.アメリカを憎む集団は各地に存在する.アメリカは要塞にならないし,イスラム教徒をすべて犯罪集団とみなすこともできない.イギリスの経験に学ぶべきだ.

1.過激派,原理主義は,相互を刺激し,拡大する.2.アメリカは信仰を公に主張し,フランス式の抑制に従わない.3.アメリカのイスラム教徒は良く組織されている.それは過激な犯罪集団の発見や捜査を助けるだろう.

Project Syndicate 24 April 2013

The Boston Paradox

Nina L. Khrushcheva


l  中国と労働者の変身

FP APRIL 19, 2013

China's Victim Complex

BY ELY RATNER | APRIL 19, 2013

FT April 22, 2013

Migrant workers shape China’s future

By James Kynge

中国が『世界の工場』になるとき,地方からの移民(出稼ぎ)労働者が,18世紀のイギリス産業革命の労働者たちよりも少ない賃金で,世界中のショッピング・モールに並ぶ製品を供給した.今,中国は次の大きな経済進化を始めている.およそ22000万人と推定される移民労働者たちが,その権利として,製品の消費者に変身するのだ.

それは中国という国の,心理,社会,世代における変身でもある.1990年代の相対的な豊かさの中で生まれた移民たちは,1980年代や70年代に生まれたものよりも支出を好む.

かつて,幾分,オーウェル的な色彩のスローガンが労働者たちの勤労を要求していたが,立場が逆転した.2010年に,労働力は過剰から不足に転換したのだ.交渉の決定力は職場のボスではなく,移民労働者たちの手に移った.

移民労働者たちの所得は急速に増大している.北京から見れば,移民労働者家族の活気は,成長モデルのバランス回復と,都市化の促進にとって,非常に重要である.中国経済を投資主導から消費主導の成長に転換するのは彼らである.Li Keqiang首相は戸籍制度を改革し,彼らが都市の定住するように促すつもりだ.福祉の公平な給付も,彼らの消費を刺激するだろう.

日本の人口に匹敵する,13100万人の都市戸籍を持たない住民が公式に戸籍を得るなら,彼らの勤労だけでなく,その支出パワーが,中国の運命を決める.

FT April 22, 2013

Steps to improve US-China relations

Kurt Campbell

ロシアが持つ冷戦時代のノスタルジーに振り回されたり,統一ヨーロッパの実現しない理想にこだわったりするより,世界で最も重要な2国間関係が中国とアメリカとの関係であることを認めるべきだ.それは日本からインドに及ぶ,アジアのより大きなアメリカ外交の枠組みに組み込まねばならない.

いくつかの問題(北朝鮮,イラン,マクロ政策,市場アクセス,サイバー,通貨,気候変動)が重要であるが,それを話し合う場は明確になっていない.

FT April 23, 2013

China support for North Korea is rational

By Timothy Beardson

Project Syndicate 22 April 2013

Lending in the Dark

Andrew Sheng, Xiao Geng

FP APRIL 23, 2013

How to Understand China's Foreign Policy

BY DENG YUWEN

WSJ April 23, 2013

China's Shaken Trust

Project Syndicate 23 April 2013

The Sino-American Test in North Korea

Javier Solana

FT April 24, 2013

Australia to buy Chinese government debt

By Josh Noble in Hong Kong

FT April 24, 2013

Xi Jinping must show that he can deliver the ‘China Dream’

By David Pilling

FP April 24, 2013

The Big One?

BY LAURIE GARRETT

FP April 24, 2013

Kerry calls for a ‘special relationship' with China

Posted By Josh Rogin

John Kerry国務長官は『特別な関係』という言葉を,イギリスやイスラエルに対して使ったが,今度のアジア訪問では,それが中国を意味した.

ワシントンDCでの桜祭りでは,John Kerryは日本にも,この言葉を使った.

2013-04-24 (China Daily)

Australia taking yuan step at a time

By Tim Harcourt

Global Times | 2013-4-23

Afghan concerns push China, India closer

By Rajeev Sharma

Project Syndicate 24 April 2013

How to Move China

Christopher R. Hill

北朝鮮の体制が崩壊すれば難民が中国に流入するから,中国は圧力をかけない.このような考えを持つ者がいるのは確かだが,中国は一つではない.

