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IPEの種 1/23/2006

広大なキャンパス.優秀な施設.自由な時間.しかし,それだけではだめだ.・・・なぜ学生は学ばないのか? 本当に学生が悪いのか? 私の講義は下手くそで,退屈です.

私は時々思います. ・・・5%ルール? それは銀行の自己資本規制でも,日本の移民問題が深刻化する人口比率でも,中国が人民元の為替レートを調整する変動幅でもありません.私が,学生や彼らの書いた答案を見て,本当に学生らしい向学心や公共心を感じることができる割合です.多くの学生は,ゼミで話し合うよりコンパに行きたい,と主張します.

なぜ知識を求めるのか? それが役に立つとか,それが楽しいという理由で,知識を得ようとするのは健全なことです.他方,イギリス人は,社長になるためや裕福になるために大学へ行くのではない,というのも分かるような気がします.また,アメリカ人は,ソフト・パワーとしての高等教育に成功しているようです.しかし私は,若者であれば,もっと知識を求めても良いはずだ,と思います.

インドのハイテク産業とアウトソーシングの受け皿となる新興産業には,ますます多くの英語を使うエンジニアや数学・統計学・経営学を修めた学生が集まります.アメリカやイギリスの大学には,世界中から英語による高等教育を求めて若者が集まり,多国籍企業に就職し,IMFや国際的な金融ビジネスの底辺を形成します.中国では,出稼ぎ労働者の子弟に教育の機会を与える私立学校が増えて,北京だけでも300を超えると言います.韓国の過熱した受験勉強は,日本のゆとり教育や推薦入学・帰国子女優遇枠,その他,受験回避が蔓延する風潮と対照的です.

レーニンであれ,デューイであれ,新島襄であれ,多くの教育論は革命論の延長や代替でした.社会の変化と教育への情熱・姿勢は,相互に強く影響するでしょう.企業献金や政府の補助金を増やし,民営化もしくは競争を促すことで,大学も蘇える,と言う人がいます.私はむしろ,卒業単位など気にせずに学んでほしい,と思いました.単位にならない補習や,自習のための支援制度,24時間の図書館や寮制度,学生たちが参加できる多彩なイベントを企画するべきでしょう.ゼミの選考で落とした者の方が,本当に勉強したかったのかもしれません.だから,登録なんてしなくても,一緒に合宿に行って話し合おう,と思いました.

セックスや軍事力,そして金銭で他者を支配できると信じる社会は,学問や文化を滅ぼします.ここは心斎橋か? と思うことがあります.安逸さは,もちろん,最高の豊かさであり,親たちの世代からの贈り物です.しかし若者であれば,真実や理想を求めないはずがありません.ときには,大教室の中で,私を射抜く鋭い視線や,問いただすような厳しい口元,そして,満足してうなずく様子などを見ることがあるのです.たとえ,それが5%でも.

学ぶことは悪いことではない.学ぶことは恥じることではない.学ぶことで自分を鍛え,自分を変えてほしい.学ぶことで自分の未来の可能性を開いてほしい.・・・ しかし私は,説得することに疲れ,愚かにも彼らを買収し,強制・威嚇してきたのかもしれません.彼らの期待や目標に影響を与えるもの,とは何でしょうか? 大学の中に,小さな,本当の大学(私塾)を作るべきです.

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