前半から続く)


l  中国について

FT March 22, 2013

Quiet man facing biggest economic test

By Kathrin Hille

中国の新しい首相に任命されたLi Keqiangに,改革を躊躇する時間はない.経済における国家の支配的な役割を低下させ,法の支配を強化し,官僚の腐敗を一掃することである.

国外の評価とは異なり,中国国内では,「失われた10年」や増大する幻滅が議論されている.特に都市中産階級は,不動産価格の上昇,汚染,国家介入に不満が強い.多くの点で,経済学の専門的な訓練を受けた最初の首相である.文化大革命を経験したが,彼は数年前の世代と異なって大学進学の可能性があった.その厳しい競争に勝ったのだ.

Project Syndicate 22 March 2013

Quitting the Quota

Andrew Sheng, Xiao Geng

WP March 23, 2013

Why China won’t act against a nuclear North Korea

By John Pomfret

アメリカは,北朝鮮を支持することは中国の長期的利益にならない,と中国を説得してきた.しかし,北京は,ワシントンと協力して北朝鮮の核を除去することが望ましい,とは考えなかった.中国にとって最大の関心は,北朝鮮の体制の持続である.体制が崩壊して難民が中国に向かうのを恐れている.また,北朝鮮は干渉国家として韓国との間に存続するべきであり,北朝鮮の核武装もアメリカの安全保障政策を混乱させる意味がある.

北京にとって,北朝鮮にもっと圧力をかけるなら,朝鮮半島再統一が迫ってくる.そのとき彼らが考えるのは,ベルリンの壁崩壊と,日中戦争である.前者では共産主義が滅び,後者では中国が敗北した.

FT March 26, 2013

China’s route to ‘responsibility’

By YukonHuang

FP March 26, 2013

China’s Michelle Obama

BY PAUL FRENCH

FP MARCH 27, 2013

'Face' and Something 'Delicious'

BY SERGEY RADCHENKO

Project Syndicate 27 March 2013

The Temptation of China’s Capital Account

Yu Yongding

FT March 28, 2013

China intensifies attacks on Apple

By Jamil Anderlini in Beijing

FP MARCH 28, 2013

China’s Glass Ceiling

BY GEOFF DYER

アメリカの時代は終わった,と北京の知識人たちは語っていた.ゴールドマンサックスが破たんを避けるために商業銀行に転換した日だ.この数年間,中国の世界的な影響力が強まり,2008年の北京オリンピックと危機後の成長回復が広く賞賛されてきた.

しかし,危機後の数年間が示すものはそれと異なっている.むしろ北京の失策は,中国が世界の指導的大国にはなれないことを示した.たとえ10年でアメリカの経済規模を超えるとしても.外交・安全保障,国際通貨,ソフト・パワー,など,中国はまだ長くアメリカに対抗できない.


VOX 22 March 2013

Will bank supervision in Ohio and Austria be similar? A transatlantic view of the Single Supervisory Mechanism

María J Nieto, Eugene N. White


l  BRICS

YaleGlobal, 22 March 2013

BRICS Not That Sturdy

Harsh V. Pant

2013-03-25 (China Daily)

BRICS out to build new order

By Wang Yusheng

FP March 26, 2013

One of These BRICS Is Not Like the Other

BY ROY ROBINS

FT March 27, 2013

Brics agree to create development bank

By Andrew England in Durban

FT March 27, 2013

South Africa should forget the Brics era

By RuchirSharma

BLOOMBERG Mar 28, 2013

The BRICS Expose the West’s Hypocrisy

By William Pesek


l  日本について

BLOOMBERG Mar 22, 2013

Fukushima Lawsuit Reveals Price of 'Abenomics'

By William Pesek

アベノミクスの裏には,日本の原子力発電所再開という方針転換がある.たとえ日本経済の再生を促すとしても,安倍首相の決定は長期的な代償をもたらすだろう.次の大震災は必ず来る.

FT March 24, 2013

Asian currency moves misunderstood

By John Authers

NYT March 26, 2013

In Japan, a Portrait of Mistrust’

By ITAI KESHET

Global Times | 2013-3-28

The Japanese historian who sided with China on Diaoyu Islands’ history

By Global Times

京都大学名誉教授で歴史家の故・井上清の研究は,尖閣諸島・釣魚島の領有権を中国のものと解釈する理由を示している.毛沢東主義者で,中国共産党を支持した彼の政治的立場が影響しているとしても,歴史的な真実として国境を扱った立派な研究だ.


l  エネルギー転換

NYT March 23, 2013

Life After Oil and Gas

By ELISABETH ROSENTHAL

テレビの宣伝や政治家の討論ではしきりに訴えている.・・・天然ガスをフラッキングで採掘する必要がある.カナダのタールサンドから石油を採取してアメリカに送るKeystone XLパイプラインを建設するべきだ.・・・

「われわれが天然ガスや石炭,石油を必要としているというのは完全に間違いである.それは神話である.」と,Mark Z. Jacobson教授は語る.技術的,経済的に見て,アメリカは再生可能エネルギーで生活できる.それを阻む最大の障害は,社会的,政治的なものだ.

