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IPEの風 2/9/09

地方入試の出張から帰りました。2月と3月は、残念ながら、論説の紹介が手薄になります。こうした要約・紹介の作業によって、私が「発見したい」と願ったものが何であったか、疑問も感じています。スタイルを見直すときかもしれません。

ホテルで「派遣労働」に関するドキュメントと討論を観ました。派遣会社は代理で労働者を補充し、必要なくなれば引き上げて、派遣要請がなければ解雇します。製造業において派遣というを労働形態をなくした方が良い、という経営者もいました。

正規労働者と派遣労働者の間には矛盾と対立があります。また、当然、企業と労働者の間にも対立があります。企業の利益追求や経営者の富裕化に対して、派遣・貧困の問題は重大な意味を持つのだ、ということを、経営者たちも理解したことでしょう。その関係を法的に、まだ制度的・社会的に、整備する責任が政府にはあります。三つの対立を軸に討論をうまく整理していました。

労働者や日本の将来はどうなるのか? と番組の最後に問いました。紹介していたのはデンマークの≪フレックス=キュリティー≫です。弾力的な雇用と安定した保証を両立させる社会を例示したわけです。実際には、登場した労働者の転職・経歴に、日本の参加者や視聴者が魅力を感じない点で、意図的かもしれませんが、議論の焦点になりませんでした。湯浅氏が述べた短い意見、すなわち、今は企業の経営者や政府の責任を問うより、労働者が今すぐに新しい雇用を見いだせるような、新しい分野で働くことへの不安解消や技能習得を助ける公的介入・支援を行うべきだ、という趣旨に賛同します。

派遣労働者に関する深刻な話題は、日本の政治において、麻生内閣と定額給付金を加えた補正予算案、郵政4分社化の見直し発言に爆発した小泉基首相、という話題に、どう関係するのでしょうか? また、鳩山総務相が日本郵政からオリックスへの「かんぽの宿」売却を阻止してしまった話と、どう関係するのでしょうか?

「小泉・竹中=構造改革」の中身は、いろいろでしょうが、不良債権処理、郵政民営化、財政投融資=公共事業=道路利権の解体、というのは最も重要な柱です。そして、派遣労働者の規制も撤廃しました。世界各地で、規制緩和と民営化、市場自由化や国際競争の激化、が支持されました。現在の金融危機と世界不況は、それらを再検討・再評価する条件がそろって、日本に限らず、積極的に議論し始めたように思います。

さて、私の受けた印象は、こうです。麻生首相の発言には驚き、呆れ、自民党が消滅するのかもしれない、と思いました。また、同様に、鳩山総務大臣の発言にも、民営化の逆転、市場への政治介入、という印象があまりにも強く、他の民営化や海外からの株式投資に破壊的な影響を及ぼすのではないか、と思いました。しかし、同時に、民営化という手法に一層の不信感を抱かせる内容であり、その再評価は当然してほしい、と思いました。

また、「職業、詐欺」という若者たちのドキュメントも観ました。老人たちを狙って詐欺を働く若者たちは、ホームレスや浮浪者を襲撃するゲームと似ています。そして、犯罪がビジネスとして正当化されるのも、世界各地の金融詐欺と組織犯罪を思えば、それほど不思議でもないわけです。老人と金融バブルの国として、日本の指導者たちがまだ、新しい社会正義や労働精神を明確に示せていないからではないか、と思いました。

215日、ローマで開かれたG7のニュースを観ていると、中川財務大臣が会見中に意味不明な返答をして、酔っているのか、眠っているのか、さんざんな様子が映し出されました。海外のメディアも含め、その言動に対して、まさに当惑と軽蔑の評価を得たようだ、と分かりました。本当にこれが自分たちの国の大臣であり、政府なのだろうか、と思うと、憤慨するより「笑っちゃうくらいただただ呆れる」・・・!

政府に解決できなければ、直接に、もっと厳格な(極端な)解決策を求めると思います。

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