前半から続く)


NYT March 9, 2013

The Price of Marriage in China

By BROOK LARMER

FT March 13, 2013

Xi’s wife to play role in charm offensive

By Kathrin Hille in Beijing


WP March 9, 2013

Drones: A weapon that needs a holster

By David Ignatius


l  東北大震災・福島から2

Project Syndicate 10 March 2013

Fukushima’s Future

Shinichi Nakayama, Ian McKinley

日本の原子力産業,監督者,政府は,日本のような地質学的に脆弱な国において,地震や津波のような災害のリスクとそのもたらす結果を科学・技術が最小化することに失敗したのはなぜか,明確に説明する責任がある.なぜ低汚染地帯でも,人体にほとんど影響がないにもかかわらず,不合理なほど大きなコストを要する洗浄を行っているのか,なぜ明確に定義された,運用可能な廃棄物管理システムが確立されていないのか,説明しなければならない.その教訓は将来の事故を減らし,放射性物質やその他の有毒物質に汚染された地域で苦しむ人々を助けるものである.

汚染除去により修復すべき地域はあまりにも広大であり,知性と土地利用が非常に複雑な人口密集地帯であるから,かつてない十分な規模の計画が必要である.地域の理解を得て,国際社会に情報を提供するには,作業の結果を要約して,誰にでも利用しやすい形でウェブ上にプラットフォームを構築することが重要だ.

廃棄物の量は莫大であり,推定3000万立方メートル,東京ドームの容積の20倍以上もある.しかもその物質は非常に混じり合っていて処理しにくい.たまっていく袋詰めされた廃棄物の山は,必然的に倉庫が劣化するから,集中的な処理施設を計画し,開発することが中心問題である.

BLOOMBERG Mar 10, 2013

Fukushima Radiation Proves Less Deadly Than Feared

By Robert Peter Gale and Eric Lax

BLOOMBERG Mar 11, 2013

Grief’s Five Stages Explain Post-Quake Japan

By William Pesek

Elisabeth Kuebler- Rossの死に関する考察は震災と福島後の集団的な日本の自我を考える上で参考になる.すなわち,悲しみは5つの段階(denial, anger, bargaining, despair and ultimate acceptance)を経る.

日本人は変化を望んだ.彼らは指導者たちが情報を公開し,20年間,この国を自動操縦してきた状態から抜け出すことを求めた.東京電力の責任者を投獄し,官僚たちを首にしろ,と,1960年代以来最大の抗議デモを行った.

しかし日本は針路を変えることなく,3111周年は,日本を動かす政治的・社会的な慣性がどれほど大きいものかを示した.

今は安倍の番だ.円安で株価の上昇を導いたアベノミクスは大成功だった.しかし,これもだまし合いでしかない.脳死状態の経済をよみがえらせるには,紙幣を印刷するだけでは不十分だ.

guardian.co.uk, Tuesday 12 March 2013

Two years on, America hasn't learned lessons of Fukushima nuclear disaster

Richard Schiffman


l  金融市場の回復

Project Syndicate 11 March 2013

The Great Disconnect

Kemal Derviş

2012年後半から,金融市場は世界中で力強く回復してきた.アメリカ,ヨーロッパ,アジア,特に日本がそうだ.イタリアの選挙結果も,金利は上昇したが,株価を大きく下げることはなかった.

しかし,こうした金融市場の好調さは,政治の変化や現実経済の指標と矛盾している.アメリカの景気はわずかに回復しただけだ.失業率はまだ高く,実質賃金はこの数年間上昇していない.中位のアメリカ家計の所得は2007年の水準より低く,20年前の水準に近い.金融危機後の所得増大の90%は最上位1%の家計が得ている.ユーロ圏の状況はさらに悪い.

政治的側面でも,アメリカの政治は議会の交渉が行き詰まっている.短期的には有効需要を刺激し,長期には構造改革と財政再建を実行する,という最適の政策ミックスを実現するような妥協は見られない.ヨーロッパでも,ギリシャは何とか連立政権を続けているが,各国においてポピュリズムや極右の政治連携が勢いを増している.

