IPEの果樹園2013

今週のReview

1/28-2/2

 

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北アフリカのイスラム主義 ・・・オバマⅡの戦略問題 ・・・アメリカ経済の再建 ・・・イギリスのEU離脱論 ・・・ドル本位制は続く ・・・中国の新しい政治危機 ・・・安倍政権と国際通貨システム ・・・ユーロ圏と独仏同盟 ・・・2013年の危機 ・・・アメリカの債務問題

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  北アフリカのイスラム主義

BLOOMBERG Jan 17, 2013

Libya Is Messy. So Was Eastern Europe in 1991.

By Ali Tarhouni

リビアの春は2年経っても安定した民主的政府を実現していない.しかし,東欧の春を考えてほしい.ベルリンの壁が崩壊して2年経っても,旧ソ連圏の諸国は内戦や旧体制との戦い,経済の崩壊に苦しんでいた.彼らには西側からの緊密な協力と援助があった.それでも,20年を経て,まだ安定しない諸国もある.

欧米の友人たちには,何よりも,明確な解決策などないのだ,ということを理解してほしい.

リビアは,チュニジアやエジプトの革命と異なる点がある.1.大規模な流血の戦争を経験した.2.政府・行政機関が何もない.3.強力な,愛国心に満ちた国民軍が無い.こうして,リビアには実効的な中央政府がまだ存在しないのである.国境でも都市でも,治安を守る警察組織が無い.

それにもかかわらず,リビア社会は安定している.それは国民が小さな同質的集団だからだ(640万人のアラブ民族,スンニー派).

リビアは豊富な資源を持ち,地中海の地政学的に重要な位置を占めている.こうした潜在的可能性を実現できれば,リビア経済を北アフリカでも繁栄した国にするだろう.その条件として,安全保障・治安と政治的な安定性が求められる.欧米の友好諸国には,国内・国境における治安組織の形成や情報について支援と情報を提供してほしい.

われわれは,多くの代価を支払って,自由を得た.誰もが安全と食糧を求めている.激しい努力,善き意図,友人たちからの支援があれば,それを与えてやれるのだ.そのために,今,グローバルな社会に帰属する,安定した国家を実現したい.この目標は,友人たちの忍耐強い支援に値すると思う.

The Guardian, Friday 18 January 2013

Mali: fragile democracy and clumsy US policy

Simon Tisdall

アルジェリアの人質事件と制圧作戦が示すのは,隣国マリにおけるフランスの軍事介入と関わって,アルカイダの「第三世代」分派が,北部・西部アフリカ,サヘル,サハラの広大な空間が,アメリカ・西側と聖戦主義者との戦争における新しい最前線となっていることだ.

今回の危機は,アメリカが試みてきたアフリカにおける共同防衛体制のお粗末さと愚かさをも示した.ドローンによる指導者暗殺は反米感情やイスラム主義の拡大をもたらしており,アメリカの築いた地域軍事同盟は容易に崩れ去った.

マリの軍隊は,アメリカからの武器や情報,数百万ドルの資金援助,兵士たちへの訓練・教育プログラムによって強化され,アメリカ同盟軍になるはずだった.しかしクーデタが起きて,政府は軍事指導者Amadou Sanogoによって攻撃され,崩壊する前に,フランス軍の空爆で守られた.Sanogoはアメリカの防衛大学や基地で訓練を受け,英語や諜報活動を学び,さまざまな武器を得て,マリの脆弱な民主体制を破壊した.

オバマ政権は,今後も,アフリカ各地で軍事基地を拡大し,現地の同盟軍を組織して対テロ戦略を実行する.しかし,成功するとは限らない.マリの戦争はさらに拡大する危険がある.軍事施設ではなく,民間の重要施設,いわゆる「ソフト・ターゲット」が狙われる.第3世代のアルカイダは衰えていない.

FT January 18, 2013

Algeria shows we need a new approach to terrorism

By Roula Khalaf

全ての聖戦主義者は同じに見える.「テロとの戦い」,先制攻撃,政治的な不安定,が話題となっている.

