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IPEの風 1/25/10

アイスランドやギリシャ,スペイン,そしてイギリスの政府がバブルを処理した後の債務に苦しみ,医療保険制度や金融改革を唱えるオバマが直面している抵抗は、バラバラな有権者や投資家のストライキです。たとえ全体の利益であっても,それが長期で不確実であれば,自分の負担を理由に拒む発言権があるからです.

古本屋で買ってきた平岩弓枝の『西遊記』1〜4を読んでいます.・・・私はいつもユートピアの実現可能性を信じています.

航空機業界のボーイングとエアバスのように、情報世界においてグーグルと対抗できる企業があるとしたら、統一した言語圏を持たないヨーロッパの企業ではなく、それは中国語圏に依拠する企業となるでしょう。それは後に、インドをも英語圏に巻き込んで、中国企業とインド企業のハイテク・サイバー戦争になるのかもしれません。

しかし、ノキアやネッスル(ネスレ)が世界企業になれたのは、何も、英語圏や中国語圏に市場を拡大することが有利に作用したわけではないでしょう。

日本語人(日本国籍があるかどうかに関係なく,日本語をコミュニケーション手段として利用する人々)が多く住むこの土地でも,もっと大胆に,新しいアイデアを制度化し,新しい活動力に富む人々を育てる環境を発見できないでしょうか?

アメリカは,倒産の社会的な損失を抑えることに成功した,とThe Economistは主張します。債務が超過して支払い不能になった企業を,再生可能な社会的資源とみなすか,あるいは法的整理によって他の企業に資源を利用させるべきか,いずれにしても速やかな処理をルール化した方が,社会全体として革新を促し,経済過程をよりダイナミックに前進させると考えたわけです.それはイギリスがなぜ「債務者監獄」を廃止したか,という先週の話とも通じます.フロンティアを移民や海外投資で開拓してきたアメリカは,(革新のための)失敗を奨励する,という意味でその先を行ったわけです.

「倒産」だけでなく,「失業」や「離婚」,「低学歴」,「三流大学」,「貧困」,「出自,その他(さまざまな被差別集団)」・・・など,社会的な「負の烙印」を払拭する機会を提供することにも,同じ原理が適用できるはずです.

たとえば,再雇用や転職が促進されるなら,銀行の不良債権や企業の整理は容易になるでしょう.そのために公的な身分を保障し,再雇用のための面接や企業の募集が活発に行われるような工夫が必要です.実際,オランダや北欧の福祉国家は,失業者を減らす社会的な工夫を重ねている,と聞きます.

あるいは,生活保護を支給するよりも,公的な雇用制度の方が有益でしょう。アマルティア・センが「飢餓」の対策として支持したように,また,インドやブラジルなど,各地でその成果が示されたように,生活費の給付よりも各地で公共事業に雇用する方が良い,と思います.それなら,不正な申請を防ぎやすく,給付を受ける者への「負の烙印」を取り去るようにも(うまく工夫すれば)アレンジできるでしょう.

また,徴兵制度によって,まったく異なる新しい社会関係(社会資本)を形成する,という例がスイスやマレーシアで報告されていました.異なる経歴や世代,社会的背景をもった人々が,信頼できる新しい仲間を得る機会として,起業や再雇用につなげてほしいです.もちろん,日本には徴兵制がありません.しかし,それに代わる社会奉仕の機会や,コミュニティー・オーガナイザーによる地域の支援組織,新興企業に投資する地域のエンジェル投資家ネット,など,孤立した若者や失業者を社会に取り戻す仕組みがもっと必要です.

家族や学校だけでは,うまく機能しません.コミュニティーや社会的ネットワークは,「負の烙印」をプラスの社会関係に換える発酵過程,社会的革新の礎石です.私の願う<良い社会>では,いろいろな個性が活性化します.同じような良質な人間を生産するだけがすぐれた社会ではありません.

日本の20年を振り返って,もっと大胆な改革を唱え,論争するべきだった,と言われます.これからは,一人でも多くの社会革命家を育てたい,と学生たちに説明します.

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