中国の中にも,北朝鮮が何度も北東アジアの不安を高めることに懸念を持つ者がいる.中国の意思決定は非常に多くの手続きや時間を要するが,習主席が北朝鮮に対して警告する発言をしたことは,内部の批判的意見が高まったことを示すだろう.

北朝鮮は,優れて中国の国内問題でもある.1.朝鮮戦争で北を守って中国人民解放軍が流した血は尊重されねばならない.それは中国の神聖化された記憶であり,家族の記憶である.2.中国の将来の政治システムをめぐる激しい論争がある.北朝鮮の崩壊をも容認することは,この論争に影響する.3.北朝鮮の崩壊はアメリカの戦略的利益を高め,中国の戦略的利益を損なう.こうしたゼロサム思考はアメリカのシンクタンクだけでなく,中国にもある.さらに,朝鮮半島の再統一がアメリカの認めるゲームのルールで,すなわち,韓国主導に行われるなら,米軍が中国との国境に迫ってくる.

安全保障や戦略的利益に関する米中間の話し合いは,まだ少なく,浅いものでしかない.より頻繁に話し合うことで,こうした問題についても相互の理解を深めるだろう.何の成果にもならない,知性のかけらもない,キムジョンウンの行動が,米中対話を促す機会になるのは皮肉である.

FT April 25, 2013

Global Insight: Beijing quakes over volunteer aid response

By Leslie Hook in Beijing


l  金融危機と環境危機

NYT April 20, 2013

Before Housing Bubbles, There Was Land Fever

By ROBERT J. SHILLER

The Observer, Sunday 21 April 2013

Burn our planet or face financial meltdown. Not much of a choice

Will Hutton

guardian.co.uk, Monday 22 April 2013

This faith in the markets is misplaced: only governments can save our living planet

George Monbiot


l  経済と社会の再生

NYT April 20, 2013

How to Put America Back Together Again

By THOMAS L. FRIEDMAN

ボストン・マラソンのテロ攻撃に負けないアメリカを作ることだ.それには経済の再生が最初に課題となる.3つの成果によって,アメリカは持続的成長により,雇用をもたらし,財政再建を果たし,将来の危機に備えるだろう.

1.成長のエンジン(インフラ,教育,研究開発,移民,金融規制)に投資する.2.社会保障・医療保険制度によって退職者の増加を受け止める.3.歳入を増やす.すなわち,炭素税だ.

FT April 22, 2013

How can private sector wages rise?

By Brian Groom

BLOOMBERG Apr 22, 2013

Malaysia Needs to Get Off the Road to Mediocrity

By William Pesek

FT April 24, 2013

US cities have a choice – pull together or go bust

By Felix Rohatyn

guardian.co.uk, Thursday 25 April 2013

Don't be fooled by the GDP figures – Britain needs to change course

Will Hutton

guardian.co.uk, Thursday 25 April 2013

A slowmotion sequester hits America's invisible poor with stealth cuts

Robert Reich

Project Syndicate 25 April 2013

The Competition Factor

Eduardo P. Motta, Joaquín Almunia


l  福祉国家の反省

NYT April 20, 2013

Danes Rethink a Welfare State Ample to a Fault

By SUZANNE DALEY


l  バルカン半島の和解

FT April 22, 2013

Balkans deal confirms Europe’s clout

By Misha Glenny

BLOOMBERG Apr 23, 2013

Kosovo Deal Shows the EU Deserved Its Nobel Prize

By Tim Judah


l  日本は何を目指す?

FT April 23, 2013

OECD sounds fresh warning on Japan

By Ben McLannahan in Tokyo

OECDAngel Gurría総局長は,日本政府にとって債務危機の回避,その削減こそが圧倒的に重要な政策課題である,と説明した.

FT April 23, 2013

Distress spreads in South Korea

By Henny Sender

NYT April 23, 2013

Tensions Flare Between China and Japan Over Islands and Shrine

By MARTIN FACKLER

NYT April 23, 2013

Japan’s Unnecessary Nationalism

By THE EDITORIAL BOARD

昨年12月に首相となった安倍晋三は,経済の活性化,地震・津波からの回復,北朝鮮,といった難しい政策課題を説かねばならない.このようなときに近隣諸国との論争を刺激するのは無益であるが,それこそ彼とそのナショナリスト仲間が行ったことである.