アルジェリアの砂漠における天然ガス・プラント襲撃事件は,聖戦主義者に対するこの10年の作戦に反省を迫っている.アルジェリアとマリの先頭に先立って,ベンガジのアメリカ大使殺害事件があり,シリアの内戦激化があった.

アルカイダは壊滅した,ドローンで残党を一掃する,過激なイデオロギーはアラブ世界の平和的な独裁者の追放によって乗り越えられる,と言われてきたが,そうだろうか? 単純な説明や,良い結果を,われわれは好む.しかし,アルカイダの分派は生き残り,各地に拡散して活動を続けている.それが統一したネットワークの一部とは言えないようだが,各地の情勢は,残念ながら,彼らに有利な条件を与えている.

北アフリカには安全保障の空白地帯が現れた.独裁体制が大衆的な抗議デモによって倒されたことに彼らは」ショックを受けたが,同時に,牢獄にいた多くの聖戦主義者が解放され,旧体制の強力な諜報組織や秘密警察も崩壊した.聖戦主義者は,各地の情勢に合わせた活動を展開している.

それに対応する安全保障の組織化は遅れた.

The Guardian, Friday 18 January 2013

Mali will be a milestone for Africa

Knox Chitiyo

FP JANUARY 18, 2013

Beyond Al Qaeda

BY HOWARD W. FRENCH

FP JANUARY 18, 2013

The Eradicateurs

BY GEOFF D. PORTER

NYT January 19, 2013

The French Way of War

By STEVEN ERLANGER

NYT January 19, 2013

Jihadists’ Surge in North Africa Reveals Grim Side of Arab Spring

By ROBERT F. WORTH

The Guardian, Sunday 20 January 2013

What ties Cameron's EU policy to his stirring words on Algeria? Impatience

Gaby Hinsliff

The Observer, Sunday 20 January 2013

Terrorism is just one of many scourges to beset the people of Mali for decades

Peter Beaumont

マリ北部をイスラム主義者に制圧されたことの説明は単純化され過ぎている.たとえば,カダフィ体制の崩壊で武器が流出した,アメリカの軍事援助がイスラム主義を刺激した,資源を狙う新植民地主義だ,など.

他方,アルカイダの復活であり,ヨーロッパの入り口にテロリストが殺到するのを防ぐために介入が必要だ,というヨーロッパ諸政府の主張も単純すぎる.

マリからアルジェリアに波及した軍事紛争の背景には,半世紀に及ぶマリの異なる集団間の対立がある.バマコ政府の関わる紛争に,弾圧されていた北部が武器を手に入れたことで,対立が激化した.西側が,バマコの中産階級や支配層の支持する「民主主義」を守るために軍事介入するとしたら,その体制が社会を統合するものでも,地域を統合するものでもないことを知っておくべきだ.マリだけでなく,ルワンダやイラク,アフガニスタンの「民主体制」を考えてみることだ.

マリの中央政府が機能しなくなる一方で,北部の少数派Tuaregやイスラム主義は勢力を回復した.それはアルカイダの国際展開として理解するべきでもない.アルカイダ型の反政府勢力は,国際的な連携より,地域の不安定化やガバナンスの崩壊に反応しているのである.アフガニスタン,イラク,ソマリア,イエメンも同様である.

FT January 20, 2013

The west has let negligence in the Sahel turn into a nightmare

By Paul Collier

201110月にリビア革命が起きるまで,マリは非常に貧しいが,不安定な国家ではなかった.蓄えられていた武器がギャングの手に渡った.

それを防ぐための国際支援や地上軍の展開は,必要とわかっていたのに,実現しなかった.アメリカやフランスで大統領選挙のサイクルが始まっていたからだ.現地政府は援助資金を受け取ったが,汚職によって失われた.革命後の体制に資金を拒むことは,軍事的にも,また政治秩序にも,混乱状態を広める.グローバルな,また,地域の主体が協調して行動するべきであったが,アフリカ機構AUも議長国の選挙があった.

