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IPEの風 3/24/08

アメリカからは不況と国際金融危機が波及し,中国では経済成長から内外の政治不安に関心が移る.日本のメディアも,BBCFinancial Times, the Economistのようなイギリスの報道機関と並ぶ高い水準の情報収集・分析能力,言語による秩序構築力を示してほしいです.

イラクではシーア派の多数支配や民主的政府を擁護するために(少なくともその正義を掲げて)アメリカ軍が犠牲者を増やしながら駐留し続けています.コソボではセルビアやロシアが強く反対した一方的な独立宣言を欧米諸国が承認しました.チェチェンや台湾の将来は分りません.

ソ連のアフガニスタン侵攻に対してモスクワ・オリンピックをボイコットした西側政府の対応は正しかったのでしょうか? アメリカで黒人への人種差別を批判した市民権運動が盛んであったとき,オリンピックに出場した黒人選手たちが拳を突き上げた姿勢でアメリカの国家と国旗に反抗を示したことを,むしろ見習うべきだと思います.

中国政府が規制しているというGoogleYouTubeが,さまざまな方法,さまざまな経路を介して,中国国内と世界とを結ぶのではないでしょうか? ベルリンの壁が倒れたように,情報に壁を築くことは続かないでしょう.しかし,情報網を撹乱,遮断,破壊するような攻撃は,政府であれ,民間であれ,行うことができそうです.

FRB=JPモルガン・チェースによるベア・スターンズ救済が発する極度に危険な感触は,市場において迅速に,一層の濃密さをもって広がりました.もし本当に世界の資産市場が一気にメルトダウンを起こすとしたら,黒字大国で老人大国に住む私たちは,その資産をどうすれば良いのでしょうか?

金やユーロ建ての資産で持つ,ということでしょうか? 人民元の切り上げ前に中国やアジア諸国に投資する? ドル安とアメリカ経済の迅速な回復をねらう? それより,本当は,日本に投資したいでしょうね.日本の技術や優秀な若い労働者を集めた企業に,もっと投資して成長してくれたら,何より老後も豊かです.

ファニー・メイやサブプライム・ローンになっては困りますが,日本の個人投資家を励まし,助けるような法律や制度ができないでしょうか?

ビジネスとして成立する可能性があるアイデアを企業にして,収益の見込みを,証券会社や既存の証券市場を介さずに,コミュニティー内や小さな金額でも準株式化します.たとえば単純化のために,期間を限って,数年で清算することにします.投資家としては地元の高齢者を狙い,それでも分散投資やリスクの限度が明示されるような制度化を共有してください.

若者たちで始める花屋さんでも,清掃業でも,広告業でも,町工場でも,教育支援でも,・・・小さな地元も企業がいっぱいできるなら,投資した高齢者がいちばん喜んでくれるでしょう.

あるいは,周辺のアジア諸国に投資して,彼らの発展と繁栄を共有し,平和を維持することに投資したいと思うでしょう.円圏やアジア通貨統合,共通通貨の提案は,日本にとって,そのような意味があったはずです.しかし,いつになったら共通通貨の条件を満たすのか・・・?

EUやNAFTAに刺激され,中国の成長にもあやかって(?),アジア経済統合が話題になります.しかし,我慢して読む眉つばの話よりも,加藤周一氏の論説(「夕陽妄語 漢字文化讃」朝日新聞322日)が魅力的でした.一読後,東北アジアの平和と安定を実現する日本・朝鮮半島・中国の文化的交流を深めるため,古典中国語=漢字による書き言葉の筆談コミュニケーションを確立する可能性に注目して,これに投資してほしいと私は思いました.

加藤氏は,北東アジアの3国が相互の信頼関係を強めて,儒教的な経済発展と教育・労働倫理を探求することで,欧米など,今や世界中を苦しめている根深い宗教対立から解放された,「超越的な人格神」のいない社会秩序を示せるかもしれない,と主張しています.

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