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IPEの風 2/11/08
・・・東京の中心に皇居があるように,・・・日本の政治は真空状態である,と解説した外国のジャーナリストがいました.
午後9時のNHKニュースを観ると,ほとんどの時間を,相撲部屋の傷害致死事件の説明に費やしました.17歳の若い力士を折檻するため,親方は兄弟子たちの暴行を促した,と伝えられます.ビール瓶や金属バットで殴られた少年の遺体は,全身,傷やあざだらけで,耳から血を流していた,と父親は語り,強い憤りと悔しさを言葉少なに示したのです.
昨日は,アメリカの大統領候補指名争いの分岐点,スーパー・チューズデーの話がトップ・ニュースでした.ヒラリー・クリントンとオバマが激しく競り合って,まだまだ接戦が続きます.それに続いて,中国製の餃子に殺虫剤が混入した事件の報道です.次第に,中国の工場がずさんな管理体制であった,という「中国製=危険」説から,食品への毒物混入・犯罪事件に焦点が移り,また,中国の捜査責任者は,日本で混入された可能性も指摘しています.
衛星放送で諸外国のニュースを観れば,たいていは政治指導者がどこで,何をしたか,どんな演説をしたか,という話がトップです.例えば,ロシアのニュースなら,毎日,プーチン大統領がどこで何をしたか,を最大のニュースにするでしょう.
ニュースを観てわかるように,日本には政治指導者がおらず,国会ではなく,むしろアメリカの次の大統領や,中国から輸入される製品が,私たち日本人の生活を基本的に決定し,支配しているのです.そして,相撲部屋のリンチ殺人が,日本の政治や経済の閉塞感と結びつき,暗い将来を想像させます.
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BSで「ニューヨーク街物語」を観ました.ホーヘさんはジャクソンタウンに住んで,出稼ぎの移民たちに食べ物や古着を与えています.ホーヘさん自身がコロンビアからの移民です.子どものころから,母親に分け与えることの大切さを教えられました.独り占めしてはいけない,と.
毎週,土曜日の朝と晩に,ホーヘさんは温かいスープと食べ物を配ります.スクール・バスの運転手をしていたとき,彼は学校の給食が捨てられているのを見たそうです.週末なら持って帰っても良い,と言われて,ホームレスの移民たちに配りました.それが始まりでした.自分がアメリカに来たときは,2年前にアメリカに来ていた母親がいて,助けてくれた.しかし彼らには誰もいない.一度始めると,行かないことはできなくなった.彼らの笑顔を見ると,自分もとても嬉しい.だから続けている,とホーヘさんは言います.
これが,今日最初の食事です.本当に助かった,と一人の移民労働者は語っていました.彼らは,朝6時から5時間,通りに立って日雇いの声がかかるのを待ちます.しかし今は,週に3日も仕事が得られれば良い方だ,と言います.
結果的に,こうした支援は非合法移民を助長しているのだ,と批判する声もあります.そうした声についてホーヘさんは,これは政治の問題ではない,と考えます.アメリカは移民の国だし,貧しい者を分け隔てなく助けなければならない,と.
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今日は,沖縄でアメリカの海兵隊員が少女に暴行した,というニュースがトップです.次のニュースは,・・・再び,中国製ギョーザの殺虫剤混入事件.あるいは,米軍基地移転の受け入れに賛成する岩国市長が誕生した,というのが国内の主要ニュースでした.・・・首相の発言でも,国会審議でも,ありません.
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