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IPEの風 12/28/09

日ごろの運動不足を解消するために、近所を散歩しました。

すぐに目に留まるのは、建築中の北欧輸入住宅です。シンプルながら、素敵な個性的デザインと、赤い、がっしりした窓枠が印象的です。きっと保温効果が高く、エネルギーを節約できるのでしょう。

まるっきり住宅地ばかりですが、自動車の交通量が多い通り沿いに歩くと、年々、飲食店が増えたな、と思います。和風も、洋風も、中華も、アジア・エスニック料理とか、創作料理とか。それぞれが静かに存在感を示し、数台分の駐車場があります。

以前から、この通りにはパン屋さんと和菓子屋、そして、数件のケーキ屋さんがありました。当然、客層は同じですから、競争して、それぞれに美味しいケーキを作っています。他方で、最近も閉じられたのは、書店や着物・和装のお店、ほかにも、十分な売り上げがあるのか、心配なお店があります。

もし雇用や所得の源泉を探すなら、スーパーマーケットか病院、そして学校です。確かに病院はとても多い! 内科、外科、整形外科、歯科、皮膚科、耳鼻科、など、さまざまな病院に患者が集まっています。そこには多くの看護婦や補助者が働き、近くに薬局もあります。他には、バス、鉄道、タクシーくらいしかなさそうです。

そして、理髪店があります。貿易論で、非貿易財・サービスの代表ですが、ディスカウント店が増えました。次に散髪に行けば、パキスタンやモロッコ、カンボジアの散髪屋さんかもしれません。

この街にはないけれど、きっとどこかに、こうした消費を支える生産活動があるのでしょう。住宅や、病院、スーパーマーケットを建設することは大きな産業であり、雇用の源泉です。薬品や医療機械・器具、自動車や列車を生産するのも、日本にあると思います。しかし、スーパーマーケットの売り場から、輸入品を取り除けば、どの程度の棚が空っぽになるでしょうか?

他の地域に農業や製造業,そして金融ビジネスが集中しており,輸出する財・サービスがあるから,この街は輸入財や消費に依拠して生活しているのでしょう.他の地域には若者や子供たちが一杯いて,職場や学校は活気に満ちているのでしょう.

しかし,それらの地域がますます国境の外にあるとしたら,何か不安を感じる,と言う人がいるはずです.例えば,円高が,あるいは,中国からの輸入が,日米間や日中間の通貨・貿易摩擦を生じます.エネルギーや資源の確保,アジア市場における統合化の指導権,そして,地域紛争から各管理まで,共通の安全保障が,人通りの絶えた住宅地の平穏な暮らしを実現しています.

・・・米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、大阪府の橋下徹知事は30日朝、記者団に、関西国際空港への移設について「政府から正式に話があれば、基本的に(議論を)受け入れる方向で検討していきたい」と述べた。(毎日新聞、1130日)

この報道を全く知りませんでした.そうか! 関西空港に米軍基地が来るのか!? 沖縄県民に偏った負担を(あるいは,米兵による防衛負担を)もっと国民全体で考えなければならない,という発想は,基地問題の大前提です.

・・・前原誠司国土交通相は・・・日米安全保障の核である米軍基地の75%が沖縄に集中している現状について「初当選以来これでよいのかと考えていた」と強調、「米軍基地を沖縄県以外も負担すべきとの橋下大阪府知事の意見には喝采(かっさい)おくりたい」とし、普天間問題では県外移設が理想的との見方を繰り返した。(ロイター、1211日)

軍隊も,工場も,私の街にはありません.基地の町の苦しみや矛盾を,あるいは,工場による騒音や大気汚染を,私は十分に理解していないのかも知れません.しかし,この地域からアメリカや中国のどこかに移転しただけであれば,問題を忘れてしまわないか,と思います.

この街の住民の多くは高齢者です。彼らの主要な所得は、年金や貯蓄ではないか、と思います。もちろん、労働年齢の終わりに近い人も多いわけです.街で子供たちが元気に遊ぶ様子を見ることは,年に何度もありません。

再びこの地域にも,若者や子供たちの歓声が上がり,軍隊や工場のすぐれた統治や管理システムを前提に,一つのコミュニティー(とその意識)を回復するとき,私たちは不安を忘れて,もっと楽しい夢を見るのでしょう.

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