要するに,我々は金融市場と社会・経済の包括的な福祉水準とが急速に乖離していく事態を目撃しているのである.アメリカや他の多くのところで,企業利潤は国民所得の割合でみて10年ぶりの高い水準である.多くの分野で労働節約的な機械化が進み,さらに,国際的な税制の違いを利用して納税額を減らす,など,大企業はグローバリゼーションの利益を享受している.

その結果,グローバル・エリートの所得は,急速に,しかも,算出や雇用の変化とは関係なく,独立に増大しているのである.贅沢品の需要が増えてブームになり,その反面,低所得層の財・サービスへの需要は停滞している.こうしたことはすべて,極端な金融緩和,ほとんどゼロの金利水準において起きている.高所得者の利益,企業収益,株価の上昇は,この低利融資と構造的に関係している.

貧困,失業,不平等,富の極端な集中,についての関心と不安が広まっているにもかかわらず,現状を変えるような成長モデルは現れていない.ヨーロッパの主流派に対して,反対派は,21世紀の現実に適応できない旧左翼と,ポピュリスト,右翼の排外主義,ファシストなどに分裂している.

アメリカの右派はヨーロッパのポピュリストと似ているが,二大政党制によって,議会は過激な政治勢力を排除している.景気の低迷や失業にもかかわらず,オバマは再選された.しかし,社会・経済モデルの改革を進めなければ,成長は減速したままであろう.政治の混迷により,富と権力の集中を制限する,貧しい者の実質所得を増加させる,マクロ経済の安定性を維持する,信頼できるプランは示されていない.

こうして株価と現実経済との乖離が生じている.現在の趨勢は政治的に維持されている.しかし,長期的に見て,そのギャップが拡大し続けることはありえない.資産価格が現実を無視してオーバーシュートすれば,暴落するしかない.

WP March 11, 2013

The market strikes back

By Robert J. Samuelson

証券の富について,我々は知った.過去15年間で,2度も,すなわち,2000年のハイテク・バブル崩壊と,2008年の金融危機後,株式市場はその価値の半分を失った.その後,市場はかつての水準を回復し,先週,再びダウジョーンズ工業株平均が2007年のピークを越えた.

アメリカ人は1980年代と90年代に株式市場に吸い寄せられた.文化と金融行動における大転換が起きたのだ.株式保有が中産階級の常識になった.株式を保有する家計の比率は,1983年の19%から,2001年には52%に上昇した.その理由は,第1に,株価が上昇したことであり,第2に,個人退職年金と401(k)が増えたことだ.そして,CNBC放送や投資顧問たちが,投資をめぐる魅力と嫉妬をかき立てた.

真実を観れば,株価保有の高所得者への集中を変えていない.2010年,最富裕層1%が家計所有株の35%を,次の9%46%を占めている.2008年のショックで株式保有が減少すると思われた.確かに,個人投資家が砲撃を受けたように思考停止したけれど,年金や新しいタイプの投資信託“exchange-traded funds” (ETFs)により,株式市場への資金流入は続いている.

これほど多くのアメリカ人が,今も,株式を保有していることは驚きだ.その将来は,株価によるだろう.

BLOOMBERG Mar 11, 2013

Cut Global Red Tape to Promote Economic Growth

By Cass R. Sunstein

FT March 14, 2013

Remember lessons of 2007 in rush for junk

By Gillian Tett

WP March 14, 2013

A new bull market — or a bubble?

By Robert J. Samuelson


l  移行期と金融政策

FT March 11, 2013

High vaultage

By Alice Ross and Claire Jones

日本の金融緩和と円安政策に始まって,世界には通貨戦争の懸念が広まった.2月のG20は,資金移動の過度の浮動性や,為替レートの無秩序な変動について警告したが,介入に備えた外貨準備増大の長期的な影響についてはそれほど注目しなかった.

中央銀行自身が,そのポートフォリオ管理や資金移動について不透明で,ますます投機的なトレーダーに似た行動をとる危険がある.スイスがその典型であった.

Project Syndicate 12 March 2013

Currency War and Peace

Otaviano Canuto

非正統的な金融緩和がもたらす流動性の供給が,通貨戦争ではなく,長期の生産的な投資に向かうような政策を展開する必要がある.

