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IPEの風 11/12/2007

ここに記す私の印象は,新聞を詳細に読んだわけでもなく,TVの解説を熱心に聞いたわけでもないような,バタバタと雑事に追われる人間の単なる感想です.裏付ける情報もありません.

l         小沢党首の「大連立政権」破談,プッツン辞任騒動について.

これで参議院選挙の勝利と安倍首相のプッツン辞任劇が示した自民党支配の終わりが,まったく見えなくなってしまいました.民主党代表であるはずの小沢氏が,自民党のために,民主党の不細工な墓穴を掘ったのです.

小沢一郎の発言には,自衛隊のインド洋派遣に関する法案を阻止することを今国会の焦点に選んだ時点で,なぜだろう,という不満と疑問がずっとありました.民主党が参院選で勝利した主要な争点は,もっと別のところにあったはずだ,と思ったからです.小泉構造改革を反省し,もっと違う意味での改革を具体化するため,弱者の声に耳を傾けるはずではなかったのか?

この権力への暗闘は,安倍首相辞任劇にも示されたように,日米安保や安全保障に関する議論で保守派の政治家が常に隠し持つ<政治的暗号>のように思います.もちろん,小沢一郎は政権奪取という自身の夢に執着して,自民党政権を揺さぶるのに有利な点を選んだのかも知れません.自衛隊の海外派遣,「普通の国」という軍事大国化を,自分の民主党内ハト派に同意させるためにも,この争点を利用したかったように見えます.

「大連立政権」と聞いて,ドイツのシュレーダーとメルケルを思い出しました.しかし,自民党と民主党の「ねじれ国会」は,その可能性をまだ積極的に試していません.政治家たちの思惑は互いに全く異なっているでしょうが,国民に何を示すのか,その中身や姿勢には訴えるべき真実がなければなりません.小泉大衆パフォーマンス政治から,福田&小沢の国民不在政治へ,国民の政治的関心は冷水を浴びました.何が話し合われて連立政権騒ぎとなり,辞任騒動となったのか,二人の政治家に対する不信感だけが残ります.次の代表を早期に決めて,小沢一郎はやめるべきです.

l         日本の主権を侵した韓国政府に謝罪を要求せよ,という話を聞いて.

金大中事件に関して,日本の主権を侵した韓国政府に抗議せよ,というのは,驚天動地の発想です.金大中氏は,当時の韓国政府と日本政府によって,基本的な人権を侵されました.日本海上で,暗殺される直前まで行ったのです.支配する側が日本の主権を無視しただけでなく,日本政府もその隠ぺいに協力したのではないか,と思います.これも<政治的暗号>でしょうが,当時の両国政府が了解したように,現在の両国政府も真相に関しては沈黙したままです.

金大中氏が立命館大学の名誉博士号を授与されて,来日した,という記事を読みました.親日家であり,東アジアの平和を築こうと奮闘した政治家が,日本で述べた苦渋の言葉に対して,私はとても残念で,申し訳ない気持ちでした.・・・「日本には何度も大きく期待した.そして,何度も大きく失望した.」

l         アメリカ政府による北朝鮮のテロ支援国家指定解除を嫌う発言について.

当初は柔軟な姿勢も示していた町村外相,福田首相の発言が,その後,元の硬直的な拉致家族の全面解決最優先,に戻ったように思います.これも既に古い話ですが,福田氏が安倍氏とともに首相の地位を争う有力候補であったとき,長崎のテロ事件があって,にわかに立候補を取りやめた経緯を思い出しました.そのとき感じたのは,テロの脅迫を受けたのではないか,ということです.加藤紘一氏も事務所を焼かれました.日本の保守派政治家には,右翼による暗殺やテロにおびえる事情(信憑性のあるコネクション)があるのでしょうか?

もし日本政府が,本当に拉致された家族を取り返したいなら,北朝鮮が国際社会に復帰することを支持するべきだと思います.アメリカが「悪の枢軸」を先制攻撃すると主張したことは,拉致家族の問題を解決するのに役立つことではありませんでした.ダイ・ハード型の日本ナショナリズム支持者を除けば,北朝鮮の核開発を阻止し,朝鮮半島の統一を支持することは,日本人の拉致問題を解決することと何ら矛盾しないのです.政府がその方向づけを誤っている限り,拉致家族の問題は日本外交を縛り,日本の政治論争を拉致し続けます.

l         鳩山法務大臣が「私の友人の友人はアルカイダ」と発言したことについて.

日本の法律を守り,法の執行を使命として担うべき大臣が,アルカイダとの交友関係を自慢するかのような発言をした,というので,驚き,あきれ,絶句しました.こうして日本は,国際政治の三流国家にとどまるのです.

政治の迷走により,国民の虚無感は軽減されるどころか重荷となって被さってくるようです.すなわち,1.自民党に代わる第二自民党を望む小沢一郎的保守政治.2.安全保障論と右翼ナショナリズムと政治家の暗殺が結びつく日本の<政治的暗号>.3.高い目標を掲げて,東アジアの秩序構築をアメリカや韓国と協力するような思考・理念の欠如.

国民を,アジアを,そして世界を大きく失望させている日本政治がこうした限界を打ち破ってほしいです.

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