イスラム主義者がマリの首都を支配することは,この国をソマリアのようにするだろう.フランス政府はそれを恐れて介入に踏み切った.ソマリアの海賊行為がもたらすグローバルな経済被害額は,年間約20億ドルに達する.アルジェリアが示したように,サハラはインド洋であり,石油・天然ガス施設はタンカーである.西側がこれまで行ってきた,ソマリアの海賊に対する身代金支払いは,こうした海賊集団を育ててしまった.アルジェリアの強硬策を非難する資格はない.

地域の大国であるアルジェリアとナイジェリアは,イスラム主義者に屈していない.アメリカもアフリカ機構も行動すれば,資金援助が復活する中で政府も再建される可能性がある.もちろん,民主的な,社会的参加を促す体制であって,アフリカの軍事体制は生き残れない.

SPIEGEL ONLINE 01/21/2013

Ivory Coast Leader

'Germany Should Also Send Troops to Mali'

SPIEGEL ONLINE 01/21/2013

'Gates of Hell'

Mali Conflict Opens New Front in War on Terror

By Paul Hyacinthe Mben and Jan Puhl

NYT January 21, 2013

U.S. Inaction, Mideast Cataclysm?

By BERNARD AVISHAI and SAM BAHOUR

WP January 22, 2013

Obama’s failure in Syria

By Richard Cohen

戦争には,必要な戦争と選択による戦争がある.第二次世界大戦は必要であり,正しかったが,ベトナム戦争はそうではなかった.イラク戦争は選択されたが,アフガニスタンはそうではなかった,しかし,今ではそうなったかもしれない.二つの戦争は変化する.シリアもそうだ.シリアの戦争は,選択する戦争ではなく,必要なものになった.

オバマは選択しなかった.彼の失策は,膨大な死者をもたらしている.すでに6万人が死んだが,その多くが民間人である.国境の各地で65万人が避難民となっている.彼らの生活状態は極悪で,冬の寒さに子供たちが死んでいる.

シリアの戦争拡大は地域を不安定化した.クルド人,パレスチナ人が周辺国に逃れている.さまざまな異なる宗教が近隣諸国で次第に不安定な状態をもたらしている.アサド大統領はモスクワに亡命する,という噂もあるが,実際には反対派を殺し続けている.殺される前に殺してしまえ,という危機回避策が続く.

NATO軍には,すなわち米軍には事態を早期に終息させる力があった.飛行禁止空域の設定は,リビアでそうであったように,空軍による爆撃を阻止し,軍や諜報機関にアサド体制の終末を早期に確信させたはずだ.

FP JANUARY 22, 2013

Flyover Country

BY MICAH ZENKO

ハリウッド映画やテレビ番組は,膨大な諜報活動の成果と特殊部隊の活躍を万能の姿に描いて,アメリカ政府が世界中のどこでも,だれでも殺害できるかのように思わせる.これは政府やCIA,国防省とハリウッド,TVスタジオが結託して広めている誤解である.

アメリカの活動は各国の主権によって制限されている.ドローンの活動も目に見えない外交交渉の結果である.アメリカ軍は世界の独立した194か国の主権に従うしかない.たとえば19844月に,ベルリンのディスコで爆弾テロの犠牲となった二人のアメリカ軍人に対する報復攻撃として,レーガン政権はリビアの5つの施設に空爆を計画した.しかし,アメリカの戦闘機が上空を飛ぶことを,フランスのシラク首相とミッテラン大統領は拒否し,スペインのゴンザレス首相は基地の使用を拒んだ.

世界の陸地の94%はアメリカの領土ではない.軍事力行使について語るとき,思い出すべきだ.

YaleGlobal, 23 January 2013

Europe in North Africa – Recolonize or Rescue?

Jonathan Fenby

WP January 24, 2013

Can the E.U. become the world’s policeman?

By Anne Applebaum

「戦争の10年は終わった」とオバマは月曜日に宣言した.アメリカに関する限り,そうかもしれない.過激派たちはテロの計画を立て,各地の権威主義体制,専制支配体制は権力を維持するために暴力を行使している.アメリカが国際的な介入を止めても,彼らは退場しない.

幸い,同じ経済的・政治的な価値を共有し,優れた武器を保有するヨーロッパが,北アフリカと中東の不安定化に重大な利害関係を持っている.

