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IPEの種 7/4/2005
中国政府は,香港の経験から台湾を見ていると思います.そして,もし台湾との経験から日本を見ているとしたら,アジアの政治には非常に深刻な影が広がります.一国二制度によって利用できることはすべて利用した.その後は吸収してしまおう.表では政治的な圧力.軍事的な威嚇.アジアにおける米軍駐留は一切認められない,と.国際機関での地位独占と他国の排除.妥協の余地や交渉条件は示さない.自分たちに必要なものがあれば裏で個々に取引する.これがアジアの政治だ.
かつて,サム・リーブズの小説を読んだとき,その作品がもっとあれば良いのにと思いました.しかし最近,もう一人好きな作家を見つけました.デニス・レヘイン『スコッチに涙を託して』.そこに描かれるのは,民主的でリベラルなボストンの,社会的亀裂の深さ,いたるところに充満する爆発寸前の憎悪,そして,希望を捨てない人たちの痛みと苦悩です.
主人公の友人で,地元紙の著名な黒人コラムニストは尋ねます.「アメリカ方式っていうのを知ってるか?」 と.
「いいや.リッチー,アメリカ方式っていうのは何だ?」
「誰か責めるべき相手を見つけることさ.」 そう言うと,もう一口飲んだ.
「これは事実だ.たとえば建設現場で働いていて,ハンマーを自分の足に落としたとしたらどうする? 会社を訴えるんだ.1万ドルの足だと言ってな.たとえば白人で仕事がなかったとしたら? 人種差別撤廃措置のせいにすることだ.もし黒人で仕事がなかったとしたら? 白人のせいにしろ.韓国人を責めろ.日本人でもいい.皆やってることだ.この国じゅうに,意地悪で不幸で支離滅裂で怒れる人間があふれていて,そのうちの誰一人として,状況と真正面に向き合うだけの知力を持ち合わせちゃいないのさ.やつらはすべてがもっと単純明快だった時代――エイズや麻薬,ギャングやマスコミ,人工衛星や飛行機,それに地球の環境破壊なんかがなかった時代――について語るんだ.まるでどうにかすればそこに戻ることができるみたいにな.自分たちがどうしてそんなに行き詰っているのか分からないから,責めるべき相手を見つけるんだ.黒人,ユダヤ人,白人,中国人,アラブ人,ロシア人,妊娠中絶合法化の支持者や反対者――おまえは誰にする?」
わたしは黙っていた.真実に反論することは難しい.
「白人はおれのような人間を責めるわけだ.おれが今みたいなところにいるのは人種差別撤廃措置の割り当てのおかげだと言ってな.そのうちの半分はまともに字も読めないにもかかわらず,おれの仕事を本当なら得られたはずだと思ってる.いまいましい政治家どもは,窓からチャールズ川を見下ろせる部屋の革張りの椅子に座って,ぼんくら白人の有権者どもに,彼らが腹を立てるべき理由はおれが彼らの子供たちの口にするはずの食べ物を盗んでいるからだと思わせようとしてやがる.そして黒人――いわゆる兄弟たち――にとっちゃ,おれはもう黒人じゃない.なぜなら,白人ばかりが住むような通りで,ほとんど白人に囲まれて住んでるからだ.おれは中産階級にうまいこともぐりこんだらしい.もぐりこむ,だぜ.つまりおれは黒人なんだから,フンボルト・アベニューのクソの穴みたいなところに,福祉小切手を麻薬に使うような連中といっしょに住むべきだって言うのさ.」
テレビでは日本方式が中継されています.「郵政民営化」は体を張ってでも阻止する,という悲壮な言葉と,何か楽しそうな政治家たちの駆け引き.所詮,既得権の積み替え? 正直な論戦など聞いたことがなく,国民の関心は低いままです.政治家は誰もが勝者となり,「改革」はもちろん達成されます.そして補助金は減らず,国民生活は疲弊するでしょう.なぜ彼らも悪徳リフォーム業者と並べて裁かないのか?
・・・つまり,政治的影響力とは何か? について,中国,アメリカ,日本,どこであれ,人々の意見は大きく異なっているのです.人々の傷口から噴き出す憎悪と狂気に立ち向かって,レへインは何度も書いています.「これは人種問題なんかじゃない.」
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