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IPEの風 1/7/08

昨年末から今日まで,少し観たテレビ番組の中で,私には「世界里山紀行:ポーランド」がいちばん興味深いものでした.

人が手を加えたものではありますが,だから余計に自然が親しみ深く,美しいのかもしれません.季節の変化や,さまざまな生き物の様子を身近に知ることは,かつて日本の自然や生活を満たしていたリズムでもあったのでしょう.

周りから,美しい自然や温かい人情が失われてしまうことを,もっと私たちは嘆いても良いのではないか,と思いました.自宅からジョギングに出て,何よりも残念なことは,気持ちの良い自然が近くにないことです.わずかに,人工的な公園が,飛び地のように残るだけです.

子どもが学校で学ぶことは,しばしば,我慢することや,服従することであると思います.そうではなく,子供の時から,もっと人間関係を豊富にすることを学べば,私たちは今よりはるかに幸せになるでしょう.物質的な成長が目標で無くなるとき,私たちがゲーム・ソフトの開発や美容整形,離婚裁判などでGNPを拡大し続けるのでは,意味がないと思うからです.

自然の景観を回復し,人間関係を豊かにするために,社会はその力を発揮する必要があると思います.

私たちは,生きているということを,時間,お金,言葉,で示します.もし子供がほとんどの時間をテレビやゲームで過ごし,ほとんどの出費が食事や衣装,携帯電話の使用料で占められ,ほとんどの言葉を互いの歓楽を促す流行の表現に費やされるなら,何のために生きているのか,と私は不満です.

マンションや住宅の中に,いくら電機製品が並び,ブロードバンドでインターネットが引いてあっても,一歩,外に出ると見知らぬ人ばかりで,楽しく散歩できるような小路もありません.清流や森にゆったりと包まれた,地元の寺社がないのは寂しいと思います.

家庭や職場でも,世代を超えて話し合う機会はなかなかありません.ましてや,町の中では互いを知る機会などないのです.ボランティアの組織やカルチャー・センターが,人々を結びつける力を示すのでしょうか? 人々の幸福や満足,善意を,もっと直接・間接に強化し,実現するような,社会制度の革新を期待します.

かつてアメリカについて賞賛されていたのは,自発的な社会の組織化が活発なことでした.そして都市では,自動車がそれを死滅させた,と批判されていました.

政治や宗教もそうです.人々の気持ちを互いに通わせる機会は,重要な政治的行為や政治制度の核心にあったはずです.たぶん,信仰心というのは,神に対してというより,信者の間に蓄積された親密さや敬虔な態度ではなかったか? と思うのです.子供と一緒に絵本を読むような,あの充実した楽しい時間は,その後の人生に,二度と回復できないのでしょうか?

小説や落語における人情について,政府は積極的にそれらを蒐集して保存,再生し,それに積極的に投資する必要がある,と私は思います.

なかなか更新できないでいると,ニュー・ハンプシャーの予備選挙も結果が出ました.ヒラリー・クリントンがオバマを抑えてトップです.こんなときアメリカ人なら,何かするのかな,と思います.

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