木曜日に,168人の議員が集団で靖国神社に参拝した.第2次世界大戦の戦犯を含む,日本の戦没者を祀っている.それは近年における最大の集団参拝であった.

安倍氏とその仲間は,このことがどれほど中国や韓国にとって深刻な問題とみなされるか,知っている.その反応は予測できた.日中間で領土問題を平和的に解決すべきであるのに,また北朝鮮の核問題を解決するために協力すべきであるのに,日本の政治家たちが中国と韓国の敵意を煽るのは愚かなことである.

歴史的な傷を広げるより,未来に向けて,経済再生とアジアの民主主義を担うべきだ.

FT April 24, 2013

Markets Insight: Bank of Japan action threatens emerging Asia

By Frederic Neumann

日本の病気は金融政策で治せない.それは構造的な問題だ.だから増大する流動性は外国に,特に,中国を含むアジアの新興市場に流れ込むだろう.それがインフレやバブルにつながる.

アメリカの景気が回復し,輸出市場が拡大することや,連銀の量的緩和策が終わることを歓迎していたが,日本が流動性を追加する.アジアはこれまでも,アメリカと日本の金融政策に翻弄されてきた.

FP April 24, 2013

No more Yasukuni visits on my watch

Posted By Clyde Prestowitz

BLOOMBERG Apr 24, 2013

Getting Japan to Guzzle American Gas

By Gary Clyde Hufbauer

WSJ April 25, 2013

Abe Stokes Passions Over Wartime History

By TOKO SEKIGUCHI


l  政治秩序の脆さ

FT April 23, 2013

Italy must prepare for elections, and fast

By BillEmmott

穴に落ちたら,掘るのをやめろ.変化の風は吹いている.

老政治家は語った.現実を直視せよ.真実を語って,長く延期されてきた改革を進めるべきだ.大統領は新しい選挙を直ちに準備するのがよい.

Beppe Grilloの挑戦に,政党は応えねばならない.

YaleGlobal, 25 April 2013

Is Pakistan a Failing State?

Gustav Ranis

Project Syndicate 25 April 2013

The Collapsing Arab State

Nawaf Obaid

現実を観れば,「アラブの春」の美しさは消えて,耐え難い冬の景色が広がっている.安定した国民国家なしに,地域はどうやって安定性を維持できるのか?


l  危機後のラトビア

FT April 23, 2013

Latvia: Reaching for the euro

By Richard Milne

ロシア系住民やロシアからの資本流入が大きな割合を占めるラトビアでは,ソ連から独立して以来,ヨーロッパとの統合化を深めることが政治の目標であった.

地政学的な理由で,ラトビアはEUを求め,NATOを求め,次に,ユーロを求めている.キプロス危機以後,ユーロ圏は2つに分割される傾向がある.ラトビアの政治家はコアのユーロ圏を目指す.そのためにも,ラトビアは厳しい財政緊縮策を採ってきた.

しかし,国民はユーロが本当に望ましいのかどうか,疑っている.イタリアの選挙結果を伝えるテレビ映像を観て,これが自分達の求める未来だろうか? と問う.賃金を20-40%も削減された公務員たちは,今も政府を批判する.自国通貨の切り下げができる方が,アイスランドのように,失業を抑えることができた.ただし,アイスランドは今も資本規制に頼っている.

小国は投機に弱い.大きな船に乗るべきだ,と政治家は考える.ユーロ圏による通貨や銀行システムの安定化,長期の投資を支持するエストニアやポーランドの経験があっても,答を出すのは難しい.


l  金融危機後に学んだこと

Project Syndicate 23 April 2013

Two Policy Prescriptions for the Global Crisis

Kaushik Basu

FT April 24, 2013

Pain killers might work, but economies need antibiotics

Stephen King

FT April 25, 2013

What a floating currency gives and what it does not

By MartinWolf

危機は変動レート制に関する重要な教訓を示した.為替レートが変動しても,それは金融・財政政策の自律性を高めたが,経常収支の不均衡は調整されない.

