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IPEの風 6/9/08

歩行者天国を襲って殺人ショーに没頭するのは,彼らの何が狂ったのか? アメリカのバージニア工科大学における大量殺人事件を思い出します.(果樹園で検索してください.)

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人間の記憶力(逆に、記憶を消す力)、集中力、躁鬱、強気・楽観や弱気・悲観、などを切り替えるスイッチが見つかれば、私たちはそれを利用するに違いありません。修道士や禅僧、アーミッシュのように生きることは、多くの人にとって難しいでしょう。

精神を高揚させる化学物質を、病気の治療だけでなく、健常者の日常生活においても、思考や作業の集中力、能率改善のために使用できるように認めるべきだ、とThe Economistは主張しています。男性の性機能をヴァイアグラが改善するように、抑鬱剤・興奮剤は人々の生活を改善できる、と。私は、反対です。

オルダス・ハクスリーの『素晴らしき新世界』や映画『マトリックス』を思い出します。下等な住民は汚い肉体労働に従事し、薬品や電気信号によって、その不満を解消され、満足だけが思い通りに高められます。人々は電極を頭にさして、夢の世界に住むのです。

マイケル・ジャクソンに限らず、映画俳優や歌手、タレントの中には、美容整形に凝って、次々に自分の容貌や肢体、性や年齢さえ、改造し続ける人がいる、と聞きます。天文学的な収入を得ているスポーツ選手たちであれば、その能力を維持・改善するために、自分の体に外科手術を施し、筋肉増強剤や興奮剤を使用している、と報道されるのも当然と言うべきでしょう。

もし大学受験や、医師・弁護士などの国家試験、企業の就職試験において、成績表やクラブ活動、海外留学などを記録を捏造するだけでなく、薬品の配合で記憶力・集中力を高め、男性も美容院に通い、さらに美容整形で容姿を変えた方が良い、と就職ガイドブックに書いてあるとしたら、進学校や学習塾、予備校、大学はそれらを紹介、協力し、利用を斡旋しなければならないのでしょうか? 試験会場には血液のサンプルを採取する担当官が張り付き、本人からの採取を確認・監視して、ドーピング判定を踏まえたうえで合格通知が発送されます。

金融取引はますますモノやサービスの生産とかけ離れ、賭博、投機の性格を強めています。夜勤のために、時差ボケ解消に、と言うけれど、一瞬の差で起きる莫大な金儲け(あるいは、損失)ほど強い動機はないでしょう。投機家たちは、市場が動き出すと眠ることも忘れ、30代の半ばで引退するほど精神を痛めつける、と言います。

同様に、流行の格闘技や、スピード・レーサー、さまざまなプロスポーツの選手たちが、薬品の効果に期待するのは間違いないところです。GMフーズを「フランケンシュタイン」と呼ぶヨーロッパの人たちも、BSE(狂牛病)を恐れてアメリカの牛肉輸入を許した大統領に致命的な打撃を与えた韓国民衆も、それぞれの理由で、さまざまな手術や薬物に依存します。

すべては支払う料金次第でしょう。薬品が常用されれば、副作用や慢性化する安価な薬が出回って、人々は多かれ少なかれ薬物中毒になります。モラル・ハザードで保険や医療機関は公共サービスとして存立できなくなり、民間契約と支払う料金が個人の「健康」や「能力」を決定します。エリートを支配する超富裕階級と、野蛮で短命な底辺社会との分断は深刻です。

すでに老人にバケツ一杯の薬品を出す医者がいる世界です。まるで、SF小説やアニメ映画に出てくるドラッグ・カクテルのバーみたいに、人間は薬物を食べて満足します。数年後には、病院で医者などやっているより、ドラッグ・カクテルのバーテンダーとして働く方がはるかに高給を得られるでしょう。

金融ビジネスや離婚専門弁護士に加えて、裕福な諸国が比較優位を持つ新しい職業群が、こうして爆発的に増えそうです。そして企業買収に備え、核危機を回避し、有権者たちの歓心を高めることに奔走しなければならない、経営者、権力者、政治家、などがカクテル・バーの常連です。

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薬物に頼らずとも、人は幸せに暮らせます。

NHKハイビジョンで、「世界ふれあい町 バンクーバー」を観ました。緑の多い、美しい町並み、歴史ある住宅、豊かな自然公園、海岸線、・・・赤ん坊を連れた女性たちは街角で知り合って談笑し、あるいはテラスに集まって、女性の友人グループが歓談し、二人の老人が語り合っています。

道路沿いの樹木には妖精のための扉が描いてあり、近くではリスが木の実を集めています。レンタル自転車で簡単に行けるスタンレー・パークには野鳥が巣を作り、巨大な樹林を縫うように、市民は子供と一緒に散策しています。

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