冗談じゃない! 2011年,リビアで関与した短い戦争でも,フランスの軍隊は弾薬が尽きて,機能しなかった.アメリカの諜報活動なしには,どこを攻撃すべきか理解できない.しかし,2013年,マリにフランス軍が介入した.アメリカはこれを支援し,他のヨーロッパ諸国も資金や兵士を出すだろう.

ヨーロッパが世界の警察官になるには,まだ多くの障害がある.特にドイツは,第二次世界大戦後の軍事活動に対する嫌悪感があり,またイギリスではキャメロン首相がEUとの関係を再考する,と言っている.しかし,ヨーロッパと協力する以外に,アメリカは選択肢を持たない.

FT January 24, 2013

Call to arms will bring no peace to Sahel

By Hugh Roberts


l  オバマⅡの戦略問題

NYT January 17, 2013

The Next Four Years

By DAVID BROOKS

妥協the Grand Bargainの時代は終わった,ということだ.超党派の改革案はすべて失敗に終わった.政治的な両極化はあまりにも深刻であり,特殊利益団体はあまりにも強力であり,交渉はあまりにもお粗末だ.共和党はその低課税国家の理想を諦めないし,民主党は現在の社会給付を変更する気が無い.

オバマは説明の流れを変えるだろう.すなわち,共和党はあまりにもクレージーである,と主張する.アメリカの政治システムを変えるという話ではなくなり,共和党のクレージーな姿勢を批判する.メディアも同情し,中間派や独立派も説得され始める.

オバマは共和党の政治集団を分断するだろう.銃規制や移民政策がそうだ.中西部と南部を分断し,ティー・パーティーやラジオ番組のトークショーと,よりイデオロギー色の薄いビジネス・経営者層を分断する.

FP January 17, 2013

Should Obama Have Intervened in Syria?

BY MARC LYNCH

FT January 18, 2013

Barack Obama’s second term

FP JANUARY 18, 2013

Second-Term Heat

BY JAMES TRAUB

121日に就任式を迎えて,オバマは満足すると同時に,2期目において歴史に自分が何を遺産として残すかを考えているだろう.経済危機の緊急事態で始まった1機目は,オバマが自分の政治目標を実現する余裕は少なった.

レーガンもクリントンも,2期目の外交政策で大きな成果を上げた.オバマは当選したとき,外交における革新を唱えていた.核不拡散,気候変動,破綻国家,国際制度の改革,などである.そして彼の(軍事力より交渉を重視する)関与政策は早くもノーベル平和賞を受賞した.彼はまだそれに見合う成果を示せていない.

オバマの政策目標は再検討されるだろう.もしドローンが彼の遺産であるなら,そのため内外の法的枠組みや規制を定めるべきだろう.私は,より穏健な遺産を求める.それは気候変動を抑える中国との合意である.それは核拡散問題よりも緊急性が求められる.

NYT January 19, 2013

Managing the Oval Office

By DAVID ROTHKOPF

NYT January 19, 2013

The Immigration Saga Continues

NYT January 19, 2013

Saying What Matters in 701 Words

By RONALD C. WHITE Jr.

WP January 19, 2013

In Obama’s White House, ambition looks a little different

By William Casey King

WP January 19, 2013

In Vietnam vets Hagel and Kerry, Obama finds champions of retrenchment

By Fouad Ajami

これまで,ベトナムの経験者は政界のトップに立てなかった.アメリカの海外における関与の拡大に反対し,その失敗に反省する声に同情的だったから.しかし,2期目のオバマ政権では,ヘーゲルやケリーがベトナム経験者だ.オバマⅡは世界的な関与についての情熱を示さないだろう.シリアについても,オバマはイデオロギーのために犠牲を払うことはなかった.

ブッシュの戦争を嫌い,オバマを世界市民として大歓迎したヨーロッパも,今では,それを知っている.むしろ,ベトナム戦争の記憶がアメリカ外交に抑制を促す.

WP January 19, 2013

Does Obama have a grand strategy for his second term? If not, he could try one of these.

