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IPEの風 9/28/09
アメリカと中国の間で、鳩山外交はどこをさ迷うのか? と内外の批判を浴びているのは、新政権の危機であり、同時に、チャンスです。
日本の平和と繁栄は、アメリカと中国のどちらかではなく、その中間でもなく、両方に依拠しています。米中が対立するときはどうするのか?
米中の対立を避けて、その利益の共有や調整と和解の促進に向けた、日本政府の基本方針を常に示すべきです。・・・それでも、米中が対立するときは? 日本の平和と繁栄が大きく損なわれ、国際的な関与を急激に後退させる苦しい選択が増えるでしょう。
日本は、プラザ合意とルーブル合意を経験し、バブルとその崩壊を経験し、政権交代を経験した、アジアの最先進工業国家です。これから中国が、そのすべてを加速して経験する過程で、日本の多くの助言や協力を必要としている、と私は思います。あるいは、失敗であれ、成功であれ、知識や経験を共有し合えるような信頼関係を築くことが重要だ、と説得する、勇気ある指導者たちの時代なのです。
ビル・エモットの論説がヒントになるでしょう。人民元の安定的な増価とアジア諸通貨の協調・安定化を促すことです。エモットやウルフが指摘しているように、中国はドルの外貨準備で損失が生じることを心配し、金融緩和と刺激策がインフレやバブルをもたらすことを心配し、中国人民の生活水準を高めるため(また、環境や労働者の権利を守るため)に産業構造を高度化したいと願っています。
そのためには、中国の利益として、人民元の増価が望ましいでしょう。それは、世界経済の均衡を回復することにも役立ちます。・・・どこかで聞いた話、でしょうか?
日本がプラザ合意に至るまで、貿易摩擦と政策協調、日米構造協議が持たれました。日本の成長モデルを修正するように求めるアメリカ政府・議会の圧力(そして、「日本特殊論」)を、どのように評価するべきか、今も意見が分かれるでしょう。しかし、プラザ合意のせいで日本はアメリカの財政赤字を融資させられた、金融政策に圧力がかかってバブルになった、と考えるのは<ナショナリズム>に偏っています。それは言い過ぎでしょうか? 中国からの安価な工業製品(の洪水!)が日本企業や労働者を苦しめている、と感じているなら、バランスを(国際収支でも、イデオロギーでも)回復すべきではないですか?
貿易戦争や通貨戦争を避けるには、不均衡を調整するための手段や国内の政策目標について、(まさに国連安保理のように)主要諸国が情報と意見を日常的に交換し、調整に向けたルールに合意しなければなりません。中国が、日本のようにアメリカに利用されてはならない、日本のようなバブルを避けなくてはならない、と思うなら、日本の経験や考え方に強い関心を持つはずです。アジアにおいて通貨危機を起こさず、為替レートを安定的に調整できる制度が構築されれば、それこそが平和と繁栄の基礎を日本に(中国にも)与えるわけです。
国家戦略会議の最初の仕事にどうでしょうか?
財務省・日銀のスタッフは、簡潔な質問票を用意してください。そして・・・ ビル・エモット、マーチン・ウルフ、ジョン・ウィリアムソン、ベリー・アイケングリーン、黒田東彦、各氏を招いて、アジアにふさわしい為替レートの調整と安定化を合意するためのポイントを考察してもらいます。社会制度や政治システムにまで、自由に、広く言及してもらうべきです。
最終報告書をまとめるまでに、その作業を日本で行うメリットを生かせるでしょう。 ・・・問題点を整理するための予備的なインタビューを彼らに行います。さらに、各氏に若手の研究者をそれぞれ2人指名してもらい、報告会を開きます。一日で聞くのは惜しいから、二日に分け、5名ずつの報告と質疑を行います。エモットらは、それぞれに問題点を指摘し、感想を述べてもらい、三日目に日本側スタッフを司会者として、論点を整理し、自由に討論してもらいます。
彼らの質疑と会話をすべて記録させてもらい、独自の日本案を準備します。10名の報告と質疑、5名の自由討論、日本の提案骨子を文書にして、改めて時間を設け、「アジアと世界の通貨秩序」をそれぞれの視点で執筆してもらいます。
こうして日本政府は、米中の協力を促す重要な方針を得るのです。(さらに、ヨーロッパの経験に依拠した会議、中国の金融関係者や研究者を招いた会議、も開催します。)
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