2030年までに,ニューヨーク州でも改造できる,と彼らの研究は示した.他の国ではもっと計画が進んでいる.ノルウェー,デンマーク,ポルトガル,ドイツ,などで,旧来の水力から,新しい風力や太陽発電まで,エネルギーの源泉が変わっている.エネルギー効率も改善できる.

将来は,再生可能エネルギーと天然ガスの組み合わせが求められる.

Project Syndicate 28 March 2013

Paths to Sustainable Power

Jeffrey D. Sachs


l  政策思想の転換

The Observer, Sunday 24 March 2013

The chancellor is for turning after all. And, whisper it, he's switching to Keynes

Will Hutton

Project Syndicate 28 March 2013

Let it Bleed?

J. Bradford DeLong

私がthe “Lesser Depression”と呼ぶ現在の停滞期は2017年にも終わらず,それによって失われる生産と雇用は,大恐慌期に匹敵するだろう.

金融政策も財政政策もこの事態を改善できないとき,かつてケインズが政策に焦点を合わすのではなく,一般理論を書いてマクロ経済学の思想を改造したように,今週,Lawrence Summersthe London School of Economicsの講演で,マクロ経済学の思想,中央銀行の制度と方針を変えるように求めた.


l  英労働党

guardian.co.uk, Monday 25 March 2013

The Labour party has failed us. We need a new party of the left

Ken Loach, Kate Hudson and Gilbert Achcar

The Guardian, Thursday 28 March 2013

What New Labour will do … when it rises from the dead

Hopi Sen


l  銀行システムの改革

FT March 25, 2013

Why the world needs reckless bankers

By MichaelPettis

安定した金融システムを求めるのは無駄である.1980年代の日本の銀行は,最大の株式と不動産のバブルを創り出した.それは今,中国の間違った大規模投資が引き継いでいる.

Hyman Minskyによれば,銀行とは,何よりも安定した価値を求める貯蓄者と,融資を得てリスクに挑戦する投資家との間に立つ,仲介者なのである.歴史が示すように,成長しない経済は安定した金融システムを持つ.積極的な企業の投資を促す経済では,銀行が不安定である.歴史家,Raymond de Rooverがかつて述べたように,19世紀には,銀行業が債権者に多くの損失をもたらしたが,アメリカの経済発展を加速した.他方,堅実なカナダの銀行業は,その経済発展を遅らせただろう.

規制による安定化は,不安定化をもたらす.銀行業は安定を求めて肥大化し,その損失を社会化するからだ.その結果,一層のリスクを冒すようになる.そうではなく,正常な時期には,銀行業が,たとえ定期的な危機を生じても,資本を適切に分散させることを求めるべきだ.そして銀行危機が起きたら,これを地域に限定する.Minskyは,より分割された,銀行破たんを正常に処理できる銀行システムを望んだ.

もっと多くの小さな銀行が,激しい競争にさらされ,もっと銀行が破たんし,金融規制や制度は透明性を維持することに集中して,定期的に起きる危機を反循環的な政策で吸収できるシステムがよい.つまり,世界は19世紀型の「無謀な銀行業」を,幾分,回復するべきだろう.

Project Syndicate 27 March 2013

Love the Bank, Hate the Banker

Raghuram Rajan


l  大西洋自由貿易

SPIEGEL ONLINE 03/25/2013

Trans-Atlantic Trade

'We Need a New Structure for the Global System'

関税はすでに低い.規制の改善,特に,農業の扱いが重要だ.双方とも,農業関係者の政治的圧力を無視できない.韓国とのFTAが参考になるだろう.アメリカは世界金融危機からの回復で,遅いながらも,ヨーロッパより進んでいる.アメリカはまたエネルギー分野の技術革新や人口増加でも優れている.

今や,成長は新興市場や発展途上諸国から生じている.アメリカはヨーロッパや日本と協力し,グローバルな市場システムを改善したい.