FT March 13, 2013

Beware monetary experimentation

By Martin Taylor

VOX 13 March 2013

The leaderless global economy: Can economic history suggest lessons?

Peter Temin, David Vines

1920年代,30年代の覇権の移行期は,今とよく似た状況だった.イギリスからアメリカへの移行は,迅速でも,容易でもなかった.

1次世界大戦後の債務は1920年代にハイパーインフレーションを生じた.その後,1920年代半ばには,一時的にドイツへの融資が行われ,いくらか景気回復も起きた.しかし,ドイツ賠償金問題は解決されなかった.1931年,通貨危機の中,ドイツが金本位制を離脱し,イギリスも続いて離脱した.その後,アメリカは引き締め政策を取り,1930年代の大不況に至る.

アメリカが財政を引き締めることなく2つの戦争を行い,財政赤字を拡大した.金融緩和してもインフレが起きない状態はしばらく続き,1980年代半ばからの‘Great Moderation’が景気循環を克服したという前提から,結局は,極端な金融緩和を続けて2008年のthe Global Crisisに至った.またユーロ圏の欠陥は,ECBはあっても,だれも財政赤字の責任を取らない,という点にある.

債務よりも雇用を重視しなければならない.それを対立して考えるのは,1930年代の金本位制に戻った思考方法である.第2次世界大戦後,記録的な水準にあった政府債務が減少したのは,長期の完全雇用と成長を実現したからだ.それが可能であるには,国際協力が欠かせない.

ヨーロッパもアメリカも,財政的な均衡と国際収支均衡を回復するには,その上限を安定化し,長期的な成長に戻ることが重要である.債務国が成長するには,かつて通貨危機に陥ったアジアがそうであるように,輸出を伸ばすことが有効だ.そして,ハリケーンに襲われた地域がインフラを修復するように,国際投資が行われる.成長が歳入を増やすことで,財政赤字も対外債務も支払えるのだ.

こうした移行期の貿易や投資を融資するには,ヨーロッパ内でドイツと南欧諸国が,世界的規模ではアメリカと東アジア,特に中国が,協力しなければならない.歴史は,こうした国際協力が実現可能であると示している.


l  IMF改革

FT March 11, 2013

Pressure mounts on US over IMF reform

By Robin Harding in Washington

FT March 11, 2013

Reform the fund

FT March 12, 2013

Dollar is the only serious reserve player

By John Plender

FT March 14, 2013

Time for the IMF to follow the Vatican

Mohamed El-Erian

ヴァチカンがIMFに先駆けて指導者をヨーロッパ以外から抜擢すると考えた者は,ほとんどいなかったはずだ.アルゼンチンから新しい法王フランシスが誕生し,IMF専務理事を選ぶ,時代遅れになった国籍ルールの思慮のなさが,ますます明確になった.

法王フランシスの誕生は,ヨーロッパがもはやカトリック教会を支配する時代ではないこと,そのダイナミズムは発展途上諸国にあることを示すものであり,相対的な意味で,外部の視点を取り込むことが孤立した境界に生じた信用失墜に対処することを認めるものであり,カトリックの刷新に創造的思考と啓発を求めるものである.

こうした議論の本質は,国籍によって縛られたIMF線も理事の決定プロセスに改革が必要な理由と一致している.よりオープンで,透明な,候補者の長所を比較できる選考過程が求められる.

逆に,現在のIMFは,これまで様々な地域で通貨・債務・銀行危機の処理にあたってきたにもかかわらず,ユーロ圏の危機を収拾する過程に介入することを躊躇している.他の経験からその知識をヨーロッパの処理に役立てるどころか,これまでのルールに従うことさえヨーロッパには抑制するのであれば,IMFの有効性は失われ,世界の信頼を失うだろう.