Paul De Grauweは,IMFの統計から,自国通貨を保持することの利益を発見した.同じような債務依存度を示すイギリスとスペインの債券利回りが,大きく異なるのである.それはイギリスの方が自国通貨へ逃避する国民の欲求や,通貨価値を切り下げることで資本逃避を抑制する余地があるからだろう.

しかし,経常収支不均衡を調整できないのは重大な欠点だ.

WP April 25, 2013

Hard lessons in Keynesian economics

By David Ignatius

もうすぐイングランド銀行総裁を退任するMervyn Kingは,J.M.ケインズと同じ知的な情熱を示した.先週,ワシントンでIMF・世銀の会合に出席し,イギリス大使館において夕食会が開かれた,そこには4人の現・元US財務長官,3人の中央銀行総裁,2人のIMFトップ官僚,そしてイギリス蔵相が参加していた.

Kingは,その前半のキャリアでイングランド銀行の金融政策に厳格な「インフレーション・ルール」を確立することに尽力した.それは長期の繁栄の時代に貢献した.しかし,2008年の金融危機が起きて,Kingはその危機に対して,創造的かつ苦痛を避けることなく調整することを使命とした.

Kingがこの危機で戦っていたのは,その最悪の脆弱性が銀行システムそのものにある,ということだった.単に有毒債権が生じた流動性の危機ではない.世界中の巨大銀行に自己資本が不足しており,その多くは支払い不能なのである.

この危機に対して,Kingは銀行の自己資本増強を求め,その後,さらに厳しい規制を求めた.不満をのべつ銀行家に対して,Kingは,マーガレット・サッチャーの市場革命を唯一逃れた部門だ,と反撃した.銀行家たちはKingの決意に負けた.

この10年間は,Kingにとって,ケインズの発見したことを強化する経験であった.1.投資家の心理的な偏屈さは,強気においては「アニマル・スピリッツ」と呼ばれ,弱気になると「極端な流動性選好」となる.いかなる金融政策も人々が恐怖に駆られていると,支出や投資することを説得できなかった.

2.ケインズは赤字国と黒字国との間に国際的な構造がなければならないと考えた.それは第2次世界大戦後のブレトンウッズ体制であったが,グローバルなシステムは弱く,特に,ユーロ圏には欠けていた.財政移転も為替レートによる切下げも欠いて,ユーロ圏では効果的な内的均衡回復メカニズムがなかった.

ユーロ圏は,イギリス的な「やりくりmuddling through」によって危機を長引かせている.Kingはそれが失敗すると考える.真の連邦制を目指すのは,たとえ称賛されるとしても,1000年かかる.今,各国に選択できることは,ユーロ圏の解体だ.

Kingは,経済学の技術論からより大きな問題にまで洞察を深める天分を示した.


l  NATOは時代遅れか?

NYT APRIL 24, 2013

Has NATO Outlived Its Usefulness?

NATOは時代遅れか?

Andrew J. Bacevich  ・・・Lord Ismayによる古典的定式化によれば,1949年,NATO設立の目的は,「ロシアを排除し,アメリカを引き入れ,ドイツを抑える」であった.60年後,その意味では,使命を終えたのだ.NATOはヨーロッパ同盟に変化する.その重要な転換は,2023年のアメリカ離脱である.

しかし,待て.この新しいNATOは,もっぱら防衛的な同盟である.この20年で,NATOはヨーロッパに限らず,地域外にも軍事介入を重ねてきた.アメリカが離脱すれば,その能力は大きく低下するだろう.コソボでも,アフガニスタンでも,NATOによるとは言え,事実上,アメリカ軍による一方的な介入であった.

またアメリカは,今も「グローバル・リーダーシップ」を唱え,帝国的な警察官であると考えている.そのカモフラージュとして,NATOは優れている.

Nancy Walbridge Collins ・・・NATOはグローバルな安全保障アーキテクチャーの一部になるべきだ.しかし,NATOによる安全保障への投資が過度に集中し,大西洋中心主義になっている.各国は各地域の安全保障にもっと投資し,諸個人の普遍的な権利を守るべきである.