By Anne-Marie Slaughter

オバマは歴史に姿を残すために,より行動的な外交の大戦略grand strategyを練るだろう.さまざまな危機に対応するだけでなく,自分の遺産を描くだろう.

その代表はジョージ・ケナンの「封じ込め」であった.アメリカは共産主義に対して巻き返しを図らず,封じ込めるべきである.そして体制が内部から崩壊するのを待つ.それが1946年位懸念の示した大戦略であり,その後のアメリカ外交を決定した.1930年代の大戦略は孤立主義であった.クリントン政権の第1期に,国家安全保障顧問のAnthony Lakeが「封じ込め」を転換するべきだと主張した.民主主義の拡大である.その方針は,NATOEUの拡大につながった.

ブッシュ政権の大戦略は,アメリカの世界的な優位を確立することだったが,オバマⅠは,国内の回復と国際的な指導力であった.国内再建のためには,アメリカが新しい戦争に関わることを避けてきた.最近,アメリカの3つのシンクタンク(the Council on Foreign Relations, the Atlantic Council and the New America Foundation)が大戦略を提案した.

Atlantic Council“Envisioning 2030: US Strategy for a Post-Western World”)は,NICの報告した2030年までの4つのシナリオ(①アメリカの内向き政策とグローバリゼーションの衰退,②米中協力,③内外の不平等拡大と紛争に不本意な関与を拡大,④非国家主体による問題の対応)を前提に,アメリカは積極的にそのマイナス面を減らすべきだ,と主張する.そして他のパートナー(ヨーロッパ,NATO, 日本,韓国,オーストラリア,シンガポール,など)との協力を指導する.特に中国との協力が決定的に重要だ.すでに,クリントン国務長官の演説(“multi-partner world”)や米中戦略経済対話は,この方針を取り入れていると思う.

Council on Foreign Relations “Democratic Internationalism: An American Grand Strategy for a Post-Exceptionalist Era”)は,the “big ideas”を示す.その前提は,世界における民主主義諸国が半分を超えたことだ.もっとも強力な,裕福な,人口を抱える諸国が加わっている.アメリカはこうした民主主義諸国のコミュニティーに最大の利害を見出す.その目標は民主化の拡大ではない.平等な機会,責任ある,相互依存を賢明に管理する,同盟を指導することで,民主主義諸国の安定化と深化を助けるのである.新興諸国とは指導力を分かち合う.

オバマはこの考え方が好きだろう.就任演説では,Deudney and Ikenberryに対応した形で,「責任の新しい時代」と呼んでいる.しかし,そこで言う「民主主義」はあいまいである.政府は,ロシアと中国も,インドやブラジルと一緒にする.

New America Foundation Patrick Doherty “A New U.S. Grand Strategy”)は,アメリカ再建に向けた具体的な処方箋を示している.アメリカの新しい目標とは,「持続可能性への移行」である.30億人の新しいグローバルな中産階級が,地球の生態システムを破壊せずに暮らしていくためには,さまざまな改革が必要である.新しいエネルギーや住宅政策など,提案されている者は,すでに各地で採用され,試みられている.しかし,その成功の可能性はない.

大戦略は必要だ.そのためには,圧倒的な力を持つ世界観,政治的目標が必要だ.われわれがどこに向かうか,示さなければならない.オバマだけが,就任式でそれを示す機会を得る.

FT January 20, 2013

Obama must atone for his carbon omissions

By Edward Luce

NYT January 20, 2013

The Big Deal

By PAUL KRUGMAN

WP January 20, 2013

Obama 2.0

NYT January 21, 2013

The Collective Turn

By DAVID BROOKS

オバマは,プラグマティックで,愛国主義的な,進歩主義を支持する.オバマはアメリカの歴史を用いて,進歩主義が新しい課題,すなわち,グローバリゼーション,技術変化,不平等,賃金の停滞,なども解決することを示す.旧来の目標である,平等と機会のために,われわれは新しい集団的な手段を用いるべきだ.