BLOOMBERG Mar 25, 2013

U.S.-EU Trade Deal Is Good for Jobs and Prosperity

By Bob Corker

WSJ March 26, 2013

U.S. Trade Can Help India Reform

By DANIEL TWINING


l  オバマの中東和平

Project Syndicate 25 March 2013

A New-State Solution for Israel and Palestine

Anne-Marie Slaughter

イスラエルは入植地を拡大し続け,アラブ系人口はイスラエル内で急速に増大している.イスラエルとパレスチナの2国家案が中東和平を実現するという望みは,ますます現実において失われてしまった.オバマ大統領がイスラエルを訪問するとき,21世紀の国家像を反映した,より革新的な思考を提示する機会である.

2008年,プリンストン大学の哲学の大学院生がthe Princeton Center for Jewish Lifeで行った講和は評判を呼び,論文として出版された.Russell Nieli “Toward a Permanent Palestinian/Israeli Peace – the Case for Two-State Condominialism,”である.それはユダヤ人やアラブ人の若い世代が,過去の規制された考え方,失敗した政策によって縛られず,もっと生産的な発想を刺激したい,と願ったものだ.

Two-state condominialism”というのは奇妙な名前だ.その核心とは,イスラエル市民もパレスチナ市民も,2つの独立国家で国籍を持ち,しかも,2国の領土内のどこにでも居住できる権利を認める,というものだ.2国は,こうして,単一の2重市民定住共同体になる.

どちらの国も,その国民に経済,文化,宗教,福祉の必要条件を,どちらの国に居住するかにかかわらず,提供する権限と義務があるだろう.それはちょうど,アメリカが海外の米軍基地に居住する多数の兵士たちに提供しているものだ.

そのためにはまず,2国が国境を画定しなければならない.1967年の和平協定を基にして,相互の合意で領土を交換するだろう.次に,イスラエルのアラブ人は,国籍,アイデンティティ,投票権を新しいパレスチナ国家に移す.しかし,居住地は変わらない.彼らはイスラエルにおける永住権を持ち,パレスチナ国家に投票するが,現在のイスラエルにおける居住の利便性を保持し続ける.

Condominialism”「共同住宅主義」は,ヨルダン川西岸のイスラエルの入植者たちが,その生活をイスラエルに大きく(道路,水,電気,行政サービス,経済関係)依存している現実を反映する.こうした構造を分割し,再編するより,その上に立って,双方の国民と経済が繁栄する道を発見するほうがよい.世界中で,ますます多くの市民がその時間をヴァーチャルな空間で過ごすのであるから,事実上の「共同住宅主義」はすでに生じている.

1950年代,40年におよぶ戦争の時代を経て,EUの構想が支持されるようになった.加盟諸国の市民は国境を越えて自由に居住し,仕事を得ることができる.同時に彼らは,政治的な義務や文化的アイデンティティを一致させるのは無理だった.このEUを導いた発想は,「新機能主義」と呼ばれ,「共同住宅主義」と共通している.

当時,私のベルギー人の母のような,若者たちが熱心に新ヨーロッパを支持した.今,イスラエルやパレスチナの若者たちは起業家精神を誇りにしている.政治の革新は,若い世代の行動にかかっている.

NYT March 26, 2013

Caution, Curves Ahead

By THOMAS L. FRIEDMAN

シリア内戦が周辺の不安定化につながる前に,アメリカは介入せよ,という声が強まっている.しかし私は,アメリカがシリアにかかわる前に,オバマは以下の質問に満足のゆく答えを出してほしい.

なぜアサドはこれほど長く権力を維持できるのか? アラウィート派は人口の12%でしかなく,10%のキリスト教徒や世俗的なスンニー派商人層もアサドを支持している.それは,彼らが反政府のシーア派による政権獲得が,アサドの下で実現した多宗派の民主制を再建せず,安定した,世俗的な権力を実現しない,と恐れるからだ.彼らは間違っているのか?

イラク,エジプト,チュニジア,リビアの教訓とは,治安・安全を回復するのが早いほど,人々はより多く部族や宗派の対立ではなく,市民として考え,行動するだろう,ということだ.

たとえ我々がシリアに多宗派の民主制を再建したいと願っても,シリア国内にその合意がない.我々には3つの選択肢がある.1.イラクに対してやったように,国際的な同盟を組める範囲で介入する.しかし,これはイラクでもまだ成功していない.2.周辺諸国の安全保障を強化し,紛争をシリアに限定する.3.殺し合いで武装勢力が消耗し,和平を望むまで放置する.それは周辺にも波及し,シリアはスンニー,アラウィート,クルドの支配する3つの小国に分割される.