NYT APRIL 24, 2013

When Food Isn’t the Answer to Hunger

By TINA ROSENBERG


l  シリアとサリン

Project Syndicate 24 April 2013

Syria’s Chemical Genie

Bennett Ramberg

FP APRIL 24, 2013

Intervention Escalation

BY JAMES F. JEFFREY

BLOOMBERG Apr 25, 2013

If Syria Is Using Sarin, Obama Must Act

By Jeffrey Goldberg


Project Syndicate 24 April 2013

Hybrid Humans

Parag Khanna


l  移民の同化と法・社会組織

FP APRIL 24, 2013

YaLa Young Leaders

BY AARON DAVID MILLER

FT April 25, 2013

US immigration: They have a dream

By Anna Fifield in Washington

WP April 25, 2013

A better way for America to integrate Muslims

By Fareed Zakaria

911以後,外国からのテロによる犠牲者は20人余りである.他方,銃による殺人は10万件以上,交通事故の犠牲者は40万人を超える.

アメリカでのテロがこれほど抑えられているのは,社会から疎外された移民の集団が少ないからである.アメリカの同化メカニズムは見事に機能しているのだ.他方,ヨーロッパではイスラム教徒の移民たちを社会統合せず,無視していた.そのことが危険であると認めて,この20年は,統合化の模索が強められている.


guardian.co.uk, Thursday 25 April 2013

Why warring 'allies' hold no terrors for North Korea

Simon Tisdall


l  ホロコースト博物館

WP April 25, 2013

Unfinished business at the Holocaust Museum

By Editorial Board

なぜワシントンにホロコースト博物館があるのか? 何のためにあるのか? 事件はヨーロッパで起きた.犠牲者はアメリカ国民の極一部のエスニシティーに集中している.

3500万人が訪れたことで,その答えが出た.それは歴史上の忘れてはならない記憶を記念し,理解を助けている.それは,憎しみと戦い,ジェノサイドを防ぎ,人間の尊厳を守るためにある.

物語は圧倒的な力を持つ.10人に9人はユダヤ人以外であり,3人に1人は学校から,7人に1人は再訪者である.

博物館は展示するだけではない.アメリカの警察官や軍人,判事への教育プログラムもある.最近,博物館は,体の不自由な子供が一人で死なないように,ガス室へ行った母親のあわてて書いたメモを手に入れた.彼女は夫に愛していると伝え,彼が息子を甘やかさないようにと注意した.その息子がたった一人の子供になるから.

「私たちの最大のメッセージは,ホロコーストが起きたという事実だけでなく,それは起きる必要がなかったということです.ホロコーストは防げたのであり,指導者たちの失敗でした.」と,Sara J. Bloomfield館長は語る.

ルワンダで,ダルフールで,今もシリアで,虐殺は起きている.アメリカはそれに対してほとんど何もしなかった.博物館の第2の使命は失敗である,と結論する.その仕事は終わらない.

「ある日,虐殺に加担した者が,その翌日には一人のユダヤ人を助けることができただろう.」 人々に考えてほしい.「あなたなら何をしただろうか?」 「あなたは何をするだろうか?

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The Economist April 13th 2013

Freedom fighter

Margaret Thatcher: No ordinary politician

Japan: Revolution in the air

Monetary policy in Japan: Opening the floodgates

Germany and the euro: Right target, wrong shots

Germany and the euro: Don’t make us Führer

Digital currencies: A new specie

(コメント) マーガレット・サッチャーを記事は絶賛します.それ以前のイギリス政治と経済を変えたからです.それはイデオロギーであり,またフォークランド紛争による愛国心でした.私は,安倍首相が,サッチャーを模倣したい状況に,不安を感じます.

日本の金融緩和が,ようやく民心を一新し,日経平均が13000円を超えたら,女子高生や女子大生のメンバーで作るバンドがスカートを脱ぐ,と宣言し,どちらも実現した,グラフを観よ,しかし,写真はない,という楽しい記事に感心します.

ユーロ危機についてメルケルにヒトラーの髭や軍服を着けてもドイツ国民は怒っていない.しかし,ドイツが危機の原因だ,という意見には反対だ.危機を解決する道はあるが,ドイツは行動しない.・・・しかし,本当にドイツが行動することを望むのか?