オバマは現状が過度の個人主義,ナルシシズム,民間分野に支配されている,と考える.もっと社会的な行動,共通の利益,が必要だ.地球温暖化も,中産階級の復活も,医療・社会保険制度も,女性,レスビアン,ゲイの平等な権利も,解決できる.

しかし,私はオバマほどリベラルではない.オバマが取り上げなかったアメリカの歴史がある.ウォール街やシリコン・ヴァレーだ.アメリカは多くの分散した天才たちによって繁栄を実現してきた.中央政府ではなく,偉大な革新や商業の発達を称えることができる.

オバマは,アメリカが隆盛期の若い国家であるとき,生々しい,制度化されていない国家を穏健に統治することが求められた時代の理想を持ち出した.しかし,アメリカは今や成熟した国家である.老人が増え,強固な政治システムがあり,複雑な税制があり,法律や債務に関するビザンチン的な官僚制度がある.

成熟した国家で活力がよみがえるには,人々の競争を促し,政府は多くの分野を明け渡してやるべきだ.政府支出も大事だが,規制緩和も重要だ.革新と福祉は財源を奪い合うこともあり,オバマの主張は,アメリカの未来を過去の犠牲にする.

NYT January 21, 2013

Diplomacy Is Dead

By ROGER COHEN

NYT January 21, 2013

President Barack Obama

WP January 21, 2013

An expansive case for progressive governance, grounded in language of Founding Fathers

By Greg Sargent

WP January 21, 2013

Obama’s quest for greatness

By Robert J. Samuelson

WP January 21, 2013

Obama’s unapologetic inaugural address

By E.J. Dionne Jr.

FT January 21, 2013

Obama looks inward, America’s allies worry

By Gideon Rachman

再選された大統領は世界を目指した.リチャード・ニクソンは中国を訪問した.ビル・クリントンは中東和平にこだわった.ジョージ・W・ブッシュは中東で戦争を起こした.

明らかに,オバマはこのルールの例外になる.彼は国内制度の再建を図るつもりだ.その優先目標とは,銃規制,移民政策の改革,財政再建,経済再生,である.

外交に関しては,アメリカの若者たちを連れ戻すことである.アメリカが国際問題に介入しない姿勢は,他の世界に劇的な影響を及ぼすだろう.シリアがそうだ.アメリカが消極的であれば,軍事的に劣るヨーロッパはシリアに介入できない.シリアは,地政学が真空を嫌う,ということを強烈に想起させる.マリでも,アフガニスタンでも,アナーキーから秩序を再建するとき,他の勢力が支配する.

オバマは,アメリカの撤退を指導したという非難を,正当に反撃するだろう.アメリカの国内経済が復活しなければ,アメリカの強さは維持できない.アメリカ国民は戦争に倦んでいる.彼らの生活を改善しなければならない.

しかし,その願いはかなわないだろう.次の戦争や危機が起きるとき,アメリカの介入は避けられない.尖閣諸島では,中国と日本の対立が危険な水準に達している.社会改革を目指したけれど,戦争指導者として終わったFD・ルーズベルトのように.

WP January 21, 2013

When is an inauguration like a royal wedding?

By Anne Applebaum

WP January 21, 2013

A flat, partisan and pedestrian speech

By David Ignatius

オバマはアメリカの分裂を受け入れたように見える.アメリカ史を通じて,政府の役割に関する論争は決着を見なかった,とオバマは述べた.国際主義への情熱もほとんどない.

FP January 21, 2013

101 Things People Want Obama to Do in Term 2

BY ELIZABETH F. RALPH

BLOOMBERG Jan 21, 2013

Barack Obama, the Next Globalization President?

By James Gibney

オバマが就任演説で強く訴えたのは外交である.しかし,オバマは賢明にも,フリードマン的な平坦なグローバリゼーションを語らなかった.

アメリカは国境のない世界が必要とするものをすべて持っている.若さ,やる気,多様性,開放性,リスクを取り,再建する能力だ.アメリカは底辺への競争に参加することなく,ルールを作り,投資することができる.そのためには,内外における集団的な手段が必要だ.不平等,気候変動,エネルギー,移民,人権,いずれも自国だけの解決策はない.Martin Luther King, Jr.のように,オバマは訴えた.われわれ個人の自由を実現するには,この地球上のすべての者の自由が必要だ.