ラガルド専務理事の任期中から,専門の委員会を立ち上げ,選考手続きの改革を始めるべきだ.それは,アメリカ議会がIMFの小さな改革にも抵抗するときであれば,一層望ましい.


l  商品市場のブーム

FT March 11, 2013

Africa must get real about Chinese ties

By Lamido Sanusi

Project Syndicate 13 March 2013

Commodities on the Rise

Dambisa Moyo

Project Syndicate 14 March 2013

A Tale of Two Countries

Andres Velasco

国家の経済評価は急激に変化するものだ.2年前,ブラジルは急速な経済成長と中産階級の増大が注目され,金融市場の最愛の人だった.他方,メキシコは麻薬ギャングと暴力で有名だった.

今日,ブラジル経済は停滞し,ワールドカップやオリンピックに向けたインフラ投資もそれを打ち消せない.他方,メキシコ経済は着実に改善し,アメリカ向けの輸出を伸ばしている.

金融市場は表面的なニュースに飛びつくことで,その構造的な特徴を見失ってしまう.すなわち,メキシコ経済は,ブラジルに比べて,開放性に優れていたが,それがNAFTAの成立や中国との競争によりどのような影響を受けるか,という点で,金融市場の評価は間違っていた.また金融政策と財政政策との組み合わせについて,より慎重な財政政策を採用したが,それが結果的には金利水準を抑え,資本流入や為替レートの増価による競争力の喪失という問題を回避できた.世界経済に占める位置についても,メキシコは積極的にグローバルな産業の連鎖に参加し,さまざまな財の拠点となって,輸出を多様化している.

国際的な商品市場のブームが終わったとき,こうした構造的な違いが両国の成長に影響するのである.


VOX 11 March 2013

Theories of financial crises

Itay Goldstein, Assaf Razin


l  コンクラーベ

NYT March 11, 2013

The Conclave’s Fixed Ways

By FRANK BRUNI

The Guardian, Wednesday 13 March 2013

Choice of Jorge Bergoglio as pope shows a decisive shift from Europe

Andrew Brown

FT March 13, 2013

Jorge Bergoglio of Argentina elected pope

By Giulia Segreti and Guy Dinmore in Vatican City

BLOOMBERG Mar 13, 2013

Pope Francis' Economic Philosophy

By the Editors

The Guardian, Thursday 14 March 2013

The election of a new pope is God's Olympics: global publicity, weeping crowds – and no meaning

Simon Jenkins

SPIEGEL ONLINE 03/14/2013

The Surprise Pope

Humble and Ascetic with a Murky Past

By Barbara Hans

WP March 14, 2013

Francis, a pope of the poor

By E.J. Dionne Jr.


l  イスラエル

NYT March 12, 2013

The Old Peace Is Dead, but a New Peace Is Possible

By ARI SHAVIT

NYT March 12, 2013

Mr. Obama Goes to Israel

By THOMAS L. FRIEDMAN


l  ミャンマー

FT March 13, 2013

Myanmar’s transition is stuck in limbo

By David Pilling

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The Economist March 2nd 2013

Aspiring Africa

Special Report Emerging Africa: A hopeful continent

Italy’s disastrous election: Send in the clowns

Charlemagne: Rome’s bad spell

Japan and America: Spin and substance

Banyan: Not as smooth as silk

(コメント) マリやアルジェリアのテロ事件が起きたアフリカ大陸で,その急速な変貌を読むのは驚きです.アフリカ諸国の人々の4人に3人は携帯電話を利用している,その数はインドの利用者に等しい,なんて想像もしませんでした.アフリカの躍進は,中国からの需要と投資だ,と言われてきましたが,この特集記事は,1.戦争・暴力が減った.2.独裁者が減り,民間人が政治に影響を及ぼすようになった.3.社会主義型の経済モデルが消滅した,という変化を挙げます.

イタリア選挙結果とユーロ危機再来を,二人の道化師(グリッロ,ベルルスコーニ)と,ユーロ圏の制度改革が遅すぎること,に注目して議論します.日米関係をアメリカがどう見ているか,という考察も,アフガニスタンからNATO軍が撤退することで中央アジア諸国に広がる不安定化,という視点も,説得的です.

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IPEの想像力 3/18/13

BBCのニュースを聴いていると,新しいローマ法王の誕生と,新しい中国国家主席の誕生が,並んで話題になっていました.2人に共通したテーマは,「貧困」と「改革」です.