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IPEの想像力 4/29/13

「アベノミクス」に関する議論を読むと,ABCDフィッピーを想います.「アベノミクス」は,複合的な「日本病」を,デフレから治癒する新しい試みです.

私が「ABCDフィッピー」(A高齢化、B官僚制、C中国、Dデフレ、F財政赤字・債務累積、I不平等・貧困の拡大、P政治的混迷、Y若者)を一括して議論すべきだと主張したのは,20101122日のReviewでした.

「日本病」として欧米の論説がいくつも出たとき,私はこの複雑な合併症を,こう命名しました.その動機を書いています.

一つ一つの問題を切り離して解決しようとすれば、いくつもの困難な改革に注意を奪われて、その一つでさえ容易に実現しないでしょう。しかし、高齢者の生活を安定させ、官僚制がさまざまな課題に有効に機能し、中国の成長を地域・国際秩序の中で日本企業や地域経済が積極的に受け入れることもできるでしょう。債務に依存した財政や、デフレに向かう企業・金融市場・消費の条件を変えること、そのために貧しい世帯や若者が政治や経済の意思決定に自ら参加し、改善する力を見いだせるような改革メカニズムを設計するなら、個々の難しい問題を、全体として解決できると思います。

私は,閉塞した論争の中で消耗する日本のあり方を嫌いました.旧来の政治的分割線を破り,日本の「ガバナンス」を活性化する新しい論点を示すことを望んだのです.「ありえない」,「考えられない」ことを示そうとしました.

l  日本を分割して,日本語を主要な言語とする異なる国家間でガバナンスの革新を競う.

l  国民皆兵制を導入して,安全保障の知識と体験を共有し,将来のアジアの秩序に関する合意を形成する.

l  日本人の企業団地,集団居住区を世界各地に展開し,若者のグローバルな移動と就労を促す.

l  移民・難民の受け入れ,日本語教育や就労,社会的統合と連帯を積極的に支援する.

l  中国や韓国からの企業進出を歓迎し,その投資やネットワークによって革新と競争を促す.

l  政治的混迷を打開する明快な発言と指導力を得るため,ブレアを100人,サッチャーを100人,日本に輸入する.

民主党政権の主張は,ABCDフィッピーに対抗する戦略であったはずです.温暖化ガスの排出抑制や中国との関係を強化し,東アジア共同体を目指すこと.日米安保体制や沖縄普天間基地の移転に新しい視点で取り組むこと(再交渉).何より,社会福祉や年金制度を改革し(官僚制を批判し),その財源を消費税によって確かなものにする(高齢化による財政破綻を回避する),と主張しました.若者の失業,貧困,派遣労働者の問題も,積極的に取り上げるはずでした.

しかし,この合併症についての明確な診断(戦略)を欠いていたと思います.全体を観るより,むしろ,自民党政権に対する反対の企てを集めた雑多なものでした.その結果,「日本病」を解決できず,いくつかの症状が悪化する中で,国民の支持を失ったのではないでしょうか?

安倍内閣,自民党政権は,同じ過ちを犯しているかもしれません.デフレ脱却について日銀総裁と協力し,自民党だからこそ農村の有権者を説得して,TPP参加を交渉できる,というのは前進です.しかし他方で,中国は? 財政赤字は? 不平等や貧困は? 若者は? ・・・安倍政権の「3つの矢」が金融政策に過度の期待を持たせたことで,その限界が見えたとき,強い批判を受けねばなりません.

そこには,200610月に政権を執って,保守主義のイデオロギーによる改革が失敗したことの反省から得た戦略的思考があるのでしょう.日銀の政策転換をアピールし,デフレの悪循環を断つと主張したことで,円安を通じた輸出企業の利益を増やし,主要企業の株価が上昇しています.この魔法のような「ガバナンスの革新」を利用し,自民党が両院で多数を獲り,その後の憲法改正や戦後日本の再構築に向かう,というわけです.

むしろ,日本がもっと小国で,若者や農民が新しい政党を組織し,革新的なアイデアを実現する社会運動に富むとしたら,アイスランドやラトビア,北欧諸国,海賊党や「アラブの春」が示すような,激しい危機と,「日本の奇跡」を実現したかもしれません.

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