アメリカの気に入る反政府集団に限って武器を供給する,というのは,アメリカが内戦に関与するだけである.世俗的なナショナリストに武器を供給し,アサドとロシアに合意させて,アサド後の権力を狙うイスラム過激派を追放する,という話なら聞くべきだと思う.

WP March 28, 2013

Obama’s pragmatic approach to Mideast

By David Ignatius

WP March 28, 2013

Obama appeals to Israel's conscience

By Fareed Zakaria


l  北朝鮮について

FP March 25, 2013

Think Again: North Korea

BY DAVID KANG, VICTOR CHA

北朝鮮が戦争を始める危険性はある.第1に,北朝鮮は,これまでも,新しい韓国大統領を挑発してきた.しかし,2010年に巡洋艦Cheonan撃沈で46人の犠牲者を出してから,韓国の姿勢は関与政策を放棄した.交渉の余地はなく,軍事的な報復の拡大が懸念される.

2に,北朝鮮は,弾道ミサイル技術を改善し,核爆発の3度目の実験を行った.これらはアメリカの防衛政策にかかわる問題だ.北朝鮮は,韓国,アメリカ,日本の軍事力に対峙している.これまで,軍事的な攻撃は北朝鮮の敗北と国家の消滅である,という恐れを重視し,戦争を回避してきた.しかし,経験不足の若い指導者は,選択を間違うかもしれない.


l  7つのデフレ

BLOOMBERG Mar 26, 2013

The Five Ways Deflation Has Already Taken Hold

By A. Gary Shilling

デフレには7種類の現象が見られるが,アメリカにはすでに5つがある.

1.商品価格が下落する.金融危機後の需要減少にもかかわらず,中国の輸出依存型成長は変わらず,世界の供給力は過剰になっている.商品価格は下落し,中国のハード・ランディングも起こるだろう.

2.賃金・物価のデフレ.労働組合は交渉力を失い,企業なリストラを繰り返した.工場は海外に移転され,あるいは,ハイテク化されている.1980年代初めから,30年間,賃金下落と物価下落が続いている.3.金融資産のデフレ.4.不動産,住宅など,実物資産のデフレ.5.対外通貨価値の増大によるデフレ.6.標準物価の水準でみたデフレ.7.人為的な政策としてのデフレ.たとえば,1980年代,90年代の福祉政策の見直し.

金融危機後,7つのうち,5つのデフレが起きている.2%から3%のインフレを目指す政策には大きなショックが襲うだろう.


l  働くということ

FT March 27, 2013

After the retirement party

By Emma Jacobs

高齢化が進み,人々は退職後の生活を第2のチャンスとみなす.企業や社会は,それに応えることができるか?

Project Syndicate 27 March 2013

Why Work at Work?

Esther Dyson

誰が,いつ,どこで,働くのか? それは企業を活性化し,利益を上げる,経営者の判断による.人間と環境との最適な組み合わせが求められている.

かつて企業は取引費用の節約によって説明された.しかし今は,そうした費用がすでに十分に低い.企業に集まって働く必要はなくなった.多くの場合,オンラインで働くことには,通勤時間を節約する以外にも,意味がある.しかし,企業文化を再生するには,物理的な作業場に集まって関与を深め,人間的な交流が必要だ.

シャープで,創造的な人々との直接的な接触があるのは良いことだ.企業には縛られないとしても,アメリカのITにおける優れた才能と資金は,サンフランシスコからサンホセまでの小さな地域に集中している.

企業の会議に出るのは嫌だが,忙しい人々に囲まれて働くのは楽しい.そこで私は勤勉になる.人間は社会的な生き物である.


l  グアンタナモ

FP MARCH 28, 2013

Let Them Go

BY ROSA BROOKS

グアンタナモやアフガニスタンにおける抑留者たちを解放すれば,彼らが戦場に戻るのを許すことになる,とアメリカ人は恐れ,それがアメリカの政策を歪めている.しかし,抑留者を抱え続ける政策の危険性は,抑留者を解放する場合よりも大きくなっているのではないか?

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The Economist March 16th 2013

The America that works

Cyprus: Make a model of it, not a mess

Israel, Palestine and America: Spell it out, Barack

Charlemagne: A flawed temple

Bagehot: A big crush on Sweden

World trade: The other conclave

(コメント) アメリカの連邦政府は混乱し,役に立つ政策を打ち出せないが,地方経済は彼らの行動を待っていられない.アメリカのボトムアップの再生力は優秀だ,と訴えます.

