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IPEの風 5/26/08

テレビのニュースや新聞の記事で,長時間の労働,不規則な勤務形態,労働条件の急激な悪化により事故に遭い,若くして命を落とした人の労災が認められた,という話を聞きました.私は,政府や監督官庁が基本的な方針を誤っているのではないか,と思いました.政府や公的機関の監視をもっと強化して,市場競争に対する介入原則を示すべきです.

たとえば,もし労働基準がもっと明確かつ厳格で,社会的に尊重されていたなら,企業は競争激化やコスト削減圧力を理由にそれを無視することもなかったでしょう.基準を守らない企業は多額の罰金を支払い,取引先を失い,担当者が処罰されます.基準を満たして競争するか,それができない企業は,他の企業に取って代わられます.

・・・ニュースを観ていると,火星にも地下に大量の水があり,生物が存在する可能性もある,ということです.

「法律によって人と社会を守る.法の下の平等によって,私たちは競争し,社会を豊かにできる.」これはリベラリズムの原則であり,社会的な目標を市場競争によって実現していく過程である,と思います.私は,保護主義を克服し,ナショナリズムを克服し,開放的で,革新を好む,新しい雇用や起業の機会に満ちた,グローバリゼーションの条件を生かすことのできる国家=社会を選択したいです.

「裕福な国では,保護主義よりも,貿易,国際投資,移民のもたらす機会と力を活発に吸収できるように,制度や個々の組織における仕組みを工夫する.」それが開放体制を維持する条件だ,と貧しい国の多くの政治家や研究者が求めてきたわけです.ようやく,彼らの意見をもっと受け入れて,新しい国際秩序を確立し,貧しい諸国が豊かになる条件が示される時代が来るかも知れません.

「排外主義的,好戦的なナショナリズムを抑えるために,ますます多くの新しい『日本人』や『日本文化』を育成する.」日本の良さを考え,その欠陥や不足した点を反省するなら,私たちは世界中の人々を惹きつけるような文化や社会を示せるでしょう.出稼ぎや永住者,新たに日本市民となる者を歓迎したいです.同じ社会保障制度を支え,グローバリゼーションの中でも社会的に連帯し,協力できる文化を育成するには,新しい考え方,社会や政治の理解が必要です.

移民を恐れる人々は,本当は,何を恐れているのでしょうか? たとえば,文化的伝統を守るために,日本人・日本語テスト,を実施するのが良いでしょう.日本人もいろいろです.多様な地域や文化に即した試験を実施してほしいです.同時に,アジア共通歴史試験や,世界市民資格試験を実施してください.日本国籍を希望する人だけでなく,公務員や教師,政治家が,そのスコアを自主的に公表するのはもちろんです.

・・・なぜ火星にはないのに,地球には政府があるのか? 「グローバリゼーションの中でも,政府は富裕層に課税し,成長と安定性と再分配を目標に掲げて,人々に健康で文化的な生活水準を保障する.」

「企業や地域の枠(そして国境)を超えて,労働組合や労働監督所,雇用情報の照会と雇用契約の標準化を進める.」労働組合の役割を再評価し,組合自身がもっと変化して,社会参加や革新的試みを取り入れて,自己主張する社会勢力になってください.人権擁護団体や開発援助団体,環境保護運動,などとも連携し,労働者たちが世界社会に参加する条件を整備します.

「財政支出や金融市場の整備において,地方の自律性や人々の起業を積極的に支援する.」能力はあっても貧しい人びとが,さまざまな社会的差別や隔離によって機会を奪われているとしたら,それこそ大きな社会の富の源泉が地下に閉じ込められてしまうでしょう.墓場のような都市や巨大企業を出て,もっと多くの人々が地方において新しい学校・銀行により文明の可能性を享受し,社会を自由に移動・選択できるなら,この「地下の氷」を溶かすこともできるのです.

新しい時代にふさわしい社会の条件,新しい国際秩序を要求し,それに応ずることができる条件とは何でしょうか?

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