これは拡大主義的な外交である.

もちろんこれは世界に向けた演説ではない.オバマは,明らかに,厳しい政治的挑戦を国内で受ける.オバマは,先のグローバリゼーションを愛した大統領,ビル・クリントンと同じく,関与,制度,同盟を重視する.アメリカの競争力と指導力を回復することは,その前提だ.

NYT January 22, 2013

Break All the Rules

By THOMAS L. FRIEDMAN

WP January 22, 2013

Obama’s concrete goals at home, wishful thinking abroad

WP January 23, 2013

The Obama Majority

By Harold Meyerson

NYT January 23, 2013

For Obama’s New Term, Start Here

By NICHOLAS D. KRISTOF

中産階級の上層が住むところでは,子供たちが大学へ行き,住宅を購入し,ホワイトカラーの仕事に就く,と期待して育てることができる.しかし,低所得者の居住区では,特に男の子は,学校をやめてしまい,末端の仕事を捜し歩いて,多くは犯罪者になると覚悟して育てるしかない.

2歳で将来が決まってしまう,あるいは,生涯の成功が,その人の頭脳や仕事によってではなく,郵便番号(住所)で決まってしまう,というのは,余りにも間違っている.

オバマの就任演説で感動したのは,平等を原則だけでなく,実際に実現する,という主張だった.では,どうやってこの根本的な不平等を無くすのか? 居住支援やフード・スタンプは成果を上げたが,対処療法でしかない.「貧困との戦い」を宣言したリンドン・ジョンソン大統領は16兆ドル以上を費やしたが,貧困は減らなかった.

貧困の悪循環を断つには,5歳以下の子供たちに投資することだ.

NYT January 23, 2013

Obama Reboot

By CHARLES M. BLOW

WP January 24, 2013

Barack Obama — politician

By David Ignatius


l  アメリカ経済の再建

FT January 18, 2013

A plan to boost American jobs

Mort Zuckerman

NYT January 19, 2013

Financial Collapse: A 10-Step Recovery Plan

By ALAN S. BLINDER

金融危機の教訓は,学ばれたにもかかわらず,容易に忘れられる.すでに改革の多くが抵抗に遭っている.危機の10戒を示しておく.

1.人々は教訓を忘れる.ブームが来れば,永遠に続くと思う.2.金融機関は自己規律を持たない.3.利害関係者は,重役とその雇用者を,皇帝ではなく,厳しく監視する.4.リスク管理を厳重にする.5.レバレッジを抑える.6.複雑な金融革新を避ける.7.デリバティブを標準化して(透明で,担保を取る)市場で処理する.8.オフ・バランス・シート取引を許さない.9.重役たちの報酬をリスクや損失に合わせて削減する.10.金融サービスの消費者に合わせる.彼らの無知を利用しない.

NYT JANUARY 19, 2013

Inequality Is Holding Back The Recovery

By JOSEPH E. STIGLITZ

さまざまな深刻な問題が懸念されている.私には,それらが同じ問題に見える.不況の前に不平等の水準が高いと,回復は遅い.そして,アメリカン・ドリームはゆっくりと死滅する.

中産階級は衰退して,回復に向けて支出を維持できない.1970年代以来ずっと,90年代のごく短い期間を除いて,中産階級は減少し続けた.彼らの賃金は上がらず,教育のための投資や起業を抑えた.

公的資金を銀行救済に流し込むのではなく,もっと底辺から景気刺激をすればよかった.住宅価格が債務額を下回った者には,債務を削減することができただろう.銀行は,住宅価格の上昇から利益を得るようにすればよかった.また,若者は誰でも学校に行き,職業訓練を受けられるようにできただろう.

市場は機能する.しかし,それは真空の中ではなく,われわれが創った仕組みにおいてである.グローバリゼーションは,労働者たちから交渉力を奪った.