アメリカの経済再生,ヨーロッパのユーロ危機と民主主義の赤字,イギリスの財政再建をめぐる議会の対立とスウェーデンのスマートな改革を率いた(ポニーテールとイアリングが目立つ)財務長官Anders Borg.さらに独立の国家ではないかもしれない政治空間として,EUのキプロス救済融資をめぐる預金者の不安,イスラエルとパレスチナの2国家独立案,WTOの新議長候補が直面する地域貿易協定の乱戦,が関連する閃きを与えてくれます.

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IPEの想像力 4/1/13

不況や停滞の時期は,平和の回復期と並んで,インフラ整備や技術革新,低開発地域の発展を促す好機です.

大阪内環状線から奈良へ向かう国道163号線を,夜間,運転しながら思いました.日本のインフラも新しい発想で作り変えてほしいな・・・と.道路は狭く,自動車は大型車から軽自動車,遅いミニバイクまで,ほとんど隙間なく並走し,さらには,歩道を外れて自転車が,フラフラと車道の隅を走っていたりします.右折車用の車線もありません.

きっと毎年,多額の税金がこうした道路の改修工事に支出されているのでしょう.同じ税金を使うなら,危険で不便な道路はやめて,もっと利用者や住民が喜び,地域の活性化につながる,おもしろい発想で改修できないでしょうか?

現実の様々な複雑さや制約を忘れて,若い住民たちが話し合い,実現するために,・・・まず,自動車が大幅に減ることですね.道路の占める面積や維持費用は膨大であり,まき散らす排気ガス,騒音,交通事故,など,社会的な費用を減らします.もちろん,それに代わる輸送や移動の手段が必要です.

自動車というのは,特に,ガソリン車は,いずれなくなる人工物です.輸送システムとして,大型・大量輸送と小口の配達手段を区別し,鉄道網と電気自動車の連携する都市間ネットワークができると良いでしょう.都市内の道路はもっと小規模で,目立たない姿に代わり,小型電気自動車の制限速度も30キロくらいにしてはどうでしょう? 

かつて唱えられた理想都市の多くがそうであったように,その規模は中心から10キロとか20キロほどに制限し,人は皆,歩くか,走るか,サイクリングで移動します.新しい情報・輸送システムにより各地の商店街が復活し,私たちはデジタルIDで予約し,自転車や電気自動車をシェアします.

人口動態を考えれば,都市のインフラ整備には,高齢者の福祉や,移民の社会的・文化的な融合・連帯意識という視点が重要でしょう.旧市街ともいえる,さまざまな居住地の多くで,高齢者が増え,孤立した不便な生活を送っていると思います.老人たちが望めば,新しい都市の各地に,高齢者の共同住宅を開発し,引っ越してもらえば良いでしょう.こうした小規模共同住宅は,子だくさんの,若い移民夫婦にも歓迎されると思います.

制度や技術の革新を受け入れるには,所得や雇用に関する不安を解決する方策が必要です.所得の変動が緩和され,雇用の再配置や調整を労働者たちが好ましいと感じるような,特に,若者たちの雇用と正規労働者の再配置を工夫できないでしょうか? おそらく,コンピューターのソフト開発や,国境を越えた人材派遣・就業仲介,個人資産管理と起業家支援,墓地の国際・多角化経営,・・・など,まったく新しい業種から,新しい企業の姿が現れるでしょう.

大企業の活力更新と独立に役立つような,企業の壁を超えた交流のための社会・情報インフラを築いてほしいです.それは,過疎地の開発,格差解消にも有効でしょう.居酒屋やスポーツクラブ,史跡ハイキング,など,都市の公共交通機関をベースに住民たちを積極的に結び付け,企業セミナーや職業開発プログラムが開催されます.スイスやマレーシア,韓国の兵役制度が,年齢や地域,階層,エスニックの壁を超えた交流と信頼を育て,ビジネスにもつながっている,と読みました.

政府や強い権力者に期待するのではなく,普通の人々がプラスの相互作用を刺激するメカニズムを作れるか? 地域の生活や経済活動に特化した形で,新しい銀行・金融システムが可能かもしれません.短期や長期の小規模融資を通じて,銀行や投資仲介者は異なる人々をコミュニティーの発展に結びつけます.

鉄道や石油が帝国や戦争の形を変えたように,エネルギーの供給と情報通信・輸送システムは,その土地の権力の性格を変えるのです.逆に,平和で民主的な時代が続けば,私たちは石炭や石油から離脱し,原子力発電所を閉鎖するでしょう.

核兵器ではなく,「共同住宅主義」による平和都市を,アジア各地に築いてほしいです.まず被災地の復興で,実現してください.

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