バラク・オバマと安倍信三という2人の政治指導者にとっても,「改革」はさまざまな意味で死活的な重要性を持つはずでした.しかし,2期目のオバマは,シリアには介入しない,ドローンによるテロ対策に頼る,メキシコとの国境に長大な壁を築く,金融の量的緩和に景気回復を委ねる,北朝鮮の暴走を中国に責任転嫁し,沈黙する,中東和平に関与しない,・・・ これが,オバマなのか? という気持ちです.歴史的な金融危機による大恐慌を回避しても,討論を通じて改革への国民合意を盛り上げる政治的意志は,制度の慣性に勝てなかった? 東北の大震災後に日本が改革を加速するという期待と同じように?

アベノミクスが成果を上げるためには,インフレだけでなく,賃金上昇と雇用がなければなりません.政府からの要請で主要企業はボーナスを増額した,ということですが,賃金も上がるのでしょうか? しかも財政赤字の問題を解決するには,長期的な成長を高め,同時に,社会保障システムの見直しが必要です.

自民党大会で参議院選挙の勝利に向けた安倍首相の演説をニュースが紹介していました.その政治的なスタイルは,英米の政治家にも共通する「優れたデザイン」を思わせます.しかし政治的センスは,やはり,偽物であると私は思いました.努力して成長する,強い国にする,先の選挙の勝利におごらない,というのは,有権者にアピールするための修辞でしかないからです.

現実を観れば,国民は高齢化しており,年金・社会保障システムの革新が必要です.その赤字をどうするか,といった限定された問題として解決策を示すことはできません.長期の,安定した,勤続年数に応じた賃金上昇の時代,日本の成長と大企業に依存した社会保障システムでバランスを取った時代は,はるか前に終わりました.賃金を仕事の実情に応じて決め,正規や派遣,パートの区別をなくし,新しい産業で積極的に雇用を増やせる仕組みについて社会が合意しなければなりません.新技術と新製品,消費者とをつなぐ条件,新興産業を育てるインフラを,各国は競って整備しようとしています.

金融政策や円安,株高を参院選挙に結びつけるアベノミクスで人気先取りが成功したとしても,日本経済,企業,雇用が長期の低成長を抜け出せる,とは限りません.私は黒田東彦日銀新総裁や浜田幸一内閣府参与に期待します.しかし,もしかしたら,黒田氏も浜田氏も,安倍首相が戦後日本解体計画を推進するための「道化師」になるかもしれません.

安倍氏の試金石はその保守主義と外交です.アメリカの金融政策,外交・安全保障は,日本の姿勢と関係なく決まっているように見えます.アメリカが(そして中国が)安倍首相をどう見ているか, The Economistの評価は妥当なものだと思いました.安倍首相の経済重視は,”only skin-deep” である,と疑っているのです.オバマ政権は安倍氏の憲法改正論を支持しないし,ケリー国務長官は,尖閣諸島の紛争について,日本側に立った軍事介入を明言しません.

日米中の関係は連動して変化します.アメリカにとっての関心は,TPP参加交渉と普天間基地移転です.安倍氏はこれらを実現できると約束しました.他方,周辺諸国との国境紛争について強硬姿勢を容易に変えようとしない中国政府が,大気汚染に関する国民の不満には,これまでの方針を変えただけでなく,政府の能力の限界と成長政策に無理があることを認めました.日本と環境技術や政策の情報を共有し,周辺諸国との紛争を解決すれば,黄砂の対策に,国際河川の利用に,温暖化ガスの排出抑制に,中国こそが指導的な役割を果たせるでしょう.

安倍首相は,習近平国家主席の演説が「愛国心」を強調した姿勢に,きっと共感したでしょう.国を思う気持ちが平和や繁栄と矛盾せず,国際的な威信を高めるとともに,他国から敬意を得るには,ナショナリズムと違う何かが必要です.2人の指導者はこの共通したテーマを競ってください.

金融危機後の世界でも,道化師が真実を語るとしたら,こう言うでしょう.ローマ法王,中国国家主席,アメリカ大統領,日本首相が協力して,「貧困」に取り組む,と決まった.

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