FT January 23, 2013

No US peace dividend after Afghanistan

By Joseph Stiglitz and Linda Bilmes


l  イギリスのEU離脱論

The Guardian, Friday 18 January 2013

An EU speech delayed: but Tory problems are here to stay

Polly Toynbee

The Observer, Saturday 19 January 2013

We must renegotiate our role in the EU

John Longworth

NYT JANUARY 22, 2013

Can Britain Forge Looser Ties to Europe Without Losing Influence?

By STEPHEN CASTLE

guardian.co.uk, Wednesday 23 January 2013

David Cameron's EU speech: panel verdict

The Guardian, Wednesday 23 January 2013

Cameron's speech on Europe was not brave yesterday. He was reckless

Martin Kettle

FT January 23, 2013

Cameron remains in need of an EU plan

By Peter Mandelson

SPIEGEL ONLINE 01/23/2013

Cameron's Collison Course

London Takes Major Gamble with EU Referendum

By Carsten Volkery in London

NYT January 23, 2013

Cameron Promises Britons a Referendum on European Membership

By ALAN COWELL and STEPHEN CASTLE

フランスとドイツの指導者たちがベルリンで両国の友好関係を祝福した翌日に,イギリスのキャメロン首相は演説した.それは,ヨーロッパ統合に関して,ロンドンの大陸との間に政治と哲学における深刻な相違があることを示した.

フランスの外相Laurent Fabiusは,「ヨーロッパはアラカルトのメニューではない.一旦,これはサッカーである,と決めた以上,イギリスだけがラグビーにしろと言うのは不可能だ.」

Project Syndicate 23 January 2013

David Cameron’s Euro-Nemesis

Peter Sutherland

Project Syndicate 23 January 2013

The Eclipse of British Reason

Joschka Fischer

チェーンに極度の圧力がかかると,そのもっとも弱いリングが破壊される.ユーロ危機は南欧,特にギリシャを襲った.今度はイギリスだ.最も弱いというのではないが,最も不合理なリンクだから.

イギリスの国益は変わらない.EU内の基本的な条件も変わらない.変わったのはイギリスの国内政治である.首相の権力基盤は弱く,およそ100人の反ヨーロッパ議員たちを抑えられない.保守党の主流派はイギリス独立党に票を奪われることを恐れている.それは労働党に有利である.

キャメロンの戦略はありきたりだ.イギリスが強硬に離脱を主張すれば,EUから譲歩を得られると考えている.それは幻想である.

イギリスにとっては金融ビジネスが,フランスにとっての原子力産業,ドイツにとっての自動車産業と同じように,死活問題である.ユーロが崩壊することは深刻なダメージになる.ユーロ圏の生き残りは一層の統合に向けた政治的結束を求めている.

FP JANUARY 23, 2013

Brexit Blackmail

BY ALEX MASSIE

The Guardian, Thursday 24 January 2013

Cameron's speech told Europe's emperors to get dressed

Simon Jenkins

FT January 24, 2013

Cameron leaps into the unknown

By Paul Goodman

FT January 24, 2013

Cameron in danger of misreading Merkel

By Quentin Peel in Berlin

FT January 24, 2013

British angst over Europe will continue

Jean Pisani-Ferry

キャメロンはEUに問題を示した.EUは国家との二重政治システムを改革するのか? 

これは新しい問題ではない.EUの公式見解によれば,同じ目標だが,各国は異なるスピードで実現する.ユーロ圏のように.

これを「EUプラス」と呼ぶことができる.キャメロンは「EUマイナス」を求めた.EUの最低限の重要な条件は,単一市場である.どこまでEUの統一を排除できるか? たとえば労働規制で,イギリスはEUの統一を望まない.キャメロンにとって,単一市場が効率的に機能する条件だけを求めている.EU予算にも言えることだ.


l  US連銀の危機対応

FT January 18, 2013

Fed minutes show slow crisis reaction

By Claire Jones in London and Robin Harding in Washington

NYT January 18, 2013

Days Before 2007 Crisis, Fed Officials Doubted Need to Act

By BINYAMIN APPELBAUM

NYT January 19, 2013

The Fed Drives Best at Higher Speeds

By CHRISTINA D. ROMER


後半へ続く)