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IPEの風 7/30/2007

土曜日の夕方,ABC放送で「地球家族・台北人気カフェレストラン」を観ました.フランスの料理学校で知り合った舞さんと游さん.二人の若者は一緒に台北で店を持ちました.

舞さんは日本人の女性で,ケーキ職人です.游さんは料理人です.彼らが素晴らしいのは,実に料理(仕事や生き方)に対して真剣なことです.一生懸命,いつも新しい,美味しいものを作らないと,お客さんが来てくれないかもしれない,と舞さんは繰り返します.でも,台湾の味に合わせるより,台湾の食材で最高のフランス・ケーキを作りたい,と.

食材は游さんがスクーターで市場へ買い出しに出かけます.游さんは話しやすい人だった,と舞さんが言います.舞さんのことを,游さんは,考え方がしっかりしていると思った,と言いました.二人は中国語でも日本語でも話し合います.いつもケンカするのは新しいメニューについて.それ以外ではケンカなんてしない,と言います.

お昼だけのカフェレストランですから,二人で一緒に夜市へ出かけます.ここでしか食べられない,というサンドイッチを食べ,大人気のカキ・オムレツも,いっぱい具の乗ったかき氷も紹介していました.台湾の豊富な食材や文化,人々の活気を楽しく観ていると,中国との外交関係が悪化したり,国際的な孤立を強いられたりしている,という事情を忘れてしまいます.

游さんは他のお店の誘いを断り,舞さんは游さんの国で,しかも競争の激しい多くのレストランが並ぶ地区に,二人のお店を出します.東京や大阪や上海にも,彼らのような若者が店を出せるでしょうか? 活気のある市場,安定した国際関係,個人が創意と努力によって生きることを励ます社会.そのような社会が互いに協力して,アジアや世界に増えるような条件を,日本も中国も競って支持するべきでしょう.

なぜ日本でも参議院選挙のテーマを,安倍首相はアジアの安全保障問題に,民主党や公明党,社民党,共産党は貧困問題に,絞らなかったのか,私は不満です.

NHK・BSで,ゴム飛行機の世界記録に挑んだ熱中人の痛快さ,70歳の気骨に感嘆し,心から敬服しました.苦労して用意した,透き通った昆虫のように繊細な機体が,空中の方向転換を促す竿さばきに失敗して墜落,完全に崩壊した後も,氏は残された時間に気力を振り絞り,予備の機体で挑戦を続けました.飛行機は予想した通り,長時間天井にとどまり続け,ついにゴムから伝わるプロペラの回転が落ち始めると,床に向かってゆっくりと,緩やかに飛来し続けました.そして着地の瞬間,何と世界記録に2秒足りなかった! そのことが挑戦する者の困難と素晴らしさを教えてくれました.氏は,かつて世界記録を保持した人として,記録に及ばなかったことにも満足な笑みを絶やしませんでした.

台北のカフェレストラン・MAYUへ行って,ランチとケーキが食べてみたい! そして,70歳になっても熱中できる気力を持ちたいです.

選挙が終わっても,安倍や小沢は,ケネディーやオバマのような,国民を導く輝きをもつとは思えない.そのことが何より残念です.日本の政界にも,改革に向けて若者たちが集まってくるような,また,彼らの挑戦に心から共感を示すような,勇気のある,正直で,率直な人物が必要です.敵対ではなく,真の団結を国民に説得できる,40歳前後の雄弁家が現れる時を,私は待っています.

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