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IPEの風 5/18/09

岡田候補を破って鳩山代表が選出された、というニュースも、豚インフルエンザが国内で二次感染を広げているほどには注目されません。その通りでしょう。鳩山民主党は、何をするのか?

麻生と鳩山、という、日本保守政界の名門血族争いに見える選挙を、国民が期待するような新しい内容によって盛り上げることができるでしょうか? この選挙を、アメリカ、あるいは中国、韓国の政治意識に映すとしたら、どのような姿になるでしょうか?

鳩山新代表の演説も無内容でした。何が争点か? 「政権交代です。」 ・・・本当に? 政権交代だけが争点なのですか? 実現したい政策の内容ではなく? さらに「官僚の支配を終わらせる」とか、「地方分権」とか・・・ そして、「愛」、を説くのです。私は投票に行く気を失くしました。

岡田代表であれば民主党が勝てるでしょうか? それも分かりません。私はもっと明確な争点を示すべきだと思います。もっと具体的な姿を示して議論する方が国民は関心を示すでしょう。なぜ倒産した中小企業やホームレスの失業者たちを訪ねないのですか? なぜ無駄な公共工事や国際会議での失態など、自民党政権の欠陥を取り上げないのですか? 隠れ老人ホームを訪問して、政治が見捨ててきた老人たちに、怒りの言葉を発する機会を与えるべきです。

・・・「日本も超資本主義に向かっているが、その負の社会的結果と直面するには民主主義があまりに弱体である。」(ロバート・B・ライシュ『暴走する資本主義』)

野党が政権を執る意味とは、日本の社会制度を革新する力を集めること、問題の解決に向けて発言する機会と行動するための優位や支援を、今まで顧みられなかった国民に与えることだと思います。今までとは異なる視点、異なるネットワークが、新政権によって動き始めるのです。

どうすれば自殺が減るのか? どうすれば若者が積極的に学び、雇用が増大するのか? 新しい企業が育つのか? ワーキング・プアや派遣労働者が十分な報酬や成功の機会を得られるのか? 外国の企業や労働者がもっと日本に来て、活躍できるのか? 韓国や中国の指導者とも歴史上の様々な事件について話し合い、深い理解と反省、同情や共感を育てられるのか? アメリカと中国、ロシア、インドを含んだ、アジアの地域安全保障を築けるのか?

日本の社会制度を革新して、新しい成長のダイナミズムを発見してください。たとえその過程で、旧来の富やパワーが損なわれるとしても、正当な理由なしに苦しむことなどない、と断言すべきです。そして、不当に利益を独占する集団には、社会的にふさわしい制裁や地位の低下を求めることです。具体的な問題に取り組むことで、政権交代の実を示すことです。

・・・「ヨーロッパ各国の社会には、なじみのない奇妙な文化を持つ地域から、人々を受け入れて同化させる能力があるとは思えない。・・・かたやアメリカは史上初の世界国家−すなわち、すべての人種と民族と宗教信者が対立することなく、共に暮らすともに働く国家を着々と築き上げている。」(ファリード・ザカリア『アメリカ後の世界』)

「今日の問題は、幅広い連合をつくり出す能力と、複雑な問題を解決する能力を、アメリカの政治システムが失っているかもしれない点だ。」(同上)

たとえば大阪の工場地帯に、中国の浙江省、義烏の卸売市場を招待してはどうでしょうか? 義烏について、ジェームズ・キング『中国が世界をメチャクチャにする』が書いていたことを思い出してください。日本の企業は、もはや低価格で競争せず、より高度な技術を生かして競争するでしょう。日本中の商店がパニックに陥るでしょうか? そうかもしれません。しかし、日本中で新しい出店が、商店街の経営者交代や新世代への継承、あるいは廃業が加速するでしょう。

あるいは、各地の小中学校や職業訓練・再就職コースに、政府がインドの教育ビジネスと協力して開発した、英語学習プログラムと成績評価・証明システムを導入してはどうでしょうか? もちろん、学校の先生やビジネスマンも利用できます。インドと日本各地に研修・交流センターを開設し、インドから講師を招きます。英語を学ぶことは、もはや学校に縛られず、個別企業やアメリカにも縛られません。財源の調達方法を工夫し、奨学金も組み合わせます。

もし新しい指導者が、経済の刷新、創造的破壊を励まし、競争に敗れた者にこそ再起のための様々な仕組みを豊富に用意すれば、有権者たちは政府を支持するのではないでしょうか。あるいは、民主党は公約してください。自殺と貧困を必ず減らす、と。

テレビを見ていると、今日も鳩山新代表がインタビューを受けていました。幸夫人はとても明るく、元気で、魅力的な人でした。もしかすると、鳩山代表は本当に、小沢氏の選挙運動と岡田氏の政策構想、という良い面を組み合わせて、民主党に必要な政治的革新の力を発揮できるかもしれないな、と思いました。

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